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ACAP 研究所 海外情報研究会 「ソーシャルメディアの活用状況に関する第 2 回調査」 2013.10
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1. 調査方法と回収状況
今回の調査は前回 2011 年の第 1 回調査から 2 年後の同時期、2013 年 8 月 19 日から 30 日まで
ウェブ・アンケートで実施した。情報セキュリティ上の理由から、ウェブ・アンケートに回答で
きない一部会員企業向けには、Eメールも併用して回答を回収した。対象企業数 580 社に対して、
回答完了が 110 社、回収率は 19.0%であった。これは、前回調査の対象企業数 565 社、回答完了
106 社、回収率 18.8%とほぼ同じである。この数値からは、ソーシャルメディアの活用に興味関
心を持ち、状況を踏まえて業務への活用意向を回答できる企業の割合が、前回から大きくは変化
していないという見方もできる。
2. 回答企業の業種区分の分布は会員企業全体に近い
【グラフ 1】回答企業の業種
回答企業の業種区分
は、①食品(31.8%)、②
その他製造業(16.4%)、
③化学・石油(11.8%)、
④ 流 通 ・ サ ー ビ ス
(10.0%)の上位4区分
で全体の 70%を占める。
これに対応する ACAP
会員企業全体の業種分
布は、食品 29.7%、そ
の他製造業 11.6%、化
学・石油 18.1%、流通・
サービス 12.1%となっ
ている。日用家庭用
品・医薬品が多く含まれる「その他製造業」と「化学・石油」をひとくくりとすると、調査回答
(28.2%)は会員企業全体(30.2%)とほぼ同じになる。これらを含め、各業種とも会員企業全
体の分布に近い割合で回答が得られた。ただし、8 社(1.4%)ある「電力・ガス・電話・通信」業
種のみ回答が得られなかった。
ACAP 研究所 海外情報研究会
ソーシャルメディアの活用状況に関する第 2 回調査
~ 質問項目別結果 ~
ACAP 研究所 海外情報研究会 「ソーシャルメディアの活用状況に関する第 2 回調査」 2013.10
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3. 企業全体としてソーシャルメディアの活用は進展、最も活用されているFacebook
お客様相談部門では Facebook の活用が 2.8%から 8.2%に増えた以外、やや下降傾向
他部署では Facebook の活用が 16.0%から 58.2%へと大きく増加
【グラフ 2】お客様相談部門と他部署でのソーシャルメディアの活用
お客様相談部門、他部署、
それぞれで活用しているソー
シャルメディアをたずねた結
果、お客様相談部門では、
Twitter とブログがともに
13.6%と多く、次に Facebook
が 8.2%であった。他部署では、
Facebookの活用が突出して多
く 58.2%、Twitter が 40.9%、
ブログが 30.0%と続いている。
お客様相談部門では、書き
込みを読んでいると思われる
「2ちゃんねる」までの上位
4つとも 1 割前後の企業でし
か活用がされていない。一方、
他部署では、動画サイトの
YouTube までを含めた上位4
つとも2割から6割の企業で
活用されている。
お客様相談部門以外での活
用部署名を聞いたところ、広
報やマーケティング、営業・
販売が多かった。
【表 1】お客様相談部門以外
の活用部署
(回答 66 社、複数回答)
広報 17
マーケティング 16
営業・販売 15
ネット関連 11
広告・宣伝 8
総務・人事・法務 4
特別部署・プロジェクト 4
商品開発 3
製造 2
経営企画 2
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【グラフ 3】前回と比較したお客様相談部門でのソーシャルメディアの活用
今回の調査を前回 2011 年
の調査と比べてみると、お客
様相談部門でのソーシャル
メディアの活用について、余
り大きな伸びが見られない
ことが分かる。Facebook を
活用する企業が、2.8%から
8.2%に増えたのが目立つ以
外、お客様相談部門での各ソ
ーシャルメディアの活用は、
むしろ、下降傾向である。
回答で「いずれも該当しな
い」、つまり、お客様相談部
門では、ソーシャルメディア
の活用をしていない企業が、
前回の 29.2%から、今回
40.0%に増加していることか
らも、お客様相談部門におい
てのソーシャルメディアの
活用は、やや後退していると
見ることができる。
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【グラフ 4】前回と比較した他部署でのソーシャルメディアの活用
一方、他部署でのソーシ
ャルメディアの活用につい
て、同様に今回と前回の結
果を比較すると、こちらで
は活用する企業が、大幅に
増えていることが分かる。
特に Facebook を活用する
企業が、前回 16.0%から、
今回 58.2%へと大きく増加
している。Twitter も 32.1%
か ら 40.9 % へ 増 え 、
YouTube は 10.4% か ら
22.7%へ倍増している。
ソーシャルメディアの活
用はお客様相談部門では、
やや下降傾向だが、他部署
での活用は、それを補って
余りある伸びを示している。
この結果からは、企業全体
としてのソーシャルメディ
アの活用は進展しており、
どの部署が中心になって取
り組むかについては、お客
様相談部門以外の部署への
シフトが起きていると言え
る。回答で「状況が分から
ない」が 18.9%から 10.9%
に減少していることから、
企業全体のソーシャルメデ
ィアの活用について、お客
様相談部門も把握、関与し
ていることがうかがえる。
なお、お客様相談部門以
外の活用部署名は前出の表
1の通りだが、回答66社中、
ソーシャルメディアの種類により活用部署が異なる、つまり、メディアの分掌がなされている企
業は 10 社だった。
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4. 52.7%で Facebook、25.5%で Twitter の公式アカウントを開設
公式アカウントの管轄部署は広報、マーケティングが多い
【グラフ 5】企業公式アカウントを開設しているソーシャルメディアの種類
企業公式アカウントを
開設しているソーシャル
メディアの種類をたずね
たところ、Facebook が一
番多く、52.7%の企業が開
設していた。続いて、
Twitter が 25.5%、ブログ
が 17.3% 、 YouTube が
10.0%と続いている。比較
的新しいソーシャルメデ
ィアである Line の公式ア
カウントも、既に 3.6%の
企業で開設している。
【表 2】企業公式アカウントの管轄部署
(回答 62 社、複数回答)
さらに、公式アカウントを管轄している部署名を聞いた
ところ、広報、マーケティング、ネット関連、営業・販売
が多かった。また、回答 62 社の内、ソーシャルメディアの
種類により管轄部署が異なる、つまり、メディアの分掌が
なされている企業は 14 社だった。
広報 18
マーケティング 12
ネット関連 11
営業・販売 10
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経営企画 5
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特別部署・プロジェクト 4
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お客様相談室 1
商品開発 1
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5. ソーシャルメディアの活用目的は部署により受信と発信に分かれる
お客様相談部門では「お客様の声を知る」、他部署では「企業情報の広報」が主目的
【グラフ 6】お客様相談部門でソーシャルメディアを活用する目的
お客様相談部門
でのソーシャルメ
ディアの活用目的
としては、「お客様
の声を知る」、「お客
様満足度の向上」と
いった、お客様相談
部門の使命に関わ
る項目が高い。「評
判上のリスク対策」
や「お客様の口コミ
による情報拡散」と
いった、ネット上で
の情報伝播に関す
る項目がそれに続
く。「新たなチャネ
ルでのお客様へのサポート」も目的の上位にある。
【グラフ 7】他部署でソーシャルメディアを活用する目的
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一方、他部署でのソーシャルメディアの活用目的は、「企業情報の広報」がトップとなっている。
前出のように、活用部署として、広報、マーケティングが多いことより、情報の発信が主目的と
なっていると考えられる。次の「お客様の口コミによる情報拡散」は、お客様相談部門では、い
わゆる風評被害への懸念も含むことが推測されるが、広報やマーケティングの場合は、口コミに
よるバイラルマーケティングを指しているものと考えられる。お客様相談部門で一番多い目的で
あった「お客様の声を知る」は、「売上拡大・販売促進」と並んで他部署でも 3 番目に多い目的と
なっており、お客様様からのダイレクトなご意見を、マーケティング等に活かしているものと思
われる。以下、「ブランド力強化」や「お客様との長期的な関係の構築」では、同様に、マーケテ
ィングや営業・販売の面で活用が図られていることが推察される。
6. お客様の声の積極的収集を「している」が 18.9%から 30.9%に増加
収集ツールの導入、お客様の声のレポートとも2倍以上の増加で 20%以上が実施
【グラフ 8】ソーシャル・リスニングに当たる活用の実施意向
ソーシャル・リスニングと呼ばれる、ソーシャルメディア上の書き込みを読む、収集する、レ
ポートすることに関しては、54.5%の企業で、「書き込みを読む」ことをしているか、する予定が
あると答えている。34.5%の企業では、ソーシャルメディアからお客様の声の収集を積極的にし
ているか、する予定があるとしている。収集したお客様の声の社内レポーティングに関しても、
26.3%の企業がしているか、する予定があると答えている。お客様の声を収集するツールの導入
をしているか、する予定があるが、それより低く 23.6%となっていることから、まだツールの導
入はせず、手作業でデータを拾って、レポーティングを行う意向の企業も若干あることが読み取
れる。
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【表 3】ソーシャル・リスリングの実施パターン
(対象 60 社)
書き込みを読む
お客様の声の
積極的収集
お客様の声を収
集するツール導入
収集したお客様の
声のレポート
社数
ソーシャル・リスニング
実施企業に占める割合
(N=60)
全回答社数に
占める割合
(N=110)
○○○○ ○○○○ ○○○○ ○○○○ 20 33.3% 18.2%
○○○○ 18 30.0% 16.4%
○○○○ ○○○○ 7 11.7% 6.4%
○○○○ ○○○○ ○○○○ 6 10.0% 5.5%
○○○○ ○○○○ ○○○○ 5 8.3% 4.5%
○○○○ ○○○○ 4 6.7% 3.6%
注) ○は、「している」、または、「する予定がある」 60 100.0% 54.5%
ソーシャル・リスニングに当たる4種の活動の実施状況をパターン化したところ、6つに分け
られた。最も多かったのは、すべての活動を実施で、ソーシャル・リスニングを行っている企業
の 3 分の 1 がこれに当てはまる。一方、書き込みを読んでいるだけの企業も、それに近い数があ
る。以下、ツールの導入はしていないが積極的に収集している企業、ツールの導入まではしたが
社内レポートは出していない企業、ツールを導入することなく手作業でレポートをしている企業
が、いずれも 1 割前後ある。さらに、書き込みを読んで気になった件のみ報告していると思われ
る企業が少数ある。
【表 4】ソーシャル・リスニングのお客様相談部門以外の実施部署
(回答 40 社、複数回答)
ソーシャル・リスニングを実施している企業に、実施部署
がお客様相談部門以外の場合の部署名をたずねた結果、広報、
マーケティング、ネット関連が上位3つであった。回答は 40
社なので、ソーシャル・リスニングを実施している 60 社の内、
残り 20 社は、お客様相談部門が実施していることになり、丁
度、2 対1の割合で、他部署実施のケースが多いようである。
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営業・販売 5
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商品開発 3
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【グラフ 9】前回と比較したソーシャルメディアからのお客様の声の積極的収集の実施意向
ソーシャル・リスニングの活動別に実施意向を前回と比較した。まず、ソーシャルメディアか
らのお客様の声の積極的収集は、「している」が前回の 18.9%から今回 30.9%に増加している。し
かし、「している」と「する予定がある」の合計では、前回 31.2%から今回 34.5%と増加はわずか
である。前回「する予定がある」としていた企業の多くが、この 2 年の間に実行に移したと考え
ることができる。また、今回の調査から、選択肢に「検討中」を追加した。これに 24.5%の回答
があり、この中からも近い将来、ソーシャルメディアからのお客様の声の積極的収集を行う企業
が出るものと予想される。
【グラフ 10】前回と比較したソーシャルメディアからのお客様の声を収集するツールの導入意向
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ビッグデータが取りざたされる時代、ソーシャルメディアからのお客様の声の収集にも専門的
なツールの導入は不可欠と言われる。これについては、前回「している」が 7.5%、「する予定が
ある」が 6.6%で計 14.1%だった。今回調査では導入企業が大きく増えて 20.0%、さらに、「する
予定がある」が 3.6%、「検討中」が 26.4%あり、半数の企業がツールの導入をしているか、考え
ているということになる。
【グラフ 11】前回と比較したソーシャルメディアから収集したお客様の声のレポート実施意向
ソーシャルメディアから収集したお客様の声の社内でのレポート実施については、前回、「して
いる」が 10.4%、「する予定がある」が 12.3%の計 22.7%だった。今回調査では、「している」が
22.7%へ倍増している。「する予定がある」は 3.6%だが、「検討中」が 26.4%あり、今後も実施企
業は増えていくものと予想される。
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7. アクティブ・サポートの実施企業が 15.1%から 29.1%へ増加
クレームへの対応には、他のチャンネルに切り替える企業が 78.3%
【グラフ 12】前回と比較したソーシャルメディアの書き込みへのアクティブ・サポートの実施
意向
ソーシャルメディア上の書き込みに対して、企業の方から積極的に対応していくアクティブ・
サポートについて、今回は3つの活動に分けて聞いている。実施が一番多かったのは、「質問に当
たるコメントに回答を返す」で 26.4%が実施中、「する予定がある」と「検討中」を含めると 4 割
近くの企業で対応が必要と考えていることが分かる。「賞賛に当たるコメントにお礼を返す」と「ク
レームに当たるコメントに対応する」はいずれも 20%の企業で実施中であり、「する予定がある」
と「検討中」を含めると、3 分の 1 以上の企業で、対応が必要と認識している。
前回は活動の種類を区別せずに聞いて、15.1%が実施中と回答したのと比較すると、アクティ
ブ・サポートの実施は、この 2 年で明らかに増加傾向を見せ、今後も実施企業は増えていくと推
測される。
【表 5】アクティブ・サポートの実施パターン
(対象 36 社)
ア ク テ ィ
ブ・サポートに
当たる3種の
活動の実施状
況をパターン
化したところ、
6つに分けら
賞賛に当たるコメ
ントにお礼を返す
質問に当たるコメ
ントに回答を返す
クレームに当たる
コメントに対応を
する
社数
アクティブ・サポート実施
企業に占める割合
(N=36)
全回答社数に
占める割合
(N=110)
○○○○ ○○○○ ○○○○ 18 50.0% 16.4%
○○○○ ○○○○ 7 19.4% 6.4%
○○○○ 5 13.9% 4.5%
○○○○ ○○○○ 4 11.1% 3.6%
○○○○ ○○○○ 1 2.8% 0.9%
○○○○ 1 2.8% 0.9%
注) ○は、「している」、または、「する予定がある」 36 100.0% 32.7%
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れた。最も多かったのは、すべての活動を実施で、アクティブ・サポートを行っている企業の半
数がこれに当てはまる。次が、クレーム対応はしていないが賞賛と質問にはお礼や回答を返して
いる企業が 2 割、質問のみ対応と、質問とクレームに対応が、それぞれ 1 割程度、最後に、賞賛
とクレームに対応、クレームのみに対応が、各 1 社ずつある。なお、上表で、アクティブ・サポ
ートのいずれかの活動を「している」企業は 32 社、全回答社数の 29.1%である。
【表 6】アクティブ・サポートのお客様相談部門以外の実施部署
(回答 27 社、複数回答)
アクティブ・サポートを実施している企業に、実施部署が
お客様相談部門以外の場合の部署名をたずねた結果、広報、
マーケティング、ネット関連が上位3つであった。回答は 27
社なので、アクティブ・サポートを実施している 36 社の内、
残り 9 社は、お客様相談部門が実施していることになり、丁
度、3 対1の割合で、他部署実施のケースが多いようである。
【グラフ 13】ソーシャルメディア上のクレーム当たるコメントへの対応手段
アクティブ・サポートの内、「クレームに当たるコメントに対応する」を「している」、また
は、「する予定がある」と回答した企業に、対応する場合の手段についてたずねた。回答 23 社の
内、「最初から電話など他のチャネルにお客様誘導する」が 43.5%、「当初はソーシャルメディア
を使うが、状況によって他のチャネルでの対応に切り替える」が 34.8%で、合計すると 78.3%の
企業が、他のチャネルに切り替えて対応すると答えている。一方、ソーシャルメディアで対応を
完結させる企業は 13.0%にとどまっている。
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マーケティング 5
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8. 情報発信とお客様の声への対応で一般サイトも含むは 1 割未満
お客様の声の収集では自社サイトのみが 25.5%、一般サイトも含むが 29.1%
【グラフ 14】ソーシャルメディアの活用目的別の対象範囲
この質問では、これまでに出ているソーシャル・リスニング(お客様の声を収集する)、または、
アクティブ・サポート(お客様の声に対応する)、それぞれの質問群のいずれかの項目で、「して
いる」、「する予定がある」、「検討中」のどれかを選んだ企業が、それぞれの活動を取る際の範囲
について、「自社サイトのみ」か「一般のソーシャルメディアも含む」の、いずれかで回答してい
る。なお、「情報を発信する」については、今回調査でソーシャルメディアの活用目的の選択肢と
して聞いているが、実施意向について直接たずねる質問は設定していない。
「お客様の声の収集」では、「自社のホームページのお客様フォーラムや、ソーシャルメディア
の企業公式アカウントだけ」と「それに加えて、一般のソーシャルメディアも含む」が、それぞ
れ 25.5%と 29.1%と、一般のソーシャルメディアも対象として含む方が、やや多くなっている。
「情報を発信する」では、圧倒的に「自社のホームページのお客様フォーラムや、ソーシャルメ
ディアの企業公式アカウントだけ」が増え、57.3%となり、「それに加えて、一般のソーシャルメ
ディアも含む」は 8.2%にとどまっている。「お客様の声に対応する」では、30.0%が「自社のホ
ームページのお客様フォーラムや、ソーシャルメディアの企業公式アカウントだけ」であり、「そ
れに加えて、一般のソーシャルメディアも含む」はわずか、5.5%になっている。このことから、
アクティブ・サポートとは言いながら、主に自社公式アカウント等のソーシャルメディアに入っ
てくるコメントのみに対応していて、広く一般のソーシャルメディアにまで、賞賛や質問・クレ
ームに当たるコメントを探しに行って積極的に対応するのは、まだ、少数派と言えよう。
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9. ソーシャルメディア・ポリシー制定済は 41.8%、予定と検討中を入れて 60.9%
ホームページ等での公開も 25.5%の企業で実施済、予定と検討中を入れて 45.5%
【グラフ 15】ソーシャルメディア・ポリシーの制定と社外への公開状況
ソーシャルメディア活用・運用のためのガイドラインやポリシーの制定の状況について聞い
たところ、41.8%の企業が制定していると答えている。「する予定がある」の 3.6%、「検討中」の
15.5%を加えると、6 割の企業が制定を必要と考えていることになる。制定したポリシーを自社の
ホームページなどで、社外に公開しているのは 25.5%で、「する予定がある」の 1.8%、「検討中」
の 18.2%を入れると 45.5%となり、ポリシーを必要と考えている企業の 4 分の 3 が、その公開ま
で視野に入れていると言える。
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10. ソーシャルメディア活用に否定的な理由は大幅に減少
活用に踏み出せない理由のトップは、活用する目的がはっきりしない
【グラフ 16】前回と比較したソーシャルメディアを活用していない理由
ソーシャルメディアを活用していない理由を、複数回答可の選択肢で選んでもらった結果を
前回と今回で比較してみた。今回追加した選択肢である、「活用の目的がはっきりしない」が理由
のトップで 24.5%の企業が選んでいる。前回、4 割以上の企業が選んでいた、「成りすましや事実
の捏造に翻弄される」、「企業情報をどこまで出して良いか迷う」、「コメントを見るのは良いが書
き込みは危ない」は、いずれも半分から 3 分の 1 にまで減少していて、ソーシャルメディアを否
定的に捉えるような理由は縮小していることが分かる。また、前回、それらに次いで回答の多か
った、「使うのは何となく危ない気がする」、「私的な会話なのでビジネスにはそぐわない」、「批判
を浴びて『炎上』するかもしれない」といった、ソーシャルメディアへの漠然とした恐れも、今
回はいずれも 10%以下の企業が選択しただけであった。なお、今回、選択肢以外の「その他」と
して記述があった理由には、「運用コストに対する効果が不明確なため」、「Facebook で情報発信
をしているが、リスクが大きいので、内容によっては回答しない」、「活用方法が分からない」と
いうコメントが上がっていた。
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11. リスクや費用対効果を見ながら活用を図っていく状況
有用性は認識しているが運用する体制や人的リソースが追い付かない面も
ソーシャルメディアについて感じていることを、自由に記述してもらった結果から、主な
コメントを抜粋した。前回と比較して、傾向としては、ソーシャルメディアに対して明確に
否定的な意見の割合は減っているようである。コメントからは、リスクや費用対効果を見な
がら活用を図っていく状況がうかがえる。ソーシャルメディアの有用性は認識しているが、
運用する体制や人的リソースが追い付かない面も見られる。
� CM や IR 情報とは違う、「顧客の感性に触れる」情報発信方法として新たな顧客の創造と口
コミによる情報拡散が期待できる。
� お客様の生の声が聴ける。信頼関係が築きやすくなり、ファンの増加に寄与できる。発信し
たい情報がお客様の目に触れやすい。
� お客様との有益なコミュニケーションツールとして活用していきたいが、対応が追いついて
いない。運用方法等の必要性・信頼性・活用実績等を上層部にアピールする必要あり。
� 炎上することを恐れるより、積極的な情報ツールとして維持・拡大していけるかがポイント。
� 専任の運営者がいないと更新などリアルタイムで管理することが難しい。
� SNS によるアクティブ・サポートなどは利用する価値があると考えるが、即断即決で発信で
きなければスピード感に欠け、現在のところは運用するだけの人的リソースが無い。
� 目的、誰がいつどうやってやるのかを明確にしておかないと広がりが出ず、いつか問われる
瞬間が来る。あくまで一般の方を尊重する事、押し付けない事が重要。長い目で共感や何と
なくいいなと思ってもらえる力を育てていくことが大切。
� ソーシャルメディアは、時流に乗ったコミュニケーションツールであるが、ビジネスで活用
するには、それなりのリスクヘッジ対策と運営管理担当者が必要となる。費用対効果を勘案
しながら、利用できる部分から手をつけていくのがよいのではないかと感じている。
� 1件につき細かな対応はリソース上限界がある。ソーシャルメディア利用により、書き込み
にお礼やコメントを入れると反応があるが、その業務が企業活動(CS 活動)全体にどのよう
な意義があるのかをスケール感のある説明が出来ていない。
� 最新の情報発信とお客様の反応が早く判る利点もある一方、SNS を利用できるユーザー層が
まだ限られている点を理解したうえで、使用する必要がある。常に管理する担当部門、担当
者を設置し炎上時の対策を迅速に行える体制作りが必要。お客様の声も、ユーザー層を理解
した上で活用しなくてはならない。
� あらゆる意味で今後重要なコミュニケーションツールとなるが、会社としての倫理をガイド
ラインにて明記すべき。これがすべてではなく、非顕在化しているものは見えない。
� まだまだ未成熟。つぶやきやコメントを見ていても責任感が感じられない。もう少しソーシ
ャルメディア上での企業と消費者の信頼関係が構築できないといけない。
� 企業が情報を発信する場合、慎重に対応していないとブランドや企業への評価が著しく低下
するリスクを抱えていると考える。
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� 信頼が置ける情報との確約はないため、内部向け業務上の参考情報としての利用にとどめる
必要があると考える。
� 稀に商品苦情もあり、対応に苦慮する場合もある。全てが健全な意見ばかりでないところに
怖さを感じる時もある。
� 費用対効果も含めて、メリットよりもデメリットの方が大きいように感じる。
� 伝言板や個人意見感想との位置づけが強く感じる。幅広い情報より、正しいもの・耳を傾け
ることが大切なもの・知見・交流出来ると判断される事柄を読み取る力が、発信する側、受
取る側双方向にて必要と感じる。様々な意見は大切だが、ルールや決めごともありと感じる。
今回の調査から、企業全体としてはソーシャルメディアの活用が大きく進展していることがう
かがえた。それは、お客様相談部門より、むしろ、他部署での活用の拡大が寄与するところが大
きいようである。海外、特にアメリカでは、顧客と直接コンタクトを持つカスタマーケア部門こ
そが、ソーシャルメディアを活用した、ソーシャル・リスニングやアクティブ・サポートの活動
をリードしていくべきであるという主張と実践が広がりつつある。近い将来、日本にも、同様の
動きが波及することも予想される。そのような状況も踏まえ、お客様相談部門として、今後、ソ
ーシャルメディアの活用にどのように関与していくべきか十分検討し、他部署との連携も図りな
がら、具体的な活動計画を立てるべき段階に来ているのではないかと考えられる。
以上