65 資料no.278 地形解析6 (2)地形解析結果...
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1 5.4
2 11.2
3 16.4
4 21.5
5 26.3
6 30.6
7 34.6
8 38.4
9 41.6
10 45.0
11 47.7
12 50.2
斜面勾配(°)
区分(°~°)等高線本数N
25~35°未満
色区分
0~15°未満
15~25°未満
35~45°未満
45°以上
地形解析として、1/5,000 森林基本図を用いて傾斜区分図、傾斜方向図、標高区分図及び
谷密度区分図の作成を行った。
(1)地形解析図の作成
①傾斜区分図の作成
調査対象範囲について 100m×100m メッシュを作成し、各メッシュの平均勾配を求め、勾
配 10°毎に色分けして示した。平均勾配は、メッシュに内接する円内の等高線数を集計し、
以下のように求めた。
作成した傾斜区分図を図 1 に示す。
<等高線数の集計例>
②傾斜方位図
各メッシュの傾斜方向(8方位)を着色区分し示した。作成した傾斜方位図を図 2 に示
す。
③標高区分図
各メッシュの標高(100m 毎)を着色区分し示した。作成した標高区分図を図 3 に示す。
④谷字数区分図
右図凡例に基づき谷地形を抽出した。
作成した谷字数区分図を図 4 に示す。
等高線数N=4
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図 1 傾斜区分図
3
図 2 傾斜方向区分図
4
図 3 標高区分図
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図 4 谷次数区分図
1次谷 2次谷 3次谷 合計
東入沢下流 807 0 1,076 1,883
東入沢上流 6,551 3,732 2,329 12,612
西入沢 5,524 1,421 4,454 11,399
合計 12,882 5,153 7,859 25,894
谷延長(m)流域区分
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(2)地形解析結果
地形解析図に基づく考察結果は以下のとおりである。
①調査対象地の傾斜
西入沢および東入沢とも流域の上流部は 15°未満の緩斜面が優先する。特に東入沢源流部
である野々海池周辺では、15°未満の緩斜面が占有した丘陵となっている。
流域下流部の斜面では、比較的急峻な斜面が分布しているが、特に雪崩による削刻作用を
受ける斜面では、傾斜区分図では表しきれない急崖が形成されている。
②調査対象地の傾斜方向
調査対象地は開析があまり進んでいない流域で、西入沢および東入沢とも北西南東へと
ほぼ直線状に流下していることから、流域全体としての斜面は東から南向き斜面が卓越する。
一部、比較的開析が進んだ本川渓岸部では、左岸側に南西向き斜面、右岸側に北東向き斜
面が分布している。
③調査対象地の標高分布
対象地は、南東から北西にかけて標高 400m~1,100m の標高帯を呈し、標高差 500m を
超える大起伏山地となっている。流域出口の標高 400mから標高 900mまでは、標高区分の
間隔が狭い急斜面が分布するが、流域上流部や源流の野々海池周辺は、標高区分の間隔が広
い小起伏侵食斜面が広がっている。
④調査対象地の谷地形
調査対象地の流出特性及び開析による谷侵食状況を定性的に把握することを目的として、
他流域へと導水している野々海池を除く流域で、エロンゲーション比及び谷密度の算定を行
った。エロンゲーション比は次式で表される(治山技術基準山地治山編 P31)。
Eが小さい程羽毛状流域、大きい程放射状流域となり、E=1 で流域と同面積の円の直径に
等しくなる。一般に、放射状流域に近い程洪水時のピークが尖るものとされている。
小 エロンゲーション比 大
E
図 5 エロンゲーション比と流域形状
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また、谷字数については、1次谷以上の谷延長を流域毎に累計し流域面積で除すことによ
り算定した(m/ha)。
以上の結果について表 1 に示す。
表 1 調査対象地の谷地形解析結果
1次谷 2次谷 3次谷 合計
東入沢下流 56 807 0 1,076 1,883 0.45 33.6
東入沢上流 368 6,551 3,732 2,329 12,612 0.17 34.3
西入沢 309 5,524 1,421 4,454 11,399 0.17 36.9
合計 733 12,882 5,153 7,859 25,894 0.12 35.3
エロンゲーション比
谷密度(m/ha)
流域区分谷延長(m)流域面積
(ha)
表 1 より、調査対象地の谷地形からみた流域特性について以下のように考察する。
・調査対象地のエロンゲーション比
エロンゲーション比の平均値は 0.12 であり、羽毛状流域であることを示している。最も
エロンゲーション比が高いのは、流域下流部の地域に限定された東入沢下流であり、そのエ
ロンゲーション比は 0.45 となっている。
・調査対象地の谷密度
ha 当たり谷延長の平均値は 35.3m/ha であり、これは面積 1ha を横断する谷が約 0.35 本
しかないことを示している。このように、面積当たりの谷密度は小さく、開析が進行してい
ない流域であることが判る。
以上の流域特性から、調査対象地の流域の形状は、洪水ピークが緩やかで開析が進行していな
い、荒廃しにくい渓流であると考えられるため、流域全体の広範囲に荒廃が進行することは考え
難い。したがって、調査対象流域での荒廃は、今災害のように、地震ならびに地質条件が相まっ
て発生した局地性のものに限定されると推定できる。