大谷いづみ「ベビーm事件」...

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社会認識教育方法学特講大谷いづみ「ベビーM事件」 の授業分析・改善 発表者 M0104105 河村哲太 M0104105 河村哲太

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Page 1: 大谷いづみ「ベビーM事件」 の授業分析・改善...社会認識教育方法学特講Ⅰ・Ⅱ 大谷いづみ「ベビーM事件」 の授業分析・改善 発表者

社会認識教育方法学特講Ⅰ・Ⅱ

大谷いづみ「ベビーM事件」の授業分析・改善

発表者

M0104105 河村哲太M0104105 河村哲太

Page 2: 大谷いづみ「ベビーM事件」 の授業分析・改善...社会認識教育方法学特講Ⅰ・Ⅱ 大谷いづみ「ベビーM事件」 の授業分析・改善 発表者

発表構成

・授業分析の問題意識

・授業の基本情報、授業の観察・記録授業の基本情報、授業の観察 記録

・授業分析

・授業の評価・改善

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授業分析の問題意識

授業の中でどのように読解力を育てようとしているのか。

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授業の基本情報(1)授 本情報対象授業の位置づけ

・授業者である大谷いづみは、1987年から生

命倫理問題に意欲的に取り組む命倫理問題に意欲的に取り組む

・大谷実践第9時限目にあたる。

・本授業は1999年度のもの。

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授業の基本情報(2)授業の基本情報(2)大谷実践における本対象授業の位置づけ①

学期 章 主題 授業時数

1 序章 オリエンテ シ ン 2時間1 序章 オリエンテーション 2時間

1 1章 生命科学と生命倫理

ベビ M事件

13時間

ベビーM事件

1 2章 生命科学と生命倫理

脳死・安楽死・尊厳死

18時間

脳死 安楽死 尊厳死

2 3章 生命の質と選択 9時間

章 ドイ ズム 究 時間2 4章 ドイツ・ナチズム研究 27時間

3 5章 自己と他者の受容 18時間

―アイデンティティの発見―

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授業の基本情報(3)授 本情報第一章における単元計画

1時限:ベビーM事件アンケート

2、3時限:バイオテクノロジーとバイオメィシン、人

工生殖工生殖

4、5時限:人工生殖の方法と課題

6時限:VTR「ソニアの赤ちゃん」6時限:VTR「ソニアの赤ちゃん」

7時限:ベビーM裁判(第一審)8 9時限 ベビ M裁判(第二審)8、9時限:ベビーM裁判(第二審)

10時限:VTR「NHK報道スペシャル・代理母」

11時限:ベビーM裁判(VTRとの関連)時限 ビ M裁判(VTRとの関連)

12、13時限:ベビーM裁判(まとめ)

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授業の基本情報(4)授 本情報第一章の目標と中心となる問い

・章の目標

人間のコントロ ルすることが 父性母性の人間のコントロールすることが、父性母性の分裂などの人間関係の歪みを生んでいることを知らせるとを知らせる。

・中心となる問い

ベビーMは依頼者の子どもか、代理母の子どもか?どもか?

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授業の観察・記録

①授業資料記録①授業資料記録

②授業記録

③関連論文③関連論文

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授業分析(1)授 分析授業の横割りとラベリング

グラベリング 教師(T) 知識(1)~

ベビーM事件の構図 T1~8 (1)~(5)

ベビーM事件の争点と評価 T9~19 (6)~(11)

ベビーM事件における

契約の手続き

T20~T33 (12)~(18)

子どもの金銭売買契約の正当性 T34~T43 (19)~(25)

妊娠前の親権放棄の正当性 T44~T47 (26)~(28)

第一審の疑問点 T48~T63 (29)~(39)第 審の疑問点 T48 T63 (29) (39)

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授業分析(2)授 分析ラベリングと授業構成

(導入)

・ベビーM事件の構図

・ベビーM事件の争点と評価

(展開1)

ベビ M事件における契約の手続き・ベビーM事件における契約の手続き

(展開2)

・子どもの金銭売買契約の正当性子どもの金銭売買契約の正当性

・妊娠前の親権放棄の正当性

(終結)

・第一審の疑問点

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授業分析(3)授 分析導入の概要

・Mの父であるウィリアムが斡旋会社を通してお金を払い エリザベスと養子縁組することお金を払い、エリザベスと養子縁組することで、自動的に決まる家族関係を組み替えているいる。

・ベビーM事件は、裁判において、代理母契約の有効性とMの親権をめぐ て争われ 結の有効性とMの親権をめぐって争われ、結果、ウィリアム側が勝訴し、親権を獲得した。

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授業分析(4)授 分析展開1の概要

・ベビーM事件では、契約の手続き上の問題として エリザベス・スターンの病気の重度にして、エリザベス・スターンの病気の重度によっては正しい契約とはいえない可能性があるある。

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授業分析(5)授 分析展開2の概要

・たとえお金が子どもと一緒に動こうと、父親であるウィリアムから出ていることから、新生あるウィリアムから出ていることから、新生児売買に当たらないため、代理母契約は有効である。

・払ったお金は、メアリーベスの妊娠・出産に対するサービス料であり、これは合衆国憲対するサ ビス料であり、 れは合衆国憲法でも保障されており、出産前の親権放棄には当たらないため、代理母契約は有効である。

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授業分析(6)授 分析終結の概要

・第一審では代理母契約遵守としたが、そこには 子どもの売買ではないかという疑問 母は、子どもの売買ではないかという疑問、母性の軽視ではないかという疑問、いのちに関わる問題を個人レベルで扱ってよいのか関わる問題を個人レベルで扱ってよいのかという疑問、契約の前提としての両者の対等性への疑問 の4つの問題点が提起され等性への疑問、の4つの問題点が提起されている。

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授業分析(7)授 分析レベル3・4知識から見る本授業

・導入は、前回の復習を含んだ形で進んでいるる。

・展開1・2の部分は、法的な手続きを見ていくという形の授業である。

・終結は 授業者による問題点を提示している・終結は、授業者による問題点を提示している。

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授業の評価・改善(1)授 評価 改善内在的改善の視点

・授業展開はスムーズ

・内在的改善点は、「発問」である!!内在的改善点は、 発問」である

具体的には ①MQ ②発問の数・具体的には、①MQ、②発問の数

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授業の評価・改善(2)授 評価 改善①MQの改善1

・実践では、知識の構造図のⅠを問う、MQが明示的に示されていない明示的に示されていない。

れを改善するためには T T と 発・これを改善するためには、T18-T19と、発問の構造図MQをうまく組み合わせる必要性。

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授業の評価・改善(3)授 評価 改善①MQの改善2

・T18-T19は、生徒のリアクションペーパーによる事前の反応

(大部分の生徒が、「約束は守らないといけない」という理由でウィリアム側を支持)

・法的な視点から 第一審では ベビーM事件をどのように判断し・法的な視点から、第一審では、ベビーM事件をどのように判断し、しかしそこにはどのような問題が潜んでいるのか。

=T20において、このMQを提示し、生徒の考えと、法的な解釈の差を意識させながら、ベビーM事件の第一審の判断を理解するようにする。ようにする。

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授業の評価・改善(4)授 評価 改善②発問の数1

・実践では、発問の数が少ない。

(知識39に対して 発問18)(知識39に対して、発問18)

・授業者の意図に沿えば、必ずしも生徒に直接質問しなくてもいいが、講義形式の授業においても、少なくとも、発問ー知識を繰り返す形の方が、生徒は授業の展開を意識しやすく、理解をしやすくなるのでは。

⇒発問の構造図に改善案を提示

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授業の評価・改善(5)授 評価 改善②発問の数2

・ただ、時間の都合上、全ての発問を口に出すことはできないかもしれない どうするか?ことはできないかもしれない。どうするか?

・授業者の特徴として、レベル3・4知識に対してはよく発問(9)するが、レベル2知識についての発問(6)が少ない

⇒まず、全てのレベル2の知識を問う発問を設まず、全てのレ ル2の知識を問う発問を設定し、そこだけは、確実に問う必要性。

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授業の評価・改善(6)授 評価 改善外在的改善①読解力導入の方法

読解力の取り入れの方法は、

(ⅰ)テキストを生徒自身が読み解き、レベル1の知識を抽出し、(ⅱ)それらを他のレベル1知識に結びつけ、より高次のレベル2、(ⅲ)レベ 3の知識 と向上させる(ⅲ)レベル3の知識へと向上させる

であるである。

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授業の評価・改善(6)授 評価 改善外在的改善②読解力導入の実際1

・例えば、知識の構造図C、レベル2知識⑥に該当する内容で ここでは 資料プリント該当する内容で、ここでは、資料プリントNo.2をテキストとする。

・実践では、授業者は、この新聞記事のテキストを自分で読み、説明している。

⇒この部分をテキストとして、生徒に読み取この部分をテキストとして、生徒に読み取

らせる

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授業の評価・改善(7)授 評価 改善外在的改善②読解力導入の実際2

・まず、前提として、授業の流れの中で、⑤とその下位知識である(12)(13)を理解しておく。識

(ⅰ)生徒自身がテキストを読み解き、レベル1知識を抽( )生徒自身がテキストを読み解き、レ ル 知識を抽出する

⑤の知識を前提に、プリントNo2から、(14)の知識を抽出する

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授業の評価・改善(8)授 評価 改善外在的改善②読解力導入の実際3

(ⅱ)それらを他の知識と結びつけて、より高次のレベル2知識へと向上させる識

レベル1知識(14)を抽出した後、レベル1知識(15)レ ル 知識( )を抽出した後、レ ル 知識( 5)へと話しを発展させて、(15)を獲得させる。ここから、生徒たちが⑤を加味し、(14)、(15)の知識を関連さ

考 知識 を導きせて考えることで、レベル1知識(16)を導き出し、そこから、レベル2知識⑥を導き出す。

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授業の評価・改善(9)授 評価 改善外在的改善②読解力導入の実際4

(ⅲ)レベル3知識へ発展させる

後に 生徒が⑤と⑥知識を関連させて考後に、生徒が⑤と⑥知識を関連させて考えることで、レベル3知識を導き出す。

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授業の評価・改善(10)授 評価 改善外在的改善③読解力取り入れの場面1

・読解力導入の場面

テキストを提示できるとき=テキストを提示できるとき

・具体的な場面は

・・・展開1・2展開1 2

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授業の評価・改善(11)授 評価 改善外在的改善③読解力取り入れの場面2

(展開1)

①T24 プリントNo 2 4段目①T24:プリントNo.2、4段目

(展開2)

②T30:同上、読み飛ばし部分

③T34:プリントNo 10 資料② 左側③T34:プリントNo.10、資料②、左側

※また、判決について、実際の判決文をテキストにすることも考えられるストにすることも考えられる。

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おわりにー本発表の課題ー

・前回発表でしっかりと準備して、本来この発表をすべきであった表をすべきであった

・改善案を、指導案の形式で示すことができればなおよかった。