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■当資料は、日興アセットマネジメントが情報提供を目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解および図表等は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 1
ご参考資料2020年3月4日
日興アセットマネジメント ホンコン リミテッド副社長 山内裕也
China INsightチャイナ・インサイト
今回のテーマ
注目される、米電気自動車大手のサプライチェーン
030号
中国本土株式市場では、年初来好調ないくつかのテーマがあるが、その一つが「テスラ」関連だ。「テスラ」そのものは、中国本土市場には上場していないが、昨年、中国
で最初の工場を上海に建設して以来、そのサプライチェーンに組み込まれる中国企業の株価上昇が目立っている。昨年時点では、「テスラ」上海工場における部品調達率は3割程度だが、2020年末には全ての部品を中国で調達することを目指すとしており、その成長から恩恵を受ける企業への注目は高い。現在、中国本土市場の「テスラ銘柄」は80を超える。メディアは「上海工場の建設時、工場の周りを、車でぐるぐる用もなく回っていたのは、大体が株式の投資家だった」と伝えていた。
これまでも、外国企業のサプライチェーン絡みで中国企業の株価は大きく押し上げられてきた
ポイント
中国本土市場が外国企業のサプライチェーンに着目するのは今に始まったことではない。同じことは「アップル」のサプライチェーンで経験済みだ。「アップル」の場合、中国企業がサプライチェーンの一部として目立ち始めた2014年ごろから株価も反応する状況がみられた。2013年末から2019年末までの6年間で「アップル」の株価は約3.7倍になったが、関連する中国本土市場上場銘柄が、それ以上に上昇する例がいくつもみられた。この経験があるから、投資家は、今回も「テスラ」で同じ夢をみようとするのだ。
米電気自動車(EV)大手「テスラ」のサプライチェーンへの注目が高まっている
「テスラ」は中国EV市場への黒船だが、同時に産業全体が強化される布石になる
※上記は過去のものであり、将来の市場環境などを保証するものではありません。
「テスラ」のサプライチェーンはそんなにすごいものなのだろうか?生産台数は拡大しているとはいえ、「テスラ」の2019年の販売台数は世界で約36万台に過ぎない。2019年の年間新車販売台数約2,580万台を誇る中国では、これは微々たる数字だし、ヒットすれば1シリーズで1億台以上売れることもある「アイフォン」と比べても、何となく小さく見える。しかし今や世界の約半分を占める中国のEV市場でも、1年間の販売台数はまだ97万台程度だ。販売のみならず、生産についてもサプライチェーンを中国に引き寄せられるとなれば、そのポテンシャルは大きい。
※上記銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当社ファンドにおける保有・非保有および将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。
上 海自由貿易試験区の臨港新区は、2035年までに、国際市場で影響力・競争力のある経済エリアとする目標が示されている
「テスラ」は、臨港新区において、EVの研究開発、製造、販売などの機能を集めた最先端の工場を2019年に稼働開始した。
■当資料は、日興アセットマネジメントが情報提供を目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解および図表等は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 2
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「テスラ」の工場誘致は、短期的ではなく長期的な観点で投資家を惹き付けるテーマに
中国は一旦やるとなると徹底している。「テスラ」の上海工場は、着工から完成まで10ヵ月。中国としては異例の速さで進んだことが伝えられている。その速さの理由は、建設作業そのものではなく、上海市が許認可手続きを急いだからだ。地場大手銀行が中国の大手国有企業並みの優遇金利と条件で融資。上海市は、更に工場建設のインセンティブとして8,500万米ドル相当の資金を提供した。足元の新型コロナウイルスの流行下では、事業再開に向けて上海市の専任担当者をつけ、労働者確保をサポートした。とにかく至れり尽くせりなのだ。上海市から見れば、「テスラ」は昨年から開発を強化した「臨港新区」の看板企業だ。上海という中国第一の経済都市に、製造業拠点を作り直そうという発想を後押ししているのは、米中貿易摩擦以来、加速する自国産業強化への潮流であることは想像に難くない。
※上記銘柄について、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当社ファンドにおける保有・非保有および将来の銘柄の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。
期待の大きさは中国政府の姿勢にも現れる。「テスラ」が、これまでの外資系自動車メーカーと最も違うのは、単独出資という点だ。これは、2018年に中国政府が行なった規制緩和の恩恵による。自動車産業は1980年代から外資を受け入れているが、中国側がマジョリティを握る合弁が原則だった。「テスラ」車は、2014年の中国での販売開始以来、根強い人気があり、中国政府もその誘致に向けて熱心に働きかけてきたが、最後に壁となったのがこの条件だった。規制緩和の恩恵を真っ先に受けたのが「テスラ」だったことから、中国政府はそこまでしても同社を誘致したかったことがわかる。中国における過去の外資の導入例を見ていると分かるが、特に金融や重厚長大産業では、まず中国自
身の産業政策があって、そこに外資というパーツをはめ込む作業となっていた。中国で持っていないものがあるなら外資は歓迎するが、その形はあくまで合弁。外資単独を認めるのは、中国側の地場資本が外資に負けないくらい十分に強くなってから、という感じだった。しかし、EVなど新エネルギー車はちょっと違う。今、中国の新エネルギー車市場で売れ筋となっているのは国産車だが、「テスラ」は価格を下げた「モデル3」の販売を加速させている。今後国内生産で更にコスト削減を進め、価格面では国産EVに劣らない水準まで下げるとみられる。完成EVの世界では、間違いなく「黒船」だ。中国がここで自国の完成車業界を守るのではなく、逆に新エネルギー車の補助金を引き下げ、「テスラ」を引き入れるのは、「グローバルに勝てる産業基盤を作る」という意思の現われだろう。
中国本土市場の「テスラ」関連銘柄人気が示すのは販売面のみならず、製造面でもその中心が徐々に中国に引き寄せられていく可能性だ。「テスラ」車が何台売れたら部品会社がこれだけ儲かるという短期の話だけではなく、長い目で見てEV産業基盤全体の底上げに繋がっていくスケールの話と言える。
投資家は、今、本当に恩恵を受ける中国企業の勝ち組を探している最中なのだ。