個別調査・解析に関する情報の分析・整理...4-4 february, 2013 confirmation of...

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付録 4 個別調査・解析に関する情報の分析・整理 A.ボーリング調査計画立案 ES の適用性確認と改良点の整理ならびに 改修に関する作業報告書 B.水理試験品質管理に関するチェックシート

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Page 1: 個別調査・解析に関する情報の分析・整理...4-4 February, 2013 Confirmation of Applicability, Extraction and Repair of Improvement Point of the Expert System for Planning

付録 4

個別調査・解析に関する情報の分析・整理

A.ボーリング調査計画立案 ES の適用性確認と改良点の整理ならびに

改修に関する作業報告書

B.水理試験品質管理に関するチェックシート

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4-1

付録 4-A

ボーリング調査計画立案 ES の適用性確認と改良点の整理ならびに

改修に関する作業報告書

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4-2

ボーリング調 査 計 画 立 案 ES の適 用 性 確 認 と

改 良 点 の整 理 ならびに改 修 に関 する作 業

報 告 書

2013 年 2 月

三菱マテリアルテクノ株式会社 2013 年 2 月

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4-3

ボーリング調査計画立案 ES の適用性確認と

改良点の整理ならびに改修に関する作業

川村 淳・田中啓二・兵頭 浩・五嶋慶一郎・景山宗一郎

要 旨

独立行政法人 日本原子力研究開発機構では、経済産業省委託事業「地質環境総合評価技術高

度化開発」において、「個別の調査計画の立案から調査・解析に関する情報の分析整理」を実施

し、ルールベースや事例ベースをエキスパートシステム(以下,ES とする)として構築してい

る。

本調査では、平成 23 年度までに構築されて「調査計画立案支援に関わる ES」のうち「空中

調査計画の策定」、「地表調査計画の策定」及び「ボーリング調査計画策定」と、「調査支援に

関わる ES」のうち「空中調査」、「地表調査」及び「ボーリング調査」を対象として、これら

の ES に反映したノウハウや判断根拠に関連する事例を収集し、各 ES から参照できるように連

携を図りつつ事例ベースに入力し、ES の改良を行った。

本報告書は、三菱マテリアルテクノ株式会社が日本原子力研究開発機構との契約により

実施した業務成果に関するものである。

機構担当課室:

日本原子力研究開発機構 地層処分研究開発部門 東濃地科学研究ユニット

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4-4

February, 2013

Confirmation of Applicabil ity, Extraction and Repair of Improvement Point

of the Expert System for Planning of Boring Investigation,

Makoto Kawamura, Keiji Tanaka, Hiroshi Hyodo,

Keiichiro Goto, and Soichiro Kageyama

Abstract

Japan Atomic Energy Agency constructed the expert system that was able to be registered

in the data base by collecting the rules and the cases with works concerning the boring

investigation until last year.

We collected cases with knowhow and the criteria of “Investigation from in the air”,

“Investigation from surface of the earth”, and “Boring investigation”. They were input to

“Case base” that the user was able to refer on the expert system.

This work was performed by the Mitsubishi Materials Techno Corp. under contract

with Japan Nuclear Cycle Development Institute.

JAEA Liaison:

Tono Geoscientific Research Unit

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4-5

目 次

1. 目的 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 4-6

2. ES の改良点の抽出及び事例の収集・整理作業 ---------------------------------------------------- 4-7

2.1 ES の改良に必要な事例の収集作業の対象事例 ----------------------------------------------- 4-7

2.2 事例の収集作業方法 ---------------------------------------------------------------------------------- 4-9

2.3 事例の整理 -------------------------------------------------------------------------------------------- 4-12

3. ES の改良作業 -------------------------------------------------------------------------------------------- 4-17

巻末:事例シート

表 目 次

表 2-1 事例を収集する対象 ----------------------------------------------------------------------- 4-7~4-8

表 2-2 収集事例の整理項目 ----------------------------------------------------------------------------- 4-12

表 2-3 収集した情報の割合 ----------------------------------------------------------------------------- 4-14

表 2-4 収集事例の整理の例 -------------------------------------------------------------------- 4-15~4-16

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4-6

1. 目的

日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)では、経済産業省委託事業「地質環境総合評価

技術高度化開発」において、「個別の調査計画の立案から調査・解析に関する情報の分析整理」

を実施し、ルールベースや事例ベースをエキスパートシステム(以下、ES とする)として構築

している。

ルールベースとは、調査の実施担当者(以下、調査経験者)が調査計画立案、調査の実施及び

その結果を用いたモデル化・解析に至る一連の作業に関するノウハウや判断根拠を、タスクフロ

ーや IF-THEN 形式によりルール化したものである。また、事例ベースとは、これまでに実施さ

れた地質環境調査に関する調査研究、調査経験者や専門家が有する様々な経験を事例(調査計画

の立案、調査時の失敗事例や成功事例、マニュアルなど)として取りまとめたものである。

原子力機構が平成 23 年度までに行った「地質環境総合評価技術高度化開発」では、ボーリン

グ調査計画を策定する際、ボーリング調査位置における地質構造を推定するために、空中物理探

査や地上物理探査の結果を利用する必要性を示すとともに、「ボーリング調査計画策定」に関す

る ES では、「空中調査」と「地表調査」に関する ES との連携を図ることを検討した。

本作業では、平成 23 年度までに原子力機構殿が構築した「調査計画立案支援に関わる ES」

のうち「空中調査計画の策定」、「地表調査計画の策定」及び「ボーリング調査計画策定」と、

「調査支援に関わる ES」のうち「空中調査」、「地表調査」及び「ボーリング調査」を対象と

して、これらの ES に反映したノウハウや判断根拠に関連する事例を収集し、各 ES から参照で

きるように連携を図りつつ事例ベースに入力し、ES の改良を実施した。

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4-7

2. ES の改良点の抽出及び事例の収集・整理作業

2.1 ES の改良に必要な事例の収集作業の対象事例

ES の改良点の抽出及び事例の収集・整理作業に事例の収集作業については、表 2-1 に示す個

別調査を対象として実施した。

表 2-1 事例を収集する対象

ES 名 調査対象 個別調査

調査計画立案支援に関わる ES

空中調査計画の策定

リモートセンシング 空中電磁探査 空中磁気探査 空中放射能探査 空中重力探査

地表調査計画の策定 電気探査 電磁探査 弾性波探査

ボーリング調査計画策定

ボーリング掘削 岩芯地質調査 掘削泥調査 孔壁画像調査 物理検層 VSP 探査 孔間トモグラフィ探査 孔内力学試験 岩芯の室内調査・分析 流体検層 水理試験 地下水の採水調査 長期地下水モニタリング

調査支援に関わる ES

空中調査

リモートセンシング 空中電磁探査 空中磁気探査 空中放射能探査 空中重力探査

地表調査 電気探査 電磁探査 弾性波探査

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4-8

ES 名 調査対象 個別調査

ボーリング調査

ボーリング掘削 岩芯地質調査 掘削泥調査 孔壁画像調査 物理検層 VSP 探査 孔間トモグラフィ探査 孔内力学試験 岩芯の室内調査・分析 流体検層 水理試験 地下水の採水調査 長期地下水モニタリング

ここで、事例を収集する際に留意したことについて記す。

① ES の構成や手順を補強するものであること:

ES は調査計画立案や調査支援のために用いられるものである。ES を利用するのは専門家

だけでなく、将来的には地層科学研究には従事するものの調査やその計画立案の未経験者が利

用する場合が想定される。ES がなぜ現状の構成になっているのかその意味を未経験者にダイ

レクトに理解してもらうためには事例を示すのが有効ある。

② ES の構成や手順を外れた場合のリスクを理解してもらうものであること:

前述の①に関連するが、ES の構成や手順には意味があり、それを故意に無視した場合、ど

のようなリスクを負う可能性があるのかを理解してもらう必要がある。この理解のためには事

例を示すのが有効であり、現在の ES では事例ベースでしか示すことができない。

③ 可能な限り「想定外」を排除できるものであること:

東北の震災における巨大津波の被害や福島第一原子力発電所の事故では「想定外」の語が目

立った。人が経験できることには限界があり、過去に発生したことであっても時間の経過とと

もにその記憶が風化し、さらには世代が変わるとさらに記憶そのものがなくなってしまう。記

憶がなくなってしまった時点において、非常に稀頻度な事象が発生した場合、その時点で「想

定外」と言われる可能性が高い。専門家が行う調査においても同様で、経験した技術者がいな

くなってしまった段階でその事例の記憶がなくなってしまい、その次にその事例が発生した場

合、それを経験していない技術者や次世代の技術者には「想定外」ととらえられる可能性が高

い。そのような「想定外」を可能な限り軽減するために、可能な限り事例を記録する。

次に、調査対象とする ES 名は「調査計画立案支援に関わる ES」と「調査支援に関わる ES」

に分類されている。調査計画立案支援に関する事例を収集する際に留意すべき観点としては、以

下の 3 項目が挙げられる。

① 調査計画策定時や実施計画策定時において考慮しなければならない法令等及びその対応方

法に関する事例

② 調査計画策定時における調査の優先順位を設定する考え方やその検討方法に関する事例

③ 調査計画策定時及び実施計画策定時における測線等の設定についての考え方、データ取得

間隔、データの評価・解析、及び調査全体の品質管理などに関する失敗や成功に関する事例

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一方、調査支援に関する事例を収集する際に留意すべき観点としては、以下の項目が挙げられ

る。

① 調査の実施時における測線等の設定についての考え方、データ取得間隔、データの評価・

解析、及び調査全体の品質管理などに関する失敗や成功に関する事例

② 上記に①に関連し、表 1 に示す各個別調査の調査中に③の調査計画策定時及び実施計画策

定時とは異なった状況の発生による、調査期間、コスト、安全性などとのトレードオフに関

する事例

ここで、「事例」とは、各個別調査計画時の側線の設定、計測間隔の設定、用地の賃貸借に関

する手続きや、ボーリング孔掘削時の崩壊、湧水、逸水などの具体的な事例を指している。

また、両 ES について調査対象としてそれぞれ「空中調査(計画の策定)」、「地表調査(計

画の策定)」及び「ボーリング調査(計画策定)」が挙げられているが、個別調査の内容は同一

となっている。また、前回調査における経験が次回の調査計画立案に反映されるなど、両者を明

確に分けることが困難な場合も多い。従って、両 ES のうちどちらに属するかについては現段階

(報告書概要版作成段階)においては判断せず「個別調査」の項目に着目し、その項目に従って

事例情報を収集した。

2.2 事例の収集作業方法

事例の収集作業は、原子力機構が作成した報告書、原子力機構以外の研究機関などが公開して

いる報告書に基づく事例収集、調査経験者へのインタビュー、文献調査(学会誌や査読を受けた

もの)の順に実施した。

1) 原子力機構が作成した報告書

原子力機構が作成した調査報告書としては、幌延深地層研究計画の第 1 段階の調査と共同研究

として、18 本のボーリング調査(HDB-1~11 孔、パイロットボーリング調査(1 本)、共同研

究(6 本))、岐阜県土岐市や瑞浪市及びその周辺における広域地下水流動研究や超深地層研究

所計画として、27 本のボーリング調査(MIZ-1,AN-1~3 孔,MSB-1~4 孔、DH-1~15 孔、

MIU-1~4 孔)が挙げられ、これらの調査事例に関しては、それぞれ報告書が作成されている。

しかしながら、本調査の目的には、上記のボーリング調査報告書を参考にしつつ以下の報告書の

記述を有効活用した。

幌延:松井裕哉・佐々木学: “堆積岩を対象とした地上からの深層ボーリング孔掘削事例”, JAEA-

Technology 2006-052, 2006. 東濃:小出馨・池田幸喜・竹内真司・太田久仁雄・坂巻昌工: “超深地層研究所・第 1 段階

(2002 年度-2004 年度)におけるプロジェクト管理の評価と得られた教訓 , JAEA-

Evaluation 2007-001, 2007.

2) 原子力機構以外の機関が作成した報告書

上記では原子力機構が実施した調査において経験した事例について情報を収集していることに

なる。しかしながら、原子力機構以外にも同様の調査を実施している研究機関や企業が存在し、

それらの機関も原子力機構と同様の事例はもちろん、原子力機構が経験していない事例を経験し

ている可能性がある。例えば、財団法人電力中央研究所では独自のボーリング技術の開発を行い、

実証的な調査も行い開発した技術の適用性についての評価も行っている。

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4-10

一方で、前節の表 2-1 の「個別調査」に記された各調査項目は、元来地層科学研究のために開

発されたものではなく、金属、石油・天然ガス、温泉・地熱などの資源開発のための探査目的や

活断層などの地質構造の把握、あるいはトンネルや建築物の建設や安全のための岩盤工学的な研

究のために開発されてきたものが殆どである。地層科学研究ではその所期の目的を達するための

調査のためにそれらの探査技術等を援用している。また、地層科学研究のための技術の援用の際

には、地層科学研究特有の着目点とその探査技術の元々の着目点の差異はあり得るものの、用い

る探査技術の基本的なところにはそれほど大きな差異があるわけではない。例えば、岩芯観察で

は、金属資源探査では鉱脈等の示唆する石英脈の存在や岩石の変質、岩盤工学ではその後のトン

ネル掘削の安全設計のために岩盤等級や RQD、一方地層科学研究においては割れ目の記載など

のように、それぞれの目的に応じて岩芯観察の着目点が異なると考えられるものの、岩芯採取後

適切なコア箱に入れ、カラーチャートとスケールとともに写真を撮影し、地質技術者が観察・記

載を行い、 終的には岩芯地質柱状図を作成するという手順はほぼ共通する。わが国では地層科

学研究に関係する調査が釜石原位置試験を含めると幌延、瑞浪の 3 箇所に限られるが、資源開発

や岩盤工学等の実施は相当量になる。以上ことから、地層科学研究以外の事例も積極的に収集す

ることとした。

但し、地層科学研究では行われることがないと考えられるものについては外すこととした。例

えば、石油・天然ガス調査で行われる大口径、深深度(深度 5,000m クラス)のノンコア掘削は

地層科学研究では行われることはないと考えられる。また、原子力機構以外の機関が実施した調

査については、著作権や守秘義務等に配慮した。

3) 調査経験者へのインタビュー

上記 1)、2)の調査の実績報告書や成果報告書は調査の実績や得られた成果を記載するものであ

るので、調査の所期の目的を達成するために行われる「途中工程」については、JIS などの工程

法、教科書的な手順についての記述はされることはあっても、それ以外の「ノウハウ的な途中工

程」について触れられることはまずない。また、一定の成果が得られるまでに繰り返されたはず

のトライアル・エラーや、想定外のトラブルに起因する失敗事例についても、余程教訓的なもの

でない限り報告書には載せられることがない。これらは調査を実際に経験した技術者だけが知り

うる、所謂暗黙知となってしまっているものがほとんどである。

本調査の目的を達成するためには、そのような暗黙知を掘り起こす必要がある。そのため、上

記 1)、2)の調査業務に直接的に従事した調査経験者からインタビューを行い、事例の収集を行っ

た。調査経験者からインタビューする際は、以下の観点に留意した。

① 調査業務の実際の作業者:例えば、ボーリング調査では試すい機のオペレータの経験者、

岩芯調査では実際に岩芯の調査・記載を行った技術者

② 調査業務の監督者:例えば、ボーリング調査では実際には試すい機等のオペレーションは

しないものの、現場において調査業務を統括した技術者

③ 調査業務の発注側担当者:例えば、ボーリング調査では、業務を発注する際に仕様書等の

起案を担当した技術者

上記の 3 者については、一人の技術者が経験を重ね①から②の立場になる場合があり得、さら

には転勤等により③の立場も経験する可能性がある。①の立場の技術者は調査業務の深いレベル

のノウハウを所有し得るが、他の調査業務との調整といった広い視野の調整などは②の立場の技

術者の方が経験していることになる。さらに③の立場の技術者は例えば地層科学研究の全体的な

研究目的、あるいは資源開発の 終目的等に立脚した視点を持っている。これら 3 つの観点はそ

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4-11

れぞれがオーバーラップする場合があり得厳格に分類できるものではないが、立場の違いによる

判断の差異等を把握することにより、より効率的な調査計画立案や円滑な現場調査実施の一助に

なるものと考えられる。

また、原子力機構以外の機関の調査を対象とする場合、守秘義務などの技術者倫理に配慮した。

4) 文献調査

ここでいう文献とは、上述した「原子力機構が作成した報告書」および「原子力機構以外の研

究機関が作成した報告書」以外のものを指す。例えば、論文や書籍や講習会等のテキストが含ま

れる。本調査では、特に書籍や講習会等のテキストに着目して情報を収集した。

書籍については、いわゆる「教科書的」といわれる一般論的な内容となっている場合が多い、

しかしながら、この「教科書的」内容はその分野の専門家にとっては教科書的、すなわち常識的

な内容であっても、その分野以外の専門家にとっては必ずしも常識的な内容でではないことが

多々ある。また、上述の「報告書」については、各分野の報告内容はその分野の専門家が執筆す

るのは通常であり、その場合、教科書的な内容までは触れられないことになる。例えば、地下水

中の鉄イオンは Fe2+と Fe3+の 2 種類があり得るが、原子吸光分析法を採用した場合、地下水中

の Fe2+と Fe3+の総量、すなわち全鉄として定量可能であるが、Fe2+と Fe3+のそれぞれを定量し

たい場合は別の分析手法が必要になる。このようなことは地下水分析法の書籍には書かれており

地下水の分析の専門家にとっては常識的なことであるが、専門外の者、例えば物理学系の専門家

にとっては教えてもらわないと気付かないことかもしれない。

一方、近年はコンピュータシステムやプログラム等の発達により、自動的に測定結果、計算結

果や解析結果が示されるようになってきている。そのため、専門的な知識が乏しく、原理等を理

解できていなくても何らかの測定、あるいは数値や条件を入力すると、何らかの結果が出てくる。

例えば、データ間の相関関係を把握するのに回帰直線を引き相関係数を計算することが多い。こ

の作業は、旧来は原理にしたがって一々計算したものであるが、現在は例えば MicroSoft 社製の

Excel 等のグラフ作成を用いると瞬時に算出できる。また、先に挙げた原子吸光分析法による鉄

イオンの分析についても、分析原理を知らなくても機器の操作ができれば全鉄としての分析結果

を得ることができる。しかしながら、分析原理を知るとなぜ全鉄でしか定量できないか、Fe2+と

Fe3+のそれぞれを定量する必要があるとき、どのような分析方法が適切かを判断できるようにな

るであろう。

教科書的な内容は、何らトラブルがなく進んでいる場合は必要とされない知識かもしれないが、

異常が生じたときその原因を探るためには原理まで立ち返る必要が生じるかもそれないし、計画

段階でそのようなことを生じさせないためにも教科書的な内容も必要と考える。但し、あまりに

初歩的な事項についてまで載せると煩雑になるため、大学の一般教養レベルではなく、大学ある

いは大学院における専門課程程度からの知識を載せることとした。

講習会等のテキストについては、特に地熱開発のためのボーリングでは作成された時期がある。

これは地熱開発に携わった各社がまだ経験が浅かった時期、掘削工事のトラブル情報、その対処

法や考えられるトラブル回避法を共有することにより、工事の安全を期したものである。これら

の知識は地熱開発のためのものであるため、必ずしも全て地層科学研究に適用できるものではな

いが、例えば明らかに地熱開発に限定されるもの-例えば;高温が原因-であるもの以外は、地

層科学研究においても有用な情報となる可能性があるため、情報を収集した。

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4-12

2.3 事例の整理

2.2 において収集した事例は、表 2-2 に従い項目ごとに分類してまとめた。

表 2-2 収集事例の整理項目

項目 取りまとめにあたっての留意点

ES 名 ・「調査計画立案支援に関わる ES」もしくは「調査支援に

関わる ES」に分類

調査対象 ・「空中調査計画の策定」、「地表調査計画の策定」、「ボ

ーリング調査計画策定」、「空中調査」、「地表調査」及

び「ボーリング調査」に分類 個別調査項目 ・表 2-1 に示す個別調査項目に分類

事例名称 ・事例ベースとして検索しやすい名称を用い、類似する事例

は同じ名称としつつ通し番号などを付加

調査の目的 ・地質環境モデル構築、地質環境モデルの妥当性確認と更

新、地質環境調査技術開発などの目的を報告書の記載に基

づいて分類し、具体的に記述 調査の概要 ・調査の実施内容と結果を簡潔に記述

調査項目と方法 ・調査の実施項目と方法を記述 ・図や表があれば、記述

課題 ・課題があれば、簡潔に記述

知識レベル ・教科書に示される調査・解析手法のような知識レベル(浅

い知識)の情報や、調査実施者の経験に基づくノウハウや

判断根拠のような知識レベル(深い知識)に分類

事例の発生日時 ・事例が発生した日時を記述 ・非公開情報に関しては、未記入とする

事例の発生個所 ・事例が発生した場所、深度などを記述 ・非公開情報に関しては、未記入とする

事例の概要 ・事例の概要について可能であれば図表等を使用する ・非公開情報を収集した場合は、一般的な事例などに整理す

るなど工夫して公開可能な情報とする

事例が発生した原因 ・事例が発生した原因をわかりやすく示す ・非公開情報を収集した場合は、一般的な事例などに整理す

るなど工夫して公開可能な情報とする

事例への対応 ・事例への対応をわかりやすく示す ・非公開情報を収集した場合は,一般的な事例などに整理す

るなど工夫して公開可能な情報とする

事例への対応結果 ・事例への対応結果をわかりやすく示す ・非公開情報を収集した場合は、一般的な事例などに整理す

るなど工夫して公開可能な情報とする

ノウハウ・判断根拠

・ノウハウ・判断根拠について図表を多用して、わかりやす

く示す ・非公開情報を収集した場合は、一般的な事例などに整理す

るなど工夫して公開可能な情報とすること

参考文献 ・参考にした資料名(インタビュー、図書、文献、報告書、

HP など)

キーワード ・各個別調査において一般的に使用される用語を 5 件程度記

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4-13

ここで、事例収集・整理の留意点等について詳述する。

事例収集に際しては、表 2-1 に挙げた各項目について可能な限り事例数に偏りなく収集するこ

とに留意した。しかしながら、計画立案段階での事例は少ないこと、今まで実施回数の多寡、技

術的に失敗等が認識しにくいものの差があり、収集した事例数には少なからず偏りは生じた。

計画立案と実施に関しては、圧倒的に実施事例の方が多い。そのため、計画立案の事例は少な

く実施事例の方が多いという偏りは生じている。しかしながら、実施事例の一部は、次期計画段

階での留意点として計画立案段階に反映できるものもあり、そのようなものは計画立案の事例と

してリンクできるように留意した。実施回数の多寡の例としては、空中調査ではリモートセンシ

ングは一般的に実施されるが、空中物理探査は費用の面から実施される頻度は低くなる。また、

ボーリング調査においても 1 本のボーリング孔を利用するものは実施される頻度は高いが、複数

のボーリング孔を利用して行われる孔間トモグラフィなどは実施頻度が低い。一方、リモートセ

ンシングはデータの重ね合わせ等の技術のノウハウはあるものの、トライアル・アンド・エラー

を重ねて必要な情報を可視化していく技術であるので、技術的な失敗は認識しにくい技術である。

他方、表 2-1 では個別調査として挙げられた項目間で共通する事例も少なからずあった。例えば、

地上探査では、電気探査、電磁探査が挙げられているが、これらの技術は電極の設定など共通す

る場合もある。上記の結果、収集した事例の割合は表 2-3 のようになった。

事例整理に際しては、本調査目的から表 2-2 の項目のうち「調査の目的」、「調査の概要」、

「調査項目と方法」、「事例の概要」、「事例が発生した原因」、「事例への対応」、「事例へ

の対応結果」および「ノウハウ・判断根拠」を重要整理項目とした。特に「事例の概要」以降 5

つの項目について重視し記述した。また、重要整理項目を並べると一連のストーリー性を持つよ

うな記述になるよう配慮した。一方、「事例の発生日時」および「事例の発生箇所」については、

原子力機構の報告書等公開情報となっている場合は記入するものの、専門家インタビューで得ら

れた非公開情報に関しては、未記入とした。同様に、重要整理項目についても専門家インタビュ

ーで得られた非公開情報もあるが、これらを未記入とすると本調査の所期の目的が達成できない

ので、一般的な事例などに整理するなど工夫して公開可能な情報とした上で記入した。このよう

な事例整理の例を表 2-4 に示す。この事例は、地熱開発における掘削泥調査についての専門家イ

ンタビューの例であるが、インタビューの際には「事例の発生箇所」や「事例の概要」では具体

的な地層名などが出てきたものの、非公開情報であるため「事例の発生箇所」については未記入

とし「事例の概要」では具体的な地層名ではなく抽象的な岩石とするなど一般論化を図っている。

本調査では報告書や文献による情報よりも結果的に専門家インタビューの比重が大きくなったた

め、表 2-4 に示したうようなパターンの情報が多くなっている。表 2-4 に事例整理の例として掘

削泥調査の事例を示す。また、巻末に収集した事例を添付した。

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4-14

表 2-3 収集した情報の割合

カテゴリー 個別調査 割合(%)

リモートセンシング リモートセンシング 5

空中調査 空中電磁探査

空中磁気探査

空中放射能探査

空中重力探査

5

地表物理探査 電気探査

電磁探査

弾性派探査

12

ボーリング掘削 ボーリング掘削 30

試すい地質調査 岩芯地質調査

掘削泥調査 15

孔内検層関連 孔壁画像調査

物理検層

VSP 探査

流体検層

5

孔間トモグラフィ 孔間トモグラフィ探査 1

孔内力学 坑内力学試験 2

コア試験・分析 岩芯の室内調査・分析 10

地下水水質・分析 地下水採水調査 10

水理試験関係 水理試験

長期地下水モニタリング 5

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4-15

表 2-4 収集事例の整理の例

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査による岩石鑑定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

地熱開発井において、ターゲットとした地層中を掘削しているのか、そ

れともその地層は既に通り過ぎてさらに深い基盤岩(結晶質岩)に逢着

したのかが掘削工事中は判断つかなかった。結果的には基盤岩には到達

していなかったことが判明した。

事例が発生した原因

過去に掘削した他の坑井地質の事例より、結晶質岩が緑色変質する場合

があることが分かっていた。また、その上位に分布する火山砕屑岩に白

色の脈石が多く含まれ、それが白色の石英が多かったことから、細粒の

カッティングスだけでは判定がつかなかった。

事例への対応

掘削中のカッティングスの実体顕微鏡観察では判定がつかなかったが、

後日カッティングスの岩石薄片観察によって岩石名を判定した。一方、

上位に分布する火成岩と結晶質岩では、掘進率と帯磁率に差があること

が判明。次期調査からは掘削記録から掘進率のデータを入手するととも

に、携帯型帯磁率を用いてカッティングスの帯磁率を測定することとし

た。

事例への対応結果 上記の対応を取ることにより、カッティングスによる地層区分がしやす

くなり、掘削後に実施される比抵抗検層との整合性も向上した。

ノウハウ・判断根拠 ・出現が予想される岩石を地表あるいは初期に行われる岩石コアを観察

し、岩石を把握しておくことが望ましい。但し、コアとカッティング

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4-16

スでは見かけに相違が生じることに留意すべき。 ・掘削データは非常に有効であるが、特に掘進率は使用するビットの種

類、ビットの使用時間、ビット荷重に依存するので、そのような情報

の総合的な判断が必要とされる。 ・掘削データは地質の判定等に有用になることが多いので、可能な限り

取得しておくべき。 ・帯磁率測定は岩石の厚さ等に依存するので、可能な限り同じ条件にな

るように留意する。 参考文献 ボーリング調査技術者(経験年数 20 年)へのインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-17

3. ES の改良作業

ES の改良作業として前章において収集した事例を、「調査計画立案支援に関わる ES」と

「調査支援に関わる ES」に連携(リンク)させる以下の作業を実施した。作業手順は以下のと

おりである。

(1) 前章において収集・整理した事例の ES の事例ベースへの登録作業を、指定されたインタ

ーネットのホームページから実施した。

(2) 事例ベースに登録した事例を、表 2-1 及び 2-2 に示す「ES 名」、「調査対象」及び「個

別調査項目」に基づき、該当する ES とリンクさせた。

(3) 取りまとめた事例について、表 2-2 に示す「事例名称」、「事例の概要」、及び「ノウハ

ウ・判断根拠」と同じ ES と、既存の各個別調査に関するタスクフローや IF-THEN の判

断根拠に記述されたキーワードによりリンクさせた。なお、キーワードは、既存の ES の

全文検索により実施した。

(4) 収集・整理した事例に対応する項目が存在しない場合は、関連する ES を構築した上で(2)、

(3)と同様の方法により事例とリンクさせた。

(5) 事例とのリンクを図った「事例名称」、「事例の概要」、及び「ノウハウ・判断根拠」が

同じ ES であること、キーワードによる事例の検索が、既存の各個別調査に関するタスク

フローや IF-THEN の判断根拠と対応していることを確認した。

なお、登録結果については、ES の事例ベースを参照のこと。

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4-18

表 1-1 リモートセンシング事例シート

整理番号 1

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 スペクトル(比演算、ログ・レシージュアル法)

調査の目的 衛星画像データから地表の岩石の変質鉱物を抽出することで、地表の鉱

化や熱水に伴う変質帯を抽出する。

調査の概要 衛星画像データを用いて、そのバンド特性(短波長赤外域データ)にお

ける変質鉱物の吸収特性から、地表の鉱化及び熱水に伴う変質帯を抽出

する。

調査項目と方法

・ 特定の変質鉱物の吸収バンド特徴を抽出するために、バンド間で比

演算処理を実施して、ターゲットとする変質鉱物の分布を抽出す

る。 ・ ログ・レシージュアル処理を施し、ピクセル単位でバンド間の相対

的なスペクトルの変化を用いてターゲットとする変質鉱物との比較

を行う。

課題 衛星画像におけるバンド間の相対的な値(DN 値)の変化と実際のター

ゲットの変質鉱物との吸収特性が一致するかどうかの検討 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ 比演算処理を行ったが、上手くターゲットの鉱物を抽出できない。 ・ ログ・レシージュアル処理を行ったが、バンド間の相対変化が想定

した変質鉱物の吸収と一致しない。

事例が発生した原因

・ 大気補正を行っていない(反射率になっていない)ことにより、バ

ンド間での相対関係が必ずしも地表の反射率を示していないことに

よるエラーがある。 ・ 画像の空間分解能に対してターゲットが小さすぎる場合、地表の広

い範囲での物質の吸収特性の平均値となるため、対象とする変質鉱

物が狭い範囲で分布する場合に検出できない。 ・ 対象とする鉱物の吸収ピークが利用する衛星のバンドに合っていな

い。 ・ ログ・レシージュアル処理を行う場合、解析対象とする地域につい

て植生が広く分布している場合は植生の影響が処理に強く影響する

ため、バンド間の相対関係が正しく表現されない。

事例への対応

・ 大気補正を行う。 ・ ターゲットとする変質帯の規模に応じた空間分解能を有する衛星デ

ータを使用する。 ・ ターゲットとする変質鉱物が持つ吸収特徴を捉えられるスペクトル

分解能を有する衛星データを使用する。 ・ ログ・レシージュアル処理を行う場合には予め NDVI 処理を行い植

生をマスクした上でログ・レシージュアル処理を実施する。 事例への対応結果 想定した変質鉱物が分布する地域の抽出が可能となる。

ノウハウ・判断根拠 大気補正処理手法、衛星データの仕様の理解、NDVI 処理、比演算処

理、ログ・レシージュアル処理に対する処理内容の理解 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード 比演算処理、ログ・レシージュアル処理、大気補正、NDVI 処理

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4-19

表 1-2 リモートセンシング事例シート

整理番号 2

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 スペクトル(SAM 法)

調査の目的 衛星画像データから地表の岩石の変質鉱物を抽出することで、地表の鉱化

や熱水に伴う変質帯を抽出する。

調査の概要 衛星画像データを用いて、そのバンド特性(短波長赤外域データ)におけ

る変質鉱物の吸収特性から、標準的な鉱物の吸収特性と衛星画像データの

DN 値を比較して鉱物を同定し、変質帯を抽出する。

調査項目と方法

・ 衛星画像データの個々のピクセルの値から求められるベクトルと、タ

ーゲットとするエンドメンバーの鉱物の標準的なスペクトル(USGSスペクトルライブラリーを使用)とのベクトルのなす角度を一致度と

してエンドメンバーの鉱物とのなす角度がある閾値より小さい場合に

ターゲットとする鉱物が含まれるとする(SAM 法)。 ・ 複数のエンドメンバーを想定し、それらの相対的な混合比を算出す

る。

課題 ・ エンドメンバーの鉱物として何を選択するのかの検討 ・ 相対的な鉱物構成比が現実の鉱物構成比を正しく反映するかどうかの

検討 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ エンドメンバーとしている鉱物がうまく抽出されない。 ・ 実際に現地で確認される鉱物と一致しない。

事例が発生 した原因

・ 大気補正を行っていない(反射率になっていない)もしくは不十分で

あることにより、バンド間での相対関係が必ずしも地表の反射率を示

していないことによるエラーが生じる。 ・ 画像の空間分解能に対してターゲットが小さすぎる場合、地表の広い

範囲での物質の吸収特性の平均値となるため、対象とする変質鉱物が

狭い範囲で分布する場合に検出できない。 ・ 対象とする鉱物の吸収ピークが利用する衛星のバンドに合っていな

い。 ・ 吸収特徴が強い鉱物に紛れて対象とする鉱物の吸収ピークの情報が埋

もれている。多くの鉱物が混合していてエンドメンバーにマッチング

できない。 ・ 想定したエンドメンバーが現地での鉱物構成と異なる場合、誤った鉱

物構成比として検出される。

事例への対応

・ 大気補正を行う。 ・ ターゲットとする変質帯の規模に応じた空間分解能を有する衛星デー

タを使用する。 ・ ターゲットとする変質鉱物が持つ吸収特徴を捉えられるスペクトル分

解能を有する衛星データを使用する。 ・ 現地での変質鉱物等の情報を予め十分に収集しておき、適切なエンド

メンバーを選択する。 事例への対応結果 想定した変質鉱物が分布する地域の抽出が可能となる。

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4-20

整理番号 2

ノウハウ・ 判断根拠

大気補正処理手法、衛星データの仕様の理解、SAM 法に対する処理内容

の理解 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー

キーワード SAM 法、大気補正

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4-21

表 1-3 リモートセンシング事例シート

整理番号 3

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 リニアメント判読(光学センサー)

調査の目的 衛星画像データからリニアメントを判読することにより、地表付近にお

ける応力場の解析や断裂系、断層構造等対象とする地域の地質構造を捉

えるためのデータとする。

調査の概要

衛星画像データのうち光学センサー画像(LANDSAT、ASTER 等)を

用いて、その地形特徴からリニアメントを判読する。判読したリニアメ

ント情報について、方位別に統計処理し、地表付近の応力場の解析を行

う。また、既存地質情報と対比し、かつ地表踏査によりリニアメントと

断層などの地質構造との関係を検討する。

調査項目と方法 ・ 衛星画像の可視バンドを用いて、空間分解能に合わせた適切なスケ

ールで印刷し、その地形特徴からリニアメントを判読する。

課題 ・ リニアメントの定義の認識 ・ 地質構造と関連するリニアメントの識別

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ リニアメントをマニュアル(手作業)で判読したところ、人によっ

てリニアメントの本数が極端に異なる。

事例が発生した原因

・ 人の目で判別するために、僅かな線特徴でもリニアメントとする人

と、断層を想定して慎重に引く人とでリニアメントと判別するもの

が異なる。場合によってはモザイク画像の境界をリニアメントとし

てしまう場合がある。

事例への対応

・ 複数の技術者が同じ地域を分割して判読する場合、予め判読の基準

を統一するために目あわせを行う。 ・ 画像データ処理を行った技術者が、画像の処理上の問題(モザイク

処理による画像間の輝度の違いなどの情報)を判読技術者に伝え

る。

事例への対応結果 対象地域全体で統一した基準に基づくリニアメント判読が行われる。ま

た、データ処理上生じる画像上の線的な特徴をリニアメントと判読する

ような誤りが減る。

ノウハウ・判断根拠 画像からのリニアメント特長の認識。画像の事前処理(モザイク等)に

よる画像処理上の人為的な画像特徴への理解。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード リニアメント、モザイク処理

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4-22

表 1-4 リモートセンシング事例シート

整理番号 4

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 熱赤外データの利用(地表面温度データ)

調査の目的 熱赤外データから地表面温度を推定し、それぞれのピクセルが有する温

度の違いから、表層地質の違いを推定する。

調査の概要

衛星画像データのうち、熱赤外域に観測波長帯を持つデータ

(LANDSAT データ、TERRA/ASTER データなど)を用いて地表面温

度を推定する。推定された温度分布と表層地質の違いを対比し、対象地

域のより詳細な表層地質の違いを推定する。

調査項目と方法

・ LANDSAT データではバンド 6、TERRA/ASTER データではバンド

10~14 のデータに対して大気補正を適用し、地表面における熱放射

を求める。 ・ 地表面における熱放射を、分光放射率データと地表面温度データに

分離する(温度-放射率分離、T-E 分離)。 ・ 推定された温度データについて、データ取得時の太陽高度から太陽

光の地表入射角と地表面温度との関係を求め、両者の回帰式から太

陽光の入射角補正を施す。 ・ 補正された地表面温度データと表層地質とを対比し、地表面温度と

表層地質との間に関係が見出された場合には、地表面温度データよ

り対象地域のより詳細な表層地質の違いを検討する。

課題

・ 大気補正や T-E 分離を適用し、熱赤外データより分光放射率および

地表面温度を適切に導出する。 ・ 岩石の熱伝導率は、構成鉱物の種類とその割合、孔隙率、岩石中に

含まれる液体や気体の飽和率により異なることが知られている。推

定される地表面温度より、これらの違いに基づく岩相識別を試みる 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ 昼間に観測された TERRA/ASTER データを用いて地表面温度を推定

し、太陽光の入射角を考慮した補正計算を施した上で、岩相識別を

試みるも、有意な地表面温度の違いを抽出することができなかっ

た。

事例が発生した原因 ・ 地表面温度には、太陽光の入射角の影響に加えて、標高の影響(気

温逓減率)も受けていることから、標高に対する補正も必要であ

る。

事例への対応

・ 太陽光の影響をあまり受けない夜間観測データを用いて、大気補正

および T-E 分離により地表面温度を推定し、標高と地表面温度の関

係より気温逓減率を算出する。算出された気温逓減率を用いて、昼

間観測データに対して標高補正を適用する。

事例への対応結果

・ 夜間観測データを用いることで、太陽光の影響を抑制し、岩相毎の

湧粋な地表面温度の違いを抽出することができ、標高と地表面温度

の関係を明らかにすることができた。 ・ 昼間と夜間観測データの地表面温度の差をとることで、岩石・鉱物

の熱への応答(熱慣性)の違いより、表層地質の詳細区分が可能と

なる。

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4-23

整理番号 4

ノウハウ・判断根拠 ・ 熱赤外データの大気補正、T-E 分離に関する知識。 ・ 標高データの取り扱い。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる キーワード 熱赤外データ、大気補正、T-E 分離、標高データ、気温逓減率、熱慣性

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4-24

表 1-5 リモートセンシング事例シート

整理番号 5

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 植生活性度による土地区分

調査の目的 地下水流動モデル解析に利用する入力データとして蒸発散量を面的に求

める必要があり、蒸発散量計算のために必要な情報として地表の土地区

分を衛星画像データから推定する。

調査の概要 衛星画像データの可視及び近赤外バンドを用いて NDVI(標準化植生活

性度指数)を計算し、その違いから地表の土地区分を行う。

調査項目と方法 ・ LANDSAT の DN 値を放射輝度に変換する。 ・ Band3 と Band4 を用いて(B4-B3)/(B4+B3)から NDVI を計算する。

・ 計算された NDVI から土地区分を行う。

課題 ・ 放射輝度への変換が適切か。 ・ 植生活性度が地表の土地区分を正しく反映しているか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 一時期のデータだけを用いた場合では、データが取得された時期の地表

植生の活性度は反映しているが、季節の違いにより地表植生が大きく変

化するため、一時期のデータだけでは詳細に区分できない。 事例が発生した原因 ・ 一時期のデータのみを使用したため。

事例への対応 植生が比較的繁茂している春から夏のデータと、植生が少なくなる秋か

ら冬にかけての少なくとも二時期のデータについて NDVI を計算してそ

の季節変動を見ることにより詳細な土地区分が可能となる。

事例への対応結果 NDVI の季節による変化は、山林であれば常緑樹と落葉樹の区分、平野

部では裸地、畑、田等の違いについて詳細に区分できる。

ノウハウ・判断根拠 放射輝度値への変換手法、NDVI の計算手法。複数の時期の NDVI の変

化と地表植生の変化との対応に関する知識。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード 放射輝度、NDVI、土地区分

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4-25

表 1-6 リモートセンシング事例シート

整理番号 6

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 SAR データによる地表特徴の判読

調査の目的 SAR(合成開口レーダー)画像を用いて地表特徴(レーダーの散乱特

徴)から地表の状況(植生、地質等)を推定する。

調査の概要 SAR 画像は能動型の衛星であり、地表に照射した電磁波の散乱エネルギ

ーを観測する。散乱の程度は地表の凹凸と強い関係があり、レーダーの

強度画像から地表特徴を判読することができる。

調査項目と方法

・ PALSAR データ(L-バンド合成開口レーダー)の強度画像の輝度の

違いから、地表の電磁波の散乱特性の違いを読み取り、地表特徴と

して識別する。 ・ 識別された地表特徴に基づいて現地踏査を実施し、判読された散乱

特性の特徴と実際の地表特徴とを対比し、地表の状況を推定する。

課題 ・ レーダーの散乱特性が地表のどのスケールでの特徴を反映している

か。 ・ 地表地物の物性(誘電率)との関係はどうか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ 生のレーダー画像から地表特徴の判読を行おうとしたが、SAR 特有

のスペックルノイズのため地表特徴が良く分からない。 ・ オルソ(正投影)画像になっていないため、レーダー特有のフォア

ショートニングにより標高の違いによる位置のずれが生じ、判読し

た結果と地図上の位置にずれが生じる。

事例が発生した原因 ・ スペックルノイズ低減処理を行っていない。 ・ オルソ(正投影)処理を行っていない。

事例への対応

・ スペックルノイズ低減のためのフィルタとして簡単なメジアンフィ

ルタを初め、エッジ保存型フィルタ(Lee-Sigma)など画像特徴を

損なわない空間フィルタを施す。 ・ オルソ(正投影)処理を行うか、特殊プロダクトとして提供されて

いるオルソ化された画像を使用する。 ・ 同じ場所で多時期に取得された画像を単純に足し合わせるスタッキ

ング処理も効果的である。

事例への対応結果 ノイズが低減され、散乱強度の違いによる地表特徴の判読が容易にな

る。

ノウハウ・判断根拠 スペックルノイズ低減のための空間フィルタの選択、オルソ(正投影)

処理、スタッキング処理手法。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー

キーワード SAR データ、スペックルノイズ、メジアンフィルタ、エッジ保存型フィ

ルタ、オルソ(正投影)処理、スタッキング処理

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4-26

表 1-7 リモートセンシング事例シート

整理番号 7

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 SAR データによる地表特徴の判読(2 偏波)

調査の目的 2 偏波の SAR(合成開口レーダー)画像を用いて地表特徴(レーダーの

散乱特徴)から地表の状況(植生、地質等)を推定する。

調査の概要

SAR 画像は能動型の衛星であり、地表に照射した電磁波の散乱エネルギ

ーを観測する。散乱の程度は地表の凹凸と強い関係があり、レーダーの

強度画像から地表特徴を判読することができる。2 偏波 SAR データは

HH と HV データからなり、それぞれ地表の凹凸に対する散乱特性が異

なることから、単偏波(HH)のみの画像よりも地表区分の能力が高

い。

調査項目と方法

・ PALSAR データ(L-バンド合成開口レーダー)の 2 偏波(FBD)強

度画像からフォールスカラー画像を作成し、それぞれの偏波の輝度

の違いから表現される色の違いから、地表の電磁波の散乱特性の違

いを読み取り、地表特徴として識別する。 ・ 識別された地表特徴に基づいて現地踏査を実施し、判読された散乱

特性の特徴と実際の地表特徴とを対比し、地表の状況を推定する。

課題 ・ レーダーの散乱特性が地表のどのスケールでの特徴を反映している

か。 ・ 地表地物の物性(誘電率)との関係はどうか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ HH と HV では捉えている地表特徴が異なるため、それぞれに別の

色を割り付けると色彩のある画像になるが、HH と HV がどのよう

なターゲットで散乱した場合に散乱が強く或いは弱くなるかという

基礎情報が少ないため、現状では地表状態を推定することが難し

い。

事例が発生した原因 レーダーの各偏波画像の散乱特性と地表特徴との関係について光学セン

サーのようにターゲットごとの散乱特徴を示すデータライブラリが無

い。

事例への対応 ・ レーダーの散乱特性と地表ターゲットの形状(表面状態)との関係

についてのデータベースが必要である。 ・ 異なる偏波による散乱特性の違いも把握する。

事例への対応結果 2 偏波 SAR データによるフォールスカラー画像により地表散乱特性の違

いに基づく地表物質の識別が可能となる。

ノウハウ・判断根拠 ・2 偏波 SAR とターゲットの表面形状の関係に関する知識 ・SAR の偏波に関する知識

参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード SAR データ、2 偏波

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4-27

表 1-8 リモートセンシング事例シート

整理番号 8

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 SAR データによる地表特徴の判読(フル偏波)

調査の目的 フル偏波(4 偏波)の SAR(合成開口レーダー)画像を用いて地表特徴

(レーダーの散乱特徴)から地表の状況(植生、地質等)を推定する。

調査の概要

SAR 画像は能動型の衛星であり、地表に照射した電磁波の散乱エネルギ

ーを観測する。散乱の程度は地表の凹凸と強い関係があり、レーダーの強

度画像から地表特徴を判読することができる。フル偏波 SAR データは

HH、HV、VH、VV データからなり、それぞれ地表の凹凸に対する散乱

特性が異なることから、単偏波(HH)のみの画像よりも地表区分の能力

が高い。

調査項目と方法

・ PALSAR データ(L-バンド合成開口レーダー)のフル偏波(FBP)強

度画像からフォールスカラー画像、アルファ・エントロピー処理、簡

単散乱体分解処理等を作成し、それぞれの処理結果の情報から表現さ

れる違いから、地表の電磁波の散乱特性の違いを読み取り、地表特徴

として識別する。特に、偏波シグネチャ・ダイヤグラムのターゲット

散乱体に対する特徴の違いを比較することにより地表地物の特徴を識

別する。 ・ 識別された地表特徴に基づいて現地踏査を実施し、判読された散乱特

性の特徴と実際の地表特徴とを対比し、地表の状況を推定する。

課題 ・ レーダーの散乱特性が地表のどのスケールでの特徴を反映している

か。 ・ 地表地物の物性(誘電率)との関係はどうか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ アルファ・エントロピー処理や簡単散乱体分解処理などでは、ターゲ

ットの散乱体をモデル化してターゲットの典型形状が散乱にどの程度

寄与しているか、ある程度想像は出来るが、実際にどのようなターゲ

ットで散乱した場合に散乱が強く或いは弱くなるかという基礎情報が

少ないため、現状では地表状態を推定することが難しい。

事例が発生 した原因

・ レーダーの各偏波画像の散乱特性と地表特徴との関係について光学セ

ンサーのようにターゲットごとの散乱特徴を示すデータライブラリが

無い。

事例への対応 ・ レーダーの散乱特性と地表ターゲットの形状(表面状態)との関係に

ついてのデータベースが必要である。 ・ 異なる偏波による散乱特性の違いも把握する。

事例への対応結果 フル 2 偏波 SAR データによる各種処理画像及び特定のターゲットエリア

のデータにより作成されるシグネチャ・ダイヤグラムにより地表散乱特性

の違いに基づく地表物質の識別が可能となる。

ノウハウ・ 判断根拠

・フル偏波 SAR とターゲットの表面形状の関係に関する知識 ・SAR の偏波に関する知識 ・フル偏波 SAR データの各種処理手法とその原理に関する知識

参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー

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4-28

整理番号 8

キーワード SAR データ、フル偏波、アルファ・エントロピー処理、簡単散乱体分解

処理、シグネチャ・ダイヤグラム

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4-29

表 1-9 リモートセンシング事例シート

整理番号 9

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 インターフェロメトリによる地表変動観測

調査の目的 SAR(合成開口レーダー)データを用いたインターフェロメトリ処理に

よって微小な地表の変動を推定する。

調査の概要

SAR 画像は能動型の衛星であり、地表に照射した電磁波の散乱エネルギ

ーを観測する。その際に位相情報も取得されるため、異なる時期に同じ

場所を観測したデータを互いに干渉させることで、データを取得した期

間に生じた地表の微小な変動(活断層に伴う地表変動や、地下水の利用

等人工的な変動など)を捉える。

調査項目と方法

・ 対象地域で複数の時期に取得された PALSAR データを用いて、適当

な時期の間隔で互いに干渉させる。 ・ 同時に DEM を利用して擬似的な SAR データを作成し、そのデータ

との差分を取り地形縞を除去するなどの処理を行い、互いの時期の

間の変動を検出する。

課題 ・ 2 つの時期の SAR データが適切に干渉するか。 ・ 地表の状態が 2 つの時期で大きく異ならないか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ 複数の時期の SAR データを用意したが上手く干渉せず、期待したよ

うな変動を抽出できない。

事例が発生した原因

・ SAR データの軌道情報の信頼性が低いため、軌道間距離が離れすぎ

ていると干渉しない。また、大気や電離層の状態による位相のずれ

なども影響する。 ・ 地表に積雪などがあったり、植生が多い場所においては散乱ターゲ

ットとの間の距離が季節によって異なるため干渉しない。

事例への対応

・ SAR データの軌道間距離を正確に把握するため、干渉させた情報か

ら逆算することにより求め、適切な軌道間距離をもったデータペア

を利用する。 ・ 電離層の状態を把握するため、地磁気観測情報や太陽活動情報など

も考慮してデータを選定する。 ・ 地表の状態がなるべく異ならない時期のデータを選定する。積雪時

期のデータは使用しない。 事例への対応結果 適切な干渉縞が得られ、地表の微小な変動を捉えることが可能となる。

ノウハウ・判断根拠 基本的な SAR データ処理の知識。SAR データの干渉と DEM からの擬

似 SAR データ作成技術。干渉データから軌道間距離を逆算する手法。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー

キーワード SAR データ、インターフェロメトリ、軌道情報、軌道間距離、干渉、擬

似 SAR データ

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4-30

表 1-10 リモートセンシング事例シート

整理番号 10

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 DEM による地質構造抽出

調査の目的 DEM(Digital Elevation Model)を使って広域的な地質構造を抽出す

る。

調査の概要 DEM を利用して傾斜量、開度、陰影などの処理画像を合成し、細かい

地形特徴を強調することで、光学センサーなどでは判別できない細かい

地質構造を抽出する。

調査項目と方法

・ DEM からの傾斜量、開度、陰影図を作成する。 ・ 作成した各画像に適切な画像強調処理を施してカラー合成し、構造

判読に資する画像を作成する。 ・ 作成した画像から地質構造を判読・抽出する。

課題 ・ 使用する DEM の仕様が対象地域の構造抽出に適したものか。 ・ DEM にノイズが乗っていないか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ 対象地域が非常に広範囲(数百 km 四方以上)である場合、大きな

構造が判読できなくなる。 ・ ASTER の GDEM では平野部でノイズが多いシーンがあり判読が難

しい場合がある。 ・ SRTM では急峻な山間部で DEM に欠損がある。

事例が発生した原因

・ 広い範囲(数百 km 四方)を細かい DEM(空間分解能が数十m程

度) で解析しようとする場合、小規模の河川や細かい地表の凹凸が

ノイズとなって大きな構造が見えなくなる。 ・ ASTER GDEM では画像特徴の変化が少なく均質な平野部では直下

視と後方視の立体視がうまく相関しない場合があるため、本来の標

高を取得できていない可能性がある。 ・ SRTM ではレーダー波が地表に斜めから照射されるため、影になる

部分が生じる(レイオーバー)。そのため DEM の欠損が発生する。

事例への対応

・ 広い範囲を対象として DEM による構造解析を行う場合は、平滑化

フィルターを適用することで細かい構造を抑え、大きな構造を見や

すくする。 ・ ASTER GDEM では平野部ではメジアンフィルターを施してノイズ

の低減を図る。 ・ SRTM のデータ欠損については、ASTER GDEM で補うか若しくは

回りのデータから内挿補間して欠損を補う。 事例への対応結果 地質構造が明瞭になり判読に適した画像となる。

ノウハウ・判断根拠 DEM の処理技術(傾斜量、開度、陰影等)、フィルター処理技術、各

DEM の生成方法に関する知識とそれに伴う特性の理解。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー

キーワード DEM、ASTER GDEM、SRTM、平滑化フィルター、メジアンフィルタ

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表 1-11 リモートセンシング事例シート

整理番号 11

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 画像データのモザイク時の処理レベルの選定 調査の目的 複数の ASTER 画像を用いて地質判読および変質帯抽出解析を行う。

調査の概要 ASTER 画像が複数に重なる地域において、画像をモザイク(接合)し

て対象地域をカバーする画像を作成し、その画像を用いて地質判読を行

うと共に、スペクトル特徴から地質変質帯の抽出を行う。

調査項目と方法

・ 隣接する ASTER 画像をモザイクツールで接合して一つの画像とす

る。 ・ フォールスカラー画像及びスペクトル特徴を強調する処理を施した

画像を適切な縮尺で印刷して地質構造判読を行う。 ・ SWIR バンドを用いて比演算処理等によって変質鉱物の分布を強調

する画像を作成して変質帯抽出を行う。

課題 ・ 画像のモザイクが適切に行われているか(接合部にギャップが生じ

ないか)。 ・ 時期が異なる画像が隣接する場合について同様の処理が可能か。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ ASTER データをモザイク処理しようとしたが、画像の接合部で位置

のずれが生じて上手くモザイクできない。

事例が発生した原因

・ データの処理レベルが 1B でありオルソ(正投影)画像(レベル

3A01)ではなかったため、画像の周辺部では地形と衛星からの視線

の関係で歪が生じ、隣接する画像の位置が合わなくなったことによ

る。

事例への対応 1B 画像と地形データ(DEM)を用いてオルソ処理を施すか、既に作成

されているオルソプロダクト(3A01)を購入してモザイク処理を行う。

事例への対応結果 画像隣接部の接合がスムーズとなり、判読に適した画像となる。

ノウハウ・判断根拠 一般に提供されている画像の処理レベルの理解。モザイク手法への理

解。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード ASTER レベル 1B, レベル 3A01、モザイク

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表 1-12 リモートセンシング事例シート

整理番号 12

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 調査対象地域の気候と衛星データ取得時期 調査の目的 衛星画像による地質構造判読。

調査の概要 雨季と乾季が存在する地域において、衛星画像を用いた地質構造判読を

行う。

調査項目と方法 調査対象地域の衛星画像データを入手し、フォールスカラー画像を作成

して地質構造判読を行う。 課題 雲のかかっていないクリアな画像が入手できるか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 衛星画像を用いて地質判読を行おうとしたが、対象地域の植生が多く地

質判読が出来ない。

事例が発生した原因 対象地域が乾燥地域であっても雨季の時期のデータでは植生が繁茂する

ため、地質判読が困難となる。

事例への対応 確かな地質判読を行うためには、乾燥地域であっても雨季と乾季がある

ため対象地域の気候を予め調べた上で使用する画像の取得時期を絞り込

む必要がある。

事例への対応結果 植生の影響が少ない画像によって地質判読を問題なく行うことが出来

る。 ノウハウ・判断根拠 解析対象地域の気候と衛星画像の検索のノウハウ。

参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード データ取得時期

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4-33

表 1-13 リモートセンシング事例シート

整理番号 13

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 日本測地系と世界測地系

調査の目的 地下水流動解析のための既存資料データのデジタル化と基礎データの作

調査の概要 地下水流動解析を行うために、既存資料として地表地質、土地利用、土

壌、地形等公開されている情報をコンパイルして、流出量、蒸発散量、

降水量及び涵養量を求める。

調査項目と方法

・ 既存資料をスキャニングして解析に利用するためデジタル化(ベク

ター化)する。 ・ 衛星画像データを用いて土地利用区分を行い、蒸発散量を求めるた

めのデータとする。 ・ その他、河川水量等の計測データを用いて流出量を求める。 ・ それらを総合して地下水流動解析のための基礎データとする。

課題 ・ 必要なデータの入手が可能か。データの精度。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 既存資料が古い場合、投影法が旧測地系(日本測地系)であるため、直

近のデータ(世界測地系もしくは WGS84)のデータとの間で数百mの

ずれが生じ、解析に誤りが生じる。

事例が発生した原因

2001 年 6 月 20 日に測量法等が改正され、2002 年 4 月 1 日施行で、日

本測地系が世界測地系に移行したことから、それ以前に作成された図面

については日本測地系で作成されている場合が殆どである。この点を考

慮せず、図面上の緯度経度をそのまま世界測地系の緯度経度として取り

扱うと、 大で 500m 以上のずれが生じる。

事例への対応

・ 少なくとも 2001 年以前に作成された資料については日本測地系であ

ると考える。 ・ 測地系が記載されている場合にはそれに従い、記載されていない場

合は世界測地系で作成されていることが明確なデータを用いて位置

を合わせて測地系がどうなっているか確認した上で処理を行う。 事例への対応結果 正しい位置関係をもったデータを作成することができる。

ノウハウ・判断根拠 測地系に関する基礎知識。日本測地系と世界測地系の違いについての知

識。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード 日本測地系(旧測地系)、世界測地系、WGS84

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表 1-14 リモートセンシング事例シート

整理番号 14

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 調査結果のデジタル化(GIS)

調査の目的 地質調査等の結果をデジタル化して地質図、ハザードマップを作成す

る。

調査の概要 既存の地質図や衛星画像による解析結果を元に、現地での地質調査を行

い、その結果を 1:25,000 地質図にコンパイルする。

調査項目と方法

・ 衛星画像(ASTER、LANDSAT など)を用いて現地の地質判読を実

施。 ・ 判読した衛星地質図と、既存の小縮尺地質図をもとに、現地調査を

行って地質及び地質構造を確認してルートマップを作成する。 ・ 作成されたルートマップをまとめて詳細な地質図を作成する。 ・ 作成された地質図を GIS データとしてデジタル化する。

課題 解析に良好な衛星画像の入手、既存資料の整備状況 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 現地調査を取り纏めた結果は既存の地形図上に記録されるが、それをま

とめた結果をデジタル化する際に、実際に現地で確認した位置とデジタ

ル化した位置の間にずれが生じる。

事例が発生した原因

・ 現地調査において地形図上での位置確認が不十分。 ・ GPS を過信し、地形図上での位置関係を十分確認しないまま GPS

の緯度経度だけを頼りとした。 ・ 解析結果は既存の地形図上にまとめるが、それをデジタル化する際

に、調査結果図上にクリアベースを被せてトレースを行うが、その

際に地形図との位置がずれたり、地形図、クリアベースが温度、湿

度等の条件で伸び縮みすることによりずれが生じる。

事例への対応

・ 現地調査ではまず地形図で自分の位置と地形との関係を確認した上

で GPS で座標を確認して間違っていないかどうか確かめる。 ・ 調査結果をデジタル化する際には、地形図とずれないようにメンデ

ィングテープ等でしっかり固定するとともに、座標をあらわすティ

ックマークを周囲のみならず図面内部にも複数取る。

事例への対応結果 調査結果の図がデジタル化され、調査地点等と地形との位置関係が正し

く表現される。

ノウハウ・判断根拠 地形図の読み方と地形図を使った GPS の利用方法。調査結果のデジタ

ル化の方法に関する経験と知識 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード 衛星画像解析、現地調査、GPS、デジタル化

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表 1-15 リモートセンシング事例シート

整理番号 15

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 現地調査での印刷画像の利用

調査の目的 地質調査等の結果をデジタル化して地質図、ハザードマップを作成す

る。

調査の概要 既存の地質図や衛星画像による解析結果を元に、現地での地質調査を行

い、その結果を 1:25,000 地質図にコンパイルする。

調査項目と方法

・ 衛星画像(ASTER、LANDSAT など)を用いて現地の地質判読を実

施。 ・ 判読した衛星地質図と、既存の小縮尺地質図をもとに、現地調査を

行って地質及び地質構造を確認してルートマップを作成する。 ・ 作成されたルートマップをまとめて詳細な地質図を作成する。 ・ 作成された地質図を GIS データとしてデジタル化する。

課題 ・ 解析に良好な衛星画像の入手。既存資料の整備状況。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ 現地調査に使用した衛星画像が強い紫外線で変色し、本来の色が失

われてしまう。 ・ 野外で雨に遭遇したため、印刷したインクが流れ出して衛星画像と

しての利用ができなくなる。

事例が発生した原因 ・ 現地調査で使用する衛星画像を染料系のインクで印刷していたた

め、紫外線に弱く、数日で変色してしまう。また、ラミネート等の

加工もしていないため、雨を受けると流れてしまう。

事例への対応

・ 特に紫外線が強い地域での現地調査で、印刷した衛星画像を使用す

る際には、なるべく顔料系のインクを使用する。また、雨が多い地

域で使用する場合は予めラミネート加工を施すなど雨に濡れてもイ

ンクが流れない対策を講じる。

事例への対応結果 現地調査での気候の変化にもある程度耐えられる衛星画像を用いること

ができる。

ノウハウ・判断根拠 印刷に関する基礎知識。現地調査の気候や季節、調査環境に関する基礎

情報の入手。 参考文献 リモートセンシング熟練技術者インタビュー キーワード 染料系インク、顔料系インク、ラミネート加工

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表 1-16 リモートセンシング事例シート

整理番号 16

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 熱赤外データの利用(分光放射率データ)

調査の目的 熱赤外データから地表面分光放射率を推定し、それぞれのピクセルが有

する放射強度の違いから、表層地質の違いを推定する。

調査の概要

衛星画像データのうち、熱赤外域に複数の観測波長帯を持つデータ

(TERRA/ASTER データ)を用いて分光放射率を推定する。推定された

各観測波長帯における放射強度の違い(スペクトル特性)を比較・検討

し、対象地域のより詳細な表層地質の違いを推定する。

調査項目と方法

・ ASTER の熱赤外データ(5 バンド)に対して大気補正を適用し、地

表面における熱放射を求める。 ・ 地表面における熱放射を、分光放射率データと地表面温度データに

分離する(温度-放射率分離、以下 T-E 分離)。 ・ 推定された各観測波長帯における放射強度の違い(スペクトル特

性)を比較・検討し、岩相の識別を行なう。

課題

・ 大気補正や T-E 分離を適用し、熱赤外データより分光放射率および

地表面温度情報を適切に導出する。 ・ 岩石・鉱物の分光放射率は、熱赤外域においてその組成に対応した

波長変化を示す。推定される放射強度の違いより、これらの波長変

化を捉える。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ 昼間に観測された ASTER の熱赤外データを用いて分光放射率デー

タを推定し、そのスペクトル特性より対象地域の岩相識別を試みる

も、有意なスペクトル特性の違いを抽出することができなかった。

事例が発生した原因 ・ 大気補正の誤差が大きい場合には、T-E 分離の精度が低下する。 ・ 昼間観測データにおいては、斜面方位(日向斜面か日陰斜面か)や

太陽光の入射角によって、地表面温度の影響が色濃く残る。

事例への対応 ・ 太陽光の影響をあまり受けない夜間観測データを用いて、大気補正

および T-E 分離により分光放射率を推定し、ターゲットとなる岩相

毎のスペクトル特性の検討を行なった。

事例への対応結果

・ 夜間観測データを用いることで、太陽光の影響を抑制し、岩相毎の

有意なスペクトル特性の違いを抽出することが可能となった。 ・ スペクトル特性の違いに基づき、ASTER の熱赤外データを用いた岩

相識別が可能となった。

ノウハウ・判断根拠 ・ 熱赤外データの大気補正、T-E 分離に関する知識。 ・ 岩石および鉱物の分光放射率に関する知識。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる キーワード 熱赤外データ、大気補正、T-E 分離、スペクトル特性

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表 1-17 リモートセンシング事例シート

整理番号 17

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 熱赤外データの利用(無相関ストレッチ、バンド間比演算)

調査の目的 熱赤外データから地表面分光放射率を推定し、無相関ストレッチおよび

バンド間比演算処理により表層地質の違いを推定する。

調査の概要

衛星画像データのうち、熱赤外域に複数の観測波長帯を持つデータ

(ASTER など)を用いて分光放射率を推定する。推定された分光放射

率に無相関ストレッチおよびバンド間比演算処理を適用することによ

り、対象とする地域のより詳細な地質もしくは物性の違いを推定する。

調査項目と方法

・ ASTER の熱赤外データ(5 バンド)に対して大気補正を適用し、地

表面における熱放射を求める。 ・ 地表面における熱放射を、分光放射率データと地表面温度データに

分離する(温度-放射率分離、以下 T-E 分離)。 ・ 推定された分光放射率を用いた無相関ストレッチおよびバンド間比

演算処理から岩相の識別を行なう。

課題

・ 大気補正や T-E 分離を適用し、熱赤外データより分光放射率および

地表面温度情報を適切に導出する。 ・ 岩石・鉱物の分光放射率は、熱赤外域においてその組成に対応した

波長変化を示す。無相関ストレッチおよびバンド間比演算処理よ

り、これらの波長変化を捉える。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ 昼間に観測された ASTER の熱赤外データを用いて分光放射率デー

タを推定し、無相関ストレッチおよびバンド間比演算処理より岩相

識別を試みる。各処理結果画像においては、色調により岩相を識別

することは可能であるが、岩石の組成とは一致が見られなかった。

事例が発生した原因

・ 大気補正の誤差が大きい場合には、T-E 分離の精度が低下する。 ・ 昼間観測データにおいては、斜面方位(日向斜面か日陰斜面か)や

太陽光の入射角によって、地表面温度の影響が色濃く残る。 ・ 植生地域においては、表層植生の情報のみが抽出され、植生下の岩

石・鉱物の情報が抽出されない。

事例への対応

・ 太陽光の影響をあまり受けない夜間観測データを用いて、大気補正

および T-E 分離により分光放射率を推定し、無相関ストレッチおよ

びバンド間比演算処理を行なった。 ・ 予め可視~近赤外データを用いた NDVI を行ない、植生地域を抽

出、マスクする。

事例への対応結果 ・ 夜間データを用いることで、無相関ストレッチ処理およびバンド間

比演算処理により、岩相識別に加えて組成の区別が可能となる。 ・ 植生の影響を除去した処理画像を得ることができる。

ノウハウ・判断根拠 ・ 熱赤外データの大気補正、T-E 分離に関する知識。 ・ 無相関ストレッチ処理、バンド間比演算処理に関する知識。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる

キーワード 熱赤外データ、大気補正、T-E 分離、無相関ストレッチ処理、バンド間

比演算処理

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4-38

表 1-18 リモートセンシング事例シート

整理番号 18

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 DEM を用いた流域抽出

調査の目的 DEM(Digital Elevation Model)を用いて、地下水流動モデル解析の解

析範囲となる流域を抽出する 調査の概要 DEM を用いた流路解析結果を基に流域を自動抽出する。

調査項目と方法

・ DEM を用いて各グリッドにおける流下方向(DDM:Drainage Direction Matrix)を算出し、仮想流路網を作成する。

・ 任意のグリッドを流域出口として選定し、DDM を用いて流域出口か

ら 上流部(分水嶺)まで遡ることによって流域を抽出する。

課題

・ DEM 上に凹地形が存在する場合には、流下方向を算出できず、仮想

流路網を作成できない場合がある。 ・ DEM にノイズが含まれる場合には、自動抽出された流域形状が実際

の形状と異なる恐れがある。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ 対象地域の地形に凹地が存在する場合、DDM を算出できず仮想流路

網が作成できない。 ・ DEM に地形以外(図画の境界、道路など)に起因するノイズが含ま

れる場合、自動流域された流域形状が実際の形状と異なる。 事例が発生した原因 ・ 凹地やノイズの存在。

事例への対応

・ 凹地における DDM 算出手法(Nogami (1995)の流下法など)の適

用。 ・ ノイズを除去するためのフィルター(メディアン・フィルター、平

滑化フィルター等)の適用。

事例への対応結果

・ 凹地においても DDM が算出され、対象地域全域の仮想流路網が作

成できる。 ・ ノイズを除去することによって、流域の正確な形状を再現すること

が可能となる。

ノウハウ・判断根拠 DEM を用いた DDM 算出および流域抽出に関する技術。河川地形に関

する知識。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる キーワード DEM、DDM、仮想流路網、流域出口、流域抽出

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表 1-19 リモートセンシング事例シート

整理番号 19

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 DEM を用いた流出量推定

調査の目的 広域の水収支を把握することを目的として、DEM(Digital Elevation Model)を用いた統計量解析より流出量の推定を行なった。

調査の概要

DEM を用いた地形計測および統計量解析(主成分分析)結果を基に、

表流水の流れ易さの指標である「流出指標」を算出し、流出指標と実測

の河川流量観測データとを比較することにより、対象地域における流出

量を推定する。

調査項目と方法

・ 対象地域を流域に分割し、各流域において地形計測を用いて地形特

徴量を算出する。 ・ 各流域の地形計測結果に対して主成分分析を適用することによっ

て、情報の集約および各主成分の解釈を行なう。 ・ 主成分分析の結果(主成分得点)を用いて、地表水の流れ易さの指

標となる流出指標を算出する。 ・ 河川流量観測流域の流出指標と河川流量観測データとを比較し、両

者に相関が見られる場合には、回帰式を用いて各流域の流出指標を

河川流量に変換する。

課題 ・ 未観測流域における流出量を推定する。 ・ 主成分分析結果(主成分得点)と河川流量観測とを比較し、両者に

相関が見られる場合には、回帰式より各流域の流出量を推定する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・ 未観測流域において流出量が推定できない。

事例が発生した原因 ・ 未観測流域における流出量推定手法が確立されていない。

事例への対応 ・ DEM を用いた地形計測および主成分分析結果を基にした流出量推定

手法を検討する。

事例への対応結果

・ 産出された流出指標と河川流量観測データとの間には相関関係が見

出された。 ・ 両者の回帰式より流域の流出指標を河川流量に変換し、対象地域の

流出量を推定したところ、約 6 割の再現性であった。

ノウハウ・判断根拠 ・ DEM を用いた流域分割、地形計測、主成分分析に関する知識。 ・ 河川地形および河川流量観測に関する知識。

参考文献 竹内竜史,小坂寛,佐藤敦也,富山眞吾,景山宗一郎,池田誠:東濃地

域を対象とした数値標高モデルを用いた統計量解析手法による流出量の

推定,JAEA-Research 2011-008 (2011) キーワード DEM、流域分割、地形計測、主成分分析、流出指標、河川流量観測

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4-40

表 1-20 リモートセンシング事例シート

整理番号 20

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 大気補正

調査の目的 衛星画像データに大気補正を施すことによって、地表面における反射率

および熱放射を推定する。

調査の概要 衛星画像データの DN 値を、 適な放射伝達モデルを用いた大気補正に

より、地表面の反射率に変換する。

調査項目と方法

・ 衛星画像データの DN 値を、バンド毎に求められている単位変換係

数(Unit Conversion Coefficients)を用いて放射輝度に変換する。 ・ 放射伝達モデル「MODTRAN」を用いて、大気中の気体やエアロゾ

ルに起因する減衰や多重散乱成分を求め大気補正を行なう。なお、

大気補正にはリモートセンシング・ソフトウェアである「ENVI」の

大 気 補 正 ツ ー ル で あ る 「 FLAASH 」 も し く は

「ERDAS/IMAGINE」の「ATCOR」を用いる。 課題 ・ 大気補正済データと地表物のスペクトル特性が一致するか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・ 大気補正済データと地表物のスペクトル特性が一致しない。

事例が発生した原因 ・ 減衰の原因となる水蒸気や散乱の原因となるエアロゾルの量は時々

刻々変化しており、これらのパラメータが適切でない場合には、妥

当な大気補正結果を得ることができない。

事例への対応 ・ 衛星画像や既存気象データを確認することにより、対象地域の気象

状況を把握した上でパラメータを変更する。

事例への対応結果 ・ 対象地域の気象状況に則したパラメータを設定することにより、妥

当と考えられる大気補正結果を得ることができた。 ノウハウ・判断根拠 ・ 大気補正、気象、分光反射率のスペクトル特性に関する知識。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる キーワード 大気補正、放射伝達モデル、減衰、多重散乱、水蒸気、エアロゾル

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4-41

表 1-21 リモートセンシング事例シート

整理番号 21

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 リモートセンシング

個別調査項目 リモートセンシング 事例名称 空中写真の利用(リニアメント抽出)

調査の目的 空中写真を立体視することによってリニアメントを判読・抽出し、断裂

系による構造解析や応力場解析を行なう。

調査の概要

実体鏡を用いて空中写真を立体視することによって、直接的もしくは間

接的に地下の地質構造を反映するリニアメント(線状構造)を判読、抽

出する。抽出されたリニアメントの形状より、伏在する地質構造を推定

したり、リニアメントの走向方向を統計処理したりすることによって、

周辺応力場の解析を行なう。

調査項目と方法

・ 国土地理院が発行する評定図等を基に、対象地域をカバーする空中

写真を選定する。なお、現在入手可能な空中写真には国土地理院、

米軍、民間企業が撮影したものがあり、モノクロ、カラー、写真印

画、ポジフィルム、ディジタル画像データ等の仕様により配布され

る。 ・ 実体鏡を用いて立体視し、その地形特徴からリニアメントを判読す

る。抽出結果は空中写真の上に透明マイラーフィルムを被せ、油性

ペンを用いてトレースする。

課題

・ リニアメントの判読基準には個人差があるため、抽出されるリニア

メントの数や密度が判読者によって異なる。 ・ 写真印画には中心投影に起因する歪みが内在しており、抽出される

リニアメントと既存地形図や地質図等の地図情報とを重ね合わせる

際、ズレが生じる。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ 判読者により抽出されるリニアメントの数や密度が異なる。 ・ 地図情報との重ね合わせにおいて位置のズレが生じる。 ・ 対象地域が広域の場合は、大量の空中写真が必要となる。

事例が発生した原因

・ 判読者によって判読基準に個人差があるため。 ・ 写真印画は中心投影であるため、レンズ中心から対象物までの距離

の違いによって画像に歪みが生じる。 ・ 低高度から航空機により撮影されるため、撮影範囲が狭くなる。

事例への対応

・ 複数の判読者が対象地域を分割して判読する場合、予め判読基準を

統一するための「目合わせ」を行なう。 ・ オルソ化空中写真(国土地理院提供)を利用する。 ・ 高高度の人工衛星により撮影された高解像度衛星画像を利用する。

事例への対応結果

・ 統一された判読基準に基づき、リニアメント判読が行なわれる。 ・ オルソ化空中写真を用いることによって、判読結果と地図情報との

ズレが解消される。 ・ 広域の対象地域を数シーンの高解像度衛星画像によりカバーでき

る。

ノウハウ・判断根拠 ・ リニアメントおよび地形に関する知識。 ・ 空中写真や衛星画像の仕様(投影)に関する知識。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる

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4-42

整理番号 21

キーワード 空中写真、リニアメント、判読基準、立体視

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4-43

表 2-1 空中電磁探査事例シート

整理番号 22

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査

事例名称 ヘリコプター空中電磁法とアレイ式 CSAMT 法による淡路島北部の活断 層調査

調査の目的 地表付近の不均質構造を面的に把握し、断層の位置や広がりを推定す

る。

調査の概要

阪神淡路大震災で活動した兵庫県北部の活断層の位置や広がりを推定す

るために空中電磁探査を、断層周辺の深部構造を詳細に把握するととも

に断層破砕帯に伴う比抵抗異常帯を検出して断層の傾斜や規模を推定す

るためにアレイ式 CSAMT 法を実施した。

調査項目と方法

空中電磁探査:DIGHEM 社 DIGHEM V システム バード(対地高度 30~60 m、周波数 220、1,100、5,500、27,500、137,500 Hz) 測線数 149 本計 1,682 km アレイ CSAMT:Zonge 社 GDP-16 周波数:4、8、16、32、64、128、256、512、1,024、2,048、4,096、8,192 Hz 測線数:2 本計 7.8 km

課題 空中電磁データに影響を与えるラジオ局の電波 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1996 年 事例の発生個所 -

事例の概要

阪神淡路大震災で活動した兵庫県北部の活断層の位置や広がりを推定す

るため、空中電磁探査、空中磁気探査、電磁探査、電気探査など各種の

物理探査を実施している。その中で空中電磁探査とアレイ式 CSAMT 法

を対比して、電磁法の活断層調査への有効性を検討している。

事例が発生した原因

空中電磁探査では、電力線ノイズや空電ノイズをモニターし、また補助

的に電力線沿いに三測線を設定して測定を実施したが、137.5 kHz のデ

ータにラジオ局の電波(558 kHz)の影響と考えられる局所的高見掛比抵

抗異常や、1.1 kHz のデータに局所的低見掛比抵抗異常が生じた。

事例への対応

空中電磁探査のデータに生じた局所的な見掛比抵抗異常は他の周波数デ

ータでは認められないことから、ノイズの影響としている。 アレイ式 CSAMT 法でも 4 kHz と 8 kHz データにバラツキが大きくな

っており、信号源である流電電流が小さく S/N 比が悪くなっているが、

ラジオ局近傍と遠方では大きな変化が認められない。 空中電磁探査データによる一次元解析結果ではノイズの影響を受けた周

波数データを除いて解析を行い、比抵抗断面図を作成している。

事例への対応結果 空中電磁探査データによる一次元解析結果では、ノイズの影響を受けた

データを除くことで比抵抗断面図上では特に影響は認められない。

ノウハウ・判断根拠 空中電磁探査の場合は平面図上での見掛比抵抗分布を地質データなど他

の情報と対比することが多いため、ノイズの影響による異常と地下の情

報を反映している異常との区分は慎重に行う必要があると考える。

参考文献 ヘリコプター空中電磁法とアレイ式 CSAMT 法による淡路島北部の活断 層調査;物理探査第 49 巻 6 号 pp.474-486(1996)

キーワード 空中電磁探査

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4-44

表 2-2 空中電磁探査事例シート

整理番号 23

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 HEM レベリングにおける新ドリフト補正手法の開発

調査の目的

ヘリコプターを用いた空中電磁法(HEM)のデータ処理において、測定

EM 成分の 0 レベルの調整(レベリング)の完全な手法は存在しない。そ

こで現状のレベリング手法に変えて新しいドリフト補正方法を開発す

る。 調査の概要 -

調査項目と方法 周波数領域空中電磁探査 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 -

事例が発生した原因

HEM では一次磁場(Hp)に対する二次磁場(Hs)の割合を同相・離相に分

離して ppm 単位で測定する。実際には受信側で Hp をバッキングコイル

で相殺して残差としての Hs を測定している。 しかし、入力側をショートした状態で決定される絶対 0 電位を基準とし

た測定ができないため、残留 Hp に起因するドリフト及びキャリブレー

ションの補正は不十分となっている。

事例への対応

HEM のキャリブレーション時の誤差の伝播を考慮し、一地点の上空で

測定高度を幾通りも変えて得られる垂直方向の多測点データを用いて

小二乗法の解を求める垂直多点インバージョンにより、各周波数のドリ

フトを求めることとした。

事例への対応結果

淡路島の採石場跡の平坦地において地上電気探査(Schlumberger 法)及

び HEM の垂直多点測定を行い、垂直多点インバージョンにより求めた

ドリフトを補正することで、測定システムの利得・位相の狂いによるド

リフト及び直流バイアス分に相当する平行オフセットを合理的に求める

ことができるようになった。 この手法によって求めたドリフトを用いて新しい 0 レベルにリセットす

ることにより測定値がより真髄に近い値に修正されることになる。

ノウハウ・判断根拠 通常の HEM 測定の前後に同一地点で垂直多点データを取得し、ドリフ

トの経時変化をも補正する測定方法が確立された。

参考文献 HEM レベリングにおける新ドリフト補正手法の開発:物理探査第 55 巻

4 号 p249-259(2002) キーワード 空中電磁探査

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4-45

表 2-3 空中電磁探査事例シート

整理番号 24

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査

事例名称 ヘリコプターを用いた総合的な空中物理探査システムの開発(空中電磁探

査)

調査の目的 空中電磁、空中磁気、空中放射能、空中熱赤外映像の各探査手法を高度化、

統合化することにより総合空中探査システムを開発する。 調査の概要 -

調査項目と方法

バード:魚型、三軸インダクションコイル、 バードの姿勢計測にファイバーオプティックジャイロを装着した姿勢計及び

MI センサーを使用 地上装置:2~3 km の送信ダイポールによる 400 V、20 A の休止波形

課題 周波数領域空中電磁探査で 100 m 程度にとどまっていた探査深度を、地表に

信号源を設けて時間領域での測定器をヘリコプターに搭載することで探査深

度 1,000 m を目指す。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 阿蘇火山 事例の概要 -

事例が発生 した原因

送信源と受信装置の双方をバードに搭載する周波数領域システムは、送信源

と受信装置間の距離を大きく取ることができず、搭載可能な送信源の大きさ

に限界があるため、地下に浸透させ得る 1 次磁場の深度は浅く、可探深度は

100 m 程度にとどまっている。

事例への対応

大電圧 500 V 以上、 大電流 50 A、送信 波形として休止波、矩形波を出

力できる送信機を開発した。 ヘリコプターでの曳航時の揺れを抑えるため、ジンバル構造を採用したセン

サー台を設け三軸インダクションコイル、フラックスゲート型方位センサ

ー、姿勢計を設置した。 ヘリコプター機内装置としてデータ処理装置、高精度クロック、高精度 GPS受信機を設置した。 データ処理は以下のようにした。 ①実験の前後で送信しない状況の波形を撮り、バードの揺れと磁場変動との

伝達関数を推定し、姿勢計から得られる角速度三成分を用いて揺れにより生

じる磁場ノイズを予測し除去する。 ②地表に置いた参照点データを用いて大きな自然磁場変動や雷ノイズ等のロ

ーカルノイズを除去して複数回スタッキングする。一回のスタッキングでは

約 11 m の範囲を平均化したデータとなる。 ③こうして得られた過渡応答曲線に対して、水平多層構造を仮定した磁場応

答曲線を求めてインバージョンにより一次元多層構造を得る。

事例への 対応結果

実験では、地上での電磁探査結果との比較、阿蘇火山での繰り返し測定によ

る比較、飛行高度の違いによる比較を行い、可探深度として 1,000 m 程度ま

での比抵抗分布が得られることを確認した。 ノウハウ・ 判断根拠

スタッキング回数を増やして 88 m の測定範囲を平均化することで、1,000 m程度までの比抵抗分布が得られる

参考文献 ヘリコプターを用いた総合的な空中物理探査システムの開発(その 1)-空

中電磁、空中磁気、空中放射能、空中熱赤外映像の各探査手法の高度化-:

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4-46

整理番号 24

電力中央研究所研究報告:N06011(2007) キーワード 空中電磁探査

表 2-4 空中電磁探査事例シート

整理番号 25

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査、空中磁気探査、空中放射能探査

事例名称 花崗岩地域における空中物理探査(DighemV)の適用性について(その

1)-空中電磁法探査- 調査の目的 花崗岩分布地域における空中物理探査の適用性を評価するため

調査の概要 土岐花崗岩の分布地域でヘリコプターによる空中物理探査システム

(DighemV)を用いた運用試験を実施した。

調査項目と方法

バード:周波数 385,900,5000,7200,56000Hz(水平ループ、鉛直ループ

を周波数ごとに交互に設定) 空中磁力計:Scintrex 社製 Mac-3 光ポンピング磁力計

地上磁力計:Scintrex 社製 Mac-3 プロトン磁力計 放射能探査:Picodas 社製 ENMOS-2001 システム 256 チャンネル

課題 表層の比抵抗を面的に把握し、地質構造に関する情報を取得する 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1997 年 事例の発生個所 岐阜県東濃地域

事例の概要

地上に規模の大きな構造物が散在する地域で、ヘリコプターを使用する

ことにより、センサー高度を低くして高密度のデータを取得する空中電

磁探査、空中磁気探査、空中放射能探査を実施した。 架線の高い送電線、JR 東海中央本線、中央自動車道の直上部はヘリコプ

ターの飛行測線からはずしている。

事例が発生した原因 DighemV ではバードの対地高度 30m が一般的であるが、調査地域は市

街地や住宅地が広がっており、ヘリコプターの騒音が懸念された。

事例への対応 地質構造が詳しく把握されている地域で予備調査としてバードの対地高

度 30m、60m、90m のデータを取得した。

事例への対応結果

バードの対地高度 90m では 30m、60m と整合する見掛比抵抗分布が得

られなかったため、本測定は対地高度 60m で実施した。 高比抵抗地域が 5 ブロック抽出され、3 つのブロックは既存の地質図の

花崗岩分布域と一致したが、残り 2 ブロックは地質図上では堆積岩分布

域となっていた。 既存の基盤等高線図と重ねたところ、コンターの書かれていない基盤花

崗岩の被りが非常に薄い領域と今回の処理結果が一致し、基盤花崗岩分

布域を抽出することができた。

ノウハウ・判断根拠 本地域では比抵抗コントラストが大きかったため、バードの対地高度を

60m まで高くしてもデータを取得することができた。

参考文献 花崗岩地域における空中物理探査(DighemV)の適用性について(その

1)-空中電磁法探査-:物理探査学会第 116 回学術講演会論文集

(2007) キーワード 空中電磁探査、空中磁気探査、空中放射能探査

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表 2-5 空中電磁探査事例シート

整理番号 26

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中電磁探査法の沿岸域への適用-九十九里浜の例-

調査の目的 地上ソース型空中電磁探査法(GREATEM)を既存の調査結果が豊富な九

十九里浜に適用した。 調査の概要 空中電磁

調査項目と方法 地上ソース型空中電磁探査法(GREATEM) 地上装置:海岸と平行に 2.4 km の送信ダイポール

課題

従来型の周波数領域での空中電磁探査法は送信機と受振器の両方を航空

機やヘリコプターに搭載しており、海底下の地下構造探査に適した方法

とは言い難く、陸域においても探査深度が 大でも 200 m 未満とされ

る。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 千葉県山武市九十九里浜蓮沼海浜公園周辺

事例の概要 干満の差(約 1.1 m)が調査結果に与える影響を評価するために、干潮時

と満潮時の 2 回計測を行った。

事例が発生した原因 空中から発振された電磁波は海での減衰が大きく、陸域でも 100 m 以深

の応答は弱くなる。

事例への対応

海岸沿いのすぐ陸側に海岸と平行に長さ 2.4 km の送信電極を設置し、1サイクル 1.6 秒の矩形波(約 25 A)を送信し、ヘリコプターに吊るした受

信機(高度 100 m)で受信した。送信源の陸側約 500 m 区間は住宅地のた

め飛行禁止区域となっており、データが欠損している。

事例への対応結果

陸側では明瞭な信号が得られたが、海側では沖合に行くにつれ信号が減

衰して不明瞭となり、沖合 800 m(信号源からの距離 1,200 m)で信号が

見えない状態となった。 陸域、海域ともほぼ深度 300 m 程度までの比抵抗構造が求められ、既存

の電気探査、電磁探査結果と比較してほぼ同様の比抵抗構造が得られた

が、干潮時と満潮時の比抵抗構造に差は認められなかった。

ノウハウ・判断根拠 地上ソース型空中電磁探査法(GREATEM)により得られた比抵抗構造

は、既存の電気探査、電磁探査結果とほぼ同様であり、海域と陸域で同

時に信頼性の高い比抵抗構造が地下 300 m 程度まで得られる。

参考文献 空中電磁探査法の沿岸域への適用-九十九里浜の例-;物理探査学会第

124 回学術講演会論文集(2011) キーワード 空中電磁探査

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4-48

表 2-6 空中電磁探査事例シート

整理番号 27

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中電磁探査法の沿岸域への適用例-淡路島北西部の例-

調査の目的 地上ソース型空中電磁探査法を沿岸域に花崗岩が分布する淡路島北西部

で適用する。本地域は野島断層を含む範囲である。 調査の概要 -

調査項目と方法 地上ソース型空中電磁探査法(GREATEM) 地上装置:海岸と平行に 3.5 km の送信ダイポール

課題

従来型の周波数領域での空中電磁探査法は送信機と受振器の両方を航空

機やヘリコプターに搭載しており、海底下の地下構造探査に適した方法

とは言い難く、陸域においても探査深度が 大でも 200 m 未満とされ

る。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 阿蘇火山 事例の概要 -

事例が発生した原因 空中から発振された電磁波は海での減衰が大きく、陸域でも 100 m 以深

の応答は弱くなる。

事例への対応

海岸沿いのすぐ陸側に海岸と平行に長さ 3.5 km の送信電極を設置し、1サイクル 1.6 秒の矩形波(約 30 A)を送信し、ヘリコプターに吊るした受

信機(高度 70~50 m)で受信した。送信源の東側約 300 m には鉄塔送電

線があり、飛行禁止区域のためデータが欠損している。

事例への対応結果 海域で地下 300~500 m、陸域で 1,000 m 程度までの比抵抗構造が得ら

れた。

ノウハウ・判断根拠 海域と陸域のデータを一度に取得可能で、陸域で深度 1,000 m 程度まで

の比抵抗構造が得られる本手法の適用性は広い。

参考文献 空中電磁探査法の沿岸域への適用例-淡路島北西部の例-:物理探査学

会第 126 回学術講演会論文集(2012) キーワード 空中電磁探査

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4-49

表 2-7 空中電磁探査事例シート

整理番号 28

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中電磁法における地形の影響

調査の目的 空中電磁法を土木的地質調査に利用する場合に比抵抗構造を推定するこ

とが求められる。これは、地形の影響を明らかにするために必要であ

る。 調査の概要 -

調査項目と方法 周波数領域空中電磁探査 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 空中電磁法における地形の影響を明らかにするため、数値モデリングに

より検討を行った。

事例が発生した原因 ヘリコプターを利用する空中電磁法では、送受信コイルを収容した容器

(バード)の対地高度をできるだけ一定に保ち、地形をなぞるように飛行

し、測定することから、地形の影響について議論されたことがない。

事例への対応

三次元モデリングゴードを使用してスタッガード格子を用いた差分法に

より地形モデルに対する空中電磁法の応答を求めた。 次に傾斜地形に対する解析解と比較することにより三次元モデリングの

精度を検証する。地表を傾斜させる代わりにバードを傾斜させることに

より半無限均質媒質に対する解析解を基に計算する。

事例への対応結果

傾斜地形モデルに対する磁場応答は、傾斜部の下端部で 大値、上端で

小値を示し、地形の変曲点で地形の効果が も大きい。磁場応答を見

掛比抵抗に変換すると、傾斜部の上端で見掛比抵抗が真の比抵抗より高

くなり、傾斜地下端で低くなる。また周波数が高いほど地形の影響は大

きい。

ノウハウ・判断根拠 CSAMT 法や MT 法電磁探査において地形の影響が無視できない場合が

多いが、空中電磁法の場合でも例外ではない。

参考文献 空中電磁法における地形の影響:物理探査学会第 106 回学術講演会論文

集(2002) キーワード 空中電磁探査

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4-50

表 2-8 空中電磁探査事例シート

整理番号 29

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中電磁法による三次元調査

調査の目的 ヘリコプターを使用する周波数領域空中電磁法の地すべり地、トンネル

への適用例 調査の概要 -

調査項目と方法

空中電磁探査:DIGHEM 社 DIGHEM V システム バード(対地高度 30~60 m、周波数 220、1,100、5,500、27,500、137,500 Hz、 水平ループ、垂直ループを周波数ごとに交互に設定)

課題 測定データの側方向の分解能の検討 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1998 年 事例の発生個所 -

事例の概要 日本国内に導入したヘリコプターを使用する周波数領域型空中電磁法

(HEM)の側方向の分解能の検討と地すべり地、トンネルへの適用例を示

している。

事例が発生した原因

HEM により対地高度 30~60 m で 5 個/sec のデータが得られるが、対地

高度に対応する側方向の影響は論じられていなかった。マッピングにお

いて、測線方向は 低でも 10 m 以内の間隔で測定データが得られる

が、測線間隔は通常 50~200 m とされており、さらに対地高度による側

方向の影響範囲の目安が不明瞭であった。

事例への対応

空中電磁法の垂直同軸型ループ配置における垂直板状導体モデルの応答

例を用いて、1/2W1/2 (ピーク値の 1/2 に対応する水平幅)が概略対地

高度の 1/4 以内に収まることになり、直低地域両端部の測線における側

方向の比抵抗異常帯の影響は、対地高度の 1/2 と考えられることを示し

た。

事例への対応結果 測線間隔を考慮する上で、地下の異常体の規模に対する検出可能性を考

慮する際の目安をより明確にした。

ノウハウ・判断根拠 HEM におけるマッピングの測線計画立案において、測線間隔を決定す

る情報となる。 参考文献 空中電磁法による 3 次元調査;物理探査第 51 巻 6 号 pp.643-658(1998) キーワード 空中電磁探査

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4-51

表 2-9 空中電磁探査事例シート

整理番号 30

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中電磁法による四国中央部三波川帯での地すべり調査例

調査の目的 ヘリコプターを用いた空中電磁法探査(HEM)を四国三波川帯の破砕帯地

すべり地の調査に適用する

調査の概要 中国四国農政局所管の桃原・西桃原区域(指定面積 130.77ha)地すべり

地を含む広範囲の斜面を対象として包括的な地盤性状、地下水状態を 3次元的に把握することを目的に、空中電磁法探査を行った。

調査項目と方法

空中電磁探査:DIGHEM 社 DIGHEM V システム バード(対地高度 30~60 m、周波数 220、1,100、5,500、27,500、137,500 Hz、 水平ループ、垂直ループを周波数ごとに交互に設定)

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2003 年 事例の発生個所 高知県中北部

事例の概要

ヘリコプターを用いた空中電磁法(HEM)は広域を迅速、かつ均一な精度

で三次元的な比抵抗調査ができ、結果を視覚的に提示できる。 第三紀層地すべり、温泉地すべり、岩盤地すべりと種々のタイプの地す

べり地に対して空中電磁法の有効性を確認してきており、今回は三波川

帯の破砕帯地すべり地の調査に適用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 調査範囲 2.2 km2 に対し、23 測線、測線間隔 100 m、測線延長 22.3 km、バード対地高度 20~40 m、対地速度 30 km/h で測定を行った。

事例への対応結果 破砕帯地すべり地においても空中電磁法から得られた比抵抗構造は、地

すべり土塊の分布、層厚、地盤性状及び地下水状態を反映していること

が確認された。

ノウハウ・判断根拠 空中電磁法は地すべり地に対して十分な解析精度を有した調査手法であ

る。

参考文献 空中電磁法による四国中央部三波川帯での地すべり調査例:物理探査学

会第 108 回学術講演会論文集(2003) キーワード 空中電磁探査、地すべり調査、インバージョン

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4-52

表 2-10 空中電磁探査事例シート

整理番号 31

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中物理探査を用いた深層崩壊危険箇所抽出手法の検討

調査の目的 深層崩壊発生の恐れの高い斜面を対象にして危険区域を精度良く抽出す

る。

調査の概要 空中物理探査(電磁・磁気・放射能)とボーリング調査、垂直電気探査

を実施する。

調査項目と方法

空中電磁探査:DIGHEM 社 DIGHEM V システム バード(対地高度 30~60 m、周波数 385、900、5,000、7,200、56,000 Hz、 水平ループ、垂直ループを周波数ごとに交互に設定) 52.5 km(4.43 km2)

課題

深層崩壊の発生をコントロールすると考えられる①深層崩壊のおそれの

ある層厚、②深層崩壊のおそれのある土層と以深の不動地盤との境界面

の傾斜について、空中物理探査によって得られた 3 次元比抵抗分布から

抽出する手法について検証した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2005 年 事例の発生個所 長崎県鰐塚山周辺

事例の概要 急峻な山地において、ヘリコプターを使用する周波数領域型空中電磁法

(HEM)を利用して比抵抗分布を求める 事例が発生した原因 急峻な山地における測定

事例への対応 平成 17 年に鰐塚山周辺で発生した深層崩壊斜面を含む約 4 km2 の地域

を対象に、地表踏査を実施し既往地形判読結果と併せて比高諸元を決定

し、垂直電気探査とボーリング調査を実施した。

事例への対応結果

地表踏査の結果も踏まえて、深度 20 m までの 50 Ω・m 前後を示す層が

表層堆積物、不動岩盤の比抵抗値はおおむね 200 Ω・m 以上となる。 ボーリング結果との対比では、表層堆積物、破砕帯はいずれも 100 Ω・m以下であり、地形判読から過去に動いた形跡のある箇所では 100 Ω・m前後を示す層が過去に動いた岩盤と判断された。 風化岩と新鮮な岩盤の境界と考える 100 Ω・m のコンターの傾斜は崩壊

地では急であり、その上流部は比較的緩傾斜となるほか、地すべりブロ

ック以外は表層から 100 Ω・m のコンターが表層付近に分布する。 閾値の検討は不十分であるが、100 Ω・m のコンターより深層崩壊の恐れ

のある危険斜面を抽出する素案として、風化岩と新鮮な岩盤の境界面の

勾配が 25 度以上、風化岩盤の層厚が 20 m 以上を危険箇所として抽出し

た。

ノウハウ・判断根拠

深層崩壊の発生をコントロールすると考えられる①深層崩壊のおそれの

ある層厚の推定、②深層崩壊のおそれのある層と以深の新鮮な岩盤の境

界面の傾斜の二つの情報の面的な分布が空中物理探査から得られる可能

性が示された。

参考文献 空中物理探査を用いた深層崩壊危険箇所抽出手法の検討:物理探査学会

第 117 回学術講演会論文集(2007) キーワード 空中電磁探査

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4-53

表 2-11 空中電磁探査事例シート

整理番号 32

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 空中物理探査法を利用した雲仙溶岩ドームの崩壊危険度予測評価

調査の目的 長崎県雲仙普賢岳の溶岩ドーム(平成新山)の崩壊危険度を予測評価す

る。

調査の概要 空中物理探査(電磁・磁気・ガンマ線)と航空写真による地形解析を実

施した。

調査項目と方法

空中電磁探査:DIGHEM 社 DIGHEM V システム バード(対地高度 30~60 m、周波数 385、900、5,000、7,200、56,000 Hz、 水平ループ、垂直ループを周波数ごとに交互に設定)

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1999 年 事例の発生個所 長崎県雲仙普賢岳周辺

事例の概要 立ち入り禁止区域を含む急峻な山地において、ヘリコプターを使用する

周波数領域型空中電磁法(HEM)を利用して比抵抗分布を求める。 事例が発生した原因 立ち入り禁止区域を含む急峻な山地における測定

事例への対応

バードの対地高度 30~60 m、時速 50 km/h によりデータを収集した。

データは 0.2 秒間隔で 2.8 m 毎の測定値として解析される。見掛比抵抗

の計算にはフェーザー図に基づく Dighem 社製ソフトを、等深度見掛比

抵抗分布図や見掛比抵抗断面図作成は自社製ソフトを使用した。

事例への対応結果

平成新山をはじめ新旧溶岩からなる山体部は 3,000 Ω・m 以上の高比抵抗

が支配的で、旧河川や谷部は数百 Ω・m の相対的に低比抵抗域となり深

部ほど拡大する傾向を持つ。 デイサイト質溶岩からなる新旧山体は堅硬緻密な岩盤が地表から地下深

部にかけて分布するのに対し、旧谷部には火砕流や土石流堆積物が比較

的厚く分布すると考えられる。 数百 Ω・m の低比抵抗域が平成新山の北から西、南にかけて半円状に断

続し、探査時には噴気が見られたことや、この付近が溶岩ドームの末端

部にあたることから一連の火山活動の高温部または熱水流動による変質

帯に相当する可能性がある。 ノウハウ・判断根拠 比抵抗とガンマ線強度は比較的表層の地質性状を反映している。

参考文献 空中物理探査法を利用した雲仙溶岩ドームの崩壊危険度予測評価:地質

調査所月報、第 52 巻 2/3 号 p.113-124(2001) キーワード 空中電磁探査

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4-54

表 2-12 空中電磁探査事例シート

整理番号 33

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 地すべり調査における空中電磁法の高精度インバージョン

調査の目的 対地高度を未知パラメータとする空中電磁法探査のインバージョンの四

国の地すべり地への適用

調査の概要

山間部で空中電磁法調査を行う場合、対地高度を精確に測定できない。

そのため、比抵抗分布のみでなく対地高度も未知のパラメータとするイ

ンバージョン法を四国の地すべり地に適用し、比抵抗二次元インバージ

ョン結果と比較した。

調査項目と方法

空中電磁探査:DIGHEM 社 DIGHEM V システム バード(対地高度 30~60 m、周波数 220、1,100、5,500、27,500、

137,500 Hz、 水平ループ、垂直ループを周波数ごとに交互に設定)

課題 対地高度も未知のパラメータとするインバージョン法の開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2003 年 事例の発生個所 高知県中北部

事例の概要 対地高度も未知のパラメータとするインバージョン法を四国の地すべり

地に適用して比抵抗 2 次元インバージョン結果と比較した。

事例が発生した原因 高度計の指向性、ヘリの姿勢位置、樹木等により対地高度を精確に測定

できないためである。

事例への対応

高度計データが信頼できない場合、磁場データから算出される 大周波

数における見掛高度を真の高度とみなす場合が多い。この見掛高度をそ

のまま用いて従来法によるインバージョンを行った場合と、対地高度を

未知パラメータとする新しいインバージョン法を比較した。

事例への対応結果

新しいインバージョン結果のほうが見掛高度をそのまま用いた結果より

も分解能が向上し、特に地表付近の改善が著しい。 四国の地すべり地で実施された空中電磁法データのインバージョン結果

は、電気探査の結果とほぼ一致する。

ノウハウ・判断根拠 対地高度が不明であっても、インバージョンに未知パラメータとして組

み入れることにより信頼性の高い比抵抗構造を推定できる

参考文献 地すべり調査における空中電磁法の高精度インバージョン:物理探査学

会第 110 回学術講演会論文集(2004) キーワード 空中電磁探査、地すべり調査、インバージョン

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4-55

表 2-13 空中電磁探査事例シート

整理番号 34

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 地表ソース型空中電磁探査法の実用化研究 調査の目的 地表ソース型空中電磁探査法の開発 調査の概要 地表ソース型空中電磁探査法の開発と阿蘇火山でのテスト探査

調査項目と方法

バード:魚型、3 成分インダクションコイル、 バードの姿勢計測にファイバーオプティックジャイロを装着した姿勢計

及び MI センサーを使用 地上装置:東西方向に約 3 km の電流電極、0.625 Hz 休止波形

課題 バードの揺れによるノイズの補正 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 - 事例の概要 地表ソース型空中電磁探査法の開発

事例が発生した原因 バードの揺れによるノイズ

事例への対応

揺れノイズ補正は飛行中の揺れデータ(姿勢計)測定値に対応する磁力

計レスポンスを除去することで実施した。 自然ノイズの補正は地表に置いた同性能の磁力計の変化をリファレンス

することで行った。 阿蘇火山テスト探査では、送信側として東西方向に約 3 km の電流電極

を設置し、0.625 Hz 休止波形を流した。測定の飛行コースは電極と直交

する南北方向とした。

事例への対応結果

一次元解析により求めた比抵抗構造の下限は、ノイズにより過渡現象が

見えなくなる時間までに得られる深度とした。ソースからある程度離れ

ると深度 700~800 m までの比抵抗構造が得られた。 地表において時間領域の測定を行い、空中電磁探査により得られた比抵

抗構造と比較し、ほぼ同様の比抵抗構造が得られた。

ノウハウ・判断根拠 地上ソースによる空中電磁探査システムを開発し、深度 700~800 m ま

での比抵抗構造が得られた。

参考文献 地表ソース型空中電磁探査法の実用化研究:物理探査学会第 112 回学術

講演会論文集(2005) キーワード 空中電磁探査

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4-56

表 2-14 空中電磁探査事例シート

整理番号 35

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 長大トンネルの地質構造評価に向けた時間領域空中電磁法の適用

調査の目的 土被りの大きいトンネルの地質調査にヘリコプターを利用した時間領域

空中電磁探査法を実施し、本手法のトンネル地質調査への適用性を検討

する。 調査の概要 空中電磁

調査項目と方法 地上ソース型空中電磁探査法(GREATEM) 地上装置:トンネル計画ルートと斜交する方向に 4.5 km の送信ダイポ

ール

課題 山岳地帯に計画された延長 2.7 km、 大土被り 320 m の国道トンネル

計画ルート沿いでデータを取得する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 北海道音威子府から那珂川町に至る山岳地帯

事例の概要

トンネル計画ルートは蛇紋岩の分布地域であり、蛇紋岩の岩相によりト

ンネル掘削による緩みや内空変位量の増大など施工上問題が多い。空中

電磁探査により地下の比抵抗構造を得ることで、施工上問題となる箇所

を抽出し、比抵抗二次元探査、CSAMT 法電磁探査結果との比較を行

う。

事例が発生した原因 トンネル計画ルートは蛇紋岩の分布地域であり、蛇紋岩の岩相によりト

ンネル掘削による緩みや内空変位量の増大など施工上問題が多い。

事例への対応 トンネル計画ルート西端に計画ルートと斜交する方向に 4.5 km の送信

ダイポールを設定し、計画ルート沿いに飛行測線を設けた。

事例への対応結果

得られた比抵抗断面、比抵抗平面は、既往の比抵抗二次元探査、

CSAMT 法電磁探査結果とほぼ同様の傾向を示した。 区間①塊状~角礫状蛇紋岩を主体に葉片状蛇紋岩が挟在、区間②塊状~

角礫状蛇紋岩の割合が低くなり葉片状蛇紋岩(一部は粘土状)が多い、を

ボーリングコアの比抵抗測定結果から 20 Ω・m を閾値として分類し、施

工上問題となりそうな区間を抽出した。

ノウハウ・判断根拠 比抵抗分布結果を基に地山深部(トンネル掘削位置)において施工に影響

を及ぼすと考えられる地質性状を推定した。

参考文献 長大トンネルの地質構造評価に向けた時間領域空中電磁法の適用;物理

探査学会第 124 回学術講演会論文集(2011) キーワード 空中電磁探査

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4-57

表 2-15 空中電磁探査事例シート

整理番号 36

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 電磁探査の複合解析によるトンネル地山の地質分布状況の推定 調査の目的 トンネル地山の地質調査

調査の概要 大土被り 380 m、延長約 4 km のトンネル調査において、空中電磁法

と CSAMT 法を併用して地質調査を行った。

調査項目と方法

空中電磁探査: バード(対地高度 30~60 m、周波数 340、1.5 k、6.9 k、31 k、140 kHz、垂直ループ) CSAMT 法電磁探査:Zonge 社 GDP-16 周波数:1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、1,024、2,048 Hz

課題 空中電磁法と CSAMT 法の見掛比抵抗曲線の統合 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1998 年 事例の発生個所 北海道北見市北西部山岳地帯

事例の概要 大土被り 380 m のトンネル調査において、空中電磁法と CSAMT 法を

併用して地質調査を行った。 事例が発生した原因 空中電磁法と CSAMT 法の見掛比抵抗値に 10 倍近い差が生じた。

事例への対応

空中電磁法と CSAMT 法の見掛比抵抗値が一致する場合はそのまま両者

の値を使用し、差が 2 倍以内の場合は両者の平均値を求めて両者の値を

上下に移動、2 倍以上の場合は空中電磁法の値に CSAMT 法の値を合わ

せて移動させた。

事例への対応結果 解析断面図による比較では、空中電磁法データを合わせて解析した結果

は、CSAMT 法単独に較べてトンネル計画深度付近で全体的に比抵抗が

高くなっており、低比抵抗帯はその規模を縮小している。

ノウハウ・判断根拠

空中電磁法データの方が、測定周波数が高く、また測定手法の性質から

地形の影響や地表浅部の局所的比抵抗異常によるスタティックシフトと

呼ばれる比抵抗変化の影響を受けにくい。空中電磁法のデータの状態(ノ

イズによる影響を受けているかどうか)を見た上で、両者に差があれば、

より高周波数領域のデータである空中電磁法データにシフトさせること

は有効である。

参考文献 電磁探査の複合解析によるトンネル地山の地質分布状況の推定;物理探

査学会第 118 回学術講演会論文集(2008) キーワード 空中電磁探査、CSAMT 法電磁探査、トンネル地山

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4-58

表 2-16 空中電磁探査事例シート

整理番号 37

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査

事例名称 土被りの大きなトンネルの地質評価における電磁探査法の適用性に関す

る検討-空中電磁法・CSAMT 法・両手法の組み合わせによる推定地質

の検証- 調査の目的 トンネル地山の地質調査

調査の概要 大土被り 380 m、延長約 4 km のトンネル調査において、空中電磁法

と CSAMT 法を併用して地質調査を行った。

調査項目と方法

空中電磁探査: バード(対地高度 30~60 m、周波数 340、1.5 k、6.9 k、31 k、140 kHz、垂直ループ) CSAMT 法電磁探査:Zonge 社 GDP-16 周波数:1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、1,024、2,048 Hz

課題 トンネル掘削で判明した地質状況と施工で生じた問題点を、各種電磁探

査法結果と対比 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1998 年 事例の発生個所 北海道北見市北西部山岳地帯

事例の概要 大土被り 380 m のトンネル調査において、空中電磁法と CSAMT 法を

併用して地質調査を行った。

事例が発生した原因

空中電磁法と CSAMT 法の見掛比抵抗値に 10 倍近い差が生じ、CSAMT法のスタティックシフトの影響と判断して、CSAMT 法データの見掛比

抵抗値を空中電磁データの見掛比抵抗値に合わせるように全体に低くシ

フトさせた。

事例への対応

トンネル施工では変位量の増加、吹付けコンクリートのクラック発生、

ロックボルトのプレート変形、湧水の発生などの現象が発生した。これ

らの現象が生じた箇所と電磁探査法結果から事前に抽出した問題箇所と

の対比を行った。

事例への対応結果

電磁探査法で推定したトンネル施工上の地質箇所とトンネルの掘削で生

じた問題箇所は、大局的に一致する傾向を確認できた。 特に CSAMT 法で高見掛比抵抗を示したデータに対して空中電磁法デー

タにシフトさせた区間で、施工で問題となった箇所が多く、空中電磁法

と CSAMT 法を組み合わせた手法による解析結果は、トンネル深部の地

質評価法として効果的である。

ノウハウ・判断根拠 空中電磁法と CSAMT 法を組み合わせた手法による解析結果は、トン

ネル深部の地質評価法として効果的である。

参考文献 土被りの大きなトンネルの地質評価における電磁探査法の適用性に関す

る検討-空中電磁法・CSAMT 法・両手法の組み合わせによる推定地質

の検証-;物理探査学会第 119 回学術講演会論文集(2008) キーワード 空中電磁探査、CSAMT 法電磁探査、トンネル地山

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表 2-17 空中電磁探査事例シート

整理番号 38

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査 事例名称 磐梯山の地上ソース空中電磁法探査 調査の目的 調査の概要

調査項目と方法

バード:魚型、3成分インダクションコイル、 バードの姿勢計測にファイバーオプティックジャイロを装着した姿勢計

及び MI センサーを使用 地上装置:南北方向に約 2-3km の電流電極、0.625Hz 休止波形

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 - 事例の概要 地表ソース型空中電磁探査法を磐梯山の探査に適用した。

事例が発生した原因 従来の空中電磁探査は探査精度や可探深度が限られる。

事例への対応

GREATEM と略称する地表電気ダイポールソースを用いる空中電磁法を

開発し、磐梯山の探査に適用した。送信ダイポールは調査地域の西側山

麓に約 2.5km で南北方向に設置し、24A を給電した。 測定の飛行コースは電極と直交する東西方向とした。飛行速度は

50km/h で飛行高度 100~200m で測定した。

事例への対応結果

GREATEM の探査結果により、新しい火山体や崩壊地の比抵抗構造が明

らかとなった。低比抵抗帯が崩壊壁の周りにあり、熱水活動による変質

帯と対応している。このような構造は火山体弱部での崩壊の重要な要因

である内部の熱水変質が、1888 年噴火に伴う崩壊地形形成の原因という

説を支持する。

ノウハウ・判断根拠 地上ソース空中電磁法探査システムを用いた磐梯山の探査で、新しい火

山体や崩壊地の比抵抗構造が明らかとなった。

参考文献 磐梯山の地上ソース空中電磁法探査:物理探査第 62 巻第 1 号;pp1-7(2009)

キーワード 空中電磁探査

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4-60

表 2-18 空中電磁探査事例シート

整理番号 39

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中電磁探査

事例名称 無人ヘリコプターを利用した空中電磁探査法システムの中越地震で発生

した大規模斜面崩壊への適用 調査の目的 ヘリコプターを使用する時間領域空中電磁法の地すべり地への適用例

調査の概要 中越地震で発生した大規模斜面崩壊地における地下構造探査に無人ヘリ

コプターを利用した空中電磁探査システムを用いた。

調査項目と方法

富士重工製無人ヘリコプターRPH2:積載重量 100 kg タイムドメイン空中電磁探査システム(ミニボーンシステム) バード:受信用インダクションコイル 地上装置:大型発電機 高規格型発信機 矩形~電流 4 A 程度

課題 無人ヘリコプターに搭載した空中電磁探査システムの利用 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 -

事例の概要 地上からの立ち入りが困難な地域において、無人ヘリに探査システムを

搭載することで、広範囲に迅速な探査が可能となる。

事例が発生した原因 ヘリコプターを利用した空中電磁探査システム(HEM)は、広範囲の地域

を迅速に測定可能な利点を持つが、航空局への飛行許可申請手続きが必

要であり緊急事対応に迅速性が欠ける。

事例への対応 約 400 m×500 m の範囲(測線間隔約 30 m 程度)を、無人ヘリを用い

て空中から探査し、同システムを用いてその延長平坦部を地上からマン

ボーンで探査した。全測定にかかった時間は約 1 日程度であった。

事例への対応結果

一次元逆解析で深度 50 m までの比抵抗を算出し、比抵抗分布平面図を

作成、北側平坦地で低比抵抗が分布し、斜面に近づくにつれて高比抵抗

になる。比抵抗断面図から北側平坦部の低比抵抗は斜面下の深部に連続

し、その上に覆いかぶさるように急斜面から大地へ高比抵抗が分布す

る。

ノウハウ・判断根拠 タイムドメイン方式の無人ヘリコプターに搭載した空中電磁探査システ

ムを利用することで短時間に測定が実施できる

参考文献 無人ヘリコプターを利用した空中電磁探査法の中越地震で発生した大規

模斜面崩壊への適用:物理探査学会第 114 回学術講演会論文集(2006) キーワード 空中電磁探査

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4-61

表 3-1 空中磁気探査事例シート

整理番号 40

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査

事例名称 Olympic Dam 鉱床の空中磁気探査

調査の目的 鉱床探査

調査の概要 酸化鉄銅金鉱床(IOCG 鉱床)は一般的に多量の酸化鉄鉱物(赤鉄鉱、磁鉄

鉱)を伴う。比重も高く、高磁気異常、高重力異常を示す。

調査項目と方法 空中磁気探査

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1975 年

事例の発生個所 オーストラリア

事例の概要

オーストラリア政府が公開する空中磁気探査データ(測線間隔 1.6 km、飛

行高度 150 m)及び重力探査による概査で有望地域を選定し、さらに絞込み

を行うために測点密度の細かい調査を実施して高磁力異常、高重力異常域に

対するボーリングにより鉱化帯を補足した。

事例が発生した原因 鉱床モデルの設定の誤り

事例への対応

当初は玄武岩を金属供給源とした堆積岩層準規制型の銅鉱床モデルを想定

し、オーストラリア政府が公開する空中磁気探査データ(測線間隔 1.6km、

飛行高度 150 m)、重力データ(グリッド間隔 7 km×7 km)を用いて高重力

異常(結晶基盤の上昇を反映)、高磁気異常の縁辺部(玄武岩の縁部に位置

する鉱床モデルを想定)及び断層(鉱液の上昇経路)の位置からボーリング

を掘進した。

その結果、堆積岩中ではなくその下位の花崗岩中で鉱化帯(深度 353~

391m @1.05 %Cu)を補足し、当時では新しい鉱床タイプであった酸化鉄銅

金鉱床(IOCG 鉱床)である Olympic Dam 鉱床を発見した。

その結果、探査ターゲットの鉱床モデルを修正して測線間隔 400 m、飛行高

度 100 m の空中磁気探査(データ取得間隔約 45 m)、測点間隔 100 m、測線

間隔 2 km の重力探査を実施した。

事例への対応結果 高磁気異常と高重力異常が一致する範囲に対するボーリング調査により、巨

大鉱床の全容を明らかにした。

ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 金属資源探査における物理探査(2):物理探査第 65 巻 3 号 p109-124(2012)

キーワード 空中磁気探査、酸化鉄銅金鉱床

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4-62

表 3-2 空中磁気探査事例シート

整理番号 41

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査

事例名称 SQUID を用いた空中磁気探査用磁場偏差装置

調査の目的 鉱床探査

調査の概要 -

調査項目と方法 -

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 -

事例の発生個所 -

事例の概要

鉱床を胚胎する地質が堆積岩などで被覆されている場合、地表踏査では基盤

地質がわからないので、空中磁気探査データの解釈が重要となる。しかし斑

レイ岩などは逆帯磁(残留磁気)している場合が多く、実際は大きい帯磁率

を持つが逆帯磁しているため全磁場強度図では小さな値を示し、正しく地質

解釈することができない。そこで指向性のある磁力計を用いた装置が開発さ

れた。

事例が発生した原因 金属資源探査において空中磁気探査に使われている光ポンピング磁力計は逆

帯磁した残留磁気を示す地質を正しく解釈できないという課題がある。

事例への対応 SQUID(超伝導量子干渉素子)は磁場値を直接検出する指向性のある磁気

センサーの中では、周波数帯域も広く、ノイズレベルも非常に低い。

事例への対応結果

SQUID を用いて測定された磁場偏差データから、Txx、Txy、Txz、Tyy、

Tyz、Tzz の 6 種類(3 方向の磁場成分と偏差方向の組み合わせ)の平面図を

作成できるだけでなく、データ処理により 3 方向の磁場成分も計算すること

ができる。

ノウハウ・判断根拠 地表浅部の高磁性帯の高精度検出技術として SQUID を用いた空中磁気探査

装置が開発された。

参考文献 金属資源探査における物理探査(1):物理探査第 64 巻 4 号 p229-242(2011)

キーワード TEM 法電磁探査、SQUID

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4-63

表 3-3 空中磁気探査事例シート

整理番号 42

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 ウルグアイ東方共和国(サンホセ・アロジョグランデ地域)物理探査

調査の目的 空中物理探査による磁気強度及び放射線強度の分布図から、調査地域の

地質構造や岩体の連続性を明らかにすると共に、断層構造や鉱化変質帯

を抽出する。 調査の概要 -

調査項目と方法

調査面積:1,200 km2、飛行測線長:27,000 km 測線間隔:主測線:250 m 間隔(南北方向)、補助測線:5,000 m 間隔

(東西方向) 固定翼航空機 Piper Nanajo C-GKMW 磁力計は光ポンピング磁力計を用い、機体尾部のスティンガーにセンサ

を格納した。 放射能探査は、航空機用としてヨウ化ナトリウム結晶の体積を 5 万 cm3

以上として感度を高め、全放射線強度のほか、K、U、Th の 3 成分の放

射性崩壊によるガンマ線を捕捉することで、地表下 30~45 cm の表層の

状態を観測した。 課題 空中物理探査実施会社の選定と機器故障による作業遅延

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2001 年 事例の発生個所 - 事例の概要 作業実施空中物理探査会社の選定

事例が発生した原因

MMAJ は海外の主要空中物理探査実施会社に対して事前に見積を取って

いた。 ところが、案件が具体化し、調査会社の選定・交渉を行っている 中

に、F 社が他の空中物理探査会社を吸収した。交渉を続けていた S 社か

ら契約書を送ると連絡のあった 1 週間後に当社は吸収されたとの連絡を

受けた。

事例への対応

他の 1 社と契約交渉を続けるとともに、吸収した F 社に S 社の契約内容

とプロポーザル用資料(表、図、内容)を送ると共に、金額を含むプロ

ポーザルを要求した結果、価格の安い F 社に決定。 測定時期に遅延が予想されたため、契約書にペナルティ条項を加えよう

としたが、相手側から拒否された。

事例への対応結果

本案件は、MMAJ が当初発注先コンサルタントからサブコントラクター

である空中物理探査会社の契約を実施させる予定で動いていたが、 終

的に契約は MMAJ がサブコントラクターと契約、支払いは発注先コン

サルタント経由という形となった。

ノウハウ・判断根拠 航空機や測定機材の持ち込み条件の確認、使用飛行場の確保等が調査開

始時期、測定期間、経費に大きく依存する。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社技術者インタビュー キーワード 空中磁気探査

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4-64

表 3-4 空中磁気探査事例シート

整理番号 43

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 ウルグアイ東方共和国(サンホセ・アロジョグランデ地域)物理探査

調査の目的 空中物理探査による磁気強度及び放射線強度の分布図から、調査地域の

地質構造や岩体の連続性を明らかにすると共に、断層構造や鉱化変質帯

を抽出する。 調査の概要 -

調査項目と方法

調査面積:1,200 km2、飛行測線長:27,000 km 測線間隔:主測線:250 m 間隔(南北方向)、補助測線:5,000 m 間隔

(東西方向) 固定翼航空機 Piper Nanajo C-GKMW 磁力計は光ポンピング磁力計を用い、機体尾部のスティンガーにセンサ

を格納 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2001 年 事例の発生個所 -

事例の概要 グリーンストン帯が分布する地域の3つのブロックに対して空中磁気探

査を実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ブロック 1(164 測線、3,447 km)、ブロック 2(121 測線、2,729 km)、ブロック 3(547 測線、21,320 km)と空中磁気探査を行った。い

ずれも高度 50~150 m の比較的兵站な地形である。

事例への対応結果

N60E の直線状に伸びる高磁気異常の分布が卓越し、本地域の主要な地

質構造を良く反映しており、造山運動時に形成された磁性鉱物を含む地

層ないし構造線に伴う塩基性貫入岩と考えられる。また東西系の高磁気

異常が一部に認められ、玄武岩の貫入岩を反映したものと考えられる

が、東西系と N60E のトレンドの交点付近を次年度の準精査地域として

抽出した。

ノウハウ・判断根拠 磁気構造の不連続面として抽出される断層や岩体接触部とカリウムの異

常分布が一致する箇所において鉱化作用の賦存可能性が も高いと考え

られる。

参考文献 ウルグアイ東方共和国サンホセ・アロジョグランデ地域 資源開発協力

基礎調査報告書(総括報告書);金属鉱業事業団(2003) キーワード 空中磁気探査

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4-65

表 3-5 空中磁気探査事例シート

整理番号 44

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 フィリピン共和国ミンドロ地域 資源開発協力基礎調査

調査の目的 フィリピン共和国ミンドロ地域において非金属鉱物を含めた各種鉱物資

源の賦存状況を評価することを目的とする。 調査の概要 -

調査項目と方法

調査面積:10,000 km2、飛行測線長:6,370 km 測線間隔:主測線 2.5 km 間隔(南北方向)、補助測線 10 km 間隔(東西方

向) 固定翼航空機セスナ 420 型 磁力計:varian 社製 V-4914 プロトン磁力計 飛行高度:海抜 1,800 m、2,700 m

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1981 年 事例の発生個所 -

事例の概要 フィリピン共和国ミンドロ地域 資源開発協力基礎調査の一環として実

施された。

事例が発生した原因

当初デジタル記録を基に全磁力図を作成する予定であったが、日本国内

で収録済み磁気テープの読み取り作業を行った結果、乱数的な値しか入

力されておらず、データとして採用できないと判断された。 アナログ原記録のフィリピン国外持ち出しを禁じられたため、データチ

ェックを行うことができなかった。

事例への対応

本調査の現地測定作業はフィリピン共和国天然資源省鉱山地球科学局に

より実施された。現地測定前の機器点検、現地調査中は当社員が付き添

い、測定データの可否を検討すると共に、アナログ記録の読み取りを行

った。 現地測定終了後、可能な限り収集したアナログ記録読取値を用いて日変

化補正を施し、フィリピン側作成による航跡図を基に全磁力図を作成し

た。

事例への対応結果

データチェックの行われていない段階の全磁力図に対して定性解析とし

て、帯域フィルター処理、鉛直二次微分処理、上方接続、スペクトル解

析を行った。また定量解析として磁力変化図上の顕著な磁気異常に対し

て磁気断面を作成し、曲線照合法によるモデル解析を行った。 調査地域中央部では NW-NNW 系の磁気不連続線とこれに平行した超苦

鉄質岩類と考えられる高磁性岩体の分布が卓越し、地質図と比較して非

常に良い対応を示している。一方、調査地域北西部では NE-ENE 系の

磁気不連続線が卓越している。 ノウハウ・判断根拠 調査地域の磁気不連続線及び高磁性岩体の分布の概要が把握された。

参考文献 フィリピン共和国ミンドロ地域 資源開発協力基礎調査報告書(第 1 年

次);金属鉱業事業団(1982) キーワード 空中磁気探査

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表 3-6 空中磁気探査事例シート

整理番号 45

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査

事例名称 ヘリコプターを用いた総合的な空中物理探査システムの開発(空中磁気

探査)

調査の目的 空中電磁、空中磁気、空中放射能、空中熱赤外映像の各探査手法を高度

化、統合化することにより総合空中探査システムを開発する。

調査の概要 磁場分布の時間的変化を観測することで、火山体内部の温度状態を推定

し、短期・長期的な火山活動の推移を把握する。

調査項目と方法 バード 2 台(ヘリ下方 31 m、40 m) センサー:Geometrics 社製 G-823A セシウム磁力計 2 台 地上局:GSM-19 プロトン磁力計

課題

地下浅部の微細な磁気構造を求めるためには低空での稠密な飛行による

測定が要求され、地下深部の磁気構造を求めるためには飛行高度を上げ

て広範囲の測定が要求される。通常コスト面から 1 回の飛行高度による

測定が一般的であり、数年後に同じ範囲を測定した場合でも飛行高度の

相違等により地下の磁気構造の詳細な時間的変化を把握できていない。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 阿蘇火山 事例の概要 -

事例が発生した原因 複数の飛行高度による磁場と空間配置の高精度な計測により、磁場空間

ポテンシャルマップを求める。

事例への対応

阿蘇の実験では、高度 100 m、200 m、300 m、水平飛行間隔 200 m で

飛行し、磁場計測を実施した。このデータから磁場の 3 次元分布を推定

するため、空間上のデータをランダムにグリッディングし、各観測点の

実測データを線形補完してグリッド内部の磁場を求めた。

事例への対応結果

空中磁気探査で得られたデータから磁場分布を推定する方法として、デ

ータをフィルタリングして観測面上下の磁場を推定(上方接続・下方接

続)し、三次元分布を求めているが、表現できる磁場異常の波長が制限

される。火山のように局所的な領域で時間変化検出を目的とした磁場分

布の推定を行うには、精度良く短波長成分を表現することが重要であ

る。 複数面の稠密データを取得して直接補完することで、短波長成分も含め

て精度良く空間分布を推定することができ、複数の時期で磁場空間ポテ

ンシャルマップを作成することで、微細な時間的・空間的変化を捕らえ

ることができる。

ノウハウ・判断根拠 磁気構造のモニタリングを可能にする技術であり、防災に向けた技術の

向上が図れる。

参考文献 ヘリコプターを用いた総合的な空中物理探査システムの開発(その 1)-空中電磁、空中磁気、空中放射能、空中熱赤外映像の各探査手法の高

度化-:電力中央研究所研究報告:N06011(2007) キーワード 空中磁気探査

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表 3-7 空中磁気探査事例シート

整理番号 46

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 スティンガー方式ヘリコプター磁気探査システムの開発

調査の目的 日本国内に適合した自前のヘリボーン磁気探査システムを構築し、各種

目的での調査に利用可能とする 調査の概要 -

調査項目と方法 磁力計センサー部:Scintrex 社製 CS-2 セシウム磁力計 3 軸フラックスゲート磁力計 機種:AerospatialeSA315B

課題 日本国内に適合した自前のヘリボーン磁気探査システムの構築 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2002 年 事例の発生個所 -

事例の概要 日本の国内での飛行に適したスティンガー方式ヘリボーン磁気探査シス

テムを構築したこと

事例が発生した原因 スティンガー方式ヘリボーン磁気探査システムは 1997 年に旧 MMAJ に

より導入されたが、国内にハードウェアがなく、輸入輸出手続に時間と

費用を要し、機動的な調査ができなかった。

事例への対応 日本国内の急峻な高山での調査も可能なスティンガー方式ヘリボーン磁

気探査システムを開発している。

事例への対応結果 スティンガー方式で問題となる機体磁気補償に対しては 3 軸フラックス

ゲート磁力計の計測データを用いて補正している。

ノウハウ・判断根拠

ヘリコプターを利用することで低空におけるデータ取得を行うことがで

き、バードよりも低空で飛行可能なスティンガー方式を採用し、急峻な

山岳地形でも飛行可能なヘリコプターに搭載したシステムを日本国内に

構築している。

参考文献 スティンガー式ヘリコプター磁気探査システムの開発と磁気センサーに

対する機体磁気補償;物理探査第 58 巻 5 号 pp.451-459(2005) キーワード 空中磁気探査

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表 3-8 空中磁気探査事例シート

整理番号 47

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 マレイシア国 鉱物資源基本図調査 資源開発協力基礎調査サバ地域

調査の目的 マレイシア国サバ州地域において鉱物資源賦存の可能性を調査すること

を目的とする。 調査の概要 -

調査項目と方法

6 地域、調査面積:13,350 km2、飛行測線長:27,578 km 測線間隔:主測線:500 m 間隔(南北方向)、補助測線:10 km 間隔(東

西方向) ヘリコプター センサー高度:150 m 磁力計:IFG 社製 HSM2 セシウム磁力計:Scintrex 社製 V1W2321H8 地上磁力計:Barringer Research 社製 M234

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1991~1992 年 事例の発生個所 -

事例の概要 ヘリコプターによる空中磁気法と空中放射能法(γ 線)を併用して既知鉱

床の比較的密集する範囲に対して実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応

取得された磁気データは、日変化補正後、全磁力図を作成した。また観

測曲線とモデル曲線を照合して高磁性岩体の深さ、規模及び帯磁率を求

める定量解析を行った。 磁気異常図として全磁力図から定性及び定量解析によって推定される高

磁性岩体の分布域と断層または岩質境界に相当する磁気不連続線を示し

た。

事例への対応結果

解析の結果作成した磁気異常図及び放射線異常図では、調査地域の地質

及び地質構造を良く反映している。さらに、キナバル地区では N-S 系の

不連続線が卓越するのに対してラブク地区では NE-SW 系が卓越するな

ど地区によって構造の差を明瞭に抽出している。 センポルナ地区の火山岩類の分布域で認められる変質帯は、磁性が低く

かつ放射線強度が高い箇所として抽出が可能である。 キナバル地区の南部では地下深部に高磁性を示す岩体が、センポルナ地

区の北部では地下浅所に高磁性を示す岩体の存在が推定される。

ノウハウ・判断根拠 空中物理探査の結果は地質及び地質構造をよく反映している。また変質

帯の分布域では低磁性を示すなど変質帯も抽出された。

参考文献 マレイシア国 鉱物資源基本図調査 資源開発協力基礎調査報告書サバ

地域(総括報告書);金属鉱業事業団(1994) キーワード 空中磁気探査

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表 3-9 空中磁気探査事例シート

整理番号 48

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 モンゴル国 西エルデネット地域 資源開発協力基礎調査

調査の目的 モンゴル国 西エルデネット地域において地質状況及び鉱床賦存状況を

解明することにより新鉱床を発見することを目的とする。また調査期間

を通じて相手国機関に対して技術移転を図ることを目的とする。 調査の概要 -

調査項目と方法

調査面積:5,500 km2、飛行測線長:25,800 km 測線間隔:主測線:250 m 間隔(南北方向)、補助測線:5,000 m 間隔

(東西方向) 固定翼航空機 Piper Cheyenne PA-31T2 センサー高度:120 m 磁力計:Geometrics 社製 G-822A 光ポンピング磁力計 機体尾部のステ

ィンガーにセンサを格納 地上磁力計:GEM Systems 社製 GSM-19 飛行場の東側に設定、磁力

計による日変化モニタリング 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2001 年 事例の発生個所 -

事例の概要 第 1 年次として 5,500 km2の面積を有する調査地域を対象に空中物理探

査を実施した。 事例が発生した原因

事例への対応 取得された磁気データは、日変化補正、機体磁気補正後、IGRF 残差を

求め、極磁気変換して、全磁力図、極磁気変換磁力図、鉛直 2 時微分図

を作成した。

事例への対応結果

調査範囲の南東端から中央に向かって NW-SE 方向の低磁気異常体が緩

やかな凹型で連続し、エルデネット鉱床は低磁気異常帯が示す褶曲帯の

NW-SE 軸部に賦存する。この低磁気異常帯中に鋭角状の低磁気異常帯

の交差部が複数認められ、エルデネット鉱床はこの直上部に位置する。

詳細な空中磁気探査解析から新たに区分できる火成岩体の存在と配列が

確認された。これは、残留磁気測定の結果から低磁気異常帯はエルデネ

ット複合岩体花崗岩類が逆帯磁していることに起因する。

ノウハウ・判断根拠 探鉱には NW-SE 方向に連続する褶曲帯の連続性と新たに区分された火

成岩体の配列分布が重要な要素となり、二つの地質要素を兼ね備えた周

辺地域がポーフィリー型銅モリブデン鉱床の存在する可能性が高い。

参考文献 モンゴル国 西エルデネット地域 資源開発協力基礎調査報告書(第 1年次);金属鉱業事業団(2002)

キーワード 空中磁気探査

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表 3-10 空中磁気探査事例シート

整理番号 49

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査、空中放射能探査

事例名称 花崗岩地域における空中物理探査(DighemV)の適用性について(その

2)-空中磁気探査および空中放射能探査について- 調査の目的 花崗岩分布地域における空中物理探査の適用性を評価する。

調査の概要 土岐花崗岩の分布地域でヘリコプターによる空中物理探査システム

(DighemV)を用いた運用試験を実施した。

調査項目と方法 空中磁力計:Scintrex 社製 Mac-3 光ポンピング磁力計 地上磁力計:Scintrex 社製 Mac-3 プロトン磁力計 放射能探査:Picodas 社製 ENMOS-2001 システム 256 チャンネル

課題 地上に規模の大きな構造物が散在する地域でヘリコプターによる空中物

理探査を実施する場合の問題点 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1997 年 事例の発生個所 岐阜県東濃地域

事例の概要 地上に規模の大きな構造物が散在する地域で、ヘリコプターを使用する

ことにより、センサー高度を低くして高密度のデータを取得する空中磁

気探査、空中放射能探査を実施した。 事例が発生した原因 地上構造物の存在が空中物理探査データに影響を与える懸念があった。

事例への対応 センサー高度 75 m でデータを取得したが、局所的な高磁気異常が随所

で認められ、地上構造物による異常と確認された。

事例への対応結果

波長 3,000 m のローパスフィルターによる処理では、地表構造物の影響

は除去できたが、センサーの対地高度を数百 m とした場合に得られるよ

うな磁気異常となった。 そこで、陰影処理を施したマップを作成し、測定データの得られていな

い箇所があたかも連続性のある構造を擬似表示させているためにマスキ

ングを施して、花崗岩分布地域に相当する環状構造を抽出した。

ノウハウ・判断根拠 陰影処理は広域的なデータの分布に埋もれてしまう傾向にある局所的な

変化の特徴を抽出するのに適しており、空中磁気データの解釈に有効な

手段である。

参考文献 花崗岩地域における空中物理探査(DighemV)の適用性について(その

2)-空中磁気探査および空中放射能探査について-:物理探査学会第

116 回学術講演会論文集(2007) キーワード 空中磁気探査、空中放射能探査

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表 3-11 空中磁気探査事例シート

整理番号 50

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 空中電磁探査及び空中磁気探査を用いた道路斜面の地質構造の推定 調査の目的

調査の概要 国道沿いの岩盤斜面を対象として空中電磁探査、空中磁気探査をならび

に地上での電気探査を行い、広域的な水理地質構造の推定を行った。 調査項目と方法

課題 海岸沿いに通る国道の背後斜面に標高 60m 以上の平坦段丘台地が広が

る。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 北海道知床半島西部 事例の概要

事例が発生した原因

事例への対応 国道沿いの岩盤斜面を対象として空中電磁探査、空中磁気探査を広域で

実施し地盤性状の概略把握を行うと共に、シュランベルジャー法による

地上電気探査を探査深度 100m 内外までを対象として 4 点実施した。

事例への対応結果

一般に堆積岩類の磁力強度は礫岩>左岸>泥岩の順に小さいとされてお

り、磁力強度分布図から斜里方面海側で礫岩の分布が推定され、地質図

及び電磁探査結果とも合致する。 斜里方面山側、宇登呂方面海側及び山側では泥岩の分布が推定され、地

質図で示されていない宇登呂方面山側も、地質断面図で示される幾品層

(泥岩)の向斜部の上位に泥岩よりも磁力強度の強い砂岩等が被っている

状況を捉えたものと推察される。表層に表れない地下の地質構造を推定

する資料として十分に活用できると考えられる。

ノウハウ・判断根拠 空中磁気探査により地下の岩石の相対的な分布状況から地下の褶曲構造

を広域的かつ迅速に捉えることができた。

参考文献 空中電磁探査及び空中磁気探査を用いた道路斜面の地質構造の推定:物

理探査学会第 113 回学術講演会論文集(2005) キーワード 空中磁気探査、空中電磁探査

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4-72

表 3-12 空中磁気探査事例シート

整理番号 51

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 資源調査における空中磁気探査の調査範囲の設定 調査の目的 鉱物資源調査 調査の概要 -

調査項目と方法 空中磁気探査探査 課題 空中磁気探査の計画 範囲が狭く磁気異常を特定できない

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 1990 年代 事例の発生個所 - 事例の概要 空中物理探査の計画設定の誤り

事例が発生した原因 鉱物資源調査を実施する場合に、広域地質調査結果に基づき調査範囲が

計画されていた。設定された空中磁気探査測定範囲はかなり狭く、異常

帯の規模や形状を把握できない。

事例への対応

当初計画された空中磁気探査範囲では磁気異常の中心部しか網羅されな

い可能性が高く、磁気異常の範囲を特定するには不十分であったため、

その周辺部まで拡大し、磁気異常の認められない範囲を含めて調査を実

施した。

事例への対応結果 結果的に範囲を広げて調査を実施することで、磁気異常のトレンドが明

瞭となり、次の詳細調査を実施する範囲を特定することができた。

ノウハウ・判断根拠

物理探査の測定パラメータは、ターゲットとする鉱床のみで異常を示す

のではなく、母岩の地質や褶曲構造などターゲット以外の要因によって

も変化するため、調査地域全体の値を把握した上で、異常とする数値の

範囲を決定し、その規模を決定することが必要である。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー キーワード 空中磁気探査

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4-73

表 3-13 空中磁気探査事例シート

整理番号 52

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 空中磁気探査による地磁気三成分異常を用いた青ヶ島の磁化構造

調査の目的 火山島で将来起こる火山災害の提言を目指し、火山体内部構造を把握す

る 調査の概要 青ヶ島で空中 3 成分磁気探査を実施した。

調査項目と方法

磁力計センサー部:Bartington 社製 KEI-9320S 3 軸フラックスゲート磁

力計 南北方向主測線間隔 300m 飛行高度 100,300,600m 測線長 150km

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2006 年 事例の発生個所 青ヶ島を中心とする東西 4.5km、南北 10km 事例の概要

事例が発生した原因

通常、火山体内部の磁化構造把握のためにその妥当性を評価できない全

磁力異常(TIA)を投影地磁気異常(PTA)とみなして計算してきたが、全磁

力異常と投影地磁気異常の差(ε=TIA-PTA)が解析に及ぼす影響に

ついて言及されないまま使われてきた。

事例への対応 全磁力異常と投影地磁気異常の差(ε=TIA-PTA)を考える必要のな

い空中 3 成分磁気探査をにより、青ヶ島火山島内部の三次元・三成分磁

化構造を解析した。

事例への対応結果 青ヶ島の南西部の深度 1~2km において、1A/m 以下の低磁化領域が把

握された。現在の噴気 が活発な領域との位置関係を考えると、その低磁

化領域は青ヶ島火山活動の熱源であると考えられる。

ノウハウ・判断根拠 全磁力異常を投影全磁力と同等とみなしたときの解析への影響を評価

し、解析結果の信頼性を保つには三成分磁場を測定する必要がある。

参考文献 空中磁気探査による地磁気三成分異常を用いた青ヶ島の磁化構造:物理

探査第 62 巻第 1 号;pp17-26(2009) キーワード 空中磁気探査、三成分磁気異常、空中三成分磁気探査

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表 3-14 空中磁気探査事例シート

整理番号 53

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 石垣島北方海域南部空中磁気探査について 調査の目的 南西諸島西方海域で行っている空中磁気探査の一環として実施。 調査の概要

調査項目と方法

航空機:セスナ 404 型 バード方式 磁力計:EG&G Geometrics 社製 G813 プロトン磁力計

丸文(株)製 8002 型セシウム磁力計 測線延長:約 4100km、飛行高度 1500 フィート 主測線方向:NW-SE 測線間隔:5km 航跡標定:ロラン C 円航法データ及び陸域の対地映像ビデオ

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1988 年 事例の発生個所 尖閣諸島赤尾嶼および黄尾嶼を含む海域(石垣島北方海域南部) 事例の概要

事例が発生した原因

尖閣諸島は沖縄県石垣島の北方約 180km の東シナ海にあって、魚釣島、

黄尾嶼(久場島)、赤尾嶼(大正島)等の無人島と岩礁からなる。尖閣諸

島はこの付近の国境が未画定である一方赤尾嶼および黄尾嶼が米軍の演

習標的となっていることから上陸を含めた地質学的調査がままならな

い。

事例への対応

日変化点は宮古島に設けた。 赤尾嶼および黄尾嶼付近においては、上空を通過する測線を設けて磁気

探査を行うと共に、対置写真及びビデオの撮影を行った。 測定データから、IGRF 残差空中磁気異常図(全磁力異常図)を作成した。

事例への対応結果

魚釣島北方の東海陸棚海域においては、長波長・短振幅の高磁気異常域

が N-S 方向に複数分布する。 赤尾嶼は周囲を短波長・中振幅の磁気異常群に囲まれているが、それ自

身の磁気異常は 10nT 程度と小さい。 黄尾嶼付近では、同島およびその周囲の海底地形の高まりに対応して、

振幅約 420nT のノーマル方向の磁気異常が分布する。 宮古海山付近では、その東部に低磁気異常が、西部に振幅約 100nT のノ

ーマル方向のダイポール型磁気異常が分布する。

ノウハウ・判断根拠

赤尾嶼の周囲には磁気異常が認められることから、安産岩質火山岩の分

出現の縁辺部に存在した岩体の未浸食部分と推定される。 黄尾嶼は数個の旧噴火口を有する火山島であり、普通輝石橄欖石玄武岩

質溶岩を主とした火山噴出物が磁気異常源と考えられる。 宮古海山の磁気的構造は東部と西部で異なるものと推定される。

参考文献 石垣島北方海域南部空中磁気探査について:物理探査学会第 80 回学術

講演会論文集(1989) キーワード 空中磁気探査

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4-75

表 3-15 空中磁気探査事例シート

整理番号 54

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 石垣島北方海域北部空中磁気探査について

調査の目的 地質調査所の特別研究「空中磁気探査による大陸縁辺の海底地化構造の

研究」の一環として実施。 調査の概要

調査項目と方法

航空機:セスナ 404 型 バード方式 磁力計:EG&G Geometrics 社製 G813 プロトン磁力計

丸文(株)製 8002 型セシウム磁力計 測線延長:約 3800km、飛行高度 1500 フィート 主測線方向:NW-SE 測線間隔:5km 航跡標定:ロラン C 円航法データ及び陸域の対地映像ビデオ

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1986 年 事例の発生個所 石垣島北方海域北部 事例の概要

事例が発生した原因

事例への対応

日変化点は宮古島に設けた。 測定データから、IGRF 残差空中磁気異常図(全磁力異常図)を作成した。

空中磁気図の原データを用いて三次元プリズム及び大工を時期構造モデ

ルと仮定したカーブマッチング法による定量解析を行った。

事例への対応結果

東海陸棚内堆積盆推定海域には、顕著な磁気異常が少なく、NS-SW 方

向に低振幅の低磁気異常帯が伸張して分布する。 低振幅の低磁気異常帯の北西方には中波長・中振幅の磁気異常が卓越し

て分布しており、磁気異常の様相が異なる。 東海陸棚外縁部付近に、NW-SE 方向に規制された顕著な一連の磁気異

常が観測された。

ノウハウ・判断根拠

定量解析の結果、東海陸棚内堆積盆推定海域では厚い堆積盆の発達が推

定される。 低振幅の低磁気異常帯の北西方海域においては堆積盆推定海域に対して

相対的に磁気基盤は隆起するものと判断される。

参考文献 石垣島北方海域北部空中磁気探査について:物理探査学会第 76 回学術

講演会論文集(1987) キーワード 空中磁気探査

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4-76

表 3-16 空中磁気探査事例シート

整理番号 55

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 尖閣諸島周辺海域における空中磁気探査 調査の目的 南西諸島西方海域で行っている空中磁気探査の一環として実施。

調査の概要 雲仙科学掘削の一観測項目としてヘリコプターによる低高度な高密度空

中磁気測量を実施した。

調査項目と方法

航空機:セスナ 404 型 バード方式 磁力計:EG&G Geometrics 社製 G813 プロトン磁力計

丸文(株)製 8002 型セシウム磁力計 測線延長:約 2750km、飛行高度 1500 フィート 主測線方向:NW-SE 測線間隔:5km 航跡標定:ロラン C 円航法データ及び陸域の対地映像ビデオ

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1989 年 事例の発生個所 尖閣諸島周辺海域 事例の概要

事例が発生した原因

事例への対応

日変化点は石垣市に設けた。 尖閣諸島付近において上空を通過する測線を特別に設けて磁気探査を行

うと共に対置写真及びビデオの撮影を行った。測定データから、IGRF残差空中磁気異常図(全磁力異常図)を作成した。

事例への対応結果

魚釣島西方から北方の東海陸棚海域においては顕著な磁気異常は存在せ

ず、長波長・短振幅の高磁気異常域となっており、特に魚釣島北方海域

では磁気異常の変化が穏やかで、厚い堆積層の発達が期待される。 東海陸棚外縁部魚釣島を中心とした尖閣諸島付近では短波長・高振幅の 磁気異常が卓越して分布する。ただし全体としては北に低、南に高の各

磁気異常帯が NE-SW 方向に分布する。

ノウハウ・判断根拠 角閃石閃緑岩質ヒン岩が大局的に正帯磁であるとすれば、磁気異常の分

布からヒン岩の分布の中心は魚釣島及び南小島の南方海域と推定され

る。

参考文献 尖閣諸島周辺海域における空中磁気探査:物理探査学会第 82 回学術講

演会論文集(1990) キーワード 空中磁気探査

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4-77

表 3-17 空中磁気探査事例シート

整理番号 56

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 低高度な高密度空中磁気探査から推定される雲仙地溝の磁化構造

調査の目的 雲仙の火山活動に関連する雲仙地溝の詳細な 2 次元磁化構造を明らかに

する。

調査の概要 雲仙科学掘削の一観測項目としてヘリコプターによる低高度な高密度空

中磁気測量を実施した。

調査項目と方法 バード方式 磁力計:G858 セシウム磁力計、10Hz サンプリング

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 長崎県雲仙普賢岳周辺 事例の概要

事例が発生した原因

事例への対応

調査飛行は断層を横切る測線で実施し、日変化補正は眉山治山ダムサイ

トに設けたリファレンス点の磁場値との単純差で行った。 フォワード解析は Blakely(1995)に基づき、地形補正済み磁気異常デー

タを入力値として 2 次元磁化構造を求めた。

事例への対応結果

フォワード計算による解析から、雲仙地溝内部を埋める火砕流堆積物と

雲仙基盤岩体の磁化強度の大きさは、火砕流堆積物の方が約 2~3A/m 大

きいことが明らかとなった。雲仙地溝を形成する主な断層の境界が雲仙

地溝帯を横切る南北のプロファイルで明白に見て取れる。解析結果か

ら、地溝内部と基盤の磁化構造コントラストが西側の方が東側より

1A/m 程度大きく、普賢岳より西側では古い活動領域、東側は新しい活

動領域であることが示された。 ノウハウ・判断根拠 雲仙地溝の磁化構造を明らかにした。

参考文献 低高度な高密度空中磁気探査から推定される雲仙地溝の磁化構造:物理

探査学会第 110 回学術講演会論文集(2004) キーワード 空中磁気探査

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4-78

表 3-18 空中磁気探査事例シート

整理番号 57

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 日本周辺空中磁気異常のデータベース構築について 調査の目的 -

調査の概要 空中磁気データの整備状況と実用的データベース構築・整備に当って考

慮すべき種々の問題点 調査項目と方法 空中磁気探査

課題 地上に規模の大きな構造物が散在する地域でヘリコプターによる空中物

理探査を実施する場合の問題点 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

地質調査所、海上保安庁水路部、国土地理院、NEDO で実施された空中

磁気探査により、1990 年までに広域探査データとして国土を覆う規模の

集積を終え、各種磁気異常図として整理されてきた。 効率的なデータの利用を進めるため、データベースシステムの構築とイ

ンターネット環境での情報交換への対応が求められる。 空中磁気データの整備状況と実用的データベース構築・整備に当って考

慮すべき種々の問題点がある。

事例が発生した原因

多くの探査区域に分けて行われた調査データから編集図を作成するため

には、隣接する調査区域のデータへの不連続の対処が必要であり、探査

区域相互のデータ接合に必要なデータ取得までは行われていない。 日本列島規模の広域データの編集にあたり、従来の接合図の作成では根

拠のないフィルター処理が適用されている。

事例への対応

国土を覆う規模で集積が進んだ広域空中磁気データは個々の探査地域の

データの集合であり、その境界付近での連続性が確保されていない。 観測面高度の違いに対応して共通の仮想的観測面での値に挽きなおす(接

線処理)を行い、「妥当な地磁気標準場」のみを除去した形で各調査のデ

ータが接合でき、図化した編集図の作成が行える。

事例への対応結果

オーストラリアでは内陸寄り、海岸寄りの 2 コースで周回する調査を 1ヶ月かけて実施し、既存の磁気異常図データに対する補正を行ってい

る。 日本でも同様の探査を実施することが望ましいが、基準磁場として

DGRF を採用することにより接合図の不連続の改善が図れることが判明

した。

ノウハウ・判断根拠 全国規模の接合図作成のために、粗い測線密度での全国規模の短期間で

のコントロールデータの取得が必要である。

参考文献 日本周辺空中磁気異常のデータベース構築について:地質調査所月報、

第 2 巻、第/3 号、p125-132(2001) キーワード 空中磁気探査

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4-79

表 3-19 空中磁気探査事例シート

整理番号 58

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 富士火山地域における高分解能空中磁気探査

調査の目的 火山の安定性評価のため空中磁気探査により磁気異常を観測することで

山体の内部構造の付均質性や地質分布特性を明らかにする。

調査の概要 富士山頂を中心として東西 12 km、南北 14 km の範囲に対してヘリコプ

ターを利用したスティンガー方式の高分解能空中磁気探査を実施した。

調査項目と方法

磁力計センサー部:Scintrex 社製 CS-2 セシウム磁力計 3 軸フラックスゲート磁力計 機種:AerospatialeSA315B 南北方向主測線間隔 200 m、東西交差測線 1,000 m

課題 高所における飛行時期の設定 地形効果による磁気異常が富士火山では顕著

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2003 年 事例の発生個所 富士山を中心とする東西 12 km、南北 14 km

事例の概要 富士山頂での飛行可能な機体、探査システムを開発し、測定を実施した

が、調査に 4 ヶ月を要した。 地形効果による磁気異常が富士火山では顕著なことが判明した。

事例が発生した原因

富士山頂は標高が高く、山体が大きいため天候等の条件が悪く、調査飛

行が可能な時期が限られる。 富士火山では地形効果によると考えられる双極子型の磁気異常が顕著だ

った。

事例への対応

5 月下旬に開始し、梅雨期の休止時期を挟んで 8 月下旬に再開後、9 月

下旬に終了した。総フライト数 18 回、飛行時間 30 時間を要した。 上面:地表、下面:海水準一定に基づく合成磁気異常を計算し、観測磁

気異常と比較することにより 適な磁化の大きさを求めた。

事例への対応結果

計算した合成磁気異常図から山体に伴う双極子型の磁気異常は地形効果

であることが明瞭となり、地形モデルで説明できない磁気異常があるこ

とが判明した。 極磁気変換した異常図では、高磁気異常が山頂を取り囲むように分布、

局所的な高磁気異常が山腹割れ目火口に対応するほか、東側斜面の高磁

気異常は既存情報では説明できておらず、新たな地質的解釈が必要であ

る。

ノウハウ・判断根拠

高所におけるヘリの飛行時期の設定には、天候等の条件を考慮した計画

を立てる必要がある。 山体の大きな火山では地形効果による双極子型の磁気異常が顕著となる

ため、地形モデルに基づく合成磁気異常の検討が必要である。

参考文献 富士火山地域における高分解能空中磁気探査:物理探査学会第 110 回学

術講演会論文集(2004) キーワード 空中磁気探査

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4-80

表 3-20 空中磁気探査事例シート

整理番号 59

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 北薩・串木野地域におけるにおける高分解能空中磁気探査 調査の目的

調査の概要

調査項目と方法

空中磁力計:Scintrex 社製 CS-2 セシウム磁力計

フラックスゲート 3 軸磁力計 地上磁力計:Geometrrics 社製 プロトン磁力計 飛行測線長:7,530line-km

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1996 年 事例の発生個所 鹿児島県北薩・串木野地域

事例の概要 スティンガーマウントシステムを搭載したヘリコプターを用い、低高度

(80m)、高密度(測線間隔 200m)の空中磁気・放射能探査を国内で初めて

実施した。

事例が発生した原因

全磁力は、地球磁場に地殻の岩石の誘導磁気と残留磁気を合わせたもの

である。極磁気変換は地球磁場の方向が鉛直でないために生じる、磁気

異常とその原因となる地質体からのずれを補正するため、誘導磁気が卓

越する地域ではうまく補正されるが、残留磁気が卓越する地域では十分

補正されない可能性が高い。

事例への対応

北薩・串木野地域はほとんどが火山岩類で覆われており、誘導磁気より

も残留磁気が卓越する地域である。残留磁気を持たない岩石が示す全磁

力と比較した場合、正帯磁した岩石の全磁力は大きく、逆帯磁した岩石

の全磁力は小さくなると考えられ、古地磁気の知見が得られている地区

について極磁気変換した全磁力図と比較した。

事例への対応結果

地表に露出しているほとんどの菱刈下部安山岩類は逆帯磁しており、松

山逆磁極期中の逆磁極部[1.77~0.78Ma]に相当する。全磁力図で菱刈鉱

山周辺が低磁気異常を示しているのは、松山逆磁極期のオルドバイ正磁

極イベント以降[1.77~0.78Ma]の間に活動した菱刈下部安山岩類や獅子

間野石英安山岩類が強く逆帯磁していることに起因する。

ノウハウ・判断根拠

地表地質、絶対年代値、古地磁気測定値、全磁力図を合わせることによ

り、火山層序を推定することが可能である。本地域の浅熱水性金鉱床は

ほとんどが磁気平坦部に位置するが、鉱化に伴う熱水変質作用により母

岩に含まれる磁鉄鉱が消磁したり再分配するためと思われる。鉱化作用

後に付近で火成活動があると、この磁気平坦部は再び高・低磁気異常に

よりその大きさや形が乱される。全磁力図から残留磁気の情報を時系列

的に追跡できれば、鉱化変質に起因する磁気異常を解釈する上で非常に

有効である。

参考文献 北薩・串木野地域におけるにおける高分解能空中磁気・放射能探査結果

について(その2):物理探査学会第 98 回学術講演会論文集(1998) キーワード 空中磁気探査

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表 3-21 空中磁気探査事例シート

整理番号 60

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査 事例名称 有馬・高附・六甲活断層地域における高密度空中磁気探査

調査の目的 兵庫県南部地震に関連して有馬・高附・六甲活断層系の活断層調査の一

環として高密度空中磁気探査を行った。 調査の概要

調査項目と方法

バード方式 磁力計:G858 セシウム磁力計、10Hz サンプリング 測線間隔 300m 対地高度約 300m の包絡線飛行 航跡の位置標定:ディファレンシャル GPS 地上観測点:プロトン磁力計による連続観測

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1995 年 事例の発生個所 神戸・大阪・京都を含む地域 事例の概要

事例が発生した原因 都市化が高度に進んだ地域では、直流電車や人工構造物の影響が避けら

れず、活断層をはじめとする地質的な情報の抽出解析において大きなノ

イズ要因となる。

事例への対応

神戸市西部から大阪平野北部を経て京都市に至る面積約 1600km2 につ

いて、固定翼による空中磁気探査を実施した。 地磁気日変化の観測、GPS ディファレンシャル処理用参照点として淡路

島内(西淡町)に地上観測点を設置した。 測定データから、IGRF 残差空中磁気異常図(全磁力異常図)を作成した。

飛行高度のばらつきが大きいため、半径 1km の範囲内の測点の平均高度

をその中心点の高度とする形で平均的な飛行曲面を求め、曲面より

200m 上方の曲面を標準曲面として、磁気異常分布を求めた。

事例への対応結果

有馬高附構造線に対応する磁気異常は、特に顕著ではないが磁気異常の

比較的急傾斜部に相当しており、全体に弱いながらも磁性の異なる地層

が接する境界として認識される。 JR 及び阪急電車の線路沿いに対応して高磁気異常の帯が伸びるなど、明

瞭な磁気異常の境界が電車の路線の位置と極めてよく一致し、電車の漏

洩電流の影響が強い。 神戸市臨海部の顕著な磁気異常は、地上に作られた人工構造物に対応し

ている。そこで人工構造物の影響を点ダイポールで近似し、顕著な磁気

異常の存在する小区画毎に1つのダイポールをおいてそのパラメータを

逆解析によって求め、元の磁気異常から除去して残差を求めた結果、正

負の磁気異常の帯の大半は消失した。

ノウハウ・判断根拠 神戸市臨海部に認められた顕著な磁気異常トレンドの主要な側面は、地

表付近に分布する人口構造物の配列状況を反映したものと考えられる。

参考文献 有馬・高附・六甲活断層地域における高密度空中磁気探査:物理探査学

会第 95 回学術講演会論文集(1996) キーワード 空中磁気探査、活断層

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4-82

表 4-1 空中放射能探査事例シート

整理番号 61

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 ウルグアイ東方共和国(サンホセ・アロジョグランデ地域)物理探査

調査の目的 空中物理探査による磁気強度及び放射線強度の分布図から、調査地域の

地質構造や岩体の連続性を明らかにすると共に、断層構造や鉱化変質帯

を抽出する。 調査の概要 -

調査項目と方法

調査面積:1,200 km2、飛行測線長:27,000 km 測線間隔:主測線:250 m 間隔(南北方向)、補助測線:5,000 m 間隔

(東西方向) 固定翼航空機 Piper Nanajo C-GKMW 放射能探査は、航空機用としてヨウ化ナトリウム結晶の体積を 5 万 cm3

以上として感度を高め、全放射線強度のほか、K、U、Th の 3 成分の放

射性崩壊によるガンマ線を捕捉することで、地表下 30~45 cm の表層の

状態を観測する。

課題 全放射線強度のほか、K、U、Th の 3 成分の放射線強度を分離測定して

鉱化帯を抽出する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2001 年 事例の発生個所 - 事例の概要 放射線強度を成分ごとに分離測定

事例が発生した原因 -

事例への対応

放射線の強度は成分ごとに下記のように分類され、全ガンマ線図、カリ

ウム放射線図、ウラン放射線図、トリウム放射線図、3 成分放射線図を

作成した。上方からの宇宙線の放射線強度を補正している。 Potassium 1370 to 1570 keV Uranium 1660 to 1860 keV Thorium 2410 to 2810 keV Total Count 400 to 2810 keV Cosmic 3000 to 6000 keV Upward-looking Uranium 1660 to 1860 keV

事例への対応結果

低磁気異常のトレンドと同じ傾向をもつ高 K 異常を検出、低 K 異常は

水系と一致する。鉱化帯は高 K 異常に位置し、基盤の花崗岩の影響と考

えられるが、一部の鉱化帯は低 K 異常域にあり、強い珪化作用の影響が

考えられる。 Th 異常は一部の鉱化帯から北側一帯に認められる。 全 γ 線強度の強い地域は花崗岩の分布域であり、低 γ 線を示す箇所はダ

ムの淡水面に位置する。

ノウハウ・判断根拠 放射線強度を成分ごとに分離測定することで岩相区分や放射能異常体分

布の把握を行うことができる。

参考文献 ウルグアイ東方共和国サンホセ・アロジョグランデ地域 資源開発協力

基礎調査報告書(第 2 年次);金属鉱業事業団(2002) キーワード 空中放射能探査

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4-83

表 4-2 空中放射能探査事例シート

整理番号 62

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査

事例名称 ヘリコプターを用いた総合的な空中物理探査システムの開発(空中放射

能探査)

調査の目的 空中電磁、空中磁気、空中放射能、空中熱赤外映像の各探査手法を高度

化、統合化することにより総合空中探査システムを開発する。 調査の概要 -

調査項目と方法 放射能探査:Picodas 社製 ENMOS-2001 システム 256 チャンネル アロカ社製ガンマ線サーベイメータ TCS-GR-130(地表及び機内に設

置)

課題 地上に規模の大きな構造物が散在する地域でヘリコプターによる空中物

理探査を実施する場合の問題点 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 阿蘇火山 事例の概要 -

事例が発生した原因

放射線シンチレーターの感度の相違等により、①同じ地質でも測定②使

用する検出器・時期の違いによりそのカウント数が異なるため同一地域

での複数のデータに対してデータの解釈に支障が生じる、②異なる地域

間での放射能データの比較が困難である。

事例への対応

キャリブレーション済みのサーベイメータを併用して空中放射能探査用

検出器とサーベイメータの相関関係を求め、センサー感度に依存する放

射線強度(単位:cps)を地質の違いを定量的に評価する放射線吸収線量率

(単位:nGy/h)に変換する手法を開発した。

事例への対応結果

右図に示すように阿蘇火山

の空中放射能探査から求め

た吸収線量率とサーベイメ

ータの吸収線量率はほぼ 1:1 で対応する。両社の差の標

準偏差は 1σ で 3.7nGy/h と

なった。

ノウハウ・判断根拠 地下浅部(数十 cm 以浅)の放射能分布から熱水変質箇所や断層の位置・

規模を定量的に評価可能となった。

参考文献 ヘリコプターを用いた総合的な空中物理探査システムの開発(その 1)-空中電磁、空中磁気、空中放射能、空中熱赤外映像の各探査手法の高

度化-:電力中央研究所研究報告:N06011(2007) キーワード 空中放射能探査

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表 4-3 空中放射能探査事例シート

整理番号 63

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 マレイシア国 鉱物資源基本図調査 資源開発協力基礎調査サバ地域

調査の目的 マレイシア国サバ州地域において鉱物資源賦存の可能性を調査すること

を目的とする。 調査の概要 -

調査項目と方法

6 地域、調査面積:13,350 km2、飛行測線長:27,578 km 測線間隔:主測線:500 m 間隔(南北方向)、補助測線:10 km 間隔(東

西方向) ヘリコプター センサー高度:150 m γ 線スペクトロメータ:Picodas 社製 Pgam6000、Pgam6100 、

Pgam6500 ヨウ化ナトリウム結晶の体積 32,700 cm3

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1991~1992 年 事例の発生個所 -

事例の概要 ヘリコプターによる空中磁気法と空中放射能法(γ 線)を併用して既知鉱

床の比較的密集する範囲に対して実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応

取得した 4 種類(全放射線、K、U、Th)の放射線データに対してロー

パスフィルター、バックグラウンド除去、高度補正及びコンプトン剥ぎ

取り補正を施した。 全放射線図、3 成分放射線図を作成した。さらに放射線異常図として高

カウント異常分布域と断層または岩質境界に対応する放射線不連続線を

記載した。

事例への対応結果

解析の結果作成した磁気異常図及び放射線異常図では、調査地域の地質

及び地質構造を良く反映している。さらに、キナバル地区では N-S 系の

不連続線が卓越するのに対してラブク地区では NE-SW 系が卓越するな

ど地区によって構造の差を明瞭に抽出している。 センポルナ地区の火山岩類の分布域で認められる変質帯は、磁性が低く

かつ放射線強度が高い箇所として抽出が可能である。 キナバル地区の南部では地下深部に高磁性を示す岩体が、センポルナ地

区の北部では地下浅所に高磁性を示す岩体の存在が推定される。 ノウハウ・判断根拠 空中物理探査の結果は地質及び地質構造をよく反映している。

参考文献 マレイシア国 鉱物資源基本図調査 資源開発協力基礎調査報告書サバ

地域(総括報告書);金属鉱業事業団(1994) キーワード 空中放射能探査

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4-85

表 4-4 空中放射能探査事例シート

整理番号 64

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 モンゴル国 西エルデネット地域 資源開発協力基礎調査

調査の目的 モンゴル国 西エルデネット地域において地質状況及び鉱床賦存状況を

解明することにより新鉱床を発見することを目的とする。また調査期間

を通じて相手国機関に対して技術移転を図ることを目的とする。 調査の概要 -

調査項目と方法

調査面積:5,500 km2、飛行測線長:25,800 km 測線間隔:主測線:250 m 間隔(南北方向)、補助測線:5,000 m 間隔

(東西方向) 固定翼航空機 Piper Cheyenne PA-31T2 センサー高度:120 m γ 線スペクトロメータ:GR-820 航空機用としてヨウ化ナトリウム結晶

の体積を 5 万 cm3 以上として感度を高め、全放射線強度のほか、K、

U、Th の 3 成分の放射性崩壊によるガンマ線を捕捉する 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2001 年 事例の発生個所 -

事例の概要 第 1 年次として 5,500 km2の面積を有する調査地域を対象に空中物理探

査を実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応

放射線の強度は成分ごとに下記のように分類され、全ガンマ線図、カリ

ウム放射線図、ウラン放射線図、トリウム放射線図、3 成分放射線図を

作成した。上方からの宇宙線の放射線強度を補正している。 Potassium 1370 to 1570 keV Uranium 1660 to 1860 keV Thorium 2410 to 2810 keV Total Count 400 to 2810 keV Cosmic 3000 to 6000 keV Upward-looking Uranium 1660 to 1860 keV

事例への対応結果

Erdenet 地域は、いずれも高放射能異常域に位置しており、セレンゲ複

合岩帯やエルデネット複合岩体の花崗岩類あるいは斑岩類の影響と考え

られる。カリウムの放射線異常は NW-SE 方向の低磁気異常帯と同様の

分布を示し、特にエルデネット鉱山のオープンピット上で特徴的な高放

射線異常を示す。この NW-SE 方向の相対的に高いカリウムの放射線異

常はさらに連続して Khujiriin gol 鉱徴地地域へ、またエルデネット鉱床

南東部へと連続する。

ノウハウ・判断根拠 ポーフィリー型銅モリブデン鉱床の賦存する有望地域として、NW-SE方向に連続する褶曲帯を含む構造体を中心としてカリウムの放射線異常

の高い地域を抽出した。

参考文献 モンゴル国 西エルデネット地域 資源開発協力基礎調査報告書(第 1年次);金属鉱業事業団(2002)

キーワード 空中放射能探査

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4-86

表 4-5 空中放射能探査事例シート

整理番号 65

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査、空中放射能探査

事例名称 花崗岩地域における空中物理探査(DighemV)の適用性について(その

2)-空中磁気探査および空中放射能探査について- 調査の目的 花崗岩分布地域における空中物理探査の適用性を評価するため

調査の概要 土岐花崗岩の分布地域でヘリコプターによる空中物理探査システム

(DighemV)を用いた運用試験を実施した。

調査項目と方法 空中磁力計:Scintrex 社製 Mac-3 光ポンピング磁力計 地上磁力計:Scintrex 社製 Mac-3 プロトン磁力計 放射能探査:Picodas 社製 ENMOS-2001 システム 256 チャンネル

課題 地上に規模の大きな構造物が散在する地域でヘリコプターによる空中物

理探査を実施する場合の問題点 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1997 年 事例の発生個所 岐阜県東濃地域

事例の概要 地上に規模の大きな構造物が散在する地域で、ヘリコプターを使用する

ことにより、センサー高度を低くして高密度のデータを取得する空中磁

気探査、空中放射能探査を実施した。 事例が発生した原因 地上構造物の存在が空中物理探査データに影響を与える懸念があった。

事例への対応 マルチチャンネル方式の放射能探査システムを搭載したヘリコプターに

より空中放射能探査を実施した。

事例への対応結果 地表構造物の影響をあまり受けることなくデータの取得ができた。全ガ

ンマ線量だけでなくマルチチャンネルでデータを取得することにより、

地質構造区分に有効なデータが得られた。

ノウハウ・判断根拠 マルチチャンネル(全ガンマ線、K、Th、U)で測定することにより地

質構造区分に有効なデータが得られる。 地表構造物の影響が少ない。

参考文献 花崗岩地域における空中物理探査(DighemV)の適用性について(その

2)-空中磁気探査および空中放射能探査について-:物理探査学会第

116 回学術講演会論文集(2007) キーワード 空中磁気探査、空中放射能探査

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4-87

表 4-6 空中放射能探査事例シート

整理番号 66

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 空中物理探査法を利用した雲仙溶岩ドームの崩壊危険度予測評価

調査の目的 長崎県雲仙普賢岳の溶岩ドーム(平成新山)の崩壊危険度を予測評価す

る。

調査の概要 空中物理探査(電磁・磁気・ガンマ線)と航空写真による地形解析を実

施した。

調査項目と方法

空中放射能探査:Picodas 社製 PGAM-100 ガンマ線スペクトロメータ 256 チャンネル NAI 検出器:GSA-45 1024 cu インチ下方 256 cu インチ上方

GSA-44 1024 cu インチ下方 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 1999 年 事例の発生個所 長崎県雲仙普賢岳周辺

事例の概要 立ち入り禁止区域を含む急峻な山地において、ヘリコプターを使用する

空中放射能探査を実施してガンマ線強度分布を求める。 事例が発生した原因 立ち入り禁止区域を含む急峻な山地における測定

事例への対応

対地高度 100 m、時速 50 km/h によりデータを収集した。データは 1 秒

間隔で 14 m 毎の測定値として解析され、全ガンマ、カリウム、ウラ

ン、トリウムとそれぞれのガンマ線強度分布図が表示される。 データ処理は IAEA のテクニカルレポートに準拠したストリッピング法

に基づくソフトを用いている。

事例への対応結果

全ガンマ線強度は約 500~1,800 cps の広い範囲で変化するが、対極的に

は溶岩類は中間的な値を示し、山体を覆う家財砕屑岩や火砕流堆積物は

もっとも高い値を呈する。活動末期ほどガンマ線強度は強く、破砕化・

岩屑化が進行するほど高くなる傾向が認められる。溶岩ドームはほぼ中

間的なガンマ線強度に相当する。 熔岩ドームを詳細に見ると、溶岩の吹き出し口の集中部や溶岩流が厚

く、分布するとみなされる高比抵抗の分布域はガンマ線強度が相対的に

低く、浅層部から低比抵抗を呈する区域はガンマ線強度が高い。 ノウハウ・判断根拠 比抵抗とガンマ線強度は比較的表層の地質性状を反映している。

参考文献 空中物理探査法を利用した雲仙溶岩ドームの崩壊危険度予測評価:地質

調査所月報、第 52 巻 2/3 号 p.113-124(2001) キーワード 空中放射能探査

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4-88

表 4-7 空中放射能探査事例シート

整理番号 67

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 空中放射能探査と岩石の K、U、Th 濃度 調査の目的 空中放射能探査で得られた結果から岩石の K、U、Th 濃度を推定する。

調査の概要 空中放射能探査で得られた結果から岩石の K、U、Th 濃度を推定する。

調査項目と方法 ガンマ線検出部 地表用:4”×4”×16”の検出器 8 本

空中ラドンモニター用:NaI(4.2l)シンチレーション検出器 課題 空中放射能探査で得られた結果から岩石の K、U、Th 濃度の推定

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 兵庫県六甲山系 事例の概要 空中放射能探査で得られた結果から岩石の K、U、Th 濃度を推定する。

事例が発生した原因 -

事例への対応

空中放射能探査の放射線強度分布図に現れた特徴と岩石の K、U、Th 濃

度との関係を求めるため、六甲山系の岩石試料に対して中性子放射化分

析を行い、K、U、Th の各々について放射線強度と元素濃度の関係図を

作成し濃度への変換係数を求めた。

事例への対応結果 IAEA のテクニカルレポートに記載されている濃度への変換係数と六甲

山系での結果を比較すると、本調査結果は IAEA の換算係数に較べて

K、Th では大きく、U は小さな係数となった。

ノウハウ・判断根拠 空中放射能探査のデータから K、U、Th の各々について濃度の推定が可

能である。

参考文献 空中放射能探査と地質(3)-岩石の K、U、Th 濃度-:物理探査学会第

112 回学術講演会論文集(2005) キーワード 空中放射能探査

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4-89

表 4-8 空中放射能探査事例シート

整理番号 68

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 空中放射能探査と地質 調査の目的 空中放射能探査結果を岩相区分と対比 調査の概要 -

調査項目と方法 ガンマ線検出部 地表用:4”×4”×16”の検出器 8 本 空中ラドンモニター用:NaI(4.2l)シンチレーション検出器

課題 自然放射能探査で対象となる元素と地質・岩相との対比 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2000 年 事例の発生個所 秋田県横手盆地

事例の概要 扇状地周辺の空中放射能探査結果と地質を対比して、カリウム、ウラ

ン、トリウムの各放射線強度分布との関連性を検討した 事例が発生した原因 -

事例への対応 カリウム、ウラン、トリウムの各放射線強度と第三紀の地質を対比し

た。

事例への対応結果

高カリウム異常域は、地質図では層状玄武岩・安山岩溶岩・凝灰角礫岩

と石英安山岩の貫入岩体よりなる。これらと放射線強度分布を対比する

と、この高放射能帯は真昼川層の石英安山岩露出部分に対応すると考え

られた。この高カリウム異常から川沿いにカリウムのやや高い部分が延

び、沖積平野に連なって扇状地状に広がるのは、上流にある石英安山岩

を起源とする砂礫が川沿いに堆積し、平野部にも移動したためと考えら

れた。 千屋丘陵東側の高トリウム異常は千屋層を覆う第四紀の高位段丘・中位

段丘の分布範囲と一致し、トリウム系漂砂鉱物の存在を推定している。

ノウハウ・判断根拠 空中放射能探査により地質境界を平面図上で特定することが可能であ

る。 参考文献 空中放射能探査と地質:物理探査学会第 106 回学術講演会論文集(2002) キーワード 空中放射能探査

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4-90

表 4-9 空中放射能探査事例シート

整理番号 69

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 空中放射能探査による開口性亀裂の抽出 調査の目的 空中放射能探査による開口性亀裂の抽出 調査の概要 -

調査項目と方法 ガンマ線検出部 地表用:4”×4”×16”の検出器 8 本 空中ラドンモニター用:NaI(4.2l)シンチレーション検出器

課題 自然放射能探査データの一部のチャンネルを用いて開口性亀裂を抽出す

る。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2000 年 事例の発生個所 雲仙普賢岳

事例の概要 空中放射能探査データの一部のチャンネルを用いて開口性亀裂を抽出す

る。

事例が発生した原因 断層破砕帯で周囲より強い放射能が認められる現象は、ウラニウム塩な

いしラジウム塩が断層破砕帯を上昇して地表付近の土壌中に沈着、ラド

ンが上昇して拡散・壊変の平衡的分布状態を保つ場合が考えられる。

事例への対応

土壌ガスを採取し、有機物起源と考えられる δ13C(<20%)を除く CO2 と

Rn 濃度の関係を求めると、兜山石英安山岩分布域で強い正の相関が認

められる。 そこで、空中放射能探査データを用いて、断層破砕帯上で特に顕著に検

出されるウラン系列の 214Bi(698 eV)に的を絞ったウィンドウを設定

し、異なる測線上の三つの検出点が直線上に並ぶ箇所を開口性亀裂帯と

して抽出する。

事例への対応結果

雲仙普賢岳の空中放射能探査データを用いて幾何学的に抽出した開口性

亀裂帯は雲仙火山を中心として放射状のものと環状をなすものがあり、

これらのゾーンは雲仙火山の形成過程で生じた開口性亀裂帯と考えられ

る。 ノウハウ・判断根拠 空中放射能探査により開口性亀裂帯の検出が可能と考えられる。

参考文献 空中放射能探査と地質(2)―放射能探査と開口性亀裂―:物理探査学会第

107 回学術講演会論文集(2002) キーワード 空中放射能探査

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表 4-10 空中放射能探査事例シート

整理番号 70

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 根来断層周辺地域における空中γ線探査

調査の目的 和歌山県周辺地域における中央構造線活断層系の調査を目的として空中

γ線探査を行った。 調査の概要

調査項目と方法 ガンマ線スペクトロメータ 2 地域、調査面積:27km2、飛行測線長:122km

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1996 年 事例の発生個所 和歌山県和歌山市周辺地域 事例の概要

事例が発生した原因 ①大気中のラドンガスの経時変化によるベースレベルのγ線強度変動 ②高度減衰係数の場所・時間による変化 ③測線データのフィルター処理

事例への対応

①基準測線を設定し、測定飛行の過程で繰り返し飛行・測定してラドン

ガスの変化を調べた結果、変動値は 1 割以内であったが、補正を行っ

た。 ②空中γ線探査では、対地高度の変動による係数値のばらつきを補正す

るため、同一地点で複数の高度の測定値から各種γ線の高度減衰係数を

求め、対地高度(100m)での値に変換する処理が行われる。この高度減衰

係数の測定を複数回(場所を変えて)実施し、その変化を調べたが、変化

はほとんどなかった。 ③1D-FFT フィルターと非線形フィルターを採用し、地形効果(幾何学的

効果)を排除するため複数測線で捉えられた連続性の良いものを異常域と

して抽出し、スポット状のものや測線に沿って伸張するものは除外し

た。

事例への対応結果

根来断層、桜池断層、”狭義の”中央構造線がほぼ東西走向を有して併走

しており、その西端で収斂する傾向を示している。 西端中央部から北東方向に伸張する顕著な正異常域が認められ、根来断

層にほぼ一致するが、ピーク部分は既存資料に示されるものより南側に

ずれている。 桜池断層や”狭義の”中央構造線周辺も全体的に正異常を示し、特に収斂

部付近は顕著であるが、方向性のある帯状分布をなしていない。

ノウハウ・判断根拠

本地域ではγ線強度が弱く、かつコントラストが小さいため、異常域が

不明瞭で活断層の位置特定の精度が高くなかった。淡路島のような花崗

岩分布域と異なり、未固結堆積物下の活断層を検出するには、さらに探

査精度向上のための検討が必要である。

参考文献 根来断層周辺地域における空中γ線探査(その1):物理探査学会第 96回学術講演会論文集(1997)

キーワード 空中放射能探査

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4-92

表 4-11 空中放射能探査事例シート

整理番号 71

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中放射能探査 事例名称 資源調査における空中放射能探査の調査範囲の設定 調査の目的 鉱物資源調査 調査の概要 -

調査項目と方法 空中放射能探査 課題 空中放射能探査の計画 範囲が狭く放射線異常を特定できない

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 1990 年代 事例の発生個所 - 事例の概要 空中放射能探査の計画設定の誤り

事例が発生した原因 鉱物資源調査を実施する場合に、広域地質調査結果に基づき調査範囲が

計画されていた。設定された空中放射能探査測定範囲はかなり狭く、放

射線異常帯の規模や形状を把握できない。

事例への対応

当初計画された空中放射能探査範囲では全 γ 線強度のほか、K、U、Th強度の一部しか網羅されない可能性が高く、放射線異常の範囲を特定す

るには不十分であったため、その周辺部まで拡大し、放射線異常の認め

られない範囲を含めて調査を実施した。

事例への対応結果 結果的に範囲を広げて調査を実施することで、放射線異常のトレンドが

明瞭となり、次の詳細調査を実施する範囲を特定することができた。

ノウハウ・判断根拠

物理探査の測定パラメータは、ターゲットとする鉱床のみで異常を示す

のではなく、母岩の地質や褶曲構造などターゲット以外の要因によって

も変化するため、調査地域全体の値を把握した上で、異常とする数値の

範囲を決定し、その規模を決定することが必要である。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー キーワード 空中放射能探査

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4-93

表 4-12 空中放射能探査事例シート

整理番号 72

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中磁気探査、空中放射能探査 事例名称 北薩・串木野地域におけるにおける高分解能空中放射能探査 調査の目的

調査の概要

調査項目と方法 放射能探査:放射能スペクトルメーター 飛行測線長:7,530line-km

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1996 年 事例の発生個所 鹿児島県北薩・串木野地域

事例の概要 スティンガーマウントシステムを搭載したヘリコプターを用い、低高度

(80m)、高密度(測線間隔 200m)の空中磁気・放射能探査を国内で初めて

実施した。 事例が発生した原因

事例への対応

データ処理として、スペクトルメーターのピーク位置のずれの補正、ウ

ィンドウの再設定、電波高度・温度・圧力による補正、座標変換・

parallax 補正、地形補正、バックグラウンド補正、高度補正を行った。 K、Th、U スペクトルの 3 成分を RGB カラー合成した画像を作成し

た。

事例への対応結果

放射能 K 高異常の分布及び低磁気異常を解釈し、熱水変質作用が及んだ

と推定される場所を複数抽出した。 既知鉱床として串木野鉱床、山ケ野鉱床、菱刈鉱床、他に蘭牟田池東方

4km の祁答院町崎山、国見岳北東方 4km の幸田~柳野等に認められ

た。

ノウハウ・判断根拠 今後既知鉱床上で認められた K 異常の成因を明らかにし、他の K 異常

域を評価する。

参考文献 北薩・串木野地域におけるにおける高分解能空中磁気・放射能探査:物

理探査学会第 97 回学術講演会論文集(1997) キーワード 空中放射能探査

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表 5-1 空中重力探査事例シート

整理番号 73

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中重力探査 事例名称 ヘリコプターを用いた航空重力測定システムの開発

調査の目的

GPS の出現により固定翼機を利用した航空重力測定が行われるようにな

ったが、ラコステ重力計など既成の重力計を航空機に搭載することで行

われているため、離着陸の加速度変化を極力抑えることができるヘリコ

プターを用いた航空重力測定システムを開発した。

調査の概要 川越から真東に飛行するルートで往復測定を実施し、往復残差によりデ

ータの信頼性を評価する。

調査項目と方法

FGA-1 型重力計:、サーボ加速度計(TGA-109) 感度:0.01 mgal ジャイロプラットフォーム:Strapdown 方式光ファイバージャイロ、海

上保安庁の DGPS 地上基地ネットワーク利用、ジャイロの鉛直制度:

±0.05゜ GPS:Ashtec Z-12(干渉測位)

課題 ヘリコプターを用いた航空重力測定システムを開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1999 年 事例の発生個所 埼玉県川越市 事例の概要 川越から真東に飛行するルートで往復測定を実施

事例が発生した原因 機体自体が発生させる床振動と飛行による加速度

事例への対応

重力計が感知した鉛直加速度から重力異常を求めるには、ヘリコプター

の位置データを用いて各種の補正を行う。 ①機体鉛直加速度は干渉型 GPS により得られる高度データを数値的に

時間積分して求め、機体鉛直加速度補正を行う ②自転している地球上を移動することにより生じるエトベス効果を補正 ③測定点の高さの違いが及ぼす影響をフリーエア補正する ④水平加速度の影響を補正

事例への対応結果

往復残差の平均値は 0.2 mgal であり、標準偏差は 1.6 mgal となった。

地上の重力測定データを上方接続して得られたフリーエア異常と、空中

重力データの補正後の値を比較すると重力異常の振幅はほぼ一致した。 しかし離着陸時と旋回時には 400 mgal 以上の重力異常が生じ、ヘリコ

プターの水平加速度を完全に除去できていない。

ノウハウ・判断根拠 約 1.6 mgal の再現性を持つ重力計が開発され、離着陸時、旋回時を除け

ば実用可能なシステムとなった。

参考文献 ヘリコプターを用いた航空重力測定システム:測地学会誌第 46 巻第 3号,p223-229(2000)

キーワード 空中重力探査

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4-95

表 5-2 空中重力探査事例シート

整理番号 74

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 空中調査

個別調査項目 空中重力探査

事例名称 空中重力探査のための重力偏差計

調査の目的 鉱床探査

調査の概要 -

調査項目と方法 -

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 -

事例の発生個所 -

事例の概要 -

事例が発生した原因 IOCG 型鉱床(酸化鉄銅金鉱床)の発見確率を高めるため

事例への対応

装置ノイズは主に熱によるブラウンノイズや電磁的ダンピングの影響などが

支配的であるが、FALCON と呼ばれる重力偏差計は、非導電性の材料で組

み立てられており、スプリング係数が小さく高ゲインの constraint ループ

を採用することできわめて小さいノイズレベルを実現している。機体姿勢の

変動に対する装置の安定化については、キャパシタンスブリッジ回路を用い

て、振り子に巻いた電線に電流を流して電磁力を発生させ、キャパシタンス

ブリッジ回路の出力値がゼロになるように振り子の位置を維持する仕組みを

採用している。

事例への対応結果

FALCON は 60~100 m 程度の飛行高度に対しても装置のノイズレベルが小

さく、鉛直方向に対する装置の揺れも 30 μrad/sec 以下と安定しており、経

済性のある規模の IOCG 型鉱床を直接検出できる性能を有している。

ノウハウ・判断根拠 IOCG 鉱床のポテンシャルが期待されるが被覆層で厚く覆われているために

ほとんど未探鉱の地域で FALCON を用いた空中重力探査が実施中である。

参考文献 金属資源探査における物理探査(1):物理探査第 64 巻 4 号 p229-242(2011)

キーワード 空中重力探査、重力偏差計

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4-96

表 5-3 空中重力探査事例シート

整理番号 75

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中重力探査

事例名称 新たに開発されたヘリコプター搭載重力測定システムによる試験測定結

調査の目的 空中重力測定を行うため、ヘリコプターに搭載する空中重力測定システ

ムを開発する。

調査の概要 1999 年にヘリコプターに搭載する空中重力測定システムの試験測定を実

施して、予備試験結果としてシステムが有効であることを確認した。

調査項目と方法

FGA-1 型重力計:、サーボ加速度計(TGA-109) 感度:0.01 mgal ジャイロプラットフォーム:Strapdown 方式光ファイバージャイロ、海

上保安庁の DGPS 地上基地ネットワーク利用、ジャイロの鉛直制度:

±0.05゜ GPS:Ashtec Z-12(干渉測位)

課題 ヘリコプターを用いた空中重力測定システムを開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1999 年 5 月、8 月、12 月 事例の発生個所 関東地域

事例の概要 ヘリコプターに搭載する空中重力測定システムの試験飛行を複数回実施

し、ノイズの少なくなる設定、計測方式を試験した。 事例が発生した原因 機体事態の振動、移動時の加速度

事例への対応

1 回目(1999/5/13-14):ローターによるノイズが 小になる飛行速度、

飛行高度を決定 2 回目(1999/8/25-27):センサーの取り付け方を変更して試験を実施 3 回目(1999/12/15-17):センサーの取り付け方を変更して試験を実施 重力計の設置形態は前回のフライト結果を基に、試行錯誤的に実施され

た。

事例への対応結果

海洋重力測定システムと同様の懸架方式は良好である。 GPS の同時計測は空中物理探査には欠かすことができない。これを行う

には基地局とヘリの双方に Ashtec Z-12 型 GPS 受振器、アンテナを設

置する必要がある。 フリーエア補正後の重力異常を、同日フライトの行きと帰り、異なる日

のフライト、地上重力測定データの上方接続との比較を行い、いずれも

同じような傾向の曲線を描くことを確認した。

ノウハウ・判断根拠 空中重力測定データの精度の向上が進み精度±1.5 mgal、重力信号の波長

分解能約 1.5 km まで上昇した。

参考文献 Result of the tests conducted by a newly developed helicopter borne gravimeter system:地質調査所研究報告第 52 巻 2/3 号、p73-81(2001)

キーワード 空中重力探査

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4-97

表 5-4 空中重力探査事例シート

整理番号 76

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中重力探査

事例名称 日本列島における空中重力測定の実績と活断層調査を目的とした精度向上

のためのいくつかの試み

調査の目的

日本の重力データは広域的にはほとんどカバーされているが、波長数十 km以下の変化を知るには空白域が多く、特に陸海境界域での地表の測定がで

きない箇所が多い。そのため、ヘリコプターに搭載する空中重力測定シス

テムを開発して、重力値の空白域を埋める。

調査の概要

1998 年から開発したヘリコプタ

ーに搭載する空中重力測定システ

ムを用いて日本国内で 12 箇所の

測定を行った(図の星印)。

調査項目と方法

FGA-1 型重力計:、サーボ加速度計(TGA-109) 感度:0.01 mgal ジャイロプラットフォーム:Strapdown 方式光ファイバージャイロ、海上

保安庁の DGPS 地上基地ネットワーク利用、ジャイロの鉛直制度:±0.05゜GPS:Ashtec Z-12(干渉測位)

課題 ヘリコプターを用いた空中重力測定システムを開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2000~2010 年 事例の発生個所 -

事例の概要 ヘリコプターに搭載する空中重力測定システムを開発し、日本国内で 12 箇

所の測定が行われ、総飛行距離 20,000 km に至った。 事例が発生した原因 機体自体の振動と飛行による加速度

事例への対応 機体の発する振動を重力計に与えないシステム、飛行中の期待の精確な三

次元座標の取得、 適な飛行速度速、 適な飛行高度、飛行中の水平加速

度の補正など 10 年間にわたる測定によって精度の向上を図った。

事例への 対応結果

内部誤差評価を測定中の交点(同じ点を 2 度以上飛行したときの値の食い

違い)で評価すると±1.5 mgal となり、重力信号の波長分解能は約 1.5 kmと考えられる。 山岳地帯の測定は、山岳風の影響を受けることや、DGPS の電波が途切れ

ることなどの問題もある。 ノウハウ・ 判断根拠

空中重力測定データの精度の向上が進み精度±1.5 mgal、重力信号の波長分

解能約 1.5 km まで上昇した。

参考文献 日本列島における空中重力測定の実績と活断層調査を目的とした精度向上

のためのいくつかの試み:物理探査学会第 122 回学術講演会論文集(2010) キーワード 空中重力探査

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4-98

表 5-5 空中重力探査事例シート

整理番号 77

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 空中調査

個別調査項目 空中重力探査 事例名称 能登半島北部沖における空中重力調査

調査の目的 2007 年 3 月に発生した能登半島地震の震央の東側の地域(能登半島北部

沖)において浅部地下構造を広域的に把握する。

調査の概要 ヘリコプターを使った空中重力調査を行った。調査範囲は能登半島北部

沖の 20 km×60 km である。測定測線は東北東‐西南西方向に 8 本(2 km 間隔)、交差測線は 3 本である。

調査項目と方法

空中重力調査 ・システム:Segawa-Tokimec MODEL FGA-1 ・ヘリコプター:Bell412 ・飛行高度:1,000 ft、2,000 ft、3,000 ft

課題 既存データ(陸上、海上)とのコンパイルおよび精度検証 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2008 年 事例の発生個所 石川県輪島市 事例の概要 空中重力と既存のブーゲー異常値には 大 5 mgal 程度の差があった。

事例が発生した原因 ブーゲー異常値は測定点における値であるため、測定高度の違いが差の

原因と考えられる。

事例への対応

測定点から基準面上の扇形を見込む立体角を重みとした基準面上の重力

値の加重平均を測定点での重力値とする関係式から反復修正法によって

基準面上の重力値を求める方法により、空中・陸上・海上の重力データ

を同一の基準面上に化成しコンパイルを行った。

事例への対応結果 スムースにコンパイルするため、空中重力データに 2~5 mgal の補正量

を加える必要があった。コンパイルしたブーゲー異常図の精度は 2 mgal程度( 大 5 mgal)と考えられる。

ノウハウ・判断根拠 使用した空中重力探査システムの精度は 5 mgal 以下と考えられる。

参考文献 An integrated airborne gravity survey of an offshore area near the northern Noto Peninsula, Japan;物理探査第 63 巻 1 号 pp.88-951(2010)

キーワード 空中重力探査

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4-99

表 6-1 地表電気探査事例シート

整理番号 78

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 Centurty 鉱床の時間領域 IP 法電気探査

調査の目的 鉱床探査

調査の概要

層準規制型噴気堆積鉱床(SEDEX 型鉱床)は頁岩、ドロマイトなどの堆積岩

を母岩とする硫化物鉱床である。

Centurty 鉱床は、土壌地化学調査による亜鉛異常域に対するボーリングの

結果、石灰岩の下位で層準規制型の亜鉛・鉛鉱化が補足されたことで発見さ

れた。

調査項目と方法

時間領域 IP 法電気探査

ダイポール長:100 m

隔離係数 n=1~6

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1989~1991 年

事例の発生個所 オーストラリア

事例の概要

Centurty 鉱床に対する物理探査として、地上磁気探査、地上重力探査が実

施されたが、鉱化及びそれを取り巻くドロマイト変質帯を異常として捕らえ

ることができなかった。

その後 TEM 法を実施したが鉱化帯を補足できず、時間領域 IP 法による鉱

床直上の測定で高充電率を検出した。

事例が発生した原因

母岩と鉱化作用に関係する地質との間で大きな磁性の違いがなく、重力の違

いはあるが深度が深く、鉱化及びそれを取り巻くドロマイト変質帯を異常と

して捕らえることができなかった。

事例への対応

100 m×100 m 送信ループによる TEM 法では、鉱化及びそれを取り巻くド

ロマイト変質帯を異常として捕らえることができなかったため、翌年時間領

域 IP 法を実施した。

事例への対応結果

時間領域 IP 法による鉱床直上の測定では、見掛比抵抗断面では北側の鉱化

帯は補足されたとは言い難いが、より浅部に胚胎する南側の鉱化帯は 100~

400 Ω・m の中比抵抗として検出された。見掛充電率断面については、南側

の鉱化帯では浅部から深部にかけて、北側の鉱化帯では深部で高充電率を補

足した。

ノウハウ・判断根拠 硫化物鉱床は、母岩中にグラファイトや黄鉄鉱を大量に含まなければ、IP

法電気探査により充電率異常として検出できる。

参考文献 金属資源探査における物理探査(2):物理探査第 65 巻 3 号 p109-124(2012)

キーワード 時間領域 IP 法電気探査、層準規制型噴気堆積鉱床

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4-100

表 6-2 地表電気探査事例シート

整理番号 79

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 Olympic Dam 鉱床の SIP 法電気探査

調査の目的 鉱床探査

調査の概要 酸化鉄銅金鉱床(IOCG 鉱床)は一般的に多量の酸化鉄鉱物(赤鉄鉱、磁鉄

鉱)を伴う。比重も高く、高磁気異常、高重力異常を示す。

調査項目と方法

SIP 法電気探査

受信機:Zonge 社製 GDP-12

送信機:Geonics 社製 FT-10 大出力 10 kW

送信周波数:0.125 Hz、1 Hz、8 Hz

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1977~1979 年

事例の発生個所 オーストラリア

事例の概要

空中磁気探査及び重力探査による高磁力異常、高重力異常域に対する調査ボ

ーリングにより発見された Olympic Dam 鉱床は、貫入した花崗岩中に形成

された熱水角礫部に賦存し、層厚約 300 m の堆積岩(石灰岩、珪岩、左

岸、頁岩など)で被覆される。

鉱床の全容がある程度明らかになった段階で周波数領域 IP 法電気探査が行

われたが失敗に終わり、その後に行われた SIP 法電気探査により鉱化帯を

補足した。

事例が発生した原因 探査深度が深く、電磁カップリングの影響が強い。

事例への対応

鉱床の連続性や規模を把握するための精査として 2 kW 送信機を用いたダイ

ポール・ダイポール配置の電気探査(ダイポール長 100 m、隔離係数 n=1~

7)が実施されたが、鉱床の応答は補足できなかった。ダイポール長を 200 m

と 300 m にした再測が行われたが、電磁カップリングの影響で調査は失敗

した。

そこで高出力の送信機と大きなダイポール長を用いた SIP 法電気探査を実

施した。ダイポール長は 400 m であり、電磁カップリングの影響を抑える

ため、電流電線を敷設した測線と平行に約 25 m 以上離れた信号線測線を設

けた。

事例への対応結果 深度 300 m 以深に賦存する鉱化帯を低比抵抗及び高充電率として補足し

た。

ノウハウ・判断根拠 探査深度が深い場合に、より高出力の送信機が必要である。

参考文献 金属資源探査における物理探査(2):物理探査第 65 巻 3 号 p109-124(2012)

キーワード SIP 法電気探査、酸化鉄銅金鉱床

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4-101

表 6-3 地表電気探査事例シート

整理番号 80

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 海底資源探査を目的とした Square Array 電気探査の基礎検討-海底計

測用電極の製作とフィールド実験- 調査の目的 海底鉱物資源探査

調査の概要 文部科学省「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム」

の一環として Square Array 配置を用いた電気探査による海底資源探査

への適用性の検討を行っている。

調査項目と方法

Square Array 配置を用いた海

底 IP 法電気探査 アイリス社製 ELREC6 システ

ム 応用地質社製 Square Array 電

極、電極切り替えスイッチ Square Array 配置では、図に

示すように測線方向に対してα・β・γと呼ばれる 3 種類の電極配置が

利用でき電極の切り替えで電流・電位電極の平面的な配置を変えて計測

の方向性を制御できる。

課題 海底電気探査では、測定系の移動が容易なシステムが必要とされてい

る。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2011 年 事例の発生個所 - 事例の概要 Square Array 電極を製作し、水深 30 m 程度の浅海で実験を行った。

事例が発生した原因 岩盤上は接地抵抗が高い。

事例への対応

電流電極は、海底面

での障害物の引っ掛

かりを軽減するため

半球状構造の銅電極

とし、電位電極は銀

-塩化銀電極を防

水・防圧加工した。 右図に示すように 1辺 3 m の正方形の頂

点に電流・電位電極を配置して Square Array 電極とし、海上計測バー

ジの開口部から電極を海底に下ろし、1 m 間隔で移動させて測定した。

海底面には、金属物ターゲットとして鉄製金網を設置した。

事例への対応結果

海水中の見掛比抵抗計測では、海底面の金属ターゲットに対しては見掛

比抵抗の変化は微小であったが、充電率の変化を確認し、Square Array電極配置を変化させて計測することで低比抵抗体の検知を補助できるこ

とが確認された。

ノウハウ・判断根拠 海底下における Square Array 電極配置で IP 異常の検出が可能であるこ

とが示された。

参考文献 海底資源探査を目的とした Square Array 電気探査の基礎検討-海底計

測用電極の製作とフィールド実験-:物理探査学会第 124 回学術講演会

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4-102

整理番号 80

論文集(2011) キーワード IP 法電気探査

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4-103

表 6-4 地表電気探査事例シート

整理番号 81

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 キャパシタ電極を利用した電気探査装置 OhmMapper による浅部比抵抗探査 調査の目的

調査の概要

防災および環境の分野などにおいて深度 10m 程度までの浅部地盤構造を把握するた

めの電気探査手法として、地面に電極を打設せずに非接触での探査が可能なキャパ

シタ電極を用いるシステムが開発されており、2 極法電気探査と合わせて測定を行っ

た。

調査項目と方法

キャパシタ電極を用いたダイポールダイポール比抵抗探査 測定器:Geometrics 社製 OhmMapper ダイポールケーブルの種類:1、2.5、5、10m 送信周波数:16.5kHz 大出力 2W 測定間隔: 大 2sample/sec

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2003 年 事例の発生個所

事例の概要

事例が発生 した原因

防災および環境の分野などにおいて深度 10m 程度までの浅部地盤構造を迅速に把握

する物理探査手法が求められている。電気探査の場合、電極を地面に打設して測定を

行う必要があり、迅速性に対応できていない。

事例への対応

図 1 に示すように、地盤と絶縁された平板電極に電圧をかけると、地盤をもう一方

の平板としたコンデンサーが形成される。このコンデンサーに交流電圧を印加する

ことで、平板電極と地盤が形成するコンデンサーを用いた CR 回路と等価となり、

地盤に非接触で連続的に電流を流すことができる。同様の原理で地盤の電位を測定

することにより通常の電気探査と同様に比抵抗を測定できる。 OhmMapper は電極部に平板電極ではなく、ダイポールケーブルと呼ばれるシール

ドケーブルを用いている。受信機を 大 5 連まで接続できる。 OhmMapper と従来型の 2 極法電気探査による測定を、粘性土地盤上で行い対比し

た。次に舗装道路と約 10m 離れた芝生上に平行な探査測線を設定し、結果を比較し

た。

事例への 対応結果

粘性土地盤での解析結果は、深度約 3m まで 140Ω・m 程度の高比抵抗、その下位は

60Ω・m 程度以下の低比抵抗で両者は良い整合を示す。 地表条件が舗装道路でも地盤上の測定とそん色ない良好なデータが得られた。

ノウハウ・ 判断根拠

キャパシタ電極を用いた手法で従来の電極打設型の比抵抗探査と比較しうる測定を

行うことができ、舗装道路上でも問題なく測定可能である。 地盤と非接触に連続的に測定可能なことから、人間や車両が牽引する迅速な測定が

可能であるが、地盤の比抵抗が低くなると測定電位が小さくなって S/N 比が低下

し、可探深度が小さくなることがある。

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4-104

参考文献 キャパシタ電極を利用した電気探査装置 OhmMapper による浅部比抵抗探査:物理

探査学会第 110 回学術講演会論文集(2004) キーワード 電気探査、キャパシタ電極、OhmMapper

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4-105

表 6-5 地表電気探査事例シート

整理番号 82

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 海底熱水鉱床探査のための精密磁気・電気探査システムの開発

調査の目的 文部科学省の「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラ

ム」の一環として、電磁気学的な手法を用いた高精度海底地質構造探査

ツールの開発を行う。 調査の概要 海底熱水鉱床探査のためのシステム開発

調査項目と方法 - 課題 無人探査機に電気探査装置を搭載し、海底下の比抵抗構造を求める。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2009 年 事例の発生個所 駿河湾、日本海溝

事例の概要 駿河湾(三保沖)及び日本海溝のかいれい航海(KR09-16,JAMSTEC)に

おいて海域実験を行った。

事例が発生した原因

これまでの海底熱水鉱床の調査では、海底掘削や海上からの物理探査が

行われてきたが、海底掘削は効率が悪く、他の海上物理探査は水深 500 m~3,000 m に存在する海底熱水鉱床を数 m から数十 m の精度で検出す

ることは困難である。

事例への対応

送信機とオンライン型受信機は ROV に搭載し、電流電極及び電位電極

を付けたケーブルを ROV から曳航する。独立型受信機は ROV を使って

海底に設置する。数 m の浅部構造を高分解能で計測する際にはリアルタ

イム型受信機を、100 m 程度の深部構造を計測する際には独立型を利用

する。

事例への対応結果

かいれい航海では本装置と 長 420 m 離れた海底電位磁力計(OBEM)と

の間で送受信を行うことができた。

ノウハウ・判断根拠 無人探査機には ROV、AUV、ディープ・トウ(深海曳航体)などがある

が、電気探査装置として電力確保が容易な ROV を用いたシステムを開

発した。

参考文献 海底熱水鉱床探査のための精密磁気・電気探査システムの開発:物理探

査学会第 123 回学術講演会論文集(2010) キーワード 海底電気探査

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表 6-6 地表電気探査事例シート

整理番号 83

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 活断層調査への物理探査の適用性

調査の目的 野島断層を対象としたトレンチサイト近傍で、地中レーダー探査、極浅

層反射法地震探査、比抵抗二次元探査手法を用いた実験を実施して活断

層調査への適用性について検討を行った。 調査の概要 -

調査項目と方法 ダイポールダイポール電気探査 電極間隔 1 m 測線長 計 280 m(3 測線)

課題 活断層の検出 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1996 年 事例の発生個所 兵庫県淡路市 事例の概要 -

事例が発生した原因

物理探査は地下構造や断層位置把握など活断層調査の有力な手法として

活用されているが、特に活動履歴を調べるトレンチサイズに対応する地

下数 10 m 以浅を対象とした極浅層部においてはその精度・分解能など

に関する課題がある。

事例への対応

比抵抗二次元探査は地下レーダー探査を行った大阪層群を沖積層が厚く

覆っている地区と、砂岩・泥岩互層を成す大阪層群中の断層沿いに幅 50 cm 程度の粘土層を挟在する地区、断層を境にして花崗岩から堆積岩

(神戸層群、大阪層群)へと地質が変化し断層沿いに幅数 10 cm 以上の

粘土層を挟在する地区の 3 箇所で実施した。

事例への対応結果

地質条件が異なるいずれの地区でもほぼ地表近傍から鉛直方向に伸びる

30~60 Ω・m 程度以下の比抵抗異常構造が認められ、その低比抵抗異常

部の位置に地表地震断層が位置している。 比抵抗コントラストが大きいと考えられる粘土層などを挟在する断層等

は十分に捉えることができ、位置精度も高いと判断される。

ノウハウ・判断根拠 断層に沿って比抵抗コントラストが大きな挟在物がある場合には鋭敏に

反応して断層の位置情報のみならず傾斜方向などの情報もうまく捉える

ことができた。

参考文献 活断層調査への物理探査の適用性:物理探査第 49 巻第 6 号;pp487-497(1996)

キーワード 2 極法、高密度電気探査

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4-107

表 6-7 地表電気探査事例シート

整理番号 84

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 釜石鉱山における IP 法測定-鉄鉱石と花崗岩の IP 異常- 調査の目的 磁鉄鉱が IP 異常に及ぼす影響を調査する

調査の概要

磁鉄鉱の粒子をガラスビーズに混合し、KCl 溶液を加えた人工試料を作

成して、複素比抵抗の測定を行った。 また釜石鉱山の坑道において、磁鉄鉱を大量に含む鉄鉱石分布域と磁鉄

鉱がほとんど見当たらない花崗岩分布域で IP 法電気探査を行い、IP 異

常の違いを検討した。

調査項目と方法

時間領域 IP 法 アイリス社製 SYSCAL-R2 システム ダイポールダイポール電極配置 電極間隔 1 m 電極隔離係数 n=1~6

課題 坑道内の電極の接地抵抗 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2011 年 事例の発生個所 岩手県釜石鉱山

事例の概要 坑道内において IP 法電気探査を行い、室内サンプル測定を合わせて実

施した。 事例が発生した原因 岩盤上は接地抵抗が高い

事例への対応

地面は岩盤の上に砂礫が薄く積もっている状況であり、電極設置位置に

内径 10 cm、高さ 5 cm の塩ビ管を置き、その中に塩水を混ぜたベント

ナイトを入れ、その上に塩水を含ませたスポンジを置いた。電流電極

は、直径 10 cm の銅網であり、電位電極は底面が直径 6.5 cm の鉛-塩

化鉛電極を使用して IP 法測定を行った。

事例への対応結果

鉄鉱石が分布する地域では、見掛比抵抗、見掛充電率は局所的に大きく

変化しており、顕著な低比抵抗異常、高充電率異常域は鉄鉱石の露出域

とほぼ重なっている。 花崗岩に覆われる地域では、鉄鉱石が分布する場所と比較すると、見掛

比抵抗は高く、見掛充電率は低く、非常に均質な構造である。2 次元解

析結果では、表層が数千 Ω・m、深度 1~2 m で 2 万 Ω・m を超える比抵

抗が解析され、充電率異常はほとんど見られなかった。

ノウハウ・判断根拠 比較的狭い範囲の測定(露頭の測定など)には簡易的で有効な電極であ

る。

参考文献 釜石鉱山における IP 法測定-鉄鉱石と花崗岩の IP 異常-:物理探査学

会第 126 回学術講演会論文集(2012) キーワード IP 法電気探査

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4-108

表 6-8 地表電気探査事例シート

整理番号 85

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 高接地抵抗地域の電気探査

調査の目的 銅鉱床探査のため、IP 法電気探査により比抵抗、IP 異常を検出する。

調査の概要 ブラジル連邦協和国内の高原地帯(地表部はラテライトにより被覆されてい

る)において、IP 法電気探査を実施した。

調査項目と方法 -

課題 局所的な人工ノイズ

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1987 年

事例の発生個所 ブラジル連邦共和国パルメイロポリス地域

事例の概要

銅鉱床探査のため、IP 法電気探査を行った。

電極間隔 100 m でのダイポール・ダイポール配置とし、10 測線×2 km 程度

の測定を行った。

事例が発生した原因

調査地域は高原地帯にあたり、潅木の茂る平坦な地域であり、一部で潅木を

焼き払い、畑として利用されている。地表はラテライトが分布し、層厚数 m

にもなり、接地抵抗が非常に高い。日本国内では水分の多い表土に対してス

テンレス棒や鉄棒を地面に突き刺すことにより電流電極とするが、ラテライ

トは堅く接地抵抗が高いため、ステンレス棒を使用できなかった。

事例への対応 地上に幅 40 cm 長さ 1 m、深さ 80 cm 程度の穴を掘り、塩水、ベントナイ

トを充填し、中にアルミフォイルを敷いて電線を接続して電流電極とした。

事例への対応結果

接地抵抗の高い箇所では上述した穴を 大で 20 個以上設置して 1 箇所の電

流電極とし、1 測線につき 20 箇所以上の電流電極を設置した。流電電流は

0.2 A~0.5 A 程度を確保することができ、測定可能となった。

ノウハウ・判断根拠 データの品質を向上させるためには、数百 mA の電流を流して、電位差を測

定する必要がある。したがって接地抵抗を数 kΩ以下に下げる必要がある。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード IP 法電気探査、高接地抵抗地域

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4-109

表 6-9 地表電気探査事例シート

整理番号 86

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 高密度電気探査を用いた冬季の斜面凍結深さの計測

調査の目的 北海道では積雪寒冷地域の急崖斜面で発生した落石・岩石崩壊が発生し

ているが、崩落原因の解明に必要な斜面の凍結・融解現象の研究は少な

く、斜面の凍結深さの探査への電気探査の適用性を検討する。

調査の概要 火山灰地の裸地に炭素棒電極を数 cm 間隔に挿して、電気探査により凍

土の層厚を確認した。

調査項目と方法 2 極法高密度電気探査 電極間隔 10 cm、5 cm

課題 凍土の比抵抗調査 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1999 年 事例の発生個所 北海道

事例の概要 測定結果として得られた見掛比抵抗値は非常に大きく、2 次元解析用ソ

フトウェアでエラーが生じた。 事例が発生した原因 測定結果として得られた見掛比抵抗値が非常に大きいためである。

事例への対応

市販の比抵抗トモグラフィ用ソフトウェアを用いて二極法電気探査の二

次元解析に用いたが、解析不能のエラーが出て開発・販売元でも解決策

は得られなかった。 そこで、通常より大きな見掛比抵抗値を示す凍土と未凍土の ρa 曲線

を、全体に見掛比抵抗値を低い値に移動させて再計算を行った。

事例への対応結果 見掛比抵抗値を全体的に低い値にシフトさせて解析を行ったところ、エ

ラーが生じず、結果が得られた。

ノウハウ・判断根拠

インバージョン計算の過程で数値の桁数が非常に大きくなり、プログラ

ムで使用されている変数の許容範囲を上回ったものと考えられる。見掛

比抵抗値をあらかじめ一桁小さな値にして計算を実施し、結果の数値を

一桁大きくすることは、解析上は問題ない。

参考文献 高密度電気探査を用いた冬季の斜面凍結深さの計測 :物理探査学会第 102 回学術講演会論文集(2000)

キーワード 二極法、高密度電気探査

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4-110

表 6-10 地表電気探査事例シート

整理番号 87

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 資源調査における IP 法電気探査の測線端部における IP 異常 調査の目的 鉱物資源調査 調査の概要 -

調査項目と方法 IP 法電気探査 課題 資源調査における IP 法電気探査の測線端部における IP 異常

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 1990 年代 事例の発生個所 -

事例の概要 硫化物鉱床を対象とする場合に IP 異常を検出する IP 法電気探査が 適

と考えられるが、調査範囲を設定して複数の測線を配置して測定を行っ

た場合に、測線端部で IP 異常が検出されることがある。

事例が発生した原因

硫化物鉱床を対象とする広域地質調査の結果や他の測定結果から IP 法電

気探査の調査範囲を設定した。 当初この調査範囲で鉱体を網羅できると考えたが、結果的に IP 異常域を

十分にカバーできなかった。 事例への対応 追加測線として測線をさらに延長して測定を行った。

事例への対応結果 IP 法電気探査による IP 異常の範囲を確認できた。

ノウハウ・判断根拠 予想した測線計画ではカバーできない結果が得られた場合に、追加測線

を測定する時間的余裕を持った計画を立てる必要がある。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー キーワード IP 法電気探査

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4-111

表 6-11 地表電気探査事例シート

整理番号 88

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査、電気探査 事例名称 資源調査における物理探査の手法の選定 調査の目的 鉱物資源調査 調査の概要 -

調査項目と方法 CSAMT 法電磁探査、IP 法電気探査 課題 物理探査を行う場合の測定範囲とターゲットとする物性値

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 1990 年代 事例の発生個所 -

事例の概要

硫化物鉱床を対象とする場合に IP 異常を検出する IP 法電気探査が 適

と考えられるが、調査範囲が広い場合にやみくもに電気探査で測定する

ことは困難である。 そのため、より迅速に広範囲で比抵抗異常を抽出できる CSAMT 法電磁

探査を概査として使用し、比抵抗不連続線や低比抵抗異常などその地域

の鉱床胚胎層準と鉱床の物理的性状を考慮した異常域を抽出して、範囲

を限定して IP 法電気探査を行うのが望ましい。

事例が発生した原因

硫化物鉱床を対象とする広域地質調査の結果から 10 km×10 km 程度の

調査範囲が設定された。 当初この調査範囲全体を網羅する形で IP 法電気探査が計画されたため、

測線間隔は不十分となり、測定日数も多大となった。

事例への対応 物理探査の計画を 2 段階とし、概査として CSAMT 法電磁探査を実施し

て、2 km×1 km の精査範囲を抽出して IP 法電気探査を実施することと

した。

事例への対応結果 IP 法電気探査による IP 異常を検出し、主として黄鉄鉱からなる鉱化帯

をボーリングにより確認した。

ノウハウ・判断根拠

物理探査の対象とするターゲットの物性値を把握して、 適な物理探査

手法を決定することが重要であるが、測定日数など費用対効果を考慮し

た上で調査手法を決定すること、場合によっては 2 段階に分けて調査範

囲の絞込みを行うなどの計画立案が必要である。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー キーワード CSAMT 法電磁探査、IP 法電気探査

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表 6-12 地表電気探査事例シート

整理番号 89

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 地熱地域における繰り返し三次元電気探査 調査の目的 電気・電磁気探査法を用いて地熱貯留層の変動を予測する技術の開発

調査の概要 自然電位モニタリングと MT 法による比抵抗モニタリングが開始されて

おり、これらのデータを解析・解釈して貯留層変動を予測するために貯

留層周辺の比抵抗構造を精確に把握する必要がある。

調査項目と方法

測定器:アイリス社 SYSCAL-R2 システム 電流電極:遠電極と地域内に三つの電流電極 電位電極:地域内に 53 箇所の電位電極(自然電位モニタリングのネッ

トワーク使用)

課題 高密度電気探査により地表付近において間隙率や水飽和度が複雑に変化

している可能性が示唆されたため、三次元電気探査を繰り返し、比抵抗

構造の季節変化や年変化の傾向を把握する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1999 年 事例の発生個所 鹿児島県大霧地熱地域

事例の概要 高密度電気探査により、地表付近の比抵抗構造が複雑なことが明らかに

なり、自然電位や MT 法モニタリングにより貯留層変動を予測するため

に、浅部の比抵抗変化を把握する必要が出てきた。

事例が発生した原因 地表付近において、降雨の浸透や地下水変動により間隙率や水飽和度が

複雑に変化している可能性が示唆された。

事例への対応 電位電極に自然電位モニタリングのネットワークを利用して、pole-dipole 電極配置で計 4 回の測定を行った。

事例への対応結果 異なる時期の比抵抗解析モデルの比を求め、比抵抗構造に季節変化が現

れており、浅部ほどその影響が強いことを明らかにした。

ノウハウ・判断根拠 地表付近の比抵抗構造は降雨の浸透や地下水変動により変化するため、

季節変化が生じる。

参考文献 鹿児島県大霧地熱地域における繰り返し 3 次元電気探査:物理探査学会

第 104 回学術講演会論文集(2001) キーワード 3 次元電気探査、繰り返し探査

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表 6-13 地表電気探査事例シート

整理番号 90

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 水資源調査における電気探査

調査の目的 比抵抗二次元探査によって帯水層分布を把握する。

調査の概要 第四系及び第三系の堆積岩地域に置いて、電気探査により帯水層を抽出す

る。

調査項目と方法 二極法による比抵抗二次元探査(当初仕様)

探査深度:150 m

課題 電極配置の違いにより比抵抗異常を把握できない。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 -

事例の発生個所 タンザニア

事例の概要

調査開始時に当初仕様である二極法による測定のほか、四極法(ダイポー

ル・ダイポール配置)でも測定を行ったところ、二極法では検出されなかっ

た比抵抗異常が四極法で検出された。

事例が発生した原因 二極法は四極法に比べて分解能が劣るため、細かい構造が検出されなかった

と思われる。

事例への対応 ダイポール・ダイポール配置による測定に切り替えて実施した。

事例への対応結果 四極法で測定したことで、探査深度は 120 m 程度とやや浅くなったが、詳

細な構造を推定することができた。

ノウハウ・判断根拠 地下情報の得られていない地域で測定する場合は、当初仕様にこだわらず、

より検出感度の良い電極配置による測定を試験的に行うことが必要である。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード IP 法電気探査、高接地抵抗地域

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表 6-14 地表電気探査事例シート

整理番号 91

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 地下貯槽岩盤の電気探査モニタリング

調査の目的 電気探査による地下貯槽岩盤の不飽和領域モニタリングへの適用性の評価

調査の概要 高密度電気探査

調査項目と方法

高密度電気探査(Wenner、Eltran 電極配置)

電中研式電気探査法自動測定装置 短区間測線:30 m 電極間隔 1.2 m(l=3 m ロックボルト使用)

長区間測線:72 m 電極間隔 3.0 m(l=3 m ロックボルト使用)

課題 既存ロックボルトを電極として使用する場合の問題点の抽出

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 2003 年

事例の発生個所 -

事例の概要

トンネル内に新たに電極を設けるのでなく、既存のロックボルトを電極とし

て使用して電気探査を試みた。

初に短区間測線で計測を試みたが、各ロックボルト電極の接地抵抗が極端

に低く、使用した測定装置では計測が困難だった。

事例が発生した原因

トンネル掘削時に NATM 工法を採用しており、コンクリート吹付時に溶接

金網を岩盤壁面に取り付けている。この金網に大量の電流が流れてしまい、

測定装置の計測可能な電流値範囲を越えてしまった。

事例への対応

極端に低い接地抵抗でも計測が可能なように装置を改良して使用してデータ

を取得した。また、金網の影響を排除するため、長区間測線部ではファイバ

ーメッシュおよび絶縁処理した金網(表面に絶縁塗料を塗ったもの)をトンネ

ル吹付部に施工するように掘削工法を変更した。解析は、模型実験により求

めた電極の長さによる影響を補正して実施した。

事例への対応結果

失敗に終わった測定を含めて計 5 回の計測を行い、トンネルの掘削進行に伴

って生じたと考えられる地下水位の低下、海水侵入領域の拡大(塩淡境界の

進展)と推定される比抵抗変化を抽出した。

ノウハウ・判断根拠 硬岩地域のトンネルにおいて掘削時に壁面保護のために使用されるロックボ

ルトを電極として使用する場合の問題点を抽出できた。

参考文献

液化ガス地下貯槽周辺岩盤の水封状況のモニタリング;物理探査学会第 110

回学術講演会論文集(2004)

三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード トンネル内の電気探査 ロックボルト電極 塩淡境界

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表 6-15 地表電気探査事例シート

整理番号 92

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 電気探査二極法における送電線の影響

調査の目的 花崗岩中の破砕帯の位置・規模、これらに胚胎される地下水の有無等を把握

するために電気探査を実施する。

調査の概要 電気探査二極法(比抵抗二次元探査)

調査項目と方法

電気探査二極法(比抵抗二次元探査)

McOHM-21

電極間隔 2 m 3 測線系 180 m

課題 送電線によるノイズの影響度の把握

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1996 年

事例の発生個所 三重県亀山市

事例の概要

花崗岩の分布地域であり、鈴鹿坂本断層、一志断層 2 つの断層に挟まれた場

所に位置している。

付近には、ため池がある。調査地域内の地下水の有無及び花崗岩中の破砕帯

の位置・規模を推定し、水井戸の 適地点を選定する。

事例が発生した原因 本調査地域の北西側約 200 m には高圧線が通っており、測定における影響

度が懸念された。

事例への対応

そこで高圧線の影響を調べるために電流値を変化させて電位波形を観測し

た。電極間隔を も広げた場合(電極隔離係数 15)の電極配置で、電流値

を 1 mA にしたときの波形は 60 Hz の高圧線によるノイズが認められ、約 1

mV 程度のピークが生じている。電流値を 50 mA まで上げた場合の波形

は、非常に細かい 60 Hz のノイズは認められるものの信号強度が強いため

に S/N 比が良好となり、本測定での高圧線によるノイズの影響はほとんど

認められないことが判明した。

事例への対応結果

個々のデータの品質の良否の判断として各測線ごとに電位減衰曲線を作成し

た。各測線ともカーブは比較的なだらかな形を示しており、交差する箇所も

認められず、異常のあるデータは認められない。

ノウハウ・判断根拠 電位差が数 mV になるとノイズの影響を受けるため、出力電流を上げる必要

がある。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード 二極法電気探査、人工ノイズ

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表 6-16 地表電気探査事例シート

整理番号 93

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 電気探査によるアラスカ・フェアバンクスの永久凍土調査

調査の目的

永久凍土はアラスカやシベリアに広く分布し、地球規模の気候システム

に大きく関与する。アラスカでその分布形態を把握することは気候シス

テムの解明に役立ち今後の地球温暖化の進行を監視する指標と考え、ア

ラスカで電気探査による永久凍土の分布調査を行う。 調査の概要 不連続永久凍土地帯にある実験地で電気探査を実施した。

調査項目と方法

ウェンナー法垂直電気探査 電極間隔 0.5 m~40 m 二極法高密度電気探査 電極間隔 1 m、5 m

課題 永久凍土の比抵抗調査 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1997 年 事例の発生個所 アラスカ フェアバンクス郊外

事例の概要 電気探査による永久凍土調査を実施し、室内サンプル測定を合わせて実

事例が発生した原因 岩石や土が凍ると比抵抗は大きくなり、0を境に急激に増大して二桁程

度大きくなる。

事例への対応 1997 年 8 月にウェンナー法による垂直電気探査を 12 点実施し、1998年 6 月に二極法による高密度電気探査を実施した。

事例への対応結果

左図は Mica Schist 礫のサンプル測定結果で、蒸留水に浸水し低温恒温

槽内の実験であり、0付近で急激な比抵抗変化を生じている。 右図は垂直探査の見掛比抵抗曲線で中間層に 40,000 Ω・m の高比抵抗層

が検出された。 高密度電気探査の結果から北向き斜面と南向き斜面を比較すると、地表

より 5 m 以浅に 10,000 Ω・m 以上の高比抵抗帯があるのは主に北向き斜

面で南向き斜面にはほとんどなく、両者とも斜面裾部に高比抵抗帯が分

布する。10,000 Ω・m 以上の高比抵抗層は永久凍土とみなせる。 ノウハウ・判断根拠 電気探査により永久凍土の分布が極端な高比抵抗層として把握できる。

参考文献 電気探査によるアラスカ・フェアバンクスの永久凍土調査:物理探査学会

第 99 回学術講演会論文集(1998) キーワード IP 法電気探査、鉱化変質

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表 6-17 地表電気探査事例シート

整理番号 94

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 電気探査による高松塚古墳墳丘内の水分分布推定とモニタリング 調査の目的

調査の概要 高松塚塚古墳直上部に東西・南北方向に複数の測線を設けて電気探査を

実施し、極彩色壁画に発生した黒カビ成長の一因である土壌水分の分布

を推定し、保存対策の効果をモニタリングした。

調査項目と方法 ウェンナー法電気探査 測定器:Geoscan Research 社製 RM-4 電極間隔 0.25m 測線:1m 間隔で南北方向 5 測線、東西方向 4 測線

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2003 年~2004 年 事例の発生個所 奈良県明日香村 事例の概要

事例が発生した原因 高松塚古墳内の極彩色の壁画に黒カビが発生し、カビ成長の一因である

墳丘内の水分の分布を非破壊で推定する必要があった。 保存対策の効果をモニタリングする必要があった。

事例への対応

墳丘は版築で構成された均質な土壌と考えられることから、比抵抗の比

較で水分量の大小を判定できると想定して電気探査を行った。 墳丘の樹木を伐採し遮水シートで覆うという防水対策の効果判定にも、

電気探査が使われた。

事例への対応結果

2次元解析結果では、石室東側に低比抵抗部が検出され、含水率の差が

直接比抵抗の差に現れたものと推定された。黒カビは石室東壁に発生し

ており、石室東壁の土壌水分が黒カビ発生に影響を与えたものと推定し

た。 保存対策効果のモニターとして、遮水シートの下に残した電極ピン(東

西・南北方向各 1 測線))を用いて 1 年間の比抵抗変化を観測したが、

石室東側では全ての深度において対策開始前よりも開始 1 年後の比抵抗

のほうが小さくなり、保存対策が水分減少には有効でなかったことが示

された。

ノウハウ・判断根拠

墳丘内の水分の供給源は墳丘上に直接降り注ぐ雨ではなく、周辺の丘陵

地下からの地下水と考えられる。解析結果で東側丘陵からの地下水が石

室で塞き止られているように見える原因については不明であり、何らか

の排水施設が保存施設工事により機能しなくなった可能性がある。

参考文献 電気探査による高松塚古墳墳丘内の水分分布推定とモニタリング:物理

探査第 61 巻第 5 号(2008);p397-406 キーワード ウェンナー法、電気探査

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表 6-18 地表電気探査事例シート

整理番号 95

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査

事例名称 乳頭地域シュランベルジャー法電気探査

調査の目的 電気探査(シュランベルジャー法)により、比抵抗分布を明らかにすることによ

り深部熱構造を把握する。

調査の概要 深部地熱探査

調査項目と方法

シュランベルジャー法電気探査

送信機:千葉電子研究所製 CH7801 800V、3A

受信機:千葉電子研究所製 CH82ST Signal Enhanced DC Resistivity

Meter

電極切り替えリモートコントローラー:CH-807

測線延長:18,750m(4 測線) 測点数:63 点

課題 測定作業の正確性、迅速性

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1982 年

事例の発生個所 秋田県仙北郡田沢湖町乳頭地域

事例の概要

乳頭地域において AB/2=2km のシュレンベルジャー法電気探査を実施した。

調査地域は国立公園内の山岳地域であり、測線の伐開に制約を受け、直線に設

定することはできなかったが、沢部や尾根部を利用して測線を設定した。シュ

ランベルジャー法の場合、遠隔電流電極として 1000m、1250m、1500m、

1750m、2000m を用いた。

事例が発生

した原因

標高差の大きな(比高差 550m)調査測線で、測点から両側に 大 2km の遠隔

電流電極(AB/2=2km)から流電するため、トランシーバーで調査員に指示する

従来の方法では交信不能や電線接続ミスを生じることが多かった。

事例への対応

リモートコントロールスイッチングシステムを開発した。送信機位置から 32

種類の異なる周波数信号を送ることにより、遠隔点の指定の電流電極に通電す

るように制御した。

また受信機側では、従来ペンレコーダーにより波形記録をとり、この中のノイ

ズが少ない電位波形から振幅を読み取っていたが、波形の一部を積分してメモ

リーに入れ、これを繰り返して(スタッキング)ノイズ成分を取り除き、 終

結果をデジタル表示する Signal Enhanced DC Resistivity Meter を用いた。

事例への

対応結果

リモートコントロールスイッチングシステムにより、測定が正確、迅速に行え

るようになった。

Signal Enhanced DC Resistivity Meter により、S/N 比の悪い深部の信号に対

してきわめて微弱な電位を精度良く観測することができ、現場において能率良

く VES 曲線を作成することが可能となった。

ノウハウ・判断根

電極切り替えリモートコントローラーにより、作業効率が上昇した。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる

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キーワード シュランベルジャー法電気探査

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4-120

表 6-19 地表電気探査事例シート

整理番号 96

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 箱根大涌谷噴気域における電気探査

調査の目的 箱根山から丹沢山地における伊豆衝突帯の地震活動や地下構造などの多

面的な調査の一環として、熱水の移動拡大や地すべり地域の地下構造を

探査することが目的である。

調査の概要 箱根大涌谷の沢内に長期間同一場所で観測を続けるための探査測線を構

築し、1 回目の探査を実施した。

調査項目と方法

ウェンナー法電気探査 測定器:横河電気(株)製 3224 型大地比抵抗測定器 電極間隔 2m 測線長:100m×2 測線)

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2009 年 事例の発生個所 箱根大涌谷 事例の概要

事例が発生した原因 長期間をおいて繰り返し探査を行って地下構造変化を把握することを目

指しているが、測量杭・測量錨鋲による測定天は、風化や浸食により位

置が行方不明になる可能性が高い。

事例への対応

GPS 測量による位置決めを行い、測線の再測が可能なように設定した。

ただし、測線は谷底にあるため衛星の斯界を確保することは難しいの

で、神奈川県土木事務所が設置した GPS 基準点を基に、トランシット

測量から各測定ポイントの座標を決定した。 谷に沿って上流側、下流側に 2 測線を設定した。両測線の標高差は約

36m、距離は約 96m である。

事例への対応結果

解析結果は、0.1~500Ω・m と比抵抗値が 3 オーダーにも及んだ。深度

10m 以深に 1Ω・m 以下の低比抵抗が広く分布し、粘土化した温泉変質

帯に起因すると考えられる。また浅部には、 大で 500Ω・m を示す高

比抵抗層が分布し、j位すべり堆積物の厚みもしくは人工的な通路確保

による埋め立て工事を反映するか明らかでない。 ノウハウ・判断根拠 電気探査による比抵抗モニタリングは有効である。

参考文献 箱根大涌谷噴気域における電気探査と弾性波探査:物理探査学会第 121回学術講演会論文集(2009)

キーワード ウェンナー法、電気探査

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表 6-20 地表電気探査事例シート

整理番号 97

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電気探査 事例名称 八甲田トンネルにおける IP 法電気探査 調査の目的 -

調査の概要

八甲田トンネルは延長 26,455 m、 大土被り約 600 m の山岳トンネル

である。トンネルルートは熱水変質を受けた旧鉱山周辺を通過し、黄鉄

鉱鉱染を受けた掘削ズリから酸性水を発生させる恐れがある。そのた

め、各種調査による鉱化変質岩分布の予測を行った。 鉱化のタイプは銅・鉛・亜鉛の浅熱水製鉱化作用

調査項目と方法

周波数領域 IP 法電気探査 電極配置:ダイポール・ダイポール式 使用周波数:3 Hz、0.3 Hz 矩形波 測線長:11.6 km(6 測線)

課題 黄鉄鉱鉱染の分布域の抽出 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2002 年 事例の発生個所 秋田県大盛鉱山周辺地区

事例の概要 1985 年に IP 法電気探査を実施、2002 年に二次元インバージョン解析に

よる再解析を実施した。

事例が発生した原因 測定を実施した当時はフォワードモデリングが一般的であったが、トン

ネルの掘削が本格化し始めた時期はインバージョンモデリングが主流と

なり、モデル解析を実施した。

事例への対応 高 FE 値を示す地域は調査地域中央部と東端の 2 箇所に認められた。 モデル解析結果とボーリングによるコアから、FE(周波数効果)値と S(硫黄)含有量の関係を求めた。

事例への対応結果

S 含有量 2 %程度が FE 値 9、S 含有量 5 %程度が FE 値 12 に相当す

る。 S 含有量 2 %以上の範囲は大盛鉱山の旧坑を包含している。 トンネルルート上で掘削したボーリング結果は、推定した S 含有量と対

応する黄鉄鉱鉱染が確認された。

ノウハウ・判断根拠

IP 法電気探査は効果変質岩分布域の抽出に有効である。 鉱化変質岩は鉱床調査の観点からは経済的価値に乏しく、調査対象とは

なっていないが、土木工事においては環境対策上、研究を進めなければ

ならない対象である。

参考文献 八甲田トンネルにおける鉱化変質岩の産状と調査方法について;物理探

査第 55 巻 6 号 pp.513-521 (2002) キーワード IP 法電気探査、鉱化変質

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4-122

表 7-1 地表電磁探査事例シート

整理番号 98

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 CSMT と MT の見掛比抵抗-周波数曲線の結合

調査の目的

地熱開発促進調査の一環として、比抵抗構造を解明することにより地熱系を形成する地下構

造、熱源について解明し、さらに当該地域の地熱貯留層構造の解明に資することを目的とす

る。

調査の概要

探査手法は、電磁探査法(アレイ式 CSMT/MT 法)である。

測定システムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「地熱探査技術等検証調

査 断裂型貯留層探査法の技術開発」の研究において開発したもので、CSMT データと MT

データをどのように組み合わせるかについて研究した。

調査項目と方法 アレイ式 CSMT/MT 法電磁探査

課題 CSMT と MT データの見掛比抵抗-周波数曲線の結合

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1988 年

事例の発生個所 -

事例の概要

CSAMT 法データと MT 法データを同一地点で測定

した場合に、右図のようにの CSMT データ曲線

に較べての MT データ曲線が上下にシフトする場

合がある。

事例が発生

した原因

電場測定間隔の違いや電位電極の極近傍の局所的比抵抗異常、地形変化などにより、同一地

点で測定した CSMT データに較べて MT データの見掛比抵抗値がシフトしたものと考えてい

る。

事例へ

の対応

2 種類のデータを結合して 1 本の見掛比抵抗-周波

数曲線を作る必要があるが、CSMT データがより浅

部の情報を反映することから、MT データを対数グ

ラフ上でシフトさせて 1 本の曲線を作成することと

した。シフトさせた結果を右図に示す。

事例への

対応結果

アレイ式 CSMT/MT 法では、CSMT3 測点分の電場信号を足し合わせた区間が MT1 測点分の

電場信号の測定区間と一致するため、CSMT の見掛比抵抗データについてはさらに別の処理

を行うが、結果的に得られた CSMT データと MT データの間で違いが認められる場合、MT

データをシフトさせることで 1 本の見掛比抵抗-周波数曲線が得られる。

ノウハウ・

判断根拠

ノイズの少ない良好なデータであっても、CSMT と MT のデータに差が認められる場合があ

るが、曲線の傾きは CSMT と MT で一致する。ノイズの多いデータに関してはシフトさせる

場合のデータの取り扱いに注意が必要である。

Rho1

1

10

100

1000

10000

0.01 0.1 1 10 100 1000 10000

freq(Hz)

resis

tivity(o

hm

-m

)

Rho1

1

10

100

1000

10000

0.01 0.1 1 10 100 1000 10000

freq(Hz)

resi

stiv

ity(o

hm-m

)

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4-123

整理番号 98

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード アレイ式 CSMT/MT 法

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4-124

表 7-2 地表電磁探査事例シート

整理番号 99

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 CSAMT の流電タイムテーブル

調査の目的 CSAMT 法電磁探査により地下構造を把握する。

調査の概要 CSAMT 法電磁探査

調査項目と方法 CSAMT 法電磁探査

課題 CSAMT 法電磁探査における送信側と受信側のコミュニケーションの不具合

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1980 年代末~1990 年代

事例の発生個所 -

事例の概要

CSAMT 法電磁探査においては、送信側が送る周波数を受信側が測定時に把

握している必要がある。従来は無線連絡により実施していたが、山間部では

無線連絡が困難な場合が多く、測定が非効率的になっていた。

事例が発生した原因

海外では大出力の無線使用が可能であり平地や比較的緩やかな傾斜地で作業

を実施していたが、国内では大出力の無線は免許制であり低出力無線に限定

されたこと、調査地域が山間部に移行するに従い、無線連絡が困難な箇所で

の測定が増えた。

事例への対応

事前にタイムテーブルを作成し、周波数と測定時間を決めて 2~5 分間隔で

順次周波数を変えて信号を送信する、受信側は測定開始時の時間により決め

られた周波数にセットして測定を行うこととした。

事例への対応結果

1 測点の測定時間が 40 分以内に終了するようになり、複数台の受信機を用

意して同時に異なる測点での測定が可能になり、測定の効率化を図ることが

できた。

ただし、無線連絡が可能な時は品質の悪い周波数データを再測するため送信

側に任意の周波数を要求できたが、タイムテーブルを使用するようになって

からは、周波数が一巡するまで現地に待機しなければならなくなった。

ノウハウ・判断根拠

タイムテーブルの設定により、1サイクルの測定時間に差が生じるが、同時

に再測のないように周波数ごとに十分な送信時間を設定する必要がある。

送信側、受信側共に相手の作業手順を熟知しておく必要がある。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード CSAMT 電磁探査、送信周波数

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4-125

表 7-3 地表電磁探査事例シート

整理番号 100

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 Rock’s Reward 鉱床の TEM 法電磁探査

調査の目的 鉱床探査

調査の概要

正マグマ性ニッケル鉱床は一般的に磁硫鉄鉱、磁鉄鉱を伴い、強い磁気異常

を示す。ニッケルの硫化鉱物は塊状を示すことが多く、電気探査や電磁探査

が有効である。

調査項目と方法

TEM 法電磁探査 SIROTEM

送信ループ 60 m×60 m 移動送信ループ

測点間隔 30 m、60 m 測線間隔 160 m

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1989~1991 年

事例の発生個所 オーストラリア

事例の概要 -

事例が発生した原因

磁気異常は、磁気強度の差とボリュームの積で表わされるため、鉱化の範囲

が不明瞭となった。

黄鉄鉱を含む変堆積岩も高充電率を示し、鉱化との違いが生じなかった。

事例への対応

空中磁気探査では、東側の高磁気異常を示す超塩基性岩の西側で弱い高磁気

異常を検出したが、鉱化帯の分布形状は不明瞭であった。

空中電磁探査の結果では、顕著なピークは検出されたが、鉱化と変堆積岩を

識別できなかった。

IP 法電気探査(ダイポール長 50 m)では、鉱化の範囲で低比抵抗・高充電

率異常を補足したが、黄鉄鉱質・炭質な変堆積岩も高充電率を示し、両者に

大きな違いは見られなかった。

そこで、TEM 法電磁探査を実施した。

事例への対応結果

TEM 法電磁探査の結果では、電流切断後 7 msec の応答をプロットした平

面図で、西側の断層付近に発達する急傾斜の鉱化帯と、東西の断層間の鉱化

帯の直上で顕著な異常を示し、鉱化帯の分布範囲を補足できた。

ノウハウ・判断根拠 母岩と鉱化帯の性状の違いにより、鉱床探査のための 適な物理探査手法は

地域により異なる。

参考文献 金属資源探査における物理探査(2):物理探査第 65 巻 3 号 p109-124(2012)

キーワード TEM 法電磁探査、正マグマ性ニッケル鉱床

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4-126

表 7-4 地表電磁探査事例シート

整理番号 101

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 SQUID を用いた TEM 装置

調査の目的 鉱床探査

調査の概要 -

調査項目と方法

SQUITEM 2 号機

SQUID 磁力計の筐体(液体窒素デュワ)に挿入するプローブの先端に

SQUID 素子を装着して液体窒素を注ぎ込んだ液体窒素デュワの中にプロー

ブを挿入して SQUID を超伝導状態にすることで磁場を測定する。

送信機:Geonics 社製 TEM47 及び TEM57 を使用

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 2001~2008 年

事例の発生個所 -

事例の概要 物理探査の技術開発動向の一つとして SQUITEM を紹介している。

事例が発生した原因

熱帯地方のようなラテライト層が地表浅部に厚く発達する地域において潜頭

鉱床の探査を行う場合に、ラテライト層の低比抵抗により TEM 法の探査深

度が低下し、その下部層の応答を捕らえられないことが多い。

事例への対応

誘導コイル型磁力計を用いて磁場時間微分値を測る従来法の代わりに、磁場

時間微分値よりもゆっくりと減衰する磁場値を計測する磁力計を用いる方法

により探査深度を向上させることができる。

JOGMEC は液体窒素で超伝導状態になる高温 SQUID(超伝導量子干渉素

子)を用いた TEM 装置(SQUITEM)を開発した。

事例への対応結果 JOGMEC の自社探鉱としてオーストラリアの亜鉛探査(2007)を始め、オー

ストラリアやチリの銅探査、ボツワナのニッケル探査などに利用している。

ノウハウ・判断根拠 SQUITEM は新鉱床の深部化に対する探査深度向上の 1 つの流れである。

参考文献 金属資源探査における物理探査(1):物理探査第 64 巻 4 号 p229-242(2011)

キーワード TEM 法電磁探査、SQUID

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4-127

表 7-5 地表電磁探査事例シート

整理番号 102

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 TDEM 電磁探査の石油探鉱への適用

調査の目的 石油公団による難地域プロジェクトとして、反射法地震探査が困難な地

域での電磁探査の適用性を検討する。

調査の概要 「平成 5 年度国内石油天然ガス基礎調査、基礎物理探査」の一環として

鳥海山南麓地域で時間領域電磁探査(TDEM 法)を実施した。

調査項目と方法

TDEM 法: 調査測線:2 測線(11 km、5 km) 測定間隔 100 m、200 m 計 137 測点 送信源:2.3 km、1.9 km、2.0 km の 3 つの電流電極を設置 送信電流:約 80 A、周期 40 秒の矩形波 受信コイル:ミューメタルコイルの誘導コイル(鉛直成分)

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1993 年 事例の発生個所 山形県北西部 事例の概要 反射法地震探査の測線上で TDEM 電磁探査を実施した。

事例が発生した原因 反射法地震探査の補助としての探査

事例への対応

誘導コイルの出力信号(送信電流切断遮断後 8 秒までの過渡現象)は 4 段

の増幅器、2 段の Low Pass Filter、3 段の Notch Filter を通過後、A/Dコンバータ(16 ビット、サンプリング周波数 250 Hz、サンプル数 2,048点)でデジタル化し記録した。データはスタッキング後、システムデコン

ボリューション、スムージング処理後、見掛比抵抗に変換し、水平 4 層

構造を仮定した一次元インバージョンを実施した。

事例への対応結果

解析結果は、高(数~30 Ω・m)、低(1~4 Ω・m)、低(1~5 Ω・m)、高(数

10Ω・m)の比抵抗値を示す 4 層構造であった。 比抵抗構造と既存の坑井データ、反射法地震探査結果、地質図幅との対

比結果は、およそ調和が取れている。特に鳥海火山噴出物~観音寺層、

酒田衝上断層群、湯の台背斜構造と良く一致した。 ノウハウ・判断根拠 深度 3,000 m 付近までの比抵抗情報を得ることができた。

参考文献 TDEM 電磁探査の石油探鉱への適用;物理探査学会第 91 回学術講演会

論文集(1994) キーワード TDEM 法電磁探査、石油探鉱

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4-128

表 7-6 地表電磁探査事例シート

整理番号 103

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 アレイ式 CSMT/MT システム開発

調査の目的

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「地熱探査技術等検証調査

断裂型貯留層探査法の技術開発」の研究において、探査システムの開発を行

った。

調査の概要

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「地熱探査技術等検証調査

断裂型貯留層探査法の技術開発」の研究において、測線上に連続して電場を

測定するアレイ方式により CSMT データを取得するシステムを開発し、MT

データを同時に測定できるようにシステムを追加・改良した。

調査項目と方法 アレイ式 CSMT/MT 法電磁探査

課題 同一の探査機器システムで CSMT データと MT データを取得する。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 -

事例の発生個所 -

事例の概要 アレイ式 CSMT 法システムに MT 法データを取得可能なように改造を行っ

た。

事例が発生した原因 データの取得方法、処理方法、信号強度などが全く異なる。

事例への対応

MT データ取得のため、

シグナルコンディショナーの製作(バンドパスフィルター、アンプ)

データ処理ソフトの開発

時系列データの内蔵 HDD への保存

CSMT3 点分を MT1 点分として測定するためのケーブル接続ボックスの製

事例への対応結果

シグナルコンディショナーにより、長時間測定した場合でもサチュレーショ

ンがなくなり、良好なデータが取れるようになった。

カスケードデシメションを用いた処理を可能とした。

時系列データによる後処理を可能とした。

ノウハウ・判断根拠

アレイ式 CSMT で 15 測点、アレイ式 MT で 5 測点同時に測定が可能とな

り、CSMT 測点を 100 m とした場合に、測線上で 1.5 km 区間の測定が 1~

2 日で行えるようになった。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード アレイ式 CSMT/MT 法、

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4-129

表 7-7 地表電磁探査事例シート

整理番号 104

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 アレイ式 MT 法の国内石油探鉱への適用

調査の目的 石油公団石油開発技術センターの大型研究「難地域物理探査技術」の一

環としてアレイ式 MT 法の国内石油探鉱への適用性の確立

調査の概要 新潟県上越地域において地質構造と直角に西北西-東南東方向に測線を

設定し、深部グリータフ層である七谷層の構造を把握する。

調査項目と方法

アレイ式 MT 法 測線長:6 km アレイ式 MT:200 m 間隔×30 測点、東西方向延長部に離散的に配

点 リモートリファレンス点:北東へ 180 km 離れた地点 測定機器:Phoenix 社 V5-16 システム

課題 ノイズレベルが定常的に高い突発的なノイズが出現する地域の MT 測定 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 新潟県

事例の概要 予備的な MT 法調査の結果、地域のノイズレベルが定常的に高く、デー

タをバイアスさせるステップ状のノイズが突発的に現れる。

事例が発生した原因 実験地域にいくつかの集落が散在すること、測線西側に南北方向の JR信越線と国道に沿って新井市や上越市の市街地が広がる。

事例への対応 長時間の測定(17.5 時間/日×3 日間以上)とファーリモートリファレン

スの適用である。

事例への対応結果 全測点で比較的 S/N 比の良好なデータを取得でき、解析結果についても

ほぼ同位置で測定されている反射法弾性波探査結果と適合するパターン

を示す。

ノウハウ・判断根拠 S/N 比の高いデータを取得するためには、ノイズ発生源を取り除けない

場合は長時間の測定とファーリモートリファレンスの適用が必要であ

る。

参考文献 アレイ式 MT 法の国内石油探鉱への適用-新潟県上越地域における結果

-;物理探査第 48 巻 5 号 pp.356-371(1995) キーワード アレイ式 MT 法、石油探鉱

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4-130

表 7-8 地表電磁探査事例シート

整理番号 105

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 ハイブリッドメイン人工信号源電磁探査システムの開発(その 2)

調査の目的

産総研が行っている「地層処分場岩盤特性評価のための高分解能物理探

査イメージング技術の研究」の一環として深度約 2 km までの地下比抵

抗の三次元分布を高精度にイメージングするために、人工信号源を利用

した電磁探査法測定装置及び解析技術の開発を行う

調査の概要 周波数領域電磁探査である CSAMT 法と時間領域電磁探査である

LOTEM 法の双方の測定が可能な機器の開発

調査項目と方法

送信機:千葉電子研究所製 CH-04 受信機:Zonge 社製 GDP-32II 磁力計:Zonge 社製インダクションコイル、3 成分フラックスゲート磁

力計 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2005 年 事例の発生個所 茨城県筑波山塊東麓

事例の概要

人工信号を利用する CSAMT はノイズに強く測定効率が良い手法である

が、送信源が測点に対して十分遠方でない場合や地下の比抵抗が高い場

合に低周波数領域でニアフィールド現象が生じ MT 法データ解析が適用

できない。 LOTEM 法は、電流切断後の渦電流を時間領域で測定する手法で、

CSAMT 法のようにニアフィールド現象が問題となることはないが、過

渡波形を複数のウィンドウで測定する必要があり、周波数領域の測定に

較べるとノイズの影響が大きく、より大電流の信号源を必要とする。 事例が発生した原因 周波数領域と時間領域の双方の欠点を補うシステム開発

事例への対応 人工信号源として Source A(570 m)と B(450 m)を南北方向に設置、

250 V、9~11 A の電流を周期 8 秒で通電した。東西方向に配置した 14測点で周波数領域の測定を行った。

事例への対応結果

周波数領域 CSAMT データを既存の AMT データと比較すると、送信源

に近づくにつれてニアフィールド出現周波数が高くなり、AMT データ

に対して急激に比抵抗が上昇している。 時間領域データ(TDEM)からフーリエ変換により求めたスペクトルと周

波数領域測定(FDEM)により求めたスペクトルを比較すると、両者は

100 Hz 以下の周波数ではおおよそ一致するが、100 Hz 以上の高周波数

では時間領域から求めたスペクトルが激しく振動する一方で、周波数領

域データは滑らかな曲線となった。

ノウハウ・判断根拠 概略 100 Hz 以下の周波数領域では、時間領域データをフーリエ変換し

て求めたデータは使用可能である。

参考文献 ハイブリッドメイン人工信号源電磁探査システムの開発(その 2);物理

探査学会第 115 回学術講演会論文集(2006) キーワード ハイブリッド領域 CSEM 法、CSAMT、LOTEM

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4-131

表 7-9 地表電磁探査事例シート

整理番号 106

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 ハイブリッドメイン人工信号源電磁探査システムの開発

調査の目的

産総研が行っている「地層処分場岩盤特性評価のための高分解能物理探

査イメージング技術の研究」の一環として深度約 2 km までの地下比抵

抗の三次元分布を高精度にイメージングするために、人工信号源を利用

した電磁探査法測定装置及び解析技術の開発を行う。

調査の概要 周波数領域電磁探査である CSAMT 法と時間領域電磁探査である

LOTEM 法の双方の測定が可能な機器の開発

調査項目と方法

送信機:千葉電子研究所製 CH-04 受信機:Zonge 社製 GDP-32II、ネオサイエンス社製 TDEM2004 磁力計:Zonge 社製インダクションコイル、3 成分フラックスゲート磁

力計 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 茨城県筑波山塊東麓

事例の概要

人工信号を利用する CSAMT はノイズに強く測定効率が良い手法である

が、送信源が測点に対して十分遠方でない場合や地下の比抵抗が高い場

合に低周波数領域でニアフィールド現象が生じ MT 法データ解析が適用

できない。 LOTEM 法は、電流切断後の渦電流を時間領域で測定する手法で、

CSAMT 法のようにニアフィールド現象が問題となることはないが、過

渡波形を複数のウィンドウで測定する必要があり、周波数領域の測定に

較べるとノイズの影響が大きく、より大電流の信号源を必要とする。 事例が発生した原因 周波数領域と時間領域の双方の欠点を補うシステム開発

事例への対応 人工信号源として Source A(570 m)と B(450 m)を南北方向に設置、

250 V、9~11 A の電流を周期 8 秒で通電した。東西方向に配置した 14測点で測定した。

事例への対応結果

GDP32 と TDEM2004 で取得したフラックスゲート磁力計の鉛直磁場成

分の過渡応答は、送信源から 500 m 離れた地点で 236 個スタッキングし

た波形では良好な矩形波形となり、送信源から 1.5 km 離れた地点で

356 個スタッキングした波形はノイズが乗っている。受信機による違い

はほとんど認められなかった。

ノウハウ・判断根拠 10 A 程度の電流では、1 km 以上離れた距離の過渡応答波形の取得には

不十分であり、さらに大電流を流す必要がある。

参考文献 ハイブリッドメイン人工信号源電磁探査システムの開発;物理探査学会

第 112 回学術講演会論文集(2005) キーワード ハイブリッド領域 CSEM 法、CSAMT、LOTEM

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4-132

表 7-10 地表電磁探査事例シート

整理番号 107

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 沿岸域 AMT による地下帯水層への塩水浸入領域調査

調査の目的 沿岸域における地下深部の帯水層への海水侵入域を把握するために、塩淡境界面を検出する

手法として AMT 法の適用性を検討する。

調査の概要 千葉県の海浜公園において、海岸から直交方向に測点を設定して AMT 法電磁探査、地表-坑

井間電磁トモグラフィーを行った。

調査項目

と方法

Phoenix 社の MTU-5A システムを使用し、20 時~05 時のデータを取得

測定周波数:1,000 Hz~1 Hz

リモートリファレンス点を 15 km 離れた箇所に設置

課題 局所的な人工ノイズ

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 2002 年

事例の発生個所 千葉県山武郡蓮沼村

事例の概要

AMT データを取得した地域周辺には人家があり、品質の良いデータは望めない恐れがあった

が、人家から離れた海岸水際の測点で海岸線に直交する磁場センサーにノイズが検出され

た。

事例が発生

した原因

磁場センサーのノイズがある箇所のみ

で検出され、90 m 弱離れた他の測点で

検出されていない状況、海岸線に直角

方向の磁場センサーにのみノイズが検

出されたことから、海岸線に沿って埋

設された地中ケーブルに電流が流れて

いたことが原因と考えられる。

事例への対応

磁場の局所的な人工ノイズに対しては、リモートリファレンスによる処理、磁場センサー位

置の移動などが考えられるが、本調査では測定時間中の夜中の 0 時過ぎに人工ノイズが消滅

したため、ノイズ卓越部分を除去してデータ処理を行い、高品質の AMT データが得られた。

事例への

対応結果

人工ノイズの存在を測定開始前に確認することは可能であるが、昼間に人工ノイズが卓越し

ていても夜間まで人工ノイズが連続するかの判断は難しく、実際に測定して見ないとわから

ない。したがって調査の工程にも左右されるが、可能であれば測定時間を長く設定すること

が必要であり、人家の近接する地域では AMT 測定でも長時間の計測を行うことで良好なデー

タが得られた。

ノウハウ・

判断根拠

地上で確認できないケーブルが埋設されていることによる人工ノイズは、ケーブルに流れる

電流が停止すれば消滅するため、測定時間を延長することを考慮すべきである。

参考文献 電磁探査法による沿岸域周辺地域における地下帯水層への塩水浸入領域調査-その 1-

(2003);物理探査学会第 108 回学術講演会論文集

キーワード AMT、塩淡境界

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4-133

表 7-11 地表電磁探査事例シート

整理番号 108

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 猿倉岳電磁探査における人工ノイズ

調査の目的

地熱開発促進調査の一環として、比抵抗構造を解明することにより地熱系を

形成する地下構造、熱源について解明し、さらに当該地域の地熱貯留層構造

の解明に資することを目的とする。

調査の概要

探査手法は、電磁探査法(アレイ式 CSMT/MT 法)である。

測定システムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「地熱探

査技術等検証調査 断裂型貯留層探査法の技術開発」の研究の一環として設

計・製作された機器を使用した。

調査項目と方法

設定された測線上で測点間隔 100 m のアレイ式 CSMT 法並びに測点間隔

300 m のアレイ式 MT 法を実施した。

測線:6 測線(1.5 km×1 本、3.0 km×2 本、4.5 km×1 本:総延長 18.0

km)

課題 電磁探査における広域的なノイズ

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1995 年

事例の発生個所 福島県河沼郡柳津町

事例の概要

アレイ式 CSMT/MT 法調査は、地熱開発促進調査の一環として標津岳地

域・安代地域・猿倉岳地域で実施された。そのうち猿倉岳地域では、人工的

なノイズのため必要とする探査深度に対応する周波数領域のデータが取得で

きなかった。

そこで、安代地域を例として低周波数領域の MT データについて再検討を加

え、人工ノイズの挙動について考察し、猿倉岳地域でノイズ測定を昼夜で実

施し検討した。

事例が発生した原因

MT 法は自然信号を取得して深部の地下構造を解析する手法であり、人工的

な電磁波は全てノイズとなる。このうち現在問題となっている人工ノイズ

は、非常にコヒーレンシーの高いデータとして取得され、CSMT 法におけ

るニアフィールド現象と同様の挙動を示している。つまり位相差は 0 に近づ

き見掛比抵抗は周波数が低下するとともに 45 度の傾きで大きくなる現象で

ある。

猿倉地域の位相差曲線から、各測点の位相差は 4~8 Hz 付近から低周波数

側で急激に 0 に近づき、より大きな周波数から人工ノイズに汚染されている

傾向を示す。これらの周波数のデータはコヒーレンシーが 0.9 以上の非常に

バラツキの少ないデータからなる。

0.125 Hz の位相差平面図の分布傾向から人工ノイズの方向性を見極めるこ

とはかなり難しく、調査地付近の人工ノイズとかなり遠方の人工ノイズの双

方を考える必要がある。

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4-134

事例への対応

NEDO のアレイ式 CSMT/MT 法探査システムを用いて、外部信号によるチ

ェックを実施した。

対比項目は、単芯ケーブルと多芯ケーブル(ケーブル・シグナルブースタ

ー・接地抵抗切替器を含むアレイ式システム)で、シグナルコンディッショ

ナーを通して外部より矩形波信号を送り、CSAMT 測定モードで電場信号を

受信した。その結果、単芯ケーブルと多芯ケーブルシステムの測定電位の差

は 1%以下であり、入力信号から受信器に至るまでの受信系システムには異

常は認められなかった。調査地域にて、昼夜の MT 測定を実施し、昼間と夜

間での信号強度の対比を行った。

事例への対応結果

見掛比抵抗曲線では、周波数が小さくなるほど見掛比抵抗が増大し、見掛比

抵抗曲線上で 45 度の傾きを示す傾向は、深夜のデータが も顕著であり、

昼間のデータの方が緩やかなカーブを描いている。時系列波形を見ると、電

場・磁場ともに昼間の方が 2 倍~5 倍程度振幅が大きくなっており、特に垂

直磁場(Hz 方向)では 0.5~1 Hz 程度の波形が観測された。

したがって、低周波数で見掛比抵抗を増大させている原因となる人工信号

は、昼夜をとわず本調査地域周辺の広範囲にわたって存在するものと考えら

れ、昼間のデータは車両の通過に伴うノイズ等が夜間より強いため、遠方の

人工信号を検出しにくくなっているものと判断された。

各測点の磁場強度(平均値)を用いて 128 Hz、16 Hz、0.5 Hz の 3 周波数

で対比した。その結果、磁場強度の差は 4 Hz で約 2 倍、0.5 Hz で約 10 倍

程度の差があり、北側ほど強く南側ほど小さい傾向が認められる。

結論として東武線には直流電車が走っており、この流電電流によって引き起

こされる人工ノイズは 24 時間連続していることが判明した。

ノウハウ・判断根拠 MT 法では、地域によるがファー・リモートリファレンスが不可欠である。

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード 地熱開発促進調査 電磁探査 アレイ式 CSMT/MT 法

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4-135

表 7-12 地表電磁探査事例シート

整理番号 109

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 九州地域地熱調査(MT)における人工ノイズ

調査の目的

地熱開発促進調査の一環として、比抵抗構造を解明することにより地熱系を

形成する地下構造、熱源について解明し、さらに当該地域の地熱貯留層構造

の解明に資することを目的とする。

調査の概要

探査手法は、電磁探査法(アレイ式 CSMT/MT 法)である。

測定システムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「地熱探

査技術等検証調査 断裂型貯留層探査法の技術開発」の研究の一環として設

計・製作された機器を使用した。

また同業他社は、Phenix 社の MT システムを用いて同時期に測定を行っ

た。

調査項目と方法 測線長 16.5 km、アレイ式 CSMT 165 点 アレイ式 MT 55 点

課題 電磁探査における局所的ノイズ

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 1996 年

事例の発生個所 大分県阿蘇郡九重町

事例の概要

調査地域のある範囲で 1/2 Hz 程度の人工ノイズが発生しており、MT 測定

のさまたげとなった。

人工ノイズ源を調べたところ、発生源が特定できたため、一時的にノイズを

発生させないような措置を取り、測定した。

事例が発生した原因

調査地内の倉庫に遠隔警備保障システムが備え付けられており、1/2 Hz の

電流が流れ、地面にアースを取って通電しているために電場の人工ノイズが

発生していた。

事例への対応

ノイズ発生源を特定するのに時間を要したが、遠隔警備保障システムが原因

と判明した。倉庫の所有者と相談し、測定期間中は警備員を配置することと

し、遠隔警備保障システムを切ってもらうことで、人工ノイズの発生を抑え

て測定を終了した。

事例への対応結果

測定地点で磁場の人工ノイズが強い場合は、リモートリファレンス処理によ

り人工ノイズの影響を打ち消すことが可能であるが、電場信号が取得できな

いほど強い人工ノイズがあると、MT 測定は不可能となる。

今回の場合は、人工ノイズ源が特定され、一定期間ノイズを発生させないよ

うな措置が取れたため、測定が可能となった。

ノウハウ・判断根拠 人工ノイズ源の特定

参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビュー

キーワード 地熱開発促進調査 電磁探査 人工ノイズ

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4-136

表 7-13 地表電磁探査事例シート

整理番号 110

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 広帯域 MT 法による宮城県北部地震震源周辺における比抵抗構造探査

調査の目的 宮城県北部を震源とする地震の余震域で地震発生に関わる流体の関与を調べ

る。

調査の概要 余震域を横切る東西 50 km の測線を設定、15 点を均等に配置(震源息直上

部のみ高密度)して MT 法測定を実施した。

調査項目と方法

Phoenix 社の MTU-5A システム

2 日~3 日/測点

測定周波数:320 Hz~0.00055 Hz(1,800 sec)

課題 広域的な人工ノイズ

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 2005 年

事例の発生個所 宮城県大郷町~雄勝町

事例の概要 ほとんどの観測点で 1 Hz までの高周波数帯域では良好なデータが取得でき

たが、1 Hz より低周波数帯域では人工ノイズが混入した。

事例が発生した原因 1 Hz より低周波数帯域では JR 石巻線の電車の影響と思われる人工ノイズ

が混入した。

事例への対応

国土地理院水沢測地観測所江刺観測場での MT 連続観測データを参照データ

としたリモートリファレンス処理を実施し、2 日ないし 3 日間のデータをス

タッキングしてさらに不良なデータを除去することにより、データ品質の向

上を図った。

事例への対応結果 電車ノイズのない夜間だけのデータを使ったので、周期 1,000 秒以上は使え

なかった。

ノウハウ・判断根拠 リモートリファレンス処理をして磁場信号の品質を向上させても、電車ノイ

ズのように電場信号に混入したノイズの影響を除去することは困難である。

参考文献 広帯域 MT 法による宮城県北部地震震源周辺における比抵抗構造探査:物理

探査学会第 112 回学術講演会論文集(2005)

キーワード 広帯域 MT 法

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4-137

表 7-14 地表電磁探査事例シート

整理番号 111

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 深部三次元電磁探査の現状と展望

調査の目的 石油公団石油開発技術センターの大型研究「難地域物理探査技術」の一

環として MT 法三次元電磁探査の国内石油探鉱への適用性の確立

調査の概要 秋田県南能代地域において電場 2 成分を高密度に測定し、磁場の測点密

度粗くすることで、測定能率を向上させて、三次元調査を目的とした面

的な MT 法調査を行う。

調査項目と方法

5 成分 MT 法 12 点 電場 2 成分 61 点 (GPS 時計信号同期) 11 台の 2E システム、2 台の 2E+3H システムで 13 日間で測定(1 測点

あたり 2 日間)

課題 ノイズレベルの高い測点における電場 2 成分測定による MT 測定でファ

ーリモートリファレンスによる磁場信号を用いた。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 秋田県南能代地域

事例の概要 高圧送電線から約 70 m 離れた地点で電場 2 成分測定の MT 測定を行

い、ファーリモートリファレンス処理することで、ある程度の品質のデ

ータを取得した。 事例が発生した原因 高圧送電線

事例への対応 磁場はファーリモートリファレンスの信号を使用した。

事例への対応結果

50 Hz 付近と 0.1~0.3 Hz 付近のデータが乱れるが、見掛比抵抗、位相

差の傾向は十分に読み取れる。

ノウハウ・判断根拠 ファーリモートリファレンスの適用例

参考文献 深部 3 次元電磁探査の現状と展望;物理探査第 51 巻 6 号 pp.588-601 (1998)

キーワード 三次元電磁探査、MT 法

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4-138

表 7-15 地表電磁探査事例シート

整理番号 112

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 浅海電磁探査システムの改良・動作試験と幌延沿岸域における予備実験 調査の目的 沿岸域の電磁法調査手法の確立

調査の概要 高レベル放射性廃棄物の地層処分候補地選定に際して沿岸域の物理探査

手法は限られており、沿岸域の電磁法調査手法の確立のため海底電磁法

機器を製作している。

調査項目と方法

浅海底高周波数帯域電磁測定装置 A/D コンバータ:24 ビット サンプリング周波数:1,000 Hz 耐圧容器:ステンレス(データ記録部)、グラスファイバー(磁場センサ

ー) 電場センサー:直径 30 mm 以上のダイポールアーム 磁場センサー:インダクション磁力計 人工信号:送信周波数 0.25~256 Hz

課題 幌延沿岸域は 1.5 km 沖でさえ水深約 10 m と非常に浅く、既開発の海底

電磁法装置では波浪による遥動が懸念された。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2009 年 事例の発生個所 北海道手塩地域

事例の概要

幌延沿岸域は 1.5 km 沖でさえ水深約 10 m と非常に浅く、既開発のスタ

ンドアローン型海底電磁法装置(水深 30 m 以深)では波浪による遥動

が懸念され、ケーブル受信機(水深 30 m 以浅)は電場のみの測定しか

できず磁場データの取得ができない。そのため、これらの問題点を改良

し高周波数帯域の測定が可能な浅海底電磁探査装置を製作した。 事例が発生した原因 波浪により機器が振動し、ノイズが発生する。

事例への対応 ① 低床型の浅海底電磁探査装置を製作した。 ② 人工信号(海岸近傍に 2 km 程度の電流信号源)を設置して 1 時間

程度流電した。

事例への対応結果

① 磁場成分に数秒周期の特徴的な波形が連続して観測され、海洋波浪

の影響によるものと推測された。 ② 10 Hz より高周波数帯域では人工信号によるデータ取得により、品

質の良いデータが得られた。 ③ 低周波数帯域のデータに対してリモートリファレンス処理を実施し

たが、1~2 晩のデータであり、改善はわずかであった。データ取得

時間を長くすることが必要である。

ノウハウ・判断根拠 機器の改良によっても波浪ノイズは十分に軽減されておらず、人工信号

の周波数帯域を増やすなどデータ取得方法の検討と、測定時間の延長な

どが必要である。

参考文献 浅海電磁探査システムの改良・動作試験と幌延沿岸域における予備実

験:物理探査学会第 122 回学術講演会論文集(2010) キーワード MT 法電磁探査、海底

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4-139

表 7-16 地表電磁探査事例シート

整理番号 113

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 地層処分における海底電磁法機器の製作 調査の目的 沿岸域の電磁法調査手法の確立

調査の概要 高レベル放射性廃棄物の地層処分候補地選定に際して沿岸域の物理探査

手法は限られており、沿岸域の電磁法調査手法の確立のため海底電磁法

機器を製作している。 調査項目と方法 海底 MT 法

課題 沿岸域で問題となる波浪による機器振動を抑制した受振装置の開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

石油・天然ガス鉱床を対象とする既存の海底 MT 法装置による実験か

ら、機器は常時波浪の影響を受けるわけではなく、穏やかな環境もある

ため 10 日間程度の測定期間を設定すれば 0.1 Hz 以下はエラーバーが小

さく二次元解析などの使用に耐える良質の周波数データを取得できる。 波浪の影響を受ける周波数帯域は 0.1 Hz を中心とした狭帯域である。 しかし、処分調査でもっとも重要な海底下数百 m 程度までの比抵抗分布

を得るためには海水で減衰した高周波数データを抽出するための 24 ビ

ット A/D 機器の搭載と、より波浪の影響を受けにくい機器形状が必要で

ある。 事例が発生した原因 波浪により機器が振動し、ノイズが発生する。

事例への対応

①水深数 m から 28 m までの領域は、スタンドアローン型受信機ではな

く、ケーブル内に 10 m の電場ダイポールを 100 m 間隔で格納した電極

アレイを用いるケーブル型受信機とした。 ②浅海域(海深約 30 m 波 200 m 程度)で適用するスタンドアローン型

受信機は、浅海域における波浪の影響を低減するために機器の高さを低

く抑え、既存の機器と異なり浅海域を目的とするため耐圧を 3 MPa とし

た。サンプリング周波数は 128 Hz から 1,000 Hz に変更した。

事例への対応結果 ①0.1 Hz 付近のデータを汚染した波浪ノイズが消滅し、ケーブル型受信

機は有効である。 ②データ処理中

ノウハウ・判断根拠 スタンドアローン型受信機からケーブル型受信機にすることで、水深

30m 以浅の波浪ノイズを抑えることができた。

参考文献 地層処分における海底電磁法機器の製作:物理探査学会第 108 回学術講

演会論文集(2003) キーワード MT 法電磁探査、海底

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4-140

表 7-17 地表電磁探査事例シート

整理番号 114

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 地層処分における海底電磁法機器の製作(その 2) 調査の目的 沿岸域の電磁法調査手法の確立

調査の概要 高レベル放射性廃棄物の地層処分候補地選定に際して沿岸域の物理探査

手法は限られており、沿岸域の電磁法調査手法の確立のため海底電磁法

機器を製作している。

調査項目と方法

海底電磁法探査機器(MEG) A/D コンバータ:24 ビット サンプリング周波数:1,000 Hz データ記録:1 GB 耐圧容器:硬質塩化ビニール 設置・回収:アンカードブイ方式/ケーブルシステム

課題 沿岸域で問題となる波浪による機器振動を抑制した受振装置の開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2003 年 事例の発生個所 -

事例の概要

石油・天然ガス鉱床を対象とする既存の海底 MT 法装置による実験か

ら、海底下数十~数百 m の浅部探査へ対応可能とすることを目的に、プ

ロトタイプ測定機器を開発し既存探査機器との比較検証を行った。 スタンドアローン型受信機 ケーブル型受信機 高周波数帯の人工信号源

事例が発生した原因 波浪により機器が振動し、ノイズが発生する。 事例への対応 MEG スタンドアローン型受信機:低床化

事例への対応結果

0.1 Hz のノイズ信号が既存型受信機で取得したものよりも軽減されるこ

とを確認した。見掛比抵抗-周波数曲線は連続性が向上した。 既存受信機では 8 Hz までしか取得できなかったが、200 Hz まで取得で

きた。

ノウハウ・判断根拠 MEG スタンドアローン型受信機を低床化することで、波浪の影響を軽

減できた。

参考文献 地層処分における海底電磁法機器の製作(その 2):物理探査学会第 110回学術講演会論文集(2004)

キーワード MT 法電磁探査、海底

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4-141

表 7-18 地表電磁探査事例シート

整理番号 115

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 地層処分における海底電磁法機器の製作(その 4) 調査の目的 沿岸域の電磁法調査手法の確立

調査の概要 高レベル放射性廃棄物の地層処分候補地選定に際して沿岸域の物理探査

手法は限られており、沿岸域の電磁法調査手法の確立のため海底電磁法

機器を製作している。

調査項目と方法

海底電磁法探査機器(MEG) A/D コンバータ:24 ビット サンプリング周波数:1,000 Hz データ記録:4 GB 耐圧容器:硬質塩化ビニール 設置・回収:アンカードブイ方式/ケーブルシステム

課題 沿岸域で問題となる波浪による機器振動を抑制した受振装置の開発 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 -

事例の概要 製作した海底 MT 法装置の電場観測用アームが障害物により持ち上がる

状態を模擬した実験を実施した。また受信機の改良効果の確認、電場ダ

イポール長の検討、調査データの再現性の評価を行った。 事例が発生した原因 波浪により機器が振動し、ノイズが発生する。

事例への対応

①フラッシュメモリの 大データ取得要領を 1GB から 4GB に変更し

た。 ②製作した海底 MT 法装置の電場観測用アームが障害物により持ち上が

る状態を模擬した実験及び受信機が投入中に転覆した場合の実験を実施

した。 ③1~10 m まで異なる電場ダイポールを用意して測定を行い、小型化の

可能性を検討した。

事例への対応結果

①1,000 Hz サンプリングでのデータ取得時間が約 22 時間から 88 時間

に増え、全測定期間中のデータから品質の良い部分をより多く抽出で

き、スタック数が増加することでデータ処理結果の品質向上が計れた。 ②陸上での電磁探査では接地抵抗が重要な留意点になるが、海水中では

海水自体が良好な電導体となるため、データの品質に大きな差は認めら

れず、受信機が転倒した状態でも有意なデータが取得できた。 ③電場ダイポール長が 8 m 未満では信号レベルが減少し、信号の品質が

劣化することが判明した。

ノウハウ・判断根拠 データ品質向上には、従来の MT 法と同様データ取得時間を延ばしてノ

イズの少ない良好なデータのみを抽出する方法が、海底 MT 装置でも有

効である。

参考文献 地層処分における海底電磁法機器の製作(その 4):物理探査学会第 112回学術講演会論文集(2005)

キーワード MT 法電磁探査、海底

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4-142

表 7-19 地表電磁探査事例シート

整理番号 116

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 電気・電磁探査法による北関東堆積岩分布地域のベースライン調査

調査の目的

地質環境の隔離性能評価に向けた水理モデル作成のために、ベースライ

ンと呼ばれる坑道掘削前の地質特性を確実に把握する技術の開発が必要

であり、その一環としてモデルフィールドである北関東堆積岩分布地域

で比抵抗構造を把握する。

調査の概要 掘削予定地周辺において広域的な水理地質構造を把握するため AMT 法

電磁探査を行い、坑井掘削前に掘削予定地の精密な比抵抗構造を把握す

るため電気探査を実施した。

調査項目と方法 Phenix 社 MTU-5A 5 測線 計 66 測点(測点間隔 200 m~300 m) リモートリファレンス点:掘削予定サイトの東方約 12 km

課題 住宅地における AMT 法電磁探査のデータ処理 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 栃木県

事例の概要 リモートリファレンス処理のみでは十分に除去できないノイズを含むデ

ータに対して、時系列データを分割して処理し、S/N 比の高いインピー

ダンスだけを編集して MT パラメータを求めた。

事例が発生した原因 JR 東北線からのノイズ、民家からの商用ノイズ、家庭用電力線・電話等

のノイズ

事例への対応

各測点で取得された時系列データにリファレンス処理とフーリエ変換を

行い、0.35156~10,400 Hz の範囲の 60 周波数のパワースペクトルを求

めた。この際、測定時間(20 時~6 時の 10 時間)を 20 分割し、それぞ

れの時間帯について周波数ごとにインピーダンスを求め、S/N 比の高い

インピーダンスだけを編集し、見掛比抵抗や位相などの MT パラメータ

を求めた。

事例への対応結果 1 Hz 以下の周波数帯のデータの品質は悪かったが、1 Hz 以上の 54 周波

数についてはほぼ良好な MT パラメータが得られた。 ノウハウ・判断根拠 時系列データの処理方法

参考文献 電気・電磁探査法による北関東堆積岩分布地域のベースライン調査:物

理探査学会第 115 回学術講演会論文集(2006) キーワード AMT 法電磁探査、

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4-143

表 7-20 地表電磁探査事例シート

整理番号 117

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 電気探査によるアラスカ・フェアバンクスの永久凍土調査(3)

調査の目的

永久凍土はアラスカやシベリアに広く分布し、地球規模の気候システム

に大きく関与する。アラスカでその分布形態を把握することは気候シス

テムの解明に役立ち今後の地球温暖化の進行を監視する指標と考え、ア

ラスカで電気探査による永久凍土の分布調査を行う。

調査の概要 不連続永久凍土地帯にある実験地で高密度電気探査を実施し、一部の測

線上で TEM 法電磁探査を行った。

調査項目と方法

2 極法高密度電気探査 測定器:応用地質社製 McOHM21 電極間隔 2 m、5 m 測線長:800 m(2 測線) TEM 法電磁探査 測定器:Geonics 社製 PROTEM47 測点間隔 10 m、測線長 400 m 送信ループ:60 m×60 m アウトループ

課題 永久凍土の比抵抗調査 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2001 年 事例の発生個所 アラスカ フェアバンクス郊外 事例の概要 不連続永久凍土地帯にある実験地で電気探査を実施した。

事例が発生した原因 岩石や土が凍ると比抵抗は大きくなり、0を境に急激に増大して 2 桁程

度大きくなる。

事例への対応

浅層の情報に関係する測定時間の 2~3 点の比抵抗変化が急激(ρT2 が高

比抵抗で ρT2>ρT1、ρT3>ρT2;T1<T2<T3)で既存ソフトでは解析で

きず、ρT3 以降を用いてマッチングにより解析を行った。深度 20 m ま

での浅層の様子は高密度電気探査で判断し、TEM 法の解析結果は深度

200 m 程度までを 3 層構造で解析した。

事例への対応結果

TEM の解析結果による深度 200 m 程度までの比抵抗構造は、浅部のデ

ータを解析に使用しないことで地表付近 10~20 m までが 1,000~2,000 Ω・m 程度の高比抵抗層と解析された。高密度電気探査結果では北側斜面

は永久凍土層(10,000 Ω・m 以上)が 10~20 m の厚さで分布し、南側斜

面では薄く局所的に分布する。第 2 層は 1,000 Ω・m 弱の比抵抗と解析さ

れ、ジュラ紀の片岩と推定される。第 3 層は 100 Ω・m 以下の低比抵抗

が深度 180 m 前後から下位に一様に分布するが、地質との対応は確認で

きていない。

ノウハウ・判断根拠 極端な高比抵抗層に対しては、TEM 法で絶対値を求めることは難しく

一次元解析で十分なマッチングができない場合がある。

参考文献 電気探査によるアラスカ・フェアバンクスの永久凍土調査(3):物理探査

学会第 112 回学術講演会論文集(2005) キーワード 2 極法、高密度電気探査、TEM 法電磁探査

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4-144

表 7-21 地表電磁探査事例シート

整理番号 118

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査 事例名称 TEM 法とアレイ式 CSAMT 法のスタティックシフトの影響比較 調査の目的 地熱地域の構造調査

調査の概要 NEDO の研究開発の一環として行われたアレイ式 CSMT/MT システム

開発の初期に実施された北海道南茅部地域における調査結果と、地質調

査所が実施した TEM 法電磁探査の比較

調査項目と方法

TEM 法:100 m 正方形ループ×15 点 PROTEM34

アレイ式 CSAMT 法:測線長 2 km、測点間隔 50 m NEDO プロトタイプ CSAMT 法探査システム 8 kHz~0.25 Hz

課題 アレイ式 CSAMT 法のスタティックシフトと 2D 解析による影響の除去 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1993 年 事例の発生個所 北海道南茅部地域

事例の概要 スタティックシフト効果を受けにくい磁場のみの測定をする TEM 法調

査をアレイ式 CSAMT 法測定地域で行い、調査結果を比較した。

事例が発生した原因 MT 法電磁探査では、地形の凹凸や局所的浅部比抵抗異常の影響による

スタティックシフトと呼ばれる見掛比抵抗曲線の比抵抗ズレが生じる。

事例への対応

CSAMT 法をアレイで測定し、地形を考慮した二次元解析ソフトウェア

を使用することでスタティックシフトの影響を除去できると考えられて

いるが、スタティックシフトの影響を受けにくい TEM を同一箇所で測

定することで、解析結果を比較してスタティックシフトの影響度を比較

した。

事例への対応結果

TEM 法の二次元解析結果で確認された西から東に向けて傾斜して伸び

る連続した低比抵抗層は、アレイ式 CSAMT 法データの二次元解析結果

で低比抵抗層にスタティックシフト効果の影響と思われる不連続構造が

解析されたが、その下部の高比抵抗体はあまり影響されなかった。

ノウハウ・判断根拠

アレイ式のデータに対して二次元解析を使用することで、概略的な比抵

抗構造は TEM 法と一致したが、低比抵抗層の連続性が悪くなるなど細

かい部分ではスタティックシフトの効果を除去できていない可能性があ

る。

参考文献 北海道南茅部地熱地域における電磁探査法による比抵抗構造調査;物理

探査学会第 90 回学術講演会論文集(1994) キーワード アレイ式 CSAMT 法電磁探査、TEM 法電磁探査、スタティックシフト

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4-145

表 7-22 地表電磁探査事例シート

整理番号 119

ES 名 調査支援に関わる ES

調査対象 地表調査

個別調査項目 電磁探査

事例名称 幌延沿岸域における電磁探査

調査の目的

沿岸域の深部地質構造や地下水環境の評価と長期変動予測の基礎データとし

て、地質構造・断層構造・塩淡境界等の把握を行うため、物理探査法の測

定・解析・解釈技術の高度化を行う。

調査の概要 幌延地域の陸域において MT 法・AMT 法の比較的広域の地質構造及び

TEM 法による海岸浜堤周辺の詳細な三次元的比抵抗構造調査を実施した。

調査項目と方法

Phoenix 社の MTU-5 システム

2 測線計 59 測点、測点間隔:約 300 m

測定周波数:1,000 Hz~1 Hz

リモートリファレンス点:AMT 法は約 20 km 離れた地点

MT 法:岩手県に参照点

課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠

事例の発生日時 2007 年

事例の発生個所 北海道幌延町

事例の概要 -

事例が発生した原因 天候が悪く、強風が吹くことが多かった。

事例への対応 測定は夜間を中心に行い、AMT 法は幌延町の約 20 km 離れた地点、MT 法

は岩手県に参照点を置き、リモートリファレンス処理を行った。

事例への対応結果

AMT の帯域では全ての測点で良好なデータが得られたが、MT 法の低周波

数領域で品質が悪くなる傾向にあった。多くの測点で連続性のある探査曲線

が得られた。

ノウハウ・判断根拠

JAEA が取得した MT 法データも合わせて二次元解析を行い、地表から層厚

約 500 m で数 10~100 Ω・m の高比抵抗が海岸線から約 7.5 km 東側まで分

布し、その中に深度数十 m の薄い低比抵抗が海岸線側に挟まって分布す

る。

高比抵抗層の下位は約 1 Ω・m の低比抵抗層が深度 5,000 m 付近まで厚く分

布し、東側に行くにつれて薄くなっている。比抵抗基盤は白亜紀相当層と考

えられる。

参考文献 幌延沿岸域における物理探査プロジェクトの概要:物理探査学会第 118 回学

術講演会論文集(2008)

キーワード AMT、MT

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4-146

表 8-1 地表弾性波探査事例シート 整理番号 120

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査 事例名称 S 波ランドストリーマーを利用した首都圏における高分解能沖積層調査

調査の目的 首都圏の沖積層を対象に堆積環境と工学的特性を明らかにし、大都市の

防災・環境保全・再生に資する。

調査の概要 埋没谷の谷壁形状、谷底部の構造を把握するために S 波ランドストリー

マー反射法地震探査を実施した。

調査項目と方法

S 波ランドストリーマー 地震計:固有周波数:28 Hz、48 チャンネル、4 個/グループ、地震計

間隔 0.5 m 全長:30 m S 波震源:サンコーコンサルタント製機械式 S 波発生装置 SWG-04

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 埼玉県吉川市、草加市

事例の概要 JR 武蔵野線、JH 外環自動車道及び常磐自動車道、東部伊勢崎線に囲ま

れた地域で中川を東西に挟む測線を設定した。 事例が発生した原因 人力板叩き法による S 波震源は発生エネルギーが小さい。

事例への対応

油圧制御型重錘付アーム打撃震源に分類される。発生エネルギーは大き

いが、駆動部の旋回半径が 1.5 m 程度あり、幅員の小さな道路の使用に

問題があった。圧縮空気制御型震源装置の駆動部に 1 MPa 以下で作動す

る市販の部品を使用していたが、当初は震源波形形状が鋭敏でなく、リ

バウンドを発生していたが、給排気系統に工夫を加えることで問題を解

決した。 機械雑音の高い箇所ではプレビュースタック方式で毎ショット記録の

S/N をチェックし、重合の可否を判断できる。

事例への対応結果

層序試錐孔を利用した S 波 VSP、サスペンション S 波検層を用いて時間

断面に解釈を加え、沖積層基底礫層と更新統の境界面に対比可能な連続

性の良い反射イベントを捉えた。 検層データを参考に深度変換を施し、沖積層内を 6 区分する境界線が埋

没谷の中軸部に向かって緩く傾斜することを把握でき、沖積層下の深さ

10m 付近に出現する埋没段丘面、傾斜壁、谷底境界面も明瞭にイメージ

ングすることができた。

ノウハウ・判断根拠 S ランドストリーマーツールと S 波震源を用いることで、表層の大部分

が舗装されている都市域においても反射法探査が可能となり、高品質な

波形データの取得が可能となった。

参考文献 S 波ランドストリーマーを利用した首都圏における高分解能沖積層調

査:物理探査学会第 113 回学術講演会論文集(2005) キーワード S 波、反射法地震探査、ランドストリーマー

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4-147

表 8-2 地表弾性波探査事例シート 整理番号 121

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 屈折法弾性波探査 事例名称 トンネル側壁部の屈折法弾性波探査 調査の目的 トンネル岩盤の緩み域の把握のため 調査の概要 トンネル側壁部において屈折法弾性波探査を実施

調査項目と方法

屈折法弾性波探査 振源:電気雷管 受振点設置区間 : 2 m 間隔 430 m 区間 発震点区間 : 10 m 間隔 429 m 区間 44 点

課題 岩盤側壁での測定における受振器設置及び発破用削孔の方法を検討 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

受振器は岩盤に φ14.5 mm×250 mm 削孔して取り付け、起振点は

φ20mm×300 mm 削孔して電気雷管により起振した。 トンネル側壁は NATM 工法による掘削のためコンクリートが 15~20 cm 程度岩盤表面に吹き付けられており、底盤から高さ約 1.2 m の位置で

測定を行うこととした。 発破による岩盤への影響を抑えるため、削孔は 小限にとどめたが、電

気雷管の爆発圧力が岩盤に伝わらず、空気中に逃げてしまうため、起振

振動が遠方まで到達しなかった。 事例が発生した原因 発破振動が岩盤に伝わらず、空気中に逃げてしまう。

事例への対応 発破孔を斜め下方に削孔して水を充填することで、発破時の圧力を岩盤

に伝えることができた。 事例への対応結果 大遠隔距離 100 m で発破時の振動波形を記録できた。

ノウハウ・判断根拠 水は爆発振動のような高周波数振動に対しては剛体として挙動するた

め、振動が岩盤に伝播しやすい。 参考文献 - キーワード 屈折法弾性波探査、トンネル側壁、岩盤路頭

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4-148

表 8-3 地表弾性波探査事例シート 整理番号 122

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査 事例名称 バーティカルケーブル方式反射法地震探査(VCS)の開発

調査の目的 水深 1,000 m を超える深海域における海底下 100 m 以浅に賦存する海底鉱物資源の

探査

調査の概要 文部科学省の「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム」の一環と

してバーティカルケーブル方式反射法地震探査(VCS)の開発が行われている。 調査項目と方法 -

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 北海道石狩低地

事例の概要

バーティカルサイスミックケーブル方式反射法地震探査は、海底面から鉛直方向に

受振器(ハイドロフォン)を配置して、水中震源により音波(地震波)を発生させ、こ

の音波が地下に伝播し、地層境界からの反射波を記録して海底下構造を調査する手

法である。一般的に VCS と略称されている。

事例が発生 した原因

沖縄トラフ及び伊豆・小笠原海域における海底熱水鉱床は分布水深が 700 m~1,600 m と世界的に見ても比較的浅く、開発に有利と期待されている。しかし水深 1,000 m を超える深海域において海底下 100 m 以浅に賦存すると考えられる海底鉱物資源

の探査に対し、従来の探査手法では鉱物の賦存状況や資源量に関する情報を効率よ

く把握することが困難である。

事例への対応

VCS は、海底熱水鉱床探査の対象領域と想定される 1 km×1 km 程度の比較的狭い

エリアの三次元探査としては、海上三次元探査に較べて優位性が高い。 海上の発震点を面的に設けて発震することで、バーティカルケーブルを中心とする地

下の三次元イメージを得ることができる。通常の海上三次元調査に較べて受振点数が

制限されるが、複数のバーティカルケーブルを配置し発震点の分布を適切に変えるこ

とにより、対象となる範囲の三次元構造を効率的に把握することが可能である。受振

器はバーティカルケーブルによって海底面近傍に配置されるため、探査対象に接近し

た観測が可能になり、波動現象による分解能の劣化(フレネルボリュームの拡大)を抑

制でき、波浪ノイズを避けることもできるため、鉛直・水平方向ともに従来の海上反

射法地震探査(MCS)に比べて分解能の向上を図ることができる。

事例への 対応結果

海底熱水鉱床の賦存する海域では、海底面の起伏が激しいケースが多いが、VCS で

はセンサーが海中にあるため起伏の多い海底面とのカップリングが生じない。 受振器を海底に設置している海底受信ケーブルシステム(OBC)では、海底直下から

の反射波と水中を直接伝わる音波がほぼ同時刻に達するためそれらを分離することが

困難であるが、VCS の場合はセンサーが海底から離れており直下からの反射波を分

離しやすいため、極浅部を対象にしたイメージングが可能となり海底熱水鉱床探査に

有利である。 発震点の制約が少なくいろいろな方向からの反射データを記録することができるため

複雑な構造でのイメージが可能となる。

ノウハウ・ 判断根拠

実海域における反射波の計測実験は成功し、今後システムの改良を行うとともに、

震源及びハイドロフォンの位置精度などの課題の解決や VCS に適した速度解析、マ

イグレーション技術の確立が必要であり、水中測位技術や精度良い投入・回収方法

の確立なども含めたトータルなシステム構築を図る必要がある。

参考文献 バーティカルケーブル方式反射法地震探査(VCS)の開発:物理探査第 64 巻第 4 号;

p267-277(2011) キーワード 反射法地震探査、VCS

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表 8-4 地表弾性波探査事例シート

整理番号 123

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 バイブロサイス同時発震による反射法地震探鉱データ取得作業の効率化

調査の目的 反射法地震探鉱におけるデータ取得作業の効率化によるコスト削減を図

るため、発震側のバイブロサイスを複数使用して何らかの形で同時に発

震する手法を検討する。

調査の概要

バイブロサイス発震手法として①Cascaded Sweep、②Slip-Sweep 、③

Simultaneous Shooting の 3 つのカテゴリーのうち、③に分類される

DG3(Distance Separated Simultaneous Sweeping)が も有効と判断

してフィールド試験を実施した。

調査項目と方法

震源:バイブロサイス 受振点間隔 50 m、総受振点数:306 点、測線長 15 km 発振点間隔 50 m、総発振点数:64 点 総発振点数:64 点 スイープ:3 回、スイープ長 20 秒、レコード長 4 秒

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 - 事例の概要 反射法地震探鉱におけるデータ取得作業の効率化によるコスト削減

事例が発生した原因 複数のバイブロサイスを用いてデータ取得作業の効率化を図る場合に、

干渉ノイズによりデータの品質が低下する。

事例への対応 4 台のバイブレータを 2 台と 2 台の 2 つのサブアレイに分けて約 5 km離し、同一のパラメータで同時に発震させた。

事例への対応結果 二点同時発震と一点発震の調査時間をを比較すると、一点発震の約 70%となった。処理結果を比較したが、干渉ノイズ等による品質の低下は見

られなかった。

ノウハウ・判断根拠 発震点同士の距離を十分離して発震する DG3 が有効と判断してフィー

ルド実験を行った結果、干渉ノイズ等による品質の低下を招くことなく

大幅にデータ取得作業を効率化できることが確認された。

参考文献 バイブロサイス同時発震による反射法地震探鉱データ取得作業の効率

化:物理探査学会第 124 回学術講演会論文集(2011) キーワード 反射法地震探査

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4-150

表 8-5 地表弾性波探査事例シート

整理番号 124

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査 事例名称 ランドストリーマーを用いた鳥越断層軍の S 波反射法探査

調査の目的

新潟平野西縁部には、陸域から北方の海域にかけて弥彦断層系と称され

る延長 70 km 以上繋がる活断層があり、角田・弥彦断層群、鳥越断層

群、上富丘断層群、片貝断層群に分けられる。いずれも西側隆起の逆断

層である。このうち、鳥越断層を対象として反射法探査を行った。

調査の概要 ランドストリーマーを使用して信濃川氾濫原にて高分解能反射法地震探

査を実施した。

調査項目と方法

S 波ランドストリーマー 地震計:固有周波数:28 Hz、48 チャンネル、4 個/グループ

全長:30 m 4 測線は地震計間隔 0.5 m で計 1,520 m、1 測線は地震計間隔 2.5 m で

1,030 m 振源:人力板叩き法 4~8 回重合

課題 鳥越断層群の北半部は信濃川氾濫原下に伏在しており、1997 年に実施し

た P 波による反射法地震探査では、 上部の沖積層の構造がほとんど明

らかにされなかった。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1997 年 事例の発生個所 新潟県新潟平野 事例の概要 -

事例が発生した原因 比較的深部を対象とする従来の反射法地震探査は伏在断層の全体像を把

握することは有用であるが、表層部の断層の内部構造や 近の活動時

期・規模を反映した地盤変形構造の把握は困難である。

事例への対応 舗装道路上で良質な記録断面が得られるランドストリーマーを使用し

て、高分解能反射法探査を実施した。

事例への対応結果

深度 50 m 付近までの連続性の良い反射イベントが補足され、沖積層に

比定される浅部 60 m 以浅の地盤中に断層に起因すると考えられる幾つ

かの変形構造を検出できた。基盤面傾斜の急激な変化、数 10 m~100 mオーダーの緩やかな波曲状変形構造、反射面の階段状の屈曲など鳥越断

層群による変形域の推定に利用された。

ノウハウ・判断根拠 ランドストリーマーは都市部における S 波反射法探査で効率的に S/N 比

の高いデータを取得可能なシステムといえる。

参考文献 ランドストリーマーを用いた鳥越断層軍の S 波反射法探査:物理探査学

会第 99 回学術講演会論文集(1998) キーワード S 波、反射法地震探査、ランドストリーマー

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表 8-6 地表弾性波探査事例シート

整理番号 125

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査 事例名称 ランドストリーマーを用いた都市部での高分解能 S 波反射法探査

調査の目的 表層部の断層の構造、枝別れする断層の位置と変動規模を地表部から詳

細に把握する。

調査の概要 S 波を利用する極浅層反射法探査技術の開発を進め、都市部での適用性

を高めるため、ケーブルと地震計を一体化し、牽引することが可能な

「ランドストリーマー」を開発した。

調査項目と方法

S 波ランドストリーマー 地震計:固有周波数:28 Hz、48 チャンネル、4 個/グループ、地震計

間隔 0.5 m 全長:30 m

課題 海域の音波探査と同様に地震計とケーブルを一体化し牽引する手法を、

都市部の反射法探査で実現する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1997 年 事例の発生個所 愛知県東海市 事例の概要 -

事例が発生した原因 都市域では地表が舗装されることから、地震計先端部のスパイクで固定

できず、粘土ブロックや専用の三脚を用いて地震計を設置していたた

め、設置・移動に手間がかかり、S/N 比が低い。

事例への対応

非伸縮性のベルト上に地震計ユニットを設置し、観測車で牽引すること

により容易に移動展開可能とした。 ベルトにアルミ製のユニット台座版を取り付け、4 個の地震計エレメン

トをチャンネル毎に配置して S/N 比を向上させている。舗装面とのカッ

プリングをよくするため、地震計ユニット重量を 800 g 程度と重量化を

はかった。

事例への対応結果

臨海埋立地(地表は低草が繁茂し、小礫が散在)によるランドストリー

マーと従来方式での共通起振点記録を比較すると、ランドストリーマー

記録は初動部の S/N 比が良好でなく反射イベントも不明瞭であるが、重

合処理後の深度断面では両者とも詳細な構造が復元され、微細な部分ま

でよく一致した。 アスファルト舗装上での測定では、ランドストリーマーの共通発振点記

録には明瞭な反射イベントが認められ、反射波の走時も良く揃っていて

連続性も良好である。ランドストリーマーと同一特性の地震計 2 個を装

着した粘土ブロックを舗装面上に展開して収録したデータは、ほぼ同一

走時に反射イベントが認められるものの、全体に不揃いであり、周波数

も低い。 ランドストリーマーを用いた高分解能反射探査の探査効率は、200 shots/0.5 日~350 shots/日に達し、大型車の混入率の高い幹線道路脇で

も 16 回程度の垂直重合で良好な記録をとることができた。

ノウハウ・判断根拠 ランドストリーマーは都市部における S 波反射法探査で効率的に S/N 比

の高いデータを取得可能なシステムといえる。

参考文献 ランドストリーマーを用いた都市部での高分解能 S 波反射法探査:物理

探査学会第 98 回学術講演会論文集(1998)

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整理番号 125

キーワード S 波、反射法地震探査、ランドストリーマー

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表 8-7 地表弾性波探査事例シート

整理番号 126

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査

事例名称 概要調査の実証研究における三成分多連圧着式受振器を用いたウォーク

アウェイ VSP 探査

調査の目的 概要調査で適用する調査技術及び適用手法について、現地での実証研究

を通じて物理探査技術の適用性の確認を行う。

調査の概要 電力中央研究所 横須賀研究所内においてウォークアウェイ VSP 及び反

射法地震探査を実施した。

調査項目と方法 孔中受振器:Sercel 社製 SMC-1850 固有周波数 30Hz アレイ間隔

15m 震源:川崎地質社製電磁バイブレータ 発震周波数 5~500 Hz

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 電力中央研究所 横須賀研究所内 事例の概要 -

事例が発生した原因

既往の反射法地震探査の結果から、付加帯とされる葉山層群は複雑な構

造で側方連続性が悪い。 VSP に用いたボーリング孔は敷地西端で反射法探査では重合数が少なく

構造解釈に対する不確実性が大きいと懸念された。

事例への対応

既往の反射法地震探査の解釈に役立て、コントロールポイントとするた

め、ボーリング孔で VSP を計画した。過去のハイドロフォンアレイを用

いたオフセット VSP ではチューブ波の影響が強く、今回はチューブ波の

影響を抑えて垂直成分と水平成分を併せて取得するため 3 成分多連圧着

式受振器を用いた計測とした。 VSP に用いたボーリング孔は敷地西端で反射法探査では重合数が少なく

構造解釈に対する不確実性が大きいと懸念され、反射法測線上で発震す

るウォークアウェイ VSP とした。 測線付近には稼働中のプラントが多く、ノイズレベルが高いため、 大

64 回の垂直重合を行うこととし、発震周波数を 20~180 Hz のリニアス

ィープとした。

事例への対応結果

ウォークアウェイ VSP 及び反射法地震探査の断面図から、三浦層群は地

下 100 m 以浅ではほぼ平坦な構造を示し、地下 200 m 以深の葉山層群で

は凹状構造を示すことが認められ、既存ボーリングで得られた地層境界

について反射波と地質構造を対比できた。

ノウハウ・判断根拠 ウォークアウェイ VSP 探査から得られた断面は、反射法地震探査西端部

のデータを補完するのに有効であった。チューブ波も圧着式受振器を使

用することで低減できた。

参考文献 概要調査の実証研究における 3 成分多連圧着式受振器を用いたウォーク

アウェイ VSP 探査:物理探査学会第 124 回学術講演会論文集(2011) キーワード ウォークアウェイ VSP、反射法地震探査

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4-154

表 8-8 地表弾性波探査事例シート 整理番号 127

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 弾性波探査 事例名称 高田平野における微動アレイ探査

調査の目的

2007 年新潟県中越沖地震において柏崎で 2 秒を超える卓越周期が得られ

たことから、柏崎市における深い地盤構造の影響を定量的に評価するた

め、微動アレイ観測を用いた S 波速度構造モデルの推定が実施されてい

る。 高田平野の強震観測点においても実体波以降に見掛周期1、2 秒の後進

波が見られ、深い地盤構造の影響が示唆されており、高田平野の S 波速

度構造モデルの推定を目的として微動アレイ観測を行った。 調査の概要 高田平野内の 4 地点で微動アレイ観測を行った。

調査項目と方法

各地点で 大半径 100 m、400 m、1,600 m の 3 種類の正三角形アレイ

を展開 MTKV1-C 上下成分計(振動技研)、周期延ばし回路により固有周期を 1秒から 7 秒に延ばして使用 LS-8000SH に 100 Hz サンプリング間隔で記録 3 Hz ハイカットフィルター使用

課題 高田平野内における地盤構造モデルの推定と検証 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2007 年 事例の発生個所 新潟県上越市

事例の概要 高田平野内において微動アレイ観測を実施し、地盤構造モデルの推定を

行ったが、地震波速度構造モデルの情報がほとんどないため検証方法を

検討した。 事例が発生した原因 地震波速度構造モデルの情報がほとんどない。

事例への対応

拡張 SPAC 法により微動中に含まれる表面波(Rayleigh 波)の位相速度を

求め、S 波速度構造モデルを求めた。 各地点の観測位相速度と、 適な地下構造モデルによる Rayleigh 波基

本モードの位相速度分散曲線は良く一致し、S 波速度が 3 km/s 以上とな

る基盤上面深度は 3 地点で約 4 km と非常に深く、1 地点では約 2 km と

なった。 M4 クラスの地震が得られている観測点を対象に計算した地盤構造モデ

ルを用いて、地振動波形のシミュレーションを行った。波形計算には点

震源を一次元成層構造モデル内に与え、Discrete Wavenumber 法に

Reflection Transmission Matrix 法を組み合わせた方法で行い、震源時

間関数として smoothed ramp function を用い、rise time は試行錯誤的

に決定した。

事例への対応結果 計算波形とスペクトルが観測波形・観測スペクトルと良く一致した箇所

がある一方で、計算波形が観測波形に較べて過小評価となる箇所も見ら

れた。

ノウハウ・判断根拠 中小地震記録を対象にした観測波形と計算波形の比較は、後続波を除く

実体波部分では一致する結果が得られた

参考文献 高田平野における微動アレイ探査:物理探査学会第 119 回学術講演会論

文集(2008) キーワード 微動アレイ探査、高田平野

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表 8-9 地表弾性波探査事例シート

整理番号 128

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査 事例名称 新型 S 波バイブレータによる成田市での反射法探査実験

調査の目的 S 波ミニバイブの大型版として「S 波バイブレータ」を開発して中深度(深度 1 km 以深)を対象にした探査手法を確立する。

調査の概要 S 波バイブレータと S 波インパクターによる S 波反射データを取得し、ミニバ

イブ(S 波モード)既存調査結果と比較することで、性能評価を行った。

調査項目と方法

S 波バイブレータ ミニバイブ ミニインパクター スイープ周波数 5-50 Hz 10-50 Hz 重合数 5 個 10 個 5 個 発振点間隔 12.5 m 10m 12.5 m 受振器 10 Hz、3 成分、3 個直列 受振点間隔 6.25 m 5 m 12.5 m 測線長 1.0 km 0.5 km 0.7 km

課題 S 波バイブレータの性能評価と使用可能な発振測線の選定条件 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2005 年 事例の発生個所 茨城県成田市長沼地区

事例の概要

調査地域は水田地帯で車両ノイズは少ないが週日離発着する航空機のノイズや強

風によるノイズが混入した。 発振測線は 10cm 程度のわだちのある未舗装道であり、全ての発振点で整地作業

を行い、ベースプレートが刃型ブレードを介して地面と接するようにした。 事例が発生 した原因

発振エネルギーの増大

事例への対応

S 波バイブレータのピークフォースは、10-20Hz 帯域でミニバイブの 8 倍~2 倍

と低周波数の振幅が大幅に向上した。 共通反射点編集、屈折波静補正、速度解析、NMO 補正、CDP 重合を行い、時間

断面で対比した。

事例への 対応結果

往復走時 3.5 秒の先新第三系基

盤からの反射波はいずれも明瞭

に捕らえられている。各種震源

の発振エネルギーの違いが反射

断面上のイメージング郷土の違

いに現れており、S 波バイブレ

ータが優位である。

ノウハウ・ 判断根拠

S 波バイブレータは発振エネルギーが強く中深部探査に有効であるが、使用可能

な発振測線は未舗装かつ 2.5 m 以上の幅員が必要であり、今後の探査を行うため

には舗装道路上でも道路を傷めることなく使用できるようにベースプレート装着

硬質ゴムの開発が必要である。 参考文献 新型 S 波バイブレータによる成田市での反射法探査実験:物理探査学会第 115

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整理番号 128

回学術講演会論文集(2006) キーワード S 波バイブレータ、反射法地震探査

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4-157

表 8-10 地表弾性波探査事例シート

整理番号 129

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査

事例名称 石狩低地東縁断層帯周辺の地下構造調査-苫小牧-案平測線、千歳測線

- 調査の目的 活断層の詳細な構造を把握する 調査の概要 -

調査項目と方法

受振器:Sercel 社製 SG-10(6 個グルーピング)固有周波数 10 Hz バイブレータ型振源:IVI 社製 Y-2400 スイープ出力周波数:10-100 Hz 起振点間隔:10 m、受振点間隔:10 m 測線長:19.2 km+8.8 km 240 ch エンドオン展開

課題 一部は田園地帯で低ノイズであるが、その他は国道 234 号沿いで大型ト

レーラーなどの車両ノイズが卓越する地域である。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 北海道石狩低地

事例の概要 中型バイブレータ型振源である EnviroVibe を用いて北上低地西縁断層

帯を横断する測線で反射法地震探査を実施した。 事例が発生した原因 国道沿いで大型トレーラーなどの車両ノイズが卓越する。

事例への対応

反射法データは、周波数解析、デコンボリューション、初動解析、静補

正、速度解析、NMO、CMP 重合などの一般的な CMP 重合法を適用

し、時間断面まで作成した。 測線沿いでは、250 m 間隔の重力探査も実施された。

事例への対応結果

得られた反射断面には幾つかの褶曲や撓曲が見られ、既存調査との対比

等により低地部における褶曲の延長や分岐が考察された。ブーゲー異常

は東下がりのトレンドは東に緩く傾いた基盤構造を示唆し、短波長の異

常は反射断面に見られる褶曲構造と一致する。

ノウハウ・判断根拠 反射法地震探査結果は、重力探査と合わせて解析することで、解釈が容

易となる。

参考文献 石狩低地東縁断層帯周辺の地下構造調査-苫小牧-案平測線、千歳測線

-:物理探査学会第 126 回学術講演会論文集(2012) キーワード 反射法地震探査、活断層

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4-158

表 8-11 地表弾性波探査事例シート

整理番号 130

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 地震波干渉法 事例名称 地震波干渉法を用いた浅間山周辺地下構造のモニタリング 調査の目的

調査の概要

地震波干渉法は地下に存在する波動場を地表の異なる二つの受振点

(α、β)で観測したとき、各受振点で観測された波形記録の自己相関

(ACF)や相互相関(CCF)をとることにより、一方の受振点位置(α)を仮想

的な震源とし他方(β)を受振点とした場合の波形記録を合成することが

できる手法である。 この手法は人工震源を用いずに相関処理を行うだけで、擬似的に人工震

源を用いた場合と同様なデータを合成できるため、大都市など人工震源

の使用が困難な地域への適用や、モニタリングにも適用されつつある。

調査項目と方法 地震波干渉法 浅間山に近い御代田(MYT)および嬬恋(TUM)の 2 点の Hi-net 観測点デ

ータを使用 課題

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 2009 年 事例の発生個所 浅間山周辺 事例の概要

事例が発生した原因 物理探査によるモニタリングは技術的にもコスト的にも課題が多い

事例への対応 浅間山に近い御代田(MYT)および嬬恋(TUM)の 2 点の Hi-net 観測点を用

いてデータ解析を行った。

事例への対応結果

MYT、TUM における ACF では、2009/2/2 に発生した中規模噴火の付

近で位相遅れが確認され、この位相遅れがマグマの貫入と関係がある可

能性が高い。同様に CCF でも位相ずれを確認できた。今回得られた各位

相遅れを読み取り、平均的な速度低下を算出すると約 28%の速度低下と

なった。 しかし、噴火が生じていない日にも位相遅れが認められる場合があり、

噴火には至らなかったものの地下構造に変化が生じた可能性が高いが、

詳細な検討が必要である。

ノウハウ・判断根拠 地震波干渉法による地下構造の時間的変化の抽出は有効と考えられる

が、浅間火山地下の地震波速度変化の抽出にはまだ対応が不十分と考え

る。

参考文献 地震波干渉法を用いた浅間山周辺地下構造のモニタリング:物理探査学

会第 122 回学術講演会論文集(2010) キーワード 地震波干渉法

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4-159

表 8-12 地表弾性波探査事例シート 整理番号 131

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 葛根田反射法モニタリング

調査の目的

開発初期の貯留層評価、運転開始後の発電所の出力安定維持、さらに既開発地区周

辺に存在する貯留層の抽出に有効な技術の開発を目指すために、貯留層の生産・還

元に伴って生じる相変化による貯留層周辺の弾性波速度変化を、人工震源を用い

て捉えることによって貯留層の変動を把握する。

調査の概要 葛根田地熱発電所 2 号機の定期点検時に、反射法弾性波探査による浅部モニタリン

グを行い、弾性波速度変化を測定した。

調査項目と方法

反射法弾性波探査 振源:ミニバイブレータ(4 t 車) 受振点設置区間 : 10 m 間隔 970 m 区間 98 点 発震点区間 : 20 m 間隔 970 m 区間 49 点 地熱発電所定期点検時の噴気停止前、停止後(2、5、7、9 日後)

課題 地熱貯留層の生産・還元によって生じる変化を葛根田地熱発電所の定期点検による生

産停止の短期間にモニタリングし、速度変化を抽出する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 岩手県葛根田地域

事例の概要

波形の走時変化の検出を行うため、発振記録による対比を行ったが、明瞭さに欠け

るため、散乱重合処理による断面比較を行った。各処理断面とも往復走時で 0~400 ms 程度まで明瞭な反射イベントがある。これらの反射イベントは、ほぼ水平であ

り、各ステップの断面ともほぼ同じ時間にある。各ステップの処理断面における反

射イベントの違いを明らかにするため、断面を重ねた断面を作成し対比した。その

結果、点検開始前及び開始後の比較断面において、反射イベントのずれが、走時

265~285 ms、トレース番号 4~40 の区間(320 m 程度の範囲)のイベントで確認

された。しかし、データの品質の面からは、測線東側(谷側)のデータの品質の方

が西側側よりもノイズが多く含まれており、反射イベントの変化と弾性波速度変化

との関連性に疑問があった。 事例が発生 した原因

ノイズ

事例への対応 散乱重合処理の過程で作成される重合速度解析パネルにより、速度変化の検出が可

能か検討を行った。

事例への 対応結果

モデルシミュレーションを用いた散乱重合解析を実施することにより、速度変化領域

境界面の形状は不規則なものと考えられ明瞭な反射面を生じさせる可能性は小さいこ

と、速度変化を抽出するためには、重合速度解析パネルを用いて速度変化を抽出する

のが現実的な方法であることが明らかとなった。 重合速度解析パネルで対比した結果、抽出したトレース No.4~40 区間以外のトレー

ス No.78~90 区間で速度変化を抽出した。 トレース No.86、81 では、イベントのピークの位置が 200(m/s)程度速くなってお

り、これらの速度変化は、相変化に伴う二相領域の速度変化が寄与している可能性が

あると考えられた。

ノウハウ・ 判断根拠

CDP 重合だけでなく、散乱重合解析という手法を用いることにより、断裂構造の発

達する地熱地域で地下の反射面をより明瞭に捉えることができ、速度構造変化の抽

出に寄与した。

参考文献 NEDO(2002)地熱探査技術検証調査 貯留層変動探査法開発 地震波探査法開発報

告書 キーワード 反射法弾性波探査、地熱地域、モニタリング、速度構造変化

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4-160

表 8-13 地表弾性波探査事例シート

整理番号 132

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 秋ノ宮地域の反射法モニタリング

調査の目的

開発初期の貯留層評価、運転開始後の発電所の出力安定維持、さらに既

開発地区周辺に存在する貯留層の抽出に有効な技術の開発を目指すため

に、貯留層の生産・還元に伴って生じる相変化による貯留層周辺の弾

性波速度変化を、人工震源を用いて捉えることによって貯留層の変動

を把握する。

調査の概要 秋ノ宮地熱地域の長期噴気試験の前後に、反射法弾性波探査を行い、弾

性波速度変化の抽出を試みた。

調査項目と方法

前期 受振点数:400(測線長:4,000 m) 発振点数:179 震源:バ

イブロサイス(Y-2400) 後期 受振点数:120(測線長:1,200 m) 発振点数:120 震源:ミ

ニバイブレータ(T-15000D) 受振点間隔 10 m、 発振点間隔 20 m

課題 長期噴気試験によって生じると考えられる弾性波速度変化を抽出する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2000 年 事例の発生個所 -

事例の概要

秋ノ宮地域では、電力中央研究所によって雄勝高温岩体実験場を中心に

反射法弾性波探査が行われており、前期反射法データの CMP 重合処理

では電力中央研究所データも合わせて解析を行った。 後期は、前期に使用したバイブレータを含むシステムの使用が不可能な

ことから、ミニバイブレータを振源とするシステムにより測定を行っ

た。

事例が発生した原因

秋ノ宮地域は、貯留層シミュレーション(ヒストリーマッチング)によ

る結果がポーラスモデルのためか予想よりも圧力変化が小さく、2 相領

域もシミュレーションでは形成されていない。しかし、生産井が地層内

フラッシュを生じており小規模ながら 2 相領域が形成されていた可能性

は高いと考えられた。

事例への対応 散乱重合処理の過程で作成される重合速度解析パネルにより、速度変化

の検出が可能か検討を行った。

事例への対応結果

秋ノ宮地域における高精度反射法探査により、地熱貯留層に関係すると

考えられる反射イベントを検出することができ、地熱地域における反射

法弾性波探査における測定仕様を検証することができた。 前期・後期データの対比では、測定システム・震源や発震周波数の違い

などによるものと考えられる変化が主体であり、ほとんど共通の反射イ

ベントを検出できず、十分な対比を行うことができなかった。

ノウハウ・判断根拠

深度 1,000 m 以浅の反射イベントのモニタリングについては、ミニバイ

ブレータによる震源でモニタリング可能である。また、2,000 m 以深の

反射イベントのモニタリングについては、基本的には大型バイブレータ

が震源として必要であるが、発振点を測線周辺まで拡大してデータを取

得することにより深部の反射イベントの検出は可能である。

参考文献 NEDO(2002)地熱探査技術検証調査 貯留層変動探査法開発 地震波探

査法開発報告書

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4-161

整理番号 132

キーワード 反射法弾性波探査、地熱地域、モニタリング、速度構造変化

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4-162

表 8-14 地表弾性波探査事例シート

整理番号 133

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 弾性波探査 事例名称 箱根大涌谷噴気域における弾性波探査

調査の目的 箱根山から丹沢山地における伊豆衝突帯の地震活動や地下構造などの多

面的な調査の一環として、熱水の移動拡大や地すべり地域の地下構造を

探査することが目的である。

調査の概要 箱根大涌谷の沢内に長期間同一場所で観測を続けるための探査測線を構

築し、1 回目の探査を実施した。

調査項目と方法

屈折法弾性波探査 測定器:応用地質社製 McSEIS-SX 震源:サイスミックショットパイプ 系 5 箇所 受振間隔 1m 測線長:100m

課題 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2009 年 事例の発生個所 箱根大涌谷 事例の概要

事例が発生した原因 長期間をおいて繰り返し探査を行って地下構造変化を把握することを目

指しているが、測量杭・測量錨鋲による測定天は、風化や浸食により位

置が行方不明になる可能性が高い。

事例への対応

GPS 測量による位置決めを行い、測線の再測が可能なように設定した。

ただし、測線は谷底にあるため衛星の斯界を確保することは難しいの

で、神奈川県土木事務所が設置した GPS 基準点を基に、トランシット

測量から各測定ポイントの座標を決定した。 谷に沿って上流側、下流側に 2 測線を設定した。両測線の標高差は約

36m、距離は約 96m である。

事例への対応結果

はぎとり法による 2 層構造モデルを作り、このモデルを初期値として破

線追跡プログラムを用いて速度構造モデルを試行錯誤的に変化させ、観

測走時と理論走時が 小となるようフォワード解析を行った。 第 1 層が 0.1km/h、第 2 層が 1.1km/h となり、特に第 1 層が小さな値を

示した。

ノウハウ・判断根拠 弾性波トモグラフィによるモニタリングは事例が多いが、屈折法弾性波

探査によるモニタリングは少なく、特に受振器の設置位置のズレや設置

状況による再現性の不確定さが問題となる。

参考文献 箱根大涌谷噴気域における電気探査と弾性波探査:物理探査学会第 121回学術講演会論文集(2009)

キーワード 屈折法弾性波探査、モニタリング

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4-163

表 8-15 地表弾性波探査事例シート 整理番号 134

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 兵庫県南部地震震源域周辺の深部反射法調査

調査の目的 兵庫県南部地震で確認された地表付近の活断層のほかに、地下深部で起こった断層

活動や伏在断層を抽出する。

調査の概要

兵庫県南部地震震源域周辺の神戸市を含む六甲三系から海域を含む範囲で、花崗岩

と考えられる基盤岩まで到達するような深部反射法弾性波探査を行った。同時に兵

庫県南部地震で地表に明瞭に現れた活断層は淡路島の野島断層及びその周辺のみで

あるが、地表では確認されていない伏在断層も想定されるため、地上の諸データと

の対比のため浅部構造も精度よく捉えるようにした。

調査項目 と方法

震源:バイブロサイス(Y-2400)、エアガン(BOLT GI type) 受振器:Geophone(HGS-SM7:10Hz)、Bay Cable Hydophone (Mark product P44-A) 受振点間隔 25 m(陸域)、12.5 m(海域) 発振点間隔 50 m(陸域)、25 m(海域)

課題 陸域、沿岸部、海域にまたがる地域における測定であり、神戸市や芦屋市、宝塚市

等の市街地に位置する測線もあり、深部探査が可能な信号を発振させ、人工ノイズ

を抑制させる。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 1995 年 事例の発生個所 兵庫県南部

事例の概要

下記に示すように陸域・海域で異なる振源・受振器を相互に受振することで、連続

した測線データとした。 ・エアガン振源で陸上に設置した受振計により受振 ・バイブレータ振源で海底に設置したベイケーブルにより受振

事例が発生 した原因

陸域の測定と海域の測定では、探査システムが全く異なるため

事例への対応

1.8sec あたりに基盤と考えられる

反射面を検出した。 異種振源及び異種受振器データの

接合は、それぞれの組み合わせの

特性を補償して波形の統一を図る

必要があり、十分な重複区間デー

タガ得られたので、振源特性補

償、受振器特性補償を通して位相

補償を行った。 さらに屈折波静補償、反射は静補

償、CMP 重合、基準面補償、重合

後マイグレーションなどの処理を

行った。

事例への 対応結果

六甲三系から芦屋港に至る時間マイグレーション記録が記載されており、大阪層群

の形状、基盤反射の連続性と消滅、芦屋断層の低角逆断層としての形状を検出し

た。 ノウハウ・判

断根拠 陸域、沿岸部、海域にまたがる地域における測定、異種振源及び異種受振器データ

の処理など、海岸部における反射法弾性波探査において参考となる点が多い。

参考文献 1995 年兵庫県南部地震震源域周辺の深部反射法調査について;物理探査第 49 巻 6号 pp.420-434 (1996)

キーワード 反射法弾性波探査

陸域発振・海域受振 海域発振・陸域受振

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4-164

表 8-16 地表弾性波探査事例シート 整理番号 135

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法探査

事例名称 北上低地西縁断層帯における反射法探査-中型震源 EnviroVibe を用い

た探査- 調査の目的 活断層の詳細な構造を把握する。 調査の概要 -

調査項目と方法

受振器:OYO Geospace 社製 GS-20DX(9 個グルーピング)固有周波数

10 Hz バイブレータ型振源:IVI 社製 EnviroVibe ホールドダウンウェイト:7,409 kg 出力周波数:10-300 Hz 起振点間隔:10 m、受振点間隔:10 m 測線長:12.8 km 168 ch エンドオン展開

課題

出店断層はテクトニックインバージョンの断層であることがわかり、浅

層で分岐する断層を伴う高角逆断層であることが知られているが、大地

に分布する個々の断層が地下深部でどのように連続するか等、深部構造

に関して不明な点が多い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2010 年 事例の発生個所 岩手県胆沢市

事例の概要 中型バイブレータ型振源である EnviroVibe を用いて北上低地西縁断層

帯を横断する測線で反射法地震探査を実施した。 事例が発生した原因 大型バイブレータの使用が難しい。

事例への対応

中型バイブレータ型振源である EnviroVibe を用いてサンプリング間隔 1 msec、スイープ長 12 sec、記録長 16 sec で収録した。収録記録より、遠

いオフセットの記録も振源のエネルギーが到達していることを確認でき

た。

事例への対応結果

深度 2 km 程度までの地下構造を把握することのできる反射イベントを

捕らえた。反射面が不連続になり、東西で反射面の傾斜が異なる箇所が

認められ、この傾斜・不連続構造は天狗森-出店断層群の逆断層と推定

された。 反射法探査結果の東側で検出された断層と岩手・宮城内陸地震の余震分

布を対比すると、おおむね整合的である。

ノウハウ・判断根拠 S ランドストリーマーツールと S 波震源を用いることで、表層の大部分

が舗装されている都市域においても反射法探査が可能となり、高品質な

波形データの取得が可能となった。

参考文献 北上低地西縁断層帯における反射法探査-中型震源 EnviroVibe を用い

た探査-:物理探査学会第 124 回学術講演会論文集(2011) キーワード 反射法地震探査、中型バイブレータ型振源、EnviroVibe

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4-165

表 8-17 地表弾性波探査事例シート

整理番号 136

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 幌延沿岸域における反射法地震探査

調査の目的 高レベル放射性廃棄物の地層処分候補地選定に際して沿岸域の物理探査

手法は限られている。浅海域の弾性波探査は陸域・海域双方からのデー

タ取得を行う陸海接合反射法地震探査技術の開発を目的とする。

調査の概要 「沿岸域塩淡境界・断層評価技術高度化調査」の一環として P 波反射法

探査及び S 波浅層反射法探査を沿岸陸域で実施し、沿岸地域の地下構造

を明らかにする。

調査項目と方法

P 波反射法 震源:バイブロサイス(Y-2400) 受振器:Geophone(HGS-SM7:10 Hz) 受振点間隔 10 m、400 ch、総受振点数:855 点 発振点間隔 10 m、スイープ周波数:10~100 Hz 総発振点数:764 点

S 波反射法 震源:S 波ミニバイブ 受振器:S 波ランドストリーマー(28 Hz) 受振点間隔 1 m、96 ch 発振点間隔 2 m、スイープ周波数:10~120 Hz 発振総延長:5,050 m

課題 深度 2,000 m までの地下構造を捉えるとともに深度 500 m までの構造を

詳細に把握する。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2009 年 事例の発生個所 北海道手塩地域

事例の概要 軟弱な沖積分布地域において、深度 2,000 m までの地下構造を捉えると

共に、深度 500 m までの構造を詳細に捉える。

事例が発生した原因 深部構造探査を目的とする探査装置で同時に浅部構造を捉えようとし

た。

事例への対応 受振点・発振点間隔を密に(双方とも 10 m 間隔)にし、オフセット距離

を 2,000 m とした。

事例への対応結果

深度約 2 km 相当の勇知層規定以浅の構造が反射イベントで把握できた

が、測線中央部付近は浅部の未固結層の影響で発振記録の高周波成分が

減衰により欠落し促成東部西部に較べて分解能が劣り、反射イベントは

1,000 m 付近までしか確認できなかった。 既存の反射法断面では良くイメージングされていなかった 200 m 以浅の

地下構造についてもイメージすることができた。

ノウハウ・判断根拠 深部構造探査を目的とするバイブレータ震源による反射法調査において

も受振・発振点間隔を密にして測定することで深度 200 m 以浅の明瞭な

イメージングが可能となる。

参考文献 幌延沿岸域における反射法地震探査:物理探査学会第 122 回学術講演会

論文集(2010) キーワード 反射法地震探査

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4-166

表 8-18 地表弾性波探査事例シート

整理番号 137

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 幌延沿岸域を対象とした反射法弾性波探査の測線計画

調査の目的 -

調査の概要 ISIS の開発に当り、実際の地質環境調査・評価における経験、ノウハウや判断

根拠などを知識として分析・整理し、整備を進めている。

調査項目と方法 反射法地震探査 震源:バイブロサイス(Y-2400)

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 沿岸域プロジェクトにおいて、地質構造と地下水の水質の三次元分布の推定に対

して有効な調査技術として反射法地震探査、電磁探査を選定し、測線配置などの

技術的仕様を検討する。 事例が発生した原因 幌延と瑞浪の研究施設計画で設定した探査測線に較べて長大

事例への対応

幌延町の沿岸域において産総研が実施する陸域の反射法地震探査および電磁探査

に対して従来の方法に加えて以下に示す手法を適用し、探査測線立案の計画を試

みた。 ① 調査対象測線において、対象となる地質構造を把握するための理想的な探査

測線の方向や位置を設定する。 ② 理想的な探査測線に基づき、設定可能と考えられる全ての探査ルートを抽出

する。 ③ 土地利用状況などを考慮し、抽出した探査ルートを複数区間に分割し、区間

毎に技術的、社会的、経済的な側面から、探査を実施する際のメリット、デ

メリットを整理する。 ④ 整理した結果に基づき、区間毎のもっとも現実的かつ合理的な探査ルートを

選択・接続することにより1つの探査測線を決定する。

事例への 対応結果

合理的な探査測線計画を提

案することができ、従来の

探査測線設定のノウハウや

経験的知見などは沿岸域に

も適用できることを確認し

た。

ノウハウ・ 判断根拠

測線を区間毎に分けて検討・評価する手法は探査ルート選定のための検討・評

価を容易にするばかりでなく、判断根拠を明確にすることができる。

参考文献 幌延沿岸域を対象とした地質環境の調査・評価技術の整備:物理探査学会第

119 回学術講演会論文集(2008)

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4-167

整理番号 137

キーワード 反射法弾性波探査、測線計画

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4-168

表 8-19 地表弾性波探査事例シート

整理番号 138

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地表物理探査

個別調査項目 反射法弾性波探査 事例名称 海陸境界域地震探査における相反定理の実験的証明 調査の目的 -

調査の概要 陸上-海上に測線がまたがる場合に差分法シミュレーションを用いて相

反定理が成り立つデータ取得方法を考案し、フィールド実験を行い、比

較を行った。

調査項目と方法

バイブレータ:10 m 間隔に 4 台同時発震 バイブレータに対応する受振器:2 m 間隔に 9 個のセンサーからなるジ

オフォンを集群設置 エアガン:14 機大事発震でガン容量は合計 3,020m3

課題 陸上バイブレータ発震-海上ハイドロフォン受振、海上エアガン発震-

陸上ジオフォン受振、陸上ダイナマイト発震-海上ハイドロフォン受振

の記録を比較 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2011 年 事例の発生個所 -

事例の概要 陸域・海域で異なる振源・受振器を相互に受振し、 小位相変換するこ

とで、波形が一致することを確認する。

事例が発生した原因 陸域の測定と海域の測定では、探査システムが全く異なり、発震源、受

振器タイプの違いがある。

事例への対応

バイブレータ発震記録はスイープ波形との相互相関を取り、ゼロ位相ウ

ェーブレットによる記録に変換した後、スイープ波形の自己相関関数を

振源 波形として 小位相変換を施した。同様にエアガン発震記録に対

しても波動理論によって求めた振源波形を用いて 小位相変換を施し

た。

事例への対応結果

陸上バイブレータ発震→海上ハイドロフォン受振記録と海上エアガン発

震→陸上ジオフォン受振記録を比較し、両者は良く一致することを確認

した。次に陸上ダイナマイト発震→海上ハイドロフォン受振記録と海上

エアガン発震→陸上ジオフォン受振記録を比較した。この両記録に関し

ても波形は良く一致することを確認した。以上より本実験で用いたデー

タ取得方法において相反定理が成り立つことが証明された。

ノウハウ・判断根拠

振源波形が既知であるバイブレータとエアガンの記録に 小位相変換を

施せば、バイブレータ、エアガン及びダイナマイト等の異種振源の種別

に依存しない共通発震点記録及び受振点記録の構築が、海陸横断調査に

おいて可能となる。

参考文献 海陸境界域地震探査における相反定理の実験的証明:物理探査学会第

124 回学術講演会論文集(2011) キーワード 反射法弾性波探査

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4-169

表 9-1 ボーリング調査事例シート

整理番号 139

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-15 における VSP 探査の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要 実施方法:マルチオフセット VSP 探査 実施点数:地表~孔底(測定間隔 4m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、VSP 探査

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表 9-2 ボーリング調査事例シート

整理番号 140

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-1 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~288.0m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤーラ

イン工法 ・第1段拡孔:0.0~288.0m ノンコア掘削 ・第2段階掘削:288.0~308.5m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤー

ライン工法 ・第3段階掘削:308.5~503.7m オールコア/NQφ77mm ワイヤーラ

イン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-171

表 9-3 ボーリング調査事例シート

整理番号 141

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-1 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要 ・第1段階掘削・拡孔:0.0~288.0m、114.3mm ケーシングパイプ ・以深裸坑仕上げ?

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-4 ボーリング調査事例シート

整理番号 142

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-1 における地質状況の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要

・以下のような記載があり、掘削は困難であったことが伺える。 - DH-1 孔に分布する花崗岩は、月吉断層の延長であると考えられる破

砕帯の影響を被り、破砕が進み粘土化している。 - ボーリングコアは細切れ状のものが多く採取された。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、地質状況

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表 9-5 ボーリング調査事例シート

整理番号 143

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-1 における岩石固化剤(ウレタン)による保孔試験 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要 ・深度 490.0~503.7m において、孔壁の保護を目的とした試験を実施し

た。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・ウレタン(トンネル掘削の際の、崩れ易い岩盤の補強剤)注入による

適用試験を実施した。

事例への対応結果 ・ウレタンの注入には成功したが、効果については未確認。 ・注入装置の先端部(パッカー部分)が試験孔に抑留された。

ノウハウ・判断根拠 ・ウレタン注入によるボーリング孔の保孔は困難であると判断された。

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、岩石固化剤、保孔

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表 9-6 ボーリング調査事例シート

整理番号 144

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-1 における岩石固化剤(ウレタン)による保孔試験 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要 ・深度 288.0~300.0m において、孔壁の保護を目的とした試験を実施し

た。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・第 1 回試験(深度 490.0~503.7m)で孔内に抑留されたパッカー部を

回収後、それよりも浅部で試験を実施。

事例への対応結果 ・ウレタンの注入には成功したが、ウレタンが岩盤に浸透する前に粒

状・固化してしまった。 ノウハウ・判断根拠 ・ウレタン注入によるボーリング孔の保孔は困難であると判断された。

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、岩石固化剤、保孔

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表 9-7 ボーリング調査事例シート

整理番号 145

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-2 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5 年度 事例の発生個所 DH-2

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~11.7m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤーラ

イン工法→拡孔 ・第2段階掘削:11.7~171.9m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤー

ライン工法→拡孔 ・第3段階掘削:171.95~501.0m オールコア/HQφ100.0mm ワイ

ヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-007 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-176

表 9-8 ボーリング調査事例シート

整理番号 146

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-2 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5 年度 事例の発生個所 DH-2

事例の概要 ・第1段階掘削・拡孔:0.0~11.7m 165.0 ケーシングパイプ ・第2段階掘削・拡孔:0.0~171.9m 127.0 ケーシングパイプ ・以深裸坑仕上げ?

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-007 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-9 ボーリング調査事例シート

整理番号 147

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-3 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5~6 年度 事例の発生個所 DH-3

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~3.0m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤーラ

イン工法→拡孔 ・第2段階掘削:3.0~1011.4m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤー

ライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-3 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-178

表 9-10 ボーリング調査事例シート

整理番号 148

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-3 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5~6 年度 事例の発生個所 DH-3

事例の概要 ・第1段階掘削・拡孔:0.0~3.0m 190mm ケーシングパイプ ・以深裸坑仕上げ?

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-3 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-11 ボーリング調査事例シート

整理番号 149

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-4 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~7.8m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤーラ

イン工法→拡孔 ・第2段階掘削:7.8~505.0m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤー

ライン工法 ・第3段階掘削:505.0~550.5m オールコア/HQφ100.0mm ワイヤ

ーライン工法 ・505.0mまでは請負業者が施工。 ・505.0m以深は動燃事業団直営班で追加掘削を実施。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-180

表 9-12 ボーリング調査事例シート

整理番号 150

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-4 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4

事例の概要 ・第1段階掘削:0.0~7.8m 114.3mm ケーシングパイプ ・以深裸坑仕上げ?

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-13 ボーリング調査事例シート

整理番号 151

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-4 における岩石固化剤による保孔 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4 事例の概要 ・0~7.8m の口元ケーシングを固定するため、ウレタンを注入した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、保孔、岩石固化剤

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4-182

表 9-14 ボーリング調査事例シート

整理番号 152

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-4 における掘削パイプの切断事故 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4

事例の概要 ・505.0m 以深の第 2 段階掘削(HQ ワイヤーライン掘削(孔径 100

))において、550.5m 掘削時点で掘削パイプの切断事故が発生し

た。 事例が発生した原因 ・不明

事例への対応 ・掘削パイプの回収作業の実施 事例への対応結果 ・一部を回収したが、534.6~550.5mに掘削パイプが残留している。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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4-183

表 9-15 ボーリング調査事例シート

整理番号 153

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-5 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~5.02m ノンコア/φ550mm オーガー掘削、

5.02~31.49m ノンコア/φ296mm ダウンザホールハンマー掘削 ・第2-1段階掘削:31.49~409.20m オールコア/HQ-WLφ96.065mm

(コア径 63.5mm)ワイヤーライン工法 ・第2 - 2段階掘削: 409.20 ~ 424.00m オールコア /HQ-WL φ

96.065mm(コア径 63.5mm)ワイヤーライン工法 ・第3段階掘削:424.00~502.30m オールコア/NQ-WLφ75.69mmワイヤーライン工法

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-184

表 9-16 ボーリング調査事例シート

整理番号 154

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-5 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~5.02m 14 インチケーシングパイプ(SGP) ケ

ーシングセメンチング実施、0.00~31.02m 10 インチケーシング

(STPG370 sch40)ケーシングセメンチング実施 ・第2段階掘削:0.0~426.20m 仮ケーシング、HQ-WL ロッド(φ

88.9×77.8mm) 仮ケーシングは掘削作業終了後揚管(すなわち、

31.02m 以深は裸坑?) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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4-185

表 9-17 ボーリング調査事例シート

整理番号 155

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-5 における掘削水の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5

事例の概要

・第2段階掘削:深度 51.0~240.0m 清水(単一の井戸水(温泉水)に蛍

光染料(エキシオン)を 1mg/l±10%濃度で混入) ・第2段階拡孔:深度 50.59~233.30m 泥水(清水に泥剤(ベントナ

イト・クニゲル V1:10%、テルポリマーH:0.2%)を混入) ・第3段階掘削:清水(単一の井戸水(温泉水)に蛍光染料(エキシオン)を

1mg/l±10%濃度で混入) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削水

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4-186

表 9-18 ボーリング調査事例シート

整理番号 156

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-5 における破砕帯への遭遇 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5 事例の概要 ・396.00m以深で破砕帯に遭遇したため掘進困難となった。

事例が発生した原因 ・破砕帯の存在 事例への対応 ・検層を実施し、孔内状況を確認

事例への対応結果 ・掘削を再開した。しかしながら、詳細は不明。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、破砕帯、検層

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4-187

表 9-19 ボーリング調査事例シート

整理番号 157

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-6 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10 年度 事例の発生個所 DH-6

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~20.60m ノンコア/φ12-1/4 インチ(311.2mm)

ダウンザホールハンマー掘削 ・ 第 2 段 階 掘 削 : 20.60 ~ 43.67m ノ ン コ ア / φ 9-5/8 イ ン チ

(224.5mm) ダウンザホールハンマー掘削 ・第3-1段階掘削:43.67~418.60m オールコア/HQ-WLφ96.065mm

(コア径 63.5mm)ワイヤーライン工法 ・第3 -2段階掘削: 418.60~ 1010.90m オールコア /HQ-WLφ

96.065mm(コア径 63.5mm)ワイヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1998):広域地下水

流動研究における試錐調査(DH-6 号孔) JNC-TJ7440-99-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-188

表 9-20 ボーリング調査事例シート

整理番号 158

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-6 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10 年度 事例の発生個所 DH-6

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~20.1m 10 インチケーシング(STPG370 sch40) ケーシングセメンチング実施

・第2段階掘削:0.00~43.65m 8 インチケーシング(SUS304 sch40)ケーシングセメンチング実施、セメンチング後、0.00~43.65m に 4 インチ仮ケーシングを挿入、孔内試験終了後、4 インチ仮

ケーシングを抜管し、4 インチ SUS ケーシングに入れ替え ・以深裸坑仕上げ?

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1998):広域地下水

流動研究における試錐調査(DH-6 号孔) JNC-TJ7440-99-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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4-189

表 9-21 ボーリング調査事例シート

整理番号 159

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9

事例の概要

・第1段階掘削(0.00~50.50m):0.0~7.50m ノンコア/331mm ダ

ウンザホールハンマー掘削、7.50~10.00m ノンコア/280mm ダウ

ンザホールハンマー掘削、10.00~50.50m ノンコア/216mm ダウ

ンザホールハンマー掘削 ・第2段階掘削:50.50~1030.00m オールコア/HQ-WLφ96.065mm

(コア径 63.5mm)ワイヤーライン工法 PQ-SDS ウエルマン拡孔シ

ステムを併用(50.50~1020.00m) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 ・PQ-SDS ウエルマン拡孔システムを使用した事例として興味深い

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-190

表 9-22 ボーリング調査事例シート

整理番号 160

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9

事例の概要

第1段階掘削 ・0.0~5.5m:12 インチケーシングパイプ(SGP) ケーシングセメンチ

ング実施 ・0.0~10.0m:9 インチケーシング(SGP) ケーシングセメンチング

実施 ・0.0~50.5m: 6 インチケーシング(SUS304-sch40) ケーシングセ

メンチング実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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4-191

表 9-23 ボーリング調査事例シート

整理番号 161

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:4.8m

事例の概要 ・当該深度において、崩壊が発生したため、セメントスラリー350 リッ

トルを孔内に注入し完全に充填した。硬化待後掘削を再開したが、

7.5m まで掘削した段階で崩壊が再発した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・深度 7.5m で掘削を中断し、5.5m までケーシングパイプ(12.5 インチ

SGP)を挿入しセメンチングを行い、口元の保護を行った。 事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-192

表 9-24 ボーリング調査事例シート

整理番号 162

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:232m、230m-238m 事例の概要 ・崩壊物を引きずった感触あり。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・崩壊防止対策。

事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-193

表 9-25 ボーリング調査事例シート

整理番号 163

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 におけるボーリングロッドが降下しない事例 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:235.4m 事例の概要 ・当該深度にてロッドが降下せず。

事例が発生した原因 ・崩壊物のためと思われる。 事例への対応 ・孔内浚渫後ロッドを降下させ、孔底まで孔内洗浄を行った。

事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ボーリングロッド、孔内浚渫

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4-194

表 9-26 ボーリング調査事例シート

整理番号 164

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:241m 事例の概要 ・約 6 リットル/min の逸水が確認された。

事例が発生した原因 ・深度 201.7m-236.7m の地層は全体的に亀裂が多く、変質部が顕著に

みられ、棒状とマサ~礫状のコアが交互にみられることから、この区

間で逸水が発生したものと考えられる。 事例への対応 ・特に対策せず。

事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-195

表 9-27 ボーリング調査事例シート

整理番号 165

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:301m 事例の概要 ・逸水の発生

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・逸水防止のため計画深度を変更した。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-196

表 9-28 ボーリング調査事例シート

整理番号 166

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:323.5m 事例の概要 ・崩壊物が接触したと思われる異常音(ロッドのショック音)が発生

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-197

表 9-29 ボーリング調査事例シート

整理番号 167

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:357m

事例の概要 ・深度 347.5m-400.4m 間のコアリング時には深度 357.0m 付近から逸水

が発生した。(深度 347.5m-357.0m 間は PQ ウエルマンで上部の逸水

部分を保護したため逸水率 0%) 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・347.5m-357.0m 間は、PQ ウエルマンで上部の逸水部分を保護した。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-198

表 9-30 ボーリング調査事例シート

整理番号 168

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:446m

事例の概要 ・深度 446.0m 付近から逸水が発生したが、PQ ウエルマン保孔により

逸水によるトラブルはなかった。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・PQ ウエルマン保孔により逸水によるトラブルはなかった。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-199

表 9-31 ボーリング調査事例シート

整理番号 169

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 におけるロッドの回転抵抗および異常音発生 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:451.4m-489.2m

事例の概要 ・掘削中の回転抵抗および異常音発生のため、コアリングとウエルマン

拡孔を計画より短いサイクルで交互に実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・コアリングとウエルマン拡孔を計画より短いサイクルで交互に実施し

た。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ロッドの回転抵抗、異常音発生

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4-200

表 9-32 ボーリング調査事例シート

整理番号 170

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における PQ ウエルマンリーマーの摩耗が激しい事例 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:507.6m 事例の概要 ・PQ ウエルマンリーマーの摩耗が激しい

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・PQ ウエルマンビットリーマーの改良型を製作。 ・しかしながら、HQ コアリングが計画深度の 550mに到達するまで製

作が間に合わないので、コアリング深度を変更した。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、リーマーの摩耗

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4-201

表 9-33 ボーリング調査事例シート

整理番号 171

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 におけるコア流出 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:614.9m-615.2m 事例の概要 ・上記深度にてコア流出した。

事例が発生した原因 ・黒雲母花崗岩が強変質し、著しく破砕されたことによる。

事例への対応 ・地質状況が安定するまで、HQ-WL 工法と PQ ウエルマン工法のサイ

クルを短く交互に行った。さらに、掘削ロッドを HQ タイプのものか

ら HTG タイプ(強化型)のものに切り替えた。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ア流出

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4-202

表 9-34 ボーリング調査事例シート

整理番号 172

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:648.5m 事例の概要 ・コアリング掘削時に抵抗音が増大し、崩壊が激しくなった。

事例が発生した原因 -

事例への対応

・対策として、PQ ウエルマンロッドで孔壁を保護し、ウエルマン拡孔

に切り替えた。 ・地質が安定するまでコアリングとウエルマン工法を計画より短いサイ

クルで交互に実施した。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-203

表 9-35 ボーリング調査事例シート

整理番号 173

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:650.8m-655.2m

事例の概要 ・送水量 95 リットル/min の約 30%にあたる 30 リットル/min 前後の増

加が確認された。

事例が発生した原因 ・逸水箇所は、礫~コア状のコアで砕けた状態であった(大規模な逸水

ゾーン)。

事例への対応 ・深度 655.2m までウエルマンによる拡孔を行い、ウエルマンロッドを

セットすることにより逸水を抑制した。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-204

表 9-36 ボーリング調査事例シート

整理番号 174

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 におけるバイブレーションの発生(孔曲がりの発生) 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:650.8m

事例の概要 ・コアリング掘削中のバイブレーションが頻繁に発生するため、ロッド

を引き揚げたところ異常な曲がりを確認した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・対策を講じる期間は、コアリングとウエルマン拡孔を同時に行う工法

を採用した。 事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、バイブレーションの発生、孔曲がり

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4-205

表 9-37 ボーリング調査事例シート

整理番号 175

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:848.7m-851.0m 事例の概要 ・深度 849.7m-851.0m 間で崩壊の兆候。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・PQ ウエルマンで保護したため、掘削は順調に推移した。

事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-206

表 9-38 ボーリング調査事例シート

整理番号 176

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-9 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 10~11 年度 事例の発生個所 DH-9 号孔:861m-865.1m 事例の概要 ・深度 861.0m-865.0m 間で崩壊の兆候。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・PQ ウエルマンで保護したため、掘削は順調に推移した。

事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(1999):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-9 号孔) JNC-TJ7440-98-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-207

表 9-39 ボーリング調査事例シート

整理番号 177

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-10 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-10

事例の概要

・第1段階掘削:0.00~5.85m ノンコア/13-3/8 インチ ケーシングビ

ット掘削 ・第2段階掘削:5.85~121.50m オールコア /HQ-3WLφ98.40mm

ワイヤーライン工法 ・第2-1段階拡孔:5.85~43.00m ノンコア/143mm パイロットビッ

ト拡孔 ・第2-2段階拡孔:43.00~121.50m ノンコア/12-1/4 インチ トリコ

ンビット ・第3 -1段階掘削: 121.50~ 259.90m オールコア /HQ-3WLφ

98.40mm ワイヤーライン工法 ・第3-1段階拡孔:121.50~259.90m ノンコア/123mm パイロット

ビット拡孔 ・第3 -2段階掘削:259.90~1012.30m オールコア /HQ-3WLφ

98.40mm ワイヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2000):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-10 号孔) JNC-TJ7440-2001-032 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-208

表 9-40 ボーリング調査事例シート

整理番号 178

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-10 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-10

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~5.85m 13-3/8 インチケーシングパイプ ケーシ

ングセメンチング実施 ・第2段階掘削:0.00~121.00m 10 インチケーシング(250A STPG

sch40)ケーシングセメンチング実施 ・第3段階掘削:0.00~181.60m 4 インチ仮ケーシング(100A

STPG sch40)挿入 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2000):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-10 号孔) JNC-TJ7440-2001-032 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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4-209

表 9-41 ボーリング調査事例シート

整理番号 179

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-10 における掘削水の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-10

事例の概要 ・第2段階掘削:深度 50.5~1030.0m 清水(単一の井戸水(温泉水)に

蛍光染料(エキシオン)を 1mg/l±10%濃度で混入) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2000):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-10 号孔) JNC-TJ7440-2001-032 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削水

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4-210

表 9-42 ボーリング調査事例シート

整理番号 180

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-11 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-11

事例の概要

・第1段階掘削:0.00~50.60m ノンコア/373mm エアハンマー掘削 ・第2-1段階掘削:50.60~243.30m オールコア/HQ-3WLφ98.40mmワイヤーライン工法

・第2-1段階拡孔:50.60~86.20m ノンコア/PQ ケーシング追い切り

(5 回) ・第2 -2段階掘削: 243.30~ 305.20m オールコア /HQ-3WLφ

98.40mm ワイヤーライン工法 ・第2-2段階拡孔:50.60~305.20m ノンコア/12-1/2 インチ トリコ

ンビット拡孔 ・第3段階掘削:305.20~1012.10m オールコア/HQ-3WLφ98.40mm

ワイヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2000):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-11 号孔) JNC-TJ7440-2001-033 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-211

表 9-43 ボーリング調査事例シート

整理番号 181

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-11 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-11

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~50.5m 14 インチケーシングパイプ(STK)

ケーシングセメンチングを実施 ・第2-1段階掘削:0.0~86.2m PQ ケーシング追い切り ・第2 -2段階掘削:0.00~304.50m 10 インチケーシングパイプ

(STPG)設置 ・第3段階掘削:0.00~181.600m 4 インチ仮ケーシング挿入、仮ケー

シングは作業終了後揚管 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2000):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-11 号孔) JNC-TJ7440-2001-033 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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4-212

表 9-44 ボーリング調査事例シート

整理番号 182

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-11 における掘削水の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-11

事例の概要 ・第2段階掘削:深度 50.5~1030.0m 清水(単一の井戸水(温泉水)に

蛍光染料(エキシオン)を 1mg/l±10%濃度で混入) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2000):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-11 号孔) JNC-TJ7440-2001-033 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削水

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表 9-45 ボーリング調査事例シート

整理番号 183

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12

事例の概要

・第1段階掘削(0.00~50.29m):0.00~6.10m ノンコア/20 インチケ

ーシング掘削、6.10~50.29m ノンコア/17-1/2 インチ トリコンビ

ット掘削 ・第2段階掘削:50.29~280.17m オールコア/HQ-3WLφ98.40mmワイヤーライン工法

・第2段階拡孔:50.29~275.72m ノンコア/12-1/4 インチ トリコン

ビット拡孔 ・第3段階掘削:280.17~510.00m オールコア/HQ-3WLφ98.40mmワイヤーライン工法

・第4段階掘削:510.00~715.82m オールコア/HQ-3WLφ98.40mmワイヤーライン工法

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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表 9-46 ボーリング調査事例シート

整理番号 184

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~6.1m 20 インチケーシング(SGP)、0.0~50.2m 14 インチケーシング(SGP)、ケーシングセメンチングを実

施 ・第2段階掘削:0.0~275.34m 10 インチケーシングパイプ(STPG)

設置、ケーシングセメンチングを実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-47 ボーリング調査事例シート

整理番号 185

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:6.30m 事例の概要 ・掘削中、トルクが上昇した。

事例が発生した原因 ・20 インチ SGP ケーシング外周が崩壊したため。

事例への対応 ・20 インチ SGP ケーシングを 6.10m まで挿入した。 ・インナーストリング方式で、フルホールセメンチングを実施した。

事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 ・孔内崩壊による掘削トラブル

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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表 9-48 ボーリング調査事例シート

整理番号 186

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 におけるコア採取率の低下 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:157.45m-168.82m 事例の概要 ・上記区間のコア採取率が著しく低下した。

事例が発生した原因 ・土岐挟炭累層は、硬質の花崗岩と未固結の基質からなり流出しやすか

ったため。 事例への対応 -

事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 ・流出しやすい地層でのコア採取率の低下

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、土岐挟炭累層、コア採取率

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表 9-49 ボーリング調査事例シート

整理番号 187

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における湧水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:185m

事例の概要 ・拡孔中 185m 付近より湧水が発生し、自然状態における湧水量が 15.4

リットル/min となった。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・196.17m でドリルロッドにストリッパーラバーを装着し、ローテーテ

ィングヘッドの側方に取り付けたバルブの開度を調整して、送水量と

回帰量をバランスさせながら掘削した。 事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 ・湧水時の掘削水循環のコントロール

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、湧水

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表 9-50 ボーリング調査事例シート

整理番号 188

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:195.6m 事例の概要 ・拡孔時、195mabh を境に掘進率が低下した。

事例が発生した原因 ・当該深度付近で孔内崩壊があったものと推定。 事例への対応 -

事例への対応結果 ・掘削を続行。 ノウハウ・判断根拠 ・掘進率低下の原因の推定

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊、掘進率

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表 9-51 ボーリング調査事例シート

整理番号 189

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における傾斜方位測定の欠測 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:200m

事例の概要 ・ロッド内部からの湧水量が 500 リットル/min に達し、シングルショッ

トを取り付けたインナーチューブの挿入ができなくなった。 事例が発生した原因 ・湧水による水圧のため。

事例への対応 ・物理検層のマルチショットで測定することとし、当該深度における傾

斜方位測定を欠測とした。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 ・別な手法への切り替え判断。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、湧水、傾斜方位測定

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表 9-52 ボーリング調査事例シート

整理番号 190

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における孔底の埋没 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:227.17m 事例の概要 ・拡孔時、当該深度よりドリルロッドの継ぎ足しが不能となった。

事例が発生した原因 ・湧水に伴う孔内崩壊による孔底の埋没のため。

事例への対応

・浚渫を繰り返し行い、孔底に堆積した粒形の大きな岩片を少しずつ砕

き細かくして回収しながら拡孔を続けた。275.12m では埋没が

17.27m に達した。抑留される危険が大きく、275.34m で第2段の拡

孔を終了した。 ・湧水防止セメンチングの実施

事例への対応結果 ・掘削の続行。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊、埋没

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表 9-53 ボーリング調査事例シート

整理番号 191

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:467.67m 事例の概要 ・470m 付近の断層は掘削直後わずかな地層の押し出しがあった。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・浚渫を実施。

事例への対応結果 ・掘削に大きな支障はなかった。 ・揚管後、崩壊物が少しずつ孔底に堆積し密度検層時には孔底の埋没が

4.5m となった。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊、埋没

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表 9-54 ボーリング調査事例シート

整理番号 192

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 におけるボーリングロッド降下不能事例 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:470.62m 事例の概要 ・機械修理のため揚管後、降下した際、470.62m で降下不能となった。

事例が発生した原因 ・断層箇所による孔内崩壊のため?

事例への対応

・断層箇所の 479.50m まで浚渫を行ったが、断層箇所を通過しても、送

水圧が異常に高く管動時の揚げ荷重も大きいことから、NQ ロッドを

降下させリバースサーキュレーションを行い、φ1~5mm の花崗岩の

粗砂状の崩壊物を回収した。 事例への対応結果 ・掘削の続行 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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表 9-55 ボーリング調査事例シート

整理番号 193

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-12 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 11 年度 事例の発生個所 DH-12 号孔:537.02m

事例の概要

・ほぼ崩壊は安定したものと判断して、特に崩壊対策は実施せず、掘削

を再開したところ、537.02m でインナーチューブ回収のためコア切り

後、ロッド引き上げ中循環が不能となり、ビット位置 534.22m で抑留

された。 事例が発生した原因 ・孔内崩壊のため?

事例への対応 ・送水圧力をかけながら管動を繰り返し行うことで離脱に成功。 ・これ以上崩壊対策を行わずに、掘削を継続することは困難と判断し、

崩壊防止セメンチングを行った。 事例への対応結果 ・掘削の続行 ノウハウ・判断根拠 ・崩壊対策の判断

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-12 号孔) JNC-TJ7440-2001-012 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊、抑留

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表 9-56 ボーリング調査事例シート

整理番号 194

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-13 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 DH-13

事例の概要

・第1段階掘削:0.00~10.50m ノンコア/φ3800mm エアハンマー

掘削、ケーシング挿入後、セメンチングを実施 ・第2段階掘削:10.50~107.05m オールコア/HQ-3WLφ98.40mmワイヤーライン工法

・第2段階拡孔:10.50~105.05m ノンコア/12-1/4 インチ トリコン

ビット拡孔 ・第3段階掘削:107.05~444.95m オールコア/HQ-3WLφ98.40mmワイヤーライン工法

・第4段階掘削: 444.95 ~ 1015.05m オールコア /HQ-3WL φ

98.40mm ワイヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-13 号孔) JNC-TJ7440-2001-013 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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表 9-57 ボーリング調査事例シート

整理番号 195

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-13 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 DH-13

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~10.50m 14 インチケーシング(SGP)、0.0~10.35m 4 インチ 仮ケーシング(STPG Sch40)

・第2段階掘削:0.00~105.00m 10 インチケーシングパイプ(STPGSch40)設置、ケーシングセメンチングを実施

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-13 号孔) JNC-TJ7440-2001-013 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-58 ボーリング調査事例シート

整理番号 196

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-13 における掘削水の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 DH-13

事例の概要 ・第2、3段階掘削:深度 50.5~1030.0m 清水(単一の井戸水(温泉

水)に蛍光染料(エキシオン)を 1mg/l±10%濃度で混入) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-13 号孔) JNC-TJ7440-2001-013 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削水

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4-227

表 9-59 ボーリング調査事例シート

整理番号 197

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-13 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 DH-13 事例の概要 ・深度 20.55m で 40ℓ/min の逸水が発生した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・水理試験実施後、逸水防止セメンチングを実施。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-13 号孔) JNC-TJ7440-2001-013 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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表 9-60 ボーリング調査事例シート

整理番号 198

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-13 における逸水 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 DH-13 事例の概要 ・深度 73.05mで 18ℓ/min の逸水が発生した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・水理試験実施後、逸水防止セメンチングを実施。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-13 号孔) JNC-TJ7440-2001-013 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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表 9-61 ボーリング調査事例シート

整理番号 199

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-13 における孔内崩壊 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 DH-13

事例の概要 ・深度 92.5m で断層が出現し、孔壁の崩壊が激しくなった(約 100mま

で崩壊物で孔内が埋まった)。 事例が発生した原因 ・断層破砕帯による崩壊。

事例への対応

・深度 107.5mまで第2段階の掘削を終了し、拡孔後ケーシングで補孔

することとした。 ・拡孔に際には、粗粒なスライムで孔内が埋まったため、セメントで孔

壁補強を行った。 ・深度 100.50mまで HQ ロッドを挿入し、断層以深の検層を行った。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構 東濃地科学センター(2001):広域地下水流

動研究における試錐調査(DH-13 号孔) JNC-TJ7440-2001-013 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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表 9-62 ボーリング調査事例シート

整理番号 200

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-14 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 DH-14

事例の概要

・第1段階掘削:0.00~37.00m ノンコア/φ26 インチ トリコンビッ

ト掘削、37.00~51.00m ノンコア/φ22 インチ トリコンビット掘削

・第2段階掘削: 51.00~ 110.00m オールコア /CHD-134(孔径

134.5mm、コア径 83mm) ワイヤーライン工法 ・第2段階拡孔:50.28~102.50m ノンコア/17-1/2 インチ トリコン

ビット拡孔 ・第3段階掘削:102.50~173.00m オールコア /CHD-134(孔径

134.5mm、コア径 83mm) ワイヤーライン工法 ・第4段階掘削: 173.00 ~ 1012.38mm オールコア /HQ-3WL φ

98.40mm ワイヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル機構 東濃地科学センター(2005):広域地下水流動研

究におけるボーリング調査(DH-14 号孔)結果速報 JNC TN74302005-001

キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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4-231

表 9-63 ボーリング調査事例シート

整理番号 201

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-14 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 DH-14

事例の概要 ・第1段階掘削:0.0~2.60m 28 インチケーシング、0.0~34.69m

24 インチケーシング 0.0~50.28m 20 インチケーシング ・第2段階掘削:0.00~102.43m 14 インチケーシング

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル機構 東濃地科学センター(2005):広域地下水流動研

究におけるボーリング調査(DH-14 号孔)結果速報 JNC TN74302005-001

キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-64 ボーリング調査事例シート

整理番号 202

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-14 における掘削水の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 DH-14

事例の概要

・第1~4段階・掘削:清水(単一の井戸水(温泉水)に蛍光染料(ウラニ

ン)を 0.2mg/ℓの濃度で混入したもの) ・第1、2段階・拡孔:泥水(単一の井戸水(温泉水)に蛍光染料(ウラニ

ン)を 0.2mg/ℓ の濃度で混入した清水に泥剤(ベントナイト:クニゲル

V1 を 10%、テルポリマーH を 0.2%)を混入したものを使用。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル機構 東濃地科学センター(2005):広域地下水流動研

究におけるボーリング調査(DH-14 号孔)結果速報 JNC TN74302005-001

キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削水

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表 9-65 ボーリング調査事例シート

整理番号 203

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-15 における掘削工法の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~6.5m ノンコア掘削/φ600mm エアハンマー掘

削、6.5~51.00m ノンコア掘削/φ530mm エアハンマー掘削 ・第2段階掘削・拡孔:51.0~240.0m オールコア掘削/φ134.5mm

(コア径 83 ) CHD-134 ワイヤーライン工法、50.59~233.3m拡孔/17-1/2 インチ(444.5mm) トリコンビット掘削

・第3段階掘削:240.0~1012m オールコア掘削/φ134.5mm(コア径

83mm) CHD-134 ワイヤーライン工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削工法

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表 9-66 ボーリング調査事例シート

整理番号 204

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-15 におけるケーシングプログラムの実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要

・第1段階掘削:0.0~50.59m 20 インチ SGP ケーシングパイプ(外

径φ508.0mm、内径φ492.2mm)ケーシングセメンチング実施し、

その後 6 インチ仮ケーシングを設置 ・第2段階掘削・拡孔:0.0~233.0m 14 インチ STPG ケーシングパイ

プ(外径φ355.6mm、内径φ344.5mm)フルホールセメンチング実

施し、その後 6 インチ仮ケーシングを設置 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、ケーシングプログラム

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表 9-67 ボーリング調査事例シート

整理番号 205

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-15 における掘削水の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要

・第2段階掘削:深度 51.0~240.0m 清水(単一の井戸水(温泉水)に蛍

光染料(エキシオン)を 1mg/l±10%濃度で混入) ・第2段階拡孔:深度 50.59~233.30m 泥水(清水に泥剤(ベントナ

イト・クニゲル V1:10%、テルポリマーH:0.2%)を混入) ・第3段階掘削:清水(単一の井戸水(温泉水)に蛍光染料(エキシオン)を

1mg/l±10%濃度で混入 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、掘削水

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表 9-68 ボーリング調査事例シート

整理番号 206

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-15 におけるコア流出 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15 事例の概要 ・明世・本郷および土岐狭炭層規定礫岩部でのコア流出が発生した。

事例が発生した原因 ・基質が軟質な礫岩部であったため。

事例への対応

・掘進長 50cm 以内を目安とし、ポンプ圧の上昇が認められた時は速や

かにコアを回収した。 ・硬軟に合わせたビット荷重・回転数の調整を行った。 ・コアロス対策用資機材(ビット・コアリフター)の導入。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 ・掘削技術者の経験による。

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、コア流出

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表 9-69 ボーリング調査事例シート

整理番号 207

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 DH-15 における仮ケーシングのトラブル 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要 ・422m 付近掘削中、6 仮インチケーシングパイプ(L=234.72m、下端

深度 233.30m)のネジが緩んだ。

事例が発生した原因 ・ロッドの回転によるバイブレーションで、仮ケーシングへ接触・打撃

が発生し、仮ケーシングの磨耗とネジ部の緩みを発生させたと考えら

れる。

事例への対応

・センタライザーの増設 ・ネジ部の固定を補強鉄板による溶接固定化 ・ケーシングトラブル事例から判断した経過掘削時間に従ってケーシン

グを回収し、ケーシングを点検・補強 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 ・掘削技術者の経験による。

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、仮ケーシング

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表 9-70 ボーリング調査事例シート

整理番号 208

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における挿入不能トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・14-3/4"径で 10.20mabh までの掘削終了後、14"SGP ケーシングを挿

入できない状況となった。8.70mabh で停管。

事例が発生した原因

・掘削孔径 14-3/4"(374.65mm)に対し、14"SGP ケーシングの外径が

355.6mm と片側 9.5mm 程度の狭さであるため、多少の孔曲がりある

いは礫等の存在が挿入の妨げになった。 ・14-3/4"孔掘削中には、8.0mabh 付近から砂層となり掘進率が上昇した

が、そこから 14-3/4"掘削編成(延長 6.93m)の重量で多少傾斜が落ち

た。 ・斜孔のためパイプが孔壁の下部に沿って降下し、挿入しづらい。 ・清水掘削であるため、礫岩などの孔の保持ができないこと、また潤滑

性が無いために挿入が円滑にできない状況であった。

事例への対応

・14-3/4"掘削編成のスタビライザーブレードの上下にコンポジットを肉

盛し、孔底 10.20mabh まで浚渫。 ・肉厚の 14"圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG パイプ、全長 3.825m)

+120.7WR の編成で、7.60~10.20mabh まで循環・回転しながら孔内

修正し、14"ケーシングを 8.89mabh まで降下、さらに循環しながら

チェーントングで回転させて 9.02mabh まで降下した。 ・14"SGP フロートシュー先のセメント部を削り、シュー先端にコンポ

ジット加工して、循環・回転して 9.89mabh まで挿入し、NQ ロッド

を使用したインナーストリングス方式によるフルホールセメンチング

を行った。 事例への対応結果 ・掘削の継続 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、挿入不能

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表 9-71 ボーリング調査事例シート

整理番号 209

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における引き揚げ不能トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・PQ 孔(134.47mabh)を 12-1/4"径に拡掘する作業終了後、拡掘の編

成を揚管できない状況になった

事例が発生した原因

・拡掘編成は 12-1/4"HOP、12-1/4"スタビライザー、8"ドリルカラー、

12-1/4"スタビライザー、8"ドリルカラー、6-1/4"ドリルカラー、

120.7mmWR により組立てられ、孔の中心に沿うかたちで位置してい

るが、12-1/4"スタビライザーが孔壁の崩壊に伴い孔径が大きくなって

いる部分にせり込む形となった。 ・ 上部スタビライザーのうち、傾斜孔の下部孔壁部に位置する羽根の

上端に砂・礫が沈積してクサビ状になっている。

事例への対応

・拡掘編成揚管中、87mabh 付近で揚管できない状況となり、引張荷重

500~1500kg、回転 30rpm、送水量 800ℓ/分で 12-1/4"スタビライザー

にて回転切り揚げを行った。切り揚げ中には、途中 大 14t にて引っ

張りを行ったが揚管できなかった。 ・14"ケーシングシューの状況、並びにスタビライザーブレード上部のザ

クの状況等確認するために、直径 48mm のボアホールテレビによる計

測を実施したが、孔内水の濁り及び光源不足により状況把握ができな

かった。これにより回転切り揚げ方式による拡掘編成の回収作業が不

可能と判断し、10"STPG パイプシュー(先端コンポジット加工)

+10"STPG パイプ+PW ケーシングを、拡掘編成上部の 120.7mm ウエ

ルロッドに被せる形で降下し 10"パイプ内に拡掘編成を抱え込みなが

ら共揚げする方法で回収作業を行った。

事例への対応結果 ・12-1/4"拡掘編成を引き揚げ、10"STPG+PW ケーシングの編成を被せ

たまま、28t で共揚げ強引し、全拡掘編成を回収した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、揚管

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4-240

表 9-72 ボーリング調査事例シート

整理番号 210

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における逸水 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・315.4~316.10mabh 間を主とした透水性割れ目からの逸水(15ℓ/分)

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・ 掘 削 深 度 297mabh 以 深 を パ ッ カ ー で 閉 塞 し 、 297 ~ 孔 底

322.00mabh(区間 25m)間に対し LCM を注入した。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・逸水対策用材料は、当初はセメントが検討されたが、地下水に与える

影響を懸念し、影響の少ないセルロース系マッドシール P(パルプの

繊維素)及びテルストップ P(綿実の絞り滓、粒状/粉状)の 2 種類の

LCM を使用した。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-241

表 9-73 ボーリング調査事例シート

整理番号 211

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における逸水 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・PQ 掘削を実施中に 323.30mabh 付近で送水量 100ℓ/分で 13~17ℓ/分

の逸水が発生した。その後も 4~5ℓ/分程度の逸水続いた。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・逸水が発生し後も 4~5ℓ/分程度の逸水続いたため、297.00mabh 以深

をパッカーで閉塞し、338.13mabh で 12~13ℓ/分で揚水作業を行っ

た。その後 297.00~孔底 338.13mabh(区間 41.13m)間に対し LCM を

注入した。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・逸水対策用材料は、当初はセメントが検討されたが、地下水に与える

影響を懸念し、影響の少ないセルロース系マッドシール P(パルプの

繊維素)及びテルストップ P(綿実の絞り滓、粒状/粉状)の 2 種類の

LCM を使用した。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-242

表 9-74 ボーリング調査事例シート

整理番号 212

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における逸水 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・585.50mabh 掘削中約 20ℓ/分の逸水が発生し、その後も逸水が継続し

た。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・月吉断層下盤の被圧水が断層上盤の逸水素への侵入するのを防止する

ために逸水対策を行った。パッカーを 579.70mabh に設置し、孔底

673.26mabh(区間 93.26m)までの間に対し LCM を注入した。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・逸水対策用材料は、当初はセメントが検討されたが、地下水に与える

影響を懸念し、影響の少ないセルロース系マッドシール P(パルプの

繊維素)及びテルストップ P(綿実の絞り滓、粒状/粉状)の 2 種類の

LCM を使用した。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-243

表 9-75 ボーリング調査事例シート

整理番号 213

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における遺留トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要

・186.27mabh までの掘削後、ビット点検のため PQ ロッドを揚管し、

点検のために併せて PW 仮ケーシングも揚管した。点検後、PW 仮ケ

ーシング降管中に 上部のセントラライザー(長さ 0.5m)の羽根 6 枚

のうち 1 枚が欠けているのを発見。孔内に落下したものと考え、回収

を試みた。

事例が発生した原因 ・セントラライザーの溶接部の強度不足。孔内に入れる前に脱落してい

た可能性もあり。 ・羽根が管体に全溶接されていなかった。

事例への対応

・BQ ロッド(長さ約 1m)も先端に五角形の平型の磁石を取り付け、ワ

イヤラインで降下し、磁石の向きを替えながら計 3 回回収を試みたが

回収できなかった。 ・羽根は鉄製であり、10"ケーシングは非磁性パイプのため、フロートシ

ュー上部で方位測定を実施したが変化はなかった。 ・NQ ロッド先端に五角形の磁石を取り付け、フロートシュー上部でま

で下降、パイプレンチで回転させて回収を行うが回収できなかった。

事例への対応結果 ・数回にわたる羽根の回収を試みたが回収できないことから、孔内への

脱落がないと判断し、PQ 掘削を再開した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、遺留

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4-244

表 9-76 ボーリング調査事例シート

整理番号 214

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における遺留トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目 と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地質層序

を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学的および

地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定される。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・488.88mabh を掘削中に PQ ロッドが切断し、遺留するトラブルが発生した。

切断箇所は 304.76mabh であった。また 350mabh 付近及び 477mabh 付近で

発生した孔壁の崩壊と重なった。

事例が発生 した原因

・孔壁の崩壊により、崩壊物が沈積スタックして、ロッドが抑圧状態となり、過

大な力が働いた。また、切断箇所付近に、孔径拡大現象(孔壁が削られて孔径

が大きくなる)が生じてロッドが湾曲回転を生じた。この 2 点が重なってねじ

れモーメントが も強く働く深度でロッドの も弱い部分(ネジ部)が折損し

たと考えられる。 ・タップの遺留:材料材質の問題(焼き入れによる組織変化)のほか、タップの

ウォーターウェー部の真鍮ロウ付けが障害となり、タッピング時に遺留ロッド

への食い込みが悪かったことが考えられ、地上で大きな回転トルクを掛けたこ

とがタップネジ部の切断に至った。

事例への対応

・切断後直ちにタップによるロッド強引( 大 26ton)を行ったが回収不能だっ

た。孔内で数カ所崩壊が発生し一度に回収できないと判断し、ロッドカッター

により、ロッドを切断して回収可能な深度より回収することとし、切断及びイ

ンサイドタップによる回収を繰り返し行い、363.10mabh までロッドを回収し

た時点で崩壊対策セメンチングを行った。セメンチングはボトムプラグ、アッ

パープラグを用いた。NQ ロッドを通してセメンチングを実施。回収されたセ

メントコアから崩壊層に地下水の対流が見られたため合計 3 回実施した。 ・PQ ロッド頭部 363.10mabh でインサイドタップによる採場作業中にロッドを

強引しタップが外れたと考えた時点で揚管したところ、PQ インサイドタップ

の上部ボックスネジが切断し、遺留ロッドの頭部に食い込んだまま遺留した。

インサイドタップの回収は下部に引掛け部をつけた偏芯ロッド(タップ回収

器)にて 16t で強引し、タップを遺留ロッドから離脱し、AQ インナーヘッド

によりタップを回収。 事例への対応結果 -

ノウハウ・ 判断根拠

タップの接続ネジをより強度のある 3-1/2"IF ネジとし、また、真鍮ロウ付けの高

さをタップの刃の中間程度以上にしないことにした。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-4 号

孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、遺留

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4-245

表 9-77 ボーリング調査事例シート

整理番号 215

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・121.25mabh を PQ-WL コアバーレルで掘削中、ステンレス製 OT の

アダプターカップリング接続側のボックスネジ部が切断した。

事例が発生した原因

・アダプターカップリングが鉄材であるのに対し OT がステンレス材で

あり、各材質の強度の違いからネジの強度のバランスが崩れた。 ・掘削時の座屈、バイブレーションによる繰り返し応力により、OT の

ボックスネジ部の金属疲労に至った。

事例への対応

・オーバーショットにて IT を回収し、次に PQ インサイドタップにてア

ウターチューブ(OT)を回収した。 ・孔内ツールスに組み立て上、ステンレス材製品の外径、内径を変えて

の強度アップすることができないため、傷みやすいステンレス OT の

ボックスネジ部の交換できる構造とした。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-246

表 9-78 ボーリング調査事例シート

整理番号 216

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・

事例が発生した原因

・アダプターカップリングが鉄材であるのに対し OT がステンレス材で

あり、各材質の強度の違いからネジの強度のバランスが崩れた。 ・掘削時の座屈、バイブレーションによる繰り返し応力により、OT の

ボックスネジ部の金属疲労に至った。

事例への対応

・オーバーショットにて IT を回収し、次に PQ インサイドタップにてア

ウターチューブ(OT)を回収した。 孔内ツールスに組み立て上、ステンレス材製品の外径、内径を変えての

強度アップすることができないため、傷みやすいステンレス OT のボ

ックスネジ部の交換できる構造とした。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-247

表 9-79 ボーリング調査事例シート

整理番号 217

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・125mm に拡堀後揚管時 99.00mabh でカップリング下 PIN ネジ切

断、 289.71mabh で 125HOP の PIN ネジ切断。

事例が発生した原因

・試錐機の発生トルクによる単純ネジ切り力だけによるものでなく、曲

げモーメントが掛かり、ロッド全体に掛かる引っ張り・圧縮の繰り返

し荷重による疲労破壊が考えられる。また曲げモーメントの発生要因

は、孔の曲りによるもの、及び孔径の拡大による湾曲たわみ回転によ

るものと考えられる。 ・BOT が故障した際には、ロッドの揚降管をパイプレンチで行った。こ

のため、規定の締め付けトルク(399kgf-m)まで掛けられなかったこ

と、ネジ締め・戻しの際、管体・カップリング部に偏った無理な力が

加わり、目視では分からない変形をおこしそれがネジ切断を誘発し

た。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-248

表 9-80 ボーリング調査事例シート

整理番号 218

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・360.58mabh 掘削中、251.26mabh でカップリング下 PIN ネジ切断。

事例が発生した原因

・試錐機の発生トルクによる単純ネジ切り力だけによるものでなく、曲

げモーメントが掛かり、ロッド全体に掛かる引っ張り・圧縮の繰り返

し荷重による疲労破壊が考えられる。また曲げモーメントの発生要因

は、孔の曲りによるもの、及び孔径の拡大による湾曲たわみ回転によ

るものと考えられる。 ・BOT が故障した際には、ロッドの揚降管をパイプレンチで行った。こ

のため、規定の締め付けトルク(399kgf-m)まで掛けられなかったこ

と、ネジ締め・戻しの際、管体・カップリング部に偏った無理な力が

加わり、目視では分からない変形をおこしそれがネジ切断を誘発し

た。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-249

表 9-81 ボーリング調査事例シート

整理番号 219

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・409.29mabh 掘削中、236.72mabh でカップリング下 PIN ネジ切断。

事例が発生した原因

・試錐機の発生トルクによる単純ネジ切り力だけによるものでなく、曲

げモーメントが掛かり、ロッド全体に掛かる引っ張り・圧縮の繰り返

し荷重による疲労破壊が考えられる。また曲げモーメントの発生要因

は、孔の曲りによるもの、及び孔径の拡大による湾曲たわみ回転によ

るものと考えられる。 ・BOT が故障した際には、ロッドの揚降管をパイプレンチで行った。こ

のため、規定の締め付けトルク(399kgf-m)まで掛けられなかったこ

と、ネジ締め・戻しの際、管体・カップリング部に偏った無理な力が

加わり、目視では分からない変形をおこしそれがネジ切断を誘発し

た。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-250

表 9-82 ボーリング調査事例シート

整理番号 220

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・462.54mabh 揚管中、269.42mabh で PIN ネジ亀裂、425.47mabhでロッドリーマーBOX ネジ亀裂。

事例が発生した原因

・試錐機の発生トルクによる単純ネジ切り力だけによるものでなく、曲

げモーメントが掛かり、ロッド全体に掛かる引っ張り・圧縮の繰り返

し荷重による疲労破壊が考えられる。また曲げモーメントの発生要因

は、孔の曲りによるもの、及び孔径の拡大による湾曲たわみ回転によ

るものと考えられる。 ・BOT が故障した際には、ロッドの揚降管をパイプレンチで行った。こ

のため、規定の締め付けトルク(399kgf-m)まで掛けられなかったこ

と、ネジ締め・戻しの際、管体・カップリング部に偏った無理な力が

加わり、目視では分からない変形をおこしそれがネジ切断を誘発し

た。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-251

表 9-83 ボーリング調査事例シート

整理番号 221

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・4467.63mabh 揚管中、253.57mabh でカップリング下 PIN ネジ亀

裂。

事例が発生した原因

・試錐機の発生トルクによる単純ネジ切り力だけによるものでなく、曲

げモーメントが掛かり、ロッド全体に掛かる引っ張り・圧縮の繰り返

し荷重による疲労破壊が考えられる。また曲げモーメントの発生要因

は、孔の曲りによるもの、及び孔径の拡大による湾曲たわみ回転によ

るものと考えられる。 ・BOT が故障した際には、ロッドの揚降管をパイプレンチで行った。こ

のため、規定の締め付けトルク(399kgf-m)まで掛けられなかったこ

と、ネジ締め・戻しの際、管体・カップリング部に偏った無理な力が

加わり、目視では分からない変形をおこしそれがネジ切断を誘発し

た。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-252

表 9-84 ボーリング調査事例シート

整理番号 222

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・613.37mabh 掘削中、260.80mabh で PIN ネジ切断。

事例が発生した原因

・試錐機の発生トルクによる単純ネジ切り力だけによるものでなく、曲

げモーメントが掛かり、ロッド全体に掛かる引っ張り・圧縮の繰り返

し荷重による疲労破壊が考えられる。また曲げモーメントの発生要因

は、孔の曲りによるもの、及び孔径の拡大による湾曲たわみ回転によ

るものと考えられる。 ・BOT が故障した際には、ロッドの揚降管をパイプレンチで行った。こ

のため、規定の締め付けトルク(399kgf-m)まで掛けられなかったこ

と、ネジ締め・戻しの際、管体・カップリング部に偏った無理な力が

加わり、目視では分からない変形をおこしそれがネジ切断を誘発し

た。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-253

表 9-85 ボーリング調査事例シート

整理番号 223

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・713.13mabh 掘削中にポンプ圧力が低下したため揚管中揚管したとこ

ろ 76.56mabh で PIN ネジに亀裂を確認。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・ロッド交換 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ロッド切断トラブルを未然に防止するため、ポンプ圧力の変化に細心

の注意を払い掘削を進めた。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-254

表 9-86 ボーリング調査事例シート

整理番号 224

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・744.40mabh 掘削終了後 WL において IT が揚がらず、WL ケーブルを

切断しロッドを揚管したところ PQ ロッドのネジ部が切断。(遺留頭部

658.83mabh)

事例が発生した原因 ・PQ ロッド、PIN ネジのジョイントから破断していた。多回数の曲げ

応力、金属疲労によるものと推定される。 事例への対応 ・PQ インサイドタップを降下し、14t で強引して回収。

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ロッド切断トラブルを未然に防止するため、ポンプ圧力の変化に細心

の注意を払い掘削を進めた。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-255

表 9-87 ボーリング調査事例シート

整理番号 225

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・759.02mabh 間で掘削後のビット交換のため揚管で不良ロッドを 3 本

を発見。(493.20mabh、508.20mabh) 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・ロッド交換 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ロッド切断トラブルを未然に防止するため、ポンプ圧力の変化に細心

の注意を払い掘削を進めた。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-256

表 9-88 ボーリング調査事例シート

整理番号 226

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIU-4 における切断トラブル 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要

・779.46mabh 掘削中にポンプ圧力が低下したためロッド・ネジの点検

のため揚管し水位測定を行ったところ、3.8/分の湧水 (湧水圧力

1.2kg/cm2)が確認された。掘削中は 7.5~16ℓ/分の逸水が発生してお

り、降管時に、カップリング部 2 箇所からの漏水を確認。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・カップリング交換 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ロッド切断トラブルを未然に防止するため、ポンプ圧力の変化に細心

の注意を払い掘削を進めた。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-257

表 9-89 ボーリング調査事例シート

整理番号 227

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 切断トラブルの防止 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4

事例の概要 ・PQ ロッドの点検:切断トラブルを発生させないために使用中及び使

用予定のロッドについて目視検査及び加圧による漏水検査を実施す

る。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・孔口(地表)にある BOX ネジ部の洗浄、目視検査 ・各スタンド(ロッド 9m)を揚管時にカップリングの摩擦、損傷状況の

チェック ・1 スタンド揚管したら、ロッドを切り離して、PIN ネジ部の目視検査 ・上部 BOX ネジ部にウォータースイベルを、また下部 PIN ネジ部にプ

ラグキャップを取り付けてポンプにて加圧し、30kg/cm2 になったら

約 3~5 分圧力を保持して圧力の降下状況を把握し、PQ ロッド 3 本 6ヶ所のネジ接続部及び 3 ヶ所のカップリングの漏水状況をチェックす

る。 ・上記の手順をスタンドごとに実施し、スタンド、ジョイント及び

漏水箇所(ネジ上下)等必要事項をチェックリストに記載する。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-258

表 9-90 ボーリング調査事例シート

整理番号 228

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 切断トラブルの防止 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・ロッド編成替え

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・ロッドのネジ部に過剰なトルクが掛かる区間に新品ロッドを配置し、

掘削が進んでも同区間には常に新しいロッドを配置されるようにロッ

ドの入れ替えを実施する。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-259

表 9-91 ボーリング調査事例シート

整理番号 229

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 切断トラブルの防止 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・ロッド点検

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・ビット交換時に、ロッドの目視検査を実施し不良ロッドを交換する。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-260

表 9-92 ボーリング調査事例シート

整理番号 230

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 切断トラブルの防止 調査の目的 正馬様用地における地質環境データ取得。

調査の概要 正馬様用地において複数本のボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試

験等を実施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 12 年度 事例の発生個所 MIU-4 事例の概要 ・掘削時の送水圧力の監視

事例が発生した原因 -

事例への対応

・ロッドに切裂が発生し、漏水が始まると送水圧力が低下する。掘削中

に異常な圧力低下があった場合はロッドを揚管・点検をする。これに

より、ロッドのネジ部に亀裂が発生し、破断寸前でロッドを交換する

ことができる。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2001):正馬様用地における試錐調査(MIU-

4 号孔)、JNC-TN7400-2002-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、切断

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4-261

表 9-93 ボーリング調査事例シート

整理番号 231

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 掘削中のバイブレーションの発生 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要

・152-SDS 工法により深度 128.76mabh まで掘削した後、126.0~126.56mabh 区 間 で 逸 水 対 策 を 行 っ た 。 掘 削 再 開 後 、 深 度

133.50mabh 付近から送水圧力が不安定になりバイブレーションが発

生した。インナーツールスを引き上げた時に拡径ビットを点検したと

ころ外周を中心として以上に摩耗していた。

事例が発生した原因 ・拡孔ビットの摩擦が激しいことから拡孔装置が軸ズレし、拡孔ビット

が孔壁に干渉したため生じたと考えられる。

事例への対応 ・深度 135.17mabh まで 152-SDS 工法による掘削後、直径 152mm 水

圧ハンマーによる深度 123.021mabh から孔底付近まで拡孔した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、バイブレーション

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4-262

表 9-94 ボーリング調査事例シート

整理番号 232

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 掘削中のバイブレーションの発生 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要

・152-SDS 工法による掘削時、215.5~225.73mabh 間(逸水区間)の

水理試験後掘削を再開した。この区間の掘進能率は、0.4~0.7m/h で

あった。孔径差が小さくして、掘削能率を向上される目的で試験的

に、108mm ツールスから 112mm ツールスへ変更した。108mm ツー

ルスで掘削したコア孔を 112mm インプリグネイテッドビットでリー

ミング中、深度 221.59mabh からバイブレーションが発生し、掘削中

にライディングシューに傷が付き、O リングの破断トラブルが発生し

た。

事例が発生した原因

・花崗岩の硬さに比べツールスの剛性が小さくツールスの腰折れや、ツ

ールスの回転軸の支持にクリアランスが認められることから、その遊

びによる軸ズレが生じて、拡孔ビットが孔壁に干渉したために生じた

と考えられる。

事例への対応

・バイブレーション発生後、108mm ツールスでの掘削に切り替えた

が、その直後からバイブレーションが激しくなり、152-SDS 工法での

掘削が困難となったため、バイブレーションに強いサーフェイスビッ

トに切り替え、深度 226.14mabh まで掘削した。 ・回転軸のクリアランスの対策として外管とインナーツールスのセンタ

ライジングをおこなうためセントラライザーを取り付けて軸ブレを抑

制した。その後の鉛直掘削においてはバイブレーションを抑えること

ができた。バイブレーション及び掘削能率改善のため、ビットの適合

試験を行った。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、バイブレーション

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4-263

表 9-95 ボーリング調査事例シート

整理番号 233

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 における逸水 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要 ・深度 115.85mabh コアリング掘削中、全量逸水が発生し一時掘削を中

断し水理試験を実施し、その後逸水対策を行った。

事例が発生した原因 ・コアに逸水亀裂がある場合やリーミング・拡孔時に発生する場合があ

る。

事例への対応 ・シングルパッカーによるセメント注入は逸水層の直上にパッカーを掛

けて、セメントを注入し、逸水区間の防止を行う作業である。深度

116mabh 周辺で行った。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-264

表 9-96 ボーリング調査事例シート

整理番号 234

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 における逸水 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要 ・123.00~250.00mabh 区間で深度 225.73mabh で全量逸水が発生した

ため水理試験後、逸水対策を行った。

事例が発生した原因 ・コアに逸水亀裂がある場合やリーミング・拡孔時に発生する場合があ

る。

事例への対応

・シングルパッカーによる LCM のテルストップを用いた。注入は逸水

層の直上にパッカーを掛けて、テルストップを注入し、逸水区間の防

止を行う作業である。深度 128mabh、 158mabh、 225mabh、

266mabh、278mabh 周辺で行った。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-265

表 9-97 ボーリング調査事例シート

整理番号 235

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 における逸水 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要

・コントロール掘削、深度 250.00~ 502.84mabh で実施、深度

270.71mabh で水平亀裂により逸水量が増加したため水理試験後、逸

水対策を行う。掘削再開し掘削中、逸水が発生し、その都度逸水対策

を実施した。

事例が発生した原因 ・コアに逸水亀裂がある場合やリーミング・拡孔時に発生する場合があ

る。

事例への対応 ・ロッドを用いたテルストップを注入は、テルストップ注入・後押し水

注入・孔内洗浄・余剰テルストップの排除の手順で逸水区間の防止を

行う作業である。280mabh 以深で行った。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、逸水

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4-266

表 9-98 ボーリング調査事例シート

整理番号 236

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 における孔内崩壊

調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実施

し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学的

および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定され

る。 課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘削。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要

・深度 920~961.84mabh 付近(破砕帯)のコアには、特に多くの亀裂が見

られ、コアリング掘削中、頻繁にコア詰まりが発生した。深度 936.0~936.3mabh、 940.62~941.0mabh、 956.31~956.91mabh、 957.49~

959.0mabh 間においては、コアリングビットをボトムホールタイプのサ

ーフェイスビットやインプリグネイテッドタイプを使用したが、一部コ

ア欠損があった。深度 961.84mabh から掘削を行うべく、インナーチュ

ーブをセットし、孔底まで降管させたが、深度 930.00mabh より埋没が

有り、浚渫したがポンプ送水圧が上昇し孔底までは到達できなかった。 事例が発生 した原因

・深度 920~961.84mabh 付近では、断層破砕帯となり、特に多くの亀裂に

よる。

事例への対応

・ベーラによる崩壊物回収:崩壊物回収の回収はできなかった。引き続き

コアリングビット孔内循環による 浚渫を、深度 930.0mabh から試みた

が、約 10 のスライムを回収した。スライム排出量が多く崩壊の危険が

あるため、二重管リバースサーキュレーションによる浚渫を計画した。 ・二重管リバースサーキュレーションによる浚渫:水理試験後、深度 929~930mabh 間で二重管リバースサーキュレーションによる浚渫及び孔内

洗浄を繰り返し大粒のスライム(1~30mm 程度)は排出されたが、それ

以上の大きさのスライムは排出できず孔底部に残留した。浚渫を繰り返

しても埋没深度(930.0mabh)が変わらないことから、浚渫によるさら

なる孔壁の崩壊を進めてしまうと判断しセメンチングによる保孔対策へ

移行した。 ・崩壊防止セメンチング:セメントによる地化学環境が乱れるので、セメ

ンチングに先駆け地下水の採水を行った。崩壊区間の孔径把握のためキ

ャリパー検層を行った。崩壊区間のセメンチングは、 918.0 ~

930.0mabh、927.25~3933.48mabh、928.5~961.8mabh 間で 3 回行っ

た。掘削再開時に新たな崩壊も確認されなかった。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

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4-267

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調査

(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-268

表 9-99 ボーリング調査事例シート

整理番号 237

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 における孔内崩壊 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要

・深度 961.84mabh までのセメンチングによる保孔後も、深度

965mabh 付近から著しく粘土化され、深度 962.52mabh、深度

964.75mabh、深度 965.35mabh、深度 966.00mabh、付近のコアに

は、特に多くの亀裂が見られ、コアリング掘削中、頻繁にコア詰まり

が発生した。深度 961.84~968.82mabh 間においては、コアリングビ

ットをインプリングネイテッドタイプからボトムホールタイプのサー

フェイスビットに変更したが、一部コア破損があった。また孔内に残

留するスライム量が増加した。

事例が発生した原因 ・亀裂が多く見られコア詰まりが発生。 ・深度 961.84~968.82mabh 間においてコアの一部欠損。

事例への対応

・掘削が進むにつれて、残留スライム量が 0.3m から 2.5m へ増加した

ため、残留スライムの排出効率を向上させるため、泥水の濃度(比

重:1.03 から 1.05 へ増加、粘性:26 秒から 28 秒へ増加)を上げ

た。結果、残留スライム量が 2.5m から 1.0m に減少した。 ・深度 974.0mabh 付近より、非常にもろい断層粘土が出現し、これに

より掘削能率が低下し、残留スライム量が 1.0m から 4.0m に増加し

た。深度 979.97mabh 付近で変質の少ない亀裂の卓越した花崗岩に変

わった。さらに、深度 983.0mabh 付近から亀裂が見られず、断層破

砕帯を突破したと判断した。孔内に大量のスライムが残留した状態で

泥水掘削を導入した結果、セメンチングを行うことなく断層破砕帯を

突破することができた。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ボーリング工程が遅延し全体工程に影響が生じたため深度

968.82mabh から掘削水を清水から泥水に切り替え、泥水掘削を導入

した。

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-269

表 9-100 ボーリング調査事例シート

整理番号 238

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 MIZ-1 における孔内崩壊 調査の目的 研究所用地における地質環境データ取得。

調査の概要 研究所用地においてボーリング孔を掘削し、コア調査、水理試験等を実

施し地質環境に関する情報を取得する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 MIZ-1

事例の概要

・断層破砕帯の突破確認後、キャリパー検層・断層破砕帯を対象とした

採水を目的とした水理試験を行った。キャリパー検層の結果、深度

963.0~973.0mabh 付近にかけて孔径拡大(2 倍程度)していること

を確認した。水理試験後に二重管リバースによる浚渫を行い、流体検

層を行った。検層・試験完了後に、ボーリング孔の保孔のためにセメ

ンチングによる崩壊対策を行った。

事例が発生した原因 ・セメンチングは、泥水の排水不足の中で行われたことから、ゲル化な

どによるセメントの硬化不良、及びコア径の半分程度の切れ込み幅の

孔芯ズレを起こした。

事例への対応

・1 回目のセメンチング:泥水の排出不足の中でセメンチングを行った

ことから、孔径拡大箇所においてゲル化による硬化不良が発生。ま

た、地下水の流入と見られるセメント流出もみられた。深度

972.27mabh にて崩壊物と見られる岩片を切削した。浚渫を中断し、

不良個所を洗浄、ゲル化物を回収し、再度セメンチングを行った。 ・2 回目のセメンチング:セメント頭部は、965.53mabh であった。頭

部に花崗岩起源の変成岩であるカタクラサイトの岩片が確認されたこ

とから、崩壊が深度 963.0mabh 以深の孔径拡大部と判断した。深度

974.0mabh まで浚渫を行い、全断面セメントコアであることを確認

し、孔ズレがないものと判断した。崩壊箇所の保孔するため再度セメ

ンチングを行った。 ・3 回目のセメンチング:深度 960.73mabh でセメント頭部を確認し

た。深度 972.73mabh より 20mm 幅程度地山に対して切り込みが始

まる。その後、切り込み幅は徐々に増加、 終的に深度 981.0mabhの地点で 40mm 幅程度の割合で混在するようになる。また、深度

969mabh 付近に鉛直開口亀裂があった。深度 981.0mabh まで浚渫

後、ボーリング孔の保孔及び孔ズレ対策の目的で再度セメンチングを

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4-270

行った。 ・4 回目のセメンチング:深度 963.18mabh でセメント頭部を確認し

た。深度 977.60mabh より元孔の孔壁を 10mm 程度切り込み始め、

深度 981.0mabh 地点では 40mm 幅程度の割合で混在するようになっ

た。深度 981.31mabh 以深のコアは全断面花崗岩であった。深度

9843.0mabh まで浚渫後、掘削水の入れ替えを行った。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・核燃料サイクル開発機構(2005):超深地層研究所計画における試錐調

査(MIZ-1 号孔)、JNC-TN7400-2005-091 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔内崩壊

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4-271

表 9-101 ボーリング調査事例シート

整理番号 239

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における掘削工法の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・セーラー掘削(0.00~1.80m)セーラー掘削・設置 バックホウ掘削

プレキャスト Box カルバート設置 ・口元掘削(0.00~4.40m)ノンコア 20 インチガイド管掘削 ・第1段階掘削(4.40~53.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外

径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(4.40~53.00m)ノンコア・拡孔 17-1/2 インチ トリ

コンビット(外径 444.50 ) ・第2-1段階掘削(53.000~217.30m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第2-1段階拡孔(101.90~217.30m、53.00~101.90mは孔径拡大に

より拡孔不要)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ トリコンビット ・第2-2段階掘削(215.00~421.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第2-2段階拡孔(265.00~421.00m、215.00~265.00mは孔径拡大

により拡孔不要)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ビット(215.90)

・第3段階掘削(421.00~720.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応

掘削深度 149.80m、198.30m、217.30mの時点で 7 インチ仮ケーシング

の落下、アウターチューブネジ破断による掘削編成・インナーチューブ

の落下等の孔径拡大に伴うトラブルが発生したため、215.0mまで 9-5/8インチケーシングパイプ、417mまで 7 インチケーシングパイプを挿入

してコアリングを行った。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-272

表 9-102 ボーリング調査事例シート

整理番号 240

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、岩芯観

察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分な厚さ

と広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯調査によって

判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層などの地質構造を示

唆するものであるので、その深度を適切に把握すること。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地質層序

を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の程度の

差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・孔口(0.0~4.40m)20 インチ SGP ガイド管(外径φ508.0 、内径φ492.2)※フルホールセメンチングを実施し、その後 7 インチ仮ケーシングを

4.40mまで挿入 ・第1段(4.40~50.24m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-N80、外径

339.7 、内径 317.9 )セメンチング作業はインナースリーブ法(普通セメ

ント)で実施、その後 7 インチ仮ケーシングを 53.00mまで挿入。149.80mま

でコアリング後、7 インチ仮ケーシングを 131.77mまで挿入。198.30mまで

コアリング後、7 インチ仮ケーシングを 182.26mまで挿入。 ・第2段(0.00~215.00m)9-5/8 インチケーシングパイプ(17.0lbs-H40、外径

244.5 、内径 226.6 )セメンチング作業はインナーストリング法(普通セ

メント)で実施。 ・第3段(0.00~417.70m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外径

177.8 、内径 164.0 )セメンチング作業はインナーストリング法(普通セ

メント)で実施。 ・第4段(0.00~716.00m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-H40、外

径 114.30 、内径 103.9 )セメンチング作業は2栓式(普通セメント)で

実施。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・149.80m掘削完了後、孔径拡大により 7 インチ仮ケーシング尻が 139mまで

落下した。落下した 7 インチ仮ケーシングを回収後、仮止め用インサイドス

トッパーを設置して、ケーシングを 131.77mまで再挿入した。 ・198.30m掘削中、7 インチ仮ケーシングが掘り管と供回り、ケーシングネジ

が 20.98mで脱落、ケーシング尻が 175mまで落下、スタビライザーも脱落

した。回収後、ネジ部全周溶接措置、スタビライザー形状変更等を行ったの

ち、7 インチ仮ケーシングを 182.26mまで再挿入した。 ・217.30m掘削完了後、アウターチューブ頭部ネジが切断、約 4mの掘削編成

とインナーチューブが孔内に遺留した。回収後、孔内状況が悪化しているこ

とから、各種検層を実施した後、9-5/8 インチケーシングパイプを 215mまで

挿入。 事例への対応結果 -

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4-273

ノウハウ・判断根

拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-274

表 9-103 ボーリング調査事例シート

整理番号 241

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における掘削泥水の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・第1段階掘削(4.40~53.00m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナト

リウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-1段階掘削(53.000~217.30m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナト

リウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-2段階掘削(215.00~421.00m)

275.50mまで清水にトレーサーを添加 275.50~421.00mは、ベントナイト泥水に切り替え

・第3段階掘削(421.00~720.00m) ベントナイト泥水

事例が発生した原因 -

事例への対応

・清水掘削区間では、孔径の拡大、それに伴う掘削ロッドのバイブレー

ションの発生、そして仮ケーシング・アウターチューブの落下等のト

ラブルが発生した。また、清水掘削のためコアが流出し、コア採取率

の低下が認められた。このため、275.5m以深については、ベントナイ

ト泥水掘削に切り替え、孔径の拡大、コア採取率の低下を抑制した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-275

表 9-104 ボーリング調査事例シート

整理番号 242

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における掘削技術の特徴

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・石油・天延ガス噴出対策に対応したオールコアリング設備・ツールス:

ボーリング掘削中の石油・天然ガス噴出に対応するため、噴出防止装置

を孔口に取り付けた(各種バルブ、噴出防止装置の耐圧性能、現場作業

に関わる安全は鉱山保安規則(石油鉱山編)の規定を準用した)。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-276

表 9-105 ボーリング調査事例シート

整理番号 243

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 におけるコアリング径

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・地質構造を把握するための BTV による孔内観察が、孔内水の懸濁によ

り困難である場合、FMI、EMI、BHTV により原位置岩盤中の割れ目

の情報を取得することが可能である。これらの検層ツールを使用できる

小孔径を採用すると、掘削口径は 6-1/4 インチ(156 )で統一する

こととした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-277

表 9-106 ボーリング調査事例シート

整理番号 244

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 におけるケーシングの設置

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・掘削対象が軟質な新第三紀堆積岩であるため、掘削時に孔壁が自立しな

い、長期モニタリングの際に裸孔状態で維持できないことが予想され

た。このため、掘削後のケーシング設置と孔内の調査を繰り返し実施す

る多段ケーシング方式を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果 ・217.30m掘削完了後、清水掘削による影響で孔内状況が悪化したこと

から、9-5/8 インチケーシングパイプを 215mまで挿入して保孔を実施

し、不測の事態に対応できた。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-278

表 9-107 ボーリング調査事例シート

整理番号 245

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 におけるケーシング径

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・ケーシング径は、緊急時に 9-5/8 インチケーシングパイプ(17.0lbs-

H40、外径 177.8mm、内径 166.1mm)を挿入可能なものを採用した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 ・217.30m掘削完了後、清水掘削による影響で孔内状況が悪化したこと

から、9-5/8 インチケーシングパイプを 215mまで挿入して保孔を実施

し、不測の事態に対応できた。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-279

表 9-108 ボーリング調査事例シート

整理番号 246

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 におけるジェットパーフォレーションによる地下水モニタリング

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・ジェットパーフォレーションにより、ケーシングに岩盤中の地下水を導

入する穿孔を行い、穿孔した区間を一つの測定区間とした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ジェットパーフォレーション位置は、セメントボンド検層によりケー

シングパイプとセメントの膠着状態が良好である箇所とした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-280

表 9-109 ボーリング調査事例シート

整理番号 247

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における掘削水

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・地下水の地球科学的特性に与える影響を 小限とするため、清水による

掘削を試みた。ただし、石油・天延ガスの胚胎が予想され、崩壊性の堆

積岩であることを考慮し、は低濃度のベントナイト泥水(岩盤の水理特

性、地下水の地球科学的特性への影響を小さくするため)を掘削水とし

て用いることも考慮した。 一方、孔壁の膨潤・崩壊の抑制が必要な場合には、シリケート泥水

(珪酸ソーダ)主体の使用を考慮した(シリケート泥水は水理特性に与

える影響はは小さいが、他の薬剤との併用が必要で、孔壁の皮膜除去に

アルカリ性溶液を必要とするなど、地下水の地球科学的特性に与える影

響が大きい)。シリケート泥水で対応できない場合には、KCL リグネー

ト泥水に切り替えることとした(リグネート泥水は 終手段)。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果

・清水掘削区間では、孔径の拡大、それに伴う掘削ロッドのバイブレー

ションの発生、そして仮ケーシング・アウターチューブの落下等のト

ラブルが発生した。また、清水掘削のためコアが流出し、コア採取率

の低下が認められた。このため、275.5m以深については、ベントナイ

ト泥水掘削に切り替え、孔径の拡大、コア採取率の低下を抑制し、

720mまでの掘削を完了した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-281

表 9-110 ボーリング調査事例シート

整理番号 248

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 におけるケーシングパイプ設置に使用したセメント

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・ケーシングパイプの固定に使用するセメント・添加剤は、地下水の水理

特性や地球化学特性に影響を与える可能性があるため、本孔では添加剤

を加えず、セメントと水のみのセメントミルクを使用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果

・セメントボンド検層の結果では、セメントが十分固化していない区間

が認められた。これは、孔壁拡大箇所のベントナイト泥水が排出でき

なかったこと、セメントミルクの粘性が高く、7 インチと 4-2/1 イン

チケーシングパイプの2重管の部分でクリアランスがなく、セメント

ミルクが循環できなかったことに起因すると考えられた。

ノウハウ・判断根拠 ・セメントミルクの種類、使用するケーシングについて検討が必要であ

る。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-282

表 9-111 ボーリング調査事例シート

整理番号 249

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における清水掘削の影響による孔径の拡大

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・キャリパー検層や拡孔の結果から、孔径が拡大していたことが明らかと

なった。

事例が発生した原因

・本孔の浅部の軟質な泥岩が清水掘削により細粒分が溶解、孔壁の拡大

を招いたと考えられた。また、孔壁の拡大は掘削ロッドのバイブレー

ションを引き起こし、ネジ接続部の破断を引き起こす原因と考えられ

た。

事例への対応 ・217.30m掘削完了後、孔内状況が悪化していることから、各種検層を

実施した後、9-5/8 インチケーシングパイプを 215mまで挿入。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・50~120m付近のキャリパー検層結果 孔径 300 前後(掘削ビット径 159 、7 インチケーシング径 175)

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-283

表 9-112 ボーリング調査事例シート

整理番号 250

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における清水掘削の影響によるコア採取率の低下

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1 事例の概要 ・コア採取率の低下が認められた。

事例が発生した原因 ・浅部の泥岩が軟質で、清水掘削により流出し易い。

事例への対応 ・275.0m以深は清水掘削から泥水掘削に切り替え、孔径の拡大、コア採

取率の低下を抑制した。

事例への対応結果 1 回当たりのコア採取長

清水掘削区間 1.13m/回 泥水掘削区間 2.10m/回(平均コア採取率 97.0%):改善した。

ノウハウ・判断根拠 - 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-284

表 9-113 ボーリング調査事例シート

整理番号 251

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における仮ケーシングの落下(1)

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・149.80m掘削完了後、53mまで挿入していた 7 インチ仮ケーシング

が、139mまで下がっていた(頭部は 86m)。

事例が発生した原因 ・ケーシング重量に対する岩盤の強度不足、清水掘削による孔径拡大の

進行、堀管のバイブレーション作用による堀管とケーシングの供回り

の複合要因が考えられた。

事例への対応

・インサイドタップによりケーシングを回収し、以下の落下防止策を講

じて再挿入した。 - 7 インチ仮ケーシングの落下防止策 - 13-3/8 ケーシング頭部に 7 インチ仮ケーシングを支えるインナース

トッパーを作成・設置。 - 仮ケーシングの接続部をパッチ溶接し、ケーシングネジ部における

脱落を防止。 - 仮ケーシングの振れ止めを目的としたケーシングスタビライザーを

取り付け。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-285

表 9-114 ボーリング調査事例シート

整理番号 252

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-1 における仮ケーシングの落下(2)

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・198.30m掘削中、孔内で衝撃音が発生、20.98mで 7 インチ仮ケーシン

グがネジ接続部で脱落、43.35m落下していた。回収したケーシングを

点検した結果、脱落したネジ部の補強パッチは脱落・変形し、振れ止め

防止のスタビライザーも損傷・離脱していた。

事例が発生した原因 ・ケーシング重量に対する岩盤の強度不足、清水掘削による孔径拡大の

進行、堀管のバイブレーション作用による堀管とケーシングの供回り

の複合要因が考えられた。

事例への対応

・インサイドタップによりケーシングを回収し、以下の落下防止策を講

じて再挿入した。 - 7 インチ仮ケーシングの落下防止策 - 7 インチ仮ケーシングネジ部の全周溶接、補強パッチの増強 - 仮ケーシングの振れ止めスタビライザーの形状変更・強度増加

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-286

表 9-115 ボーリング調査事例シート

整理番号 253

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 HDB-1 におけるアウターチューブの切断と掘削編成・インナーチューブ

の遺留

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・217.30m掘削完了後、ビット点検のため掘削編成を引き上げたところ、

アウターチューブ頭部ネジが切断しており、約 4mの掘削編成とインナ

ーチューブを孔内に遺留した。

事例が発生した原因 ・清水掘削による孔径拡大の進行、堀管のバイブレーション作用による

堀管とケーシングの供回りの複合要因が考えられた。

事例への対応 ・特殊採揚器を製作し、インナーチューブを回収した。回収後、孔内状

況が悪化していることから、各種検層を実施した後、9-5/8 インチケー

シングパイプを 215mまで挿入。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-287

表 9-116 ボーリング調査事例シート

整理番号 254

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 HDB-1 における検層器の抑留、水理試験・加圧注水試験パッカーの破

損・抑留

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1 事例の概要 ・検層器の抑留、水理試験・加圧注水試験パッカーの破損・抑留

事例が発生した原因 ・孔壁拡大によりパッカー設置深度の設定に苦慮した。 事例への対応 ・詳細情報なし。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-288

表 9-117 ボーリング調査事例シート

整理番号 255

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における掘削工法の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・セーラー掘削(0.00~1.80m)セーラー掘削・設置 バックホウ掘削

プレキャスト Box カルバート設置 ・口元掘削(0.00~4.40m)ノンコア 20 インチガイド管掘削 ・第1段階掘削(4.40~53.50m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外

径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(4.40~53.50m)ノンコア・拡孔 17-1/2 インチ トリ

コンビット(外径 444.50 ) ・第2-1段階掘削(53.50~122.80m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第2-1段階拡孔(53.50~72.00m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ

トリコンビット ・第2-2段階掘削(122.80~404.90m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第2-2段階拡孔(72.00~404.90m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ

トリコンビット ・第3段階掘削(404.90~720.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 掘削深度 122.80mの時点で 7 インチ仮ケーシングが落下するトラブルが

発生したため、72.00mまで 12-1/4 インチでの拡孔を実施し、ケーシン

グを再挿入し、その後コアリングを再開した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-289

表 9-118 ボーリング調査事例シート

整理番号 256

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・孔口(0.0~4.40m)20 インチ SGP ガイド管(外径φ508.0 、内径φ

492.2 )フルホールセメンチングを実施し、その後 7 インチ仮ケーシ

ングを 4.40mまで挿入 ・第1段(4.40~53.17m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-

N80、外径 339.7 、内径 317.9 )セメンチング作業はインナースリ

ーブ法(普通セメント)で実施、その後 7 インチ仮ケーシングを 53.50mまで挿入。122.80mまでコアリング後、7 インチ仮ケーシングを

72.00mまで挿入。 ・第2段(0.00~399.20m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8 、内径 164.0 )セメンチング作業はインナーストリング法

(普通セメント)で実施。 ・第3段(0.00~718.60m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30 、内径 103.9 )セメンチング作業は2栓式(普

通セメント)で実施。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・掘削深度 122.80mの時点で 7 インチ仮ケーシングが落下するトラブル

が発生したため、72.00mまで 12-1/4 インチでの拡孔を実施し、仮ケ

ーシングを再挿入し、その後コアリングを再開した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-290

表 9-119 ボーリング調査事例シート

整理番号 257

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における掘削泥水の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・第1段階掘削(4.40~53.00m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナト

リウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-1段階掘削(53.50~222.9m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナト

リウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-2段階掘削(222.90~404.90m)

222.90~421.00mは、ベントナイト泥水に切り替え ・第3段階掘削(404.90~720.00m) ベントナイト泥水

事例が発生した原因 -

事例への対応

・清水掘削区間では、孔径の拡大、それに伴う掘削ロッドのバイブレー

ションの発生、そして仮ケーシング・アウターチューブの落下等のト

ラブルが発生した。また、清水掘削のためコアが流出し、コア採取率

の低下が認められた。第2段階掘削からはベントナイト泥水掘削に切

り替え、孔径の拡大、コア採取率の低下を抑制した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-291

表 9-120 ボーリング調査事例シート

整理番号 258

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における掘削技術の特徴

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・石油・天延ガス噴出対策に対応したオールコアリング設備・ツールス:

ボーリング掘削中の石油・天然ガス噴出に対応するため、噴出防止装置

を孔口に取り付けた(各種バルブ、噴出防止装置の耐圧性能、現場作業

に関わる安全は鉱山保安規則(石油鉱山編)の規定を準用した)。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-292

表 9-121 ボーリング調査事例シート

整理番号 259

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるコアリング径

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・地質構造を把握するための BTV による孔内観察が、孔内水の懸濁によ

り困難である場合、FMI、EMI、BHTV により原位置岩盤中の割れ目

の情報を取得することが可能である。これらの検層ツールを使用できる

小孔径を採用すると、掘削口径は 6-1/4 インチ(156 )で統一する

こととした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-293

表 9-122 ボーリング調査事例シート

整理番号 260

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるケーシングの設置

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・掘削対象が軟質な新第三紀堆積岩であるため、掘削時に孔壁が自立しな

い、長期モニタリングの際に裸孔状態で維持できないことが予想され

た。このため、掘削後のケーシング設置と孔内の調査を繰り返し実施す

る多段ケーシング方式を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-294

表 9-123 ボーリング調査事例シート

整理番号 261

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるケーシング径

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・ケーシング径は、緊急時に 9-5/8 インチケーシングパイプ(17.0lbs-

H40、外径 177.8 、内径 166.1 )を挿入可能なものを採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-295

表 9-124 ボーリング調査事例シート

整理番号 262

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるジェットパーフォレーションによる地下水モニタリング

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・ジェットパーフォレーションにより、ケーシングに岩盤中の地下水を導

入する穿孔を行い、穿孔した区間を一つの測定区間とした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ジェットパーフォレーション位置は、セメントボンド検層によりケー

シングパイプとセメントの膠着状態が良好である箇所とした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ジェットパーフォレーション

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4-296

表 9-125 ボーリング調査事例シート

整理番号 263

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における掘削水

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・地下水の地球科学的特性に与える影響を 小限とするため、清水による

掘削を試みた。ただし、石油・天延ガスの胚胎が予想され、崩壊性の堆

積岩であることを考慮し、は低濃度のベントナイト泥水(岩盤の水理特

性、地下水の地球科学的特性への影響を小さくするため)を掘削水とし

て用いることも考慮した。孔壁の膨潤・崩壊の抑制が必要な場合には、

シリケート泥水(珪酸ソーダ)主体の使用を考慮した(シリケート泥水

は水理特性に与える影響は小さいが、他の薬剤との併用が必要で、孔壁

の皮膜除去にアルカリ性溶液を必要とするなど、地下水の地球科学的特

性に与える影響が大きい)。シリケート泥水で対応できない場合には、

KCL リグネート泥水に切り替えることとした(リグネート泥水は 終手

段)。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果

・清水掘削区間では、孔径の拡大、それに伴う掘削ロッドのバイブレー

ションの発生、そして仮ケーシング・アウターチューブの落下等のト

ラブルが発生した。また、清水掘削のためコアが流出し、コア採取率

の低下が認められた。このため、第2段階以降の掘削については、ベ

ントナイト泥水掘削に切り替え、孔径の拡大、コア採取率の低下を抑

制し、720mまでの掘削を完了した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-297

表 9-126 ボーリング調査事例シート

整理番号 264

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるケーシングパイプ設置に使用したセメント

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・ケーシングパイプの固定に使用するセメント・添加剤は、地下水の水理

特性や地球化学特性に影響を与える可能性があるため、本孔では添加剤

を加えず、セメントと水のみのセメントミルクを使用した。 ・セメントボンド検層の結果では、セメントが十分固化していない区間が

認められた。

事例が発生した原因

・孔壁拡大箇所のベントナイト泥水が排出できなかったこと ・セメントミルクの粘性が高く、7 インチと 4-2/1 インチケーシングパ

イプの2重管の部分でクリアランスがなく、セメントミルクが循環で

きなかったことに起因すると考えられた。 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・セメントミルクの種類、使用するケーシングについて検討が必要であ

る。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-298

表 9-127 ボーリング調査事例シート

整理番号 265

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における清水掘削の影響による孔径の拡大

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・キャリパー検層や拡孔の結果から、孔径が拡大していたことが明らかと

なった。

事例が発生した原因

・本孔の浅部の軟質な泥岩が清水掘削により細粒分が溶解、孔壁の拡大

を招いたと考えられた。また、孔壁の拡大は掘削ロッドのバイブレー

ションを引き起こし、ネジ接続部の破断を引き起こす原因と考えられ

た。

事例への対応 ・第2段階掘削以降は清水掘削から泥水掘削に切り替え、孔径の拡大を

抑制した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、清水掘削、孔径拡大

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4-299

表 9-128 ボーリング調査事例シート

整理番号 266

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における清水掘削の影響によるコア採取率の低下

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2 事例の概要 ・コア採取率の低下が認められた。

事例が発生した原因 ・浅部の泥岩が軟質で、清水掘削により流出し易い。

事例への対応 ・第2段階掘削以降は清水掘削から泥水掘削に切り替え、コア採取率の

低下を抑制した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、清水掘削、コア流出

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4-300

表 9-129 ボーリング調査事例シート

整理番号 267

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における逸水

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2 事例の概要 ・第 2 段階掘削の 10.70mで、130ℓ/min 以上の全量逸水が発生した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・セメンチングを実施した。

事例への対応結果 ・第1回セメンチングでは、セメント頭部 5.80mを確認し、浚渫した

が、6.50mで再度全量逸水が発生した。このため 12.70mまで浚渫

後、第2回セメンチングを実施し、その後逸水は発生しなかった。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、清水掘削、孔径拡大

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4-301

表 9-130 ボーリング調査事例シート

整理番号 268

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 における仮ケーシングの落下

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・122.80m掘削完了後、51.30mまで挿入していた 7 インチ仮ケーシング

が、10.30mのネジ接続部で脱落し、約 12.70m分落下していた。

事例が発生した原因 ・ケーシング重量に対する岩盤の強度不足、清水掘削による孔径拡大の

進行、堀管のバイブレーション作用による堀管とケーシングの供回り

の複合要因が考えられた。

事例への対応

・インサイドタップによりケーシングを回収し、以下の落下防止策を講

じて再挿入した。 - 7 インチ仮ケーシングの落下防止策 - 13-3/8 ケーシング頭部に 7 インチ仮ケーシングを支えるインナース

トッパーを作成・設置。 - 仮ケーシングの接続部をパッチ溶接し、ケーシングネジ部における

脱落を防止。 - 仮ケーシングの振れ止めを目的としたケーシングスタビライザーを

取り付け。

事例への対応結果 ・72.00mまで 12-1/4 インチでの拡孔を実施し、仮ケーシングを再挿入

し、その後コアリングを再開した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、清水掘削、仮ケーシング

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4-302

表 9-131 ボーリング調査事例シート

整理番号 269

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるアウターチューブの切断と遺留

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・404.90m掘削完了後、アウターチューブが切断しており、孔内に遺留し

た。

事例が発生した原因 ・清水掘削による孔径拡大の進行、堀管のバイブレーション作用による

堀管とケーシングの供回りの複合要因が考えられた。

事例への対応

・インサイドタップを用いて採揚したが、インサイドタップが完全にア

ウターチューブ頭部に噛み合わせたのにもかかわらず、遺留した掘削

ロッドなどが地層に強く固着してタップが外れた。このため、抑留さ

れたビットの 15 までオープンエンド管に特殊超硬材料を盛り付け

た編成で掘削した後、清水を送入・循環することで、抑留物周辺の地

層を軟化させ、回収した。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・回収した残留物には微細な粘土(泥岩の堀屑)が付着しており、清水

掘削では粘土質の堀屑が地表まで排出されず、ロッドなどの抑留が生

じ得ることを示している。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、清水掘削、アウターチューブ

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4-303

表 9-132 ボーリング調査事例シート

整理番号 270

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-2 におけるメタンガスの湧出

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・マッドロギングのモニタリングデータで、清水拡孔時に比較的高濃度の

メタンガスが検出された。深度 120m 付近の拡孔時には 大で 14.04%のメタンガスを確認した。

事例が発生した原因 ・地層中に含まれていたガスが、掘削による応力開放に伴い、遊離し

た。

事例への対応 ・8-1/2”拡孔時の 222.9m から掘削水を清水から泥水に切り替えて掘

削。 事例への対応結果 ・当該深度以深では、検知されるガス濃度は格段に小さくなった。

ノウハウ・判断根拠 ・泥水はメタンガスの湧出を抑制する効果があるものと考えられる。 ・この対処法は、メタンガスの濃度が高まった時には泥水の比重を高く

するなど柔軟性のある方法と考えられる。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、清水掘削、メタンガス、湧出

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4-304

表 9-133 ボーリング調査事例シート

整理番号 271

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における掘削工法の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・セーラー掘削(0.00~1.80m)セーラー掘削・設置 バックホウ掘削

プレキャスト Box カルバート設置 ・口元掘削(0.00~4.00m)ノンコア 20 インチガイド管掘削 ・第1段階掘削(4.00~54.40m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外

径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(4.00~54.4m)ノンコア・拡孔 17-1/2 インチ トリコ

ンビット(外径 444.50 ) ・第2段階掘削(54.40~315.90m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(54.40~315.90m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット ・第3段階掘削(315.90~520.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80 、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・定方位コア掘削を以下の深度で実施。

153.40~156.20m、217.10~220.70m、265.70~266.30m、313.50~315.40m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・13-3/8 ケーシング長の兼ね合いから、予定深度 50.00m に対し、

54.40m まで掘削した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-305

表 9-134 ボーリング調査事例シート

整理番号 272

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・孔口(0.0~4.00m)20 インチ SGP ガイド管(外径φ508.0mm、内径

φ492.2mm)フルホールセメンチングを実施し、その後 7 インチ仮ケ

ーシングを 4.00m まで挿入。 ・第1段(4.00~53.50m)13-3/8 インチケーシングパイプ(54.5lbs、

J55、外径 339.7mm、内径 320.4mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施、その後 7 インチ仮ケーシン

グを 52.98m まで挿入。 ・第2段(0.00~314.60m)7 インチケーシングパイプ(20.0lbs、

J55、外径 177.8mm 内径 164.0mm)セメンチング作業はインナース

トリング法(普通セメント)で実施。 ・第3段(270.54~518.64m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lb

s、J55、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライ

ナーハンガー法(普通セメント)で実施。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-306

表 9-135 ボーリング調査事例シート

整理番号 273

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における掘削水の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・第1段階掘削(4.00~54.40m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナ

トリウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-1段階掘削(54.40~157.00m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナ

トリウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-2段階掘削(157.00~315.90m)

157.00m以深は、ベントナイト泥水に切り替え ・第3段階掘削(315.90~520.00m) ベントナイト泥水

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・清水で掘削中の 156.20m で簡易キャリパー検層を実施したところ、孔

径拡大の傾向が認められ、水理試験のパッカー径(190.00mm)で掘削す

る必要があるため、157.00m 以深、ベントナイト泥水に変更した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水

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4-307

表 9-136 ボーリング調査事例シート

整理番号 274

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における掘削技術の特徴

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・石油・天延ガス噴出対策に対応したオールコアリング設備・ツール

ス:ボーリング掘削中の石油・天然ガス噴出に対応するため、噴出防

止装置を孔口に取り付けた(各種バルブ、噴出防止装置の耐圧性能、

現場作業に関わる安全は鉱山保安規則(石油鉱山編)の規定を準用し

た)。また、噴出防止装置に対応したオールコアリングを行うため、掘

削ロッド、コアバーレル、ビットを作成した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、コアリングツールス

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4-308

表 9-137 ボーリング調査事例シート

整理番号 275

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 におけるコアリング径

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・地質構造を把握するための BTV による孔内観察が、孔内水の懸濁に

より困難である場合、FMI、EMI、BHTV により原位置岩盤中の割れ

目の情報を取得することが可能である。これらの検層ツールを使用で

きる 小孔径を採用すると、掘削口径は 6-1/4 インチ(156mm)で統

一することとした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、コアリングツールス

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4-309

表 9-138 ボーリング調査事例シート

整理番号 276

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 におけるケーシングの設置

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・掘削対象が軟質な新第三紀堆積岩であるため、掘削時に孔壁が自立し

ない、長期モニタリングの際に裸孔状態で維持できないことが予想さ

れた。このため、掘削後のケーシング設置と孔内の調査を繰り返し実

施する多段ケーシング方式を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・HDB-1,2 孔では 7 インチケーシングと 4-1/2 ケーシングの 2 重管部

分のセメンチングが不十分だったことから,HDB-3,4,5 孔では, 終

4-1/2 インチケーシングを口元まで立ち上げるのではなく,TIW 社製

のライナーハンガー(中間ケーシングパイプに下段ケーシングパイプ

を吊り下げる装置)を用いたハンガー仕上げとした。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-310

表 9-139 ボーリング調査事例シート

整理番号 277

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 におけるジェットパーフォレーションによる地下水モニタリング

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要 ・ジェットパーフォレーションにより、ケーシングに岩盤中の地下水を

導入する穿孔を行い、穿孔した区間を一つの測定区間とした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ジェットパーフォレーション位置は、セメントボンド検層によりケー

シングパイプとセメントの膠着状態が良好である箇所とした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ジェットパーフォレーション

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4-311

表 9-140 ボーリング調査事例シート

整理番号 278

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における掘削水

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・地下水の地球科学的特性に与える影響を 小限とするため、清水によ

る掘削を試みた。ただし、石油・天延ガスの胚胎が予想され、崩壊性

の堆積岩であることを考慮し、は低濃度のベントナイト泥水(岩盤の

水理特性、地下水の地球科学的特性への影響を小さくするため)を掘

削水として用いることも考慮した。孔壁の膨潤・崩壊の抑制が必要な

場合には、シリケート泥水(珪酸ソーダ)主体の使用を考慮した(シ

リケート泥水は水理特性に与える影響は小さいが、他の薬剤との併用

が必要で、孔壁の皮膜除去にアルカリ性溶液を必要とするなど、地下

水の地球科学的特性に与える影響が大きい)。シリケート泥水で対応で

きない場合には、KCL リグネート泥水に切り替えることとした(リグ

ネート泥水は 終手段)。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・清水掘削区間では、孔径の拡大が認められた。このため、157.00m 以

深については、ベントナイト泥水掘削に切り替え、孔径の拡大を抑制

し、520m までの掘削を完了した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水

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4-312

表 9-141 ボーリング調査事例シート

整理番号 279

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 におけるケーシングパイプ設置に使用したセメント

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要 ・ケーシングパイプの固定に使用するセメント・添加剤は、地下水の水

理特性や地球化学特性に影響を与える可能性があるため、本孔では添

加剤を加えず、セメントと水のみのセメントミルクを使用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングパイプ、セメント

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4-313

表 9-142 ボーリング調査事例シート

整理番号 280

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における定方位コアツールによるコア採取

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・堆積岩は力学的異方性を有する可能性があり、これらの検討のために

は地層の走向や傾斜に関する情報が不可欠である。しかし、ボーリン

グ掘削には泥水を用いるため孔壁観察(光学式)では鮮明な画像を得

られない。このため、採取したコアから地層の走向・傾斜に関する情

報を取得することを目的として、定方位コア採取を実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果

・採取したコアに割れ目があるため、掘削長全体にわたるコア方位を特

定できない、室内試験や AE 測定に供する必要試料長を確保できない

等の問題が生じた。また,掘削ツールの入れ替えに時間がかかるた

め、ボーリング作業工程に大きな影響を与えることも明らかとなっ

た。 ノウハウ・判断根拠 定方位コア採取のコア採取率:81%

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-314

表 9-143 ボーリング調査事例シート

整理番号 281

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における清水掘削の影響による孔径の拡大、コア採取率の低下

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要 ・簡易キャリパー検層の結果から、孔径が拡大していたことが明らかと

なった。

事例が発生した原因 ・本孔の浅部の軟質な泥岩が清水掘削により細粒分が溶解、孔壁の拡大

を招いたと考えられた。

事例への対応 ・157.00m 以深は清水掘削から泥水掘削に切り替え、孔径の拡大、コア

採取率の低下を抑制した。 事例への対応結果 ノウハウ・判断根拠

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔径拡大

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4-315

表 9-144 ボーリング調査事例シート

整理番号 282

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-3 における仮ケーシングの落下

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要 ・149.80m 掘削完了後、53mまで挿入していた 7 インチ仮ケーシング

が、139m まで下がっていた(頭部は 86m)。

事例が発生した原因 ・ケーシング重量に対する岩盤の強度不足、清水掘削による孔径拡大の

進行、堀管のバイブレーション作用による堀管とケーシングの供回り

の複合要因が考えられた。

事例への対応

・インサイドタップによりケーシングを回収し、以下の落下防止策を講

じて再挿入した。 - 7 インチ仮ケーシングの落下防止策。 - 13-3/8 ケーシング頭部に 7 インチ仮ケーシングを支えるインナース

トッパーを作成・設置。 - 仮ケーシングの接続部をパッチ溶接し、ケーシングネジ部における

脱落を防止。 - 仮ケーシングの振れ止めを目的としたケーシングスタビライザーを

取り付け。 事例への対応結果 ノウハウ・判断根拠

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔径拡大

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4-316

表 9-145 ボーリング調査事例シート

整理番号 283

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における掘削工法の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・セーラー掘削(0.00~1.80m)セーラー掘削・設置 バックホウ掘削

プレキャスト Box カルバート設置 ・口元掘削(0.00~4.10m)ノンコア 20 インチガイド管掘削 ・第1段階掘削(4.10~55.60m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法

・第1段階拡孔(4.10~54.50m)ノンコア・拡孔 17-1/2 インチ トリ

コンビット(外径 444.50m) ・第2段階掘削(55.60~316.50m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(54.50~316.50m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ トリ

コンビット ・第3段階掘削(316.50~520.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80m、内径 92.00m)3 重管 WL 工法 ・定方位コア掘削を以下の深度で実施。 158.00~160.20m、206.60~208.00m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・13-3/8 ケーシング長の兼ね合いから、予定深度 50.00m に対し、

55.60m まで掘削した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法、定方位コア

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4-317

表 9-146 ボーリング調査事例シート

整理番号 284

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・孔口(0.0~4.10m)20 インチ SGP ガイド管(外径φ508.0mm、内径

φ492.2mm)フルホールセメンチングを実施し、その後 7 インチ仮ケ

ーシングを 4.10m まで挿入 ・第1段(4.00~53.50m)13-3/8 インチケーシングパイプ(54.5lbs、

J55、外径 339.7mm、内径 320.4mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施、その後 7 インチ仮ケーシン

グ 52.85m まで挿入。 ・第2段(0.00~315.04m)7 インチケーシングパイプ(20.0lbs、

J55、外径 177.8m、内径 164.0m)セメンチング作業はインナースト

リング法(普通セメント)で実施。 ・第3段(268.74~518.15m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs、

J55、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・13-3/8 ケーシング長の兼ね合いから、予定深度 50.00m に対し、

55.60m まで掘削した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-318

表 9-147 ボーリング調査事例シート

整理番号 285

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における掘削水の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・第1段階掘削(4.00~55.60m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナ

トリウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-1段階掘削(55.60~160.20m) 清水(井戸水)にトレーサー(4-アミノ-1 ナフタレンスルホンサンナ

トリウム)濃度 10ppm を添加 ・第2-2段階掘削(160.20~316.50m)

157.00m 以深は、ベントナイト泥水に切り替え ・第3段階掘削(316.50~520.00m) ベントナイト泥水

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・清水で掘削中の 160.20m で簡易キャリパー検層を実施したところ、著

しい孔径拡大の傾向が認められ、以深のコア掘削はベントナイト泥水

に変更した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水

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4-319

表 9-148 ボーリング調査事例シート

整理番号 286

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における掘削技術の特徴

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・石油・天延ガス噴出対策に対応したオールコアリング設備・ツール

ス:ボーリング掘削中の石油・天然ガス噴出に対応するため、噴出防

止装置を孔口に取り付けた(各種バルブ、噴出防止装置の耐圧性能、

現場作業に関わる安全は鉱山保安規則(石油鉱山編)の規定を準用し

た)。また、噴出防止装置に対応したオールコアリングを行うため、掘

削ロッド、コアバーレル、ビットを作成した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-320

表 9-149 ボーリング調査事例シート

整理番号 287

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 におけるコアリング径

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・地質構造を把握するための BTV による孔内観察が、孔内水の懸濁に

より困難である場合、FMI、EMI、BHTV により原位置岩盤中の割れ

目の情報を取得することが可能である。これらの検層ツールを使用で

きる 小孔径を採用すると、掘削口径は 6-1/4 インチ(156mm)で統

一することとした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、コアリング径

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4-321

表 9-150 ボーリング調査事例シート

整理番号 288

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 におけるケーシングの設置

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・掘削対象が軟質な新第三紀堆積岩であるため、掘削時に孔壁が自立し

ない、長期モニタリングの際に裸孔状態で維持できないことが予想さ

れた。このため、掘削後のケーシング設置と孔内の調査を繰り返し実

施する多段ケーシング方式を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-1、2 孔では 7 インチケーシングと 4-1/2 ケーシングの 2 重管部

分のセメンチングが不十分だったことから、HDB-3,4,5 孔では、 終

4-1/2 インチケーシングを口元まで立ち上げるのではなく、TIW 社製

のライナーハンガー(中間ケーシングパイプに下段ケーシングパイプ

を吊り下げる装置)を用いたハンガー仕上げとした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-322

表 9-151 ボーリング調査事例シート

整理番号 289

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 におけるジェットパーフォレーションによる地下水モニタリング

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 ・ジェットパーフォレーションにより、ケーシングに岩盤中の地下水を

導入する穿孔を行い、穿孔した区間を一つの測定区間とした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ジェットパーフォレーション位置は、セメントボンド検層によりケー

シングパイプとセメントの膠着状態が良好である箇所とした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ジェットパーフォレーション

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4-323

表 9-152 ボーリング調査事例シート

整理番号 290

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における掘削水

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・地下水の地球科学的特性に与える影響を 小限とするため、清水によ

る掘削を試みた。ただし、石油・天延ガスの胚胎が予想され、崩壊性

の堆積岩であることを考慮し、は低濃度のベントナイト泥水(岩盤の

水理特性、地下水の地球科学的特性への影響を小さくするため)を掘

削水として用いることも考慮した。孔壁の膨潤・崩壊の抑制が必要な

場合には、シリケート泥水(珪酸ソーダ)主体の使用を考慮した(シ

リケート泥水は水理特性に与える影響は小さいが、他の薬剤との併用

が必要で、孔壁の皮膜除去にアルカリ性溶液を必要とするなど、地下

水の地球科学的特性に与える影響が大きい)。シリケート泥水で対応で

きない場合には、KCL リグネート泥水に切り替えることとした(リグ

ネート泥水は 終手段)。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・清水掘削区間では、孔径の拡大が認められた。このため、157.00m 以

深については、ベントナイト泥水掘削に切り替え、孔径の拡大を抑制

し、520m までの掘削を完了した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水

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4-324

表 9-153 ボーリング調査事例シート

整理番号 291

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 におけるケーシングパイプ設置に使用したセメントについて

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 ・ケーシングパイプの固定に使用するセメント・添加剤は、地下水の水

理特性や地球化学特性に影響を与える可能性があるため、本孔では添

加剤を加えず、セメントと水のみのセメントミルクを使用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングパイプ、セメント

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4-325

表 9-154 ボーリング調査事例シート

整理番号 292

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における定方位コアツールによるコア採取

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・堆積岩は力学的異方性を有する可能性があり、これらの検討のために

は地層の走向や傾斜に関する情報が不可欠である。しかし、ボーリン

グ掘削には泥水を用いるため孔壁観察(光学式)では鮮明な画像を得

られない。このため、採取したコアから地層の走向・傾斜に関する情

報を取得することを目的として、定方位コア採取を実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果

・採取したコアに割れ目があるため、掘削長全体にわたるコア方位を特

定できない、室内試験や AE 測定に供する必要試料長を確保できない

等の問題が生じた。また、掘削ツールの入れ替えに時間がかかるた

め、ボーリング作業工程に大きな影響を与えることも明らかとなっ

た。 ノウハウ・判断根拠 定方位コア採取のコア採取率:96%

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-326

表 9-155 ボーリング調査事例シート

整理番号 293

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における清水掘削の影響による孔径の拡大、コア採取率の低下

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 ・簡易キャリパー検層の結果から、孔径が拡大していたことが明らかと

なった。

事例が発生した原因 ・本孔の浅部の軟質な泥岩が清水掘削により細粒分が溶解、孔壁の拡大

を招いたと考えられた。

事例への対応 ・160.20m 以深は清水掘削から泥水掘削に切り替え、孔径の拡大、コア

採取率の低下を抑制した 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-327

表 9-156 ボーリング調査事例シート

整理番号 294

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における逸水(1)

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 ・第 1 段階掘削中の 17.00m で、2~10ℓ/min の逸水が発生し、55.60m

では 4ℓ/min となった。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・特に対応せず。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-328

表 9-157 ボーリング調査事例シート

整理番号 295

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における逸水(2)

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 ・第 2 段階掘削中の 28.00m で、26~50ℓ/min の逸水が発生し、

316.50m では 31ℓ/min となった。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・逸水した状態で掘削を継続した。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-329

表 9-158 ボーリング調査事例シート

整理番号 296

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 における定方位コアサンプリングの中止

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4 事例の概要 ・バイブレーションが激しく、バーレル切断の危険性が生じた。

事例が発生した原因 - 事例への対応 ・定方位サンプリングを中止した。

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-330

表 9-159 ボーリング調査事例シート

整理番号 297

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-4 におけるボーリング用地

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 ・HDB-4 の掘削予定地は「農業振興地域の整備に関する法律(農伸

法)」の許認可が必要な場所であった。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・ボーリング調査中は、約 5,000m2 の面積を対象とした「開発許可申

請」を実施した。 ・ボーリング終了後に地下水モニタリング等で使用する場合は、必要

低限の面積(約 1,800m2)で「農用地区域除外」の認可を受けた。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・「開発許可申請」は開発期間が 1~2 年が目安。 ・上記以上の期間の場合は、「農用地区域除外」の認可が必要。 ・モニタリング等が終了した場合は、適切な措置を施した上で孔井を廃

孔し、コンクリート台座等の工作物を撤去するなどの現状復旧した上

で返却する必要がある。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ボーリング用地

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4-331

表 9-160 ボーリング調査事例シート

整理番号 298

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-5 における掘削工法の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要

・セーラー掘削(0.00~2.00m)セーラー掘削・設置 バックホウ掘削

プレキャスト Box カルバート設置 ・口元掘削(0.00~4.00m)ノンコア 20 インチガイド管掘削 ・第1段階掘削(4.00~54.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法

・第1段階拡孔(4.00~54.00m)ノンコア・拡孔 17-1/2 インチ トリ

コンビット(外径 444.50mm) ・第2段階掘削(54.00~274.50m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00 )3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(54.00~274.50m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ トリ

コンビット(外径 215.9mm) ・"第3段階掘削(274.50~520.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・定方位コア掘削を以下の深度で実施。

162.40~163.20m、205.60~207.90m、256.70~258.10m 313.00~316.20m、378.50~388.00m、476.10~482.60m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法、定方位コア

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4-332

表 9-161 ボーリング調査事例シート

整理番号 299

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-5 における掘削工法の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要

・孔口(0.00~4.00m)20 インチ SGP ガイド管(外径φ508.0mm、内

径φ492.2mm)セメンチング作業はインナーストリングス法(普通セ

メント)で実施。7 インチ仮ケーシングを 4.00m まで挿入。 ・第1段(0.00~52.95m)13-3/8 インチケーシングパイプ(54.5lbs、

J55、外径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施。7 インチ仮ケーシングを

52.42m まで挿入。 ・第2段(0.00~271.10m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業はインナーストリン

グス法(普通セメント)で実施。 ・第3段(238.19~518.40m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.3mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-333

表 9-162 ボーリング調査事例シート

整理番号 300

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-5 における掘削水の実績

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要 ・0.00~54.00m については清水掘削、54.00~520.00m については低濃

度のベントナイト泥水(約 6wt%)による泥水掘削とした。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・清水掘削区間では、泥岩の細かな粒子が多量に溶解しており、簡易キ

ャリパー検層の結果でも孔壁は掘削中拡大する傾向が認められた。こ

のため、孔壁拡大を防止するため、清水掘削を泥水掘削に変更した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水

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4-334

表 9-163 ボーリング調査事例シート

整理番号 301

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-5 における定方位コアツールによるコア採取

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要

・堆積岩は力学的異方性を有する可能性があり、これらの検討のために

は地層の走向や傾斜に関する情報が不可欠である。しかし、ボーリン

グ掘削には泥水を用いるため孔壁観察(光学式)では鮮明な画像を得

られない。このため、採取したコアから地層の走向・傾斜に関する情

報を取得することを目的として、定方位コア採取を実施した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果

・採取したコアに割れ目があるため、掘削長全体にわたるコア方位を特

定できない、室内試験や AE 測定に供する必要試料長を確保できない

等の問題が生じた。また、掘削ツールの入れ替えに時間がかかるた

め、ボーリング作業工程に大きな影響を与えることも明らかとなっ

た。 ノウハウ・判断根拠 ・定方位コア採取のコア採取率:100%

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-335

表 9-164 ボーリング調査事例シート

整理番号 302

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-5 における清水掘削の影響による孔径の拡大

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要 ・4.00~54.00m で清水掘削を実施したところ、掘削流体に泥岩粒子が

多量に溶解しており、キャリパー検層の結果でも孔径が拡大する傾向

が認められた。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

事例への対応結果 ・孔壁拡大防止のため、54.00m より清水掘削を泥水掘削に変更し、孔

壁の拡大を抑制した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-336

表 9-165 ボーリング調査事例シート

整理番号 303

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-5 における浅層掘削時の逸水(逸泥)

調査の目的 平成 13 年度に実施した空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボー

リング調査などの結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置

き、研究所設置地区の地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要 ・第 1 段掘削の 29.00m において 10ℓ/分の逸水(逸泥)が、第 2 段掘削

の 93.00m では 35~7510ℓ/分の逸水(逸泥)が発生した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・掘削を中断、逸水防止策を検討し、逸水防止剤としてテルストップを

用いた。対策後は 2~5ℓ/分の逸水(逸泥)量となった。

事例への対応結果 ・孔壁拡大防止のため、54.00m より清水掘削を泥水掘削に変更し、孔

壁の拡大を抑制した。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア

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4-337

表 9-166 ボーリング調査事例シート

整理番号 304

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-6 における掘削工法の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要

・口元掘削(0.00~4.00m)ノンコア 17-1/2 インチ トリコンビット

(外径 444.50mm)(セーラー掘削の仕様についてはデータなし) ・第1段階掘削(4.00~137.50m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法

・第1段階拡孔(4.00~137.50m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ トリ

コンビット(外径 311.1mm) ・第2段階掘削(137.50~367.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(137.50~367.00m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 215.9mm) ・第3段階掘削(367.00~620.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-338

表 9-167 ボーリング調査事例シート

整理番号 305

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-6 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要

・孔口(0.00~4.00m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-N80、外径 339.7mm、内径 317.9mm)セメンチング作業はインナーストリ

ングス法(普通セメント)で実施。 ・第1段(0.00~132.90m)9-5/8 インチケーシングパイプ(36.0lbs-

J55、外径 244.5mm、内径 226.6mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施。 ・第2段(0.00~365.76m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)。 ・第3段(318.09~613.58m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-339

表 9-168 ボーリング調査事例シート

整理番号 306

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-6 における掘削水の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6 事例の概要 ・低濃度のベントナイト泥水(約 6wt%)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ベントナイト泥水

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4-340

表 9-169 ボーリング調査事例シート

整理番号 307

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-6 における1段目ケーシングパイプの深度・径の変更

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要 ・HDB-6,7,8 孔では、1段目に設置するケーシングパイプの深度を 50mから 100mに、孔径を 13-3/8 インチから 9-5/8 インチに変更した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・口元から泥水掘削をすることで孔径拡大がなくなり安定した掘削が可

能となったこと、比較的クリアランスのある 13-3/8 インチケーシング

パイプと 7 インチケーシングパイプの二重管部分のセメンチングが不

十分だったため変更された。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ケーシングパイプ

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4-341

表 9-170 ボーリング調査事例シート

整理番号 308

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 HDB-6 における 300m以深の多段ケーシング部のセメンチング方法の変

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要

・HDB-6 孔以降のボーリングでは、300m 以深のセメンチングを 2 回に

分けて実施することとした。具体的には 9-5/8 インチケーシングとハ

リーバートン社製の ES(External Sleeve)ステージセメンターを使用

した 2 ステージセメンチング法を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・ハリーバートン社製の ES(External Sleeve)ステージセメンターを使

用した 2 ステージセメンチング法は国内外の石油調査井や地熱調査井

で実績があり、HDB-6 孔以降のボーリング掘削でも、その有効性を確

認した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、セメンチング

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4-342

表 9-171 ボーリング調査事例シート

整理番号 309

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-6 における浅層掘削時の逸水(逸泥)

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要 ・6-1/4 インチビット、3 重管ワイヤーライン工法によるコア掘削時、

15.30m において 33ℓ/分の逸水(逸泥)が発生した。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・浅層地下水分析が計画されていたため、逸水防止剤(LCM)の使用を

回避し、セメンチングで対処した。 ・合計4回のセメンチングを実施したが、セメント浚渫時に逸水が認め

られた。 ・ガイド管を逸水深度以深まで挿入して対処することとし、ガイド管を

抜管、17-1/2 トリコンビットで 14m まで拡孔、13-3/8 インチケーシ

ングパイプを再挿入し、そのごインナーストリングス法でセメンチン

グを実施した。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-8 孔までのボーリングでは、口元ガイド管は 4.00mまでと浅い

位置に挿入されていたことから、逸水が発生し、それに伴い泥水が敷

地内外に流出するケースが多く認められた。 ・このため、HDB-9, 10, 11 孔では、河川、沢の近傍での掘削である事

を考慮し、口元ガイド管を 20m 付近まで挿入し、逸水を防止すること

にした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、逸水、逸泥

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4-343

表 9-172 ボーリング調査事例シート

整理番号 310

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-6 における浅層掘削時の逸水(逸泥)

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6 事例の概要 ・22.50m においても、15.30mと同様の逸水(逸泥)が発生した。

事例が発生した原因 -

事例への対応

・再度、逸水対策セメンチングを実施したが、セメント浚渫時に逸水が

認められ、やむなく逸水母子剤(LCM)を使用した。 ・その結果、逸水は止まり、近傍の沈砂地における泥水流出も認められ

なくなった。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-8 孔までのボーリングでは、口元ガイド管は 4.00mまでと浅い

位置に挿入されていたことから、逸水が発生し、それに伴い泥水が敷

地内外に流出するケースが多く認められた。 ・このため、HDB-9, 10, 11 孔では、河川、沢の近傍での掘削である事

を考慮し、口元ガイド管を 20m 付近まで挿入し、逸水を防止すること

にした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、逸水、逸泥

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4-344

表 9-173 ボーリング調査事例シート

整理番号 311

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-7 における掘削工法の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・研究所設置地区内においてこれまでデータを取得していない勇知層の

データの取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-7

事例の概要

・口元掘削(0.00~11.69m)ノンコア 17-1/2 インチ トリコンビット

(外径 444.50mm) ・第1段階掘削(11.69~178.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(11.69~178.00m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ ト

リコンビット(外径 311.1mm) ・第2段階掘削(178.00~324.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(178.00~324.00m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 215.9mm) ・第3段階掘削(324.00~520.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-345

表 9-174 ボーリング調査事例シート

整理番号 312

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-7 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・研究所設置地区内においてこれまでデータを取得していない勇知層の

データの取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-7

事例の概要

・孔口(0.00~11.69m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-N80、外径 339.7mm、内径 317.9mm)セメンチング作業はインナーストリ

ングス法(普通セメント)で実施。 ・第1段(0.00~175.00m)9-5/8 インチケーシングパイプ(36.0lbs-

J55、外径 244.5mm、内径 226.6mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施。 ・第2段(0.00~322.00m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業は2ステージ法(普

通セメント)で実施。 ・第3段(0.00~507.00m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・HDB-7 孔はボーリング地点近傍に河川(清水川)が流れており、逸水

(逸泥)が懸念された。このため、口元ガイド管を 11.69m まで設置

している。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-346

表 9-175 ボーリング調査事例シート

整理番号 313

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-7 における掘削水の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・研究所設置地区内においてこれまでデータを取得していない勇知層の

データの取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-7

事例の概要 ・低濃度のベントナイト泥水(約 6wt%)を使用した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・11.69~324.00m 間については、ベントナイト泥水にテルポリマー

(増粘剤)を 0.1~0.2wt%添加した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ベントナイト泥水

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4-347

表 9-176 ボーリング調査事例シート

整理番号 314

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-7 における1段目ケーシングパイプの深度・径の変更

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・研究所設置地区内においてこれまでデータを取得していない勇知層の

データの取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-7

事例の概要 ・HDB-6,7,8 孔では、1段目に設置するケーシングパイプの深度を 50mから 100mに、孔径を 13-3/8 インチから 9-5/8 インチに変更した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・口元から泥水掘削をすることで孔径拡大がなくなり安定した掘削が可

能となったこと、比較的クリアランスのある 13-3/8 インチケーシング

パイプと 7 インチケーシングパイプの二重管部分のセメンチングが不

十分だったため変更された。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ケーシングパイプ

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4-348

表 9-177 ボーリング調査事例シート

整理番号 315

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 HDB-7 における 300m以深の多段ケーシング部のセメンチング方法の変

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・研究所設置地区内においてこれまでデータを取得していない勇知層の

データの取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-7

事例の概要

・HDB-6 孔以降のボーリングでは、300m 以深のセメンチングを 2 回に

分けて実施することとした。具体的には 9-5/8 インチケーシングとハ

リーバートン社製の ES(External Sleeve)ステージセメンターを使用

した 2 ステージセメンチング法を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・ハリーバートン社製の ES(External Sleeve)ステージセメンターを使

用した 2 ステージセメンチング法は国内外の石油調査井や地熱調査井

で実績があり、HDB-6 孔以降のボーリング掘削でも、その有効性を確

認した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、セメンチング

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4-349

表 9-178 ボーリング調査事例シート

整理番号 316

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-8 における掘削工法の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・大曲断層の位置の推定。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-8

事例の概要

・口元掘削(0.00~4.20m)ノンコア 17-1/2 インチ トリコンビット

(外径 444.50mm) ・第1段階掘削(4.20~113.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法

・第1段階拡孔(4.20~113.00m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ トリ

コンビット(外径 311.1mm) ・第2段階掘削(113.00~307.50m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(113.00~307.50m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 215.9mm) ・第3段階掘削(307.50~470.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

Page 351: 個別調査・解析に関する情報の分析・整理...4-4 February, 2013 Confirmation of Applicability, Extraction and Repair of Improvement Point of the Expert System for Planning

4-350

表 9-179 ボーリング調査事例シート

整理番号 317

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-8 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・大曲断層の位置の推定。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-8

事例の概要

・孔口(0.00~4.20m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-N80、外径 339.7mm、内径 317.9mm)セメンチング作業はインナーストリ

ングス法(普通セメント)で実施。 ・第1段(0.00~111.00m)9-5/8 インチケーシングパイプ(36.0lbs-

J55、外径 244.5mm、内径 226.6mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施。 ・第2段(0.00~306.04m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業は2ステージ法(普

通セメント)で実施。 ・第3段(0.00~469.24m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・HDB-8 孔は口元ガイド管を 4.20m と浅い位置に設置していおり、第

1 段コア掘削中に逸水したが、敷地内外への流出は認められなかっ

た。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-351

表 9-180 ボーリング調査事例シート

整理番号 318

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-8 における掘削水の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・大曲断層の位置の推定。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-8 事例の概要 低濃度のベントナイト泥水(約 6wt%)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ベントナイト泥水

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4-352

表 9-181 ボーリング調査事例シート

整理番号 319

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-8 における1段目ケーシングパイプの深度・径の変更

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・大曲断層の位置の推定。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-8

事例の概要 ・HDB-6,7,8 孔では、1段目に設置するケーシングパイプの深度を 50mから 100mに、孔径を 13-3/8 インチから 9-5/8 インチに変更した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・口元から泥水掘削をすることで孔径拡大がなくなり安定した掘削が可

能となったこと、比較的クリアランスのある 13-3/8 インチケーシング

パイプと 7 インチケーシングパイプの二重管部分のセメンチングが不

十分だったため変更された。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ケーシングパイプ

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4-353

表 9-182 ボーリング調査事例シート

整理番号 320

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 HDB-8 における 300m以深の多段ケーシング部のセメンチング方法の変

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・大曲断層の位置の推定。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-8

事例の概要

・HDB-6 孔以降のボーリングでは、300m 以深のセメンチングを 2 回に

分けて実施することとした。具体的には 9-5/8 インチケーシングとハ

リーバートン社製の ES(External Sleeve)ステージセメンターを使用

した 2 ステージセメンチング法を採用した。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・ハリーバートン社製の ES(External Sleeve)ステージセメンターを使

用した 2 ステージセメンチング法は国内外の石油調査井や地熱調査井

で実績があり、HDB-6 孔以降のボーリング掘削でも、その有効性を確

認した。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、セメンチング

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4-354

表 9-183 ボーリング調査事例シート

整理番号 321

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-9 における掘削工法の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 ・大曲断層に関するデータ取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-9

事例の概要

・口元掘削(0.00~26.50m)ノンコア 17-1/2 インチ トリコンビット

(外径 444.50mm) ・第1-1段階掘削(22.50~82.60m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第1-2段階掘削(82.60~125.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(26.50~125.00m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ ト

リコンビット(外径 311.1mm) ・第2段階掘削(125.00~257.50m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80 、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(125.00~257.50m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 215.9mm) ・第3段階掘削(257.50~520.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-355

表 9-184 ボーリング調査事例シート

整理番号 322

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-9 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 ・大曲断層に関するデータ取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-9

事例の概要

・孔口(0.00~25.50m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-N80、外径 339.7mm、内径 317.9mm)セメンチング作業はインナーストリ

ングス法(普通セメント)で実施 ・第1段(0.00~124.22m)9-5/8 インチケーシングパイプ(36.0lbs-

J55、外径 244.5mm、内径 226.6mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施 ・第2段(0.00~256.20m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業は2ステージ法(普

通セメント)で実施 ・第3段(208.80~519.43m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-9 孔はボーリング地点が山の上で、北西側に沢が流れており、逸

水(逸泥)が懸念された。また、セメントに汚染された掘削水による

河川の汚濁についても懸念があった。このため、処理費用を勘案し

て、20m付近までノンコア掘削とし、口元ガイド管を設置している。

この結果、河川の近傍に掘削したにも係らず、逸泥や、水質汚濁は発

生しなかった。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-356

表 9-185 ボーリング調査事例シート

整理番号 323

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-9 における掘削水の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 ・大曲断層に関するデータ取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-9 事例の概要 低濃度のベントナイト泥水(約 6wt%)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-9 孔はボーリング地点が山の上で、北西側に沢が流れており、逸

水(逸泥)が懸念された。また、セメントに汚染された掘削水による

河川の汚濁についても懸念があった。このため、処理費用を勘案し

て、20m付近までノンコア掘削とし、口元ガイド管を設置している。

この結果、河川の近傍に掘削したにも係らず、逸泥や、水質汚濁は発

生しなかった。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ベントナイト泥水

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4-357

表 9-186 ボーリング調査事例シート

整理番号 324

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-10 における掘削工法の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-10

事例の概要

・口元掘削(0.00~24.67m)ノンコア 17-1/2 インチ トリコンビット

(外径 444.50mm) ・第1段階掘削(24.67~136.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(24.67~136.00m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ ト

リコンビット(外径 311.1mm) ・第2段階掘削(136.00~298.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(136..00~298.00m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 215.9mm) ・第3段階掘削(298.00~500.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第4段階掘削(500.00~550.00m)オールコア HQ ビット(外径

101.00mm)WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-358

表 9-187 ボーリング調査事例シート

整理番号 325

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-10 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-10

事例の概要

・孔口(0.00~24.67m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-N80、外径 339.7mm、内径 317.9mm)セメンチング作業はインナーストリ

ングス法(普通セメント)で実施 ・第1段(0.00~135.08m)9-5/8 インチケーシングパイプ(36.0lbs-

J55、外径 244.5mm、内径 226.6mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施 ・第2段(0.00~297.10m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業は2ステージ法(普

通セメント)で実施 ・第3段(262.94~499.31m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施 ・第4段(500.00~550.00m)HQ ボーリング孔裸孔仕上げ(外径

101.00mm) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-10 孔の敷地近傍に河川(ペンケエベコロベツ川)が流れてお

り、逸水(逸泥)が懸念された。また、セメントに汚染された掘削水

によ河川の汚濁についても懸念があった。このため、処理費用を勘案

して、20m付近までノンコア掘削とし、口元ガイド管を設置してい

る。この結果、河川の近傍に掘削したにも係らず、逸泥や、水質汚濁

は発生しなかった。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-359

表 9-188 ボーリング調査事例シート

整理番号 326

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-10 における掘削水の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-10 事例の概要 低濃度のベントナイト泥水(約 6wt%)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・HDB-10 孔の敷地近傍に河川(ペンケエベコロベツ川)が流れてお

り、逸水(逸泥)が懸念された。また、セメントに汚染された掘削水

によ河川の汚濁についても懸念があった。このため、処理費用を勘案

して、20m付近までノンコア掘削とし、口元ガイド管を設置してい

る。この結果、河川の近傍に掘削したにも係らず、逸泥や、水質汚濁

は発生しなかった。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、ベントナイト泥水

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4-360

表 9-189 ボーリング調査事例シート

整理番号 327

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-10 における裸孔区間の確保

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 HDB-10

事例の概要 ・調査技術適用試験の場所として裸孔部を確保するニーズがあり、520~550m を孔径約 100mm の裸孔区間とした。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・掘削開始当初から泥水掘削を行ったため、孔径拡大は 小限に留めら

れ、微流量・流向測定の原位置適用試験を裸孔区間で実施できたこと

から、変形もなく裸孔が保持されていることが確認できた。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、裸孔

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4-361

表 9-190 ボーリング調査事例シート

整理番号 328

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-11 における掘削工法の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題

・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 ・これまでに実施した解析結果の妥当性や地下深部における地下水の水

質を把握するための調査機器の原位置での適用性確認。 ・深度 1,000m 付近の地質環境データの取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16~17 年度 事例の発生個所 HDB-11

事例の概要

・口元掘削(0.00~23.00m)ノンコア 20 インチガイド管掘削 ・第1段階掘削(23.00~153.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第1段階拡孔(23.00~153.00m)ノンコア・拡孔 17-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 444.50mm) ・第2段階掘削(153.000~453.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第2段階拡孔(153.00~453.00m)ノンコア・拡孔 12-1/4 インチ

トリコンビット(外径 311.1mm) ・第3段階掘削(453.00~803.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビット

(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 ・第3段階拡孔(453.00~803.00m)ノンコア・拡孔 8-1/2 インチ ト

リコンビット(外径 215.9mm) ・第4段階掘削(803.00~1020.00m)オールコア 6-1/4 インチ ビッ

ト(外径 158.80mm、内径 92.00mm)3 重管 WL 工法 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削工法

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4-362

表 9-191 ボーリング調査事例シート

整理番号 329

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-11 におけるケーシングプログラムの実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題

・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 ・これまでに実施した解析結果の妥当性や地下深部における地下水の水

質を把握するための調査機器の原位置での適用性確認。 ・深度 1,000m 付近の地質環境データの取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16~17 年度 事例の発生個所 HDB-11

事例の概要

・孔口(0.0~22.21m)20 インチ SGP ガイド管(外径φ508.0mm、内

径φ492.2mm)セメンチング作業はインナーストリングス法(普通セ

メント)で実施 ・第1段(0.00~151.95m)13-3/8 インチケーシングパイプ(61 lbs-

N80、外径 339.7mm、内径 317.9mm)セメンチング作業はインナー

ストリングス法(普通セメント)で実施 ・第2段(0.00~451.60m)9-5/8 インチケーシングパイプ(36.0lbs-

J55、外径 244.5mm、内径 226.6mm)セメンチング作業は2ステー

ジ法(普通セメント)で実施 ・第3段(0.00~801.01m)7 インチケーシングパイプ(20lbs、J-55、外

径 177.8mm、内径 164.0mm)セメンチング作業は2ステージ法(普

通セメント)で実施 ・第4段(747.39~1018.00m)4-1/2 インチケーシングパイプ(9.5lbs-

H40、外径 114.30mm、内径 103.9mm)セメンチング作業はライナー

ハンガー法(普通セメント)で実施 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ケーシングプログラム

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4-363

表 9-192 ボーリング調査事例シート

整理番号 330

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 HDB-11 における掘削水の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握およびボーリング孔や

コアを用いた調査手法の適用性把握。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題

・平成 15 年度までに構築した地質環境モデルを更新するために必要

な、研究所設置地区境界部におけるデータ取得。 ・これまでに実施した解析結果の妥当性や地下深部における地下水の水

質を把握するための調査機器の原位置での適用性確認。 ・深度 1,000m 付近の地質環境データの取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 16~17 年度 事例の発生個所 HDB-11 事例の概要 ・低濃度のベントナイト泥水(約 6wt%)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ベントナイト泥水

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4-364

表 9-193 ボーリング調査事例シート

整理番号 331

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延におけるボーリング調査に係る土地の賃貸借

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・ボーリング工事中のみならず、その後の用地の利用も考慮し、用地の

賃貸借をする。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町

事例の概要

・各孔に係る土地賃貸借の実績は以下のとおり。既述は、面積;ボーリ

ング後に行われるモニタリング等の用地利用項目;諸手続きの順であ

る。 HDB-1:3025.1m2;地下水長期観測、GPS 観測、仮設倉庫、資材置

場;特になし HDB-2:1825.3m2;地下水長期観測、地震観測、GPS 観測;森林施業

計画変更 HDB-3:5225.0m2、:地下水長期観測、遠隔監視システム、資材置場;

特になし HDB-4:1403.7m2(2 箇所から借り入れ);地下水長期観測、気象観測

GPS 観測、遠隔監視システム;農用地区域除外 HDB-5:1074.9m2;地下水長期観測、地震観測、GPS 観測、遠隔監視

システム;農用地区域除外 HDB-6;研究所用地内 HDB-7;3641.0m2、地下水長期観測;特になし HDB-8;1074.6m2、地下水長期観測、遠隔監視システム;農用地区域除

外 HDB-9;5263.5m2(2 箇所から借り入れ);地下水長期観測;森林施業

計画変更 HDB-10;687.6m2;地下水長期観測;農用地区域除外 HDB-11;4950.8m2;試錐調査用地(2006 年現在);森林施業計画変更

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ボーリング用地、賃貸借

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4-365

表 9-194 ボーリング調査事例シート

整理番号 332

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延におけるボーリング調査に係る許認可手続きに関する関連法令

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの結果を基

に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区の選定を実施し、

選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分な厚さと

広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯調査によって判定

する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層などの地質構造を示唆する

ものであるので、その深度を適切に把握すること。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地質層序を

判定する。

課題 ・ボーリング工事中のみならず、その後の用地の利用も考慮し、許認可申請を行

う。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町

事例の概要

幌延町での各種調査において許認可手続きの対象となった関係法令は以下のとお

り。 ・農地法 ・農業振興地域の整備に関する法律(農振法) ・森林法 ・鉱業法 ・文化財保護法 ・道路法 ・道路交通法 ・河川法 ・気象業務法 ・労働安全衛生法 ・放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 ・火薬類取締法 ・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法9 ・北海道条例 ・幌延町例

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・ 判断根拠

・申請書を提出してから許可が下りるまでの期間は、早いもので 1 日、長いもの

で 3 ヶ月を要した。 ・申請の準備期間として、さらに 3~4 ヶ月程必要。 ・準備期間の項目;土地調査、地権者との交渉、賃貸借契約、書類作成、約場と

の調整、所内の調整、機構内の調整など ・農地法、農振法、森林法に係る申請は JAEA が実施するものであるが、今まで

の実績から、場所が決定してから許可が下りるまで半年程度の時間を要する。

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、ボーリング用地、許認可申請

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4-366

表 9-195 ボーリング調査事例シート

整理番号 333

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延における調査に係る農地法への対応

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・ボーリング工事中のみならず、その後の用地の利用も考慮し、許認可

申請を行う。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町 事例の概要 ・電磁探査と地震探査の作業時おける申請。

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・農地(牧草地)を一時的に農地以外の目的(この場合は探査)で使用

するために、農地法 5 条第 1 項の規定に基づき、一時転用手続きを申

請した。 事例への対応結果 ・申請がとおり、探査を実施できた。

ノウハウ・判断根拠 ・牧草の 2 番草か 3 番草の収穫が終わってから作業することとなり、作

業期間は実質 10 月以降に限られた。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、許認可申請、農地法

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4-367

表 9-196 ボーリング調査事例シート

整理番号 334

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延における調査に係る農地法(開発許可申請)への対応

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・ボーリング工事中のみならず、その後の用地の利用も考慮し、許認可

申請を行う。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町 事例の概要 ・HDB-4, 5, 8, 10 おける申請。

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・農用地に位置するボーリング調査地点において工事を実施するため

に、農地法 15 条第 1 項の規定に基づき、開発許可申請をした。 事例への対応結果 ・申請がとおり、調査を実施できた。

ノウハウ・判断根拠 ・許可が下りてから 3 ヶ月、6 ヶ月、終了時に、報告書の提出が義務付

けられている。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、許認可申請、農地法、開発許可申請

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4-368

表 9-197 ボーリング調査事例シート

整理番号 335

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延における調査に係る農地法(農用地区域除外申請)への対応

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・ボーリング工事中のみならず、その後の用地の利用も考慮し、許認可

申請を行う。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町

事例の概要 ・研究所用地およびボーリング調査終了後に幌延深地層研究終了時まで

モニタリングを実施する場合の申請。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・農地法 13 条 農地進行地域整備計画の変更に基づき、農用地区域除

外申請をした。

事例への対応結果 ・申請がとおり、研究所用地の貸借、モニタリング調査等を実施でき

た。

ノウハウ・判断根拠

・ボーリング調査後の長期モニタリングにつては、ボーリング掘削段階

ではそれに必要な敷地面積と期間について開発許可申請を行い、その

後、モニタリング等のための必要 小限の敷地面積に対し農用地区域

除外申請をした。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052

キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、許認可申請、農地法、農用地区域除外申

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4-369

表 9-198 ボーリング調査事例シート

整理番号 336

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延における調査に係る森林法への対応

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・ボーリング工事中のみならず、その後の用地の利用も考慮し、許認可

申請を行う。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町 事例の概要 ・HDB-2, 9, 11 おける申請。

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・森林に位置するボーリング調査地点において工事を実施するために、

森林法 12 条第 1 項の規定に基づき、開発許可申請をした。 事例への対応結果 ・申請がとおり、調査を実施できた。

ノウハウ・判断根拠

・JAEA が直接手続きを行わず、当該地域の森林を管理する森林組合に

申請代行を依頼。 ・申請には森林組合で管理している資料とデータが必要であることか

ら、申請代行する方が効率的。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、許認可申請、森林法

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4-370

表 9-199 ボーリング調査事例シート

整理番号 337

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延におけるボーリング掘削工程

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・適切な掘削工程の設定

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町

事例の概要 ・HDB-1、2 の掘削工程計画は D-1 の掘削工程実績に基づき、掘進率を

15m/日と計画した。しかし、この工程からは遅れることになった。 事例が発生した原因 ・掘削トラブルもあったが、実際の掘進率は当初は 10m/日であった。

事例への対応

・HDB-3 以降の掘削では HDB-1, 2 を基に 12m/日に設定し、掘削計画

を策定した。 ・HDB-6 以降は、掘削当初よりベントナイト泥水を用いたこと、岩石の

硬さに合わせ掘削ビットを変更した。

事例への対応結果 ・掘進率とコア採取率が向上。 ・ほぼ当初計画通りに調査を進めることができるようになった。

ノウハウ・判断根拠 ・同様の掘削方法の事例から、掘進率を推定。 ・過去の実績に基づく、適切な工程への計画立案/変更。

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘進率

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4-371

表 9-200 ボーリング調査事例シート

整理番号 338

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延におけるボーリング掘削のための水井戸掘削

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・掘削水の確保

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 13 年度~ 事例の発生個所 幌延町

事例の概要 ・HDB-1、2 では近傍に沢などがなかったため、幌延町内において深度

70m の水井戸を掘削し掘削水とした。 ・掘削水はタンクローリーで運搬した。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・水井戸は温度、pH、EC を定期的に測定し、その変動をモニタリング

した。 ・また、地下水化学成分分析、同位体分析も実施し、水質の変動幅を確

認した。 ・コア観察の際に使用する洗浄用水としても水井戸の水を使用した。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、掘削水、水井戸

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4-372

表 9-201 ボーリング調査事例シート

整理番号 339

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 幌延における定方位コアの問題点

調査の目的 既往の空中物理探査、地上物理探査、地質調査、ボーリング調査などの

結果を基に、大曲断層が存在する可能性を念頭に置き、研究所設置地区

の選定を実施し、選定された地区に地質環境の大略を把握すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・掘削中のインナーチューブの回転

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 幌延町

事例の概要

・HDB-4, 5, 6 では定方位コアリングを実施した。各定方位コアリング

の実績については別シートに記載した。 ・定方位コアはインナーチューブ先端のコアリフターに取り付けられて

いるナイフでついた傷の方位を、測定した傾斜方位で確認し、コアの

方位を同定するものである。 ・理論上はインナーチューブは回転しないためコアに直線的な傷がつく

はずであったが、コアの深度とともにゆっくり回転し、コアの傷が螺

旋状になり、正確な方位が不明となった。

事例が発生した原因 ・インナーチューブが、アウターチューブに回転に伴い、非常にゆっく

り回転してしまった。

事例への対応 ・螺旋状の傷の開始された方向を規定の方向とみなし、コアの方位を決

定した。 事例への対応結果 ・上記により、とりあえずコアの方位を決定できた。

ノウハウ・判断根拠

・傷が不明瞭な場合もあり、傷の開始点が必ずしも分からない場合もあ

った。 ・また、傷がつく前に回転が始まっていたことも否定できす、コア方位

については、的確な決定ができなかた。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、定方位コア、インナーチューブ

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4-373

表 9-202 ボーリング調査事例シート

整理番号 340

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 BTV 前の孔内洗浄 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

堆積軟岩を対象としたボーリング調査では掘削水に泥水を使用すること

が望ましく(孔壁拡大等の防止のため)、その掘削が所定深度に達した後

は、まず泥水環境下で可能な孔内調査を行い、次に孔内洗浄・清水置換

を経た後に清水環境下で実施すべき孔内調査が行われる。このうち、清

水環境下で実施した孔内調査の手順に関する事例を紹介する。 調査項目と方法 BTV による孔壁画像調査を行った。

課題 泥水ボーリング掘削孔の孔壁画像を BTV で調査する前には、孔内洗

浄・清水置換を行う必要がある。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 泥水ボーリング掘削を行った堆積軟岩の孔壁画像を BTV で調査する前

に孔内洗浄・清水置換を行ったが、画像調査時、孔内に浮遊物が残存し

て画像が不鮮明であったため、調査手順の変更を行った。

事例が発生した原因 孔内洗浄・清水置換後から孔壁画像調査(BTV)を実施するまでの時間

が短かった。

事例への対応

清水環境下での孔内調査とし

て、地質環境情報の基礎デー

タの取得を優先させる観点か

ら、孔内洗浄・清水置換(孔

内容積の約 3 倍量)を実施し

た翌日、まず孔壁画像調査

(BTV)を行った。しかしな

がら、画像調査時、孔内に浮

遊物が残存して画像が不鮮明

であったため、調査手順の変

更を行った。手順の変更に際

しては、フローメータ検層時

の孔内揚水、および流体検層時の孔内純水置換による孔内洗浄効果を期

待した。

事例への対応結果 フローメータ検層および流体検層後の孔壁画像調査(BTV)では、画像

が鮮明で、孔底に至るまで壁面の地質状況を確認することができた。

ノウハウ・判断根拠

既往の経験から、泥水を清水に置換しても直ぐにはカッティングスの浮

遊等によって孔内水に濁りが残っていることは分っていたが、孔内洗

浄・清水置換後 12 時間程度では濁りが完全に解消されていないという

結果が得られた。したがって、BTV による孔壁画像調査の実施に際して

は、事前の孔内洗浄・清水置換を入念に行い、更に、ある程度の期間を

経てから実施すべきである。なお、工程面に制約がある場合は、孔内洗

浄効果が期待できる孔内検層(フローメータ検層および流体検層等)を

先に実施することも有効である。 参考文献 調査経験者へのインタビュー

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4-374

整理番号 340

キーワード ボーリング、孔壁画像、BTV、孔内洗浄、清水置換

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4-375

表 9-203 ボーリング調査事例シート

整理番号 341

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 インナーチューブの改良 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

大深度ボーリング調査では、ワイヤーライン掘削工法(以下、「WL」と

記す。)が採用されることが多い。同工法で使用されるトリプルコアバレ

ルのインナーチューブは通常スプリット式だが、事象が発生した地質環

境特性(破砕状を呈し、孔壁の安定性が低い岩盤)に対応できるようイ

ンナーチューブを改良した事例を紹介する。

調査項目と方法 ・掘削工法および掘削孔径:PQ3-WL ・調査深度:500 m

課題

孔壁の安定性が低い岩盤は応力が解放されると崩れやすく、ボーリング

掘削で採取したコアを地上でコアバレルから取り出し、インナーチュー

ブを開いてコア箱に移動させる際に、元の形状を残さない程に崩れてし

まうことがある。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

PQ3-WL 工法によるボーリング調査において、通常のスプリット式イン

ナーチューブを用いていたが、途中から孔壁の安定性が低い岩盤が出現

した。採取したコアを地上でコアバレルから取り出し、インナーチュー

ブを開いてコア箱に移動させる際に、元の形状を残さない程に崩れてし

まうという事態に陥ったため、インナーチューブを改良した。 事例が発生した原因 孔壁の安定性が低い岩盤が厚く分布していたため。

事例への対応

インナーチューブとして、使い切りの透明アクリルチューブを用い、こ

れをそのままコア箱に収納するようにした。なお、コア箱への収納前

に、アクリルチューブのおもて面を切開し(裏面はそのまま受け皿とし

て使用)、コア観察に支障をきたさないようにした。

事例への対応結果 地上でコアバレルから取り出したコアが崩れることなく、コア箱に収納

することができた。また、アクリルチューブを透明にしたことで、コア

バレルから取り出した直後に採取状況が分るという利点もあった。

ノウハウ・判断根拠 アクリルチューブの切開角度を当初は 180 度としていたが、これを 120度に狭めることで、収納時に細片・破片状コアのこぼれ落ちを防止する

ことができた。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、掘削、ワイヤーライン、インナーチューブ、地質

従来のスプリット式インナーチューブを開いた状況。

アクリルチューブをコアバレルから取りだした状況。

アクリルチューブのおもて面を切開した状況。

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4-376

2 0 m6 インチケーシ ンク ゙

4 インチケーシ ンク ゙

2 0 0 m

5 0 0 m

H Q

孔壁の安定性の低い岩盤が予想に反して出現

表 9-204 ボーリング調査事例シート

整理番号 342

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 ケーシングプログラム 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

大深度ボーリング調査では、所定深度に到達するまでに複数段のケーシ

ングパイプ(孔壁保護)が設置されるが、事前に計画したケーシングプ

ログラムで所定深度までのボーリング調査が実施出来なかった事例を紹

介する。

調査項目と方法

・掘削孔径:HQ(98 mm)、 ・調査深度:500 m ・第 1 ステージ(深度 0~ 20 m):6 inch ケーシングによる孔壁保護

・第 2 ステージ(深度 20~200 m):4 inch ケーシングによる孔壁保

護 ・第 3 ステージ(深度 200~500 m):裸孔

課題

ケーシングプログラムは、深度、掘削孔径、および予想される地質性状

(一般に浅部の地質状況が悪く、深部に向けて良好になるケースを想定

することが多い)を勘案して事前に計画するもので、掘削途中で大幅な

変更はできない。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

第 2 ステージ(深度 200 m)までの掘削、各種孔

内調査、およびケーシング設置が終わり、第 3 ス

テージの掘削を開始して間もなく(深度約 210 mで)、孔壁の安定性が低い岩盤が予想に反して出

現した。以深のボーリング調査をどのように進め

るか検討した結果、当該地質区間をケーシングで

抑えれば確実に孔壁を保護することができるが、

第 3 ステージの途中でケーシングを挿入すれば以

深の掘削孔径を HQ より小さくしなければならな

い(それに伴って一部の孔内調査が実施不可とな

る)こと、および孔壁の安定性が低い岩盤の連続

性が不明であったことから、深度 50 m 間隔で、

掘削→孔内調査→孔壁保護(セメンチングを採

用)を繰り返すこととした。 事例が発生した原因 孔壁の安定性が低い岩盤が予想に反して出現したため。

事例への対応 (紙面の都合により概要欄で記載)

事例への対応結果

深度 250 m で掘削を一旦中断し、孔内調査後にセメンチングによる孔壁

保護を試みたが、孔壁の安定性が低くセメンチングが難航した。また、

当該地質が以深にかけても連続して分布していたことから、工程・費用

面の制約もあり、深度 350 m にてボーリング調査を断念した。

ノウハウ・判断根拠

必要な掘削孔径(98 mm)に対して、計画した 終ケーシング径(第 2ステージの 4 inch ケーシングの内径 102 mm)が小さかった。ケーシン

グプログラムは、場合によっては更にもう一段設置できる尤度を持たせ

た孔径とした方が良い。

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4-377

整理番号 342

参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、掘削、孔壁保護、ケーシング、セメンチング

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4-378

表 9-205 ボーリング調査事例シート

整理番号 343

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 ケーシング寸法 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

大深度ボーリング調査では、1 本ごとのパイプの長さに誤差があると、

それを累積した場合の実際の長さは設計長と乖離が生じていることがあ

るため注意が必要である。ここでは、ケーシングパイプの長さに乖離が

生じていた事例を紹介する。

調査項目と方法 ・ケーシング設置位置:深度 291 m ・1 本当りのケーシング寸法:公称値 5.450 m

(5.500 m でネジ切り長 0.050 m)

課題

ボーリング調査では、掘削に使用するツールス(ロッド等)の長さは 1本ごとに計測・管理されているが(これが深度管理の基準になるため)、

孔壁保護に用いるケーシングパイプの長さについては、工場から搬送さ

れてきた数十本のパイプのうちの数本を抜き取り、全長をリボンテープ

(目盛の 小単位は 5 mm)等で計測されるに止まっていることが多

い。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

ケーシングパイプの抜き取り検収後に計画どおり深度 291 m まで設置

し、セメンチングも行い、その後、フロートシューの切削に取りかかっ

たところ、ケーシング設置位置が深度 290 m である(計画に対して 1 m短い)ことが判明した。

事例が発生した原因 1 本当りのケーシング長さが公称値どおりと信じ込んでいたため。

事例への対応

ケーシングパイプのタリーリストには問題がなかった

ため、念のために現地に残っている 2 本のケーシン

グパイプの有効長をスチール製メジャーで計測したと

ころ(300 m 分のケーシングパイプを準備していた

ので 2 本余っていた)、それぞれ 5.436 m および

5.438 m という結果が得られた(ネジ切り部の長さが

長く、実測長が公称値と比べてそれぞれ 1 cm 以上短

かった)。この僅かな長さ不足が 54 本分累積したこ

とが、全体で 1 m 短くなった原因と考えられた。

事例への対応結果

全長で 1 m 程度の乖離であった(かつ、短い方に乖離していた)ため、

大きな問題は発生せず、その後のボーリング調査を再開できたが、仮に

2m も長い方に乖離した場合は、セメンチングに必要なスラリー循環余

長が確保できず、ケーシングセメンチングの施工自体、失敗していた可

能性があった。したがって、次ステージのケーシング設置に際しては

(設置深度 400 m を計画)、ケーシングパイプ 1 本ごとの有効長をスチ

ール製メジャーで計測するとともに、インナーストリングス挿入後(セ

メンチングにおけるスラリー注入前)に、ケーシング設置深度を再確認

することとした。

ノウハウ・判断根拠 公称値と実測値には若干誤差があることを認識し、工場出荷時の品質管

理を過信せず、本数はもとより、1 本ごとの有効長を現場で計測するこ

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4-379

清水で導通状況を確認して

いる様子

整理番号 343

とが大深度ボーリング調査では重要である。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、掘削、ケーシング、公称値、寸法

表 9-206 ボーリング調査事例シート

整理番号 344

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トップアウトジョブによるケーシングセメンチング 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

大深度ボーリング調査では、孔壁を保護するために複数段のケーシング

が設置される。ここでは、第 2 段(深度 200 m)のケーシング設置時の

通常セメンチングにおいてスラリーが送入できなくなり、そのリカバリ

ーとして行ったトップアウトジョブセメンチングの事例について紹介す

る。 調査項目と方法 孔壁保護としてのケーシング設置(フルホールセメンチング)

課題 セメントスラリーの作液から注入完了までは 3 時間以内に行わなければ

ならない(セメントが固化するため)。また、セメントスラリーの固化速

度は季節(気温)によっても異なる。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

ケーシング設置時の通常セメントスラリー送入中に、ポンプ圧が上昇し

て途中から送入できなくなるという事態が発生した。作液から 2 時間経

過していたこともあり、残セメントの固化前にプラント等の洗浄および

残セメントの処理を行う必要もあったため、送入を断念せざるを得なか

った。ただ、当初の目的(フルホールセメンチング)を達成するため、

後日、細管を用いたトップアウトジョブセメンチングを行いリカバリー

した。

事例が発生した原因

通常セメンチングにおいて、途中からセメントスラリーが送入できなく

なった原因は確定できなかったが、下記事項が推定された。 ・フロートシュー内で詰まりが生じた。 ・掘りクズがセメントスラリー中に混入して詰まりが生じた。

事例への対応

まず、途中で断念した通常セメンチングの頭部

深度を確認するとともに(→深度 115 m)、第 1段 6 inch ケーシングと当該第 2 段 4 inch ケー

シングの隙間(パッチの厚さも考慮すると片側

14.4 mm)に入る細管を調べた(→SGP 管で外

径 13.8 mm、内径 9.2 mm)。次に、この細管で

必要セメント量(2,000 L)を所定時間内に送入

できるセメントスラリーの配合および特性値を

机上で検討し、この検討結果を地上試験で確認

し、配合に改良を加えた。更に、現場作業時は下記の工夫を行った。 ・細管の先端は閉塞し(挿入中の目詰まりを予防)、先端 1m の側部に送

入孔を複数設けた。 ・細管の接続は Tig 溶接とした(挿入中の引っかかりを予防)。 ・細管は隙間に対角に 2 セット配置し、2 セット同時にセメントスラリ

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4-380

整理番号 344

ーを送入できるようにした(挿入時間を短縮)。

事例への対応結果 入念に準備を行ったこともあり、細管を用いたトップアウトジョブセメ

ンチングは無事に実施できた。

ノウハウ・判断根拠 ケーシングプログラムは、互いの隙間があまり狭くならないよう、尤度

をもたせた寸法を計画することが望ましい。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、孔壁画像、BTV、孔内洗浄、清水置換

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4-381

風荷重 および 震度

表 9-207 ボーリング調査事例シート

整理番号 345

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 ボーリング櫓の安定性検討 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

大深度ボーリング調査で使用する櫓は、それ自身の重量と形状によって

安定に設計された仮設構造物であるため、平地で使用する場合、使用者

がその安定性を再検討することは一般に行われていないが、ここでは土

地所有者からの要請を受けて行った安定性検討の事例を紹介する。 調査項目と方法 ボーリング調査で使用する櫓の安定性を検討すること。

課題 ボーリング櫓の安定性を検討するための指針は特にない。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

深度 500 m 級のボーリング櫓(鋼製で、高さ 36 m、底面 9 m 四方、重

量 62 t)の安定性検討を、擁壁等に対して適用する仮設構造物指針に基

づいて行った。また、念のために、現地で安全対策(補強工事)を行

い、その結果も安定性検討に反映させた。

事例が発生した原因 ボーリング計画地点の近傍に建物があることから、ボーリング櫓の安定

性を検討するよう土地所有者から要請があったため。

事例への対応

①安定性確認 強風時の風荷重および地震時の震度が櫓に水平力と

して作用すると想定し、その際の櫓の転倒・滑動計

算を行った。その結果、63 m/s までの強風、震度 6弱までの地震に対しては安定であることが計算で確

認された。 ②安全対策(補強工事) 地表面に基礎コンクリートを打設し(10 m 四方

で、下層 30 cm を砕石、上層 30 cm をコンクリー

ト)、ボーリング櫓をこの上に設置し、更に、基礎コ

ンクリートとボーリング櫓をアンカーで固定し、安

定性をより高める対策を施した。

事例への対応結果 安全対策(補強工事)により、99 m/s までの強風、震度 6 強までの地震

に対しては安定であることを計算で確認した。

ノウハウ・判断根拠

風速は風の吹き方によって絶えず強弱の変動があるが、99 m/s は「強烈

な台風(風速 54 m/s 以上)」に相当もしくはこれを超える風速であるこ

と、および震度 6 強の地震は「這わないと動くことができない。固定し

ていない家具の殆どが移動し、倒れるものが多くなる。大きな地割れ、

大規模な地すべり、および山体の崩壊が発生することがある」レベルで

あることを土地所有者に説明し、理解を得た。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、櫓、安定性、強風、地震

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4-382

表 9-208 ボーリング調査事例シート

整理番号 346

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 建設リサイクル法に基づいた手続き 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

ボーリング調査終了後に現状復旧を行う場合、仮設時に打設したベース

コンクリート等の撤去を行う必要がある。この際に発生するコンクリー

トガラは産業廃棄物ではなく、再資源化しなければならないと建設リサ

イクル法で定められている。

調査項目と方法

所定管轄署(都道府県知事等)への届け出は発注者が行うが、必要書類

は元請業者も協力して作成しなければならない。各種書類の作成・提出

フローは下図のとおり。

課題

・届け出は、現場作業着手日の 7 日前までに行わなければならない。 ・コンクリートガラを産業廃棄物として処理した場合、あるいは適切に

処理しなかった場合、「分別解体等又は再資源化等に関する命令に違反し

た者」となり、 大 50 万円以下の罰金が科せられる。 知識レベル 浅い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

ボーリング調査の仮設時に打設するベースコンクリートおよびセーラコ

ンクリートを調査終了後に撤去する計画であったことから、撤去時に発

生するコンクリートガラの再資源化の届出を、建設リサイクル法に基づ

き、現場作業着手日の 7 日前までに所定の管轄署に行った。 事例が発生した原因 ボーリング調査終了後に現状復旧を行う必要があったため。

事例への対応

①元請業者から発注者に説明書を提出 ②ボーリング調査の契約 ③発注者から所定の管轄署に届出書を提出 ⑧元請業者から発注者に再資源化等報告書を提出(各数字は上図に対

応)

事例への対応結果 所定の管轄署から発注者への変更命令(④)、および元請業者への助言・

勧告・命令(⑦)等は特に無かった。(各数字は上図に対応)

ノウハウ・判断根拠 発注者および元請業者ともに建設リサイクル法を熟知しておかなけれ

ば、現場着手の遅延に繋がることになる。 参考文献 調査経験者へのインタビュー

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4-383

整理番号 346

キーワード 建設リサイクル法、ボーリング、掘削、仮設、現状復旧

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4-384

表 9-209 ボーリング調査事例シート

整理番号 347

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 孔内検層データ取得に必要なボーリング掘削の余掘り 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

ボーリング調査において、掘削が所定の深度に到達した後には、地質環

境情報を取得する目的で各種孔内検層が実施される。この際、所定深度

までのデータを確実に取得するためには、検層プローブの長さを考慮し

た余掘りをボーリング掘削時に行っておかなければならない。その事例

を紹介する。 調査項目と方法 孔内検層

課題 孔内検層のプローブは、各種計測機器によって長さ(特に測定点から下

方への余長)が異なる。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

ボーリング調査において、所定深度までの孔内検層データを確実に取得

するため、使用する各種孔内検層プローブの長さ(特に測定点から下方

への余長)を調べ、これを勘案してボーリング掘り止め深度を決定し

た。 事例が発生した原因 所定深度までの孔内検層データを確実に取得するため。

事例への対応

使用する各種孔内検層のプローブ余長は下記のとおりであった。 ①キャリパー(孔径)検層:0.35 m ②比抵抗型孔壁画像検層(EMI):0.80 m ③超音波型孔壁画像検層(BHTV):1.00 m ④インダクション検層(DIL):3.50 m ⑤音波 P-S 検層(LFDL):2.80 m ⑥自然ガンマ線・中性子検層:0.32 m、⑦温度検層:1.80 m ⑧音波検層:3.20 m、⑨密度検層:0.70 m

事例への対応結果

検層プローブの も

長い余長(DIL 検層

の 3.5 m)、および

ボーリング掘削で発

生する掘りクズの孔

底埋没長を勘案して

5 m の余掘りを行っ

たが、孔底埋没長が

予想以上に厚く、DIL 検層データの一部

に欠損区間が生じた。ただし、この欠損

区間のデータは次ステージの検層時に取得することとした。

ノウハウ・判断根拠

孔内検層プローブは計測点が 下端に位置しているわけではないので、

使用するプローブの余長を事前に調べておくことが重要である。また、

掘り止め深度は、当該区間のケーシング設置深度とも密接に関係するた

め、地質状況(孔内状況)も併せ、十分な検討が必要である。また、孔

内検層はステージ毎に分けて実施されるが、ステージ間の接合部に検層

データの欠損区間を生じさせない努力も必要である。

Page 386: 個別調査・解析に関する情報の分析・整理...4-4 February, 2013 Confirmation of Applicability, Extraction and Repair of Improvement Point of the Expert System for Planning

4-385

整理番号 347

参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、掘削、物理検層、プローブ、余掘り

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4-386

表 9-210 ボーリング調査事例シート

整理番号 348

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 堆積軟岩に対する清水掘削 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要 堆積軟岩を対象としたボーリング調査では、掘削水に泥水を使用するこ

とが望ましいと既往の経験から学んでいるが、水理試験に与える泥水掘

削の影響を確認するために、敢えて行った清水掘削の事例を紹介する。

調査項目と方法 「泥水掘削後に孔内洗浄・清水置換を経て実施した水理試験データ」と

「清水掘削で形成されたボーリング孔で実施した水理試験データ」を比

較し、水理試験に与える泥水掘削の影響を調べること。

課題 堆積軟岩を対象としたボーリング調査で、掘削水に清水を使用すると仕

上がり孔径が拡大しやすい。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 上記の両者のデータを比較することを目的として堆積軟岩に対して清水

掘削を行ったところ、予想以上に孔径が拡大した。

事例が発生した原因 堆積軟岩を対象としたボーリング調査で、掘削水に清水を使用したため

である。

事例への対応 泥水掘削はワイヤライン三重管の HQ(孔径 98 mm)ダイヤモンドビッ

ト、清水拡孔掘削は孔径 142.9 mm のトリコンビットを使用した。

事例への対応結果

清水拡孔掘削後に実施したキャリパー検層

の結果を右図に示す。掘削孔径 142.9 mmに対し、仕上がり孔径が 200~250 mm に

まで拡大していた。そのため、正規の拡孔

径に適用できるよう制作した水理試験装置

(外径 130 mm のパッカー)で、「 大パ

ッカー作動圧力」が「必要 低パッカー圧

(孔径分の拡張圧+シール圧+静水圧)」を

上回るかどうか、および泥水掘削後に実施

した際の既往パッカー圧をかけられるかど

うか(比較すべき両者の試験条件を統一す

るため)を判断指標とし、孔径が拡大した

清水拡孔掘削後の水理試験箇所の選定を行

うこととした。

Page 388: 個別調査・解析に関する情報の分析・整理...4-4 February, 2013 Confirmation of Applicability, Extraction and Repair of Improvement Point of the Expert System for Planning

4-387

ノウハウ・判断根拠

清水拡孔掘削後に実施できた水理試験は 3 箇所に留まった。ただ、その

データを「泥水掘削後に孔内洗浄・清水置換を経て実施した水理試験」

データと比較したところ、両者からほぼ同様な水理定数が得られた。し

たがって、堆積軟岩を対象としたボーリング調査では、水理試験を念頭

に置いても、掘削水に泥水を使用することが望ましいと言える。なお、

清水掘削では下記の要因で孔径拡大が起こりやすい。これはダイヤモン

ドビットでもトリコンビットでも同じである。 ・泥壁等による孔壁への補孔ができない。 ・スライムの排出が困難となり(掘削水の比重が軽く粘性も低い)、スラ

イムを排出するために送水量を増やせば孔壁へのダメージも大きくな

る。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、堆積軟岩、清水掘削、泥水掘削、孔壁拡大

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4-388

表 10-1 岩芯地質調査事例シート

整理番号 349

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 掘削現場おける泥質堆積岩の判定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題

・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 ・地表路頭による両者の岩石は、双方とも酸化され茶褐色の岩石であり

区別がつきにくい。但し、声問層はある程度塊状、稚内層はある程度

剥離性がある頁岩状であることが把握された。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 幌延町、HDB-1 および HDB-2 孔

事例の概要 特に HDB-1 において、現場において声問層と稚内層の識別をすること

が非常に困難であった。

事例が発生した原因

地表路頭における声問層、稚内層の見かけと岩芯による見かけが異なっ

た。岩芯では声問層の浅部は緑灰色を呈したものの、その色調が深度と

ともに漸移し、後日声問層と判定された深深度のものでも暗褐色を呈し

た。一方、稚内層も深部の声問層と同様の色調を呈し、岩石も塊状で剥

離性を示さなかった。そのため、両者は非常に似通うことになり、現地

での岩芯観察では地層の判定をすることができなかった。

事例への対応

声問層と稚内層の鉱物学的な相違は、声問層は珪藻を主体としたアモル

ファスシリカ(Opal A)、稚内層は続性作用により結晶が生じた Opal C/T が主体である。このことは固結度、すなわち硬さに反映されること

から、硬さを数値化できるエコーチップによる測定を採用した。また、

色調についても声問層と稚内層では同様の暗褐色といえども若干の差が

あることから色差計を用いて色調を現場で測定することとした。

事例への対応結果

次年度の HDB-3 孔以降の岩芯調査においてエコーチップと色差計を用

いた測定をすることにより、硬さと色調の急変部を抽出することによ

り、声問層と稚内層の境界深度を現場である程度予想することが可能と

なった。

ノウハウ・判断根拠

・エコーチップは岩芯の大きさによっては測定値にばらつきがでるの

で、測定する岩芯の大きさを決めておくなど、条件をそろえることが

望ましい。 ・声問層、稚内層ともに空気にさらされる時間に応じて酸化し色調が変

化するので、色差の測定は採揚後の時間がなるべく早く行う。 ・硬度、色調ともに岩石の変化を示唆するものであるが、 終的には X線回折分析により Opal の結晶度に基づいて地層を判定すること。硬

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4-389

整理番号 349

度、色調による判定はあくまでも現場における暫定にとどめること。 参考文献 三菱マテリアルテクノ社の技術者インタビューによる キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、硬度、色調

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4-390

表 10-2 岩芯地質調査事例シート

整理番号 350

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コア調査による岩石鑑定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・堆積岩コアと地表路頭の岩石の対比の難しさ。 ・堆積環境が似た堆積岩の地質層序の判定の難しさ。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 幌延

事例の概要

幌延町において先行して掘削された D-1 孔では浅部から深部に向かって

更別層、勇知層、声問層が分布しているが、D-1 孔掘削当時は、声問層

を「声問層上部相」とした。また、地表路頭で「声問層」とした相は

「声問層主部相」とした。但し、当時は D-1 孔では声問層上部相までで

主部相には到達しないとしていた。

事例が発生した原因 D-1 孔で観察された声問層が、地表路頭の岩石と見かけが異なったた

め。 事例への対応 継続的な調査による地質層序の検討

事例への対応結果

その後の調査で続成作用の違いにより、声問層にも種々の見かけのもの

があることが判明。微化石データ等による対比により、声問層上部相は

声問層であることが判明。現在は、声問層上部相・主部相の区分は使用

せず、全て声問層に統一。

ノウハウ・判断根拠 ・ボーリング 1 本だけの地質判定では正確な地質対比は困難。 ・微化石分析等、対比できるデータの取得計画が必要。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、泥岩、声問層、D-1 孔

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4-391

表 10-3 岩芯地質調査事例シート

整理番号 351

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コア調査による岩石鑑定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・破砕され、角礫状あるいは土砂状となったコアの鑑定

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 岩石がコア掘削時に破砕され、採揚されてきたコアが既に角礫状あるい

は土砂状となっていた。

事例が発生した原因 ・軟弱な地質岩盤のため。 ・岩盤が軟弱の原因は、岩石そのものの固結度が弱い、岩盤の亀裂が多

いため、いずれかの原因が主となる。

事例への対応

・コアの深度については詳細な情報を得ることができないので、その区

間全体が角礫状あるいは土砂状であることとする。 ・割れ目の記載は不可能なのでしない。 ・色調など取得できる情報はとる。

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・地下で角礫状、土砂状になっているわけではなく、掘削と言う行為が

あったため、岩盤が破壊されたものであることに留意する。 ・固結度が弱い場合は岩片が丸みを帯び、亀裂が多い場合は岩片が角ば

っている場合が多い傾向がある。 ・コア試験試料には向かない。例えば、粉末 X 線回折など、試料の粉砕

が必要な試験でも、深度が不明確であること、土砂状になるにあたっ

て掘削泥水で溶けだされたものもある可能性があることに留意する。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、角礫状コア、土砂状コア、コア試験

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4-392

表 10-4 岩芯地質調査事例シート

整理番号 352

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアを用いた調査項目

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・必要な情報を的確に取得できるようにする。 ・そのために、コア調査の目的を明確にする必要がある。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 調査の各段階で行われるコア調査には一つあるいは複数の目的がある。

その目的を達成するために、どのような調査をすべきかを良く考える必

要がある。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・コア調査には標準的に実施すべき項目と、目的に応じたオプショナル

な項目に分けて考えるべき。 ・標準的に実施すべき項目:岩相・岩石名、色調、コア回収率、岩盤等

級、割れ目本数、その他の気付き事項(例えば;大きな化石、ノジュ

ールの存在など) ・オプショナルな項目(幌延の場合):色調(色差計による)、硬さ(硬

度計による)、割れ目位置、割れ目角度、割れ目の特徴、成因 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・地質対比のための場合は、岩石名・岩相やそれらの特徴を丁寧にし、

化石の情報などもあった方が良い。 ・施工対策を重視する場合、RQD、岩盤等級が重要になる。 ・水理試験などを重視する場合、割れ目の情報が重要になる。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、調査項目

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4-393

表 10-5 岩芯地質調査事例シート

整理番号 353

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアを用いた調査項目と目的の提示

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・必要な情報を的確に取得できるようにする。 ・そのために、コア調査の目的を明確にする必要がある。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・コア調査の目的を、コア観察を実施する技術者に明確に示すことは重

要である。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・このコア調査で何を重視しているかを技術者に明示しておくと、それ

に沿った調査の実施できる。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・意欲的に実施してもらえるか、等閑な対応をされてしまうか、技術者

のメンタルへの配慮も重要。 ・目的も十分に説明されず闇雲に情報だけ取らせるのは、技術者の作業

負担が大きくなり、それが原因でモチベーションが落ち、等閑な対応

になる場合もあり得る。 ・技術者が目的を理解できると、同様の負担であってもモチベーション

を維持できる。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、調査項目

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4-394

表 10-6 岩芯地質調査事例シート

整理番号 354

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 生痕化石の記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・必要な情報を的確に取得できるようにする。 ・そのために、コア調査の目的を明確にする必要がある。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・幌延ではコアにしばしば生痕化石が見られ、その生痕化石の観察・記

載をするように求められた。 事例が発生した原因 ・生痕化石は頻繁に出現し、それらは珍しいものではなくなった。

事例への対応 ・生痕化石の記載を省略するようにした。

事例への対応結果

・生痕化石に寄与した生物のある程度の特定まででき、学術的に無意味

でなかったものの、コア掘削の主目的にはならなかった。 ・技術者の負担が軽減し、他の項目(割れ目記載など)の作業に十分な

時間をかけられるようになった。 ノウハウ・判断根拠 ・調査の主目的項目とそうではないものの明確化。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、調査項目、生痕化石

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4-395

表 10-7 岩芯地質調査事例シート

整理番号 355

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアスキャナー

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・写真等によるコアの記録の取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・幌延調査の初期の段階において、コアスキャナーによる周囲約 300°

を撮影できるコアスキャナーが導入された。

事例が発生した原因

・コアスキャナーは、孔壁 360°を撮影する BTV と逆に、コアを中心に

おいてコア周囲を撮影し、設置したコアの頂部を中心に底部を両端と

した展開画像として得られるものある。 ・導入当初は画期的で考えられたが、以下の不利点も出てきた。 ・コアを置く台が必要なので、360°の撮影は不可能。コア径にもよる

が、撮影可能なのは 300°程度。 ・コアを置く台が細いので、状態が悪いコアはアクリルチューブを半割

にしたトレーを使用するが、その場合、撮影できる範囲は 180°にな

る。つまり、見える範囲がコア写真とあまり変わらなくなり、常に画

像の両サイド 90°分(合計 180°分)が、半割トレーを通したぼやけ

た画像となった。さらに、両端約 30°分(合計 60°分)は常に台の

黒線が出てくる画像になった。 ・一度に撮影できる本数が 1 本で、撮影カメラが 1m 分移動する時間に

数分必要で時間がかかった。 ・コアは湿潤状態で撮影する必要があるため適宜水を噴霧したが、その

水が機器にかかり、特にコア台直下の部分は水滴等により汚染される

ため、常にメンテナンスが必要であった。 ・同時にデジタルカメラによる撮影も実施しており、重複感があった。

事例への対応 ・コアスキャナーによる撮影を取りやめた。

事例への対応結果

・市販のデジタルカメラの画素数の向上等により、より良い画像が得ら

れるようになっており、デジタルカメラによるコア写真で十分となっ

た。 ・コア写真では、数 m 分をまとめて撮影でき、撮影に係る時間を短縮で

きるようになった。 ノウハウ・判断根拠 ・品質の良いコア写真で目的は十分に達成される。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、コアスキャナー、コア写真

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4-396

表 10-8 岩芯地質調査事例シート

整理番号 356

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 デジタルカメラによる写真

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・写真等によるコアの記録の取得。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 デジタルカメラ写真のファイル形式

事例が発生した原因

・デジタルカメラでは写真のファイル形式を選択できる。JPG 形式が一

般的であるが、TIFF 形式やローデータも選択できる。また、この順

に画質が高くはなるが、同時にファイルサイズも大きくなる。 ・JPG 形式と TIFF 形式双方での撮影を実施したが、撮影毎に設定の変

更の必要があり、操作ミスや取り忘れなども頻発した。 事例への対応 JPG 形式のみとした。

事例への対応結果 ・現在のデジタルカメラは 1000 万画素以上あり画像も高品質となっ

た。そのため、JPG 形式だけで十分である。 ノウハウ・判断根拠 ・コア写真のその後の使い道に応じた画素数や撮影品質の選択。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、コア写真

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4-397

表 10-9 岩芯地質調査事例シート

整理番号 357

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 記載柱状図のコア写真の添付

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・分かりやすい記載柱状図フォームの作成

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・コア写真を予め添付した記載柱状図を作成し、それに観察記載をする

ようにした。 事例が発生した原因

事例への対応 ・コア写真撮影後、1m 毎に切り分け、1/5 柱状図フォームに貼り付け印

刷し記載シートとし、それに観察事項を記載した。

事例への対応結果 ・観察前に写真撮影、コア画像の編集・取り込みが必要で手間がかかる

ことになるものの、コア写真があるので視覚的に分かる部分を文字に

する必要がないので、逆に記載自体は簡略化できるようになった。

ノウハウ・判断根拠 ・コア写真の有効な使い道 ・コア記載の視覚化

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア掘削、コア写真、記載柱状図

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4-398

表 10-10 岩芯地質調査事例シート

整理番号 358

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの割れ目記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・天然割れ目と人工的な割れ目の判別

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・コアの割れ目記載で、人工的な機会割れやディスキングを天然の割れ

目として記載した。 事例が発生した原因 ・コア観察の経験不足

事例への対応 ・コア観察経験者からの教育 ・コア観察前の目合わせ ・経験の積み重ね

事例への対応結果 ・正確な記載ができるようになった。

ノウハウ・判断根拠

・コア観察では、地下に存在する割れ目を特定して記載することが必

要。 ・地下に存在しない割れ目は、記載すべきではない。但し、実際のコア

では割れ目として見えてしまうので、その旨記載する。 ・上記のためには、天然割れ目と人工的な割れ目の判定が必要。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード ・コア掘削、記載柱状図、割れ目記載、天然割れ目、人工的な割れ目、

機会割れ

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4-399

表 10-11 岩芯地質調査事例シート

整理番号 359

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの割れ目記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・天然割れ目と人工的な割れ目の判別

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 天然割れ目と人工的な割れ目の判別方法

事例が発生した原因 - 事例への対応 割れ目表面の観察

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・割れ目面に鏡肌、条線が認められる場合はせん断割れ目と判定。 ・癒着した割れ目はせん断割れ目かどうか不明ということになるが、引

っ張り割れ目が癒着することは稀である。 ・引っ張り割れ目は、割れ目表面に羽毛状構造が見られる場合がある。 ・応力開放によるディスキングにも引っ張り割れ目同様の羽毛状構造が

見られる場合があるが、ディスキングは推定的な割れ目が短い区間で

連続する場合が多いので、判別はつく。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード ・コア掘削、記載柱状図、割れ目記載、天然割れ目、人工的な割れ目、

機会割れ

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4-400

表 10-12 岩芯地質調査事例シート

整理番号 360

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 RQD の記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・天然割れ目と人工的な割れ目の判別

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・RQD のカウントに人工的な割れ目もカウントしてしまい、RQD が相

対的に悪くなった。 事例が発生した原因 ・天然割れ目と人工的な割れ目の判別が十分にできなかった。

事例への対応 ・熟練者からの指導 ・経験の積み重ね ・割れ目判別のポイントの習得

事例への対応結果 ・妥当な RQD の記載ができるようになった。

ノウハウ・判断根拠

・コアリフター位置によるコアの不連続は割れ目ではないので、コアの

外見からは不連続に見えてもその旨を記述し、連続しているものと扱

う。 ・コア箱に入れるため、1.00m の位置でコアを切断する場合が多々ある

が、当然、それもコアは連続しているものと扱う。例えば、95cm の

コと 15cm のコアが連続する場合、15cm のコアは 5cm 分カットされ

ることになり、コアの外見からは RQD95 としたくなるが、100 が正

解。 ・機会割れについては、特に軟岩の場合は RQD の算定に含める場合が

あり得る。これは、コア掘削という人為的な作用を被った場合の強度

の比較検討の意味がある。但し、この場合は、事前の RQD 算定のル

ールとして十分に協議することが必要。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード ・コア掘削、記載柱状図、割れ目記載、天然割れ目、人工的な割れ目、

機会割れ、RQD

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4-401

表 10-13 岩芯地質調査事例シート

整理番号 361

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 岩盤等級の記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・天然割れ目と人工的な割れ目の判別、それに基づいた岩盤等級

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・岩盤等級の記載で、破砕された数 cm を例えば CL や D と判定。その

結果、周辺の CH や CM 中に数 cm のみ CL や D 判定が混在すること

になった。 事例が発生した原因 ・技術者の経験不足

事例への対応

・熟練技術者からの教育 ・経験の積み重ね ・記載シートの改良 ・判定目安の策定

事例への対応結果 ・全体的な観点からの判定ができるようになった。

ノウハウ・判断根拠

・岩盤等級は元来露頭オーダーで判定するものであることを理解する。

露頭オーダーでは数 cm の区間だけの判定はしない。 ・上記のことを踏まえた上で、1m 区間全体として判定する。 ・判定目安には、岩石の硬さと割れ目密度の双方を利用する。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード ・コア掘削、記載柱状図、割れ目記載、天然割れ目、人工的な割れ目、

機会割れ、岩盤等級

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4-402

表 10-14 岩芯地質調査事例シート

整理番号 362

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 RQD の記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・RQD における縦方向の亀裂の考え方

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・コアの延長方向の亀裂(所謂縦亀裂)があり半割状態の場合、RQD を

算定する場合、困惑する場合が多い。 事例が発生した原因 ・RQD の考え方

事例への対応

・RQD の考え方を整理した。 ・ある基準線を設定し、その測線とクロスする割れ目をカウントするよ

うにした。クロスしない場合はカウントされない。

事例への対応結果 ・適切な RQD を算定できるようになった。

ノウハウ・判断根拠

・考え方は以下の二つあり得る。どちらを取るかは、取り決めの問題で

ある。但し、①の考え方を取る場合が多い。 ①縦亀裂の半割状態の場合、基準線全てが全て割れ目に該当し、コア長

0 とみなす。そのため RQD も 0。 ②コア中央に 1 本だけ水平的な割れ目があることを想定する。この場合

は 50cm のコア 2 本で RQD は 100。この割れ目角度をつけていくこ

とを考える。どんなに急傾斜であっても測線上のコア長さは 50cm の

コア 2 本とカウントされるので RQD は 100。所謂縦亀裂はこの傾斜

が約 90°になる場合。上記の考え方から、90°の時だけ RQD を 0 と

するのは不合理と考える。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード ・コア掘削、記載柱状図、割れ目記載、天然割れ目、人工的な割れ目、

機会割れ、RQD、縦亀裂

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4-403

表 10-15 岩芯地質調査事例シート

整理番号 363

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 色調の記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・色調の記載の客観化

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・色調については技術者が主観的に判断し記載していた。しかしながら、

「灰緑色」と「緑灰色」ではどう違うのかが良く分かりにくかった。 ・そのため、ロックカラーチャートが市販され、そのチャートの対比に

より客観的な記載をしてきた。しかしながら、微妙な色調についてチ

ャートのどの色と対比するかは、技術者間で差異が生じた。 事例が発生した原因 ・色調に対する技術者の主観の相違

事例への対応

・色差計を用いて色差を測定し、数値として示すようにした。 ・しかしながら、数値だけでは色調を感覚的にとらえることができない

ため、「緑灰色」など記載も併記した。 ・さらに、コア記載シートにコア写真を添付しカラーで印刷できるよう

になると、色調の記載も不必要になった。

事例への対応結果

・色調の記載の技術者間の差異をなくすることができた。 ・特に堆積岩の場合は、時間とともに参加され色調が著しく変化する。

色差の数値データから、測定時点での色調を再現できるようになっ

た。

ノウハウ・判断根拠 ・個人差が出やすい項目を以下に出にくくさせるか。 ・色差計も目的の違いから数種類出ているので、目的に沿ったものを選

択する。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、色調、ロックカラーチャート、色差計

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4-404

表 10-16 岩芯地質調査事例シート

整理番号 364

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの色の時間変化

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・コアの酸化による色の変化

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・採取してから時間がたったコアの色調が変化し、もとの色調が分から

なくなった。 ・特に微妙に色が変化した区間があったものの、地質記載上は「暗灰

色」と同じであり、ロックカラーチャートの対比記号も同じものを付

与していた。

事例が発生した原因 ・色調の微妙な変化の語彙が不足している(日本語の問題?) ・時間経過に伴うコアの酸化

事例への対応 ・色差計を用いた色調情報の数値化。 ・可能な限りコア採取後すぐに色調の測定を実施する。

事例への対応結果

・色調の記載の技術者間の差異をなくすることができた。 ・特に堆積岩の場合は、時間とともに参加され色調が著しく変化する。

色差の数値データから、測定時点での色調を再現できるようになっ

た。

ノウハウ・判断根拠

・個人差が出やすい項目を以下に出にくくさせるか。 ・色差計も目的の違いから数種類出ているので、目的に沿ったものを選

択する。 ・酸化による色調変化が予想される岩石は、採取後時間をおかずに色調

を測定すること。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、色調、色差計、岩石の酸化

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4-405

表 10-17 岩芯地質調査事例シート

整理番号 365

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 色差計によるコアの色調の誤測定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・泥水成分による色調の誤測定

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・表面に付着していた泥水成分に気付かず色差を測定し、その点だけ他

と異なる傾向のデータとなった。 ・しかしながら、コア全体としては色調に大きな差異は認められなかっ

た。

事例が発生した原因 ・コアの洗浄不足 ・色差測定位置の確認不足

事例への対応 ・コアを十分に洗浄する。特に泥水成分の付着には気をつける。 ・特異なデータの箇所の再測定。

事例への対応結果 ・特異なデータを修正することができた。

ノウハウ・判断根拠 ・コアが酸化し次第に色調が変化するので、再測定するにも時間があか

ない方が良い。 ・従って、色調データについてのその都度のチェックが必要。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード ・コア掘削、記載柱状図、色調、色差計、岩石の酸化、泥水成分の付

着、コアの洗浄

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4-406

表 10-18 岩芯地質調査事例シート

整理番号 366

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 色差計によるコアの色調の誤測定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・岩石の当該区間を代表していると考えられる場所の選択

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・コアの洗浄は十分であったものの、ノジュールが存在する変色部を測

定したため、ズレがあるデータが出てきた。

事例が発生した原因

・比較的大きなノジュールであったため、測定区間の 10cm はノジュー

ルが占めてしまっていた。 ・機械的に 10cm 間隔で色調を測定しており、そのためノジュール部分

を測定してしまった。

事例への対応 ・技術者の色調をなぜ測定するのかの認識不足。 ・ノジュールはその岩石を代表するところではないことを認識させた。 ・測定場所を変えた再測定。

事例への対応結果 ・特異なデータを修正することができた。

ノウハウ・判断根拠 ・機械的な作業はこのようなことになりやすいので、留意が必要。 ・従って、色調データについてのその都度のチェックが必要。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、色調、色差計、ノジュール

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4-407

表 10-19 岩芯地質調査事例シート

整理番号 367

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 定量的な硬さの測定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・岩石の硬さも、従来は定性的であった。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・硬さの表記に技術者間で相違が生じた。 ・岩石の硬さの表記については、例えばハンマーで打撃した場合の反動

等に基づいた定性的な基準は存在した。但し、これは露頭岩石を対象

にしたものである。 ・しかしながら堆積岩コアの場合は、上記に基づく場合ほとんどが軟岩

~かたくても中硬岩レベルであり、硬さの差異が出て来にくい。

事例が発生した原因

・岩石の硬さの表記については、例えばハンマーで打撃した場合の反動

等に基づいた定性的な基準は存在した。但し、これは露頭岩石を対象

にしたものである。 ・しかしながら堆積岩コアの場合は、上記に基づく場合ほとんどが軟岩

~かたくても中硬岩レベルであり、硬さの差異が出て来にくい。 ・定性的な表記は技術者の主観により相違が生じやすい。

事例への対応 ・エコーチップによる測定を導入。 事例への対応結果 ・硬さの情報も数値により定量化できた。

ノウハウ・判断根拠

・一言に硬度といってもいろいろあることに注意が必要。 ・例えば、鉱物のモース硬度は、鉱物の傷つきやすさを指標としてい

る。 ・エコーチップは金属片の射出速度と反射速度の差から係数を求めてい

るものであることを理解しておく。すなわち、岩石の密度や固結度に

依存する硬度である。 ・硬度を測定できる機器は各種あるが、簡便で非破壊のものが望まし

い。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、硬さ、エコーチップ

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4-408

表 10-20 岩芯地質調査事例シート

整理番号 368

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 エコーチップのメンテナンスの必要性

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・エコーチップの定期的なメンテナンス

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・長期間エコーチップを使用して硬度を測定していたが、使用の初期と

後期では値に差が出ていたことが、後日わかった。

事例が発生した原因 ・エコーチップは非破壊であるものの、金属片を射出し試料にあてるの

で、金属片が次第に汚染される場合がある。 ・金属片の汚染により、その特性が変化する場合がある。

事例への対応 ・標準試料を用いた定期的なチェックの実施。 ・エコーチップのメンテナンスを実施。

事例への対応結果 ・差異が生じる前に適切な処置ができるようになった。

ノウハウ・判断根拠 ・同様の試料を測定しているにも関わらず、差異が生じる場合がある。 ・過去の、同様の深度・層準における測定データとの対比。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、硬さ、エコーチップ

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4-409

表 10-21 岩芯地質調査事例シート

整理番号 369

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 不適切なエコーチップによる硬度の測定

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・エコーチップで測定対象とする部分の選択

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・角礫状コアの部分においてエコーチップを使用して硬度を測定したと

ころ当然のことながら、数値が低く出た。 事例が発生した原因 ・角礫状の岩片を測定対象としたため。

事例への対応 ・どのような状態の試料で測定したかを記録。

事例への対応結果 ・記録を残すことで、そのデータの使用時の注意事項とすることができ

た。

ノウハウ・判断根拠

・硬度の測定に供する試料は、ある程度の大きさが必要。 ・測定試料の大きさをある程度均一化するなど、測定条件をそろえるこ

とが必要。 ・但し、上記のようなことが不能な場合は、その旨記録しておく。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、硬さ、エコーチップ

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4-410

表 10-22 岩芯地質調査事例シート

整理番号 370

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 岩石名の鑑定ミス 調査の目的 某堆積岩地区における地質層序を確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・コア径よりも大きな礫を掘り抜いたものについて、的確に礫と判定で

きるかどうか 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・凝灰岩質の地層中に安山岩質の溶岩と考えられる岩相が出現した。そ

のため、薄い溶岩層と記したものの、実は巨大な礫を掘りぬいたもの

であることが分かった。

事例が発生した原因 ・変質もしていたため、コア観察だけでは礫かどうか判定がつきにくか

った。

事例への対応 ・周辺の地質図や他のボーリング記録などの情報を収集して比較検討し

た。 事例への対応結果 ・鑑定ミスを修正することができた。

ノウハウ・判断根拠

・コア径以上の礫を掘り抜くことは多々あり、その場合は大きな礫は地

層のように見えてしまう場合がある。 ・境界付近の状況を良く観察する。 ・鑑定したような岩相が出現する可能性があるかどうかを資料を収集

し、判定する。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、礫岩

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4-411

表 10-23 岩芯地質調査事例シート

整理番号 371

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの深度の精度

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・コアの深度は cm オーダーか mm まであるか。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・岩石コアは、地中の岩石をそのまま採取するものであるため、採取深

度に狂いは生じないように考えられる。そのため、mm オーダーでの

記載も可能と考える場合がある。 ・しかしながら、コア採取においてはいろいろな要因により採取される

コアに長短の変化が生じやすい。

事例が発生した原因

・コアロスが発生した場合 ・角礫状コアや土砂状コアの場合 ・コア採揚時に、コアの下部を挙げきれず残存させてしまった場合 ・上記の状況後、掘削を継続した場合

事例への対応 ・コアの深度の精度はせいぜい cm である。 事例への対応結果 ・その精度での記載を実施した。

ノウハウ・判断根拠

・コアロス等により、コア回収率が低下した場合はその前後の深度の精

度は低いものと考えるべき。 ・コアが短くなるほうにずれるケースが多い。 ・ビット先端とコアチューブ間にクリアランスがあり、岩石がしっかり

している場合、コアチューブよりも数~10m 程度長いコアが採取され

る場合がありえる。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・コア掘削、記載柱状図、深度、精度

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4-412

表 10-24 岩芯地質調査事例シート

整理番号 372

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの真空パック

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・採取したコアを可能な限り健全な状態で保管すること。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・コアを可能な限り健全に保管するため、真空パックを実施した。

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・真空パック装置を使用し、コアを真空パックした上でコア箱に保管し

た。 事例への対応結果 ・ある程度コア酸化などを抑えることは可能。

ノウハウ・判断根拠

・但し、時間とともにリークしていくのも事実。リークするとやはり酸

化は進行する。 ・後日コアを観察するにはコアパックを剥がす必要があるため、「ちょっ

と確認する」行為がしにくい。 ・コアパックを剥がしたのち、すぐにコアパックすることは少ない。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・岩石コア、真空パック

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4-413

表 10-25 岩芯地質調査事例シート

整理番号 373

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの封蝋による保管

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・採取したコアを可能な限り健全な状態で保管すること。

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・コアを可能な限り健全に保管するため、蝋付けした。

事例が発生した原因 -

事例への対応 ・岩石コアを料理用ラップ、アルミホイル、さらしを巻いた上で蝋付け

した。 事例への対応結果 ・ある程度コア酸化などを抑えることは可能。

ノウハウ・判断根拠

・健全性を保って保管するには も堅実な方法。 ・後日コアを観察するには封蝋を剥がす必要があるため、余程のことが

なければ観察は不可能。 ・観察よりは、永久保管用あるいは後の試験試料用と考えるべき。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・岩石コア、蝋付け

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4-414

表 10-26 岩芯地質調査事例シート

整理番号 374

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 岩芯地質調査 事例名称 コアの縦亀裂の記載

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要 地表地質調査では地表面付近のみの 2 次元的な情報しか得られない。地

層の走行傾斜等の情報から地下の状況を推定するが、 終的にはボーリ

ング調査によって確認する必要がある。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・コア亀裂方向の記載

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・コアの延長方向の亀裂を高角亀裂と記載した。しかしながら、掘削方

向は水平方向であったため、高角亀裂はむしろ地表に対して低角、コ

アでは水平に見えた亀裂が地表に対して高角である可能性がある。 事例が発生した原因 ・記載方法の問題。

事例への対応 ・割れ目の記載に際しては、高角や低角など誤解される表現は避け、角

度の数値だけ記載するようにした。 事例への対応結果 ・客観的な記載ができ、誤解を避けられるようになった。

ノウハウ・判断根拠 ・掘削方向や角度を認識することが重要。 ・水平方向に掘削したコアの縦亀裂の方向は必ずしも低角とは限らない

ことに注意。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ・岩石コア、割れ目、高角割れ目、低角割れ目

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4-415

表 11-1 掘削泥調査事例シート

整理番号 375

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査による岩石鑑定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的には、ター

ゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要 地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削を実施する

のが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって発生する掘りくず(カ

ッティングス、スライムともいう)を観察して地層を判定する。

調査項目 と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離するスクリーン

シェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実体顕微鏡を用いて観察

し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、変質の程度等を観察し、記載す

る。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものであるため、細粒

になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水に洗い流さ

れて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間がかかるよ

うになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられない。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに粉砕して観

察しても、カッティングスと同じような見かけになりにくい。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 地熱開発井において、ターゲットとした地層中を掘削しているのか、それともその

地層は既に通り過ぎてさらに深い基盤岩(結晶質岩)に逢着したのかが掘削工事中

は判断つかなかった。結果的には基盤岩には到達していなかったことが判明した。

事例が発生 した原因

過去に掘削した他の坑井地質の事例より、結晶質岩が緑色変質する場合があること

が分かっていた。また、その上位に分布する火山砕屑岩に白色の脈石が多く含ま

れ、それが白色の石英が多かったことから、細粒のカッティングスだけでは判定が

つかなかった。

事例への対応

掘削中のカッティングスの実体顕微鏡観察では判定がつかなかったが、後日カッテ

ィングスの岩石薄片観察によって岩石名を判定した。一方、上位に分布する火成岩

と結晶質岩では、掘進率と帯磁率に差があることが判明。次期調査からは掘削記録

から掘進率のデータを入手するとともに、携帯型帯磁率を用いてカッティングスの

帯磁率を測定することとした。 事例への 対応結果

上記の対応を取ることにより、カッティングスによる地層区分がしやすくなり、掘

削後に実施される比抵抗検層との整合性も向上した。

ノウハウ・ 判断根拠

・出現が予想される岩石を地表あるいは初期に行われる岩石コアを観察し、岩石を

把握しておくことが望ましい。但し、コアとカッティングスでは見かけに相違が

生じることに留意すべき。 ・掘削データは非常に有効であるが、特に掘進率は使用するビットの種類、ビット

の使用時間、ビット荷重に依存するので、そのような情報の総合的な判断が必要

とされる。 ・掘削データは地質の判定等に有用になることが多いので、可能な限り取得してお

くべき。 ・帯磁率測定は岩石の厚さ等に依存するので、可能な限り同じ条件になるように留

意する。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

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4-416

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温泉開発

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4-417

表 11-2 掘削泥調査事例シート

整理番号 376

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査による岩石鑑定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスによる岩石鑑定

事例が発生した原因 -

事例への対応

・カッティングスは、トリコンビットにより岩石が粉砕されたものであ

る。カッティングスを構成する岩石片の量比から岩石名を決定する。

カッティングスは常に上部の深度の岩片が混合することが避けられな

いことを考慮した上で、 も量が多い岩片がそのカッティングスが採

取された深度の岩石目と判断する。 ・火砕岩の場合は、凝灰質の岩片と溶岩岩片がある程度の割合で混合し

た構成になる場合が多い。但し、凝灰角礫岩か火山礫凝灰岩かなどの

判定カッティングスの判定だけでは不可能。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-418

表 11-3 掘削泥調査事例シート

整理番号 377

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスの採取間隔

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的に

は、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削を

実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって発生

する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地層を判

定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離するス

クリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実体顕

微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、変質の

程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものであるた

め、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水に

洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間が

かかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられない。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに粉

砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにくい。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスの採取間隔

事例が発生した原因 -

事例への対応

カッティングスは基本的に逐次排出されるものであるため、排出順に並べ

るとコアと同様の地層層序を得ることができる。しかしながら、カッティ

ングスを全て採取することは、その量が膨大になるため、現実的ではな

い。そのため、ある程度の深度毎に採取するのが通常である。考え方は以

下のとおり。 ・等間隔で採取。この場合、掘削する試すい孔の 終深度と掘削速度に応

じて決定する。但し、今までの 1,500m 級の試すい孔では 5m ないし

10m 毎が一般的(10m が も多い)。等間隔であるので、使い勝手が良

い、記載になる。 ・掘り管 1 本毎。この場合 6m ないし 9m になる場合が多い。上記の 10m

では 9m 掘り管 1 本終了後、さらに 1 本追降し 1m 掘削した時点でカッ

ティングスを採取することになる。しかしながら掘り管 1 本掘削終了時

に掘り管を上下させ孔内清掃する。この時点でその深度までのカッティ

ングスはほぼ排出されることになるため、カッティングスと深度の対比

はつきやすい。但し、深度情報が、6m 毎、あるいは 9m 毎と中途半端な

表記になる。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

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4-419

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温泉

開発

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4-420

表 11-4 掘削泥調査事例シート

整理番号 378

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスの等間隔深度以外の採取

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスの等間隔深度以外の採取

事例が発生した原因 -

事例への対応

カッティングスは基本的に逐次排出されるものであるため、排出順に並

べるとコアと同様の地層層序を得ることができる。カッティングスは等

間隔で採取されることは別シートに既述した。規定以外の深度において

も補足的に採取することにより、地層層序深度の情報をより詳細にでき

る。 ・採取したカッティングスの推定深度は、現在の掘削深度よりも浅いこ

とに留意。通常、ポンプの流量と泥水の粘性などから泥水の流速を求

められており、それに従い、孔底から孔口までに上がってくるまでの

時間を計算できる。その時間差からどのくらい前の時間のカッティン

グスが採取されることになるかを推定し、その時点における深度が採

取したカッティングスの深度と判断する。 ・上記の推定作業は掘進速度が早い場合は必要になるが、遅い場合はあ

まり気にする必要はなくなる。 ・地層境界が推定される深度付近はこのような補完的採取を実施すべき

であるが、それ以外の深度では規定深度だけで十分である。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

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4-421

整理番号 378

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-422

表 11-5 掘削泥調査事例シート

整理番号 379

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスの等間隔深度以外の採取

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスの等間隔深度以外の採取

事例が発生した原因 ・複雑な地質層序をカッティングス調査により把握すること。 事例への対応 ・規定深度以外に地質技術者自らによる補完的採取を実施。

事例への対応結果

・溶岩と凝灰岩が互層状に入り組んでいる地層のカッティングスによる

観察で補完的採取を実施。 ・岩相変化をより詳細に把握することができ、後刻実施された比抵抗検

層等の結果と整合的な地質柱状図を得ることができた。

ノウハウ・判断根拠

・補完的な試料採取は、特に決められていず、地質技術者の裁量によ

る。 ・但し、規定深度付近は避け、中間深度の試料を採取できるようタイミ

ングを図ることが重要。 ・地層変化が複雑な時はインターバルを細かくした方が良いものの、そ

うでないときは、補完採取は不要。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-423

表 11-6 掘削泥調査事例シート

整理番号 380

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスの採取量

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスの採取量

事例が発生した原因 -

事例への対応

・カッティングスの採取量は、観察・記載だけであればコーヒーカップ

1 杯程度で十分である。 ・カッティングスの試料としての保管、岩石試験等を実施する場合は、

それを検討した上で量を増減する。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-424

表 11-7 掘削泥調査事例シート

整理番号 381

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる微化石分析

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスによる微化石分析

事例が発生した原因 -

事例への対応

・カッティングスでは大型化石や生痕化石などは粉砕されて判定不能と

なるが、微化石については十分鑑定可能である場合が多い。例えば、

八丈島の地熱開発井掘削においては、地下 1,000m 付近の岩石より、

有孔虫化石を検出することができた。 ・トリコンビット掘削では一般的に泥水掘削を実施する。これはカッテ

ィングスを安全に排出するために必要な措置である。試料として採取

されるカッティングスは観察する前に、泥水の成分を除去するために

清水で洗浄する。清水に珪藻が含まれている場合があり得るので、珪

藻化石の検出には不向き。 ・だからと言って、カッティングスの洗浄に蒸留水を使用するのはナン

センスである。既に掘削泥水(つまり、清水+泥材)と接しているた

め。微化石の種類によって向き・不向きがあるので留意が必要。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、微化石分析

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4-425

表 11-8 掘削泥調査事例シート

整理番号 382

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス地質柱状図

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングス地質柱状図

事例が発生した原因 -

事例への対応

・カッティングス地質柱状図の縮尺は、5m ないし 10m 毎の試料採取の

場合、1/500(10m を 2cm で表記、A3 用紙縦方向使用で 30cm、すな

わち 150m 分の記載)が 適。 ・別シートに記した、補完的深度でカッティングスを採取した時は、そ

の深度の記載も行う。 ・記載内容は、深度などのほか、色調、カッティングス中の岩片の割

合、変質鉱物、脈石鉱物の有無、有の場合は鉱物種など。 ・色調はカッティングス全体としての色調を記す。別途、カッティング

ス・プレート(別シート参照)を作成する場合は、それとの対比がで

きる。 ・記載内容として硬さを記しても良いが、岩片としての硬さで、岩石全

体の硬さではないことに注意。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

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4-426

整理番号 382

泉開発、カッティングス地質柱状図

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4-427

表 11-9 掘削泥調査事例シート

整理番号 383

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 透明アクリルの試料箱を用いたカッティングス試料の保管

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 別シートではカッティングス・プレートの作成を紹介しているが、透明

アクリルの試料箱を用いても良い。 事例が発生した原因 -

事例への対応 ・数 cm 角の透明アクリルの試料箱に十分に乾燥させたカッティングス

を封入・保管。

事例への対応結果 ・試料箱を並べると柱状図の役割を果たす。 ・必要に応じて試料箱内の試料を、試験等に供することも可能。

ノウハウ・判断根拠 - 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、透明アクリル試料箱

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4-428

表 11-10 掘削泥調査事例シート

整理番号 384

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス・プレートの作成

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的に

は、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削を

実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって発生

する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地層を判

定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離するス

クリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実体顕

微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、変質の

程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものであるた

め、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水に

洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間が

かかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられない。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに粉

砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにくい。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・地熱開発の現場では、採取したカッティングスを幅 10cm、長さ 120cm程度のプラスチック板に深度毎に張り付けて柱状図状にした、カッティ

ングス・プレートを作成している。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・実物岩石が張り付いた柱状図として重宝する。 ・1/500(10m を 2cm、1m に 500m 分で表現)程度で作成するのが岩石の

変化が分かりやすく、現実的である。 ・別シートに記した記載柱状図の縮尺に合わせるとさらに良い。 ・別シートに記した補完的深度の記載をした場合は、それに応じてカッテ

ィングスの貼り付けを工夫すると、より地質の変化が分かりやすいプレ

ートにすることができる。 ・カッティングス・プレートを試すい孔毎に並べて、実際の岩石で比較で

きることが売りであるので、あくまで、岩石の比較対比用に使用し、カ

ッティングス・プレートにその他の情報を記載させることは避けるべ

き。詳細な記載は柱状図に行うべき。 ・カッティングス・プレートに張り付けた岩石片は経年的に変色などが起

こり得ることを理解しておくこと。但し、ラッカー等の噴霧によりある

程度変色を遅らせることは可能。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

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4-429

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温泉

開発、カッティングス・プレート

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4-430

表 11-11 掘削泥調査事例シート

整理番号 385

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査による岩石鑑定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスの不利点

事例が発生した原因 -

事例への対応

カッティングスは岩石コア観察よりは以下の点で不利である。 ・観察深度が明確でない。 ・地質や岩石の構造が破壊されている(例えば割れ目の有無、それらの

角度など) ・元の岩石から失われるものもある(粘土質なものは流出してしまう場

合が多い) ・逆に、上方の深度の岩片の混入が避けられない。すなわち、当該深度

以外の岩片の混入が避けられない。 ・正確な岩石名を決定できない(凝灰角礫岩と火山礫凝灰岩は砕かれた

場合は判別不能である) 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-431

表 11-12 掘削泥調査事例シート

整理番号 386

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査による岩石鑑定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスの利点

事例が発生した原因 -

事例への対応

カッティングスによる地質観察/判定の利点は以下のとおり。 ・カッティングスは連続的に排出されるため、ある程度リアルタイムで

地層の判定が可能である。 ・カッティングスの観察には実体顕微鏡を用いるため、コアよりも詳細

な観察ができる場合がある。例えば、黄鉄鉱による鉱染が全体的なも

のかどうかなどは、コアよりも判断しやすい。 ・岩石コアの観察できる部分は表面に限られるため観察面積が大きくは

とれないが、カッティングスでは細粒の岩片ではあるものの観察面積

が大きくなる。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-432

表 11-13 掘削泥調査事例シート

整理番号 387

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる地層判定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ある場所の温泉開発のためのボーリングで、予想される地質は浅部が堆

積岩、深部の基盤岩は結晶質岩であった。 終段一つ前のケーシングを

基盤に逢着してすぐに設置する必要があった。

事例が発生した原因 ・周囲の地質情報から、堆積岩は褐色系、基盤岩は淡緑色(緑色片岩)

であることがわかった。

事例への対応 ・予想される基盤岩逢着深度に近くなった深度から排出されるカッティ

ングスの色調の変化に注意を払うよう掘削作業員に指示した。

事例への対応結果

・カッティングスにより地層を判定し、その目的を達することができ

た。 ・掘削作業員が排出されるカッティングスの色調に注意を払っていた結

果、予想通りに色調が変化した時点で地質技術者に報告。 ・地質技術者が基盤岩であることを確認。 ・確認されたことを受けて掘削技術者が停掘を指示、ケーシング設置を

実施した。

ノウハウ・判断根拠

・当該地区の地質情報から、掘削で出て来うる岩石の予測。 ・それらの逢着深度の的確な予測。 ・カッティングスの特徴(この場合は色調)の的確な把握と、地質技術

者、掘削技術者/作業員との適切な情報共有。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

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4-433

整理番号 387

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-434

表 11-14 掘削泥調査事例シート

整理番号 388

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査 個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる地層判定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的には、ター

ゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要 地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削を実施する

のが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって発生する掘りくず(カ

ッティングス、スライムともいう)を観察して地層を判定する。

調査項目 と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離するスクリーン

シェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実体顕微鏡を用いて観察

し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、変質の程度等を観察し、記載す

る。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものであるため、細粒

になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水に洗い流さ

れて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間がかかるよ

うになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられない。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに粉砕して観

察しても、カッティングスと同じような見かけになりにくい。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ 終段一つ前のケーシングを基盤に逢着してすぐに設置する必要があり、その深

度によって準備するケーシングやセメントの数量が変動するため、逢着深度の予想

が重要となった。 事例が発生 した原因

・ある場所の温泉開発のためのボーリングで、予想される地質は浅部が堆積岩、深

部の基盤岩は結晶質岩であった。

事例へ の対応

・周囲の地質情報から、堆積岩は褐色系、基盤岩は淡緑色(緑色片岩)であること

がわかった。 ・堆積岩は 3 層あることがわかっており、過去にやや離れた場所で実施されたボー

リング情報もある程度得られ、掘削前には予想断面図も作成できていた。 ・カッティングスの観察により堆積岩 3 層の境界深度を決定した。

事例への 対応結果

・カッティングスの観察により、堆積岩の境界深度が、それぞれ予想断面図よりも

数十 m 浅いことは判明。 ・このことは周囲の地層の走行傾斜から地層の傾斜ではなく断層等によるずれと判

断。しかしながら、地質図では断層は記載されていず、潜在的な断層と判断。 ・上記のことから基盤岩も数十 m 浅くなると予測し、逐次予想断面図を改訂。 ・結果的に、 終予想よりも数 m の深く基盤岩に逢着し、ケーシングパイプ 1 本

分の長さ(約 9m)以内での予測を達成することができた。

ノウハウ・ 判断根拠

・当該地区の地質層序の情報や、周辺地質の走行傾斜等の情報から断層を推定。 ・予想断面図の作成と、カッティングス観察によるほぼリアルタイムな断面図の改

訂。 ・カッティングスの特徴の的確な把握と、地質技術者、掘削技術者/作業員との適

切な情報共有。

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4-435

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温泉開発

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4-436

表 11-15 掘削泥調査事例シート

整理番号 389

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる地層判定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的には、ター

ゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要 地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削を実施する

のが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって発生する掘りくず(カ

ッティングス、スライムともいう)を観察して地層を判定する。

調査項目 と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離するスクリーン

シェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実体顕微鏡を用いて観察

し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、変質の程度等を観察し、記載す

る。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものであるため、細粒

になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水に洗い流さ

れて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間がかかるよ

うになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられない。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに粉砕して観

察しても、カッティングスと同じような見かけになりにくい。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ターゲット層の境界までの深度を把握することにより、ケーシング設置深度を決

定し、ケーシングやセメントを準備することとなった。

事例が発生 した原因

・ある場所の地下深部には黒色の泥岩と灰~白色の凝灰岩が互層となっている層順

があり、その層の上部は泥岩が卓越、下部は凝灰岩が卓越することがわかってい

る。 ・その層順の下位には緑色の凝灰岩が分布しており、その層が開発のターゲットと

なっている層である。

事例への 対応

・カッティングスの色調から層順を判断するため、排出されるカッティングスの色

調を掘削作業員に伝え、色調の変化を地質技術者に伝えてもらうよう掘削技術者

に依頼。 ・上記については、深度までは把握できないことが多いので、作業員が見た時刻あ

るいは時間帯で報告して頂き、掘削記録から教えてもらった時間帯の掘削深度を

推定。 ・既存のボーリングをコンパイルして得られた、地質断面図を作成。その断面図に

現在掘削しているボーリングをトレースし、地質情報の整合性等を確認/逐次改

訂。

事例への 対応結果

・掘削技術者/作業員の協力により、規定採取のカッティングス以外の地質情報が

えら得られるようになった。 ・上記の結果、地層の変化をより詳細に把握することが可能になり、地層境界等の

推定がより正確になった。

ノウハウ・ 判断根拠

・当該地区の地質層序の情報や、周辺地質の走行傾斜等の情報から断層を推定。 ・予想断面図の作成と、カッティングス観察によるほぼリアルタイムな断面図の改

訂。 ・カッティングスの特徴の的確な把握と、地質技術者、掘削技術者/作業員との適

切な情報共有。

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4-437

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温泉開発

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4-438

表 11-16 掘削泥調査事例シート

整理番号 390

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる開口割れ目の把握

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 カッティングスによる開口割れ目の把握

事例が発生した原因 ・温泉ボーリングでは、地下に温泉の水みちとなる割れ目が存在するか

どうかが、停掘/増掘の判断の材料になる。

事例への対応

・上記の判断は検層結果等も含め総合的に判断するものであるが、まず

はカッティングスの地質調査から判断する。 ・特に温泉の場合は、温泉の水みちとなる割れ目の存在を示唆する変質

した岩石の岩片の多寡、岩片の鉱染の度合いから、温泉水の存在を推

定。 ・自形の鉱物は、鉱物結晶が成長できる空洞を示唆するものであるの

で、自形鉱物を探す。

事例への対応結果

・上記の対応の結果 2 パターンに分かれる。 ①変質した岩片も存在せず、自形鉱物もない場合:結局当該深度では温

泉は得られず、増掘が決定された。 ②自形鉱物が存在した場合:温泉を得ることができた。

ノウハウ・判断根拠 ・岩石の変質の度合いと後で析出した鉱物など、2 次鉱物の存在による

判断。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-439

表 11-17 掘削泥調査事例シート

整理番号 391

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる掘削事故の予知

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・カッティングス中に金属片が多く混入するようになった。

事例が発生した原因 ・特に傾斜井では、上部に設置したケーシングパイプと掘り管、あるい

はリーマーなどが接触するなどが原因で、金属片が混入する場合があ

る。

事例への対応

・少量の金属片であれば、そんなには珍しいものではない。 ・カッティングスに混入する金属片が急激に増加したことが、カッティ

ングスの観察から判明。 ・即座に掘削技術者に報告した。

事例への対応結果

・掘削を停止し、掘削ツールの編制替えやビット荷重、回転数の調整を

行うなどの対策を実施した。 ・その結果、カッティングスに含まれる金属片は減少した。 ・掘削事故を未然に防ぐことができたと考えられる。

ノウハウ・判断根拠 ・もともと地層には含まれない物質の混入。 ・混入物の起源の推定。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、金属片

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4-440

表 11-18 掘削泥調査事例シート

整理番号 392

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス中の擬似脈石の混入

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・カッティングス中に白っぽい鱗片状の破片が含まれることがある。

事例が発生した原因 ・白っぽいので、微細方解石や沸石類の脈石と勘違いし、そのように記

載される場合がある。

事例への対応 ・カッティングスより必要量を採取・収集し、X 線回折分析を実施。 ・その結果、脈石を示唆する鉱物ではなく、むしろ岩片に近い。

事例への対応結果

・そのような目でみると白っぽい鱗片状の破片の表面に「条線状」の線

が見られるものも希にあり、磁石に引きつけられるなど磁性を持つも

のも存在する。 ・上記の結果、地層の岩片が粉砕され、ドリリングパイプと孔壁に押し

付けられて形成されたものと推定。

ノウハウ・判断根拠 ・もともと地層には含まれない物質の混入。 ・混入物の起源の推定。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、金属片、鱗片状破片

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4-441

表 11-19 掘削泥調査事例シート

整理番号 393

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 掘削ツールの落下物の採揚ツール内の岩片

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・掘削ツールの一つである、ローラーリーマーのローラの一つが軸の金

属疲労により破断・落下、ジャンクバスケットなどの採揚器で回収を

試みた時に、一緒に上がってきた岩石を採取した。

事例が発生した原因 ・掘削ツールの一つである、ローラーリーマーのローラの一つの軸の金

属疲労による破断・落下。

事例への対応 ・ジャンクバスケットなどの採揚器で回収を試みた時に、一緒に上がっ

てきた岩石を採取した。

事例への対応結果

・掘削時排出されるカッティングスの岩片の大きさは、数 mm 程度であ

るが、ジャンクバスケットで採取された岩片の大きさは、数 cm 大で

あった。 ・採取された岩片は、掘削の状況等から孔底付近のものと推定。

ノウハウ・判断根拠 ・トリコンビットにより一次的に発生する岩片の大きさは数 cm 大であ

り、それが、孔底において数 mm まで粉砕されるものと推定された。

・掘削事故による怪我の功名 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、リーマー、採揚器

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4-442

表 11-20 掘削泥調査事例シート

整理番号 394

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査による透水割れ目の判定

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 温泉ボーリングにおいて、掘削はしたものの温泉が得られなかった。

事例が発生した原因 ・掘削泥水による泥壁により水みちの割れ目が閉塞されたためと考えら

れる。

事例への対応 ・カッティングス調査からは、自形の鉱物結晶などが観察さ、開口割れ

目が存在することが示唆された。 ・泥壁を可能な限り除去できるよう、孔内洗浄を数度繰り返した。

事例への対応結果 ・上記の結果、温泉水を得ることができた。 ノウハウ・判断根拠 ・カッティングス中の自形鉱物の存在による割れ目存在の推定。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発

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4-443

表 11-21 掘削泥調査事例シート

整理番号 395

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 地質技術者による鑑定の差異

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 地質技術者によって、カッティングスの岩石判定に差異が生じる場合が

ある。

事例が発生した原因 ・地質技術者のカッティングス観察の経験差。 ・一人の技術者においても観察早期と後期で記載内容等に差異が生じる

場合がある。 事例への対応 ・複数の技術者による目合わせの実施。

事例への対応結果 ・上記の結果、技術者間の観察の差異を小さくできる。

ノウハウ・判断根拠 ・別シートに記したカッティングス・プレートや透明アクリル試料箱の

試料は非常に有効。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、カッティングス・プレート、透明アクリル試料箱

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4-444

表 11-22 掘削泥調査事例シート

整理番号 396

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 地質技術者による鑑定の差異

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 一人の技術者においても観察早期と後期で記載内容等に差異が生じる場

合がある。

事例が発生した原因

・地質技術者の習熟度、慣れの差。 ・複数年業務に携わるとき、初年度とそれ以降では記載に差異が生じる

場合がある。 ・単一業務であっても、観察初期(主に浅部)と後期(深部)で記載に

差異が生じる場合がある。

事例への対応 ・技術者の教育。 ・他の技術者のチェック。 ・技術者本人による、過去の記載内容の見直し。

事例への対応結果 ・上記の結果、観察の差異を小さくできる。

ノウハウ・判断根拠 ・別シートに記したカッティングス・プレートや透明アクリル試料箱の

試料は非常に有効。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、カッティングス・プレート、透明アクリル試料箱

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4-445

表 11-23 掘削泥調査事例シート

整理番号 397

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングスによる地質調査の有用性

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 ・地熱開発段階における調査

事例の概要 ・カッティングスによる地質調査と BTV や EMI などの孔壁画像を組み

合わせることにより、より短い工期である程度の地質情報は得られ

る。

事例が発生した原因 ・カッティングスはコアよりも得られる情報が限定されるのは事実であ

る。

事例への対応 ・カッティングス調査で岩石名や鉱物の情報収集し、BTV や EMI 等の

孔壁画像により割れ目等の情報を収集し、それらの情報を組み合わせ

る。

事例への対応結果 ・全てコア掘削するよりも、調査にかかる工期を短縮できる。 ・割れ目情報は BTV 等で取得するため、コアで発生しやすいディスキ

ングや人為的な破断の多くは排除できる。

ノウハウ・判断根拠

・調査の初期の段階ではコア採取による調査は必要。コア調査があって

こその手法であることに留意。 ・また、浅深度のボーリングに対して逐一 BTV 等を実施することは、

費用的不利。従って、この手法は調査目的に応じて考える。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、検層、BTV

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4-446

表 11-24 掘削泥調査事例シート

整理番号 398

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 掘削泥調査 事例名称 カッティングス調査に必要な物品

調査の目的 カッティングスを観察することによる地質岩石を判定すること。 終的

には、ターゲットとした地層に逢着したかどうかを判定すること。

調査の概要

地熱や温泉の開発段階においては、トリコンビットによるノンコア掘削

を実施するのが一般的である。その際は、トリコンビット掘削によって

発生する掘りくず(カッティングス、スライムともいう)を観察して地

層を判定する。

調査項目と方法

泥水循環システムの途中にある、カッティングスと掘削泥水を分離する

スクリーンシェーカーからカッティングスを採取し、ルーペあるいは実

体顕微鏡を用いて観察し、カッティングスを構成する岩石、脈石鉱物、

変質の程度等を観察し、記載する。

課題

・カッティングスは、トリコンビットによって岩石を砕いたものである

ため、細粒になると判定が困難な場合がある。 ・岩石が変質して粘土になっているような場合、粘土の部分が掘削泥水

に洗い流されて消失してしまう場合がある。 ・深くなるにつれて、カッティングスが上昇し、排出されるまでに時間

がかかるようになる。また、上方の深度の岩片の混入が避けられな

い。 ・上記の理由により、当該地層の岩石コア等をカッティングスサイズに

粉砕して観察しても、カッティングスと同じような見かけになりにく

い。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 ・地熱開発段階における調査 事例の概要 ・カッティングス調査に必要な物品はコア調査と異なる。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・カッティングス採取:シェルシェーカーから直接採取し、ざく溜めか

らすくわないこと。採取する際は、可能であればバケツ等で十分。 ・カッティングスの洗浄:笊(可能であれば篩)を用い、通水しながら

泥水成分を洗い流す。洗浄を十分にしないと、泥水中に含まれる有機

成分が腐敗し、後日カッティングスそのものの腐敗の原因になる。 ・カッティングスの観察:ルーペ、可能であれば双眼の実体顕微鏡、カ

ッティングスを入れる白色受け皿(直径 10cm 程度の植木鉢の受け皿

が使いやすい)、ピンセット(先が曲がったものの方が使いやすい)、

光源(デスクライト)。 ・カッティングスの保管:布あるいはビニールの試料袋

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー

キーワード トリコンビット、ノンコア、カッティングス/スライム、地熱開発、温

泉開発、

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4-447

表 12-1 物理検層事例シート

整理番号 399

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 DH-1 における物理検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要 ・物理検層: キャリパー、電気、温度

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理探査

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4-448

表 12-2 物理検層事例シート

整理番号 400

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 DH-2 における物理検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5 年度 事例の発生個所 DH-2

事例の概要 物理検層:0~500m 温度、電気、キャリパー、中性子、自然放射能、音波、密度、孔壁観察

(超音波) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-007 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理検層

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4-449

表 12-3 物理検層事例シート

整理番号 401

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 DH-3 における物理検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5~6 年度 事例の発生個所 DH-3

事例の概要 物理検層: 温度、電気、キャリパー、中性子、自然放射能、音波、密度、孔壁観察

(超音波)(275~1000m) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-3 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理検層

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4-450

表 12-4 物理検層事例シート

整理番号 402

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 DH-4 における物理検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4

事例の概要

物理検層: 温度、電気、キャリパー、中性子、自然放射能、音波、密度、孔壁観察

(超音波式)(0~505m) 孔曲がり測定:0~500m(10m 間隔)孔井記録傾斜儀(村田式マルチプ

ルショット) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理検層

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4-451

表 12-5 物理検層事例シート

整理番号 403

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 DH-5 における物理検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・実施項目: 電気、密度、中性子・ガンマ・スペクトル、音波、キャリパー、孔曲り ・396.00m以深で破砕帯に遭遇した時にも検層を実施とあるが、詳細は

不明。キャリパーは実施したものと考えられる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5 事例の概要 -

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理検層

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4-452

表 12-6 物理検層事例シート

整理番号 404

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 DH-15 における物理検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要 実施項目: 電気、密度、中性子・ガンマ・スペクトル、音波、キャリパー、孔曲り

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理検層

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4-453

表 12-7 物理検層事例シート

整理番号 405

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 HDB-1 における物理検層の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

・物理検層: - キャリパー検層(50.3~148.5、50.3~213.2、215.0~419.0、417.7~717.4m) - 温度検層(0.0~148.0、0.0~212.5、0.0~419.0、0.0~717.6m) - 中性子・ガンマ線検層(50.3~148.4、50.3~213.3、215.0~419.5、417.7~717.6m) - 中性子検層(50.3~148.5、130.0~213.4、215.0~419.9、417.7~718.0m) - 密度検層(50.3~148.2、130.0~213.2、215.0~419.5、417.7~717.4m) - 電気検層(50.3~138.8、130.0~212.8、215.0~419.2、417.7~717.3m) - 音波検層(50.3~137.2、50.3~213.4、215.0~419.0、417.7~717.8m - 電磁フローメータ検層(スタティック:40.0~136.0、40.0~206.0、191.2~416.2、400.0~700.0m) - 電磁フローメータ検層(揚水:40.0~136.0、40.0~206.0、191.2~415.2、400.0~630.0m)圧力測定(ビルドアップテスト:42.1、42.1、51.1、50.5m) - セメントボンド検層(0.1~709.7、0.1~711.0m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、物理検層

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4-454

表 12-8 物理検層事例シート

整理番号 406

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 HDB-2 における物理検層の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要

・物理検層: - キャリパー検層(72.0~404.2、51.2~105.0、399.20~718.6m) - 温度検層(0.0~402.9、0.0~402.8、0.0~419.0、0.0~718.4m) - 中性子・ガンマ線検層(72.0~404.0、51.2~90.0、399.2~718.6、

417.7~717.6m) - 中性子検層(72.0~403.7、51.2~90.0、399.2~718.3m) - 密度検層(72.0~403.7、51.2~92.7、399.2~718.4m) - 電気検層(72.0~403.7、51.2~90.0、399.2~718.2m) - 音波検層(86.7~401.0、51.2~96.8、399.2~718.8m) - 電磁フローメータ検層(スタティック:41.2~400.0、399.2~700.0m) - 電磁フローメータ検層(揚水:49.2~403.5、399.2~700.0m) - 圧力測定(ビルドアップテスト:38.8、47.5m) - セメントボンド検層(0.1~711.7m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、物理検層

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4-455

表 12-9 物理検層事例シート

整理番号 407

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 HDB-3 における物理検層の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・物理検層: - キャリパー検層(53.5~312.4、314.6~519.3m) - 温度検層(0.0~311.5、0.0~518.8m) - 中性子・ガンマ線検層(47.8~311.5、314.6~519.2m) - 密度検層(47.0~311.5、314.6~519.2m) - 電気検層(53.5~311.7、314.6~519.0m) - 音波検層(50.0~309.5、314.6~516.4m) - 電磁フローメータ検層(スタティック:10.0~309.0、250.0~514.0m) - 電磁フローメータ検層(揚水:50.0~307.0、250.0~512.0m) - 圧力測定(ビルドアップテスト:35.9、46.1m) - セメントボンド検層(0.0~504.0m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、物理検層

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4-456

表 12-10 物理検層事例シート

整理番号 408

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 HDB-4 における物理検層の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

・物理検層: - 温度検層(0.0~315.2、0.0~519.2m) - キャリパー検層(53.5~315.2、316.5~519.3m) - 中性子・ガンマ線検層(50.0~351.2、310.0~517.4m) - 密度検層(50.0~315.3、310.0~517.4m) - 電気検層(53.5~314.7、316.5~519.6m) - 音波検層(47.0~312.3、316.5~519.6m) - 電磁フローメータ検層(スタティック:10.0~310.0、250.0~514.0m) - 電磁フローメータ検層(揚水:50.0~310.0、250.0~512.0m) - 圧力測定(ビルドアップテスト:36.0、46.8m) - セメントボンド検層(0.0~503.7m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、物理検層

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4-457

表 12-11 物理検層事例シート

整理番号 409

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 HDB-5 における物理検層の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要

・物理検層: - 温度検層(0.0~273.3、0.0~518.2m) - キャリパー検層(53.0~273.7、271.1~518.4m) - 中性子・ガンマ線検層(50.0~273.7、271.1~518.2m) - 密度検層(50.0~273.6、271.1~518.2m) - 電気検層(53.0~273.8、271.1~518.5m) - 音波検層(50.0~271.0、273.0~519.0m) - 電磁フローメータ検層(スタティック:40.0~271.2、200.0~513.0m) - 電磁フローメータ検層(揚水:200.0~512.0m) - スピンナー検層(20.0~270.0m) - 圧力測定(ビルドアップテスト:45.9m) - セメントボンド検層(0.0~503.6m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、物理検層

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4-458

表 12-12 物理検層事例シート

整理番号 410

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 HDB-6 における物理検層の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要

・物理検層: 温度検層(0.0~136.1、0.0~364.7、0.0~617.6m) キャリパー検層(12.6~136.0、132.9~364.9、365.7~617.7m) BHTV(130.0~365.0、360.0~610.7m) 中性子・ガンマ線検層( 12.6 ~ 136.3 、 132.9 ~ 365.0 、 365.7 ~

617.5m) 密度検層(12.6~136.5、132.9~365.2、365.7~617.3m) 電気検層(12.6~136.3132.9~365.0、365.7~617.6m) 音波検層(12.6~135.0、132.9~363.9、365.7~616.3m) スペクトル・ガンマ線検層(12.6~135.5、120.0~360.0、350.0~606.0m) 電磁フローメータ検層(スタティック:10.0~134.2、120.0~360.0、350.0~606.0m) 電磁フローメータ検層(揚水:50~307.0m) スピンナー検層(20.0~270.0m) 圧力測定(ビルドアップテスト:35.9、38.0、28.0m) セメントボンド検層(0.0~131.0、0.0~365.0、0.0~603.8m)

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、物理検層

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4-459

表 12-13 物理検層事例シート

整理番号 411

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 キャリパー検層の有効性 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

ボーリング調査において、掘削が所定の深度に到達した後には、地質環

境情報を取得する目的で孔内検層が実施される。キャリパー検層もその

際にセットで 1 回のみ実施されることが多いが(この場合は孔内検層デ

ータの補正を目的として)、当該検層を様々なケースに応じて小まめに

活用することで、ボーリング調査を順調に進められた事例を紹介する。 調査項目と方法 様々なケースに応じてキャリパー検層を実施した。

課題

ボーリング調査においては、掘削状況の確認、掘削泥水の切替え判断、

水理試験位置の選定、ケーシング設置深度の調整、およびケーシングセ

メンチングのセメント量算出など、節目において都度、孔内状況を確認

した方が有利なケースがある。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 孔壁の安定性が低い岩盤条件下でのボーリング調査(深度 500 m)にお

いて、計 12 回のキャリパー検層を実施した。 事例が発生した原因 孔内状況を確認した方が有利なケースが生じたため。

事例への対応

計 12 回のキャリパー検層の実施タイミングおよび目的は下記のとおり

である。 ①深度 262 m:孔壁の安定性が低い岩盤に対する掘削泥水の切替え判断 ②深度 300 m:掘削泥水の効果判定および水理試験位置の選定 ③深度 300 m:拡孔掘削後の孔内状況確認およびケーシングセメンチン

グのセメント打設量の算出 ④深度 314 m:特殊掘削方法の効果判定 ⑤深度 405 m:水理試験位置の選定 ⑥深度 405 m:拡孔掘削後の孔内状況確認 ⑦深度 426 m:掘削障害(孔壁の押し出しやポンプ圧の上昇等)の確認 ⑧深度 426 m:拡孔掘削後の孔内状況確認 ⑨深度 426 m:拡孔掘削後の孔内状況確認およびケーシングセメンチン

グのセメント打設量の算出 ⑩深度 482 m:掘削障害(孔壁の押し出しやポンプ圧の上昇等)の確認 ⑪深度 502 m:目標深度到達後の孔内状況の確認 ⑫深度 510 m:深度 500 m までの物理検層データ取得と併せて実施

事例への対応結果 様々なケースに応じて小まめに実施したキャリパー検層により、都度、

孔内状況を確認でき、それに応じた適切な対処ができた。

ノウハウ・判断根拠

例えば、拡孔掘削後(ケーシング設置前)にキャリパー検層を実施する

ことはあまり行われていないが、孔径拡大によるセメント量不足を避け

るためにも(ケーシングセメンチングの失敗)、あるいは必要量以上の

セメント作液を避けるためにも(産業廃棄物の増加)、キャリパー検層

は有効な補助ツールとして活用すべきである。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、掘削、物理検層、孔径、キャリパー検層

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4-460

表 12-14 物理検層事例シート

整理番号 412

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層

事例名称 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づいた手続

き 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要

ボーリング調査等において放射線源を使用する場合は、標記法律に基づ

いた「放射線源の使用場所の一時変更届」を文部科学省に届け出なけれ

ばならない。なお、使用量が軽微でない場合は許可が必要となる。ま

た、届出書の有効期間は 3 ヵ月であるため、作業が長期に及ぶ場合は複

数回の届け出が必要になる。

調査項目と方法

所定管轄署(文部科学省)への

届け出は使用者が行うが、必要

書類は土地所有者、発注者、元

請業者も協力して作成しなけれ

ばならない。各種書類の作成・

提出フローは右下図のとおり

(右図は届け出のケース)。

課題 必要書類のうち、使用場所の土地所有者の承諾については法令で義務付

けられていないが、届出書に添付することの行政指導が文部科学省によ

り行われている。 知識レベル 浅い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

物理検層で放射線源を使用することになり、使用者(下請業者)からの

願いをスタートとして(上図①)、土地所有者の承諾書を添付した必要書

類を文部科学省に届け出(上図⑦)、文部科学省から証明を得た(上図

⑧)後に当該物理検層を行った。 事例が発生した原因 放射線源を使用する物理検層が必要だったため。

事例への対応 届出書類として、放射線源(ボーリング孔内に挿入する密封線源)の孔

内落下防止措置および落下時の線源回収方法を記載した書類も作成・添

付した。

事例への対応結果 現地で使用する前に文部科学省からの証明が下り、無事に検層を実施す

ることができた。

ノウハウ・判断根拠

使用者(専門の下請業者であることが多い)は当該法律を熟知している

が、土地所有者への願いは管理者が行うことになるため、管理者も当該

法律を認識しておかなければ、現場工程の遅延に繋がることになるので

注意が必要である。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、物理検層、計測、放射線源、核種

(願い)③ ④(承諾)

(願い)② ⑤(承諾)

(願い)① ⑥(承諾) (届出)

(証明)

土地所有者

発注者

元請業者

使用者 文部科学大臣

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4-461

表 13-1 孔壁画像調査事例シート

整理番号 413

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔壁画像調査 事例名称 DH-2 における孔壁画像調査の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5 年度 事例の発生個所 DH-2 事例の概要 光学式にて 170~500m で実施。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-007 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔壁画像調査

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4-462

表 13-2 孔壁画像調査事例シート

整理番号 414

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔壁画像調査 事例名称 DH-3 における孔壁画像調査の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5~6 年度 事例の発生個所 DH-3 事例の概要 光学式にて 330~1006.3m で実施。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔壁画像調査

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4-463

表 13-3 孔壁画像調査事例シート

整理番号 415

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔壁画像調査 事例名称 DH-4 における孔壁画像調査の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4 事例の概要 光学式にて 0~502m で実施。

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、孔壁画像調査

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4-464

表 13-4 孔壁画像調査事例シート

整理番号 416

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-1 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要

比抵抗法による実施。 ・50.4~138.8m ・120.0~213.4m ・216.0~418.8m ・419.4~717.9m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-465

表 13-5 孔壁画像調査事例シート

整理番号 417

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-2 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 比抵抗法による実施。 ・51.7~403.1m ・399.2~718.3m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-466

表 13-6 孔壁画像調査事例シート

整理番号 418

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-3 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要 比抵抗法による実施。 ・54.5~311.8m ・316.0~518.7m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-467

表 13-7 孔壁画像調査事例シート

整理番号 419

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-4 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 比抵抗法による実施。 ・55.0~317.8m ・318.0~519.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-468

表 13-8 孔壁画像調査事例シート

整理番号 420

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-5 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要 比抵抗法による実施。 ・53.0~273.8m ・271.1~518.5m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-469

表 13-9 孔壁画像調査事例シート

整理番号 421

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-6 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要

比抵抗法による実施。 ・14.0~137.1m ・135.0~365.9m ・350.0~606.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-470

表 13-10 孔壁画像調査事例シート

整理番号 422

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-7 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・研究所設置地区内においてこれまでデータを取得していない勇知層の

データの取得。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-7

事例の概要

比抵抗法による実施。 ・14.0~137.1m ・135.0~365.9m ・350.0~606.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-471

表 14-1 孔内力学試験事例シート

整理番号 423

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-1 における孔内力学試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 水圧破砕法による実施。 ・381.0m ・585.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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4-472

表 14-2 孔内力学試験事例シート

整理番号 424

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-2 における孔内力学試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 水圧破砕法による実施。 ・281.9m ・535.5m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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4-473

表 14-3 孔内力学試験事例シート

整理番号 425

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-3 における孔内力学試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要 水圧破砕法による実施。 ・263.5m ・392.5m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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4-474

表 14-4 孔内力学試験事例シート

整理番号 426

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-4 における孔内力学試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要 水圧破砕法による実施。 ・261.0m ・359.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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4-475

表 14-5 孔内力学試験事例シート

整理番号 427

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-5 における孔内力学試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要 水圧破砕法による実施。 ・249.8m ・377.5m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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4-476

表 14-6 孔内力学試験事例シート

整理番号 428

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-6 における孔内力学試験の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6

事例の概要 孔内水平載荷試験:12 回実施 水圧破砕法による初期地圧測定:8 回実施

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・力学データ取得のため、孔内水平載荷試験と初期地圧測定が他の孔よ

りも回数を多く実施している(同時期に掘削された HDB-7, 8 では実

施されていない)。 参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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4-477

表 15-1 流体検層事例シート

整理番号 429

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 流体検層 事例名称 DH-5 における流体検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法 実施項目: スピンナー式、電磁式、ヒートパルス、電気伝導度、温度

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5 事例の概要 -

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、流体検層

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4-478

表 15-2 流体検層事例シート

整理番号 430

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 流体検層 事例名称 DH-15 における流体検層の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要 実施項目: スピンナー式、電磁式、ヒートパルス、電気伝導度、温度

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、流体検層

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4-479

表 15-3 流体検層事例シート

整理番号 431

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 流体検層 事例名称 清水環境下で水みちを確認する検層 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要 ボーリング調査では、水理特性を把握するために実施する水理試験の前

に、水みちを確認する検層が一般に行われている。ここでは清水環境下

で実施した水みちを確認する検層の事例を紹介する。 調査項目と方法 清水環境下において、孔内検層で水みちを確認すること。

課題 清水環境下で水みちを確認する検層には電気伝導度検層やフローメータ

検層などあるが、それぞれの特徴を踏まえ、目的に合った手法・順序を

選定しなければならない。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 水理試験を行うに際して、試験区間を設定するために、水みちを確認す

る検層を清水環境下で複数種行った。

事例が発生した原因 ボーリング掘削中に大きな逸水・湧水が無く、岩芯にも顕著な割れ目が

分布していない、孔壁の安定性が高い、比較的多孔質な(透水係数 1E-07m/sec オーダー)堆積軟岩であった。

事例への対応

所定深度(200 m)までの泥水ボーリング掘削

後、孔内洗浄・清水置換を行った上で、全長裸

孔の状態で、複数種の孔内検層を清水環境下で

行った。まずフローメータ検層(昇降測定)お

よび電気伝導度検層で変化箇所(水みち)を確

認し、次に変化箇所(水みち)を中心にフロー

メータ検層(定点測定)を行い、水みちの地下

水流速を確認するという方針とした(右図のと

おり)。また、フローメータ検層機器として、

昇降測定には電磁型およびインペラー型(スピ

ンナー型)を使用し、定点測定にはヒートパル

ス型を使用した。

事例への対応結果

フローメータ検層(昇降測定)では顕著な変化箇所が認めらなかった

が、電気伝導検層では変化箇所が認められた。したがって、この変化箇

所を対象にフローメータ検層(定点測定)を行ったところ、水みちの地

下水流速が捉えられた。そして、この結果を踏まえ、かつ岩種・岩相分

布も考慮し、全長 200 m に対する水理試験の区間設定を行うことができ

た。

ノウハウ・判断根拠

水みちを確認する検層の手法・順序としては、下記の 2 パターンが効率

的と考えられる。すなわち、電気伝導度検層もしくはフローメータ検層

(昇降測定)で水みちの場所を確認し、その結果を踏まえてフローメー

タ検層(定点測定)で水みちの地下水流速を確認するというものであ

る。 ①電気伝導度検層→フローメータ検層(昇降)→フローメータ検層(定

点) ②電気伝導度検層→ → →フローメータ検層(定

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4-480

整理番号 431

点) なお、フローメータ検層機器にはいくつかの種類があるので、その特徴

を踏まえた機器選定も重要となる。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、水みち、電気伝導度検層、フローメータ検層、清水環境

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4-481

表 15-4 流体検層事例シート

整理番号 432

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 流体検層 事例名称 泥水環境下で水みちを確認する検層 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要 ボーリング調査では、水理特性を把握するために実施する水理試験の前

に、水みちを確認する検層が一般に行われている。ここでは泥水環境下

で実施した事例を紹介する。 調査項目と方法 泥水環境下において、孔内検層で水みちを確認すること。

課題

孔壁の安定性が低い岩盤状況で、孔内を清水環境にできない(泥水環境

を保持し続けなければならない)条件下では、清水環境下で水みちを確

認するために広く用いられている電気伝導度検層やフローメータ検層な

どが実施できない。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 泥水環境下において、水理試験前に水みちを確認する検層を試行した。

事例が発生した原因 泥水ボーリング掘削中に大きな逸水・湧水が無く、孔壁の安定性が低い

堆積軟岩で、孔内を清水環境下にできなかったため。

事例への対応

所定深度までの泥水ボーリング掘削後、下記 2 種類の孔内検層を試行し

た。これらの検層はともに孔内水温を測定パラメータとして変化箇所

(水みち)を調べる手法なので、泥水環境下でも実施可能である。 ①高分解能温度検層(プローブを移動させながら計測) ②光ファイバー温度計測(光ファイバーを孔内に静置した状態で計測)

事例への対応結果

いずれの検層においても顕著な変化箇所は認められなかった。そこで、

光ファイバー温度計測において、上記の自然状態測定の他に、孔内水を

下記 2 種類の方法で加熱させ、その加熱過程および冷却過程における孔

内水温変化を調べることを試みた。その結果、通電加熱方法では地温勾

配直線からの温度変化が数ヵ所認められ、加熱泥水注入方法では更に明

瞭に温度変化点が認められた。 ②’通電加熱:光ファイバーに銅線を組み込み、銅線を加熱させることに

より光ファイバー近傍の孔内水温を一時的に上昇させる方法 ②’’加熱泥水注入:水理試験用ロッドに光ファイバーを沿わせて孔内に挿

入し、地上タンクで泥水を加熱し、ロッドを用いて加熱泥水を孔内に注

入することにより光ファイバー周辺の孔内水温を一時的に上昇させる方

ノウハウ・判断根拠

検層後に実施した水理試験(試験区間内のみを清水置換し、泥膜は保持

した状態で試験を実施し、スキンゾーンを考慮した解析で水理定数を算

出)で 1E-09 m/sec オーダーの低透水係数が得られたことからも、検層

結果は妥当と考えられる。また、孔内水を加熱させることによって温度

変化点(水みち)が検出しやすくなることも確認できた。なお、地上タ

ンクでの泥水加熱中に、泥水に直接触れていたヒーターにベントナイト

成分がこびり付いて焦げ始め、ブレーカーが頻繁に落ちるという事態が

発生したため、安全面を考慮し、泥水加熱を途中で止めざるを得なくな

った。今後、泥水を加熱する際は、泥水とヒーターを直接触れさせない

ような工夫が必要である。

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4-482

整理番号 432

参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、水みち、温度検層、光ファイバー、泥水環境

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4-483

表 15-5 流体検層事例シート

整理番号

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 孔内試験

個別調査項目 流体検層 事例名称 DH-2 号孔における流体検層 調査の目的 亀裂性岩盤における水みちの抽出

調査の概要 水みち抽出の手法の検討のため、複数種類(フローメータ(スピンナー/電磁/ヒートパルス)温度、電気伝導度)の流体検層を実施し、抽出され

た水みちの数を比較する。

調査項目と方法

調査項目 ・各検層において、ボーリング孔内に検層器を降下させ流量、流速、温

度、電気伝導度など測定 方法 ・各検層で自然状態(ボーリング孔内の地下水を変動させない状態)と

揚水状態での物性値を取得 ・電気伝導度検層以外の検層では、一往復での測定。電気伝導度検層は

自然状態(揚水開始前)を含めて 6 回程度の測定 ・いずれの場合も物性値が大きく変化する箇所を水みちとして抽出

課題 詳細スケールでの水理地質構造モデルの構築に資する、高解像度の水み

ち検層手法の確立が課題であった。 知識レベル 教科書的な知識と経験に基づく判断が必要なレベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 同一ボーリング孔(MIZ-1)内で複数の流体検層(水みち検層)を実施

し、比較した。

事例が発生した原因 従来法(フローメータ(スピンナー/電磁/ヒートパルス)温度の各検

層)では T=1E-6(m2/s)程度の水みちの検出が限界であった。 事例への対応 電気伝導度検層を導入した。

事例への対応結果 電気伝導度検層は他の手法に比べて 2 倍以上の水みちを検出できること

が判明した。

ノウハウ・判断根拠

・データの変化点から水みちを抽出するためにはアノマリの形状の時間

変化を詳細に確認することが必要(経験が必要)である。 ・なお、電気伝導度検層の場合、脱イオン水の入れ替えから測定開始ま

での時間をできるだけ短くすることで、より高解像度の水みち検出が可

能となる。このため、超深度ボーリング孔用の高圧洗浄作業車を適用す

ると効果的である。 参考文献 竹内ほか地質学雑誌 119 巻 2 号(2013)など キーワード 流体検層、電気伝導度検層、水みち

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4-484

表 16-1 水理試験事例シート

整理番号 434

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-5 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法 ・実施項目:BTV ・実施深度:31.50~403.00m

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5 事例の概要 -

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、水理試験

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4-485

表 16-2 水理試験事例シート

整理番号 435

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-1 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 4~5 年度 事例の発生個所 DH-1

事例の概要

・水理試験 - 間隙水圧測定 花崗岩:13 点 - 動燃式低水圧制御水理試験装置(JFT500)

・簡易揚水試験 - エアリフト法(深度 140m) - 採水し、水質分析を実施

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地化学センター(1997):DH-1 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-006 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、水理試験

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4-486

表 16-3 水理試験事例シート

整理番号 436

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-2 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5 年度 事例の発生個所 DH-2

事例の概要

・間隙水圧測定 堆積岩(瑞浪層群):6 点 花崗岩(土岐花崗岩):6 点

・動燃式低水圧制御水理試験装置(JFT500) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-007 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、物理検層

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4-487

表 16-4 水理試験事例シート

整理番号 437

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-3 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 5~6 年度 事例の発生個所 DH-3

事例の概要 ・間隙水圧測定 花崗岩(土岐花崗岩):6 点

・動燃式低水圧制御水理試験装置(JFT500) 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):DH-2 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-008 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、水理試験

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4-488

表 16-5 水理試験事例シート

整理番号 438

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-4 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 6 年度 事例の発生個所 DH-4

事例の概要

・採水調査:186m パッカー式地下水サンプラー ・フローメーター検層:0~455m スピンナー型測定装置を用いた孔内

流速の測定 ・水理試験 間隙水圧測定 花崗岩:10 点

・動燃式低水圧制御水理試験装置(JFT500) ・簡易揚水試験 エアリフト 147.0m 採水し、水質分析を実施

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1999):DH-4 号孔

における調査研究報告書、JNC-TN7400-2000-004 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、水理試験

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4-489

表 16-6 水理試験事例シート

整理番号 439

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-5 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・実施点数:花崗岩:10 点(採水 1 点) ・実施手順:パッカー拡張→間隙水圧測定→パルス試験→スラグ試験→

揚水試験(採水)→回復試験→パルス試験→パッカー収縮 ・物理化学パラメータ測定:323.8~330.80m

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 9 年度 事例の発生個所 DH-5 事例の概要 -

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・動力炉・核燃料開発事業団 東濃地科学センター(1997):深部地下水

調査(DH-5 号孔)、PNC TJ7187 97-002 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、水理試験

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4-490

表 16-7 水理試験事例シート

整理番号 440

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-15 における水理試験の実績 調査の目的 東濃地域おける広域地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 東濃地域において、広域的に複数本のボーリング孔を掘削し、水理試験

と採水を実施し地質環境に関する情報を取得し、地下水流動解析を実施

し、東濃地域広域の地下水の流動について検討する。

調査項目と方法

・ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、

地質層序を判定する。 ・掘削されたボーリング孔を使用して水理試験と採水を実施し、水理学

的および地球化学データを取得する。 ・水理試験位置等の決定は、主にボーリングコアの観察結果から決定さ

れる。

課題 ・結晶質岩地域におけるボーリング掘削。亀裂性岩盤のボーリング掘

削。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 16 年度 事例の発生個所 DH-15

事例の概要

実施点数: 堆積岩:5 点(採水 5 点)、花崗岩:15 点(採水 5 点) 実施手順: パッカー拡張→間隙水圧測定→パルス試験→スラグ試験→揚水試験(採

水)→回復試験→パルス試験→パッカー収縮 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献

・広域地下水流動研究におけるボーリング調査(DH-15 号孔)結果速報

JNC-TN7430-2005-002 ・広域地下水流動研究に関するボーリング調査(DH-15 号孔)(研究報

告)JNC-TN7400-2005-025 キーワード 東濃、広域地下水流動、結晶質岩、水理試験

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4-491

表 16-8 水理試験事例シート

整理番号 441

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-1 における水理試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・370.0~395.00m(揚水・採水は未実施) ・548.0~563.19m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、水理試験

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4-492

表 16-9 水理試験事例シート

整理番号 442

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-2 における水理試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-2

事例の概要 ・344.9~404.9m ・679.5~695.69m ・666.5~682.69m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、水理試験

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4-493

表 16-10 水理試験事例シート

整理番号 443

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-3 における水理試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-3

事例の概要

・160.5~200.45m(2 回実施) ・201.95~241.9m ・394.98~405.0m ・454.5~520.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、水理試験

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4-494

表 16-11 水理試験事例シート

整理番号 444

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-4 における水理試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-4

事例の概要

実施深度: ・218.45~236.53m ・281.45~299.53m ・371.9~406.43m ・407.9~520.0m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、水理試験

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4-495

表 16-12 水理試験事例シート

整理番号 445

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-5 における水理試験の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・大曲断層の推定位置をはさんで両側にボーリング孔(HDB-3, 4, 5)を

配置した。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 14 年度 事例の発生個所 HDB-5

事例の概要

実施深度: ・154.05~180.46m ・182.05~250.46m ・421.46~462.99m ・331.22~402.23m ・404.74~420.19m

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、水理試験

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4-496

表 16-13 水理試験事例シート

整理番号 446

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-6 における水理試験の実績

調査の目的 研究所設置地区とその周辺地区の地質環境の把握、地質環境のモデル化

のために必要な情報の取得および地下施設設計に必要なデータ取得。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。 課題 ・地下施設設計のための力学データの取得

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 平成 15 年度 事例の発生個所 HDB-6 事例の概要 実施回数:8 回実施

事例が発生した原因 - 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 松井・佐々木(2006):JAEA-Technology 2006-052 キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、水理試験

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4-497

表 16-14 水理試験事例シート

整理番号 447

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地上からの調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 DH-9 号孔における水理試験 調査の目的 広域地下水流動研究における亀裂性岩盤の水理パラメータの推定

調査の概要 ボーリング孔に水理試験装置を挿入し、所定区間の岩盤および亀裂の透

水性を揚水試験により推定する。

調査項目と方法

調査項目 ・揚水に伴う水位低下量の時間変化を測定 方法 1)ボーリング孔内の所定の位置で水理試験装置のパッカーを拡張し、

試験区間を設定 2)ポンプにより孔内の地下水をくみ上げ 3)試験区間の水位(水圧)低下量の時間変化を測定 4)水位(水圧)低下量と対数時間の関係が示す直線部分の勾配から透

水量係数および貯留係数を算出

課題

1. 観測データをリアルタイムで確認、解析できなかったため、適切な

時間で試験終了等の判断ができない。 2.適切なデータが取得できているか否かの判断根拠が明確となってい

ない。

知識レベル 上記 1.は試験装置やソフトウェアの改良で対応可能なレベル。 2.は解析手法の改良や教科書的な知識に基づく現場経験の蓄積による

ノウハウや判断根拠が必要な知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 試験終了後に解析結果を確認したところ、試験時間が短く、水理パラメ

ータの推定に必要なデータが取得できていないという事例が発生した。

事例が発生した原因 ・リアルタイムでのデータ解析システムが導入されていなかったこと ・データ解析に不可欠な時間微分プロット(Derivative plot)が適用さ

れていなかったこと

事例への対応 DH-9 号孔調査時には対応しなかった。その後、MIU-4 号孔調査時から

リアルタイムでのデータ表示、および解析システムの構築と時間微分プ

ロットを適用した。

事例への対応結果 リアルタイムでのデータ解析と時間微分プロットにより適切な時間で試

験を終了する判断が可能となった。

ノウハウ・判断根拠

・水理パラメータ算出に必要なデータが取得できたか否かの判断は時間

微分プロットによる方法が 適 ・テキストなどに基づいて二次元放射状流れにおける典型的な事例や二

次元以外の事例などと、実際の現場データを見比べることにより、目を

肥やすことが重要 参考文献 竹内ほか、地下水学会誌 49 巻 1 号(2007) キーワード 水理試験、揚水試験、時間微分プロット

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4-498

表 16-15 水理試験事例シート

整理番号 448

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 水理試験

個別調査項目 水理試験 事例名称 MIU-1 号孔における水理試験 調査の目的 超深地層研究所計画における深部岩盤の水理パラメータの推定

調査の概要 ボーリング孔に水理試験装置を挿入し、所定区間の岩盤および亀裂の透

水性を揚水試験により推定する。

調査項目と方法

調査項目 ・揚水に伴う水位低下量の時間変化を測定 方法 1)ボーリング孔内の所定の位置で水理試験装置のパッカーを拡張し、

試験区間を設定 2)ポンプにより孔内の地下水をくみ上げ 3)試験区間の水位(水圧)低下量の時間変化を測定 4)水位(水圧)低下量と対数時間の関係が示す直線部分の勾配から透

水量係数および貯留係数を算出 課題 試験区間の透水性に も適した試験手法を選定することが困難

知識レベル 試験装置やソフトウェアの改良で対応可能なレベル。 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

岩盤の透水性の高低に拘らず同一の試験手法(低圧揚水試験)を適用し

ていたため、特に低透水の試験区間では、試験時間がいたずらに長くな

る場合や、解析困難なほどにノイズが多いデータに基づいて透水性等を

判断せざるを得ない事例が複数発生した。

事例が発生した原因 計画当初に試験手法を一つに特定し、他の手法に変更する自由度がなか

った。

事例への対応

低透水性区間に適用するパルス試験から開始し、その都度透水性を判断

して、より高透水性の場合はスラグ試験、揚水試験と順次試験手法を変

更することで、試験区間の透水性に適した試験手法を選択する「シーケ

ンシャル水理試験手法」を開発し、適用した。

事例への対応結果 リアルタイムでのデータ解析とシーケンシャル水理試験手法を組み合わ

せて実施することにより、試験区間の透水性に適した試験手法を選定

し、適切な時間で試験を終了する判断が可能となった。

ノウハウ・判断根拠 ・パルス、スラグ試験の現場での簡易解析は、Hvorslev 法などにより推

定する。 参考文献 竹内ほか、地下水学会誌 49 巻 1 号(2007) キーワード シーケンシャル水理試験、パルス試験、スラグ試験、揚水試験

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4-499

表 16-16 水理試験事例シート

整理番号 449

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 水理試験

個別調査項目 水理試験 事例名称 MIU-4 号孔および MIZ-1 号孔における水理試験 調査の目的 超深地層研究所計画における深部岩盤の水理パラメータ等の推定

調査の概要 ボーリング孔に水理試験装置を挿入し、所定区間の岩盤および亀裂の透

水性を揚水試験により推定する。

調査項目と方法

調査項目 ・揚水に伴う水位低下量の時間変化を測定 方法 1)ボーリング孔内の所定の位置で水理試験装置のパッカーを拡張し、

試験区間を設定 2)ポンプにより孔内の地下水をくみ上げ 3)試験区間の水位(水圧)低下量の時間変化を測定 4)水位(水圧)低下量と対数時間の関係から透水量係数および貯留係

数を算出 5)水圧の時間変化曲線の時間微分プロットから流れのモデルを推定

課題 水理試験の結果に基づいて試験区間の流れのモデルを推定し、場の概念

モデルを構築する。 知識レベル 教科書的な知識と経験に基づく判断が必要なレベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 試験区間に 適な手法による水理試験で得られる圧力の時間変化曲線に

基づく時間微分プロットから透水量係数、貯留係数および流れのモデル

を推定する。

事例が発生した原因

MIU-4 号孔以前のボーリング孔での水理試験では時間微分プロットに基

づく水理パラメータの推定を実施していなかった。特に流れのモデルか

らは試験区間の場の概念を推定する基礎情報が得られる可能性があるこ

とが担当者の間で認識されていなかった。

事例への対応 試験区間に 適な手法を選択可能なシーケンシャル水理試験手法と時間

微分プロットを導入

事例への対応結果

時間微分プロットを導入することにより適切な水理パラメータ(透水量

係数や流れのモデルなど)を推定することが可能となった。特に流れの

モデルから試験区間の水理場の概念化の検討が可能となった。流れのモ

デルは水理地質構造モデルを構築する情報として利用可能である。

ノウハウ・判断根拠

・時間微分プロットについては、テキストに基づいて二次元放射状流れ

における典型的な事例や二次元以外の事例などと、実際の現場データ

を見比べることにより、目を肥やすことが重要である。 ・上記をベースに井戸貯留(両対数プロットで傾きが 1 となるプロット

=unit slope)、スキンの影響(初期の上に凸の高さ)、代表的な岩盤の

浸透モデル(Unit slope 終了から 1.5log cycle 以降の傾きがゼロに近

いプロット)、境界の影響(代表的な浸透モデル終了から上向き、下向

き、水平に変化する領域)などの変化を読み取る。

参考文献 竹内ほか地下水学会誌 49 巻 1 号(2007)、竹内ほか地質学雑誌 119 巻 2号(2013)

キーワード 時間微分プロット、流れのモデル

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4-500

表 16-17 水理試験事例シート

整理番号 450

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地上からの調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 MIZ-1 号孔における水理試験(LCM 使用時の失敗) 調査の目的 瑞浪超深地層研究所における深部岩盤の水理パラメータ等の推定

調査の概要 ボーリング孔に水理試験装置を挿入し、所定区間の岩盤および亀裂の透

水性を揚水試験により推定する。

調査項目と方法

調査項目 ・揚水に伴う水位低下量の時間変化を測定 方法 1)ボーリング孔内の所定の位置で水理試験装置のパッカーを拡張し、

試験区間を設定 2)試験区間の初期水位(水圧)と異なる管内水位を設定する。 3)パルス試験ではバルブを瞬時に開閉、スラグ試験ではバルブを開放 4)試験区間の初期水位(水圧)への回復過程の水位(水圧)変化を計

測 5)水位(水圧)の時間変化量から透水量係数および貯留係数を算出

課題 ボーリング掘削中に発生した逸水区間に逸水防止剤(LCM:Lost Fluid Material)を打設した場合の水理試験方法の確立

知識レベル 教科書的な知識と経験に基づく判断が必要なレベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

LCM を打設した区間で水理試験(パルス試験とスラグ試験)を実施し

たところ、両者で異なる透水量係数を得た。またパルス試験では加圧側

の減圧側ではほぼ同様の透水量係数が得られたが、スラグ試験では加圧

側と減圧側で異なる透水量係数を得た。

事例が発生した原因

パルス試験は水圧変動(水は動かない圧力伝播のみ)が、スラグ試験は

水位変動(水が動く)がインパクトとなる。さらに加圧側と減圧側のイ

ンパクトでは試験区間に対する圧力の方向がことなる。このことから、

LCM が試験区間に適切に打設された状態ではそれぞれのインパクトに

対して異なる透水量係数を示したものと推定される。 事例への対応 特になし。

事例への対応結果 特になし。

ノウハウ・判断根拠

LCM が逸水区間に打設された状態では、加圧側の試験では止水効果を

発揮するが、減圧側ではこれが緩む方向に働くものと考えられる。ま

た、パスル試験とスラグ試験ではインパクトの種類が異なる(パルス試

験は圧力伝播、スラグ試験は水が実際に動く)。したがって減圧側でかつ

スラグ試験を実施することで、より正確な試験区間の水理パラメータを

取得するが可能と考えられる。 参考文献 - キーワード LCM、水理試験、パルス試験、スラグ試験

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4-501

表 16-18 水理試験事例シート

整理番号 451

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 水理試験

個別調査項目 水理試験 事例名称 MIZ-1 号孔における水理試験 調査の目的 瑞浪超深地層研究所における深部岩盤の水理パラメータ等の推定

調査の概要 ボーリング孔に水理試験装置を挿入し、所定区間の岩盤および亀裂の透

水性を揚水試験により推定する。

調査項目と方法

調査項目 ・揚水に伴う水位低下量の時間変化を測定 方法 1)ボーリング孔内の所定の位置で水理試験装置のパッカーを拡張し、

試験区間を設定 2)ポンプにより孔内の地下水をくみ上げ 3)試験区間の水位(水圧)低下量の時間変化を測定 4)水位(水圧)低下量と対数時間の関係から透水量係数および貯留係

数を算出 5)水圧の時間変化曲線の時間微分プロットから流れのモデルを推定

課題 水理試験の結果に基づいて試験区間の流れのモデルを推定し、場の概念

モデルを構築する。 知識レベル 教科書的な知識と経験に基づく判断が必要なレベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 通常の水理試験装置で使用する揚水ポンプでは十分な水位低下量が得ら

れない程度に試験区間の透水性が高い事例である。

事例が発生した原因 試験区間の透水性が高く、通常使用する揚水ポンプでは十分な水位低下

量が得られず、かつ潮汐変動の範囲程度の水位低下量のため解析可能な

データが取得できなかったことによる。

事例への対応 ボーリング掘削用のケーシングとケーシングに挿入可能な大容量ポンプ

を用いて揚水試験を実施した。 事例への対応結果 当該方法を適用しても解析が十分に可能なデータは得られなかった。

ノウハウ・判断根拠 水理試験装置の適用範囲を逸脱するような透水性を有する試験区間が存

在することをあらかじめ想定しておき、現場に準備しておくことが重要

である。 参考文献 大石ほか(2005)超深地層研究所計画における試錐調査(MIZ-1) キーワード 水理試験、高透水性

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4-502

表 16-19 水理試験事例シート

整理番号 452

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 地上からの調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 MIZ-1 号孔における水理試験 調査の目的 瑞浪超深地層研究所における深部岩盤の水理パラメータ等の推定

調査の概要 ボーリング孔に水理試験装置を挿入し、所定区間の岩盤および亀裂の透

水性を揚水試験により推定する。

調査項目と方法

調査項目 ・揚水に伴う水位低下量の時間変化を測定 方法 1)ボーリング孔内の所定の位置で水理試験装置のパッカーを拡張し、

試験区間を設定 2)ポンプにより孔内の地下水をくみ上げ 3)試験区間の水位(水圧)低下量の時間変化を測定 4)水位(水圧)低下量と対数時間の関係から透水量係数および貯留係

数を算出 5)水圧の時間変化曲線の時間微分プロットから流れのモデルを推定

課題 水理試験の結果に基づいて試験区間の流れのモデルを推定し、場の概念

モデルを構築する。 知識レベル 教科書的な知識と経験に基づく判断が必要なレベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 通常の水理試験装置で使用する揚水ポンプでは十分な水位低下量が得ら

れない程度に試験区間の透水性が高い事例である。

事例が発生した原因 試験区間の透水性が高く、通常使用する揚水ポンプでは十分な水位低下

量が得られず、かつ潮汐変動の範囲程度の水位低下量のため解析可能な

データが取得できなかったことによる。

事例への対応 ボーリング掘削用のケーシングとケーシングに挿入可能な大容量ポンプ

を用いて揚水試験を実施した。 事例への対応結果 当該方法を適用しても解析が十分に可能なデータは得られなかった。

ノウハウ・判断根拠 水理試験装置の適用範囲を逸脱するような透水性を有する試験区間が存

在することをあらかじめ想定しておき、現場に準備しておくことが重要

である。 参考文献 大石ほか(2005)超深地層研究所計画における試錐調査(MIZ-1) キーワード 水理試験、高透水性

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4-503

表 16-20 水理試験事例シート

整理番号 453

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 沿岸域での水理試験時における間隙水圧の挙動 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要 水理特性を把握するために行われるボーリング調査時の水理試験におい

て,沿岸域で実施した際に得られた間隙水圧の挙動についての事例を紹

介する。

調査項目と方法 深度 500m のボーリング調査で水理試験を実施し,水理特性(間隙水

圧,透水係数,および貯留係数)を把握する。

課題

堆積岩-沿岸環境下では,周辺地下水の密度が深部では 1g/cm3より大き

いことが多く,一方,水理試験は試験区間および試験用ロッド内を清水

(密度 1.00g/cm3)に置き換えた状態で開始する。したがって,試験開

始後に得られる間隙水圧と,その後の一連のシーケンシャル水理試験終

了時に得られる間隙水圧にはズレが生じる可能性がある。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

堆積岩-沿岸環境下で実施したボーリン

グ調査の水理試験で得られた間隙水圧の

挙動例を右図に示す。試験開始後の間隙

水圧に比べ,一連のシーケンシャル水理

試験終了時の方が小さいというケースが

多く認められた。

事例が発生した原因 堆積岩-沿岸環境下であること。

事例への対応

試験開始初期の区間内水圧は,区間内を

含む試験用ロッド内の清水(密度

1.00g/cm3)が周辺地下水(塩分濃度が

高いため密度 1g/cm3 より大きい)に密

度差で押し上げられることによって,本

来の間隙水圧より高い値が計測される

(右図の(2))。一方,水理試験終了時は

区間内に周辺地下水が流入することによ

り,密度差で押し上げられる割合が小さ

くなる(右図の(3)に近付く)。この現象

が試験前後の間隙水圧のズレの原因と考

えられる。なお,試験終了後に採水でき

た区間の試料に対して密度を測定したと

ころ,1.01~1.02 g/cm3の値が得られた。

事例への対応結果 試験終了時における,区間内を含む試験用ロッド内の水がどのような密

度分布状態にあるかについては,試験時には確かめる術がないのが現状

である。

ノウハウ・判断根拠 水理試験データから間隙水圧を算出する際は,区間内を含めて試験用ロ

ッド内の水の密度を 1.00 g/cm3 と仮定して求めざるを得ないので(上図

の(2)),その旨を注釈として付記しておくことが大切である。 参考文献 調査経験者へのインタビュー

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4-504

整理番号 453

キーワード ボーリング,水理試験,堆積岩,沿岸環境,間隙水圧

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4-505

試験用ロッド

保護管(ボーリングロッド)

上パッカー

表 16-21 水理試験事例シート

整理番号 454

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 地質環境特性に応じた水理試験方法 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要 水理特性を把握するために行われているボーリング調査時の水理試験方

法について、孔壁の安定性が低い岩盤にも適用するよう工夫した事例を

紹介する。

調査項目と方法 深度 500 m のボーリング調査で水理試験を実施し、水理特性(間隙水

圧、透水係数、および貯留係数)を把握する。

課題

堆積軟岩等でボーリング掘削に泥水を使用した場合の水理試験は、一般

に孔内を洗浄(かつ泥膜を除去)して清水置換した後に実施するが、孔

壁の安定性が低い岩盤に対して泥膜を除去すれば、孔壁崩壊や試験装置

の孔内抑留に繋がる危険性がある。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 孔内洗浄・清水置換できない、孔壁の安定性が低い堆積軟岩に対する水

理試験方法を工夫し、適用させた。 事例が発生した原因 孔壁の安定性が低い岩盤の水理特性を把握する必要があった。

事例への対応

試験方法を下記の 2 種類に分け、すべての岩盤に対してシーケンシャル

水理試験が適用できるようにした。 ①孔壁の安定性が比較的高く、かつ透水性が高い場合:試験区間をダブ

ルパッカーで区切り、区間内容量の 1 倍以上をフラッシングし、できる

限り泥膜の影響を少なくした状況下で試験を実施する。試験後に地下水

の採水を行うことを想定。 ②孔壁の安定性が低い場合:試験区間をシングルパッカーで区切り(下

端は孔底)、区間内容量の 1 倍程度をフラッシングし、泥膜が残存した

状況下で試験を実施する。試験後の地下水採水は行わない。

事例への対応結果

岩盤状況に応じて試験方法を使い分け、すべての岩盤に対して水理試験

を行うことができた。なお、岩種・水みちの他に、ステージ全体(約

100m)もひとつの試験区間と設定し、区間全体の網羅性を確保するよ

うにした。また、上記の方法は程度の違いはあれ泥膜を残存させた状態

での水理試験となるため、解析に際しては順解析の他に、スキンゾーン

を考慮した逆解析も行った。

ノウハウ・判断根拠

試験に際しては、孔壁崩壊による試験装置の孔内

抑留を防ぐため、上パッカー設置深度の直上まで

ボーリングロッド(今回は PQ ロッドを使用)を

保護管として挿入するようにした。したがって、

試験装置は PQ ロッド(内径 103 mm)内を通す

ことになるため、ケーブル等を含む装置の 大外

径を 96 mm(2.5 インチ管 大 φ85 mm+電源ケ

ーブル φ11 mm)とし、揚水試験が可能で、パッ

カーの拡張が孔径 130 mm 程度まで対応できる

よう(孔壁の拡大を考慮)、試験装置の改良も行

った。

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4-506

整理番号 454

参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、水理試験、孔壁、自立性、透水性

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4-507

表 17-1 地下水採水事例シート

整理番号 455

ES 名 調査計画立案支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 地下水の採水調査 事例名称 低透水性岩盤に対する地下水採水前の水質モニタリング 調査の目的 地質環境モデル構築

調査の概要 ボーリング調査においては、水理試験後にその装置を用いて地下水を採

水することがよく行われている。ここでは、低透水性岩盤に対して実施

した地下水採水前の水質モニタリングの事例を紹介する。

調査項目と方法 低透水性岩盤に対して地下水を採水するまでの水質モニタリングを行

い、適切な時期に口元(地上)で採水を行う。

課題

水理試験後にその装置を用いて地下水を採水する際、通常(高透水性岩

盤の場合)は揚水試験が予備排水(水理試験装置の管内容積と試験区間

の容積分の孔内水を排出する作業)を兼ねることができるため、水理試

験終了後間もなく採水に移行できることが多い。一方、揚水試験を適用

できない低透水性岩盤に対して地下水を採水する場合は、採水前に十分

な予備排水を行わなければならない。 知識レベル 深い知識レベル

事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 地下水を採水するまでの、予備排水中の水質変化をモニタリングした。

事例が発生した原因 低透水性岩盤に対しても地下水を採水する必要があったため。

事例への対応

水理試験装置の管内容積と試験区間の容積に注入するフラッシング水

(水道水など)にもトレーサ剤(掘削水に添加したトレーサ剤とは異な

ったもの)を添加し、予備排水中は 2 種類のトレーサ濃度変化をモニタ

リングするようにして適切な採水時期を求めるようにした。

事例への対応結果

掘削水にはアミノ G酸、フラッシング水

にはウラニンをそれ

ぞれトレーサ剤とし

て添加した。予備排

水中のトレーサ濃度

の経時変化は右図の

とおりである。 予備排水を開始すればまずフラッシング水が排出され、その後、掘削水

との混合水に変わり、フラッシング水の混合の低下とともに掘削水の混

合が増え、 終的には掘削水の混合も低下し、真の地下水に近い水が排

出される。掘削水の混合が十分に低下した時期を見計らって採水を行う

計画で臨んだものの、工程の制約により、十分な予備排水ができず、掘

削水の混合が多く残存した時期に採水せざるを得なかった。

ノウハウ・判断根拠

低透水性岩盤で口元採水を行う場合、予備排水に相当な日数を要するた

め、採水方法を工夫する必要がある。例えば、パッカー直上の管内水は

口元(地上)に比べて真の地下水に近い状態にあるため、予備排水日数

を短縮するという観点からも、パッカー直上で採水を行うというのもひ

とつの手法であろう。 参考文献 調査経験者へのインタビュー キーワード ボーリング、水理試験、採水、トレーサ剤、フラッシング

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4-508

表 18-1 コア試験事例シート

整理番号 456

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 コア試験 事例名称 コア抽出水の同位体比分析の誤分析 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 コア試験によって地下の地質環境状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・水の酸素、水素同位体比に誤分析が発生した。

事例が発生した原因 ・分析所におけるワーキングスタンダードの保管方法が不適切であった

ため。 事例への対応 ・ズレ幅から補正値を割り出し、補正。

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・定期的に複数の分析所に同じ試料の分析を依頼し、分析値のチェック

を実施する(東濃 DH-5 で実施した実績あり)。 ・分析試料に一つチェック用試料の分析も依頼する。 ・上記を実施した場合は、結果について分析所へフィードバックするこ

とが必要。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア抽出水、同位体比、誤分析

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4-509

表 18-2 コア試験事例シート

整理番号 457

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 コア試験 事例名称 コア採取深度の間違い 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 コア試験によって地下の地質環境状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・コア試験のために採取した試料の深度を誤記載し混乱が生じた。

事例が発生した原因 ・採取者の不注意。 事例への対応 ・採取位置を再確認し、採取深度を修正した。

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・コア箱の採取位置に木片等を入れ込み、採取したことを分かるように

する。 ・採取時に試料写真を撮影しておく。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア試験、採取深度

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4-510

表 18-3 コア試験事例シート

整理番号 458

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 コア試験 事例名称 コアの上下の取り違い 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 コア試験によって地下の地質環境状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・コア試験のために採取した試料の上下の取り違いを生じた。

事例が発生した原因 ・採取者の不注意。

事例への対応 ・10cm 程度のコア長であれば、致命的な影響はない。 ・長めのコア長の場合は、詳細な試験位置を修正した。

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・採取時に試料写真を撮影しておく。 ・コア採取時点から、コアに直接上下の印を入れる。これは上下を取り

違えても影響が小さい短いコアの採取についても習慣づけておくべ

き。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア試験、採取深度、コアの上下方向

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4-511

表 18-4 コア試験事例シート

整理番号 459

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 コア試験 事例名称 試料採取の順序 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 コア試験によって地下の地質環境状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・コアの状態、あるいはコアからリボーリングで行われる力学試験用試

料が優先される。力学試験用試料は試料整形分を含め 1 検体約

10cm、n=3 で実施する場合は、30cm 必要になる。さらにそれに力学

試験の項目数がかけられる。 ・コアから間隙水を抽出する場合は、含水率にもよるが 50cm 以上必

要。 ・XRD などの鉱物試験については、試験のために粉砕されるものである

ので、形は問わない。 ・微化石分析の場合は、分析項目によってはコアの中心部からの採取が

必要なものもある。そのため、なるべく塊状のものを供する。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード コア試験、試料採取、力学試験、、間隙水抽出、鉱物試験、微化石分析

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4-512

表 19-1 ボーリング全般事例シート

整理番号 460

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 口径別にみたボーリングの種類と特徴-小口径ボーリング 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・地盤・岩盤調査を目的に泥水を使用し、66mm~100mm の口径で

10m~300m 程度、小型掘削機で 40mm ロッドを使用、ケーシングは

回収し孔は埋設し終了。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 小口径ボーリング

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4-513

表 19-2 ボーリング全般事例シート

整理番号 461

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 口径別にみたボーリングの種類と特徴-大口径ボーリング 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

水、温泉を揚水する目的に泥水を使用して掘削、ケーシングとストレ

ーナーで仕上げ、ポンプを設置して長期間使用する構造。水質の悪い地

下水を遮水し、揚水試験で性能評価。 ①水井戸ボーリング:径 80~300mm 程度で深さ 50~200m 程度、揚水

量と深さの仕様に沿って口径と深さを選定。深さと口径に合った掘削

設備を選定。 ②温泉ボーリング:深さ 1,000~1,500m、口径 300mm~100mm でステ

ップ状にケーシングを設置して掘り下げる。大型掘削機と深井戸掘削

用設備が必要。 ③地熱発電用生産井、還元井ボーリング:石油・天然ガスボーリング工

法、設備に類似、深さ 2,000~2,500m、口径 600mm~200mm、ケー

シングは丈夫な仕様を選定。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 大口径ボーリング

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4-514

表 19-3 ボーリング全般事例シート

整理番号 462

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 目的別にみたボーリングの種類と特徴-土壌・地盤等の調査ボーリング 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ビルや橋等の建築物の基礎を設計するために必要な地盤のボーリング

調査で、深さ数 10m のコアボーリングや標準貫入試験等の原位置試験

を行いながら土壌のコアサンプリングを行い、地盤を構成する土壌等

の分布状況や各土壌の物性値等を調査し、建築物の基礎設計の根拠と

なる数値を評価するために行うボーリングである。

・浅部の土壌・地盤は主に砂、砂礫、粘土、シルト等の未固結状の堆積

岩が主体で、未固結で軟弱な土壌や砂、礫層等で、特殊なコアリング

ツールスを使用するケースやボーリングの孔自体を利用して、原位置

での土壌・地盤の物性値を調査する方法等を併用する場合も多い。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 土壌・地盤等調査、ボーリング

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4-515

表 19-4 ボーリング全般事例シート

整理番号 463

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 目的別にみたボーリングの種類と特徴-水井戸、温泉等の地下水を採取するための

ボーリング 調査の目的 - 調査の概要 - 調査項目と方法 -

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・これらの地下水は未固結の砂礫、砂、礫層のように空隙率の高い土壌内に分布し

ている場合と、固結した硬い岩盤の中に形成された割目の中に分布している場合

がある。このような地下水層にボーリングを行い水井戸や温泉井として仕上げ、

地下水を開発する。地下水位より深部にある未固結で透水性の高い土壌には地下

水が胚胎していて、滞水層(地下水層)と言われている。滞水層を形成するこれ

らの土壌は、砂利、砂、砂礫等の空隙率が大きい土壌で、これらの土壌が広く分

布する地域は河川の周辺等の平野部で、地下水の分布はこれらの砂礫層等の土壌

の分布と一致していて、比較的広い範囲に、安定して分布しているため地下水開

発が容易である。

・河川の上流部から山間地に入り、滞水層を形成する砂礫層等の土壌の厚さが薄く

なり、分布範囲も局所的な状況になると、地下水利用が可能な滞水層が減少し、

開発が難しくなる。更に山間地の場合は、地下水を胚胎する砂礫層が殆どなく、

未固結の土壌の下に分布する硬い岩盤(地山)の中から地下水を採取しなければ

ならない状況となり、平野部の砂礫層に胚胎する地下水とは著しく違う状況とな

る。

・緻密な岩盤自体には資源として利用できるような地下水は存在しない。資源とし

て利用できる地下水が存在するところは、岩盤の中にある割目の部分である。但

し、割目でも岩盤の中を長く連続している割目で、地下水が流動している割目で

なければならない。岩盤内の滞水層をボーリングで把握し、水井戸として仕上げ

る為には、岩盤の中のどの部分(どの深さ)に地下水が流れている割目がある

か?といった事前調査が必要となる。

・温泉は、岩盤内の水井戸と同様に、地下深部の岩盤の割目に浸透した地下水が、

地中の熱(地下深部のマグマから供給される熱等)で暖められたものである。地

下水も温泉水も殆どの水は雨水が地中に浸透したもので、雨水がどの程度の時間

を経て井戸水や温泉水になって戻ってくるかは水の中に含まれる成分で推測する

ことも可能である。 事例が発生した原

因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根

拠 -

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4-516

整理番号 463

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 水井戸、温泉、地下水採取、ボーリング

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4-517

表 19-5 ボーリング全般事例シート

整理番号 464

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 目的別にみたボーリングの種類と特徴-鉱物資源調査や地質・岩盤調査

のための調査ボーリング 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・金属や石炭等の鉱物資源の調査や深部の地質状況を調査するためのボ

ーリングは、調査目的のため殆どの場合は、地下の岩盤サンプルを採

取することが多い。ボーリングで採取する地下の岩盤サンプルを“コ

ア”と言い、コアを採取しながら行うボーリングを“コアボーリン

グ”、水井戸や温泉のようにコアと必要としないボーリングを“ノン

コアボーリング”とも呼んでいる。

・コアボーリングは、学術的な目的を持つ地質構造調査や深部に分布す

る各種金属鉱床調査、石炭、石灰等非金属鉱床調査等の種々の地下資

源を調査する場合に必ず必要とされるボーリングである。ボーリグで

採取したコアを分析することで、各種地下資源の位置(深さ)、分布

量(コアの長さ)、有用成分の含有量(分析品位)等を調査すること

ができ、地下資源開発には必要不可欠の技術である。

・ 近は、国内の金属鉱山や石炭鉱山が殆ど無くなった為、このような

地下資源調査を目的としたボーリングは殆ど実施されていない。但

し、海外の鉱物資源、地下資源調査等においてはこのようなコアボー

リング技術が広く採用されている。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 鉱物資源調査、地質・岩盤調査、ボーリング

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4-518

表 19-6 ボーリング全般事例シート

整理番号 466

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 目的別にみたボーリングの種類と特徴-石油、天然ガスのボーリング 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・このボーリング技術は米国が世界で一番技術が高く、日本の掘削技術

は殆どが米国からの技術によるとことが多い。国内でのこれらのボー

シングは年数本程度と非常に少ないが、資源が少ない状況から金属資

源等と同様に止むを得ないとは言え残念な環境にある。USA を中心と

する石油、天然ガスの掘削に於いては、掘削を行おうとする会社(カ

ンパニー)の技術者(スーパーバイザー)が中心となり、種々の専門

技術を有する会社(コントラクター)を選定して、掘削目的の達成に

向けて 適な組合せで遂行されている。このように幾つかの専門のコ

ントラクターを使用して行う方式を“コントラクター方式”と言い、

石油、天然ガス等の他、地熱生産井、還元井掘削でも規模の大きなボ

ーリングの場合は日本でも採用されている。

・コントラクターには、掘削機械と掘削員を所有し掘削業務を担当する

会社(ドリリングコントラクター)、ケーシングを降下する専門会社

(ケーシング作業コントラクター)、ケーシングと孔壁間のセメンチ

ング専門会社(セメンチングコントラクター)、ボーリングに利用す

る泥水の管理をする会社(マッドコントラクター)、坑井の方向・傾

斜をコントロールしながら掘削する技術(ダイレクショナルコントロ

ールドリリング)の専門会社、更に、掘削中に坑井トラブルが発生し

た場合のレスキュー専門会社等がそれぞれの専門分野に分かれて技術

を競っている現状である。各コントラクターの技術の高さは、必要性

(需要量の多さ)に起因するものであるが、日本では必要に応じて一

部利用している状況である。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 石油、天然ガス、ボーリング

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4-519

表 19-7 ボーリング全般事例シート

整理番号 467

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 目的別にみたボーリングの種類と特徴-地震計を設置するためのボーリ

ング 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・地震計を設置するための井戸は、比較的交通量が少ない静かな環境

で、硬い岩盤の場所に、100m~数 100m の深さが多い。これらの井

戸は殆どがノンコアボーリングであるが、地震計を設置する付近の岩

盤は、硬い岩盤であることを確認する為、数 10m 区間に限りコアボー

リングを行っている場合が多い。

・一方、東京や大阪等の大都市圏の周辺では、深さ 2,000m を越す大深

度の地震計設置用ボーリングも行われており、大都市周辺での発生が

懸念される大規模地震に関する観測を行っている。地震計を設置する

ボーリングの大きな特徴は、設置する地震計の精度の関係上、ボーリ

ング坑の傾斜が 100m に対して 1 度以内と言う制限があることであ

る。

・一般に、ボーリング坑井は真っ直ぐに掘ることは非常に難しく、必ず

曲がりが発生する。坑井の曲がりの程度は、地層・岩盤の条件や掘削

ツールスの条件、掘削中の条件、掘削方法、その他種々の影響を受け

て複雑に変化する実態である。

・先に説明した、地質調査や石炭、非鉄金属資源調査等に採用するコア

ボーリングの場合で、坑井の掘削径が 50mm~80mm 程度のコアボー

リングの場合は、100m で 3~5 度も曲がる場合がある。一般に、地層

の層理面や走行方向に直角になる方向に曲がる傾向がある。

・どのような状況で坑井が曲がるのか、或いはどのようにして曲がりを

防ぎ、コントロールするべきかと言った点は後述することとするが、

ボーリング坑は一般に曲がることを認識して計画を立てる必要がある

し、曲がりを制限する必要がある場合は、十分に計画を検討する必要

がある。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 地震計、ボーリング

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4-520

表 19-8 ボーリング全般事例シート

整理番号 468

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 ビットの種類による掘削メカニズムの違い-メタルビットによる掘削 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・メタルビットはビット先端に取付けてあるチップ(一般的にはタング

ステンカーバイト製)が土壌や岩盤と接触し、ビット荷重で土壌や岩

盤にチップを食い込ませて回転させることで、土壌や岩盤を削り取る

メカニズムが基本である。

・従って、岩盤が固くなり、ビット荷重でチップ先端を岩盤に食い込ま

せることができなくなると、そのビットでは掘削を行うことができな

くなる。

・チップを土壌や岩盤に食い込ませて、回転力で削り取り(掻き揚げ)

ことで掘削するメカニズムとなるため、必要なビット荷重で回転数は

少なくてもトルクが大きくなる特徴がある。

・このため、メタルビットでの掘削は、回転数を上げないで、掘削機械

や掘削ツールスのトルクに耐え得るだけのビット荷重を加え、大粒の

カッテングスを排除するに必要な掘削流体(性情と量)で掘削するイメ

ージが望ましい。

・一般に、地表部から未固結の砂、砂礫、粘土、玉石等の浅部の土壌や

風化や粘土化変質等を蒙った浅部の岩盤のコアボーリング或いはノン

コアボーリングにメタルビットが利用されている。また、建築基礎や

土木基礎の設計等に利用する調査ボーリングにもメタルビットによる

コアボーリングが利用されている。この様な調査ボーリングに使用さ

れる掘削流体は、水に調泥材を添加した泥水が、地層の状況や調査の

目的によって選択され利用されている。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード メタルビット

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4-521

表 19-9 ボーリング全般事例シート

整理番号 469

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 ビットの種類による掘削メカニズムの違い-ダイヤモンドビットによる掘削

調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ダイヤモンドビットには、米粒のようなダイヤモンドの粒を埋め込んだタ

イプのサーフェスタイプビットとダイヤモンドの粉末を金属粉末と一緒に

整形したタイプのインプリグネーテッドタイプビットがある。メタルビッ

トでは磨耗が激しく、ビット寿命が短いような、比較的硬い岩盤の掘削に

使用されるのがサーフェスタイプで、更に岩盤が固くなり、サーフェスタ

イプのビット寿命が短くなるとインプリタイプタイプが使用されている。

これらのダイヤモンドは、殆どは自然ダイヤモンドであるが、インプリダ

イヤには一部人工ダイヤも使用されている。

・ダイヤモンドビットによる掘削メカニズムは、ダイヤの尖った先端をビッ

ト荷重で岩盤に食い込ませた状態で回転させて岩盤を削り取るようにして

掘削する機構である。岩盤が固く、ダイヤモンドも小さいため岩盤への食

い込みが少ないので、メタルビットに較べて掘削トルクは非常に小さい

が、メタルビットのチップよりも沢山の小さいダイヤモンド粒を個々に岩

盤に食い込ませるためのビット荷重が必要である。

・掘削速度を上げる為には、ダイヤモンド粒子を岩盤に食い込ませるための

ビット荷重は重要であるが、寧ろ、ダイヤモンド粒子が岩盤を削る速度を

上げる方が効果的であり、回転数を上げることが掘削速度の向上に大きく

寄与する。尚、食い込みが小さく、削り取るメカニズムで掘削する為、カ

ッテングスのサイズは非常に細粒となる。

・メタルビットの掘削は低速回転、高トルクで大粒のカッテングスが発生す

るのと比べると対照的で、メタルビットの掘削を剥離掘削とするとダイヤ

モンドビットの掘削は削り取る、所謂グラインディング掘削と言える。特

に、インプリタイプはサーフレスタイプよりもダイヤの突出量が小さい

為、岩盤をグラインダーで削りながら掘削する状況と等しい状況になる。

このため、インプリタイプはサーフェスタイプ以上に高速でビットを回転

させることが掘削速度の向上に寄与することとなる。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 - 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ダイヤモンドビット

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4-522

表 19-10 ボーリング全般事例シート

整理番号 470

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 ビットの種類による掘削メカニズムの違い-PDC ビットによる掘削 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・PDC ビットはメーカー毎に種々の性状のものが開発されてきている

が、まだ硬岩帯の掘削には適応できない状況にある。一方、比較的軟

らかい地層が多い石油、天然ガス等のボーリングでは広く利用されて

きている。特に、ダイレクショナルドリリングの際にはトリコンビッ

トに較べて長寿命である PDC ビットが効果的に利用されている。し

かし、大口径のロータリー掘削で行われる地熱井掘削では火成岩が主

体となるため、石油、天然ガスのように軟質な堆積岩に比べ硬いため

まだ実用化されていない。

・堆積岩のような軟質岩であれば、種々の形状の PDC を組み合わせて

整形することで効率的なビットを設計することが可能である。PDC ビ

ットはその形状と大きさから、掘削のメカニズムが変化するので、掘

削状況を想定して、ビット荷重と回転数、トルクと掘削流体の性状及

び量等の管理が必要となる。

・北海道の幌延地区は泥岩等の堆積岩が主体の地域であるが、この地域

における MMTEC 仕様の 6-1/4"サイズ 3 重管特殊コアリング掘削で

は、ダイヤモンドビットに較べて PDC ビットの成績が良かった。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード PDC ビット

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4-523

表 19-11 ボーリング全般事例シート

整理番号 471

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 掘削技術-ビット荷重とトルク 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・地層を破砕或いは削り取る為に必要な力をビット先端に与え、ビット

先端を地層に食い込ませる必要がある。このように掘削の際にビット

が必要な荷重をビット荷重と言う。ビット荷重は掘削機で発生させた

油圧力を掘具(ロッドや掘管)を通して伝達されるのが一般的である

が、トリコンビット掘削の場合は、ドリルカラーの重量でビット荷重

を加える方法が取られている。

・軟質な地層の場合は小さなビット荷重でもビット先端を地層に食い込

ませることができるが、硬い地層の場合は、十分なビット荷重を加え

ないと掘削することができない。ビット荷重はビットが 1 回転する際

に地層を削り取る量に影響し、ビット先端が地層に多く食い込めば1

回転当たりの掘削量は大きくなり、1回転当たりの掘削量に 1 分間の

回転数を掛ければ、1 分間の掘削速度が得られることになる。

・また、軟質な地層にビット先端が深く食い込んだ場合は、それを“掘

り起こす力”が沢山必要となる。これは、極軟岩~軟岩タイプのトリ

コンビットやメタルビットで地層を掘り起こす機構で掘削するビット

の条件に相当する。

・この“掘り起こす力”は掘削する時に必要な“トルク”として表示さ

れる。従って、軟らかな地層にビット先端が深く食い込んだ状態にな

る程、掘削に必要なトルクが大きくなりますので、掘削機のトルク能

力に留意する必要があります。このような状況で掘削中にトルクが減

少し、掘削速度が低下した場合は、ビット先端の地層への食い込みが

小さくなり、必要なトルクが減少したと推測される。ビット先端が地

層に深く食い込まなくなった原因は、地層が固くなった場合やビット

先端が磨耗してメタルの先端やツースの先端が鈍化し、同じビット荷

重では地層に食い込む量が減少したことが想定されるので、ビット荷

重を増やしたり、カッテングスの状況(岩質やサイズや形状)を観察し

たりして掘削状況を推察し、掘削条件をコントロールしながら、 適

な掘削条件を見出しつつ掘削することが重要であることを認識する必

要がある。 事例が発生した原因 -

事例への対応 -

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4-524

整理番号 471

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・掘削速度が低下した際、上述のような掘削条件をコントロールしても

掘削速度の改善が図られない場合は、ビットの磨耗が想定されるの

で、掘具を引き揚げてビットの点検をする必要がある。

・トリコンビットやメタルビットを使用して地層を掘り起こし、或いは

削り取る機構で掘削するビットを使用する場合は、ビット荷重を大き

くし、ビット先端を地層に十分食い込ませ、回転数はゆっくりと掘り

起こすことがビットの磨耗を防ぐ経済的な掘削方法と言える。尚、こ

のような掘削の場合は、必要なトルクが大きくなる為、掘削機の性能

上からは、低速回転で高トルクの状態で使用する必要がある。

・ダイヤモンドビット(ダイヤビット)の場合は、基本的に硬い地層を想

定している。ダイヤビットのサーフレスタイプは米粒程度のサイズの

ダイヤを埋め込んだタイプであり、ビット先端がメタルビットに較べ

ると小さいので、地層への食い込み量は少なくなるので必要なトルク

も小さくなる。従って、掘削速度を上げるためには食い込み量が少な

いため回転数をできるだけ速くし、高速で地層を削り取る方法が望ま

しいと言える。掘削機の性能上からは、ビット荷重は少なく、低トル

クで、高速回転が必要となる。

・地層を掘削する際のビットの掘削メカニズムを良く想定し、掘削機の

性能を把握して、 適なビット荷重と回転数やトルクの選択が掘削速

度の向上に寄与することを忘れてはならない。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ビット荷重、トルク

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4-525

表 19-12 ボーリング全般事例シート

整理番号 472

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 掘削技術-ビット回転数(回転数)と掘削速度 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・一般に、回転数は掘削機のスピンドルやロータリーテーブル等で発生

させ、掘具(ロッド・掘管)を通して先端のビットに伝達されている。

回転数はビット先端が単位時間当たりに地層を削り取る量に影響する

要素で、1 回転で地層を削る量と回転数の積が掘削速度になると想定

される。従って、掘削速度を左右する大きな要因は、ビット荷重と回

転数である。

・地層に食い込んだビット先端を所定の回転数で回すのに必要な回転力

(トルク)は、掘削機で発生させ、ロッドでビット先端まで伝達して

いる。掘削機が発生する回転数とトルクの関係は、掘削機の原動機出

力が同じであれば、回転数が上がればトルクが小さく、トルクを大き

くすると回転数が低くなる。このため、ビット荷重を増やしてビット

先端の食い込み深さを大きくすると大きなトルクが必要となるため回

転数は遅くせざるを得ない。回転数を遅くしないで、大きなトルクを

発生させる為には、大きな出力の掘削機が必要となる。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・ボーリングの目的と地層条件に適した掘削工法を選定し、 適なビッ

トタイプや掘削条件を決定する。更に、ボーリング予定位置の立地条

件から掘削に必要な種々の機材を輸送する条件等も考慮し、 適な能

力・性能の掘削機を選定すると同時に、掘削流体の性状や送水量等を

想定して掘削ポンプの能力、性能等を選定することが重要である。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード ビット回転数、掘削速度

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4-526

表 19-13 ボーリング全般事例シート

整理番号 473

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 逸水と地層の関係-未固結で空隙率が高い地層 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・砂、砂礫、礫、玉石層のように未固結で空隙率が高い地層が地下水位

よりも上にある場合は空隙部が空洞状なため逸水が発生する。地下水

以下で空隙部を地下水が流れている場合は、地下水圧が高いと地下水

が湧出し、地下水圧が低い場合は逸水が発生する。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・このような空隙率の高い地層の逸水を止める為には、粘性の高い泥水

や逸泥防止剤(LCM)を混ぜた粘性の高い泥水、或いは玉石のような逸

水の激しい地層を掘削する場合は、循環を止めるとビスコシティー

(泥水の粘性の一つ)が上昇しカッテングスの沈殿を防止するよう

な、特殊な性状を有する泥水の使用も検討する必要がある。このよう

な技術でも逸水を止めることが難しい場合は、ケーシングを挿入する

方法が実用的である。

・未固結な地層の分布状況は地域により大きく差がある。山間地では、

腐食土層や深部の岩盤の風化帯ゾーンで、地表から数 m~数十 m の場

合が多い。一般に、この部分の地層でコアリングの必要がない場合は

濃い泥水で逸水を気にしないで安定した地層(岩盤)まで掘削し、ケー

シングパイプを挿入して井戸壁を保護する場合が多い。 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・大きな平野のように河川堆積物が厚く分布する地域もある。未固結で

逸水が発生し易い地層はコアリングも非常に難しく、このような地層

をコアリングする場合は、特殊なコアリングツールスを使用する等の

検討が必要である。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 逸水、未固結、空隙率

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4-527

表 19-14 ボーリング全般事例シート

整理番号 474

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 逸水と地層の関係-溶岩の中の空洞や石灰岩層内の空洞 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・溶岩の内部には流れている途中で空洞を形成し、そのまま空洞が残る

場合がある。このような溶岩流の中の空洞は非常に大規模な逸水が発

生し、止めることが非常に難しい場合が多い。

・石灰岩層の中にも鍾乳洞のように地下水で溶かされた空洞が様々な形

状で分布することが想定され、このような空洞に遭遇して発生する逸

水は、極めて大規模で、止めることが非常に難しい場合が多い。

・溶岩流の中の空洞も石灰岩層の中の空洞も空洞のままの場合もある

が、一般に地下水が存在し、大きな空洞内を大量の地下水が流動して

いるケースが多く、ボーリング井がこのような空洞部分に逢着した場

合は、ロッドが無負荷状態で下がったり、ビット荷重がゼロになった

り、トルクがゼロになったり、掘削流体の圧力がゼロになったり、と

言った現象が見られる場合もある。

・更に、井戸口で耳を澄ますと水が流れる音が聞こえたり、空気が吸い

込まれる現象が認められたりもする。このような空洞で発生する逸水

は、極めて大規模な場合が多く、通常の逸水防止方法で止めることは

殆ど不可能に近い。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・大きな口径で掘削している時は口元から生コンクリートや砂利等も投

入しボーリング井内をコンクリートやセメントで充填し、逸水を止め

る努力をしたこともあるが、想像以上のコンクリート等が井戸の中に

吸い込まれるようになくなってしまう現象を見るに付けて、空洞部分

の大きさを想像することすらも難しい実体もあり、ケーシングを挿入

せざるを得ない場合が多い。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 逸水、溶岩、石灰岩、空洞

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4-528

表 19-15 ボーリング全般事例シート

整理番号 475

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 逸水と地層の関係-硬い地層内の逸水 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・岩盤内の逸水は割目に起因する。割目は地層内に複雑に分布する場合

が多く、割目の発達する要因には、地層の先天的・特有な性状に起因

するものと、地層が形成された後の造山運動や断層等の外的要因に起

因するものがある。

・地層が形成された時から持つ先天的割目は、溶岩流が固化の途中で発

生した割目や溶岩が冷えて固まる段階で発生する割目等がある。一

方、造山運動や断層等の地殻変動で地層が破砕され、割目を形成する

場合がある。

・深い深度に分布する温泉や地熱発電用の蒸気等が分布する割目はこの

ような割目と想定される。割目の形状や大きさは造山運動の規模や断

層の規模等で左右され、また、このような原因で発生した割目は、破

砕帯や割目ゾーンとして分布する場合が多いが、割目の大きさは様々

で、想定することはできない現状にある。 事例が発生した原因 -

事例への対応 - 事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠

・一般に、硬い地層は割目が発達し易いが、軟らかい地層は割目が発達

し難い傾向があり、硬い火山岩類は割目が発達しているが、泥岩・砂

岩・凝灰岩等軟らかい堆積岩は大きな割目が少ない傾向がある。

・目的に適応した割目(地下水層で逸水層)を選定し、不要なものは閉塞

し、必要なものはダメージを与えないように仕上げることに留意する

必要がある。 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 逸水、硬い地層

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4-529

表 19-16 ボーリング全般事例シート

整理番号 476

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削

事例名称 逸水と地層の関係-セメントスラリー等の流体の圧力により地層が破損

されて起こる逸水 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・ケーシングセメンチング(ボーリング井内に挿入したケーシングと井戸

壁の間のクリアランスにセメントスラリーを充填するためのセメンチ

ングを言う)の際に、セメントスラリーや後押し時の泥水の流動による

圧力が井戸壁に作用した時、地層の耐圧力を超すと地層がブレークダ

ウン(破損・破壊)して、割目が発生し、後押し泥水やセメントスラリー

の逸水が発生する場合がある。

・特に、逸水層をセメントスラリーや逸泥防止剤で閉塞した後、ケーシ

ングを挿入してケーシングセメンチングを行った際に、前に閉塞した

逸水層が損傷し、逸水が再発するケースが時々発生する。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・セメンチングに使用するセメントスラリーの性状を流動性が良く、比

重が低いものを選定すると同時にセメンチング方法もステージセメン

チング等で井戸壁に加わる圧力を下げる方法を考慮することも必要で

ある。セメントスラリーの後押しに泥水を使用する場合は、セメント

スラリーとのコンタクトによる汚染を防止し、更に、粘性や泥水比重

が上がり過ぎないように泥水を管理することも重要である。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 逸水、セメントスラリー、流体圧力

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4-530

表 19-17 ボーリング全般事例シート

整理番号 477

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トラブル対策 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・トラブルは掘削設備の故障や性能劣化等に起因するケースや井戸の中

に入れて使用している掘具類の損傷等に起因するケース、更に井戸の

中の状況と掘具類や掘削設備の性能がマッチしないことで発生するケ

ース、計画の時点で想定した地下条件と大きく異なる状況に起因する

ケース等が想定される。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・トラブル対策は、掘削計画を作成する段階で、想定されるトラブルに

対処するための機器や設備を準備し、予め掘削現場に準備する場合

や、いつでも使用できる状態で事務所に補完する等の対策が必要であ

る。但し、想定外のトラブルが発生した場合は、機器等の準備に時間

が掛かる事態も想定されるので、どの程度までのトラブルを想定し、

回避する対策を盛り込んで計画を作成するかは重要な点である。

・特に、特殊な目的を有する井戸を掘削する場合は、掘削時や掘削以外

の種々の作業時に発生する可能性のあるトラブルを想定し、必要な機

器類の準備や作業手順によるトラブルの回避等に十分配慮することが

重要である。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 掘削、トラブル、対策

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4-531

表 19-18 ボーリング全般事例シート

整理番号 478

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トラブル対策 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要

・井戸の中でトラブルが発生した場合は、状況をできるだけ正確に把握

し、手順を考えて、必要な機器を準備して対応することが重要で、手

順の間違いや機器が不適切な場合はトラブルが重なることもあるので

注意が必要である。 事例が発生した原因 -

事例への対応

・井戸の中の状況を正確に把握するためには、掘削クルーの日頃の井戸

の情報管理、情報の共有化が も重要である。また、井戸は掘削作業

に伴い時々刻々と深さが変わり、それにより新しい地下の状況が変化

していることに十分配慮する必要がある。掘削作業をしていない場

合、例えば検層や原位置試験等を実施しているような場合でも井戸の

中の状況は絶えず変化していることを認識する必要がある。

・井戸の中の状況が変化した場合、井戸のどの部分に異常が発生したか

を把握することが一番重要である。逸水や掘削状況の変化等の異常が

発生した場合、掘削中のビット先(孔のボトム)で発生したか、途中

の軟弱地層や逸水・湧水等があった地層で再発したのかと言った検討

が必要となり、これらを総合的に見て状況判断して、 適な対応策を

選択する必要がある。従って、井戸の中の状況が変化し、異常が発生

した場合は、井戸の裸孔部全体の状況を絶えず想定して、井戸全体の

異常を 小限にするように対応策を検討し、対処する必要がある。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 掘削、トラブル、対策

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4-532

表 19-19 ボーリング全般事例シート

整理番号 479

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トラブル対策-掘削設備の故障や性能劣化対策 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・掘削設備の故障や性能劣化対策

事例が発生した原因 -

事例への対応

・種々の機器設備を使用しているので、各機器類が適正な性能を絶えず

発揮するように日頃の点検が も重要である。機器類の設置してある

ゲージ類のチェックを日々行い、日誌に記載し、点検や部品交換等を

適正に行い、記録しておくことが重要である。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トラブル、掘削設備、故障、性能劣化、対策

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4-533

表 19-20 ボーリング全般事例シート

整理番号 480

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トラブル対策-掘具類の性能劣化対策 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・掘具類の性能劣化対策

事例が発生した原因 -

事例への対応

・井戸の中に入れて使用する掘具類は、掘削機の性能(トルクや引張力

等)にマッチした性能を持つものを選定することが も重要である。ま

た、掘具の性能よりも掘削の性能が大きい場合は、掘具を安全に利用

できる範囲を把握し、安全性の限度を超さない様に使用することを掘

削クルー全員で共有する必要がある。

・掘具類は使用するに従って摩耗、損傷等の劣化が発生するので、掘具

類は揚管時に、管体の摩耗やネジ部の損傷・摩耗等に留意し、異常が

認められれば交換する等の処理をする必要がある。

・掘具類は定期的に摩耗状況の測定やネジ部の検査等を行い、掘具とし

ての品質・性能を維持する基準を作る必要がある。

・掘具類のトラブルで多いのは、ネジ部の切断(折損)であり、折損によ

り井戸内に遺留した掘具を回収する器具(タップやオーバーショット

等)は現場に維持することが望ましい。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トラブル、掘削設備、故障、性能劣化、対策

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4-534

表 19-21 ボーリング全般事例シート

整理番号 481

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トラブル対策-掘具類の遺留対策 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・掘具類の遺留対策

事例が発生した原因 -

事例への対応

・掘具類が井戸の中から引き上げることができなくなる状況を抑留(ジャ

ーミング)と言う。抑留は掘具と井戸壁の間に異物が挟み込まれて動か

なくなる状態で、井戸の壁(岩盤等)が崩壊した場合、カッテングスの

排出が不完全でビットの上部やスタビライザーの上部等に堆積した場

合、井戸の口元から異物を落とし込んだ場合、新しいビットを降下中

に古いビットで井戸径が小さくなったところに入り込んだ場合(せり込

み)、粘土質の地層が膨潤し掘具の周りに張り付いた場合、掘具編成を

変えた際孔曲がり大きい所に掘具がせり込んだ場合等がるが、井戸の

中の掘具類はいつでも抑留される危険を伴っていることに留意が必要

である。

・井戸の中の状況に対応するために、種々の泥水や調泥剤が開発されて

いるので、計画の段階で十分に検討し、選定することが重要である。

・井戸の中に落とす危険のある機材や工具等は井戸口付近には置かない

こと、井戸口付近で工具を使用する場合は紐を付ける等の落下防止策

を取ること、掘具を引き上げた場合に井戸口は蓋で塞ぐ等の意識はク

ルー全員が共有し、対処する必要がある。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トラブル、遺留、対策

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4-535

表 19-22 ボーリング全般事例シート

整理番号 482

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 ボーリング掘削 事例名称 トラブル対策-高圧地下流体の噴出対策 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 - 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・高圧地下流体の噴出対策

事例が発生した原因 -

事例への対応

・特に危険な高圧地下流体は高圧ガス層である。地熱井の場合は高温の

蒸気や硫化水素等の有毒ガスが噴出するケース、石油や天然ガスが存

在するエリアではメタンガスが噴出するケース等が想定され、人的災

害や火災等の大きなトラブルに発展する危険性が高い。このような地

層をボーリングする場合は、計画の段階から十分に安全対策を検討

し、口元装置(BOP 等の安全装置)を丈夫なケーシングに取付け、掘削

流体の比重等に留意した泥水管理をしながら、もし、掘削流体が吹き

出すような異常事態が発生した場合の対応策をクルー全員で共有して

日常の作業をする必要がある。 事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード トラブル、高圧地下流体、噴出、対策

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4-536

表 19-23 ボーリング全般事例シート

整理番号 483

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-1 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・HDB-1 では比抵抗法による実施したが、概ね孔壁画像は取得できたも

のの、画像が乱れたところがあった。

事例が発生した原因 ・孔径拡大により、電極パッドが孔壁に密着できない部分が生じたた

め、画像が乱れたと考えられる。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-537

表 19-24 ボーリング全般事例シート

整理番号 484

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 水理試験 事例名称 HDB-1 における坑壁画像調査の実績

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・HDB-1 では比抵抗法による実施したが、概ね孔壁画像は取得できたも

のの、画像の白抜き箇所が生じた。

事例が発生した原因 ・地層中より湧出したガスが孔壁と電極パッドの間に入り込み、ガスの

部分が白く抜きになったと考えられる。 事例への対応 -

事例への対応結果 - ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、坑壁画像調査、比抵抗法

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4-538

表 19-25 ボーリング全般事例シート

整理番号 485

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔間トモグラフィ 事例名称 DH-2-MIZ-1 における孔間トモグラフィの計画変更 調査の目的 研究所設置地区における地下水流動解析のためのデータ取得。

調査の概要 研究所設置地区おいて、孔間トモグラフィを実施し地質環境に関する情

報を取得し、研究所設置地区における地下水の流動について検討する。 調査項目と方法 ・弾性波孔間トモグラフィ探査

課題 - 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 2004 年 事例の発生個所 DH-2-MIZ-1 間

事例の概要 ・DH-2-MIZ-1 の 2 本のボーリング孔(孔間距離:約 265m)を用いた

孔間弾性波トモグラフィ探査を計画したが、発振孔から受振孔へ信号

(弾性波)が届かなかった。

事例が発生した原因

・孔間の岩盤内に弾性波を大きく減衰させる断層破砕帯のような岩盤の

脆弱部の存在。 ・孔内震源の検討の際、選定根拠となる過去の実績に関する情報を鵜呑

みにして、実績と挙げられた調査における岩盤の状態などの詳細な背

景情報を怠ったこと。 ・調査計画立案時には、既に既往の調査によって調査範囲に断層破砕帯

の存在が推定されていたにも関わらず、調査におけるこれらの影響に

対する認識が薄く、選定された孔内震源における調査の成立性の検討

が十分でなかったこと。

事例への対応

・孔内震源を用いた調査が不可能ということが明らかになった時点で、

地表発振。孔内受振という配置での弾性波トモグラフィ探査に変更 ・この調査は位置では、孔間中央部に解析不能な部分が生じるため、そ

の補足として、MIZ-1 号孔と DH-2 号孔とを用いた孔間比抵抗トモグ

ラフィ探査を追加で実施。 ・受振できなかった原因究明のため、SPH-54 震源での弾性波の伝播能

力の試験を実施。

事例への対応結果

・MIZ-1 号孔と DH-2 号孔の孔間に複数の高角殿断層破砕帯と考えられ

る不連続構造の存在が推定された。 ・立坑付近の被覆堆積岩と花崗岩との不整合深度及び岩盤の弾性波速度

分布も推定された。 ・第一段階の目標である地質環境モデルの構築のみならず、立坑掘削工

事にも有益な情報を取得することができた。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ・小出ほか(2007): JAEA-Evaluation 2007-001 キーワード 東濃、広域地下水流動、孔間弾性波トモグラフィ

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表 19-26 ボーリング全般事例シート

整理番号 486

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 孔内力学試験 事例名称 HDB-1 における孔内力学試験-型取パッカーの抑留

調査の目的 幌延地域においては、主に上位に声問層と下位稚内層が分布しており、

岩芯観察により、それらの層の分布深度とその広がりを確認すること。

調査の概要

声問層と稚内層の分布状況を把握し、地下研究施設に適した地層が十分

な厚さと広がりを持っているかを、ボーリング掘削よって採取した岩芯

調査によって判定する。また、声問層と稚内層の境界深度の違いは断層

などの地質構造を示唆するものであるので、その深度を適切に把握する

こと。

調査項目と方法 ボーリング掘削によって採揚された岩芯を観察し、岩石名を判定し、地

質層序を判定する。

課題 ・声問層は珪藻質、稚内層は珪質な泥岩であり、両者の際は続成作用の

程度の差異が主なものである。 知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル

事例の発生日時 平成 13 年度 事例の発生個所 HDB-1

事例の概要 ・ワイヤーライン方式で孔内に下ろした型取パッカーが孔内に抑留され

た。 事例が発生した原因 ・水圧破砕法による孔内状況の悪化が原因と考えられる。

事例への対応 ・数度のワイヤーの上げ下げ、強引によりパッカーを回収。 ・次年度より、掘管使用による方式に変更。

事例への対応結果 ・抑留トラブルは防ぐことができるようになった。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 幌延、岩芯、声問層、稚内層、孔内力学試験、水圧破砕法

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表 19-27 ボーリング全般事例シート

整理番号 487

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 プローブの孔内抑留 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 物理検層によって孔内状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・物理検層プローブを上げようとしたが、抑留された。

事例が発生した原因

・プローブが孔底に至る前に埋没が生じ、孔底深度が浅くなっていた。 ・浅くなった孔底にプローブが着底したことに気づかず、ケーブルを送

った。 ・送り過ぎたケーブルが孔内でからまり、孔内で抑留された。

事例への対応 ・ケーブルを強引。

事例への対応結果 ・プローブを回収できた。 ・テンションメーターを監視することにより、プローブが降下状況に注

意を払うようにした。 ノウハウ・判断根拠 ・テンションメーターの監視。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 物理検層、抑留、トラブル

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表 19-28 ボーリング全般事例シート

整理番号 488

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 プローブが降下しない事例 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 物理検層によって孔内状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・物理検層プローブを降下していたが、途中深度で降下できなくなっ

た。

事例が発生した原因

・傾斜井で、しかも 終段のケーシングがライナーハンガー仕上げであ

った。降下できなくなった深度がその深度であったため、プローブの

先端がケーシングの肩部にあたり、降下できなくなったと考えられ

る。 事例への対応 ・数度上げ下げを繰り返した。

事例への対応結果 ・プローブを降下することができた。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 物理検層、降下不良、トラブル

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表 19-29 ボーリング全般事例シート

整理番号 489

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 プローブの孔内残留 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 物理検層によって孔内状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・孔内において検層ケーブルが切断し、プローブが孔内に落下した。

事例が発生した原因 ・地熱井中の流体によりケーブルが腐食し、強度が低下した。その状態

で抑留も併発した。プローブは孔口まで上がってきたものの、回収直

前にケーブルが切断し、プローブが孔内に落下した。

事例への対応 ・回収を試みたが、地熱流体の噴出が激しいこととなどから、回収を断

念した。

事例への対応結果 ・回収を断念した。但し、後年、掃孔時に回収できたと聞いている。 ・プローブについては保険適用。

ノウハウ・判断根拠 - 参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 物理検層、残留、ケーブル切断、トラブル

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表 19-30 ボーリング全般事例シート

整理番号 490

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 ケーブルの破損トラブル 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 物理検層によって孔内状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 -

事例の概要 ・ケーブルドラムに巻きつけたケーブルが絡まり、送り出しができなく

なった。

事例が発生した原因 ・冬季において一度孔内に降ろして巻き上げたケーブルに付着した水が

低温のため氷結した。氷結した氷は体積が増すためケーブルを押し広

げ、隣接するケーブルと絡んだ。

事例への対応 ・ケーブルをゆっくり送り出し、再度巻きなおした。 ・ケーブルに付着した水を極力拭き取るようにした。

事例への対応結果 ・ケーブル巻きなおし等の作業が発生したため、作業スケジュールに変

更が生じたものの、 終的には検層作業は実施できた。 ノウハウ・判断根拠 -

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 物理検層、ケーブル破損、トラブル、氷結

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表 19-31 ボーリング全般事例シート

整理番号 491

ES 名 調査支援に関わる ES 調査対象 ボーリング調査

個別調査項目 物理検層 事例名称 深度のズレ 調査の目的 - 調査の概要 -

調査項目と方法 物理検層によって孔内状況を調査すること。 課題 -

知識レベル 調査実施者の経験に基づくノウハウや判断根拠のような知識レベル 事例の発生日時 - 事例の発生個所 - 事例の概要 ・測定深度にズレが生じた。

事例が発生した原因 ・深度を測定する滑車をケーブルが滑ったため、滑車の回転とケーブル

送り出しが合わなくなり、深度にズレが生じた。 事例への対応 ・測定しなおし。

事例への対応結果 -

ノウハウ・判断根拠 ・ケーブルの送り出し/巻き上げ速度が速いと発生しやすい。 ・適切なケーブル速度の調整。 ・深度モニターの監視。

参考文献 ボーリング調査熟練技術者によるインタビュー キーワード 物理検層、ケーブル破損、トラブル、氷結

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付録 4-B

水理試験品質管理に関するチェックシート

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表 4-B-1 テストログの例

実施期間:

施 工 者:

現場代理人:

Event Interval Date 所要時間 Comments

時間

Date Time Activities Key word Comments

水理試験 TestLog 

試験区間  ~  mabh

試験対象区間の掘削からPSR開始までの時間(hour)

試験対象区間の掘削から、その区間における水理試験(PSR)開始までのイベント

JAEA 実施会社

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4-547

表 4-B-2 Tally List(試験装置構成表)の例

実 施 日 付 :

施 工 者 :現 場 代 理人 :

Tally list (No. , test interval:mabh, single/double packers)

No check type (radius) 内径(m)

Length ofpiece (m)

Cumulative length

Position inborehole(mabh)

水理試験/採水編成リスト(TallyList)

piece

表示内容:

記録責任者:

実施会社名:

総括監督員 主任監督員 担当監督員原子力機構研究管理者 原子力機構担当者

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表 4-B-3 水理試験作業に関わる品質管理チェックシート

孔 井 名 :実 施 日 付 :試 験 区 間 :   mabh ~  mabh施 工 者 :現 場 代 理 人 :担 当 会 社 名 :実 施 責 任 者 :

項 目 確認 備 考

0.8MPa以上:A0.8MPa以下 :B

平衡状態:A

上昇傾向:B

下降傾向:C

ほとんど変動無し   :A

わずかに変動(1割以下):B

大きく変動(1割以上):C

ほとんど変動無し   :A

わずかに変動(1割以下):B

大きく変動(1割以上):C

無し    :A

有り    :B

試験装置   :A

装置外(地盤等) :B

不明     :C

変動無し:A

変動あり:B

変動無し:A

変動あり:B0.8MPa以上:A0.8MPa以下 :B

PW終了の判断

初期状態に回復  :A

ほぼトレンドまで回復:B

その他(協議等) :C

RW終了の判断

(デリバティブプロット)

境界に達した :A

解析領域を確認:B

その他(協議等):C

RWS終了の判断

(デリバティブプロット)

境界に達した :A

解析領域を確認:B

初期状態に回復:C

その他(協議等):D

PW

RW

RWS

PW

RW

RWS

その他、補足事項(備考欄補足等)

⑪項目1)~5)の状況

や現象に対する解析

への影響

殆ど問題なし:A

影響あり  :B

⑫上記⑪で「B」の場

合の解析結果

解析可能:A

解析可能(条件付):B

解析不能:C

水理試験作業に関わる品質管理チェックシート(各試験過程記入用)

確認・実施内容

1)試験開始時の状況

7)解析結果の検討

①試験区間とパッカー圧との差圧

②試験区間の圧力変動状況

③P1の変動

(基準:P2変化との割合)

④P3の変動

(基準:P2変化との割合)

⑤試験に対し重大な

ノイズの有無

2)試験のインパクトに呼

応するP1,P3の変動

3)ノイズ等の発生の

有無(主に電気的)

5)試験中の変動

6)試験終了時の判定

⑥上記ノイズの原因

⑦P2の地球潮汐変動

⑧その他の変動(ガスの影響など)

⑨試験区間と

パッカー圧との差圧

⑩試験終了の判断(Derivative Plot)

JAEA 施工会社 実施会社

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表 4-B-4 水理試験結果速報シートの例

地 点  試験深度試験開始日 試験終了日試験装置種別 試験装置パッカー構成 試験者

上部パッカー上端 mabh 掘削深度 m

試験区間上端 mabh 掘削傾斜角度 水平試験区間下端 mabh 掘削孔半径 m下部パッカー下端 mabh ロッド半径 m

試験区間長 m システム容積 m3

圧力計高さ 坑道底盤+m 仮想半径Rw m区間湧水量 L/min

試験概要

項目 PW1 RW/RWS PW2

試験前PSR変化量(m)

大水位変化量(m)Compressibility(m

3/Pa)

RW排水流量(L/min)

RW時間(min)

試験前P1水圧(MPa)試験前P2水圧(MPa)試験前P3水圧(MPa)

試験結果 T(m2/sec) k(m/sec) S ( - ) Ss(1/m) 解析方法

備考・補足

号孔 水理試験 概要・試験結果

Test Name & Condition

原子力研究開発機構確

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表 4-B-5 詳細解析データ確認リストの例

GeologyFracture frequencyDip of fracture (Examine packer bypass)Others

Test interval depthTest interval lengthInclination of boreleRadius of boreholeTest interval volumeDepth of sensorsDepth of packer(s)Midpoint depth of tetst invervalOthers

Viscosity of GWDensity of GWViscosity of drilling fluidOthers

Estimated static pressure of test intervalRadius of investigationFlow dimensionTest zone compressivility (Comfermation of free gas)Results of quick analysisOthers

Information on geology in test interval

Information on test section

Infromation from hydrotesting

Information on groundwater(GW) properties