整理番号 sg160037 活動番号 a-010 · 報告様式9 科学研究実践活動のまとめ 1....

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報告様式 9 科学研究実践活動のまとめ 1. タイトル Kinect を用いた弓道支援システムの構築 2. 背景・目的 スポーツの支援システムとして、モーションキャプチャを用いた身体の動作解析が注目されている。一 般的なモーションキャプチャはマークや電極を関節部に取り付けセンシングを行うが、そのシステムの構 築には莫大な費用がかかり、高校の部活動で気軽に使えるものではない。そこで私たちは、家庭用ゲーム 機の「XBOX One」のデバイスである「Kinect」を用い、安価に支援システムの構築を目指す。一つ一つの 動作に正確性が求められる日本古来の競技である弓道を、今回の研究対象とする。 3. 方法 ① 64-bitプロセッサ、USB3.0 のポート、グラフィッ クカードが DirectX 11 をサポート、 Windows 10 の条件を満たす PC を用いる。 Microsoft のサイトから Kinect for Windows SDK 2.0 をPCにインストールする。(※1) Xbox One Kinect センサーを Kinect センサー用 Windows PC アダプターに接続し、USB コネクター を PC の USB3.0 に接続する。(図 1) ④ Scracth1.4 を PC にインストールする。(※2) Kinect2Scratch for Kinect v2 を PC にインスト ールする。(※3) ⑥ スケルトンのサンプルプログラムをダウンロード する。(※4) ⑦ プログラムを作成し、実行する。 4. 結果 弓道の所作のうち、「会」の場面をキャプチャした。 首と胴体の座標を中心線とし、肩の座標が垂直で無い 場合、床と並行ではない事を画面に表示し、正しい姿 勢を保つ支援システムを開発した。 また、「離れ」(矢を放つ時間)を画面上に表示し、 確認できるようにした。(図2) 5. 考察 弓道の動きはスピードが遅く、一つ一つの動作を正 確に行うという特性から、Kinect の様なカメラ撮影型 のモーションキャプチャでも十分に機能することが分 かった。サッカーやバスケットボールなど、スピード の早いスポーツで、支援システムが作成できるか検証 をする余地がある。 整理番号 SG160037 活動番号 A-010 1 2

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報告様式9

科学研究実践活動のまとめ

1. タイトル

Kinectを用いた弓道支援システムの構築

2. 背景・目的

スポーツの支援システムとして、モーションキャプチャを用いた身体の動作解析が注目されている。一

般的なモーションキャプチャはマークや電極を関節部に取り付けセンシングを行うが、そのシステムの構

築には莫大な費用がかかり、高校の部活動で気軽に使えるものではない。そこで私たちは、家庭用ゲーム

機の「XBOX One」のデバイスである「Kinect」を用い、安価に支援システムの構築を目指す。一つ一つの

動作に正確性が求められる日本古来の競技である弓道を、今回の研究対象とする。

3. 方法

① 64-bitプロセッサ、USB3.0のポート、グラフィッ

クカードがDirectX 11をサポート、 Windows 10

の条件を満たすPCを用いる。

② MicrosoftのサイトからKinect for Windows SDK

2.0を PCにインストールする。(※1)

③ Xbox One Kinect センサーを Kinect センサー用

Windows PCアダプターに接続し、USBコネクター

をPCの USB3.0に接続する。(図1)

④ Scracth1.4を PCにインストールする。(※2)

⑤ Kinect2Scratch for Kinect v2 を PC にインスト

ールする。(※3)

⑥ スケルトンのサンプルプログラムをダウンロード

する。(※4)

⑦ プログラムを作成し、実行する。

4. 結果

弓道の所作のうち、「会」の場面をキャプチャした。

首と胴体の座標を中心線とし、肩の座標が垂直で無い

場合、床と並行ではない事を画面に表示し、正しい姿

勢を保つ支援システムを開発した。

また、「離れ」(矢を放つ時間)を画面上に表示し、

確認できるようにした。(図2)

5. 考察

弓道の動きはスピードが遅く、一つ一つの動作を正

確に行うという特性から、Kinectの様なカメラ撮影型

のモーションキャプチャでも十分に機能することが分

かった。サッカーやバスケットボールなど、スピード

の早いスポーツで、支援システムが作成できるか検証

をする余地がある。

整理番号 SG160037

活動番号 A-010

図 1

図 2

6. 結論

今回、Kinect を用い弓道の支援システムを構築したが、安価なものでも充分機能することが分かった。

この支援システムの効果を実証するために、これから弓道部のメンバーと支援システムを用いた場合と、

用いない場合との差を測定していきたいと考えている。そして、支援システムの有用性が確認出来たら、

弓道以外のスポーツの支援システムの開発に挑戦していきたい。

7. 謝辞

秀明大学の寺前先生には、ラズベリーパイを用いた Scratch のプログラミングの技術を教わり、IOT の

基礎が理解できました。私たちは弓道部ということもあり、それを弓道に活かせないかと思い、今回の研

究をスタートさせました。顧問の髙山先生、ALT のキャサリン先生から英語のプレゼンテーションを学び

ました。また、プログラミングでは高崎健康福祉大学の中村先生、高校の小暮先生。発表の指導を片山先

生からいただきました。沢山の先生から指導をいただいて、貴重な経験ができました。ありがとうござい

ました。

8. 参考文献等

(※1)https://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=44561

(※2)https://scratch.mit.edu/scratch_1.4/

(※3)http://scratch.saorog.com/?page_id=2

(※4)https://scratch.mit.edu/projects/2870535/

※2~4

Scratchは MITメディア・ラボのライフロング・キンダーガーテン・グループによって開発されまし

た。https://scratch.mit.edu から自由に入手できます。

『体がコントローラー!?Scratchで作る体験型プログラム教室』モーションセンサーワークショップ

企画班(2012)

『弓道 基本と上達法』福呂淳、加瀬洋光(2017)

9. 成果発表実績

平成30年度群馬県SSH・SGH・SPH等合同成果発表会 ポスター発表

10.大学等研究者(講師)の指導の状況

「研究テーマ・研究計画等の決定」

秀明大学 准教授 寺前洋生

高崎健康福祉大学 教授 片山豪

高崎健康福祉大学 准教授 永井俊匡

「実験・データ処理等」、「分析・考察」

高崎健康福祉大学 教授 中村賢治

「発表・報告資料の作成」

高崎健康福祉大学 教授 片山豪