光分解過韓の励起サイト依存性 - jssrr.jpsils si2s si2p si -h 結合 (4)...

14
(C) 1991 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research 479 Photodecomposition Processes Observed in a Site Toshio Kyoto of Education It hasbeenobservedthatthe processeslargelydependonthemolecularsite excitedbysynchrotronradiationand an electronimpac t. Thedecompositionmechanism will be discussed in the valence, inner-shell and two electrons excitation processes. 1 - -55-

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Page 1: 光分解過韓の励起サイト依存性 - jssrr.jpSils Si2s Si2p Si -H 結合 (4) Si2pのイオンイヒポテンシャルは107.2と107.8eV であり, Si2sは155eVと見積もられている8}O

(C) 1991 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research

放射光第ヰ巻第4号 (1991 年〉 479

光分解過韓の励起サイト依存性

伊吹紀男

京都教育大学

Photodecomposition Processes Observed in a Selected 問。lecularSite Exci鞠組問

Toshio IBむKI

Kyoto U出ve路ity of Education

It has been observed that the p加todissociation processes largely depend on the molecular site

excited by synchrotron radiation and an electron impact. The decomposition mechanism will be

discussed in the valence, inner-shell and two electrons excitation processes.

1 .はじめに

分子を構成する原子関の化学結合の一般的な性

質は,原子の最外殻の s電子やp電子の入った原子

価軌道によって決められる。この軌道にある価電

子は紫外~可視光線で励起されて分解,異性化,

発光の他に新たな化学結合を形成するなどさまざ

まな光化学反応をひきおこす。このとき分子内の

特定の結合や官能基が光を吸収することが反応関

始のトリガーとなっており,こうして起こる反応

については化学的にも物理学的にも非常に多くの

実験や理論計算が精力的に,かっ精密に行われて

きていることはここで改めて指摘するまでもな

い。価電子を励起したとき,分子がもっ数eVの過

剰エネルギーは,通常では原子の組替えが起こる

以前に, ピコ (10- 12) 秒程度の時間で分子の振動

や回転の内部自由度に再分配されて統計的な分布

となってしまう。それゆえ比較的簡単な多原子分

子を紫外~可視領域の光で励起した場合,分子は

最初に励起された位置の記穏を失っており,分子

内の励起位置に依存した反応の違いを明確に確認

できることは希である。

励起の光エネルギーが 10 -30eV と高くなると,

普通の分子では価電子(外殻電子)のイオン化が

おこる。イオン化ポテンシャルの直前には, リ

ュードベリ状態と呼ばれる電子が殻から非常に離

れた軌道に存在する高励起の状態がある。このリ

ュ…ドベワ状態の数は原理的には無限であり,そ

れらのエネルギー準位はイオン化ポテンシャルに

収蝕する。現実には分光系の有限な分解能と状態

の重なりのために,限られたりュードベリ状態し

か観測できない。価電子のイオン化エネルギーを

越えると内殻軌道のイオン化ポテンシャルが現れ

る(このイオン化ポテンシャルは価電子と比べて

数十eV以上高い)。分子の内殻電子は化学結合に

-55-

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480

にくい。この

る。このよう

56-

第ヰ巻築ヰ号 (1991

J) ティッシュ@コロン

リュードベリ

1 に

ウム

った。

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ヰ ヰ持 (1991 481

としECTRON GUN

ν) から 1 èどで)1壌に

であ 。た し

って り? ネ

(1) い。ここ

〈ンド

リュー

ドベリ定数口 13.60eV) , 日

と呼ばれる o Õ の値は励起され シャル

た電子が入るリュードベリ軌道の性質を非常に強

く反映する。

1 リュードベリ

1) ュ…ドベ 1) くかふ

り,

し う ω 。

ユ )2 2ノ

、?・・ 、予'

'--'-- ンシャ jレ?

もつジメ

ルと クト

はオプトコニレクト口ニクスの原料ガスである。

総は光吸収スペクトルであり?

ペクト

子軌道は

している。(CH3)2

)4(3at)2(2a押 1)2

治会 合}

らのパ

ジメ

1) -1 の

ν ,

(1)によ号泣と δ

る。

であり事 この

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第 4巻第 4号 (1991 年〉放射光482

(A2)

0.5

a) Zn(CH3)2 (2e '/ 2e") 3d 3p 35 -+ュ

「竹

100

50

100 ZO一トυωωωωoαυ

2 b) Cd(CH3)2

58σ 主

78/べ I

85 ノペ ー"・ .\.1γ

> tU41、.

6p 、、、旬、 x10.... , I.\A\ ,九、8p 7p - ......、角川 -'-"'1-... 川町?ぷf・~;:~."':.. ..・ H ・-・ 7川,""f't..,._I'",,"'t!'t,"

3d 3p 38

I I I

50

凶υZ凶υω凶包OコJ比

15

5

10

c) Hg(CH3)2

150

100

50

〈心室)20一トυ凶ω

的ωOぽυ

20一ト仏位。ω白40aFOZ仏

。。

240 200 160 120

(nm>

Fig. 3 Photoabsorption and fluorescence cross sections of (a) Zn(CHs)2; (b)

Cd(CH3}2: and (c) Hg(CH3)2, Solid curves: photoabsorpt�n; dotted curves:

fluorescence excitation spectra. 丁he broken curve in (b) shows the

intensity of CdCH3 magnified by ten times.

WAVEしENGTH

収スペクトルのバンドを全て帰属することができ

る。 M(CHふ化合物 (M ロ Zn, Cd, Hg) に共通

バンドの量子欠損 δ は 4.00 土 0.09 の範囲にあり,

Hg(CHムの 2a'l電子がnp (n = 6, 7, 8) リュー

して観測された 120nm付近の強い吸収ノくンドはメ

チル基の C-H結合を構成している 2e' とお"電子

-58-

ドベリレベルへ励起されたものと帰属するのが合

理的である。同様な手法を用いれば,図 3 の光吸

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放射光第4巻第4号 (1991 年) 483

Table 1 Rydberg assignments for Hg(CH3h・

Band Term 万la(xnlm訂l)U立l value n 当R 5 Assignment

(cm叩 1)

202 25600 2.07 3.93 6p← 2aヘ

177 18500 2.43 4.57 7s • 2a"l

161.4 13100 2.90 4.10 7p • 2a"1

150 26900 2.02 3.98 6p • 3a'1

147 6980 3.96 4.04 8p • 2a"1

124.5 27800 1.99 1.01 3s • (2e' /2e")

117.5 23200 2.18 0.82 3p • (2e' /2e")

106.8 14400 2.76 0.24 3d • (2e' /2e勺

のリュードベリ準位への励起である。

国 3 の蛍光励起スペクトノレ(波線)を与えてい

る発光種は,蛍光分光の結果, M=Znの場合は

ZnC狂3 ラジカノレであった。 M 口 Cdでは CdCH3 ラ

ジカルと Cd原子の 2 種類であり, M コ=Hgで、は Hg

原子の 253.7nm の発光のみであった。ここで,

CdCH3 (図 3 の中央パネル太い破線)のと Cd原子

の蛍光励起スペクトル(細い破線)のフ。口フィル

がまったく違うことは注目に値する。すなわち,

CdCH3ラジカルからの発光はC-H結合電子がリュー

ドベリ状態に励起されたときに強く観測されてい

るのに対して, Cd原子からの発光は Cd-C結合

(3a'l! 2a" J の励起によって生じている。このよう

な観点からジメチル亜鉛の場合を見ると, ZnCH3

ラジカルの蛍光励起スペクトルも C-H結合の励起

で強く発光している。ジメチル水銀では Hg(3P1)

発光は Hg-C の結合励起に因るが,特筆すべき点

は 120nmの強い吸収ノ〈ンドにおいて,エネルギー

的には Hg (3 P 1 ) 状態が生成するのに十分であるに

もかかわらず発光は観測されない。むしろ,それ

よりも低いエネルギーの Hg-C励起で発光してい

ることである。すなわち, C-H結合を励起しでも

Hg (3 P 1 ) 原子は生じない。本測定によって,電子

励起ラジカル(発光種)の生成が親分子の励起サ

イトに依存すると確認された。

3.2 内殻電子励起 SiH4 の場合

ケイ素化合物は,半導体関連の物質であるため

に注目を集めているが,素反応過程という観点か

らも大いに興味がもたれる。 Si原子の電子配置は

式 (3) のようになっており,内殻軌道である 2p と

おの電子のイオン化レベルは 100eV および

(1s)2(2s)2(2p)6(3s)Z(3p)Z : Si (lPo) (3)

150eV という浅いところにあるので,シンクロト

ロン放射や dipole(e , e) 法を利用すれば比較的容

易に,かっ選択的に励起できるという利点がある

(1 s の結合エネルギーは 183geV 8)) 。 モノシラン

の電子配置は次の通りである。

(1al)2(2al)2 (1 t2)6 (3al)Z (2tZ)6

Sils Si2s Si2p Si -H 結合

(4)

Si2p のイオンイヒポテンシャルは 107.2 と 107.8eV

であり, Si2s は 155eV と見積もられている 8}O モ

ノシランの全光吸収断面積を電子衝撃による dipole

(e , e) 法を用いて hν= 8-180eV の範囲で測定

し,その結果を,他の測定データとともに,図 4

に示したトヘ実験方法の項で指摘したように,

Eo>>E の条件下で測定される小角散乱電子エネル

ギー損失スペクトルが光励起過程と原理的に同じ

円uυ

Fhu

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(1991 4

100

60

40 ~ ぷコ二三

0"---/ z o

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180 己(J�

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O Gこ仁J

6

化Oω∞《OトO工仏

2

第ヰ

2s edg告2p edge 80

~60

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Nω40

0

"---/ 2 0

484

160 140 。80 60 40 20 いJ

O

ブ2s edge

/...",.. .._~_ø_・句、............. パ

/'/" ~I,'..、 i �

/ ♂一一- "、 ! i." ;' / " ~ -....ノi..-.; ~ /--......., ",

I / " I ........ '. " /臼'-'、" ,、

父//ムわ ム/

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6

にJ

Qこ

υωO 亡

J z o

4

4 ♀@ 。こ。

3

SiH 4 (宮) Ph Abs Dipole (e.e) this work

Extropol口\ions 1 ロ

一- SiH4 (ヨ) Ph Abs[11 ]

----- SiH4 (g) Ph Abs[ 1 2 ] 父 Si(g) Ph Abs[13 ](Henke)

令 Si(s) Ph Abs[ 14 )

ロ Sí(s) Ph Abs[15 )

o Si(g) To¥ol Ph lon (theory)[16]

ム Si(g) 2p+2s Ph lon (theory)[17]

3

-エハ比

0 190 120 130 140 1 160

PHOTONξNERGY (eV)

and shells the oscillator

同4・

、,、

'-'-ることの説明は?

を光分5 は h レ二= 30eV のエネルギーでのh ν 三主。

ピークの面績か解したときの TOFMS である。

ン化効惑とイまるLっσ とるによく近{以さ

フラグメントイオ(罷)

ンの部分光イオンイヒ断面寝となる。そ 臨 S に1) の関係がある )0 h ν> 1.0975 X 102

は最外殻のむ)一 1 イオン化

ンイヒエネルギー (3al) … 1

+とした。

2 イと同時に生成し原子いる。

い。それゆの点でもまったく変化が見らきさが無視での

SiH/ (イオンが分解することによって生じると

-60-

これら 2 つのフラグメントイオンはきょう。きいこときない

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485

SiH 2十

o 十1V

(1991

/戸川、

:亡 10c コ

〉ト一山之〕

O L

ヰ4

2.9 Qυ

つ/」、

122/

づ/

つム0.3 0.4 0.5 0.6 2.6

TIME OF FLlGHT

詮τ 鵠5

二三、、、ーノ

z o

1.0

0.5

Si

@ @

25

1.0 20

15 0.5

の!ωωoαυ

ふけら除隊

勺ノん

10

只,〕

SiH3+

/戸--..

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N 20

0

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ベ〕

z o

一之O一OいOIιJ

0.4

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0.5

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@

From 30,

1.0

民J)

ハυ

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30

. .窃. .

け十

15 0.4

10

0.2 町

円/』

ハ〉

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SiH 2十

50 40 30 0 10 20

EN日GY (eV)

む@

e

@

@

@

20

20

50 40 30

2tz -1 301-1

仁J

825

z o 20 トー<F吋

芝 15

0

10 0 ヱ0....

。こ

只ぱ

silane.

appearance

PHOTON

dissociative

indicate thermodynamic

円hu

arrows

Absolute oscilllator

The vertical

potentials.

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486

いえる。これに対して, SiH+ , Siやおよび日+のイ

オンは明らかに (3al) -1の点,すなわち SiHt(A)状

態で増加している。そこで, SiH/ (X)状態から生

じる SiH+および Si+イオンの割合を図 6 の斜線部

(SiHよまたは SiHよの部分イオン化断面積の相似形

である)のように考えると,残りの部分はSiHt(A)

励起状態から生じたことになる。このようにして

得られた結果をまとめたものが図 7 である。基底

状態SiH4+ イオンの 95%以上は SiHよと SiHよフラ

グメントに分解し電子励起状態SiH/ (A) の 95%

がSiH+ , Si+および日+を生じるという親分子の励

起サイト依存性が観測された。

Si2p 内殻励起の分解過程

図 4 において, 103eVの強い吸収バンドは Si2p

→ σ 吻共鳴吸収である。この共鳴吸収バンドと hν

口 120eV (Si2pの連続吸収帯)で測定したTOFMS

を密 8 (a) および (b) に示した。 120eVでの MS ス

ペクトルを 103eV のそれの比べると, 2 つの点で

違っている。

①日+の相対強度が極端に大きい。

( SiH22+, SiH2 +およびSF+の 2価イオンが検出

されている。

これらの相違は次のように解釈される。すなわ

ち, Si2p電子は 120eVで直接イオン化され,そこ

にホールがあく。このホールは通常のオージェ過

放射光第4巻第4号 (1991 年)

程により, 2t2 あるいは 3a1 の外殻電子によって埋

められる。このとき同時に外殻電子の l つが飛び、

出して,結果的に 2価イオンが生じる。 2価イオン

は 2 つの l 価イオンに分解するが,その l つがH十

イオンとなり相対生成量が増す。また , 2 価イオ

ンの一部分は中性のフラグメントを放出してSiH22+

等の 2 価イオンとして残る。

一方, 103eVのエネルギーは Si2pイオン化ポテ

ンシャル (107eV) より低いので,直接イオン化

は起こらない。しかし, Si2p にホールが空くの

で,それが外殻電子で埋められる。このときやは

り l 個の外殻電子が飛び出して l 価のモノシラン

親イオンが生じる。この親イオンはどちらかと

えば,外殻電子のイオン化で生じる 1 価親イオン

と類似した反応を示すであろう。実際,図 5 と闇

8 (a) を比べると, SiHn+ (n 口 o 3) の全生成量

は日+のそれよりも多いという点で共通性がみら

れ,図 8 (b) とは明らかに異なっている。

3.3 2 電子励起 Cト12 出 CF2 の場合

CH2 = CF2を分子科学研究所UVSOR- BL3A2 の

放射光で分解すると図 9 のようなマススペクトル

が得られた問。同じ条件での PIPICO スペクトル

が図10である。この結果, CH2 ロ CF22 +の 2価イオ

ンが生じており,それは次のような組み合わせで

分解していることが分かる (CHよと CFよイオンを

日 ;:::fleshte

ロラヶ/~SiH4 + States IP(vert.)eV 回目山Gtio〉YKF145

」回回目白日目白Fig. 7 Dipole induced breakdown scheme for the photoionization of SiH 4・

-62-

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第4巻第4号 (1991 年〉放射光 487

CF2 を用いた)。

CH;+CF;, CH;+CF+, CH;十C+ , CH++CF+, C++CF+

C2HF;+H+

区別するために CH2

lSiH41

hν103eV Resonunce

1.0

および

H十+C2HF+, H+十CF+, F+十C2H+, • H+ +CH+, CH+ +CF;

H++C2H+, 日+十C;, H十十C2F+ , H++C+, F++CF+

C++CF;

十μ什

これらの組み合わせの相対強度を励起光のエネル

ギーを変えてプロットすると,図 1 1 と 12 のよう

このデータから各々の組み合わせについ

'lWf1~~蝉柄拘鞠..."",~同時的

iSiH4 になる。

て細かな議論はできないが,大きく 2 つのクゃルー

プに分けられる。その 1 つは 37eVよりも低い出現

エネルギーを持つグループであり,他の l つは

内ムfit向嗣

hv -1 20 Continuum

0.5

ハ〉ハ〉に「ぱ

!i

ハU

(ω←壬コト」OL土門一ぃ《)〉←一

ωzu←z

37eV以上のエネルギー領域で観測できるペアーで

ある。

」》;;:;;…… CH2 以前に測定されていたエチレン,ところで,

ベクトルお)が最近iこなのオージェ= CH2 , 2.6 っι

、、1/

2

p

u

pトい

てdμ

/tt、、

T1・

ハ門

戸UiL

「「

「「

ハ)

「じM

γー

1.8 1.4 0.4

CH2 = CH2 の分子軌

(2ag)2(2b1u)2(l b2Y(3ag)2(1 bSg)2(1 bsY (5)

って理論的に解析されたω 。

(lag)2(1 b1u)2

道は

内殻電子

外殻電子

TOFMS of SiH4・ (a) At 103 eV corresponding to

Si2p • valence excitation.

(b) At 120 eV corresponding to the Si2p

ionization continuum.

Fig.8

H2C 温CF2

+九山内閉山内

υ+』υ

10

出向

+

』甲山内υ

+

5

〉ト目的ZUトZHU〉円・FJ1JUZ

eV hv = 55 。

TOFMS of CH2=CF2 observed at 55 eV.

TIM王 OF FLIGHT

-63-

Fig.9

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第 4巻第4号 (1991 年〉放射光488

H2C=Cら

ト一』出向υ++出

+ c<. z N υ

+ + 同

+ 臥4Pゆ

υ

ート

+ =口

+』U++明

10

5

〉ト日…山之…山ト

Z円凶〉日トJ1JUE

hv = 55 eV 。

TIME OF FLIGHT

Fig.l0 PIPICO spectrum of CH2ロCF2 measured at 55 eV.

60

トf2C=CF240

CH~ 十 CF~20

;---.一三11二 CF+。

,酬、

、ぞM

- 20 0 トd E

~可 CH+ 十 CF+一←十九→一一一→

\一十一一一一一~

0

0

0

0

2

2

2

0Z一工υ24店∞

OU一色一仏

C+ + CF+

C2HF~ + H+

0

20

100 60 80 PHOγON ENERGY (eV)

40

Fig.l1 PIPICO branching ratios tor the central C=C

bond cleavage type.

-64-

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第 4巻第4号 (1991 年)放射光 489

20

H+ + C2H十

Hや+ C2F+

H++ C+

H+ + C~

10

5

5

5

H+ + C2HF+

H+ 十 CF十

H2C=CF2 15

10

0

10

5

5

<JC

。…トqα

02一工υzdgmou

一仏一仏

100

F十+ CF十

C+ + CF~

80 40

5

80 100

PHOTON ENεRGY (eV)

0

5

5

H十+ CH+

60 40

5

5

5

Fig.12 PIPICO branching ratios for the C-H bond cleavage type.

C一行や σc-c などである) 0 37eVを越えた領域で

もっぱら C-Hあるいは C2s電子のイオン化レ

ベルが現れて, πc=c電子のイオン化の寄与は極め

は,

最外殻の 1 b3u軌道は πc 底 C結合の, 1 b3g と 1 b2u は C

-H結合の, 3ag は C-C結合電子の性質を持って

その他は C2s である。これらのイオン化ポ

テンシャルは 23.6 -10.7eVの間にある却。内殻電

おり,

CH2 = CF22 + 2 価イオンの分解モードと上に述べ

た CH2 口 CH2 の 2 電子励起イオン化過程を比較検

討すると,出現ポテンシャルが低いフラグメント

イオンの組み合わせにおいて, C2HF; + H+の組を

cxよ +Cy; という C 口 Cニ重結合切断型

これは hν く 37eV で (1 b3u) -1 のイオン

て小さい。

子は Cls でそのイオン化ポテンシャルは 290.8eV

と報告されている制。エチレンの才一ジェ電子スペ

クトル仰によれば, 30 -65eV に少なくとも 6 本

除けば,

である。

化が起こるために,中央の C=C結合が切れたと

考えられる。 37eV 以上では,主として,

H+ (または F+) タイプの分解である。このエネル

ギー領域では C-Hおよび:C2s電子の 2 価イオン化

が起っており,分子に残されたプラス電荷がどち

65-

cx+ 十

のバンドが観測され,それらは式(5) に示した外殻

電子のうち 2 つが同時にイオン化する準位である

ことが理論計算により判明したへこの計算結果に

よれば、, 2 価イオンを生成する状態の数は少なく

見積もっても 27 あり,それらの状態のいくつかが

重なって結果的に 6---8 本のバンドを与えてい

る。そして, h ν く 37eVの 2 価イオン化では πc=c

(すなわち 1b3u ) のイオン化が起こる(他の l つは

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らか一方の炭素原子に局在して,強いクーロン反

発力のために速やかに分解するものと推察され

る。その典型がCH+ 十日+およびCF+ 十 F+の組み合

わせである。高いエネルギー領域でも, πc=c電子

のイオン化がまったく起こらないわけではない。

理論計算においても , TC c=c電子の脱離を含む 2 価

イオンイヒの関値が 42.3 および、 46.7eV に報告され

ている加。それゆえ,図 12 の中に見られるよう

に, 2 価イオンの一部分は CFよ十 CH十 (C+) のペ

アーとして観測されている。

当然のことながら, CH2= CF2の電子配置はCH2

= CH2 と同じではない。しかし,その外殻電子の

イオン化ポテンシャルは 25.2 -10.7eV の範囲に

ありお), 2 篭子励起に関してはエチレンと同様の

状況にあると思われる。現在CH2 = CD2 を用いて

測定を行い,データを解析中であるが,上に述べ

たことは CH2 口 CD2 においても基本的には再現さ

れている。

謝辞

ここで紹介した測定結果は分子科学研究所UVSOR

施設およびカナダのブリティッシュ@コロンビア

大学化学科との共同実験によって得られたもので

ある。共同研究者である正畠宏祐,平谷篤也,小

谷野猪之助,今村隆史,増岡俊夫, G. Cooper お

よび C.E. Brion の各氏と,実験に捺して多大なご

協力をいただいた UVSOR実験施設のスタッフの

方々に心から感謝いたします。

放射光第4巻第4号 (1991 年)

Sci. Instrm. 60, 2179 (1989).

3) F. Carnovale and C.E. Brion, Chem. Phys. 74,

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2) T. Matsuoka, T. Horigome and 1. Koyano , Rev. 19) T. Ibuki, T. lmamura, T. Matsuoka, 1 Koyano

-66-

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放射光第4巻第4号 (1991 年)

and C. E. Brion (to be published).

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1734 (1989).

22) G. Bieri and し Asbrink, 1. Elctron Spectr. Rel.

リュードベリ分子

分子中の竜子の 1 つが空の s , p あるいは d軌道に励起

された状態であるo この電子(リュードベリ電子)の軌

道は分子の径よりも大きく広がっており,イオン芯の正

電荷を実質的には点電荷として感じている。リュ…ドベ

リ電子は大部分の時間イオン芯から遠く離れているが,

イオン芯に近づいたとき,芯の径が大きいために,その

中にもぐり込まざるを得ず,芯の近くでは全電荷がり

ュードベリ電子に作用を及ぼす。それゆえ,特に芯を貫

通できる s軌道ではその影響が大きい。量子欠損はり

ュードベリ電子と芯とのこのような相互作用の大きさを

示しており, s , p , d となるにしたがってその値は小さ

くなる。リュードベリ電子のイオン化ポテンシャルは数

ミリ eV以下であり,イオン芯の振動や回転エネルギー

をもらってイオン化する(自動イオン化〉。

491

Phenom. 20, 149 (1980).

23) 丘一 O. Beckmann, W. Braun,比一 W. Jochims,

E. R註hl and H. Baumgärtel, Chem. Phys. Lett.

121, 499 (1985).

24) G. Bieri,し Asbrink and W. von Niessen, 1.

Electron Spectr. Rel. Phenom. 23, 281 (1981).

Dipole (e, e) およびdipole (e, e + ion) 法

電子が分子と衝突すると,電子は運動エネルギーの一

部を分子に与えると問時に,その運動量も変化する。も

し,電子のエネルギーが数百eVよりも大きければ,散乱

電子と分子との 2 次散乱過程が無視できて, Born近似

の理論が適用できる。 Bethe の行った解析の結果,電子

の運動量変化が O に近づき,分子への移行エネルギーが

入射エネルギーに比べて無視できるならば,測定される

微分散乱断面積は光吸収断面積に比例することが明らか

にされた。すなわち,実験的な dipole (e, e) 法では,一

定のエネルギーを持った高速電子を分子に当て,入射電

子の方向と同じ方向に散乱された電子のエネルギーを測

定してやれば, dipole の誘起による光学許容遷移の吸収

スペクトルが得られる。 Dipole (e, e + ion) 法では,散

乱電子のエネルギーとフラグメントイオンとの同時計灘

により,飛行時間型マススペクトルが測定できる。

-67 一

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