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4.5.4 市内動植物文献調査
(1) 目 的
安曇野市内の動植物に関する情報を整理し、穂高広域施設組合の事業実施の上で参
考となる資料の作成を目的として実施した。
(2) 対象範囲
資料の収集対象範囲は安曇野市内全域とした。資料整理の対象は廃棄物最終処理場
の候補地周辺とした。なお、今回整理した動植物情報は文献資料上のものであり、現
地調査により実際に確認したものではない。
(3) 収集対象資料
以下の種類の資料を収集の対象とした。原則として公開されている資料を収集の対
象としたため、公開されていない調査結果のデータについては含まれていない。 ・ 国、県、市等の公的機関が実施した調査業務報告書 ・ 合併前の旧町村誌、及び南安曇郡誌 ・ 地元研究会等の調査報告等
収集した資料の内訳を、表 4-7 に示す。
表 4-7 収集対象資料
区分 資料名
旧町村誌 豊科町誌、穂高町誌、堀金村誌、三郷村誌、明科町誌、南安曇郡誌
国機関 河川水辺の国勢調査、国営アルプスあづみの公園関係、農
業用水路改修関係、中部山岳国立公園関係
調査報告等
県関係 黒沢ダム関連環境調査、河川管理関係調査、県営砂防事
業関係、廃棄物処理施設整備に関わる調査
研究会誌等 松本むしの会会報、三郷昆虫クラブ会報、田淵行男記念館友の会むし
の会会報、信州野鳥の会会報、等
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(4) 調査結果
1) 確認種数
資料の収集及び整理を行った結果、対象範囲において記録のある種の確認種
数は下記の通りとなった。
表 4-8 候補地別確認種数
項目 明科候補地 豊科候補地 堀金候補地
魚類 (該当なし) (該当なし) (該当なし)
底生動物 (該当なし) 12 目 25 科 34 種 (該当なし)
植物 93 科 400 種 104 科 536 種 34 科 57 種
鳥類 (該当なし) 7 目 19 科 42 種 1 目 1 科 1 種
両生類 1 目 3 科 4 種 (該当なし) (該当なし)
爬虫類 1 目 2 科 3 種 (該当なし) 1 目 1 科 1 種
哺乳類 4 目 4 科 7 種 (該当なし) 1 目 1 科 1 種
昆虫類 (該当なし) 13 目 120 科 499
種
5 目 6 科 6 種
2) 候補地別の重要種
確認した種のうち、重要種に該当する種の抽出を行った。 ここでいう重要種とは、国および県によって「絶滅のおそれのある生物」に
指定されている種である。選定根拠を、表 4-9 に示す。
表 4-9 重要種選定根拠
指定機関 資料名称
国 ・ 環境省(2006)鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリス
ト*の見直しについて
・ 環境省(2007)哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物 I 及び植物
II のレッドリスト見直しについて
・ 絶滅のおそれのある野生動植物の種に関する法律、該当種
県 ・ 長野県(2002)長野県版レッドデータブック*(維管束植物編)記載種
・ 長野県(2004)長野県版レッドデータブック(動物編)記載種
・ 長野県(2005)長野県版レッドデータブック(非維管束植物・植物群落編)
記載種
国・県・市 ・ 天然記念物
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*レッドデータブック・レッドリストについて 「絶滅のおそれのある野生動植物」
・ 野生生物の保全を目的として、絶滅のおそれのある種を的確に把握し、
理解を広めるため作成。 「リスト」と「ブック」
・ リスト:絶滅のおそれのある野生生物の一覧(RL) ・ ブック:リストの掲載種について、説明をつけて編集した本(RDB) ・ リストが発行された後、ブックとなる。
カテゴリーについて ・ 絶滅の危険性の度合いに応じて、以下のカテゴリーが設定されている。
表 4-10 レッドデータリスト・レッドデータブックのカテゴリー
カテゴリー 略号 定義
絶滅 EX 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
野生絶滅 EW 飼育・栽培下でのみ存続している種
絶滅危惧 I 類 CR+EN 絶滅の危機に瀕している種
絶滅危惧 IA 類 CR ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて
高い種
絶滅危惧 IB 類 EN IA類ほどではないが、近い将来における絶滅
の危険性が高い種
絶滅危惧 II 類 VU 絶滅の危険が増大している種
準絶滅危惧 NT 現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件
の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可
能性のある種
情報不足 DD 評価するだけの情報が不足している種
絶滅のおそれのあ
る地域個体群
LP 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそ
れが高いもの
なお、長野県版レッドデータブックでは、上記のカテゴリーに加えて「留意種」が
ある。
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以下、候補地別の整理結果を示す。 なお、ここで示す結果は本業務において収集した資料についての整理結果で
あり、候補地周辺について完全に網羅したものではない。対象とした範囲も候
補地によって異なるので、留意されたい。
3) 明科候補地
明科候補地周辺では、植物 5 種、両生類 1 種、哺乳類 1 種がそれぞれ文献上
にて確認されている。
表 4-11 明科候補地周辺で記録のある重要種【植物】
№ 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 トウダイグサ ニシキソウ 南陸郷 VU
2 ゴマノハグサ イヌノフグリ 南陸郷 VU VU
3 カワヂシャ 南陸郷 NT NT
4 キク イワヨモギ 小泉 VU
5 オナモミ 南陸郷 VU
表 4-12 明科候補地周辺で記録のある重要種【両生類】
№ 目名 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 カエル アカガエル トウキョウダルマガエル 南陸郷 NT
表 4-13 明科候補地周辺で記録のある重要種【哺乳類】
№ 目名 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 コウモリ ヒナコウモリ ヤマコウモリ 南陸郷 NT VU
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4) 豊科候補地
豊科候補地周辺では、底生動物 3 種、植物 4 種、鳥類 4 種、昆虫類 12 種がそ
れぞれ文献上にて確認されている。
表 4-14 豊科候補地周辺で記録のある重要種【底生動物】
№ 目名 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 カメムシ コオイムシ コオイムシ NT
2 カメムシ タイコウチ タイコウチ NT
3 コウチュウ ホタル ゲンジボタル
大口沢
留意種
表 4-15 豊科候補地周辺で記録のある重要種【植物】
№ 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 マメ イヌハギ NT NT
2 ミヤマタニワタシ NT
3 ヤマフジ EN
4 イネ ヒエガエリ
大口沢
DD
表 4-16 豊科候補地周辺で記録のある重要種【鳥類】
№ 目名 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 タカ タカ ノスリ NT
2 チドリ チドリ コチドリ NT
3 スズメ サンショウクイ サンショウクイ VU VU
4 ヒタキ ノビタキ
大口沢
NT
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表 4-17 豊科候補地周辺で記録のある重要種【昆虫類】
№ 目名 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 トンボ アオイトトンボ コバネアオイトトンボ CR+EN CR+EN
2 ヤンマ ギンヤンマ NT
3 カ メ ム
シ ツチカメムシ シロヘリツチカメムシ NT
4 キンカメムシ アカスジキンカメムシ 留意種
5 シデムシ ベッコウヒラタシデムシ VU
6
コ ウ チ
ュウ ホタル ゲンジボタル 留意種
7 テントウムシ ジュウロクホシテントウ VU
8
カミキリムシ ヨツボシカミキリ VU VU
9 チョウ セセリチョウ スジグロチャバネセセリ NT VU
10 シロチョウ ヤマキチョウ VU VU
11 シジミチョウ ウラナミアカシジミ NT
12 タテハチョウ オオムラサキ
大口沢
NT 留意種
5) 堀金候補地
堀金候補地周辺では、植物 2 種、昆虫類 6 種がそれぞれ文献上にて確認され
ている。なお、堀金候補地周辺については、隣接する三郷北小倉も対象とした。
表 4-18 堀金候補地周辺で記録のある重要種【植物】
№ 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 オシダ アズミノナライシダ 三田 付属資料希少雑種
2 ナデシコ タガソデソウ 北小倉 VU NT
表 4-19 堀金候補地周辺で記録のある重要種【昆虫類】
№ 目名 科名 種名 確認場所 環境省 RL 長野県 RDB
1 クモ コガネグモ ニシキオニグモ 北小倉 VU
2 カメムシ セミ チッチゼミ 北小倉 留意種
3 コウチュウ シデムシ オニヒラタシデムシ 北小倉 VU
4 ハチ ミツバチ ナガマルハナバチ 北小倉 DD
5 チョウ アゲハチョウ ヒメギフチョウ 北小倉 NT 留意種
6 チョウ ヤママユガ シンジュサン 北小倉 NT
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4.5.5 景観・配置イメージ図
現在、選定している3候補地について、地形条件等を踏まえ、地域住民に分かりや
すい景観・配置イメージスケッチを作成。
(1) 第 1 次候補地に係る最終処分場の立地構造に関する検討
3候補地の被覆型処分場の立地構造について、候補地や周囲の現況地形、地質、土
地利用を踏まえ考察を行う。 1) 明科候補地
① 現況は採取場。
② 採取場の面積が比較的小さいため埋立地は鉄筋コンクリート構造で深い構造として
いる。
③ 取付道路延長は、国道 19 号からは約 520m。山裾からは約 400mで、高低差約 57m。
現況道路の拡幅主体の改修となる。
④ 採取場の現況地盤高は+578mで、埋立地部分は現況地盤を 2m掘削して築造し、設
置。埋立地周囲は現況地盤を 5m盛土して敷地高を+583mとし、埋立地天端と同レ
ベルとする。
⑤ 5m盛土の外周法面には高木植栽を行う。
【敷地面積】約 2ha(取付道路、採取場現有西側法面除く)
【施設構成】埋立地、管理棟・浸出水処理施設、雨水調整池
【埋立地構造】
埋立地構造:鉄筋コンクリート構造
埋立地寸法:幅 35m×長 110m×深 7m×2基
埋立面積:7,700m2
2) 豊科候補地
⑥ 現況は採土場。
⑦ 奥部は採土途中状態で、奥部まで造成すると面積が広くなり大規模土工となるため、
造成面積を小さくして施工規模を抑えると伴に、採土場所からの離隔距離を確保し
た。
⑧ 造成面積を小さくするため埋立地は鉄筋コンクリート構造。
⑨ 東側沢の支流沢奥部で過去に地滑りが有ったことから、埋立地と東側沢の緩衝幅を
確保した。
⑩ 敷地は現況地形を活用した 2段造成。手前下段は+585mで管理棟・浸出水処理施設を
配置し、搬入車はこの前面を通過し上段(+592m)に上がり埋立地へ進入する。
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【敷地面積】約 3.5ha(奥部の採土場とその進入路除く)
【施設構成】埋立地、管理棟・浸出水処理施設、雨水調整池
【埋立地構造】
埋立地構造:鉄筋コンクリート構造
埋立地寸法:幅 35m×長 110m×深 7m×2基
埋立面積:7,700m2
3) 堀金候補地
⑪ 現況は果樹園。
⑫ 敷地は南北に約 400m、東西に約 105mと細長く、高低差が+616~+630mと 14mあ
るため、敷地は 3段造成(+616m、+623m、+630m)で埋立地は 2分割としている。
⑬ 面積が比較的広く土砂地盤と想定されることから、埋立地は経済的な補強盛土壁構
造としている。
⑭ 西側は畑地に隣接するため現況レベルで幅 5mの緩衝緑地帯を設置している。
【敷地面積】約 4.4ha
【施設構成】埋立地、管理棟・浸出水処理施設、雨水調整池
【埋立地構造】
埋立地構造:補強盛土構造(法勾配 1:0.3)
埋立地寸法:幅(上 37m、下 33.4m)×長(上 130m、下 126.4m)×深 6m×2基
埋立面積:9,620m2
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(2) 埋立可能容量の算定、跡地利用の可能性に関する考察
1) 明科候補地
① 埋立地寸法:幅 35m×長 110m×深 7m×2基
② 埋立面積:幅 35m×長 110m×2基=7,700m2
③ 埋立可能容量:53,900(埋立地容量)-1,400(スロープ)=52,500m3
埋立地容量:幅 35m×長 110m×深 7m×2基=53,900m3
スロープ:(深 7m/勾配 14%)×深 7m/2×幅 4m×2基=1,400m3
④ 被覆設備:鉄骨折板葺き(全体被覆)
⑤ 跡地利用可能性考察
南陸郷集落が近く、地域活用としてインドアスポーツ施設、農業用倉庫、緊急避難
場所や、その他として防災倉庫等の可能性が考えられる。
2) 豊科候補地
① 埋立地寸法:幅 35m×長 110m×深 7m×2基
② 埋立面積:幅 35m×長 110m×2基=7,700m2
③ 埋立可能容量:53,900(埋立地容量)-1,400(スロープ)=52,500m3
埋立地容量:幅 35m×長 110m×深 7m×2基=53,900m3
スロープ:(深 7m/勾配 14%)×深 7m/2×幅 4m×2基=1,400m3
④ 被覆設備:鉄骨折板葺き(全体被覆)
⑤ 跡地利用可能性考察
山間部で周辺集落とは 0.5~1km と距離があるが、生活道路でもある県道 57 号線に
面し、地域活用としてインドアスポーツ施設、農業用倉庫、その他として緊急避難場
所、防災倉庫等の可能性が考えられる。
3) 堀金候補地
① 埋立地寸法:幅(上 37m、下 33.4m)×長(上 130m、下 126.4m)×深 6m×2基
② 埋立面積:上幅 37m×上長 130m×2基=9,620m2
③ 埋立可能容量:54,190(埋立地容量)-1,500(スロープ)=52,690m3
埋立地容量:(上幅 37m×上長 130m+下幅 33.4m×下長 126.4m)/2
×深 6m×2基=54,190m3
スロープ:(深 6m/勾配 12%)×深 6m/2×幅 5m×2基=1,500m3
④ 被覆設備:鉄骨折板葺き(全体被覆)
⑤ 跡地利用可能性考察
隣接する集落はないが生活道路である県道 25 号線から近く、地域活用としてイン
ドアスポーツ施設、農業用倉庫、その他として緊急避難場所、防災倉庫等の可能性が
考えられる。
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(3) 第 1 次候補地に係る当該最終処分場の景観・配置イメージスケッチ作成
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明科
候補
地
被覆
型最
終処
分場
景観
・配
置イ
メー
ジ
70
豊科
候補
地
被覆
型最
終処
分場
景観
・配
置イ
メー
ジ
71
4.6
堀金
候補
地
被覆
型最
終処
分場
景観
・配
置イ
メー
ジ