「オガーレ · career education column vol.1 キャリア教育アワード...

O-ga-le ! オガーレ! 人材育成情報誌 vol. 1 創刊号 2012.5 学ぶ つながる 育てる 人材育成への想い・取り組み❶ 宮城の産業人材育成について 宮城県 経済商工観光部産業人材対策課 「人づくり」最前線 vol.1 トヨタ東日本 来年度「学園」設立 理科特別授業紹介 応用地質株式会社 東北支社 Special Issue キャリア教育フォーラム 基調講演 日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授 菊池 武剋 パネルディスカッション 仙台市立荒町小学校 校長 堀越 清治 新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官 栗田 貫 ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 針生 英一 アンケート結果から

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O - g a - l e!

オガーレ!人材育成情報誌

v o l . 1創 刊 号

2 0 1 2 . 5

人材育成情報誌

発行:宮城県/ハリウ

コミュニケーションズ株式会社

オガーレ!

vo

l.

1

創刊号

学ぶ つながる 育てる

人材育成への想い・取り組み❶宮城の産業人材育成について宮城県 経済商工観光部産業人材対策課

「人づくり」最前線 vol.1トヨタ東日本 来年度「学園」設立

情報提供お待ちしております!「オガーレ!」では、読者の皆様からの情報提供をお待ちしております。未来を担う子どもたちの人材育成に取り組んでいる学校や、企業、地域の方々を紹介してください。私たち「オガーレ!」編集部が誌面を通じてエールを送ります。

オガーレ!第 2 号は6 月 18 日

発行予定です。

ただいま

取材中!!首都圏で高校生のキャリア教育に取り組むNPO法人

「カタリバ」は、女川町教育委員会や地元の塾講師

などと手を組み昨年7月、女川町内にコラボ・スクール

「女川向学館」を立ち上げた。

2年目となる本年度は、仮設住宅などで暮らす町内の

約200人の児童、生徒が登録。

多くの子どもたちが通う「公」の塾だ。

代表理事の今村久美さんは言う。

「自分で努力する、そして、乗り越える楽しみを子ども

たちに伝えたい」

カタリバの取り組みと、そこにかかわる人々の想いを

次号でお伝えします。

理科特別授業紹介

応用地質株式会社 東北支社

S p e c i a l I s s u e

人材育成情報誌「オガーレ!」創刊

オガーレ命名に込めたもの

キャリア教育フォーラム基調講演日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授 菊池 武剋 氏

パネルディスカッション仙台市立荒町小学校 校長 堀越 清治 氏新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官 栗田 貫 氏ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 針生 英一 氏 アンケート結果から

「オガーレ!」編集部 ハリウ コミュニケーションズ株式会社内〒984-0011 仙台市若林区六丁の目西町2-12TEL. 022-288-5011(代) FAX. 022-288-7600E-mail. [email protected]

お問い合わせ

この印刷物は、輸送マイレージ低減によるCO2削減や地産地消に着目し、国産米ぬか油を使用した新しい環境配慮型インキ「ライスインキ」で印刷し、印刷用の紙へリサイクルできます。

P-Z10064この印刷製品は、環境に配慮した資材と工場で製造されています。

本冊子は10,000部作成し1部あたりの印刷単価は50.4円です。

O - g a - l e!

オガーレ!創刊にあたって

 未来を担う子どもたちが、夢や希望を抱きながら育ち、生きがいをもって地

域で活躍してほしい―。そんな願いから、人材育成情報誌「オガーレ!」は

誕生しました。

 これからのみやぎの産業振興、東日本大震災からの復興を考えるとき、子ど

もたちの存在は欠かせません。

 震災の時、各地の避難所などで、多くの人たちの支えとなり、希望となった

子どもたち。そんな子どもたちが、きょうこの瞬間に悩み、そして考え、抱く

希望が、将来の地域社会を支える原動力となり、復興に立ち向かう大きな力に

なると、私たちは信じています。

 これからの社会を担う子どもたちが、たくましく育ち、自らの力で、生きる

方向性を導き出すためには、「学校」という枠組みにとどまらず、多くの地域

の方々の「力」が必要です。

 私たちは、地域の方々が手をたずさえ、子どもたちを育てる取り組みを応援

するとともに、手を取るために役に立つ情報を発信して行きます。

O - g a - l e!

オガーレ!人材育成情報誌

v o l . 1創 刊 号

2 0 1 2 . 5

2

12

14

15

16

18

オガーレ!とは 「オガーレ!」は、宮城の方言「おがる(育つ)」と応援のかけ声「オーレ」の造語です。 未来の産業人である子どもたちを「おがらせよう」と取り組む学校や、企業、地域の人 を々応援したい―。そんな気持ちを込めて名づけました。

・・・・・・

C O N T E N T S

学ぶ つながる 育てる

人材育成への想い・取り組み❶宮城の産業人材育成について宮城県 経済商工観光部産業人材対策課

「人づくり」最前線 vol.1トヨタ東日本 来年度「学園」設立TOPICS住友商事が学生らに奨励金「出前授業」の拡充求める声トップ「関西キャリア教育支援協議会」設立

Career Education Column vol.1キャリア教育アワード大賞トロフィにこめられた想い

S p e c i a l I s s u e

キャリア教育フォーラム基調講演日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授 菊池 武剋 氏

パネルディスカッション仙台市立荒町小学校 校長 堀越 清治 氏新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官 栗田 貫 氏ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 針生 英一 氏 アンケート結果から

理科特別授業紹介応用地質株式会社 東北支社

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O - g a - l e!

オガーレ!創刊にあたって

 未来を担う子どもたちが、夢や希望を抱きながら育ち、生きがいをもって地

域で活躍してほしい―。そんな願いから、人材育成情報誌「オガーレ!」は

誕生しました。

 これからのみやぎの産業振興、東日本大震災からの復興を考えるとき、子ど

もたちの存在は欠かせません。

 震災の時、各地の避難所などで、多くの人たちの支えとなり、希望となった

子どもたち。そんな子どもたちが、きょうこの瞬間に悩み、そして考え、抱く

希望が、将来の地域社会を支える原動力となり、復興に立ち向かう大きな力に

なると、私たちは信じています。

 これからの社会を担う子どもたちが、たくましく育ち、自らの力で、生きる

方向性を導き出すためには、「学校」という枠組みにとどまらず、多くの地域

の方々の「力」が必要です。

 私たちは、地域の方々が手をたずさえ、子どもたちを育てる取り組みを応援

するとともに、手を取るために役に立つ情報を発信して行きます。

O - g a - l e!

オガーレ!人材育成情報誌

v o l . 1創 刊 号

2 0 1 2 . 5

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オガーレ!とは 「オガーレ!」は、宮城の方言「おがる(育つ)」と応援のかけ声「オーレ」の造語です。 未来の産業人である子どもたちを「おがらせよう」と取り組む学校や、企業、地域の人 を々応援したい―。そんな気持ちを込めて名づけました。

・・・・・・

C O N T E N T S

学ぶ つながる 育てる

人材育成への想い・取り組み❶宮城の産業人材育成について宮城県 経済商工観光部産業人材対策課

「人づくり」最前線 vol.1トヨタ東日本 来年度「学園」設立TOPICS住友商事が学生らに奨励金「出前授業」の拡充求める声トップ「関西キャリア教育支援協議会」設立

Career Education Column vol.1キャリア教育アワード大賞トロフィにこめられた想い

S p e c i a l I s s u e

キャリア教育フォーラム基調講演日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授 菊池 武剋 氏

パネルディスカッション仙台市立荒町小学校 校長 堀越 清治 氏新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官 栗田 貫 氏ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 針生 英一 氏 アンケート結果から

理科特別授業紹介応用地質株式会社 東北支社

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O - g a - l e!

キャリア教育フォーラム開催 2012年3月28日(水)/宮城県庁未来の産業人を育てるために―。宮城県経済商工観光部産業人材対策課とハリウ コミュニケーションズ(仙台市若林区)は3月28日、宮城県庁で「キャリア教育フォーラム」を開いた。日本キャリア教育学会の会長で東北大名誉教授の菊池武剋氏が「『キャリア教育』のキャリア」と題し基調講演。仙台市立荒町小校長の堀越清治氏ら3人がパネルディスカッションに臨み、学校や地域で取り組む活動を紹介するとともに、「将来の人材育成を継続的に行える社会の体系づくり」について意見を交わした。

S p e c i a l I s s u e

未来の産業人を育てよう!

主催:宮城県、ハリウ コミュニケーションズ株式会社後援:宮城県教育委員会、仙台市教育委員会

参加費

無料定員

80名(先着順)

※当社から参加受付のご連絡は致しません。定員人数が超えた場合や内容に変更があった場合のみご連絡いたします。

問い合わせ ハリウ コミュニケーションズ株式会社 TEL 022-288-5011

お申込み方法等は裏面をご覧ください。

タイムスケジュール主催あいさつ基調講演

パネルディスカッション

14:30 開会

      「キャリア教育」のキャリア:        キャリア教育はどこから来て、どこへ行くのか

 菊池 武剋 氏(日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授)

テーマ 将来の人材育成を継続的に行える社会の体系づくりパネリスト 堀越 清治 氏 (仙台市立荒町小学校 校長) 栗田  貫 氏 (新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官) 針生 英一 (ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)コーディネーター 菊池 武剋 氏 (日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授)17:00 閉会

平成23年度 未来産業人育成応援業務2012年3月28日14:30~17:00 開場14:00

日 時

会 場

宮城県庁 1F みやぎ広報室仙台市青葉区本町3丁目8番1号仙台市地下鉄南北線「勾当台公園駅」下車徒歩3分

キャリア教育フォーラム

 「キャリア」というのは、いろいろ

な意味があります。もともとの語源

は車の「わだち」といわれています。

その語源からしてもキャリア教育に

ついては、どこから来て、どこに向

かっていくかを考えることが必要だ

と思います。

 キャリア教育という概念は昔から

あったわけではありません。そう呼

ばれる前に、いろいろな形でそれが

行われてきました。

 そもそもは、F・パーソンズが

1908年にボストンで青少年に対

する職業相談を始めたのが最初とい

われています。同じようなことは、

日本でも東京市(現東京都)の児童

相談所で17年、大阪市の児童相談所

でも19年に行われるようになりまし

た。そこでは、出向いてきた人に対

して、相談活動ができますが、そう

ではない人にはできませんでした。

すべての青少年に行っていく必要が

あると徐々に認識されるようになり、

学校で職業相談が行われるようにな

りました。

 58年には中学から高校に進学する

生徒が増えてきたことから、「進路

指導」に変更しました。受験競争が

激化し、偏差値をもとにした「進路

振り分け」が行われるようになりま

した。さまざまなところで批判され、

何とかしようと業者テストを中学校

の現場から追放するなどしましたが、

全体としては進路についてまったく

「本来の定義」とはほど遠い状況が続

きました。そういう中で、キャリア

教育が提唱されるようになりました。

 「キャリア教育」という言葉が「公」

として初めて登場したのは99年の中

央教育審議会の「初等中等教育と高

等教育との接続の改善について」と

いう答申でした。テーマは、高校と

大学の「接続」。しかし、接続は高校

と大学の間だけではなく、小学校か

ら中学校、高校と学校間の問題だろ

うという話になってきました。さら

には、学校と職業との接続という問

題が出てきました。

 キャリア教育は2004年に「キャ

リア教育の推進に関する総合的調査

研究協力者会議」の報告書のまとめ

をきっかけに、いろいろなところで

進められるようになりました。

 08年の教育振興基本計画では、小

学校段階からキャリア教育を推進す

ること、特に中学校を中心にした職

場体験活動や、普通科高等学校でキャ

リア教育を推進することが示されて、

国の教育の基本に入りました。10年

には、大学設置基準等の改正で、大

学にもキャリア教育が取り入れられ

ることになりました。

 あらためてキャリア教育について

基調講演:「キャリア教育」のキャリア:キャリア教育はどこから来て、どこへ行くのか

「キャリア教育の社会化」重要学校と社会の共通理解を進め、社会の「本物」、「実態」を伝え、

「なぜ学ぶのか」を教えることが大切。

日本キャリア教育学会 会長/東北大学名誉教授

菊き く ち

池 武た け か つ

剋 氏

 東北大学文学部卒、東北大教育学部教授、同大学院教育学研究科教授、同研究科長、学部長を経て2009年に退職。専門は発達心理学、キャリア教育。2008年より日本キャリア教育学会会長を務める(現在2期目)。 文部科学省の中央教育審議会等に委員として加わるなど、「キャリア教育」という言葉が生まれる以前から、多角的かつ多岐にわたるキャリア教育に関する研究発表で学会内外から注目を集め、現在も年間数十にわたるフォーラムやシンポジウムでの講演を精力的にこなす。近年は、「ストレスケア」などその活躍のフィールドがさらに広がっている。 主な著書・編著に『キャリア教育概説』東洋館出版社、『生徒指導・教育相談・進路指導』田研出版。

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O - g a - l e!

キャリア教育フォーラム開催 2012年3月28日(水)/宮城県庁未来の産業人を育てるために―。宮城県経済商工観光部産業人材対策課とハリウ コミュニケーションズ(仙台市若林区)は3月28日、宮城県庁で「キャリア教育フォーラム」を開いた。日本キャリア教育学会の会長で東北大名誉教授の菊池武剋氏が「『キャリア教育』のキャリア」と題し基調講演。仙台市立荒町小校長の堀越清治氏ら3人がパネルディスカッションに臨み、学校や地域で取り組む活動を紹介するとともに、「将来の人材育成を継続的に行える社会の体系づくり」について意見を交わした。

S p e c i a l I s s u e

未来の産業人を育てよう!

主催:宮城県、ハリウ コミュニケーションズ株式会社後援:宮城県教育委員会、仙台市教育委員会

参加費

無料定員

80名(先着順)

※当社から参加受付のご連絡は致しません。定員人数が超えた場合や内容に変更があった場合のみご連絡いたします。

問い合わせ ハリウ コミュニケーションズ株式会社 TEL 022-288-5011

お申込み方法等は裏面をご覧ください。

タイムスケジュール主催あいさつ基調講演

パネルディスカッション

14:30 開会

      「キャリア教育」のキャリア:        キャリア教育はどこから来て、どこへ行くのか

 菊池 武剋 氏(日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授)

テーマ 将来の人材育成を継続的に行える社会の体系づくりパネリスト 堀越 清治 氏 (仙台市立荒町小学校 校長) 栗田  貫 氏 (新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官) 針生 英一 (ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役)コーディネーター 菊池 武剋 氏 (日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授)17:00 閉会

平成23年度 未来産業人育成応援業務2012年3月28日14:30~17:00 開場14:00

日 時

会 場

宮城県庁 1F みやぎ広報室仙台市青葉区本町3丁目8番1号仙台市地下鉄南北線「勾当台公園駅」下車徒歩3分

キャリア教育フォーラム

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O - g a - l e!

地域が育てる力の結集。「学

校支援地域本部」の展開へ

 「仙台自分づくり教育を推進するこ

とで、様々なことが明らかになって

きた」と堀越氏は話す。

 職場体験活動を終えた中学生を対

象とした調査で、「これからもっと身

に付けたいと思った力は?」と聞い

たところ、2年連続で「教科の学力」

がトップに。また、職場体験活動を

経験した生徒を対象とした追跡調査

(18歳時)では、いま働くことを考え

るうえで「大いに役立っている」と

半数以上の生徒が答えたという。

 調査によって、明らかになった

キャリア教育の効果について堀越氏

は、「職場体験で子どもを変えたの

は、地域の大人の姿、本気さ。学校

だけでは指導に限界があるという証

でもあった。逆に、地域や企業の方々

の地域力の証明でもあった」とみる。

そこで感じた地域の持つ力を、今度

は実際に教育現場に出ていき、学校

へと結集させるという仕事に携わる

ことになる。

 堀越氏は昨年度、仙台市立荒町小学

校の校長に就任すると同時に、同小へ

の※学校支援地域本部立ち上げに着手。

学校と地域とを結びつけるコーディ

ネーターの育成を現在、進めており

「コーディネーターの選任、育成が学

校と地域の連携で、重要なポイント」

(堀越氏)としている。

「地域と

学校パートナーシップ事業」

—栗田氏

 新潟市立新潟小学校では「学・社・

民の融合による人づくり、地域づく

り、学校づくり」を目指し、08年度

に「地域と学校パートナーシップ事

業」をスタートさせた。事業では、

学校と地域それぞれから選ばれた

「コーディネーター」が調整役を担い、

地域のニーズを把握しながら事業を

展開。教育環境の向上を図る。

 そのうち栗田氏は「学校広報官」

として事業の企画の立案や調整とと

もに、学校外に情報を発信する役割

も担っており、メールマガジンなど

の媒体を使い、学校の情報を保護者

や地域に情報を周知しているほか、

マスコミに対しても伝えることで、

県内外に広く情報を発信している。

 地域から選ばれた「地域教育コー

ディネーター」は、新潟小では、元

保護者でPTA役員経験者を選んで

おり、「保護者とのパイプも強く、顔

も広く知られている。そこでたくさ

んのボランティアが集まってくる」

※【学校支援地域本部】06年に改正された教育基本法の「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」を具現化したもの。学校・家庭・地域が一体となって地域ぐるみで子どもを育てる体制を整えることが目的。10年度には1005市町村・法人(大学)で2540の本部が設置された。

仙台市立荒町小学校 校長

堀ほ り こ し

越 清せ い じ

治 氏

 仙台市出身。1976年4月歌津町立名足小学校を振り出しに宮城県内の小学校、特別支援学校、行政など歴任。2007年4月からは仙台市教育局教育指導課に勤務。主幹を経て09年度から教育指導課長に昇格。その間、仙台版キャリア教育である「仙台自分づくり教育」の推進に携わる。11年4月から現職である仙台市立荒町小学校校長として勤務。「自分づくり教育」を支える基盤となる「地域とともに歩む学校」の実現に向け、その中心的な役割を担う「学校支援地域本部」の立ち上げに向け奔走中。

仙台市の学校支援地域本部事業の概要

仙台市民(地域住民)

学校支援ボランティア

地域コーディネーター【退職教職員、PTA経験者など

学校と地域の現状をよく理解している人】

地域連携担当校内のコーディネート

運営協議会市教委

学びの連携推進室

生涯学習課

各区中央

市民センター

地域教育協議会

【学習支援活動】 【部活動指導】 【環境整備】【登下校安全確保】 【学校行事の開催等】

【資格を生かしていただける方】(免許取得者)【様々な仕事・経験を生かしていただける方】【趣味や特技を生かしていただける方】

学校支援活動に参加する意欲のある仙台市民が協力

調 整

調 整

学校支援

スーパーバイザー

コーディネーターを育成し、市教委との連絡にあたる

仙台版

仙台市立の学校

7

O - g a - l e!

集中して取り上げたのは08年の中教

審「キャリア教育・職業教育特別部会」

です。これによって、キャリア教育

の形を明確にしてきたといえます。

 11年に出された答申の中では、キャ

リアということについて「他者や社

会とのかかわりの中で、職業人、家

庭人、地域社会の一員など、さまざ

まな役割を担いながら生きている」

と定義。「一人ひとりの社会的・職業

的自立に向け、必要な基盤となる能

力や態度を育てることを通して、キャ

リア発達をうながす教育」が『キャ

リア教育』と述べていています。キャ

リア教育は(学校の教科として)特

定の内容を教えるのではなく、学校

教育全体を構成していくための基本

となる考え方でもあると思います。

進路指導は、進路選択が中心で、中・

高等学校で行われてきましたが、キャ

リア教育は社会的、職業的な自立を

めざし、小学校から大学、社会との

接続、つまり地域、産業などとの連

携を求めるものです。

 キャリア教育を推進していくため

には、「キャリア教育の社会化」が重

要です。学校と社会が協働して、す

べての児童、生徒を対象に充実した

キャリア教育をしていくことが求め

られます。その前提として、学校と

社会の共通の理解が重要です。社会

の「本物」に触れさせたり、世間の

実態や厳しさを伝え、「なぜ学ぶのか」

を教えることが大切です。

 誰が本気になってキャリア教育に

取り組んでいくのか、学校と地域社

会、産業界が連携していくために、

何が必要かなどについてみなさんと、

考えていきたいと思っています。

仙台版キャリア教育「仙台

自分づくり教育」の推進

堀越氏

 堀越氏は2007年度から4年間、

仙台市教育委員会の教育指導課に勤務

し「キャリア教育」の推進にあたった。

 堀越氏によると、当時の同市内の

学校現場は「キャリア教育」に前向

きではなく、時間や労力をかけて実

施することにも懐疑的な声が聞かれ

たという。

 しかし、当時の宮城県内の高卒者

の就職内定率が低かったことなどか

ら、「官民一体で(キャリア教育推進

に)協力して取り組まなければいけ

ない社会的な背景があった」と堀越

氏らは分析。キャリア教育を進めた。

 仙台市教委では「キャリア」とい

う概念を理解しやすくするために「生

き方」という言葉に捉え直すととも

に、仙台版のキャリア教育を「仙台

自分づくり教育」と命名。中学校の

職場体験活動にとどまらず、「起業教

育」の視点を取り入れ、学校の教育

現場全体でキャリア教育を広めるこ

とを目指した。

 同時に「家庭と地域社会」の連携

についても重要視。児童、生徒が地

域に「かかわる力」を育成すること

に特に力をいれている。

パネルディスカッション:将来の人材育成を継続的に行える社会の体系づくり

学校、地域、企業が取り組むキャリア教育

継続的な社会体系

方向性を探る

「学校外部の教育資源と連携・協働したキャリア教育」を実践していくために学校、地域、企業はどう取り組んでいくべきか—

それぞれのフィールドでキャリア教育に取り組んできた3人のパネリストの活動紹介から「将来の人材育成を継続的に行える社

会の体系づくり」への方向性が浮かび上がった。

6

O - g a - l e!

キャリア教育への理解と情

報発信     

 —

堀越氏

 「仙台市教委では2016年度まで

に、市内すべての小中学校に学校支

援地域本部を置くことを目標に掲げ

た。(同市若林区)荒町(地区)では、

支援本部がなかったため、コーディ

ネーターをお願いする方に、市教委

の研修会に参加していただき、豊か

な教育環境をつくるためにどういう

ことをしていけばよいのかを学んで

いただいた」

 「中学校の職場体験は、震災で困難

と思われていた中でも実践できた。

それは、地域、企業が子どもたちを

育てるために協力したいという想い

の表れでもある」

 「キャリア教育に取り組み、将来の

自分を考えることが、学力向上と相

関があるということが、調査結果か

らわかった。そうした結果を先生方、

保護者に発信し、キャリア教育への

理解を図ることができるよう取り組

みたい」

地域教育コーディネーター

の存在

 —

栗田氏

 「地域教育コーディネーターは学校

にとって大きな存在だ。担任の先生

方はなかなか忙しい中で、コーディ

ネーターは突破口になれる。どうい

う方がコーディネーターになるのか

ということも大事だ」

 「新潟小の場合はとても明るくて元

気で積極的な女性の保護者。最初は、

学校に入ってきて、非常に緊張して

何をしたらよいのかわからないこと

もあったが、年数を重ねていくと、

どんどん地域に入っていく姿も見ら

れる。最初はあわてずに、多くの事

を要求せずに、少しずつ育てていく

ということが大事だと思っている」

 「コーディネーターと担当教諭の連

携も非常に重要だ。コーディネーター

は力をつけていくと、地域の方なの

で学校と一緒にずっと残って、連携

は続く。地域のパイプはどんどん太

くなる。しかし、地域連携担当者(学

校側)が必要というのは、学校のこ

とを一番理解しており、どの学習で

どのように連携していくことが良い

のかがわかるからだ。そこである程

度リーダーシップをとっていかない

と、先生方の負担も増えていく」

 「人材という意味ではキーマンが大

事だ。最初は一般的な学校支援ボラ

ンティアという形でも、続けていく

と、『この事業にはこういうお母さん

たちが来る』といった傾向が見える。

それをしばらく続けると、『まとめ役』

が出てくる。そして『まとめ役』が

何でもやってくれるようになり、コー

ディネーターはそのまとめ役とだけ

交渉するだけでよくなってくる」

 「新潟小の場合は、ありがたいこと

にそのシステムができあがりつつあ

る。そのキーマンとお母さんたちに、

企画の段階から参加してもらうと、

終わった時に充実感をもってもらえ

る。そうするとまた続けてくれる」

縦割りの中に横のネット

ワークづくり

 —

針生氏

 「キャリア教育の実践にはいろいろ

な場面で『協働』することが求めら

れる。組織というのはおよそ縦割り

なので、その中にどう横糸の機能を

作っていくのかが非常に大事になる。

中でも特にネットワークづくりが大

切。今回の理科の授業でもいえるが、

教育委員会だけが関わればよいので

はなくて、県の場合は、経済商工観

光部に深く関わっていただいている

というのがとても大きい。『経済』『教

育』の連携の形をどうつくっていく

のかが課題だ」

 「キャリア教育の発信の仕方も重要

だ。どうしても成果が上手に伝えら

れない。発信する対象によってやり

方を変えていかなければいけない。

ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役

針は り う

生 英え い い ち

一 氏

 仙台市出身。針生印刷株式会社の3代目として 30 歳で社長に就任。ITをいちはやく事業として取り込み、印刷業の業態革新を推進する。1996 年には異業種8社とともに「協同組合みやぎマルチメディア・マジック」を設立、地域情報化の推進母体として注目を集める。最近では、企業と地域との関わりを重視、子どもたちの自立心を高めるキャリア教育の推進など新しい教育の仕組みづくり、人づくりを通じた地域活性化、まちづくりをテーマに幅広く活動中。2002 年1月に社名を「ハリウ コミュニケーションズ株式会社」に変更。 主な役職等:仙台印刷工業団地協同組合理事長、協同組合みやぎマルチメディア・マジック代表理事、仙台市不登校支援ネットワーク代表(仙台市教育委員会)など多数。

9

O - g a - l e!

(栗田氏)という。

 栗田氏によると、新潟市では

2014年度までに市内の171小

中学校すべてに地域教育コーディ

ネーターを配置する予定で、昨年度

時点で、市内の約7割の学校に配置

されているという。

 新潟小の「地域教育コーディネー

ター」は、学校を拠点に学校広報官

と連携しながら、「地域の顔」として、

さまざまな事業の企画、調整役を担う。

 学校、地域の2人のコーディネー

ターが連携して活動するメリットに

ついて栗田氏は、「商店街の活性化や、

児童に活動を発表する団体にとって

刺激になっており、学校側だけでな

く、協力する側にとってもメリット

がある」と話す。

キャリア教育へのアプローチ

と変遷

 —

針生氏

 ハリウコミュニケーションズは、企

業の立場でキャリア教育の推進に積極

的に携わってきた。中小企業の使命と

して「地域密着」「社会貢献」をどの

ようにして果たしていくか—

。印刷

会社という業態の特性を考えていく中

で、たどりついたひとつが「キャリア

教育だった」(針生氏)という。

 また、針生氏は数々の市民活動に

積極的に参加しており、その活動を

通じて、「地元に根差して、頑張って

くれる人材をどのくらい育てられる

かが、宮城、東北では重要」(針生氏)

と考えるようになり、企業、行政、

学校・大学が手を組み人材を育てる

「仕組み」を実現させるため、教育分

野に進出することを決めたという。

 新たな転機が訪れたのは、04年度

に実施した3カ月にわたるインターン

シップ。これまでの取り組みも含め活

動が広く認められるようになったこと

もあり、経済産業省が05年度から進め

た「キャリア教育」を実践するための

地域コーディネーターとなった。

 学校と地域との橋渡し役を担いな

がら、キャリア教育のプログラムを

開発し、小中学校、大学で実践。07

年度からは、地元の企業の技術者ら

を講師として小学校に派遣し、学習

指導要領に沿った「理科特別授業」

を展開するようになった。

 それらの活動で、針生氏は「企業

の方々が生の声をダイレクトに伝え

ていくことによって、子どもたちの

心にとても響く授業が実現できてい

る」と、企業のリソース(資源)が

教育の現場に生かされるという想い

を強くしたという。

 コーディネーターの菊池武剋氏か

ら、『学校外部の教育資源と連携/

協働したキャリア教育』を実現して

いくために、①誰がキャリア教育を

実践していくのか②学校と地域・社

会や産業界が連携・協働していくた

めに何が必要か③地域・社会や産業

界がキャリア教育に取り組むために

何が必要か④全国規模でキャリア教

育を後押しするには何が必要かとい

う—

という質問が投げかけられ、

パネリストがそれぞれの立場で、意

見を述べた。

新潟市立新潟小学校 教諭/学校広報官

栗く り た

田 貫か ん

 新潟市立新潟小学校教諭で、同小学校では「学校広報官」の肩書で活動中。学級担任ではない広報官という立場で、「地域広報官」の地域教育コーディネーターとともに地域連携事業の企画や調整を行う。同校で展開するキャリア教育では、商店街のトップなどとの交渉。また、学校の立場で、市中央公民館や民間企業、団体との連携、学校の授業での企画立案を行う。 同小への赴任前は、市教委の「地域と学校ふれあい推進課」指導主事。「地域と学校パートナーシップ事業」の企画立案を行った。 新潟市教育委員会の「地域と学校パートナーシップ事業」は2007年度に開始。新潟小は08年度から取り組み、地域教育コーディネーター(事業の運営・ボランティア対応)を中心に、学社民融合の教育を推進している。

8

O - g a - l e!

●具体を聞いたのが初めてだったので、キャリア教育がなぜできたのかよく分かりました。●「キャリア」というのが職業・勤労観だけでなく広くとらえなければいけないことがわかりました。

❷「パネルディスカッション」について 内容が参考になったと思いますか?

具体的にどの点がそう思われましたか?

●学校、コーディネーター、企業のパネリストでバランスのとれた意見が聞けました。●産業人との係わりを学校側も求めているので、コーディネーターの必要性、重要性も感じました。●学校と地域・企業が「win-win」の関係を構築していくことが長く継続させるうえで重要だという話が印象に残りました。●地域と密着して子供たち自身に体験させて学校だけでは学べないものをこれからもたくさん実施することが大切だと思いました。●キャリア教育の実践を知り、これからの姿を知ることができました。●民間の視点は教育にとっても貴重だと思いました。とても分かりやすく新しい見方をもつことができました。

❸フォーラム全体についての意見、感想、要望、質問等をご自由にお書きください。

●これから取り組むべき方向性が見えてきました。●学校現場の事例は参考になりましたが、今回は特に受け入れてくれる企業側の考えが聞けたことがよかったです。●もっと多くの方に聞いてほしい内容でした。●連携するためには「ねらい」「継続」が必要とわかりました。●「キャリア教育」を実施する多くの関係者に

❶「基調講演」について内容が参考になったと思いますか?

具体的にどの点がそう思われましたか?

●経済成長が鈍化した成熟社会において、社会全体が「働き、自立すること」に対して共通理解していくことが必要だと感じました。●若者のフリーター、ニートの増加は、本人にとっても、国にとっても大変不幸なことであるため、社会の中の一員としての位置づけや役割を伝えていく担当者として非常に参考になりました。●キャリア教育が時代の要求に応じ徐々にその姿を変えていることが分かりました。進路指導、職業指導との関連等よく整理され分かりやすかったです。

●「キャリア教育の歴史」及び「今後の方向性」について、話を聞くチャンスが今までなかったのでためになりました。●「キャリア教育」の歴史、経緯、定義など再認識できる良い機会でした。●職業選択、進路選択の支援だけでなく、“接続”という部分も重視する点が参考になりました。

理解を深めていただくため今後も継続して開催してほしいです。●新潟市は「保護者」の係わりが多いように感じましたが、仙台市は「保護者」の係わりが少なく感じ、まきこもうという意識が弱いのかもしれないと感じました。

❹いま、学校現場にどのような「キャリア教育」が求められているとお考えですか。

●小さい時から仕事が何でもあり選択できるということを知らせることが大切と思っています。●学校と職業(社会)との接点を意識した体系づくりが必要だと感じました。●様々な世代の大人とふれ合うことでかかわる楽しさや目標としたい人に出会うきっかけを作ることが大切と思いました。●学習や生活面における基礎基本を身に付け、自分の良さに気付いて自信を持って前進していける子供を育てたい。●自己を肯定しながら他者へ配慮の言葉が発せられる人材育成。●多様な形のプログラムがあることを教職員に認識していただきたい。

❺実際に「キャリア教育」を行なう際に、必要と感じるものはどのようなものですか?

●官民・地域が一体となってやっていかなければならないと感じています。●共通理解と相互理解、連携が必要。コーディネートしてくれる人や組織、予算。●学校支援地域本部の活用。企業と地域との密接な連携。●学校の立場から、小・中・高各段階においてどんなプログラムをつくれば良いか、そしてそれぞれの連続性、系統性をどうつけていくかが求められていると思います。●キャリア教育の正しい捉え方をわかりやすい情報で発信してほしい。●心豊かな考え方(相手を認めながら自己のあり方をみつめる)が大切と思います。●教員の養成や理解(キャリア教育の必要性や学校を開くという意識)●社会(大人)とふれあう機会をたくさん設け、自分自身が大人になった時どんな道を歩みたいかイメージを膨らませる時間づくり。

思う75.0%

思う79.2%

少し思う12.5%

少し思う16.7%

あまり思わない 8.3%

無回答 8.3%

アンケート結果

フォーラムアンケート集計結果

基調講演参考になった75%。参加者

「学校、職業の接点意識した体系づく

り必要」と認識

 ハリウ

コミュニケーションズは、宮城県庁で3月28日

に開いた「キャリア教育フォーラム」で、参加者を対象に

アンケートを実施し、その結果をまとめた。それによると、

東北大名誉教授で日本キャリア教育学会会長の菊池武剋

氏の基調講演について「参考になった」と回答した参加者

は75%で、「職業選択、進路選択の支援だけではなく、『接

続』という部分も重視する点が参考になった」などの意

見が出された。

 基調講演の感想をたずねた設問では、キャリア教育に

ついて「職業・勤労観だけではなく広くとらえていかなけ

ればいけないことが分かった」「社会全体が『働き、自立

すること』に対して共通理解をしていくことが必要と感

じた」といった回答が目立ったほか、パネルディスカッショ

ンについては、回答者の79・2%が「参考になったと思う」

と回答。「地域と密着して子どもたち自身に体験させて学

校だけでは学べないものをこれからも実施することが大

切だと思った」「民間の視点は教育にとっても貴重だと思っ

た」などの意見が出された。

 また、同様のイベントがあれば、参加したいかをたずね

た質問では、62・5%が「思う」と回答。今後、実施し

てほしいフォーラム、シンポジウムのテーマとして「現産

業人が『未来の産業人』の具体像を述べるというのも面

白いのではないかと思った」「学校支援地域本部とコーディ

ネーターの話を聞いてみたい」といった意見があがった。

 いま、学校現場にどのような「キャリア教育」が求め

られているかを聞いた質問では、「学校と職業(社会)と

の接点を意識した体系づくりが必要」「多様な形のプログ

ラムがあることを教職員に認識してほしい」とった回答が

あった。

 アンケートはフォーラム参加者を対象に実施。選択、一

部記述式で「基調講演の内容が参考になったか」など7

項目について質問し、24人から回答を得た。有効回答率

は41・37%。

11

O - g a - l e!

学校に対して、企業に発信するよう

な中身を発信しても伝わりにくい。

逆もそうだ。どういう対象に向けて、

情報を発信すれば、どのような反応

をするのか、ということをかなり

緻ちみつ密にやっていかなければと思って

いる。編集力が非常に求められる」

会場からの質疑応答

Q「地域社会、産業界がキャリア教

育に取り組むようになるには何が必

要かというところで、学校としては、

もっと産業界に関わって頂きたいと

いう想いがある。そのために、我々

学校の立場でどのような発信をして

いくと、産業界の方にとってメリッ

トを感じて頂けるのか」

針生氏「企業が教育に関わることに

よって、どんな成果が出たのか、子

どもたちがどういう風に成長したの

かということを、企業にわかりやす

く伝えることが大事である。企業に

とっても、どうやれば自分の会社で

人材が成長していってくれて、自分

の会社に貢献してくれるのかを常に

考えている。企業も教育に関わるこ

とによって、そういうことも多少な

りとも学べると思う。そういう部分

で還元していく。支援する方もする

だけでなく、お互いに『w

in-win

の関

係』を学校と企業がつくっていくこ

とができれば、継続的な関わり、と

いうことで企業も考えてくれるだろ

うし、お互いにメリットがつくれる

と思われる」

Q「学校広報官のみなさんの横のつ

ながり、情報共有の仕組みはあるの

か。ブログ、メールマガジンを地域

やNPO、企業に発信しているとい

うことで、レスポンス、実践につな

がったもの、手ごたえは」

栗田氏「企業側には、子どもたちの反

応がほしいと言われるので、子どもた

ちの感想を送って見て頂いている」

 「新潟市では、地域教育コーディ

ネーターの研修会を結構多く開催し

ている。専門家から講演を聞いたり、

横の情報交換をしたりしている。ま

た、地域ごとの狭い範囲でコーディ

ネーターが集まって情報交換をする

機会がある。学校の連携担当者だけ

が集まって何かをするというのはな

いが、行政が企画する年に3、4回の

研修会には学校担当者も呼ばれる。

コーディネートしていくポイントを

勉強したり、学校担当者がどうある

べきかなどの話を聞く、小さいグルー

プディスカッションをしたり、学校

サイドの意見を聞いたりする交流も

ある」

コーディネーターの存在が鍵

菊池氏による総括

 (学校の教育現場の)外部と連携、

協働したキャリア教育の進め方につ

いて考えていく中で、外部資源を円

滑に確保すること、そして外部の教

育資源と教育現場を結ぶ「連携の窓

口」のようなものの必要性が浮かび

上がってきました。

 一方で、地域や民間企業など、外

部教育資源との間で、目的やねらい

を共有する重要性も明らかになって

きました。そうした場や機会が、連

携を継続させる意味でとても重要に

なってくることもわかりました。

 それらの課題を解決するには、コー

ディネーターの存在が必要で、その

コーディネーターがどんな働きをす

るのかが大きな鍵を握るのではない

かと思います。

 3人のパネリストに本日、お話し

いただいた取り組みや課題を(みな

さんと)今後も考えていくことで、

将来、人材育成を継続的に行うこと

ができる社会の体系づくりが、見え

てくるのではないかと思います。 

10

O - g a - l e!

人最前線vol.1

づくり

 学園には、「製造設備課」を開設。

10年以上の現場経験を持つ指導員の

もと、生徒は1年間にわたって、工

場や学園での技能実習などで専門的

な技能や知識を身に付けるほか、栗

原市内で伝統的工芸品「若柳地織」

をつくる「千葉孝機業場」などの現

場を訪れ、東北のものづくりのルー

ツについても学ぶ。

 また、「地域連携」では学園の施設

を一般開放し、小、中学生向けの工

作教室を開催。地元企業の社員を学

園に受け入れたり、短期技能講座を

開催するなどして、地域のものづく

り人材の育成支援にも取り組んでい

く方針という。

 学園の入学金・学費は無料で、生

徒には「生徒手当」を支給する。

 学園はトヨタ系で12番目となる企

業内訓練校で、技能職の中核人材育

成がねらい。トヨタ系の学園生の人

数は約1250人(2011年8月)

を数える。

 トヨタは「被災した東北から(コ

ンパクトカーを)全世界に出し、復

興の象徴にする」(豊田章男社長)方

針を打ち出しており、東北を中部、

九州に次ぐ国内第3の生産拠点に位

置付けている。

トヨタ自動車東日本 東北に生産拠点を持つトヨタ自動車グループ3社が統合し、ことし7月に設立する。3社は岩手県金ヶ崎町に岩手工場を持ち、小型車を生産する車両メーカー「関東自動車工業(神奈川県横須賀市=関自工)、車両の足回り部品やブレーキシステム部品などを製造する大和町の「トヨタ自動車東北」と、大衡村で小型車を生産する車両メーカーの「セントラル自動車」。関自工が存続会社となり、セントラルに本社を置く方針。ことし1月には、関自工が、東北の地元企業からの部品、部材の調達拡大に向け、統合会社に先行した形でセントラル内に「東北現調化センター」を設置している。

Information

「トヨタ東日本学園」イメージ図。講義・実習を行う学園棟に加え、

新車展示等を行うPR棟も併設する。

13

O - g a - l e!

人最前線vol.1

づくり

 トヨタ自動車はこのほど、2013

年4月に開校予定の企業内訓練校「ト

ヨタ東日本学園」の概要を発表した。

主に東北地方の工業高校の新卒者を

対象に、ことし7月に一期生の募集

を開始する予定で、地元企業の社員

を学園生として受け入れたり、短期

の技能講座を開催したりすることも

検討している。「モノづくりは人づく

り」の考えのもと、東北発の「コン

パクト車づくり世界No・1」をねら

うとともに、「東北のモノづくり人材

育成」への貢献もめざす。

 トヨタは今年7月に関東自動車工

業、セントラル自動車、トヨタ自動

車東北の子会社の3社を統合し「ト

ヨタ自動車東日本」を設立する。そ

のうち現在の宮城県大衡村にあるセ

ントラル自動車宮城工場の敷地内に

学園を開校。照明人感センサー、周

辺緑化など、省エネルギー策を導入

し、エネルギー負荷の少ない施設を

建設する方向で準備を進めている。

トヨタ東日本

来年度 「学園」設立

「東北のモノづくり人材育成」への貢献めざす

12

 住友商事は本年度、地元の大学生や専門学校生を対象に、NPO法人「せんだい・みやぎNPOセンター」(仙台市)などでインターンシップ(就業体験)事業を実施する。来年度以降は、受け入れ先を岩手、福島両県にも拡大。事業は5年間、継続する予定で、同社は「ユースが主体的・継続的に関わることで、多くのことを学び、経験し、地域のさらなる発展の担い手として育つことも期待します」としている。 事業は、東日本大震災の被災地支援の一環。NPO法人「市民社会創造ファンド」(東京都)と連携して行う「東日本再生ユースチャレンジ・プログラム」の一つ。地元を中心とした10代後半から20代の大学、専門学校生ら十数人を受け入れる予定になっている。インターンシップでは、学生らには1時間あたりの活動に対して800円を奨励金として支払い、最大で300日間、

仙台、名取両市内で被災地支援などに取り組む7団体で活動してもらう内容だ。 初年度に受け入れるのは、せんだい・みやぎNPOセンターのほか、NPO法人「ハーベスト」、一般社団法人「ぶれいん・ゆに~くす」など仙台市内6団体と、名取市の国際交流協会ともだちin名取。 プログラムでは、対象世代がグループで取り組む地域再生を支援する「活動・研究助成」があり、インターンシップ事業と合わせた事業費は、5年間で5億円を見込んでいるという。 せんだい・みやぎNPOセンターの小川真美事務局次長は「私たちにとって、初めての取り組みになりますが、学生らと一緒に、充実したプログラムを作っていきたい」と話している。

 経済広報センター(東京)はこのほど、全国の社会広聴会員を対象に実施した「教育に関する意識調査」の調査結果をまとめた。産業界が教育に関して今後、拡充すべきこととして「企業から学校へ出張する『出前授業』」がトップになった。「出前授業」を望んでいるのは全体の 64%で、「教員の民間企業研修の受け入れ」(56%)や「インターンシップの受け入れ」(55%)にも高い期待を寄せていることが浮き彫りになった。 また、東日本大震災を受け、地震に備える観点から、今後

どのような防災教育が必要かをたずねたところ、「地域と連携した防災訓練」が 74%と最も多く、次いで「豪雨・豪雪・津波などによる自然災害を含めた防災教育」(73%)、「緊急時に対応する教員への防災教育」(62%)を求める声が多かった。 調査は 2012 年 2 月上旬、全国のさまざまな職業、年代の人で構成された「社会広聴会員」3141人を対象に、インターネットによる回答選択、自由記述の両方式で実施した。有効回答率は64.6%。

キャリア教育アワード▶大賞のトロフィ

キャリア教育アワード

大賞トロフィにこめられた想い

被災地で就業体験後押し

住友商事が学生らに奨励金

経済広報センター調査結果

「出前授業」の拡充求める声トップ

大阪の経済・労働6団体が「キャリア教育」を支援

「関西キャリア教育支援協議会」設立 子どもの職業観や働く意欲を育てようと関西生産性本部(大阪市)はこのほど、「関西キャリア教育支援協議会」を設立したと発表した。協議会は、同生産性本部をはじめ、関西経済連合会、関西経済同友会など大阪府内の経済、労働6団体で構成。大阪府、大阪市両教育委員会と連携し、依頼を受けた小・中・高等学校の教育現場に社会人講師を派遣するなどして、「キャリア教育」を支援する。 協議会は3月に行われた記者発表で、次世代の「人財育成」を大阪府内の産業界、労働界が一体となって取り組んでいく姿勢をアピール。「情熱教室」と銘打ち、小・中・高等学校からの依頼に応じて、教育現場へ社会人講師を派遣したり、職場体験、工場見学の受け入れ施設を紹介したりするなどの活動を展開していくことを説明した。 協議会によると、当面の活動は大阪府内だが、今後3年間の成果を踏まえて、関西のほかの府県に拡大することも視野に入れているという。

ColumnCareer Education

Vol.1

内藤 惠子(ないとう けいこ)岩手県大船渡市出身。泉(現仙台)市立根白石小学校を振り出しに、仙台市内の小学校で教諭、教頭、仙台市教育局教育相談課適応指導センター主任指導主事、主幹兼所長、校長を歴任する。最後の勤務校となった仙台市立七北田小学校では、文部科学省研究開発学校の指定を受け、社会総ぐるみで子どもたちを育む「地域共生科」を創設、同時に立ち上げた「学校支援地域本部」とともに取り組む。仙台市教育振興基本計画策定にも携わる。「地域共生科」の実践は2011年度キャリア教育実践優良校として文部科学大臣賞を受賞した。現在、ハリウ コミュニケーションズ(株) 学・社教育支援部長、宮城教育大学非常勤講師、政策研究大学院大学教育政策プログラム研究協力者。

▲3月に行われた記者発表会

ト ピ ッ ク ス

 「あのトロフィをよく見たい」という問い合わせがあるというのが、キャリア教育アワード大賞のトロフィである。 キャリア教育アワードは、企業や経済団体による教育支援の取組を奨励・普及するために2010 年度に創設された表彰制度で、2回目となった11年度は、全国68の企業及び団体から合計78 件の応募があったという。優秀賞7組のうち、「普及型キャリア教育部門」「地域密着型キャリア教育部門」「地域ネットワーク型キャリア教育部門」の3部門の最優秀賞が1組ずつ選出され、その中から1組のみが大賞を受賞したことから、大賞は大変な重みをもっていることがわかる。 11年度の大賞は「地域ネットワーク型キャリア教育部門」の福井商工会議所青年部の「おしごと探検隊 “アントレ・キッズ ”」が受賞した。 05年度からスタートしたこの事業は、7年を経て、200の企業と4000人が参加する規模に拡大。学校・PTA・商店街や商工会を巻き込み、青年部の単独事業から共催事業へ、さらには、参加団体の自主的・継続的な運営へと発展し、地域の活性化に貢献している。企業側には人材育成というメリットが、参加する親子にはキャリア教育としての効果に加え、親子のコミュニケーションの活発化というメリットが生まれており、『中・小の企業』でも、『地方の小さな市町村』でも、『家庭の中』でもできるキャリア教育であるという自称「魔法のマニュアル」があることが、高く評価されたとのことであった。 去る1月26日に有楽町朝日ホールで開催された「キャリア教育シンポジウム」に参加する機会を得た。前任校仙台市立七北田小学校のキャリア教育実践優良校(文部科学大臣表彰)受賞により、アワード大賞の授賞式にも立ち会ったが、日本のあちこちで、地方の企業人が熱い思いで子どもたちの将来と地域の未来を考え、行動していることが伝わってくる、そして元気の出る授賞式とシンポジウムであった。 さて、前述の大賞トロフィである。なんと「二宮金次郎」をモチーフにしているのだそうだ。そのコンセプトは、

 薪を背負って働きながら、書物を開いて学び、足を一歩踏み出しているその姿はキャリア教育そのもの。また、二宮尊徳は、報徳思想(私利私欲に走るのではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元されるという考え方)を唱えた人でもあります。まさに、二宮尊徳こそが、キャリア教育のシンボルであると考え、トロフィのモチーフとさせました。

 NPO 法人北海道職人義塾大学校の職人さんたちの粋を結集して作成されたものです。 ~一般社団法人 キャリア教育コーディネーター

ネットワーク協議会ホームページから~ 

 キャリア教育がねらう子どもの姿~学ぶ目的をもって自ら学ぶ姿、そしてキャリア教育を支える企業や経済団体の姿勢にも通じるコンセプトと受け止めた。福井商工会議所青年部の大賞受賞は、キャリア教育が決して新しいことに向かうだけではなく、大きな企業や都会でしかできないものでもないことを示唆している。 震災を経験し、地方のよさ、ものづくりの価値、家族を基本にした地域のつながりのありがたさなどが見直されている。私たちが捨ててきてしまった血縁や地縁の煩

わずら

わしさに隠れた本質的な価値や、朴

ぼくとつ

訥で不器用と言われる東北人の、強きょうじん

靭な人間性や心の温かさに裏打ちされた協調性が見直されている。 キャリア教育の目的は、一人ひとりが自分らしさを発揮しつつ、社会の中で共生していくことができる社会性をもった人としての「生きる力」を育むことにあるということをもう一度確認し、共通理解したいと考える。 ちなみに、七北田小学校の校庭には2代目となる二宮金次郎の石像があり(1代目の銅像は大戦中に金属供出された)、運動会の紅白対抗の勝敗を握るとか、「金次郎の背負っている薪は何本?」「金次郎の前に出ている足は右? 左?」などと学校クイズの常連になるアイドルぶりである。 かつては、日本中の小学校の校庭に建ち、子どもたちの学びを見守ってきた二宮金次郎像。今も残っている学校は全国でどの位あるのだろう。アワードを機会にもう一度、表舞台に出てこないかな―などと、スマートにデフォルメされた金次郎トロフィを見ながら思ったのだった。

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 住友商事は本年度、地元の大学生や専門学校生を対象に、NPO法人「せんだい・みやぎNPOセンター」(仙台市)などでインターンシップ(就業体験)事業を実施する。来年度以降は、受け入れ先を岩手、福島両県にも拡大。事業は5年間、継続する予定で、同社は「ユースが主体的・継続的に関わることで、多くのことを学び、経験し、地域のさらなる発展の担い手として育つことも期待します」としている。 事業は、東日本大震災の被災地支援の一環。NPO法人「市民社会創造ファンド」(東京都)と連携して行う「東日本再生ユースチャレンジ・プログラム」の一つ。地元を中心とした10代後半から20代の大学、専門学校生ら十数人を受け入れる予定になっている。インターンシップでは、学生らには1時間あたりの活動に対して800円を奨励金として支払い、最大で300日間、

仙台、名取両市内で被災地支援などに取り組む7団体で活動してもらう内容だ。 初年度に受け入れるのは、せんだい・みやぎNPOセンターのほか、NPO法人「ハーベスト」、一般社団法人「ぶれいん・ゆに~くす」など仙台市内6団体と、名取市の国際交流協会ともだちin名取。 プログラムでは、対象世代がグループで取り組む地域再生を支援する「活動・研究助成」があり、インターンシップ事業と合わせた事業費は、5年間で5億円を見込んでいるという。 せんだい・みやぎNPOセンターの小川真美事務局次長は「私たちにとって、初めての取り組みになりますが、学生らと一緒に、充実したプログラムを作っていきたい」と話している。

 経済広報センター(東京)はこのほど、全国の社会広聴会員を対象に実施した「教育に関する意識調査」の調査結果をまとめた。産業界が教育に関して今後、拡充すべきこととして「企業から学校へ出張する『出前授業』」がトップになった。「出前授業」を望んでいるのは全体の 64%で、「教員の民間企業研修の受け入れ」(56%)や「インターンシップの受け入れ」(55%)にも高い期待を寄せていることが浮き彫りになった。 また、東日本大震災を受け、地震に備える観点から、今後

どのような防災教育が必要かをたずねたところ、「地域と連携した防災訓練」が 74%と最も多く、次いで「豪雨・豪雪・津波などによる自然災害を含めた防災教育」(73%)、「緊急時に対応する教員への防災教育」(62%)を求める声が多かった。 調査は 2012 年 2 月上旬、全国のさまざまな職業、年代の人で構成された「社会広聴会員」3141人を対象に、インターネットによる回答選択、自由記述の両方式で実施した。有効回答率は64.6%。

キャリア教育アワード▶大賞のトロフィ

キャリア教育アワード

大賞トロフィにこめられた想い

被災地で就業体験後押し

住友商事が学生らに奨励金

経済広報センター調査結果

「出前授業」の拡充求める声トップ

大阪の経済・労働6団体が「キャリア教育」を支援

「関西キャリア教育支援協議会」設立 子どもの職業観や働く意欲を育てようと関西生産性本部(大阪市)はこのほど、「関西キャリア教育支援協議会」を設立したと発表した。協議会は、同生産性本部をはじめ、関西経済連合会、関西経済同友会など大阪府内の経済、労働6団体で構成。大阪府、大阪市両教育委員会と連携し、依頼を受けた小・中・高等学校の教育現場に社会人講師を派遣するなどして、「キャリア教育」を支援する。 協議会は3月に行われた記者発表で、次世代の「人財育成」を大阪府内の産業界、労働界が一体となって取り組んでいく姿勢をアピール。「情熱教室」と銘打ち、小・中・高等学校からの依頼に応じて、教育現場へ社会人講師を派遣したり、職場体験、工場見学の受け入れ施設を紹介したりするなどの活動を展開していくことを説明した。 協議会によると、当面の活動は大阪府内だが、今後3年間の成果を踏まえて、関西のほかの府県に拡大することも視野に入れているという。

ColumnCareer Education

Vol.1

内藤 惠子(ないとう けいこ)岩手県大船渡市出身。泉(現仙台)市立根白石小学校を振り出しに、仙台市内の小学校で教諭、教頭、仙台市教育局教育相談課適応指導センター主任指導主事、主幹兼所長、校長を歴任する。最後の勤務校となった仙台市立七北田小学校では、文部科学省研究開発学校の指定を受け、社会総ぐるみで子どもたちを育む「地域共生科」を創設、同時に立ち上げた「学校支援地域本部」とともに取り組む。仙台市教育振興基本計画策定にも携わる。「地域共生科」の実践は2011年度キャリア教育実践優良校として文部科学大臣賞を受賞した。現在、ハリウ コミュニケーションズ(株) 学・社教育支援部長、宮城教育大学非常勤講師、政策研究大学院大学教育政策プログラム研究協力者。

▲3月に行われた記者発表会

ト ピ ッ ク ス

14

O - g a - l e!

 小学校で理科の授業にかかわるよ

うになったのは9年前のこと。当時、

「宮城県沖地震に備える」という本を

出版し、同支社のすぐそばにある仙

台市宮城野区の東宮城野小に届けた

のがきっかけだった。

 当時の校長から「講師として教壇に

立ってみませんか」と持ちかけられ快

諾。間もなく会社の事業をベースに、

総合的な学習の時間に「環境」(5年生

対象)や「防災」(6年生対象)の授業を

始め、今や東宮城野小にとってなくて

はならない「定番の授業」となった。

 2008年度には、『理科特別授

業』の社会人講師に登録。県内各地

の小学校に活動の場を広げ、5年生

対象の『土を調べよう〜土は貯水庫

〜』や『大地のつくりと生活のつなが

り』の授業を受け持つようになった。

しっかりと伝えることの重要性

 多くの会社が、仕事で手一杯な中

で、このように長年、会社として小学

校理科の授業の講師を務め続けてい

るのは、なぜか

。「防災」の授業

を受け持つ同支社ジオテクニカルセン

ターの上級専門職、長田正樹は語る。

 「授業で習うようなことをそのま

ま、続けていくと、こういう仕事を

する人になるという実例を見せたい。

(児童に教えるのに)こんなことが

あったという『事象』のら列なら、

ネットでもいい。資料や写

真ひとつ使うにも、自分

が何を伝えたいのか、しっ

かりとしたメッセージを

持つよう心掛けている」

 長田は休日を使って、地

震のメカニズム研究で有名

な東北大学災害制御研究セ

ンターの今村文彦教授の市

民講座などに出向き、地震

に関する専門知識に磨きを

かけ、授業プランの練り直しと、説明

や見せ方を工夫した。

 同じく「理科特別授業」を受け持つ

上司でジオテクニカルセンターのセ

ンター長、平出亜はバードウオッチ

ングや山歩きなどの趣味を突き詰め、

自然観察に関する資格を取得した。

さらに、各地のセミナーに参加する

などして、頭の中の知識を整理しな

がら、自社の事業と授業を結びつけ、

プログラムを作り込んでいった。

 授業では、限られた時間であって

も、実体験を通じて「感じ取ってもら

う過程」を重視する。そして、「結論」

に導く。児童自らが、感じ取り、読

み取るプロセスが、「知る楽しさ、発

見する面白さにつながる」という想い

がそこにはあるからだ。

授業を行う側が学ぶ側に

 2人は社会人講師として、会社が

勢の児童の視線を引き付けることが

できる。子どもでも、大人でも、プ

レゼンに関する基本は一緒。授業で

は、こちらも多くのことを学ぶこと

ができる」

 一方で、講師を継続的にやってい

たため、人材の育成が大きな課題に

なっている。「やらされ感でやっても

長続きするものではなく、この事業

は、意義を自分で理解しないとおそ

らく続かない。やってみて面白いな

と自分で感じるものがあれば、苦で

もないのですが」と平出は話す。

伝えたいものは

 「土を調べよう」も「大地のつくりと

生活のつながり」も、身近な自然環境

を素材に授業が組み立てられている。

そこには、〝身近なもの〞が、〝身近で

学校の授業にかかわることに、メリッ

トも感じている。

 会社の主な仕事は環境や地質に関

するコンサルタント。専門知識を持っ

ていない顧客に対して、分析結果など

を分かりやすく、そして詳細に伝え

なければならない。そこには、高度な

「見せ方」やプレゼン力が要求される。

 そうした力を身に付けるために、

学校のグループ学習では、若手社員

を配置。児童から飛び出す「想定外」

の質問にどう対処するかを学ばせ、

プレゼン能力の向上を図る。

 平出はいう。「たとえば、『見てくだ

さい』と呼びかけても、多くの子ども

の視線はなかなか、集めることがで

きない。しかし、現場の教員に見習っ

て『見えますか』と問い掛けると、大

はなくなってきた〞今だからこそ、

伝えたいという信念がある。

 「土(舗装のしていない地面)を見

ない日はないが、見えているようで、

見えていない。授業を通して土は本

当になくてはならないもので、いろ

いろな機能があるというのが理解で

きると、土に対して見え方が変わる」

と平出。「昨日まで見えていた土と授

業を受けた後で見た土は、同じ土で

あっても違うものに見えているはず」

と、身近な自然から学ぶことができ

ることの大切さを訴える。

 2人は、子どもたち自らが、理科

の世界に入ってほしいと期待を寄せ

る。そのために、「少しでもその世界

の奥にあるものを見せてあげるのが、

私たちの仕事」と、授業に臨み続けて

いる。      

   (敬称略)

授業で使用する 実験器具について 

説明する 平出氏(写真左)と 

長田氏(右)▶

▲伝える時はしっかりと目を見て

▲真剣な表情で講師の説明に聞き入る子どもたち

あけし

 応用地質東北支社は、『理科特別授業』に参加して5年目を迎えた。身近な環境を素材に、会社の事業の視点を取り入れた独自の授業は、学校からの評価も高く、リピーターも多い。自らの休みを返上して学び、そして授業の資料を作るなど、工夫を重ねて教壇に立つ社会人講師の想いは一つ。「知ることの楽しさ、発見することの面白さのきっかけとなる『気づき』や『視点』を学んでほしい」という願いだ。

理科特別授業紹介応用地質株式会社 東北支社

応用地質株式会社

学ぶつながる育てる

設立は1957年。資本金は161億7460万円。建設コンサルタントのほか、地質調査事業などを手掛ける。土壌汚染を調査する環境省の指定調査機関。本社は東京都千代田区で、東北では、東北支社(仙台市宮城野区萩野町3の21の2)のほか、青森、岩手、秋田など宮城県以外の各県に支店を持つ。教育分野の社会貢献(CSR)活動としては、東北支社の「理科特別授業」のほか、小学校でヘドロに関する調査の指導をするなど、新潟、大阪、愛媛で小学校や保護者を対象とした学習活動支援に取り組んでいる。 

「理科特別授業」とは? 宮城県内に事業所のある企業、大学教授等が中心となり、「社会人講師」として小学校へ訪問し、理科の実験授業を展開する事業。いわゆる出前授業ではなく、企業それぞれの得意領域を学習指導要領に沿って、正規の理科の授業として組み立てているのが特徴。

 社会人講師という存在を通して、「仕事への興味や関心も高まり、実社会とのつながりを感じることができる」(授業実施校)といった成果もあげており、近年はリピーター校が増えている。

学習指導要領

【問い合わせ】ハリウ コミュニケーションズ株式会社 学・社教育支援部 Tel.022-288-5011(代)

理科特別授業プログラム☆『土を調べよう~土は貯水庫~』土の浸透実験、浄化実験、保水実験によって、水の循環の中で土が大きな役割を果たしていることを学ぶ。 ねらい 実験を通して「自然界の水の循環」において「土」が大きな役割を果たしていることを学ぶ。

☆『大地のつくりと生活のつながり』大地の成り立ちと地層のゆれが関係していることに気づき、知識を防災活動に役立てることを知る。自分たちの住む地域の地形・地質と土地利用の関係に気づくことができる授業だ。 ねらい 大地の成り立ちと地震のゆれとの関係性を知るとともに、防災について考える。

●地質調査 ●防災計画●環境保全 ●測量 etc

流れる水のはたらき大地のつくりと変化

応用地質(株)東北支社

理科の学習単元

17

O - g a - l e!

 小学校で理科の授業にかかわるよ

うになったのは9年前のこと。当時、

「宮城県沖地震に備える」という本を

出版し、同支社のすぐそばにある仙

台市宮城野区の東宮城野小に届けた

のがきっかけだった。

 当時の校長から「講師として教壇に

立ってみませんか」と持ちかけられ快

諾。間もなく会社の事業をベースに、

総合的な学習の時間に「環境」(5年生

対象)や「防災」(6年生対象)の授業を

始め、今や東宮城野小にとってなくて

はならない「定番の授業」となった。

 2008年度には、『理科特別授

業』の社会人講師に登録。県内各地

の小学校に活動の場を広げ、5年生

対象の『土を調べよう〜土は貯水庫

〜』や『大地のつくりと生活のつなが

り』の授業を受け持つようになった。

しっかりと伝えることの重要性

 多くの会社が、仕事で手一杯な中

で、このように長年、会社として小学

校理科の授業の講師を務め続けてい

るのは、なぜか

。「防災」の授業

を受け持つ同支社ジオテクニカルセン

ターの上級専門職、長田正樹は語る。

 「授業で習うようなことをそのま

ま、続けていくと、こういう仕事を

する人になるという実例を見せたい。

(児童に教えるのに)こんなことが

あったという『事象』のら列なら、

ネットでもいい。資料や写

真ひとつ使うにも、自分

が何を伝えたいのか、しっ

かりとしたメッセージを

持つよう心掛けている」

 長田は休日を使って、地

震のメカニズム研究で有名

な東北大学災害制御研究セ

ンターの今村文彦教授の市

民講座などに出向き、地震

に関する専門知識に磨きを

かけ、授業プランの練り直しと、説明

や見せ方を工夫した。

 同じく「理科特別授業」を受け持つ

上司でジオテクニカルセンターのセ

ンター長、平出亜はバードウオッチ

ングや山歩きなどの趣味を突き詰め、

自然観察に関する資格を取得した。

さらに、各地のセミナーに参加する

などして、頭の中の知識を整理しな

がら、自社の事業と授業を結びつけ、

プログラムを作り込んでいった。

 授業では、限られた時間であって

も、実体験を通じて「感じ取ってもら

う過程」を重視する。そして、「結論」

に導く。児童自らが、感じ取り、読

み取るプロセスが、「知る楽しさ、発

見する面白さにつながる」という想い

がそこにはあるからだ。

授業を行う側が学ぶ側に

 2人は社会人講師として、会社が

勢の児童の視線を引き付けることが

できる。子どもでも、大人でも、プ

レゼンに関する基本は一緒。授業で

は、こちらも多くのことを学ぶこと

ができる」

 一方で、講師を継続的にやってい

たため、人材の育成が大きな課題に

なっている。「やらされ感でやっても

長続きするものではなく、この事業

は、意義を自分で理解しないとおそ

らく続かない。やってみて面白いな

と自分で感じるものがあれば、苦で

もないのですが」と平出は話す。

伝えたいものは

 「土を調べよう」も「大地のつくりと

生活のつながり」も、身近な自然環境

を素材に授業が組み立てられている。

そこには、〝身近なもの〞が、〝身近で

学校の授業にかかわることに、メリッ

トも感じている。

 会社の主な仕事は環境や地質に関

するコンサルタント。専門知識を持っ

ていない顧客に対して、分析結果など

を分かりやすく、そして詳細に伝え

なければならない。そこには、高度な

「見せ方」やプレゼン力が要求される。

 そうした力を身に付けるために、

学校のグループ学習では、若手社員

を配置。児童から飛び出す「想定外」

の質問にどう対処するかを学ばせ、

プレゼン能力の向上を図る。

 平出はいう。「たとえば、『見てくだ

さい』と呼びかけても、多くの子ども

の視線はなかなか、集めることがで

きない。しかし、現場の教員に見習っ

て『見えますか』と問い掛けると、大

はなくなってきた〞今だからこそ、

伝えたいという信念がある。

 「土(舗装のしていない地面)を見

ない日はないが、見えているようで、

見えていない。授業を通して土は本

当になくてはならないもので、いろ

いろな機能があるというのが理解で

きると、土に対して見え方が変わる」

と平出。「昨日まで見えていた土と授

業を受けた後で見た土は、同じ土で

あっても違うものに見えているはず」

と、身近な自然から学ぶことができ

ることの大切さを訴える。

 2人は、子どもたち自らが、理科

の世界に入ってほしいと期待を寄せ

る。そのために、「少しでもその世界

の奥にあるものを見せてあげるのが、

私たちの仕事」と、授業に臨み続けて

いる。      

   (敬称略)

授業で使用する 実験器具について 

説明する 平出氏(写真左)と 

長田氏(右)▶

▲伝える時はしっかりと目を見て

▲真剣な表情で講師の説明に聞き入る子どもたち

あけし

 応用地質東北支社は、『理科特別授業』に参加して5年目を迎えた。身近な環境を素材に、会社の事業の視点を取り入れた独自の授業は、学校からの評価も高く、リピーターも多い。自らの休みを返上して学び、そして授業の資料を作るなど、工夫を重ねて教壇に立つ社会人講師の想いは一つ。「知ることの楽しさ、発見することの面白さのきっかけとなる『気づき』や『視点』を学んでほしい」という願いだ。

理科特別授業紹介応用地質株式会社 東北支社

応用地質株式会社

学ぶつながる育てる

設立は1957年。資本金は161億7460万円。建設コンサルタントのほか、地質調査事業などを手掛ける。土壌汚染を調査する環境省の指定調査機関。本社は東京都千代田区で、東北では、東北支社(仙台市宮城野区萩野町3の21の2)のほか、青森、岩手、秋田など宮城県以外の各県に支店を持つ。教育分野の社会貢献(CSR)活動としては、東北支社の「理科特別授業」のほか、小学校でヘドロに関する調査の指導をするなど、新潟、大阪、愛媛で小学校や保護者を対象とした学習活動支援に取り組んでいる。 

「理科特別授業」とは? 宮城県内に事業所のある企業、大学教授等が中心となり、「社会人講師」として小学校へ訪問し、理科の実験授業を展開する事業。いわゆる出前授業ではなく、企業それぞれの得意領域を学習指導要領に沿って、正規の理科の授業として組み立てているのが特徴。

 社会人講師という存在を通して、「仕事への興味や関心も高まり、実社会とのつながりを感じることができる」(授業実施校)といった成果もあげており、近年はリピーター校が増えている。

学習指導要領

【問い合わせ】ハリウ コミュニケーションズ株式会社 学・社教育支援部 Tel.022-288-5011(代)

理科特別授業プログラム☆『土を調べよう~土は貯水庫~』土の浸透実験、浄化実験、保水実験によって、水の循環の中で土が大きな役割を果たしていることを学ぶ。 ねらい 実験を通して「自然界の水の循環」において「土」が大きな役割を果たしていることを学ぶ。

☆『大地のつくりと生活のつながり』大地の成り立ちと地層のゆれが関係していることに気づき、知識を防災活動に役立てることを知る。自分たちの住む地域の地形・地質と土地利用の関係に気づくことができる授業だ。 ねらい 大地の成り立ちと地震のゆれとの関係性を知るとともに、防災について考える。

●地質調査 ●防災計画●環境保全 ●測量 etc

流れる水のはたらき大地のつくりと変化

応用地質(株)東北支社

理科の学習単元

16

O - g a - l e!

リア形成促進助成金や認定職業訓練制度

の活用促進を図っていきます。

 また近年、学校在学時から、基礎的な能

力習得、職業意識の醸成など、働くことの

基盤形成を図る意義が高まっています。

 教育委員会との連携のもと、小学生を

対象とした社会人講師の活用や、ものづ

くり技能を紹介する機会の提供、中学生

への職場体験の実施などにより、ものづ

くりへの興味・関心を高めるとともに、

職業意識の醸成機会を増やす取組みを行

います。

 高校生に対しては、ものづくり産業へ

の就職・定着を意図したものづくり技能

の向上支援、工場見学会などを通じて、

円滑な職業生活への移行が行われるよう

支援していきます。

❹技能の振興

 本県の基幹産業であるものづくり産業の

基盤を確かなものとするためには、若年者

も進んで技能労働者を目指すような環境を

整備するなど、技能振興の機運醸成や課題

となっている熟練技能者の技術伝承の対策

が重要です。

 技能検定制度の着実な実施や特に若年者

に対する積極的な受検勧奨を行うほか、各

種技能競技大会への選手派遣を支援するな

ど、ものづくりの技能を次世代に伝承して

いくための仕組みの構築を検討します。

❺特別な支援を必要とする方に対す

る職業能力開発

 長期失業者、学卒未就職者、ニートな

どの若年者、母子家庭の母、障害者など、

特別な支援を必要とする方、一人ひとり

の能力を高め、生産性を向上させること

が不可欠な状況となっていることから、

その特性に応じた職業訓練を実施してい

く必要があります。

 長期失業者、学卒未就職者、ニートな

どの若年者に対する能力開発においては、

ハローワークやジョブカフェみやぎ等の

就職支援機関との連携によって、その特

性に応じたキャリア・カウンセリングを

進め、それぞれの労働への意欲・関心の

向上を支援します。

 障害者の能力開発については、国立県

営の障害者職業能力開発校で障害者の障

害特性やニーズに応じた専門的な職業訓

練を実施するほか、企業、民間教育訓練

機関、特別支援学校などと連携を図り、

障害者の態様に応じた多様な委託訓練を

実施していきます。

産業人材育成の推進に向けて

 産業人材育成を着実に推進して

いくためには、産業界、教育界、

行政の連携が必要不可欠であるこ

とから、産学官の関係機関で構成

する「みやぎ産業人材育成プラッ

トフォーム」の一層の連携強化に

努めていくほか、農林水産業や商

業・サービス業等の人材育成関係

部局とも連携・協力を図っていき

ます。

みやぎの企業の採用力向上と人材育成・定着を応援します!若者の採用から定着までのプロセスを総合的にアドバイスします。人事・採用の初心者の方や採用活動の全体的な見直しを御検討されている企業にお勧めします。

1.採用力向上のためのセミナー採用基礎講座4回シリーズ 定員:40名(各回)

日時: 6月5日、12日、  19日、26日 6月毎週火曜日13:30~17:00

場所:宮城県庁(みやぎ広報室)対象:人事担当者、経営者等          

中央大学経済学部卒業。1972年(株)リクルート入社。高等学校・大学の進路指導・就職指導分野及び大学等高等教育機関の学生募集事業を担当。(株)リクルートメディアコミュニケーションズ取締役人事部長兼経営企画部長を経て、2005年(株)オフィス55を設立。若年者の「定着と戦力化」のための「採用」「育成・教育」「組織づくり」などをサポートしている。民間企業や自治体等の採用戦略・人事施策・研修企画のコンサルティングを多数手がけており、自らの経験に基づく具体的かつ実践的なアドバイスには定評がある。

高木 茂氏  (株)オフィス55代表取締役

若年者の採用から定着までのプロセスを総合的にアドバイスします。人事・採用の初任者の方や採用活動の全体的な見直しを御検討されている方にお薦めします。

第1回:貴社の魅力を正しく伝える   「貴社の魅力発信セミナー」第2回:貴社に興味を持った求職者を入社希望

者に進化させる手法第3回:採用試験・面接手法第4回:内定者フォロー方法など

2.人材育成・職場定着のためのセミナー新人教育基礎セミナー2回シリーズ 定員:40名(各回)

日時: 6月8日、22日 6月第2,4金曜日 13:30~16:30場所:6/8 自治会館(204会議室)   6/22 宮城県庁(1101会議室)対象:人事担当者、経営者、職長等

採用活動の目的は「採用そのもの」ではありません。真の目的は採用された者が「教育により成長し定着し、できるだけ早期に戦力として活躍すること」です。

<受講申込み> 下記のホームページから申込書をダウンロードしてお申し込みください。宮城県 産業人材対策課  http://www.pref.miyagi.jp/sanzin/kikaku/seminar/kigyoumuke/ 主催:宮城県

講師

内容

第1回:働く意識や社会人の心構えなどを教育する手法を学ぶ「新入社員意識教育手法セミナー」

第2回:一年の実務経験後、目標設定や自己啓発を促進させる手法を学ぶ「新入社員フォロー研修の手法習得セミナー」

内容

受講無料

たかぎ しげる

企業の皆様へ

19

O - g a - l e!

 本県の産業人材育成は1971年度以

降これまで、8次にわたる「職業能力開

発計画」を策定し、推進してきました。

最近では、2006年度に第8次職業能

力開発計画を策定し、「次世代の産業を

担う人材育成と生涯にわたるキャリア形

成」を大きな目標に掲げ、取り組んでき

ました。

 その後、日本経済は景気後退の局面に

推移し、08年9月のリーマンショックに

端を発する世界的な金融危機に伴い、急

激な悪化に転じました。完全失業率が5%

台で推移するなど、産業や雇用環境に重

大な影響を与えました。

 近年、日本経済が改善の兆しを見せは

じめる一方、産業構造の変化や少子高齢

化、グローバル化などの社会情勢の変化

を背景に、非正規労働者の増加傾向が続

くなど、労働市場の構造的な変化の著し

い進行が続いています。

 そのような状況に対応するため、国は

11年3月、第9次職業能力開発基本計画

を策定し、今後5年間の我が国の職業能

力開発の方向性を示しました。

 本県においては07年に「宮城の将来ビ

ジョン」を策定し、「富県宮城の実現、県

内総生産10兆円への挑戦」を目標に掲げ、

製造業の振興による地域経済の発展に向

け取り組んできましたが、本県の経済状

況は、07年度から09年度まで、3年連続

で経済成長率が名目・実質ともにマイナス

になるなど、厳しい状況が続きました。

 さらに平成23年3月11日に発生した東

日本大震災により、本県の沿岸部を中心

とした広範囲の地域において、地震の被

害に加え大津波による住宅や事業所の流

出などにより、多くの失業者の発生や若

年者の雇用環境の悪化など、さまざまな

分野で深刻な影響を与え続けています。

 この東日本大震災からの再生を図るた

め、11年10月に「震災復興計画」を策定し、

今後10年間の復興に向けた道筋を示すと

ともに、ものづくり産業を中心とした今

後成長が見込まれる分野の産業の振興を

大きな柱の一つとして、あらためて位置

付けしました。

 本県の今後の産業人材育成においては、

国の第9次職業能力開発基本計画の内容

を踏まえつつ、「宮城の将来ビジョン」や

「震災復興計画」との整合を図りながら、

ものづくり産業を支える人材育成のさら

なる強化や、震災によって離職を余儀な

くされた方々などに対する雇用のセーフ

ティネット機能の発揮など、5つ施策を

展開していきます。

❶東日本大震災からの復旧・復興を

担う産業人材の育成

 東日本大震災からの再生を図るため、

基幹産業である製造業を中心としたもの

づくり分野に必要な人材を育成していく

ことが重要です。

 高等技術専門校を中心とした、地域の

人材ニーズに応じた基礎的な技術・技能を

習得する職業訓練の充実を一層推進し、東

日本大震災からの復興にもつなげていくほ

か、今後、より一層重要性を増していく環

境・エネルギー分野など、新たな産業の人

材育成や将来の産業人材育成につながる高

校生など、子供たちへの支援を行っていく

ことも重要だと考えています。

❷雇用のセーフティネットとしての

職業能力開発の強化

 雇用のセーフティネットとしての離職者

に対する職業訓練は、再就職に必要な知識

や技能の習得機会を提供し早期の再就職に

つなげる重要な役割を担っています。

 本県でも、リーマンショック以降の厳

しい経済情勢による失業期間の長期化や、

震災による多くの失業者の発生など、雇

用のセーフティネットとしての職業能力

開発の強化が重要になっています。

 離職者に対しては、切れ目のない職業

訓練機会の提供や民間教育訓練機関を活

用した再就職に必要な技能・技術を習得

するための職業訓練を実施していくほか、

求人動向を踏まえたミスマッチの解消に

つながる訓練コースの新設・見直しなど

についても検討していきます。また、離

職や転職を契機に、正規就業から非正規

就業に移行する例も多く見受けられるこ

とから、キャリアセミナーを開催するな

ど、正規就業の維持・拡大に向けた早期

離職の抑制と定着支援を図っていきます。

❸職業生涯を通じたキャリア形成支援

 職業生涯の長期化や働き方の多様化が

進む中、職業訓練の充実・強化等だけで

はなく、個人に合った職業生涯を通じた

キャリア形成を支援していくことが必要

です。

 労働者個人が、主体的に自らの職業生

活設計を行うとともに、そのもとで、職

業選択や職業訓練の受講等の能力開発を

適切に行うことを可能にするため、国の

教育訓練給付制度の効果的な活用を促進

します。

 企業が自ら労働者の能力開発を行うこ

とは、企業が求める人材の育成に繋がる

ものとして重要であることから、国のキャ

人材育成への想い・取り組み❶ 

宮城の産業人材育成について宮城県

経済商工観光部

産業人材対策課

18

O - g a - l e!

オガーレ!人材育成情報誌

v o l . 1創 刊 号

2 0 1 2 . 5

人材育成情報誌

発行:宮城県/ハリウ

コミュニケーションズ株式会社

オガーレ!

vo

l.

1

創刊号

学ぶ つながる 育てる

人材育成への想い・取り組み❶宮城の産業人材育成について宮城県 経済商工観光部産業人材対策課

「人づくり」最前線 vol.1トヨタ東日本 来年度「学園」設立

情報提供お待ちしております!「オガーレ!」では、読者の皆様からの情報提供をお待ちしております。未来を担う子どもたちの人材育成に取り組んでいる学校や、企業、地域の方々を紹介してください。私たち「オガーレ!」編集部が誌面を通じてエールを送ります。

オガーレ!第 2 号は6 月 18 日

発行予定です。

ただいま

取材中!!首都圏で高校生のキャリア教育に取り組むNPO法人

「カタリバ」は、女川町教育委員会や地元の塾講師

などと手を組み昨年7月、女川町内にコラボ・スクール

「女川向学館」を立ち上げた。

2年目となる本年度は、仮設住宅などで暮らす町内の

約200人の児童、生徒が登録。

多くの子どもたちが通う「公」の塾だ。

代表理事の今村久美さんは言う。

「自分で努力する、そして、乗り越える楽しみを子ども

たちに伝えたい」

カタリバの取り組みと、そこにかかわる人々の想いを

次号でお伝えします。

理科特別授業紹介

応用地質株式会社 東北支社

S p e c i a l I s s u e

人材育成情報誌「オガーレ!」創刊

オガーレ命名に込めたもの

キャリア教育フォーラム基調講演日本キャリア教育学会 会長 東北大学名誉教授 菊池 武剋 氏

パネルディスカッション仙台市立荒町小学校 校長 堀越 清治 氏新潟市立新潟小学校 教諭 学校広報官 栗田 貫 氏ハリウ コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 針生 英一 氏 アンケート結果から

「オガーレ!」編集部 ハリウ コミュニケーションズ株式会社内〒984-0011 仙台市若林区六丁の目西町2-12TEL. 022-288-5011(代) FAX. 022-288-7600E-mail. [email protected]

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この印刷物は、輸送マイレージ低減によるCO2削減や地産地消に着目し、国産米ぬか油を使用した新しい環境配慮型インキ「ライスインキ」で印刷し、印刷用の紙へリサイクルできます。

P-Z10064この印刷製品は、環境に配慮した資材と工場で製造されています。

本冊子は10,000部作成し1部あたりの印刷単価は50.4円です。