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わかりやすい 臨床検査 2 昭和大学医学部 教授 高木 康 わかりやすい 臨床検査 2

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Page 1: わかりやすい 臨床検査 第2版 - jiho.co.jp · わかりやすい ... 第Ⅰ章 肝臓の機能と検査. こんにちは先生。 こんにちは井上さん。今日はどんなお話をしましょうか。

わかりやすい臨床検査 第2版

昭和大学医学部 教授

高木 康

わかりやすい臨床検査 第2版

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資料編

第Ⅰ章

肝臓の機能と検査

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▶こんにちは先生。▶こんにちは井上さん。今日はどんなお話をしましょうか。

▶実は先日,「会社の健康診断で “肝臓が少し疲れているね” と言われたのですが,どういうことですか?」 という質問を患者さんから受けました。それで今日は,肝臓の検査についてお話しいただければと思いますが。

肝臓は一言でいえば人体の “化学工場” です▶わかりました。ところで肝臓の検査についてお話しする前に肝臓はどこにあり,どのくらいの大きさかわかりますか?▶肝臓ですか? 肝臓はここ,みぞおちの上で肋骨に囲まれていると記憶していますが。

第Ⅰ章 肝臓の機能と検査

肝臓の機能と検査を知ろう

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化学工場

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資料編

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肝臓の機能と検査を知ろう

▶そうですね。図1のように腹腔の右上部にあり,上部は横隔膜,前面は肋骨に囲まれ,右の方が大きい。これは左には脾臓があるためです。健康な人では肋骨に隠れていますが,肝臓に何か障害があり,膨れてくると肋骨から下に膨れ出てくる。診察室で医者がお腹を触わり,指を肋骨の境界あたりで前後させるのは肝臓の腫れをみているのです。ではどれくらいの大きさでしょうか?▶かなり大きいのはわかるんですが,どれくらいかは…。

▶かなり大きいですよ。日本人の成人では男性で1,000~1,500g,女性で900~1,300gくらいです。肝臓は生体にとって極めて重要な働きをしていますから,このように大きいのです。昔から大切なことを肝心(肝腎)とか肝要とかいうでしょう。▶そうですね。心臓や腎臓も同様に大切な臓器ですものね。

▶そうです。大きくてたくさんの働きがありますが,一言でいうなら“物質代謝の中心臓器”,もっとわかりやすくいうなら“化学工場”という言葉がピッタリです。

▶“物質代謝”というと?▶1つは合成と分解です。たとえば,食事中の炭水化物は消化液で二糖類か単糖

心臓肺臓

脾臓

胃肋骨

膵臓

直腸

胆嚢十二指腸

空腸

回腸

上行結腸

肝臓

図1 肝臓の生体での位置

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第Ⅰ章 肝臓の機能と検査

類に分解されて腸管から吸収され,門脈を経て肝臓に運ばれます。そして,ブドウ糖からグリコーゲンに合成されて貯蔵され,必要時にはブドウ糖に分解されて血中に放出されます。また,血中の蛋白質,血漿蛋白といいますが,代表的な血漿蛋白であるアルブミンは肝臓で合成されますし,αグロブリンやβグロブリンに属する蛋白も多くは肝臓で合成されます。それに皆さんはあまりご存知ないようですが,血液凝固因子も蛋白,肝臓で作られます。

▶凝固因子? すると肝臓は止血にも関係するのですか?▶そうです。肝臓が悪くなると血液凝固能が低下して止血しにくくなります。また,有害物質やあなた方薬剤師のご専門である薬の代謝・不活化にも肝臓が大きく関与しているのはよくご承知のことでしょう。

▶ええ,それはもう。一応専門ですから。

肝臓のもう1つの機能に,胆汁の生成と分泌があります▶肝臓で作られて胆嚢で濃縮されて十二指腸に分泌されるのですよね。▶そうです。胆汁中には肝臓でコレステロールから合成される胆汁酸と胆汁色素すなわちビリルビンが含まれています。この胆汁は腸内に1日に500~600mL分泌されて,胆汁酸は脂質を分解して腸管からの吸収を助けています。ビリルビンの代謝は肝臓の大きな役割です。

▶ビリルビンは何から作られるのですか?▶ビリルビンは赤血球のヘモグロビンから作られます。ヘモグロビンは血色素とも呼ばれて,呼吸・酸素運搬の中心的役割を果たしています。赤血球が約120日の寿命を全うすると脾臓で壊され,赤血球中のヘモグロビンはヘムとグロビンに分解されます。ヘムの中には鉄が含まれており,この鉄は生体に とっても非常に大切ですから,再利用のために鉄を取り出し,ビリルビンにします。

▶ ……。▶ヘモグロビンからできたビリルビンは肝臓に運搬され,ここでグルクロン酸抱合されます。抱合されたビリルビンは胆汁中に排泄され,腸管内で細菌によりビリベルジンに還元されたり,さらにはステルコビリノゲンとなって便中に排泄されるのです(図2)。

▶すると,便の色はビリルビンやステルコビリノゲンの色なんですね。▶そうです。正確には、ステルコビリノゲンは無色ですが、これが酸化されてステルコビリンとなると茶色となります。ですから、胆管が塞るとビリルビンが

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▶こんばんは先生。▶こんばんは井上さん。それじゃさっそく始めましょうか。まず,宿題(18頁)の解答をしていただきましょう。まず問題①の「異常となっている検査項目はどれですか」から。

▶最初の症例と同じようにAST(GOT)が84U/L,ALT(GPT)が102U/Lと軽度上昇しています。それから,γ-GTが136U/Lと中等度上昇しています。▶他にはありませんか?

▶総コレステロールが246mg/dL,TG(トリグリセリド)も286mg/dLと上昇しています。▶そうですね。基準値を参考にするとそうなりますね。では問題②「これらの異常からどんな状態と考えますか」は?

▶前の症例のようにAST(GOT)とALT(GPT)の両酵素が上昇していますから,肝障害が考えられ,しかもALPが基準値ですから,胆道系より肝細胞障害のほうが考えられます。▶そうです。でも肝細胞障害とするとおかしなデータがあるでしょう。

▶……。▶わかりませんか?

▶逸脱酵素,胆管酵素……,コリンエステラーゼですか?▶そうです。コリンエステラーゼです。前回は,肝細胞障害では合成障害のために血清コリンエステラーゼ活性は低下すると解説しました。

▶そうです。▶しかし,肝細胞障害でもコリンエステラーゼが高値となる場合があるんです。

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第Ⅰ章 肝臓の機能と検査

症例をもとに考えよう─脂肪肝

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▶どんな状態ですか。▶脂肪代謝障害,つまり脂肪肝です。

▶脂肪肝ですか。脂肪肝は脂肪代謝異常により肝細胞内に中性脂肪が蓄積する病態ですね。▶そうです。この脂肪肝の診断は現在では超音波検査により行われています。超音波検査では,肝臓は腫大して全体に微細な高いエコーを生じてbright liver(高輝度)となります。その他に深部エコーが減衰し,肝縁の輪郭,肝臓内の脈管が不明瞭になります(図1)。

▶それじゃ,それらを総合して脂肪肝と診断するのですね。▶そうです。そして、超音波検査で肝臓の脂肪化が見つかれば、腹部CTにより肝臓と脾臓のCT比を測定して、脂肪肝と診断します。しかし、超音波検査にしてもCT検査にしても疑いがないとなかなか実施しない検査ですね。超音波検査自体は患者の負担にならない検査ですが,疑いがないとなかなか実施しな

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資料編

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症例をもとに考えよう─脂肪肝

図1 脂肪肝と正常の肝臓の超音波画像

脂 肪 肝

●肝臓コントラスト陽性●肝臓腫大

正 常 肝

●肝臓コントラスト陰性●肝臓内脈管が鮮明

脂 肪 肝

●深部エコーの減衰●肝臓内脈管の不明瞭

正 常 肝

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い検査ですね。

▶しにくいですね。▶血液検査で脂質検査に異常があり,コリンエステラーゼが高い場合には脂肪肝を考えたいですね。この男性ではコレステロールが246mg/dL,TGが286mg/dLと高値であり,コリンエステラーゼも460U/Lと高値で,脂肪肝の可能性がきわめて高い症例です。

脂肪肝の原因を考えてみると…▶脂肪肝というとアルコール性や過食性に大きく分かれると理解していますが。▶そうです。アルコールの多飲,ステロイドホルモンの投与,過食・肥満,糖尿病などが原因となりますね。これらのうち,アルコールの多飲と栄養価の高い食事の過食が2大原因です。

▶血液検査でこれらの原因を推測できるのですか? 先ほどのお話ですと超音波検査で脂肪肝の診断はできるとのことですが……。▶はい。超音波検査で脂肪肝の診断をするのですが,血液検査である程度その原因が推測できます。この症例ではAST(GOT)とALT(GPT)の比は84/102=0.83とALT(GPT)のほうが高いですね。AST(GOT)がALT(GPT)より高い場合はアルコール性脂肪肝,ALT(GPT)の方が高い場合は過食性の脂肪肝と考えられています。

▶するとこの症例は栄養過剰,過食性と考えられますね。▶そうです。おそらく栄養過多なんでしょう。▶でもγ-GTも高値です。γ-GTはアルコール摂取で上昇する酵素と記憶していますが。▶そのとおりです。γ-GTは胆管酵素ですが,アルコールやある種の薬剤によって酵素産生が亢進するという特徴があります。ですから,胆道の閉塞によっても上昇しますが,お酒を飲んでも上昇します。

▶禁酒をしてもダメですか。▶そうではありません。通常の100~200U/Lの上昇では2週間程度禁酒をすると約半分の活性となります。

▶すると,2週間程度禁酒をしてもγ-GTの活性が半分にならなければ,アルコール性以外の原因を考える必要があるのですね。▶そうです。ただし,アルコール性の肝炎や脂肪肝になっていると,2~3カ月禁酒しないと基準値には戻りません。

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第Ⅰ章 肝臓の機能と検査

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▶そうですか。ではどの程度になったら,受診するように勧めればいいのですか。▶健康診断でγ-GTだけが50~100U/Lの場合は,禁酒あるいは週に1~2日の休肝日を勧めてください。そして,100~200U/L以上では医師に相談にいくように勧めてください。医師もγ-GTだけの上昇でしたら,禁酒するように忠告し,他の酵素や微量成分も変動しているようでしたら,より詳細な検査を行うと思います。

▶では100U/L程度の軽度の上昇なら禁酒,200U/L以上なら医師に相談することを勧めればよいのですね。▶そうです。この症例もアルコールによる肝障害は当然考えられます。お酒を飲むときには “肴” を一緒に食べることが多いですよね。その肴はさっぱりとしたものよりこってりとしたもの,脂っこいもののほうが多い。野菜サラダより唐揚げや肝などのほうが多いわけです。

▶すると脂肪が高値となる。▶そうです。また,アルコールが肝臓で代謝される際には肝臓でのリポ蛋白合成・分泌を促進するため,高脂血症となります。アルコールと脂質代謝については後でお話ししたいと思っています。

▶わかりました。ところで血中γ-GTを上昇させる薬剤にはどんなものがあるのですか。▶フェノバルビタールやフェニトイン,カルバマゼピンなどの抗てんかん薬の長期服用者では酵素誘導により血中γ-GTが上昇します。その他リファンピシン,クロルプロマジンなどがγ-GTを上昇させる薬剤として知られています(表1)。

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症例をもとに考えよう─脂肪肝

表1 血中γ-GTを上昇させる主な薬剤

1.抗痙攣薬・フェノバルビタール・フェニトイン・ジアゼパム・カルバマゼピン

2.糖尿病薬・アセトヘキサミド・クロルプロパミド

3.痛風治療薬・アロプリノール

4.抗真菌薬・アムホテリシンB・グリセオフルビン

5.抗生薬など・セフェム系(セフォチアム,セフォジジムなど)・アミノグリコシド系(アルベカシン)・モノバクタム系(アズトレオナム,カルモナム)・ホスホマイシン・リファンピシン

6.血圧降下薬・フロセミド

7.利胆薬・ケノデオキシコール酸

8.消化性潰瘍用薬・プロトンポンプ インヒビター・H2受容体拮抗薬(塩酸ラニチジンなど)

9.止しゃ薬・ロペラミド

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この患者さんは, 日常生活でどんな点に注意したらよいでしょう▶多くのお薬がγ-GTを上昇させるのですね。▶そうですね。でも大部分は酵素誘導によるものですから,長期服用しないかぎりは著明な上昇はありません。ですから,γ-GTが高値の場合はまずアルコールを考えるのが妥当です。では問題③の「生活態度はどんな点に注意が必要ですか」はどうでしょう。

▶γ-GTが高値ですから,当然禁酒ですよね。それに先ほどのお話ではALT(GPT)がAST(GOT)より高値ですから,過栄養性の脂肪肝が考えられます。したがって,栄養の摂りすぎに注意することでしょうか。▶そうですね。過栄養性の場合,肥満であることが多く,肥満の約20%の症例は超音波検査で脂肪肝と診断されます。この症例も肥満であるなら肥満を解消する必要があります。

▶肥満の食事はどのようにするのですか。▶低カロリー食が基本ですが,食事習慣の異常,精神的な要因を考慮して急なカロリー制限ではなく段階的に低下させていくことが重要です。また必須アミノ酸が十分補給できる内容にしたいですね。

▶肥満の場合は運動療法がいいと聞きましたが。▶はい。高度の肥満では,まず食事療法で減量を図り,肝機能の改善がみられたら,軽度の運動をすることをお勧めします。運動はカロリー消費と同時に筋肉におけるインスリン感受性を亢進させる働きがありますから。▶食事の内容についてはどうですか。▶三大栄養素の理想的なエネルギー比は,蛋白質:脂質:糖質が1:2:5で,わが国成人の平均栄養配分は蛋白質15%,脂肪25%,糖質60%といわれています。肥満の場合,総エネルギーを制限するために蛋白質を多くして,脂肪の割合を減らし,蛋白質25%,脂肪15%,糖質60%が妥当とされています。また,脂肪分としては魚油の摂取は動物性油や植物油に比べて肝臓でのトリグリセリド合成を抑えることが知られています。

▶お魚を食べた方がいいわけですね。▶そうですね。それに低カロリー食で不足しやすいビタミンとカルシウム,鉄は十分補給したいですね。また,食事は規則正しい時間に,十分な時間をかけて,よく噛むようにすることが大切です。

▶それに夜間寝る前に食事をしないとかも大切ですよね。

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第Ⅰ章 肝臓の機能と検査

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お酒の強い人・弱い人と肝臓の関係▶そうですね。ところで,井上さんはお酒が弱いですか。▶そんなに強くはありません。すぐ赤くなることもあります。

▶日本人は欧米人と比較するとお酒に弱い人が多いようですが,この理由がわかりますか?▶はい。どこかの講習会のときにお話を伺ったのですが,酵素が欧米人と日本人では違うためと記憶しています。

▶そうです。アルコールは肝臓でアルコール脱水素酵素系とミクロゾーム・エタノール酸化系で処理されますが,その中間産物のアセトアルデヒドを分解する脱水素酵素のアイソザイム2型が欠損することが多いんです(図2)。このため,アセトアルデヒドが分解されず,顔面紅潮や悪心・嘔吐,あるいは頭痛や動悸などの症状が出現するのです。

▶この酵素欠損はどのくらいの割合なのですか。▶日本人のだいたい40%程度と考えられています。

▶するとこの人たちはいくら訓練してもお酒は強くならないわけですね。▶そうですね。酵素欠損ですから。強くなっても程度は知れているかもしれません。お酒はほどほどが一番で,飲み過ぎるとロクなことはありません。

▶そうですね。今日は最後に面白いお話をいただいてありがとうございました。▶いえいえ,まだありますよ。

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症例をもとに考えよう─脂肪肝

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肝臓に関する宿題をまた一つ出しましょう▶宿題を出しましょう。この症例を解釈してください。①異常となっている項目はどれですか,②これらが異常となる病態を説明してください,③そのような病態となる原因を検索する検査項目には何がありますか,です。

 よろしいですか。▶はい,わかりました。

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第Ⅰ章 肝臓の機能と検査

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清酒1合は約3時間半かかって代謝される

エチルアルコール

脱水素反応

脱水素反応アセテート(酢酸)

ADH80%

MEOS20%

酸化反応

CO2+H2O

図2 肝臓のアルコール代謝のメカニズム