砂防ソイルセメントによる施工と課題について ―美 …大正 年 月...

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-1- 砂防ソイルセメントによる施工と課題について ―美瑛川での実績と今後の計画― 旭川開発建設部 旭川河川事務所 ○田村 敬介 小松 孝志 森田 共胤 まえがき 十勝岳は、北海道のほぼ中央に位置する十勝岳連峰の主峰であり、標高 2077m 活火山である。 大正 日の大噴火では熱い岩屑なだれが山腹の残雪を急速に融かし、大 15 5 24 規模な融雪型火山泥流が発生。美瑛川と富良野川流域を流下し、美瑛町や上富良野町 では死者行方不明者 名を数える甚大な被害となった。 144 このような背景のもと、十勝岳 周辺 火山泥流対策基本計画(案)が策定され、直 ( ) 轄砂防事業、補助砂防事業、治山事業の3機関によるソフト対策とハード対策の両面 から総合的な火山泥流対策が進められている。 直轄砂防事業が受け持つ美瑛川では 号砂防堰堤が平成 年度から施工され 5 8 13 平成 年度に完成している。これら砂防堰堤の左岸側袖部には、コスト縮減や工期 15 短縮、現地発生材の有効利用を目的とした砂防ソイルセメント( 工法)が採 INSEM ( ) 用されている。 図-1 本報は、美瑛川での砂防ソイルセメント施工実績を報告すると共に、寒冷地での課 題である耐凍結融解性に対するモニタリング調査・結果を報告する。 また、美瑛川や全国各地の施工実例を踏まえ、他地区において進めている砂防施設 計画及び課題について発表するものである。 図-1 対象施設位置図 Keisuke Tamura Takashi Komatsu Tomotsugu Morita 8号えん堤 7号えん堤 6号えん堤 5号えん堤 N INSEM 適用部 8号えん堤 7号えん堤 6号えん堤 5号えん堤 N INSEM 工法適用部

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砂防ソイルセメントによる施工と課題について

―美瑛川での実績と今後の計画―

旭川開発建設部 旭川河川事務所 ○田村 敬介

小松 孝志

森田 共胤

まえがき

十勝岳は、北海道のほぼ中央に位置する十勝岳連峰の主峰であり、標高 の2077m活火山である。

大正 年 月 日の大噴火では熱い岩屑なだれが山腹の残雪を急速に融かし、大15 5 24規模な融雪型火山泥流が発生。美瑛川と富良野川流域を流下し、美瑛町や上富良野町

では死者行方不明者 名を数える甚大な被害となった。144このような背景のもと、十勝岳 周辺 火山泥流対策基本計画(案)が策定され、直( )

轄砂防事業、補助砂防事業、治山事業の3機関によるソフト対策とハード対策の両面

から総合的な火山泥流対策が進められている。

、直轄砂防事業が受け持つ美瑛川では ~ 号砂防堰堤が平成 年度から施工され5 8 13平成 年度に完成している。これら砂防堰堤の左岸側袖部には、コスト縮減や工期15短縮、現地発生材の有効利用を目的とした砂防ソイルセメント( 工法)が採INSEM

( )用されている。 図-1

本報は、美瑛川での砂防ソイルセメント施工実績を報告すると共に、寒冷地での課

題である耐凍結融解性に対するモニタリング調査・結果を報告する。

また、美瑛川や全国各地の施工実例を踏まえ、他地区において進めている砂防施設

計画及び課題について発表するものである。

図-1 対象施設位置図

Keisuke Tamura Takashi Komatsu Tomotsugu Morita, ,

8号えん堤

7号えん堤 6号えん堤 5号えん堤 N

INSEM 適用部

8号えん堤

7号えん堤 6号えん堤 5号えん堤 N

INSEM 工法適用部

- 2 -

1.施設計画ならびに施工実績概要

(1)施設計画

美瑛川5~8号砂防堰堤は大正 年の大正15泥流規模相当の火山泥流を対象とし、 終的

な細粒分土砂処理及び、流量調節を目的とし

た施設である。

堰堤袖部(泥流氾濫防止堤)については、

経済性ばかりでなく機能性、施工性等の面で

比較検討し、総合的にも優れる 工法をINSEM、 。( 、 )選定 施工するに至っている 図-2 表-1

(2)基本構造と設計強度

基本構造については、施

工性の観点から土砂型枠利用

で天端幅 を確保し、川表3m側の盛土が流失した場合にお

いても機能を損なわれること

がないよう、川裏側からの土

圧による 大圧縮応力に対し

て安定計算を行い、断面形状

を決定している (図-3)。

その結果、本構造物の必要

強 度 を と 設 定 し 、1.5N/mm2

配 合 強 度 は 本 現 場 で の

施 工 の 実 績 が な い こINSEMとから、砂防ソイルセメント

活用ガイドラインで提案され

ている割増係数 を用い(k=1.5)て 、 = ≒1.5×1.5 2.25N/mm2

と設定した。2.3N/mm2

本 施 工 に お ける 材INSEMの配合については、セメント

量 比 (3ケ ー ス )な ら び に 含 水

比 (3ケ ー ス )を 組 み 合 わ せ た

配合試験を実施の上で含水比

は ± %の ~ %程度とし、単位セメント量は配合試験より必要強度を満た13 2 11 15す 小セメント量 としている。100kg/m3

なお本施工に当たっては、 日材齢で概ね 以上を有し、強度的には満足し28 3N/mm2

た結果が得られている。

形式 コンクリート形式 INSEM形式 ロックフィル形式

断面図

経済性 × (2.2) ○ (1.0) △ (1.4)

○ △ △

△ ○ ○

型枠、養生など手間多い 連続打設で工期短縮可能 工期短縮可能

敷均しによる騒音が大きい

△ ○ △

コスト面、施工性でINSEM工法に劣る

コスト面、施工性で最も優位 コスト面でINSEM工法に劣る

実績が多く安全面で優れている

永久構造物としての実績少なく、法面保護が必要となる

耐凍害対策として堤体覆土が必要

積雪や降雨による母材の含水比管理が必要。ふるい分けや敷均し

による騒音が非常に大きい

評価

施工性

機能性

その他

8.20

6.40

1.80

1 :0.4

5 1: 0 .3 0

3.85

2.50

〈 8 号ダ ム 〉

1 :2 . 0覆 土

23. 04

〈7号ダム〉

1:2.21:2.2

(ロック材)

のり面保護工

5.00

河床砂礫

6.6

0

4.1

0

1:2.2

3000

1:0.1

1:0.1

1:0.6

1:0

.6

INSEM工法

6500

1:2.2

盛 土(土砂型枠)

3m

1:m1:n

盛土 INSEM

川表側 川裏側

土圧

川表側(堤外地側)

の土砂が流出 最大内部応力発生箇所

表-1 工法比較検討

図-3 安定計算検討断面

図-2 本施設に求められる機能

計画河道

泥流(主流部)

水通し部

コンクリート適用部

(泥

流氾

濫防

止堤

計画河道断面

- 3 -

2.モニタリング調査の実施と現時点までの成果

(1)美瑛川でのモニタリング経緯とその実績

上記概要の通り当該施設はすでに竣工して

いるが、今後、北海道等の寒冷地において砂

防ソイルセメント工法の活用を図っていくた

めには、耐凍結融解性に対して考慮すること

が不可欠であることから、当該施設を用いて

砂防ソイルセメントの凍結融解による部材の

耐久性解明と、その対応策の検討を目的とし

た凍結融解モニタリング調査を平成16年より

実施している。

観測項目は冬期間の温度(外気温とソイル

セメント堤体内部層別温度)計測と、堤体の

深度別試料を用いた一軸圧縮強度である。

【温度観測】

平成 年11月~平成 年5月の冬期間に16 17号 堰堤袖 部 におい て計測 した外 気温と、5

ソイルセメント堤体内部での温度変化の状

況と結果を示す (写真-1、表-2)。

この期間の計測ではソイルセメント堤体

部内部温度が ℃を下回ったことはなく、0表層に も近い計測位置(0.25m)でも1℃

程度と安定している結果が得られた。

これは、側面盛土や積雪によりソイル

セメント堤体の冷却を防げていることが考

えられる (写真-2)。

ま た 、 今 年 度 よ り

ソ イ ル セ メ ン ト 外 部

保 護 材 と し て コ ン ク

リ ー ト を 用 い た 場 合

の 必 要 部 材 厚 の 目 安

を つ け る こ と を 目 的

に 、 堰 堤 コ ン ク リ ー

ト 内 部 の 温 度 計 測 を

併 わ せ て 実 施 し て い

る (写真-1)。

美瑛川砂防堰堤 耐凍結融解性モニタリング

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

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1日

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11日

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12月

1日

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21日

12月

31日

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10日

1月

20日

1月

30日

2月

9日

2月

19日

3月

1日

3月

11日

3月21日

3月

31日

4月

10日

4月20日

4月

30日

5月

10日

5月

20日

5月

30日

(℃)

0.25m

0.50m

0.75m

1.00m

1.25m

1.50m

外気温

写真-1 温度計測状況

表-2 温度計測結果 (H16.11~17.5)

写真-2 積雪状況

- 4 -

堰堤コンクリート温度計測の目的は、

ソイルセメント外部保護材としての必要

部材厚データを得ることであり、前年度

計測データから判明したように、積雪に

、よる保温効果を排除する必要があるため

その対策を行った。

(写真- )3

月時点までの計測の結果、砂防ソイ12ルセメント堤体内部は ℃を下回っては0いないが、堰堤コンクリートは、堤体表

面ならびに表面より 内部まで、40cm( 3 4)0℃以下に冷却されていることが確認されている。 表- ,

【一軸圧縮強度試験】

5号堰堤袖部ソイルセメント実施

箇所 か ら 採 取 した 供 試体を 用いた

5一軸圧 縮強度の計測結果を表-

に示す。

試 験 結 果 に つ い て は 、 3 箇 所

( 側)×上下層( のみ上L,R,C H15

層) = 6 供 試 体の 計 測値で あり、

表- から、本構造物の必要圧縮5強度 以上を満足している1.5N/mm2

ことがわかる。

また、試験結果にばらつきがあることや、強度的には近似曲線より右下がり傾向が

読み取れる。

これらの要因については、温度計測結果より凍結融解作用による影響とは確定でき

ないことや、採取した供試体材料の均一性の違いも要因の一つとして考えられること

から、引き続きモニタリング調査をし、検証する必要がある。

写真-3 積雪による保温防止状況

表-3 ソイルセメント堤体内部温度計測結果(H17) 表-4 堰堤コンクリートの温度計測結果(H17)

表-5 ソイルセメント堤体試料の一軸圧縮試験結果

-15

-10

-5

0

5

10

15

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12月

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(℃)

-0.10m-0.20m-0.40m-0.60m-0.80m-1.00m-1.20m外気温

0℃以下に低下

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-10

-5

0

5

10

15

20

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12月

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(℃)

0.25m

0.50m

0.75m

1.00m

1.25m

1.50m

外気温

0℃以上を維持

一軸圧縮試験結果 一覧

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

H15(完成年 材齢28日) H16(一冬経験後) H17(二冬経験後)試験年度

一軸

圧縮

強度

(N/m

m2)

△:L(深度0.0~0.5m)

□:L(深度0.5~1.0m)

△:C(深度0.0~0.5m)

□:C(深度0.5~1.0m)

△:R(深度0.0~0.5m)

□:R(深度0.5~1.0m)

◆:平均値

- 5 -

3.全国での砂防ソイルセメント工法の適用性に関する検討

( ) INSEM砂防ソイルセメント工法について 独 土木研究所等で一般公開されている

工法 事例 美瑛川での施工事例、砂防 工法を含む と、 工法 事例につい18 ( CSG ) ISM 15て、その適用性に関する整理を実施した (表- )。 6

とりまとめ項目は、工法選定理由と配合諸元、強度、打設量、施工性、経済性その

他留意点である。

表 ソイルセメント工法比較表6

既往施設での採用理由(1)収集した事例での主なソイルセメント工法採用理由は、①現地発生材の有効利用②

コスト縮減③工期短縮④施工の省力化を挙げている。 工法と 工法の砂防INSEM ISM、 、ソイルセメント工法それぞれの選定理由については 強度的に要求が高くない場合や

打設範囲が広範囲に及ぶ場合に、 工法を利用している傾向がある。INSEM目標強度の設定方法(2)目標強度は 工法が ~ と、必要部位に応じた強度を選定していINSEM 0.15 12 N/mm2

る。一方 工法は概ねガイドラインに沿った選定が行われており、その目標強度ISMは ~ で設定されていたが、ほとんどの事例で (Ⅰタイプ)が採択3 18N/mm 18N/mm2 2

されていた。その結果、ある程度強固な構造物に 工法が、積極的に採用されてISMいる傾向がある。

コンクリート打設量(3)総打設量の多い事例は 工法であった。日打設量についても若干 工法INSEM INSEM

が上回っている。しかし、総打設量・日打設量の能力は両工法とも偏りは見られず、

工法を選定するに値するほどの大きな差違はくみ取れなかった。

INSEM工法(砂防CSG工法) ISM工法

18 (うち砂防CSG:13) 15ソイルセメント工法

・ 狭い箇所でも適用可能,広い施工範囲でも適用可能 ・施工ヤードが狭く、施工量が比較的少ないことから適用決定・ 大きな強度が不必要 ・扇状地の谷幅の広い箇所で、地盤線より下部に使用・ 日施工量が大きい、打設規模が大きくできる ・過去管内において試験事業としての、施工実績があったため・ 連続施工の実施と盛土材均一性の確保が可能

・ 施工部位が盛土形状となるとき、型枠が不必要

目標強度レベルⅠ 0.~1.5 Ⅰタイプ 18~21(目安セメント量300 kg/m3)

~ Ⅱタイプ 10~18(目安セメント量200 kg/m3)

目標強度レベルⅥ 21.0以上 の6段階で選択可能 Ⅲタイプ(3~10)もあるが、実績がなくマニュアルの摘要より除外

目標強度(N/mm2) 0.15~6.0 (0.48~12.0) 3.0~18.0

配合強度(N/mm2) 16.0 (0.74) 8.0~24.0

単位セメント量(kg/m3) 50~280 (80) 275~375

・摩耗調査では年間1~2mmの摩耗が見られる(6N/㎜2) ・現地発生材の特性を考慮した施工が必要

・現地発生材が微粒分9%程度と多く、目標強度(4N/㎜2)を得るためセメント量が280 kg/m3

と多くなったが、

在来工法に比べ16%のコスト縮減が出来た。

・ISM工法設計施工マニュアルでは、「土砂粒径5mm以下の細

 粒分に0.074mm以下の微粒分が25%以上混在する場合は、 目標強度確保が困難」とある。

・砂防事務所によっては土砂粒径1mm以下50%以内、

0.074mm以下15%以内という材料の制限を設けている

・骨材の含水率の変動が品質に影響を及ぼすため、適切な管理が必要。

総打設量  (m3) 810~29,581 (460~160,000) 350~10,300

日平均打設量(m3) 40~260 (70~600) 44~100

日 大打設量(m3) 80 (90~1,100) 60~140

グリズリーバー(ふるい分け) グリズリーバー(ふるい分け)スケルトンバケット(バックホウに取付ふるい分け) スケルトンバケット(バックホウに取付ふるい分け)

バックホウ0.1m3~0.7m3

(ふるい分け、混合、敷均 バックホウ0.6m3~0.7m3

(ふるい分け、攪拌)

ブルドーザ3t~21t(敷均し) ツインヘッダー(バックホウに取付、攪拌)

振動ローラ0.75t~11t(締固め) セメントミルクプラント

・攪拌完了判断が難しい ・下面より上面が広くなり、水替えの釜場施工が困難だった。・フェノールフタレン確認は、散布に時間がかかる。・一般的な機械の組み合わせで、施工が可能である。

・床掘り深さが大きく、床掘り内作業が必要で機械スペース確保のため、掘削が増大した。

・余った改良材の管理が難しい。(他にも同様の報告有)

・現地発生材の含水率により、施工時の品質管理が面倒だった

・土砂の含水比管理が面倒で特に降雨時には施工不可能。(気象条件については、降雨気温で施工中止もあり)

・埋め戻しラインより高い位置での施工となった場合、攪拌機 械用足場の設置・撤去が必要となる。(土足場等)

経済性 単  価

項     目

資料整理件数 (件)

採用理由

コンクリート在来工法との比較検討で、①現地発生材の有効利用②コスト縮減③工期短縮④施工の省力化 を挙げている

INSEM工法とISM工法の工法選定

施工現場、数量に合わせた概算工費算出が必要

ガイドライン、マニュアルによる強度

の目安(N/mm2)

強 度

備  考

打設量

施工性

施工機械

備  考

- 6 -

施工性(4)両工法とも現地発生土の含水比管理には留意して施工に当たっている。 降雨時,(

伏流水等 工法は一般的な施工機械の組み合わせで施工が可能であるのに対) INSEMして、 工法ではツインヘッダ攪拌機器やセメントミルクプラントなどの専用機械ISMが必要となる。これらの専用機器の調達については、以前は困難な場合もあったが、

近年では容易になってきている。また 工法は材料の攪拌ヤード・ストックヤINSEMードが、 工法の場合は攪拌重機の足場スペースの確保・プラントヤード・ストッISMクヤード等が必要となる。

経済性(5)( )経済性については、施工規模等により優位性が若干異なる。 使用機械の稼働費等

なお、美瑛川での積算単価を用いた試算結果では、 %程度 工法が安価との20 INSEM比較結果となった。

4.他地区にて進めている砂防施設計画と今後の課題

現在旭川開発建設部管内の層雲峡地区(石狩川水系リクマンベツ川)にて、砂防事

業が進められている。計画している施設は、扇状地端部での河道固定 氾濫防止 なら( )びに土砂堆積を行うことを目的としており、導流堤工と堤防・護岸工、遊砂地工 床(固工群 から成っている。)

今年度はこれらの工作物のうち、護岸工ならびに導流堤工に対する砂防ソイルセメ

ント工法適用の可能性、工法選定、配合計画等に関して調査検討を行っている。

今後は、ここでの床固工本堤についても砂防ソイルセメント工法の適用を視野に入

れ、これまでの種々の検討成果を踏まえた冬期暴露試験等の現地試験ならびに対策検

討を企画実施する予定である。

5.あとがき

北海道等の寒冷地における砂防ソイルセメント工法の幅広い適用に向けては、耐凍

結融解性について知見を得ることが必要不可欠であろう。今年度までの計測・試験結

果に加え、今後の適用を検討している地区で、実際の自然環境における暴露試験等を

実施の上でデータを蓄積し、総合的な検討を行うこととしたい。

【参考文献】

, ,2002砂防ソイルセメント活用ガイドライン 砂防ソイルセメント活用研究会

(ISM ) ,ISM ,2001現位置攪拌混合固化工法 工法 設計・施工マニュアル 工法研究会

田村圭司他:低品質材料における耐久性能検討結果の一例 平成 年度 砂防学会研, 16,p86 87,2004究発表会概要集 ~

独 土木研究所 土砂管理研究グループ 火山・土石流チーム:砂防ソイルセメント施( ),2004工事例集