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〒102-0075 東京都千代田区三番町5-7 精糖会館6階 Tel. 03-3556-3344 Fax 03-3556-4455 URL:http://www.fujipharma.jp/ 編 集:FUJI Infertility & Menopause News編集委員会 発 行:  富士製薬工業株式会社 Vol.17 2014.4 01 Infertility Menopause がん患者に対する妊孕性 温存の診療の現状と問題 鈴木 直 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学 1.はじめにーがん・生殖医療の実践 近年、がんに対する診断および集学的治療の進歩による治 療成績向上の結果として、がん克服患者(がんサバイバー)が 増加している。それに伴ってがんサバイバーのQOL向上を志向 して、生殖年齢患者に対するがん治療によって生じる妊孕性消 失に対する重要性が再認識されてきている。特に、ホジキン病 患者に対する卵巣組織凍結・移植による2004年の初めての生 児獲得以来、新しい妊孕性温存療法として卵巣組織凍結・移 植が臨床応用されたことから、欧米ではOncofertility(がん・ 生殖医療)という新しい領域が確立され、若年がん患者に対す る妊孕性温存の診療の考え方が見直され始めている。 2.ASCOガイドライン 2006年にAmerican Society of Clinical Oncology(米国臨 床腫瘍学会:ASCO)はAmerican Society for Reproductive Medicine(米国生殖医学会:ASRM)との共同で、がん患者に おける妊孕性温存に関する指針を出した 1) 。ASCO 2006は、 1987年から2005年の間に発表された論文のレビューにより作 成され、推奨は以下の3点である。①がん治療前の患者教育と 患者説明の一環として、がん治療医は患者の生殖可能年齢の 間にがん治療が行われることによる不妊の可能性に関する情 報を提供し、考えられる妊孕性温存療法に関して検討を行い、 あるいは適応を有する希望のある患者に対して生殖医療専門 医を紹介すべきである。②可能な限り早急に妊孕性温存の可能 性に関する臨床的判断を行い、患者と話し合う機会を持つべき である。③がん治療前は、精子凍結や胚凍結が標準的な妊孕 性温存療法となる。その他の妊孕性温存療法は研究段階にあ り必要時にはセンターなどで施行されるべきである。なお、月 経周期の継続あるいは再開にもかかわらず、女性における妊孕 性が保持されているとは限らないこと、また、月経周期が整で あったとしても卵巣予備能の低下によって妊娠の可能性が低下 しあるいは早期閉経発来となる可能性もあることも明記されて いる。つまり、がん治療の後に妊娠の可能性が出来たとして も、妊娠可能な時期は限られている可能性があることにな る。昨年新たに、ASCO 2013指針が報告された(http://www. asco.org/quality-guidelines/fertility-preservation-patients- cancer-american-society-clinical-oncology)。ASCO 2013 は2006年から2013年1月までに発表された222論文を対象に ASCO 2006と同様に検討された結果、大規模な変更点はない と結論づけられている。しかしながら、男性また女性がん患者 の生殖毒性に関する情報はASCO 2006と比較してより詳細な 内容に改変され、一方オンコロジストという文言は削除され、ヘ ルスケアプロバイダーという文言が新たに採用されている。変 更点の詳細はに示す。 3.Oncofertility コンソーシアム Oncofertility(がん・生殖医療)とは腫瘍学(Oncology)と 生殖医学(Fertility)を合わせた造語で、2006年にノースウェ スタン大学のWoodruffらが初めて提唱した概念である 2) Woodruffらは2007年にNIHからの資金を元に、Oncofertility コンソーシアムを設立した。本コンソーシアムの対象患者は39 歳までのがん患者となり、腫瘍学、生殖医学そして患者の間に 存在する全ての問題解決を目的とし、さらに国際的な医師協同 システムそして基礎的・臨床的医学研究を行う内容となってい 3) 。Woodruffは、①科学技術の未熟性(scientific gap)、 ASCO2013 “The Update Panel concluded that no major, substantive revisions to the 2006 ASCO recommendations were warranted, but clarications were added.” 要点: u オンコロジスト→削除 u ヘルスケアプロバイダー:腫瘍内科医、放射線腫瘍医、婦人科腫瘍医、泌尿器科 医、血液腫瘍医、小児腫瘍医、外科医、看護師、ソーシャルワーカー、精神科医、 その他の医師以外のプロバイダー u 卵子凍結はもはや試験的診療ではない u アバスチン(ベバシツマブ)→卵巣毒性有り 表 

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Page 1: Infertility Menopause がん患者に対する妊孕性 温存 …02 ②研究機関と臨床機関との間の学際的な隔たり(structural gap)、③異なる研究をサポートする基金機構の不在(tactical

〒102-0075 東京都千代田区三番町5-7 精糖会館6階Tel. 03-3556-3344 Fax 03-3556-4455 URL:http://www.fujipharma.jp/

編 集:FUJI Infertility & Menopause News編集委員会発 行:  富士製薬工業株式会社

Vol.172014.4

01

Infertility Menopause

がん患者に対する妊孕性温存の診療の現状と問題

鈴木 直聖マリアンナ医科大学

産婦人科学

1.はじめにーがん・生殖医療の実践近年、がんに対する診断および集学的治療の進歩による治

療成績向上の結果として、がん克服患者(がんサバイバー)が増加している。それに伴ってがんサバイバーのQOL向上を志向して、生殖年齢患者に対するがん治療によって生じる妊孕性消失に対する重要性が再認識されてきている。特に、ホジキン病患者に対する卵巣組織凍結・移植による2004年の初めての生児獲得以来、新しい妊孕性温存療法として卵巣組織凍結・移植が臨床応用されたことから、欧米ではOncofertility(がん・生殖医療)という新しい領域が確立され、若年がん患者に対する妊孕性温存の診療の考え方が見直され始めている。

2.ASCOガイドライン2006年にAmerican Society of Clinical Oncology(米国臨

床腫瘍学会:ASCO)はAmerican Society for Reproductive Medicine(米国生殖医学会:ASRM)との共同で、がん患者における妊孕性温存に関する指針を出した1)。ASCO 2006は、1987年から2005年の間に発表された論文のレビューにより作成され、推奨は以下の3点である。①がん治療前の患者教育と患者説明の一環として、がん治療医は患者の生殖可能年齢の間にがん治療が行われることによる不妊の可能性に関する情報を提供し、考えられる妊孕性温存療法に関して検討を行い、あるいは適応を有する希望のある患者に対して生殖医療専門医を紹介すべきである。②可能な限り早急に妊孕性温存の可能性に関する臨床的判断を行い、患者と話し合う機会を持つべきである。③がん治療前は、精子凍結や胚凍結が標準的な妊孕性温存療法となる。その他の妊孕性温存療法は研究段階にあり必要時にはセンターなどで施行されるべきである。なお、月経周期の継続あるいは再開にもかかわらず、女性における妊孕性が保持されているとは限らないこと、また、月経周期が整であったとしても卵巣予備能の低下によって妊娠の可能性が低下しあるいは早期閉経発来となる可能性もあることも明記されている。つまり、がん治療の後に妊娠の可能性が出来たとしても、妊娠可能な時期は限られている可能性があることにな

る。昨年新たに、ASCO 2013指針が報告された(http://www.asco.org/quality-guidelines/fertility-preservation-patients-cancer-american-society-clinical-oncology)。ASCO 2013は2006年から2013年1月までに発表された222論文を対象にASCO 2006と同様に検討された結果、大規模な変更点はないと結論づけられている。しかしながら、男性また女性がん患者の生殖毒性に関する情報はASCO 2006と比較してより詳細な内容に改変され、一方オンコロジストという文言は削除され、ヘルスケアプロバイダーという文言が新たに採用されている。変更点の詳細は表に示す。

3.Oncofertility コンソーシアムOncofertility(がん・生殖医療)とは腫瘍学(Oncology)と

生殖医学(Fertility)を合わせた造語で、2006年にノースウェスタン大学のWoodruffらが初めて提唱した概念である2)。Woodruffらは2007年にNIHからの資金を元に、Oncofertilityコンソーシアムを設立した。本コンソーシアムの対象患者は39歳までのがん患者となり、腫瘍学、生殖医学そして患者の間に存在する全ての問題解決を目的とし、さらに国際的な医師協同システムそして基礎的・臨床的医学研究を行う内容となっている3)。Woodruffは、①科学技術の未熟性(scientific gap)、

ASCO2013

“The Update Panel concluded that no major, substantive revisions to the 2006 ASCO recommendations were

warranted, but clarifications were added.” 要点: uオンコロジスト→削除 uヘルスケアプロバイダー:腫瘍内科医、放射線腫瘍医、婦人科腫瘍医、泌尿器科医、血液腫瘍医、小児腫瘍医、外科医、看護師、ソーシャルワーカー、精神科医、その他の医師以外のプロバイダー

u卵子凍結はもはや試験的診療ではない uアバスチン(ベバシツマブ)→卵巣毒性有り

 表 

Page 2: Infertility Menopause がん患者に対する妊孕性 温存 …02 ②研究機関と臨床機関との間の学際的な隔たり(structural gap)、③異なる研究をサポートする基金機構の不在(tactical

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②研究機関と臨床機関との間の学際的な隔たり(structural gap)、③異なる研究をサポートする基金機構の不在(tactical gap)、などそれぞれの問題点を解決していくことで、本概念が実現し、効率的にかつ安全に患者に医療を提供することが可能になると考えている。なお、本コンソーシアムで2012年に開催された定期的なカンファレンスにおいて、依然としてがん患者の妊孕性温存を妨げる障壁があり、主にその障壁はコミュニケーション不足によるものであると報告している3)。しかし、教育がその障壁を凌駕するとWoodruffは述べている。

Oncofertilityコンソーシアムでは患者、臨床医、研究そして教育向けの4本柱から成るウェブサイト(http://oncofertility.northwestern.edu)が作成されている。患者向けのウェブサイト(http://www.myoncofertility.org)には、患者教育の一環とした妊孕性温存の診療に関する全ての情報が網羅されており、医師への質問事項がリストアップされ、どの治療段階でどのような妊孕性温存の診療を受けることが出来また考えればよいか詳細に紹介されている。さらに、妊孕性温存療法の適応や方法などに関してはアニメーションを使ってわかりやすく紹介されていて、例えば白血病などが卵巣組織凍結の適応外疾患であることなども説明されている。さらに、がん・生殖医療提供が可能な施設を患者のみならず医療従事者が一目瞭然で探すことができる米国全土の施設掲載地図をウェブサイトに公開している。実際には、ナビゲーターと言われる従事者が、患者からの問い合わせに対応し施設の紹介や妊孕性温存の診療を紹介するシステムも設けている。筆者は、岐阜大学産婦人科の森重健一郎教授、古井辰郎准教授、国立成育医療研究センターの小泉智恵臨床心理士と聖マリアンナ医科大学産婦人科学の杉下陽堂助教と共に、2013年9月に米国シカゴのノースウェスタン大学において開催された第8回Oncofertilityコンソーシアム会議に参加した。会議では、ブラジルやチリなど海外から多くの研究者等が集まり、各国におけるがん・生殖医療に関する医療連携の実情や問題点などが議論された。本邦からは、岐阜大学病院を中心に23の病院から構築される、本邦初のがん・生殖医療連携ネットワークであるGPOFs(岐阜県がん・生殖医療ネットワーク: Gifu Patients, Oncologists and Fetility specialists)に関する報告があった。

4. 国際妊孕性温存学会(ISFP: International Society for Fertility Preservation)

新しい妊孕性温存療法である卵巣組織凍結・移植の臨床における成功を機に、国際妊孕性温存学会(ISFP: Donnez初代ISFP会長)が設立された(http://www.isfp-fertility.org)。第1回WCFP会議は2009年にベルギーで開催され(WCFP: World Congress of Fertility Preservation:Donnez会長)、2年に1度世界中の研究者が集まり議論を展開している。第2回WCFP会議はKim会長のもと米国で2011年に開催され、2013年にBarri第3代ISFP会長によって、スペインで第3回WCFP会議が開かれた。第4代ISFP会長は2014年1月より、エール大学のPasqualeへと交代し、卵巣組織凍結・移植に関するグローバルなデータ構築が次の課題となっている。なお、第4回WCFP会議は2015年に中国にて開催される予定となっている。ISFP2代目会長のKimらにより「若年がん患者に対する妊孕性温存療法の推奨」が2012年6月にJARG(Journal of Assisted

Reproduction and Genetics)誌に掲載された4)。なお、ISFP 2012は、主にリンパ腫、白血病そして乳がん患者に対する妊孕性温存療法の指針となっている。

5. 本邦におけるがん・生殖医療の実践—日本がん・生殖医療研究会(JSFP)の取り組み

本邦における「がん・生殖医療」の普及と教育を志向して、また、がん治療医と産婦人科医との密な医療連携システムの構築を目標として、日本がん・生殖医療研究会が2012年11月に設立された。そして2013年4月に東京にて、「がんと生殖を考えるシンポジウム−妊孕性温存の診療を考える」が開催され、250名のヘルスケアプロバイダーが全国から集まり、本邦におけるがん・生殖医療を取り巻く問題を認識し、今後解決すべき問題の提起がなされた。また、2003年から血液疾患患者を中心に若年がん患者の妊孕性温存に取り組んでいるA-PART(不妊・生殖補助医療国際学会:http://www.apartonline.info/japan/)と共催で、2014年2月には「がんと生殖を考えるシンポジウ ム−血液疾患患者さんの妊孕性温存対策のこれからを考える」が開催された。JSFPでは、若年がん患者に対する妊孕性温存診療に関する正確な情報を、的確なタイミングで提供することが出来るよう、がん専門の医師と産婦人科医の密な医療連携構築を目指している(http://www.j-sfp.org)。この医療連携には、医師のみならず、最も近い位置で患者を守る看護師や薬剤師、心理士そしてソーシャルワーカーの方々の参画が必須となる。なお、2015年2月には小児がんに関するシンポジウムを大阪にて開催する予定になっている。

6.おわりに若年がん患者は、①がんによる将来の恐怖のみならず、②若

年だからこそ「妊孕性消失」に関する将来の不安を抱えることになる。妊孕性温存希望の若年がん患者において最も大事なことは、原疾患の治療が最優先される事であり、その治療を遅滞なく遂行することが大原則となる。若年がん患者が希望を持ってがんと闘うことが出来る様になるために、がん治療医と産婦人科医(特に生殖医療に携わる)と適確な医療連携の構築が急務である。

参考文献1) Lee SJ, Schover LR, Partridge AH, et al. American

Society of Clinical Oncology recommendations on fertility preservation in cancer patients. J Clin Oncol, 24: 2917-2931, 2006

2) Woodruff TK: The Oncofertility Consortium: addressing fertility in young people with cancer. Nat Rev Clin Oncol, 7: 466-75, 2010

3) Waimey K, Duncan FE, Su HI et al: Future directions in oncofertility and fertility preservation : A report from the 2011 Oncofertility Consortium Coference. Jof Adlescent and Young Adult Oncology 2: 25-30, 2013

4) IFSP Practice Committee/ Kim S, Donnez J, Barri P, et al. Recommendation for fertility preservation in patients with lymphoma, leukemia, and breast cancer. J Assist Reprod Genet, 29, 465-468, 2012

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Infertility Menopause

ARTにおけるホルモン補充を考える

東口 篤司KKR札幌医療センター斗南病院

生殖内分泌科

ARTにおいて補充されるホルモン製剤の種類

表1にARTにおいて補充されるホルモン製剤の種類を示した。卵胞ホルモンでは体内でEstradiolとして作用するタイプが天然型である。Ethinylestradiolとして作用するタイプは体内でEthinyl基が取れるわけではなく合成型である。Conjugated estrogenも妊馬尿から精製されるので天然型ではあるが、Equilinなどヒトにも作用する馬独特の卵胞ホルモンが含まれる。黄体ホルモンでは体内でProgesteroneとして作用するタイプが 天 然 型 で、そ の 他 は すべ て合 成 型 である。体 内 でHydroxyprogesterone、MedroxyprogesteroneのHydroxy基、Medroxy基がとれるわけではない。各施設で作成される自 家 製Progesterone 腟 剤 は医 薬 品ではなく実 験 用Progesteroneの原末から作成されている。

ARTにおいて補充されるホルモン製剤の世界標準

IVFに関する世界的なアンケート調査のウェブサイトであるIVF-worldwide.comの調査結果とPubmedによる文献検索から推定すると、卵胞ホルモン製剤のグローバルスタンダードは、ほぼ100%が天然型のEstradiolである。ごくまれにプレマリンなどConjugated estrogenの報告がみられる。同様に黄体ホルモン製剤のグローバルスタンダードは、ほぼ100%が天然型のProgesteroneで あ る 。ごくまれ にデュファストン などのDydrogesterone、プロゲデポーなどのHydroxyprogesteroneの報告がみられる。日本以外で避妊用ピルが胚移植周期に用いられることはない。

表1 卵胞ホルモン製剤、黄体ホルモン製剤の特徴卵胞ホルモン 投与経路 体内で作用する時の構造 妊娠中の取り扱い(添付文書)

エステル型Estradiol(プロギノーバなど) 経口 Estradiol 添付文書がない

Micronized estradiol(ジュリナ など) 経口 Estradiol 禁忌

Estradiol patch(エストラーナなど) 経皮 Estradiol 禁忌

Estradiol gel(ル・エストロジェルなど) 経皮 Estradiol 禁忌

エステル型Estradiol(オバホルモンデポーなど) 筋注 Estradiol 禁忌または妊娠中の取扱いの記載なし

Conjugated estrogen(プレマリンなど) 経口 Estrone Equilin など10種類以上 禁忌

Mestranol(デボシンなど) 経口 Ethinylestradiol 妊娠中の取扱いの記載なし

Ethinylestradiol(プラノバールなどの一部) 経口 Ethinylestradiol 妊娠中の取扱いの記載なし

黄体ホルモン 投与経路 体内で作用する時の構造 妊娠中の取り扱い(添付文書)

Progesterone(プロゲホルモンなど) 筋注 Progesterone 禁忌(切迫流早産に適応あり)

Micronized Progesterone(ウトロゲスタンなど) 経腟 Progesterone 添付文書がない

Micronized Progesterone(ウトロゲスタンなど) 経口 Progesterone 添付文書がない

自家製Progesterone 経腟 Progesterone 添付文書がない

Chlormadinone(ルトラールなど) 経口 Chlormadinone 妊娠中の取扱いの記載なし

Dydrogesterone(デュファストンなど) 経口 Dydrogesterone 切迫流産に適応あり

Hydroxyprogesterone(プロゲデポーなど) 筋注 Hydroxyprogesterone 禁忌(切迫流早産に適応あり)

Medroxyprogesterone(プロべラなど) 経口 Medroxyprogesterone 切迫流産に適応あり

Norgestrel(プラノバールなどの一部) 経口 Norgestrel(Levonorgestrel) 禁忌

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ARTにおいて補充されるホルモン製剤の日本の現状

2013年2月日本産科婦人科学会ART登録568施設に対する日本IVF学会のアンケート調査によると212施設(37.3%)から回答があり、卵胞ホルモン製剤として73%がEstradiolを、18%

がプレマリンを使用していた。黄体ホルモン製剤としては41%がProgesteroneを、52%がルトラール、デュファストン、プロベラ、プロゲデポーなどの合成黄体ホルモンを使用していた。避妊用ピルは7%の施設で使用されていた。(図1、2)

図1  国内のARTではどんな卵胞ホルモン製剤が使用されているか? -日本IVF学会のアンケート調査(2013年)の結果より-

図2  国内のARTではどんな黄体ホルモン製剤が使用されているか? -日本IVF学会のアンケート調査(2013年)の結果より-

① エステル型Estradiol経口剤(プロギノーバなど)

② Micronized estradiol(ジュリナなど)

③ Estradiol patch(エストラーナなど)

④ Estradiol gel(ル・エストロジェルなど)

⑤ エステル型Estradiol筋注剤(オバホルモンデポーなど)

⑥ Conjugated estrogen(プレマリンなど)

⑦ Mestranol(デボシンなど)

⑧ Ethinylestradiol(プラノバールなど)

⑨ 回答なし

凍結胚移植(443施設)

①18(4%)

②85(19%)

③178(40%)④28(6%)

⑤17(4%)

⑥84(19%)

⑦2(0.5%)⑧26(6%)

⑨5(1%)①10(5%)

②27(14%)

③73(39%)④7(4%)⑤7(4%)

⑧24(13%)

⑨13(7%)

⑥27(14%)

⑦1(0.5%)

新鮮胚移植(189施設)

凍結胚移植(595施設)

①113(19%)

②37(6%)

③4(0.7%)

④97(16%)

⑤82(14%)

⑥106(18%)

⑦101(17%)

⑧22(4%)⑩4(0.7%)⑨29(5%)

①97(19%)

②25(5%)③4(0.8%)

④80(16%)

⑤57(11%)

⑥99(19%)

⑦95(19%)

⑧16(3%)

⑩8(2%)⑨32(6%)

新鮮胚移植(513施設)

① Progesterone筋注(プロゲホルモンなど)

② Micronized progesterone腟剤(ウトロゲスタンなど)

③ Micronized progesterone経口剤(ウトロゲスタンなど)

④ 自家製Progesterone腟剤

⑤ Chlormadinone acetate(ルトラールなど)

⑥ Dydrogesterone(デュファストンなど)

⑦ Hydroxyprogesterone caproate(プロゲデポーなど)

⑧ Medroxyprogesterone acetate(プロべラなど)

⑨ Norgestrel(プラノバールなど)

⑩ 回答なし

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世界と日本の違いの理由

北米、欧州は、健康な新生児を産むことを目的に1940年 代 か ら 1971年 ま で 数 百 万 人 の 妊 婦 に 投 与 され たDiethylstilbestrol(DES)が出生後の女児に腟ガンを発生させたという悲惨な経験を持っている。強力な卵胞ホルモンで一度引き金を引くと胎児腟上皮では不可逆的な角質化と増殖が惹起されることが腟癌発症のメカニズムといわれている。したがって北米、欧州ではARTにおいて使用する卵胞ホルモンには極めて慎重である。

また卵胞ホルモン、黄体ホルモンによる子宮内膜調整は1984年LutjenらによるEgg donationの報告が最初で、彼らはその論文の中で卵胞ホルモンとしてエステル型Estradiol経口剤を、黄体ホルモンとしてProgesterone腟剤を選択し、できるだけ自然のホルモン動態に似るように処方計画を立てたと述べている。その後の世界の報告はほとんどが彼らの方法に準じている。

つまりホルモン製剤選択の現在のグローバルスタンダードはDES事件の経験に踏まえて、自然の卵胞ホルモン、黄体ホルモンを自然に近い動態で補充するという考え方が基本になっているのではないかと考えられる。また過排卵周期による新鮮胚移植でも補充される卵胞ホルモン、黄体ホルモン製剤は天然型である。

一方国内では使用が容易で天然型であるEstradiol経口薬はARTが始められた初期には市販されておらず、最近でも経口薬は1錠あたりの含有量が少ないMicronized estradiol(ジュリナ)しか入手できない。そのため国内ではプレマリンなどのConjugated estrogenが比較的多いのではないかと思われる。また国内では天然型であるMicronized progesterone腟剤は市販されておらずProgesterone経口薬は副作用が強い。そのため国内では副作用の少ない合成の経口黄体ホルモンが主流になったのではないかと思われる。

ARTにおけるホルモン製剤の多くは添付文書で妊娠中禁

忌あるいは適応外である

表1に示すようにARTにおいて補充される卵胞ホルモン製剤、黄体ホルモン製剤の多くは天然型、合成型にかかわらず添付文書で妊娠中禁忌あるいは適応外使用である。しかし禁忌、適応外の薬なしでARTは成立しない。生殖医療に携わる医師は禁忌、適応外の薬と添付文書の関係をどのように考えているであろうか?「添付文書どおりにやっていたら実際の臨床なんてできない・・最終責任は医師にあるのだから、医師に最終的な薬剤選択の裁量権があるのではないか?」と考えている医師は少なくないのではないだろうか?しかし裁判所はそう考えていない。

昭和49年当時、ペルカミンSの添付文書には注入後10〜15分は2分ごとに血圧を測ることが記載されていたにもかかわらず、同年におこなわれた虫垂切除術において、当時の一般開業医の常識に従って5分ごとに血圧を測っていたために脳に重大な損傷を被ったとして平成8年1月23日最高裁は以下のように判示した。

「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである。」これが添付文書の法的位置づけである。

一方、産科医療保障制度では2013年12月31日の時点で319件の事案の原因調査結果が報告されているが、その中で「切迫早産治療薬のリトドリンが1日に8錠処方されたことは添付文書に記載されている用量を超過しており、基準から逸脱している。」と評価される事案が発生している。この評価は法的なものではないが患者の家族にも報告されるので、担当医師は“基準から逸脱した”医療行為について家族に説明しなければならないこととなる。

現在までARTで補充されるホルモン製剤が禁忌あるいは適応外使用であるという理由で法的あるいは社会的に問題にされたことはないと思われる。しかし最高裁の判示、産科医療保障制度の事案は、禁忌あるいは適応外使用の薬剤を処方するに当たって合理的な手続きがなければ、将来何らかのかたちで問題にされる可能性があることを示している。

どんな条件があれば添付文書で妊娠中禁忌あるいは適応

外の薬剤を処方できるか?

添付文書で禁忌とされている薬剤あるいは適応外の薬剤でも例外なく処方できないというわけではない。

産婦人科診療ガイドライン2011産科編では「添付文書に記載されていない(厚生労働大臣に承認されていない)効能・効果を目的とした、あるいは用法・用量での薬剤の使用、すなわち適用外の使用が本書中で勧められている場合がある。それらは、内外の研究報告からその薬剤のその使用法は有用であり、患者の受ける利益が不利益を相当程度上回るとの判断から、その使用法が記載されている。しかしながら、添付文書に記載されていない使用法により健康被害が起こった場合、本邦の副作用被害救済制度が適用されない等の問題点があり、十分注

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意が必要である。したがって、これらの薬剤の使用にあたってはinformed consentのもとに行う必要がある。」とある。

また他科の診療ガイドラインでも、例えば日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2009では「本邦では多くのCa拮抗薬のDrug Informationに妊娠中は禁忌とされているが、少なくとも重篤な副作用の報告がほとんどないこと、また諸外国では使用がガイドラインでも勧められていることより、今後は必要に応じて十分なインフォームドコンセントを得て使用してもよいと考えられる。」とある。

つまり、禁忌、適応外とされている薬を処方する時に必要なことは、まず第1にその薬剤が有効でかつ安全であることが一般的に認められていることである。ここではその薬剤を支持する多くの文献、報告があるかどうかが大きく影響すると思われる。第2に書面によるインフォームドコンセントが取られているかどうかである。インフォームドコンセントには多くの文献、報告を踏まえて有効性と安全性が詳細に説明されていなければならない。

結論

著者は、ARTにおいて補充すべき薬剤としては天然型のEstradiol、Progesteroneがもっとも上記2つの条件を兼ね備え得る薬剤であると考える。何故なら、世界でARTが始められて以来、約30年間、約500万人といわれる体外受精児に補充され た ホ ル モン 剤 の ほ ぼ 100%は 天 然 型 の Estradiol、Progesteroneであり有効性、安全性は十分に検証されているからである。

現在、国内では十分な含有量をもつEstradiol経口剤やMicronized progesterone腟剤は入手できない。薬剤を海外から購入する場合は倫理委員会の承認が必要であり、価格の問題がある。したがって今後国内では各方面の協力を得て、適切な薬剤が適切に入手できる環境を作り出すことが必要ではないかと思われる。

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Infertility Menopause

男性更年期の現状(テストステロンを中心に) 堀江 重郎

順天堂大学医学系大学院泌尿器外科学

要旨中高年男性には、疲労、うつ、運動器の疼痛、頻尿、勃起障

害など様々の愁訴が出現する。こういった愁訴を女性の閉経に伴う更年期障害と同様に、男性でも男性更年期障害と捉えられるようになった。テストステロン減少による症候はLOH症候群(late onset hypogonadism syndrome)と呼ばれ、男性の生活の質や健康増進を高める上で重要な疾患である。LOH症候群は2型糖尿病に高頻度に見られる。テストステロン補充療法は筋肉量を増やし、また耐糖能を改善する。健康長寿のバイオマーカーであるテストステロンは広く中高年男性が継続的に測定したい。

テストステロンの作用と生活習慣病テストステロンは男性ホルモンと呼ばれている。一次性徴で

ある胎内での外性器形成、および思春期における二次性徴の発現、すなわち性衝動の発来と精子形成にテストステロンは必須である。一方テストステロンとその代謝物の作用は広い。成人においては、テストステロンは筋肉の量と強度を保つのに必要であり、また内臓脂肪を減らし、造血作用を持ち、また性欲を起こす1)。 テストステロンは集中力やリスクを取る判断をすることなどの高次精神機能にも関係する2)。 一方テストステロン値が低いとインスリン感受性が悪く、メタボリック症候群になりやすく3)、また性機能、認知機能、気分障害、内臓脂肪の増加、筋肉量の減少、貧血、骨密度の減少を生じ、男性のQOLを著しく低下させる4)。

テストステロンは精巣のライディッヒ細胞においてコレステロールより産生される。視床下部は性腺刺激ホルモンGnRHを産生し、GnRHは下垂体で黄体ホルモンLH, 卵胞刺激ホルモンFSH産生を刺激する。LHはライディッヒ細胞でテストステロン産生を刺激し、FSHは精巣のセルトリ細胞での精子形成を促進する。テストステロンは体内に普遍的に存在する、アンドロゲン受容体と結合して作用するが、また皮膚、前立腺、陰茎、陰嚢では5α還元酵素によりジヒドロテストステロンに変換され、より強力な作用を生じる。

テストステロンは、血液中では98%はたんぱく質に結合している。その約60%はアルブミンに緩く結合し、40%は性ホルモン結合蛋白(sex hormone binding globulin:SHBG)と強く結びついている。たんぱく質に結合していない2%はフリーテストステロンと呼ばれる。

加齢に伴い精巣でテストステロンを産生するライディッヒ細胞が減少すること、あるいは視床下部でのGnRHの分泌量が減少することにより、テストステロンは低下していく。40歳での2-5%、70歳の30-70%でテストステロン値の低下が見られるとされている5)。テストステロンの低値はメタボリック症候群、心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高め、寿命に関係す

ることが知られている。加齢男性でのテストステロン減少は、抑うつ状態、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDLの低下、コレステロール値とLDLの上昇に寄与し、メタボリック症候群のリスクファクターになる6−9)。

加齢に伴いテストステロン値が低下することによる症候を late onset hypogonadism syndrome(LOH症候群、加齢性腺機能低下症)と呼ぶ。血清テストステロンが300-350ng/dLをLOH症候群のカットオフとすると50代、60代、70代、80代においておおよそ12, 20, 30および50%がLOH症候群に該当する10)。したがってLOH症候群は実は男性に極めて多い疾患である。

LOH症候群は、うつ、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化、HDLの低下、コレステロール値とLDLの上昇に寄与し、メタボリック症候群のリスクファクターになる。また心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高める11−14)。LOH症候群には大うつ病の患者が含まれることが多い。テストステロンが低いと、活力と性機能が損なわれ、QOLに大きな影響を与える15)。

女性においては閉経に伴いエストロゲンが急激に低下していく。この更年期においてはさまざまな愁訴よりなる更年期障害が見られる。このアナロジーから男性においても、更年期障害が保険病名になっている。更年期症状は、身体症状、精神症状、性機能に関する症状に大別される。おもな更年期症状を表1に掲載する。これらの症状のうち、テストステロンの低値に関連するものとして、早朝勃起現象の消失、勃起不全(ED)、性欲低下が指摘されている16)。

精神症状n健康感の減少

n不安

nいらいら

n うつ

n不眠

n集中力の低下

n記憶力の低下

n性欲の減少

身体症状

n筋力低下、筋肉痛

n疲労感

nほてり、発汗

n頭痛、めまい、耳鳴り

n性機能低下

n頻尿

nMorning erectionの消失

表1 男性更年期症状

LOHの診断日本泌尿器科学会、日本Men’s Health医学会が加齢性腺機

能低下症診療の手引き(以下「手引き」)を作成している17)。テストステロン、フリーテストステロンの年齢別の基準値についての報告をもとに、「手引き」は、ホルモン補充(ART)のフローチャートを定めている。血中フリーテストステロン値8pg/mlが

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LOH症候群に対して治療介入を行う基準値である。国際的には血中のテストステロン値が300−320ng/mlを治療介入の基準値としている。日本の治療介入基準との相違については、Caucasianでは血中テストステロンが加齢に伴い、減少していくのに対して日本人ではテストステロン値は変化せずに、フリーテストステロンが加齢に伴い低下していくことを理由としているが今後再検討が必要である18)。 症状の評価としては、Aging Male Symptom(AMS)scoreが国際的には現在汎用されている(表2)19)。AMSは、精神・心理、身体、性機能についての17項目についてのself-assessment型の症状スコアである。17項目についての5段階評価を総計し、合計26以下は正常、27-36は軽度の症状、37-49は中等度の症状、50以上は重症としている。また A M Sは診 断 のみならずA R Tの治 療 効 果を見るsurrogate markerとしてすぐれている20, 21)。一方日本人においては、AMSは身体・精神・性機能症状との関連が因子分析で明確に分離できない問題があり、札幌医大熊本悦明名誉教授が作成した熊本式症状調査票がより適切に日本人の症状評価を行える可能性がある22)。

LOH症候群と糖尿病LOH症候群は糖尿病患者およびメタボリック症候群に高頻

度に見られる23)。また20−40歳代においてテストステロン値が低値であることはメタボリック症候群および2型糖尿病の独立したリスクファクターである24)。肥満と低テストステロンの関係としては、過剰の脂肪細胞が産生するアロマターゼによりテス

トステロンがエストラジオールに変換され、IL-6, TNFaなどの炎症性サイトカインとともに、中枢でのGnRHの分泌を抑えることが考えられる25)。またテストステロンは骨格筋において、グリコーゲン産生、ヘキソキナーゼなどの酵素活性を増加し、糖代謝を亢進する26, 27)。またアンドロゲン受容体のノックアウトマウスは著しい内臓肥満とインスリン抵抗性高インスリン血症を呈する28, 29)。テストステロンの糖代謝、脂質代謝についての基礎的な研究については最近の総説を参照されたい30)。

テストステロン補充療法の方法と効果テストステロン値 が 低 い 場 合 に補 充 療 法(androgen

replacement therapy: ART)が適応となる。ARTの方法としては、経口剤、注射剤、皮膚吸収剤があるが、わが国では注射剤testosterone enanthateのみが保険適応となっている。通常2週間おきに125mg〜250mgを筋注することで臨床効果が得られるが、デポ剤の性質を考えると1-2週ごとに60-125mgを投与していくほうがより生理的に近い。また、ゲル剤は、注射剤よりも生理的であり、欧米ではゲル剤を好む患者が増えている31)。ARTにより、筋肉量、筋力、骨密度、血清脂質プロフィール、インスリン感受性、気分性欲、健康感の改善が認められる。勃起不全については、PDE5阻害薬の作用を増強する32, 33)。ARTにより前立腺癌が生じることは短期的には少ない。ARTの臨床試験のメタアナリシスにおいては、プラセボ群とホルモン補充群で前立腺癌が発見される有害事象の頻度は変わらない34)。ただしテストステロン値が低い患者ではPSAが比較的低値にも関

❶ 総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方)❷ 関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)❸ ひどい発汗(おもいがけず突然汗が出る、緊張や運動とは関係なくほてる)❹ 睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れないなど)❺ よく眠くなる、しばしば疲れを感じる❻ いらいらする(あたり散らす、ささいなことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)❼ 神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かないなど)❽ 不安感(パニック状態になる)❾ からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、余暇活動に興味がないなど)10 筋力の低下11 憂うつな気分(落ち込み、悲しい、涙もろい、意欲がわかないなど)12 「人生の山は通り過ぎた」と感じる13 「力尽きた」、「どん底にいる」と感じる14 ひげの伸びが遅くなった15 性的能力の衰え16 早朝勃起の回数の減少17 性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求が起きない)*各項目を、「ない」1点、「軽い」2点、「中程度」3点、「重い」4点、「きわめて重い」5点 で集計する。*合計点で男性更年期障害の症状の重症度をみる:17~26点「ない」、27~36点「軽度」、 37~49点「中等度」、50点以上「重症」

表2 Aging Males’ Symptoms(AMS)スコア

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わらず悪性度が高い前立腺癌を高頻度に経験する35)。このため「手引き」ではPSAを測定し、2.0ng/ml以上であれば前立腺癌の除外のため、泌尿器科医へ紹介することをすすめている。

LOH症候群では、認知機能、筋力、骨密度、性機能、代謝などADLやQOLに関わる多くの生体機能の低下が生じうる。60歳以上の男性の約20%はLOH症候群の可能性があり、これらの患者はARTにより、ADLの向上や生活習慣病の予防が期待できる可能性がある。65歳以上の地域住民1677名をスクリーニングし、虚弱基準(体重減少、低運動量、筋力低下、疲労感、歩行が遅い、のいずれか)があり、血清テストステロン値< 345ng/dlで前立腺疾患、排尿障害がなく試験に同意した274名を対象にテストステロンゲル(50mg/day)、プラセボの2群に無作為割り付けを行った二重盲検臨床試験では、テストステロン補充療法により、膝関節進展筋力の有意な増加、BMIの増加と脂肪量の減少、高齢虚弱傾向にある男性で、身体機能の改善、QOL指標(身体症状、性機能症状)の改善が6カ月後に見られている36)。

テストステロン補充療法は糖尿病を改善するか?テストステロン治療は2型糖尿病のインスリン感受性を改善

する。2重盲検無作為割り付け試験において、ARTはインスリン感受性、HbA1C値、腹囲、血清レプチン、コレステロール値を有意に改善した37)。最近発表されたTIMES2(Testosterone replacement in men with metabolic syndrome or type 2 diabetes)studyは糖尿病またはメタボリック症候群を伴うLOH症候群患者に対するARTの2重盲検無作為割り付け試験である38)。ART群においてインスリン感受性は6か月の治療で15%改善し、12か月後も効果が持続した。(図1)この効果はメトフォルミンとほぼ同等といってよい。ただしHbA1C値の改善は治療開始後9か月を要している。この結果からLOH症候群を伴う2型糖尿病ではARTは糖尿病治療の効率を高める可能性がある。

テストステロン値とコホート研究300ng/dLをLOH症候群におけるテストステロン値のカット

オフとすると45歳以上の38.7%が該当することが報告されている39)。テストステロン低値は、内頸動脈の内膜肥厚、下肢末梢動脈、大動脈の動脈硬化性疾患に関連することから、テストステロン値は、加齢に伴う生活習慣病の疾患バイオマーカーである可能性がある40−43)。しかし健常者においてテストステロンが低値であること自体が、疾患リスクや寿命に関する独立した危険因子であるかどうかについては、必ずしも意見の一致は見ていない。これまで大規模な横断的、あるいは縦断的コホート研究がなされているが、血液中のテストステロン、あるいはフリーテストステロンが低値であると、心血管疾患、がん、肺疾患の罹患率、死亡率が高いという報告44−46)と否定的な報告がある47−49)。 これらの研究での問題点としては、そもそも何かしら疾患があることにより、テストステロン値が下がっていると、見かけ上テストステロン値と、死亡率、罹患率が関連しているように見えてしまう、いわゆる「逆の因果関係」が生じる問題がある50)。この点については糖尿病51)、慢性閉塞性肺疾患52)、アルコール性肝疾患53)、慢性腎臓病54)、メタボリック症候群55, 56)では、テストステロンは罹患の独立した危険因子ではなく、疾患のマーカーであることが知られている。 The Study of health in Pomerania(SHIP)研究57)は、組み入れ対象基準、解析における年齢、人種、喫煙、体型、アルコール消費量、運動量などの交絡因子の調整がもっとも厳密になされている。テストステロン値250ng/dLをカットオフにしたときに、年齢、腹囲、喫煙、アルコール多飲、運動、腎機能、血清DHEAS値で調整した場合に、すべての原因の死亡リスクが92%、心血管疾患死亡が156%、癌死亡が246%増加することが報告されている。テストステロン低値群は全体の5.0%であったが、喫煙者は少ない一方、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群者が多く、運動を定期的にしているものが少ない特徴がみられた。また20−59歳と60−79歳、テストステロン値が低い

メタボリック症候群Diabetes Care ;34:828-837. 2011

2型糖尿病

Mean (95% CI) percentage change

from baseline in HOMA-IR (%)

25

20

15

10

5

0

-5

-10

-15

-20

-25Baseline

P=0.049

6 monthsPhase 1n=66n=64

P=0.010

12 monthsPhase 2n=66n=64

PlaceboTestosterone

Mean (95% CI) percentage change

from baseline in HOMA-IR (%)

20

15

10

5

0

-5

-10

-15

-20

-25Baseline

P=0.069

6 monthsPhase 1n=82n=80

P=0.054

12 monthsPhase 2n=82n=80Placebo

Testosterone

図1 アンドロゲン補充療法によるHOMA-IRの改善

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群、高い群の組み合わせでは、60−79歳でテストステロンが低い群で死亡リスクが有意に上昇していた。(図2) この結果から、テストステロン値が、250ng/dL以下、かつ60歳以上では死亡リスクが高まることが予想される。テストステロン減少と臓器障害の機序については明らかではないが、テストステロンは活性酸素による酸化ストレスを軽減する作用があることから、テストステロンの低下が血管の健康を障害すると考えられる。われわれの研 究では、テストステロン値と酸化ストレスマーカー 8-OHdGに関連が見られ、テストステロン値が低いと酸化ストレスマーカーが高値であることを報告している58)。

Hazard ratio ( 95% confidence interval )

0 5 10 15 20

20-59 years & higher TT

20-59 years & low TT

60-79 years & higher TT

60-79 years & low TT

図2 血中テストステロン値と年齢の二分相互作用分析

まとめ高齢者のQOLは今世紀の大きな課題であり、それを解く鍵の

ひとつに性ホルモンがあると考えられる。テストステロン値の低下は生活習慣病と関連することから、加齢に伴う性腺機能低下症 late onset hypogonadism: LOHが注目されている。テストステロンを保つことが男性の健康長寿に関連することから、テストステロン値の測定の啓発が必要である。

MCQLOH症候群に対するテストステロン補充療法について正しい

ものを2つ選べ(a)耐糖能を改善する(b)内臓脂肪を減少する(c)HbA1Cを早期に改善する(d)インスリン離脱に有効である(e)前立腺癌のリスクを高める 正解a, b 解説 a,b 正しい c 臨床試験ではHbA1C改善には9か月

以上かかった d エビデンスはない e ホルモン補充療法は前立腺癌リスクを高めない

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56) Zitzmann M, Faber S, Nieschlag E. Association of specific symptoms and metabolic risks with serum testosterone in older men. J Clin Endocrinol Metab 2006; 91:4335–4343.

57) Haring R, Völzke H, Steveling A, Krebs A, Felix SB, Schöfl C, Dörr M, Nauck M, Wallaschofski H. Low serum testosterone levels are associated with increased risk of mortality in a population-based cohort of men aged 20-79. Eur Heart J. 2010 Feb 17. [Epub ahead of print]

58) Yasuda M, Ide H, Furuya K, Yoshii T, Nishio K, Saito K, Isotani S, Kamiyama Y, Muto S, Horie S. Salivary 8-OHdG: a useful biomarker for predicting severe ED and hypogonadism. J Sex Med. 2008 Jun;5(6):1482-91.

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Infertility Menopause

アジア太平洋閉経学会(APMF)を終えて

久保田 俊郎第5回APMF 実行委員長

東京医科歯科大学大学院生殖機能協関学

平成25年10月18日からの3日間、京王プラザホテルにて第5回アジア太平洋閉経学会(APMF)が開催されました。西欧諸国とは文化も人種も異なるアジア太平洋地域から、多数の臨床家や研究者が結集して閉経前後の諸問題を討議することは、大きな意義があると思われます。このAPMFでは、メインテーマをWomen’s Healthcare for successful aging across life stagesとし、女性の一生を通した中高年女性のヘルスケアを中心に考えるという趣旨で展開されました。開会式では、麻生武志APMF会長、水沼英樹5th APMF学術集会長、Amos Pine教授(国際閉経学会;IMS)そして、小西郁生日本産科婦人科学会理事長より、5th APMFの意義や期待などが熱く語られました。

IMSとAPMFとの合同セッション5th APMFの中では、IMSとAPMFとの共催のセッション

“Are Asian perspectives of postmenopausal cancer similar to Western ones?”は、たいへん画期的で魅力的な企画で、元IMS会長のAmos Pines先生(イスラエル)と落合和徳教授(慈恵医大)の座長で開催されました。最初にPines先生がHRTの乳癌リスクへの影響とその最新情報をまとめられ、続いて K. Limpaphayom先生(タイ)が、子宮内膜癌に関して疫学からHRTにおける注意点までを解説されました。次いで、髙松潔教授(東京歯科大)が子宮頸癌の日本とアジアの現状を比較・発表され、最後にオーストラリアのRodney Baber先生(IMS)より、世界およびアジアにおける乳癌の現状と問題点について報告されました。アジア太平洋地域の3人の演者がそれぞれの地域を代表して、閉経後の癌の問題を検証するという内容は、APMFならではの有意義なものでした。

APMF参加国による共同プロジェクトもう一つの特徴的な企画は、アジア各国のAPMF会員に向け

ての生活 習慣と栄 養に関する共同プロジェクト、A PM F collabolative project on life style and nutritionでした。そのパート1は、“Current situation of clinical managements for non-communicable diseases among APMF member physicians”というタイトルで、演者は瀧本秀美先生(国立健康・栄養研究所)、座長は麻生武志先生でした。瀧本先生は、生活習慣病の非薬物的管理の現状についてAPFM会員医師を対象に専用ウェッブサイトによるアンケート調査を実施し、計

10カ国の255名からの回答を解析しました。回答者の多かった中国・インド・日本・韓国・モンゴル・台湾の6カ国の回答結果について検討すると、肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症の非薬物的管理として食生活指導と運動指導を推奨する者が80%以上であること、医師自身で生活習慣病患者に食生活指導を行っている者が50%以上で、医師自身で運動指導を行っている割合も多いことなどが報告されました。パート2は、“Epidemiological studies for women’s health in Asia-Pacific region”というタイトルで、アジア太平洋地域のウィメンズヘルスの2つの大きな疫学的研究が取り上げられ、日本からはJung Su Lee先生(東京大)、オーストラリアからはGita Mishra教授(Queensland大)が講演され、座長は林邦彦教授(群馬大)でした。Lee先生は日本ナースヘルス研究での結果を発表し、この研究の主な目的や調査内容と結果を紹介しました。Mishra教授は、アジア・太平洋地域を含む14の国際的研究による15万以上の女性の個人データを解析し、女性の生殖年齢における健康状態や慢性疾患の罹患状況などについて報告しました。これら2つのパートの興味深い講演の後には、会場の先生がたから様々な質問や意見が出され、会場はたいへんな盛り上がりをみせました。

本学術集会では上述したセッション以外にも、「骨の健康」、「女性と心疾患」、「メタボリック症候群」など16のトピックスを、プレナリーセッション、シンポジウム、招請講演、ランチョン・モーニングセミナーなどに組み入れ、有意義な講演と活発なディスカッションが交わされました。最 終日のClosing Sessionでは、吉村泰典先生からParadigm Shi f t f rom Treatment to Preventionというタイトルの素晴らしい記念すべきclosing lectureがありました。閉会式では、久保田俊郎実行委員長から本学会の事務報告、水沼英樹学術集会会長より最後のご挨拶、そしてChua Yangシンガポール閉経学会会長の次回APMFへ向けての歓迎挨拶で閉会となりました。参加者数は最終的には19か国から550人を超え、成功裏に終えることが出来ました。この国際学会では、アジア太平洋地域の人 と々相互に理解し合いながら様々な研究活動を実践する大切さを知り、一緒に考え討議する場が得られたことを有意義に思うとともに、ご協力頂いた日本女性医学会員並びに関係各位に心より感謝申し上げます。

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Infertility Menopause

ル・エストロジェルの肌への影響

平尾 哲二株式会社資生堂

リサーチセンター

はじめにいつまでも健やかで美しくありたい、多くの女性が願うことで

ある。ところが、年を重ねるにしたがって、シワやシミが増え肌はくすみがちになる。特に更年期を迎えると、顔色は黄味を帯び、肌は薄くなりしなやかさを失う。これらの変化には、女性ホルモンの低下が関わっており、ホルモン補充療法(HRT)が皮膚老化の緩和に有効であることが知られている。今回、われわれはル・エストロジェルを用いたHRTにおいて、皮膚の見え方に重要な役割を担う肌理(きめ)の変化について画像解析による検討を行ったので1)、その興味深い内容についてご紹介したい。

肌理(きめ)皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3層構造で構成

されている。その最外層は角層と呼ばれ、死んだ表皮角化細胞が10-15層ほど積み重なっているが、単なる垢ではなく、皮膚の保湿機能やバリア機能の主役を担っている。このように角層は生物学的に重要であるばかりでなく、皮膚の外観や感触に大きな影響を及ぼし、美容上最も重要な組織である。

角層を最外層とする皮膚の表面には、細かな凹凸がある。溝の部分を皮

溝こう

と呼び、皮溝で囲まれた凸部分を皮ひ

丘きゅう

と呼ぶ (図1)。毛穴は皮溝と皮溝の交点に位置している。この皮溝と皮丘から構成される表面形態を肌

理め

と言い、皮膚の見え方を決める要因となっている。私たちは、光が当たった肌を見て、美しさを判断しているが、光の挙動が重要なポイントである。すなわち、皮膚は半透明体で、皮膚に照射された光の一部は表面で反射されるが、残りは皮膚内部に入り、吸収や散乱を繰り返

して再び皮膚表面から外部に放射される。表皮に存在するメラニンや真皮を走行する毛細血管中のヘモグロビンなどは、皮膚内部に存在する主要な色素だが、皮膚が肌色に見えるのは、皮膚内部におけるこれら色素による吸収のためであり、まさに皮膚が半透明体であることを示している。皮膚表面および内部での反射などの複雑な光が総和として皮膚の見え方を決めており、皮膚表面形態である肌理も影響する。肌理が細かいほど、ふわっとした透明感のある肌に見える。反対に、肌理が粗くなると、透明感のないくすんだ肌やてかりの多い肌に見えてしまう。また、肌理は皮膚のしなやかさなどの物性にも関与していると考えられている。

肌理は、さまざまな要因で乱れるが、例えば、炎症状態になれば表皮増殖が盛んになりすぎて、肌理が粗く不均一になる。一方で、加齢に伴い表皮増殖が低下しても、肌理は粗くなっていく。また、皮膚性状には部位による違いがあるが、肌理にも部位差がある。太陽光(特に紫外線)照射の影響は顕著で、太陽光を照射されることがほとんどない体幹や上腕内側などでは肌理は細かいが、それに比較すると、太陽光に晒される機会の多い顔面では肌理は粗い。肌理の形成メカニズムについては不明な点が多いが、角層水分量とよく相関することも知られている。実際に、毎日のスキンケアをきちんと行うことにより、角層水分量が上昇するとともに、肌理の細かさも改善していく。まさに、肌理は美しい肌のバロメータとも言える。

臨床試験概要更年期障害又は卵巣欠落症状を有する患者に、ル・エストロ

ジェル0.06%(以下、ル・エストロジェル)1.8g(2プッシュ、estradiolとして1.08mg)を1日1回8週間投与した。続いて、本剤8週間投与後にHot flushの著明改善が認められた患者を対象として、低用量維持療法として、本剤0.9g(1プッシュ、estradiolとして0.54mg)またはプラセボ製剤を1日1回16週間投与した。投与は1日1回、一定量のジェルを両腕に出来るだけ広く塗擦することにより行った。本臨床試験は、ル・エストロジェル低用量維持療法試験2)3)に伴って行われた。

塗布対象部位である前腕内側と、非塗布部位である頬において、ビデオマイクロスコープ(SkinVisiom Ⅱ, Shiseido)により肌理を観察した。取得した画像を元に、画像解析によって単位面積あたりの皮丘の個数(個数/cm2)を算出し、肌理の細かさの指標とした4)。図2には、本法による画像解析例を示す。

皮丘皮溝

毛穴

図1 皮膚表面の肌理(模式図)

※ ル・エストロジェル0.06%の適応症は「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)」です。

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ル・エストロジェルによる肌理改善本剤2プッシュ投与期間における肌理の変化について、図3に

示した。塗布部位である前腕においては、塗布開始後4週間、8週間と塗布期間に応じて皮丘個数が増加し、すなわち肌理が細かくなっていった。また、塗布部位ではない頬においても、塗布期間に応じて肌理は細かくなり、8週間後には統計的に有意な変化としてとらえることができた。頬における肌理改善の典型例を図4に示す。頬においても肌理が細かくなったことは、本剤の局所的な作用だけでなく、全身を介した作用による影響であることを示唆している。

本剤1プッシュ投与期間(低用量維持療法期間)における肌理の変化について、図5に示した。プラセボ塗布群、本剤塗布群ともに、肌理は徐々に細かさを失い粗くなる傾向を示した。塗布部位である前腕においては、1プッシュ後の投与期間に応じて肌理の細かさは徐々に低下したが、特にプラセボ塗布群においてより一層低下する傾向であった。一方、塗布部位ではない頬においては、プラセボ塗布群の肌理の細かさは有意に低下したが、本剤1プッシュ塗布群の肌理の細かさの低下は限定的でありほぼ維持されることがわかった。

おわりに本研究では、ル・エストロジェルを用いたHRTにより、塗布

部位のみならず非塗布部位である頬の肌理が改善したこと、低用量維持療法期間においても、その改善効果がほぼ維持されたことを示した。

HRTの皮膚への影響を検討した先行研究では、角層水分量の上昇や目尻のしわの改善などが報告されている5-7)。本研究の結果はこれらの先行研究と矛盾するものではないが、特に頬の肌理改善が低用量維持療法期間でも維持されたことは、患者の受容性の観点から意義が大きいと考える。

参考文献1) Masuda Y, Hirao T, Mizunuma H. Improvement of skin

surface texture by topical estradiol treatment in climacteric women. J Dermatolog Treat. 24(4):312–317, 2013.

2) Mizunuma H. Cl inical usefulness of a low-dose maintenance therapy with transdermal estradiol gel in Japanese women with estrogen deficiency symptoms: Results of a multicenter, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study. Climacteric 14(5):581-589, 2011.

3) 佐藤征嗣 ル・エストロジェル0.06%の開発について 

650

700

750

800

850

前腕内側

350

400

450

500

550

**

***

n.s.*

皮丘数(個数/

cm2 )

皮丘数(個数/

cm2 )

0 4 8

試験開始からの経過期間(週)

0 4 8

試験開始からの経過期間(週)

平均±SEM (N=177) 連用開始時との比較について有意差を表示した。n.s., not significant, *p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001 (paired t-test)

図3 ル・エストロジェル(2プッシュ)連用による肌理改善

650

700

750

800

850

350

400

450

500

550

n.s.

******

***

*

** *

***

n.s. n.s.

***

n.s. n.s.

n.s. n.s.

前腕内側 頬

8

皮丘

数(個

数/

cm2 )

皮丘

数(個

数/

cm2 )

12 16

試験開始からの経過期間(週)

20 24 8 12 16

試験開始からの経過期間(週)

20 24

●;ル・エストロジェル(N=79) 、○;プラセボ(N=67)、平均±SEM低用量への切り替え時(8週)との比較について有意差を表示した。n.s., not significant, *p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001 (paired t-test)

図5 ル・エストロジェル低用量(1プッシュ)連用期間における肌理の変化

図4 ル・エストロジェル(2プッシュ)連用による肌理改善例(頬)

皮膚表面形態画像

画像解析結果

連用前 4週後 8週後

皮丘数(個数/cm2) 448 524 604

ビデオマイクロスコープにて取得した皮膚表面形態

画像解析結果

細かな肌理 通常の肌理 粗い肌理

皮丘数(個数/cm2) 1640.6 546.9 273.4

下段は個々の皮丘を色分け表示したもの。個々の色に意味はない。

図2 肌理の画像解析例

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FUJI Infertility & Menopause News vol.15: 9-11, 2012.4) 荒川尚美、大西浩之、舛田勇二、ビデオマイクロスコープを

用いた皮膚の表面形態解析法の開発とキメ・毛穴の実態調査 日本化粧品技術者会誌 41(3):173-180, 2007.

5) Schmidt JB, Binder M, Demschik G, Bieglmayer C, Reiner A. Treatment of sk in aging with topica l estrogens. Int J Dermatol. 35(9):669-674, 1996.

6) Piérard-Franchimont C, Cornil F, Dehavay J, Deleixhe-

Mauhin F, Letot B, Piérard GE. Climacteric skin ageing of the face--a prospective longitudinal comparative trial on the effect of oral hormone replacement therapy. Maturitas. 32(2):87-93, 1999.

7) Sator PG, Schmidt JB, Sator MO, Huber JC, Hönigsmann H. The influence of hormone replacement therapy on skin ageing: a pilot study. Maturitas. 39(1):43-55, 2001.

Congress Schedule(2014年4月〜 9月)

月 日 学会名 開催地 会場

4月

3―5日 第12回世界抗加齢医学会議(AMWC2014) モナコ モンテカルロ

4―6日 第5回アジア太平洋生殖医学会議(ASPIRE2014) オーストラリア ブリスベーン

18―20日 第66回日本産科婦人科学会学術講演会 東京都 東京国際フォーラム

30―3日 第12回世界エンドメトリオーシス会議 ブラジル サンパウロ

5月

1―4日 第14回世界更年期学会議 メキシコ カンクーン

17―18日 第55回日本卵子学会 兵庫県 神戸国際会議場

25日 ナースのためのART医学セミナー 2014年 東京都 六本木アカデミーヒルズ

28―31日 第13回欧州避妊・生殖の健康学会議(ESC2014) ポルトガル リスボン

30日 第13回日本不妊カウンセリング学会総会・学術集会 東京都 ニッショーホール

6月

6―8日 第14回日本抗加齢医学会 大阪府 大阪国際会議場

12―13日 第33回日本アンドロロジー学会学術大会第20回精子形成・精巣毒性研究会 長野県 軽井沢プリンスホテルウエスト

29―2日 第30回欧州ヒト生殖医学会(ESHRE) ドイツ ミュンヘン

7月

12―13日 第16回日本女性骨盤底医学会 青森県 ベストウェスタンホテルニューシティ弘前

17―19日 第56回日本婦人科腫瘍学会学術講演会 栃木県 栃木県総合文化センター

27日 第13回生殖バイオロジー東京シンポジウム 東京都 都市センターホテル

31―1日 第32回日本受精着床学会総会・学術講演会 東京都 ハイアットリージェンシー東京

8月 9―10日 第43回日本女性心身医学会学術集会 京都府 京都ホテルオークラ・京都府立医科大学広小路キャンパス

30―31日 第33回日本思春期学会総会・学術集会 茨城県 つくば国際会議場

9月

5―6日 JSAWI第15回シンポジウム 兵庫県 淡路夢舞台国際会議場

11―13日 第54回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会 鹿児島県 城山観光ホテル

13―14日 第17回日本IVF学会 大阪府 大阪国際会議場