放射線科だよりpicture archiving and communication systems 放射線検査の...

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岩国医療センターだより 2017.11 2 岩国医療センターだより 2017.11 1 放射線科だより 記:放射線科医師 原 武史 当院では既存の X 線撮影・CT・MRI 装置で撮像した画像の 効率的かつ最先端の運用を目指し、 新規画像保存通信システム (Picture Archiving and Communication Systems : PACS) 導入を平成 29 年 4 月に行いました。 あわせて、時間外診断の質の向上・研修医および専攻医の教 育に資することを目的とし、 遠隔地放射線科医自宅用の読影シ ステム に加え、常勤放射線科医が勤務時間外に遠隔地からでも インターネット回線下で読影を完結できる 新規時間外画像診断 システムをいち早く導入しました。 PACS とは、各種検査機器 (モダリティ ) から画像デー タを受信、データベースへ保存し、端末に表示するサーバー 等システムのことです。統一規格である DICOM データに 変換されサーバーに保存された画像は、DICOM画像ビュー アーをもつクライアント表示端末から診断可能で、新シス テムでは院内はもちろん、院外の当院放射線科医師が持つ 遠隔端末のビューアーからも専門性の高い診断を提供でき るようになりました。 当院は三次救急を担う医療機関であり、24 時間重篤な症 状の救急患者が搬送されてきます。そのため医師は専門内 外を問わず迅速に診断を行うことを求められています。 その際にCT・MRIといった高度な画像を撮像しても 放射線診断医が院内にいない場合、診断に苦慮する場合が あります。そんな折に、院外からでも迅速に CT あるいは MRI 画像の診断・画像診断報告書の作成を行い、迅速な治 療への移行を助けることができます。 医療業務および医用画像データの性質上、システム動作の安定性、 画像データ保存の安全性・真正性が PACS の重要なポイントとな ります。 医用画像の管理・保存の基本的性能として、46TB のデータスト レージを岩国市の防災拠点となっている愛宕山上にある当院内に設 置、従来使用していた PACS より格段に高速な読み出し・高機能 な画像閲覧を安定して提供できる PACS・放射線検査レポート作 成システムを導入運用しています。データの真正性担保については、 特に院外ネットワークからのアクセスについて、厚生労働省により 定められたガイドライン(医療情報システムの安全管理に関するガ イドライン 第 4.3版)をクリアするセキュリティシステムを構築し て利用しています。 当院にある 320 列 CT・3TMRI・PETCT といった最新鋭診断 機種により爆発的に取り扱うべきデータ量が増加する中、新システ ムにより効率的かつ革新的な放射線科診断業務を実現しています。 当院では、患者情報や予約情報、検査情報に対し 3 名 の放射線科専門医(診断専門医2名、治療専門医1名)、 24 名の診療放射線技師および専門性の高い常勤看護師 2 名のチームで監視の眼を光らせ、診療科医師に対し各診 断機器・放射線および造影剤等検査用薬剤の利用に関す る専門的指導・管理体制を常に高いレベルで提供し、最 小限の侵襲で済むより安全な放射線科検査を提供してい ます。 放射線科は診療補助部門に位置付けられ、患者さんか らは見えにくい医用画像を集中的に取り扱う部署ですが、 各診療科の補助をする意味のコメディカルでなく、病院 の医療安全の面、若手医師の教育面、臨床研究面、そし て何よりも患者さんの治療を適切な方向に導くコント ロールセンターであり、Sine qua none (必須条件)た る放射線科であるべきと信念をもって日々の診断治療業 務を行っています。 smartphone 診断 院内での画像診断 放射線科 遠隔地からの診断が できるようになりました! 紹介 PACS とは 放射線科専門医 3名 診療放射線技師 24 名 看護師 2名 ・診断専門医2名 ・治療専門医1名 迅速な治療 に対応 安定性 安全性 真正性 Picture Archiving and Communication Systems 放射線検査 管理 について 放射線科の看護師については 、次ページの「看護部だより」 にて紹介しています。 ぜひご覧ください。 主に放射線検査の管理を行う放射線科情報シス テム(Radiology Information Systems) についても併せて更新しました。 PET CT MRI

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Page 1: 放射線科だよりPicture Archiving and Communication Systems 放射線検査の 管理について 放射線科の看護師については、次ページの「看護部だより」

岩国医療センターだより 2017.11 2岩国医療センターだより 2017.111

放射線科だより 記:放射線科医師 原 武史

 当院では既存の X 線撮影・CT・MRI 装置で撮像した画像の

効率的かつ最先端の運用を目指し、新規画像保存通信システム

( Picture Archiving and Communication Systems :

PACS )導入を平成 29 年 4 月に行いました。

 あわせて、時間外診断の質の向上・研修医および専攻医の教

育に資することを目的とし、遠隔地放射線科医自宅用の読影シ

ステムに加え、常勤放射線科医が勤務時間外に遠隔地からでも

インターネット回線下で読影を完結できる新規時間外画像診断

システムをいち早く導入しました。

 PACS とは、各種検査機器 ( モダリティ ) から画像デー

タを受信、データベースへ保存し、端末に表示するサーバー

等システムのことです。統一規格である DICOM データに

変換されサーバーに保存された画像は、DICOM 画像ビュー

アーをもつクライアント表示端末から診断可能で、新シス

テムでは院内はもちろん、院外の当院放射線科医師が持つ

遠隔端末のビューアーからも専門性の高い診断を提供でき

るようになりました。

 当院は三次救急を担う医療機関であり、24 時間重篤な症

状の救急患者が搬送されてきます。そのため医師は専門内

外を問わず迅速に診断を行うことを求められています。

  そ の 際 に CT・MRI と い っ た 高 度 な 画 像 を 撮 像 し て も

放射線診断医が院内にいない場合、診断に苦慮する場合が

あります。そんな折に、院外からでも迅速に CT あるいは

MRI 画像の診断・画像診断報告書の作成を行い、迅速な治

療への移行を助けることができます。

 医療業務および医用画像データの性質上、システム動作の安定性、

画像データ保存の安全性・真正性が PACS の重要なポイントとな

ります。

 医用画像の管理・保存の基本的性能として、46TB のデータスト

レージを岩国市の防災拠点となっている愛宕山上にある当院内に設

置、従来使用していた PACS より格段に高速な読み出し・高機能

な画像閲覧を安定して提供できる PACS・放射線検査レポート作

成システムを導入運用しています。データの真正性担保については、

特に院外ネットワークからのアクセスについて、厚生労働省により

定められたガイドライン( 医療情報システムの安全管理に関するガ

イドライン 第 4.3 版 )をクリアするセキュリティシステムを構築し

て利用しています。

 当院にある 320 列 CT・3TMRI・PETCT といった最新鋭診断

機種により爆発的に取り扱うべきデータ量が増加する中、新システ

ムにより効率的かつ革新的な放射線科診断業務を実現しています。

 当院では、患者情報や予約情報、検査情報に対し 3 名

の放射線科専門医( 診断専門医2名、治療専門医1名)、

24 名の診療放射線技師および専門性の高い常勤看護師 2

名のチームで監視の眼を光らせ、診療科医師に対し各診

断機器・放射線および造影剤等検査用薬剤の利用に関す

る専門的指導・管理体制を常に高いレベルで提供し、最

小限の侵襲で済むより安全な放射線科検査を提供してい

ます。

 放射線科は診療補助部門に位置付けられ、患者さんか

らは見えにくい医用画像を集中的に取り扱う部署ですが、

各診療科の補助をする意味のコメディカルでなく、病院

の医療安全の面、若手医師の教育面、臨床研究面、そし

て 何 よ り も 患 者 さ ん の 治 療 を 適 切 な 方 向 に 導 く コ ン ト

ロールセンターであり、Sine qua none (必須条件)た

る放射線科であるべきと信念をもって日々の診断治療業

務を行っています。

smartphone 診断

院内での画像診断

放射線科

遠隔地からの診断ができるようになりました!

新システム

の紹介

PACS とは

放射線科専門医 3 名

診療放射線技師24 名

看護師2 名

・診断専門医2名・治療専門医1名

迅速な治療に対応

安定性・安全性・真正性

Picture Archiving and Communicat ion Systems

放射線検査の管理について

放射線科の看護師については、次ページの「看護部だより」にて紹介しています。 ぜひご覧ください。

主に放射線検査の管理を行う放射線科情報システム ( Radiology Information Systems ) についても併せて更新しました。

PET CT

MRI