構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6....

9
図 6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって 壁倍率を高くすることが可能である。ただし、そ のような耐力壁を利用する場合は、指定された試 験機関において実験を基とする評価を受ける必 要がある。この場合に与えられる建築基準法上の 壁倍率の上限は5倍である。 日本合板工業組合連合会(日合連)、東京・東北 合板工業組合(東京・東北工組)、 (一社) 日本ツーバ イフォー建築協会では、この国土交通大臣の特認制 度により、構造用合板張り耐力壁の認定を受けた。 木造軸組構法(3階建てを含む)の住宅建築で 使用できる耐力壁として厚さ2 4㎜の構造用合板 をCN 7 5 釘で張った耐力壁「ネダノン スタッド レス5 + (ファイブプラス)」で倍率 5 . 0 の認定を 受けた。仕様は、外壁用の大壁・真壁仕様と間 仕切り壁用(床勝ち)の大壁・真壁仕様の計4 仕様である。特徴としては間柱が省略できるこ と、剛性・耐力が高く粘り強いことが挙げられ る。特に粘りについては、一般の耐力壁が最大 耐力に達した後、急激に抵抗力が失われるのに 対して、その2倍以上の変形を生じてもなお最 大耐力に近い抵抗力があり(図 8 参照)、現在あ る耐力壁の中で最も耐震性に優れた耐力壁とい える。また、厚さ1 2㎜の構造用合板をCN 6 5 お 4.1 壁倍率 耐力壁の壁倍率は面内せん断試験(図6 の柱脚固定式とタイロッド式がある)の結果 から表16のように定められている。在来軸 組構法における合板張り耐力壁の壁倍率は、 仕様によって1.5〜2.5倍である。2.5倍の 倍率は、いわゆる二つ割り筋かい(2 . 0 倍)に 木ずり(0 . 5 倍)を張った壁と同じ値である。 枠組壁工法における壁倍率は、仕様によって 2.5〜3.5倍である。 ここでいう壁倍率は、建築基 準法の壁倍率である。品確法 による性能表示制度(任意)を 利用して耐震等級や耐風等級を 表示する場合は、同じ壁倍率の 値が使用できるほか、建築基準 法では耐力壁として認められて いない「合板が土台、胴差し、 はり、けた等にかからない仕様」 でも、準耐力壁、腰壁・垂壁と して耐力を算入することができ る。ただし、これらを除く正規 の耐力壁だけで必要壁量を満 たすことが条件である。 準耐力壁、腰壁・垂壁(いずれも大壁仕様 に限る)の倍率は以下の方法で求める。 倍率=2 . 5倍×0 . 6×(面材の高さ)/ (横架材の内法) た だ し 、準 耐 力 壁 は、面 材 の 高さ( 張り 継いでもよい)が横架材内法の80%以上で あること、腰壁・垂壁は、それぞれの高さが 3 6 cm 以上、長さが 2 m 以下で、その両側には 耐力壁か準耐力壁があることが必要である。 4 構造用合板を張った耐力壁 4.2 特認による壁倍率 羽子板ボルト 梁:105×180ベイマツ 変位計 面 材 変位計 距離H 2730 P正負交番加力 ストッパ 1820 距離L 単位:㎜ 10

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Page 1: 構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって

図 6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例

 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって壁倍率を高くすることが可能である。ただし、そのような耐力壁を利用する場合は、指定された試験機関において実験を基とする評価を受ける必要がある。この場合に与えられる建築基準法上の壁倍率の上限は5倍である。 日本合板工業組合連合会(日合連)、東京・東北合板工業組合(東京・東北工組)、(一社)日本ツーバイフォー建築協会では、この国土交通大臣の特認制度により、構造用合板張り耐力壁の認定を受けた。木造軸組構法(3階建てを含む)の住宅建築で使用できる耐力壁として厚さ24㎜の構造用合板

をCN75釘で張った耐力壁「ネダノン スタッドレス5+(ファイブプラス)」で倍率5.0の認定を受けた。仕様は、外壁用の大壁・真壁仕様と間仕切り壁用(床勝ち)の大壁・真壁仕様の計4仕様である。特徴としては間柱が省略できること、剛性・耐力が高く粘り強いことが挙げられる。特に粘りについては、一般の耐力壁が最大耐力に達した後、急激に抵抗力が失われるのに対して、その2倍以上の変形を生じてもなお最大耐力に近い抵抗力があり(図8参照)、現在ある耐力壁の中で最も耐震性に優れた耐力壁といえる。また、厚さ12㎜の構造用合板をCN65お

4.1 壁倍率 耐力壁の壁倍率は面内せん断試験(図6の柱脚固定式とタイロッド式がある)の結果から表 16のように定められている。在来軸組構法における合板張り耐力壁の壁倍率は、仕様によって1 . 5〜2 . 5 倍である。2 . 5 倍の倍率は、いわゆる二つ割り筋かい(2 . 0 倍)に木ずり(0 . 5 倍)を張った壁と同じ値である。枠組壁工法における壁倍率は、仕様によって2 . 5〜3 . 5 倍である。 ここでいう壁倍率は、建築基準法の壁倍率である。品確法による性能表示制度(任意)を利用して耐震等級や耐風等級を表示する場合は、同じ壁倍率の値が使用できるほか、建築基準法では耐力壁として認められていない「合板が土台、胴差し、はり、けた等にかからない仕様」でも、準耐力壁、腰壁・垂壁として耐力を算入することができる。ただし、これらを除く正規の耐力壁だけで必要壁量を満たすことが条件である。

 準耐力壁、腰壁・垂壁(いずれも大壁仕様に限る)の倍率は以下の方法で求める。倍率=2.5倍×0.6×(面材の高さ)/(横架材の内法) ただし、準耐力壁は、面材の高さ(張り継いでもよい)が横架材内法の80 %以上であること、腰壁・垂壁は、それぞれの高さが36cm以上、長さが2m以下で、その両側には耐力壁か準耐力壁があることが必要である。

4構造用合板を張った耐力壁

4.2 特認による壁倍率

羽子板ボルト梁:105×180ベイマツ

変位計

面 材

変位計

ホールダウン金物

変位計変

位計

距離H

2730

P正負交番加力

ストッパ

1820

距離L

単位:㎜

10

Page 2: 構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって

4 よびCN50釘で張った耐力壁で倍率4.0、3 . 8、3 .6、3 . 5、3 .4、3 . 2、3 .1の認定を受けた。仕様は、外壁用の大壁・真壁仕様と、間仕切り壁用

(床勝ち)の大壁・真壁仕様の計4仕様である。枠組壁工法の住宅建築で使用できる耐力壁として、厚さ12㎜の構造用合板をCN65およびCN50釘で張った耐力壁で、倍率5.0、4 . 8、4 . 5、3 .6の認定を受けた。建設省および国土交通省告示の壁倍率に加え、大臣認定を受けたこれらの合板張り耐力壁により、設計の自由度を広げることができる。なお、本耐力壁を用いる場合は、確認申請時に認定書の写しを添付する必要がある。●壁倍率の認定を行う指定機関 (公財)日本住宅・木材技術センター、(一財)ベターリビング、(一財)建材試験センター、(一財)日本建築総合試験所。●評価方法①試験体寸法:幅1,820㎜、高さ2,730㎜が標準。②軸材:はりはベイマツ構造用製材JAS甲種3

級程度、柱、土台はスギ構造用製材JAS乙種3級程度。

③試験体数:3以上。④支持方法:タイロッドを用いて柱脚の浮き上が

りを拘束する方法、または図6に示す柱脚固定式(鉛直荷重相当の錘を壁頂部に載荷する載荷式あるいは無載荷とする無載荷式)の方法による。ただし、柱脚固定式では、壁部分に先立って柱脚接合部が破壊しないよう、十分な強度を有するホールダウン金物等を使用する。

⑤加力方法:柱脚固定式の場合、見かけのせん断変形角が1/450、1/300、1/200、1/150、1/100、1/75、1/50radで原則として3回の正負繰り返しを行い、荷重が最大荷重を過ぎてその80%以下になるか、変形が1/15radに達するまで加力する。タイロッド式では、上記の見かけのせん断変形角を真のせん断変形角と読み替え、最初に1/600radを加える。

⑥倍率の算定方法:以下の(a)〜(d)について、バラツキを考慮して統計的に求めた信頼水準75%の50%下限許容限界の最小値(kN/m)に、壁材料の耐久性、使用環境、施工性の影響、壁量計算の前提を満たさない場合

の影響等を勘案して定める低減係数を乗じ、1.96kN/m=倍率1として、倍率に換算する。

(a)見かけのせん断変形角が1/120rad時の耐力(柱脚固定式の場合)、または真のせん断変形角が1/150rad時の耐力(タイロッド式の場合)

(b)最大耐力に2/3を乗じた値(c)降伏耐力、Py(d)終局耐力Puに(0.2/Ds)を乗じた値 Py、Dsなどは、実験の荷重─変形関係をバイリニア(2直線)化して得られる(図7参照)。なお、信頼水準75%の50%下限許容限界は、試験体数が3の場合、平均値に(1-0.471V)を乗じればよい(Vは変動係数)。●評価方法の考え方と旧評価方法との違い 耐力壁の特認は以前から行われてきたが、平成12年の建築基準法改正により、その方法が以下のように変わった。 第1は、改正基準法で、住宅を建てる際、柱脚接合部が耐力壁より先行して破壊しないように、柱脚金物の使用が規定されたことから、耐力壁の評価でも、これに合わせるため、載荷式あるいは無載荷式では、柱脚接合部が破壊しないように、補強を講じることになったこと。 第2は、旧基準法の非構造部分による地震力の1/3負担の仮定をやめたことに対する処置として、壁倍率1を130kgf/mから200kgf/mに増加させたこと。これにより、従来の壁倍率は低減させる必要が生じるが、見直しの結果、旧法の下限品質のための低減係数の3/4に替えて、新法では平均値(50%下限許容限界)を基準とすることとしたこと、柱脚接合部の補強のため耐力が上がったことなどによる相殺があり、結果的に倍率は従来のままとなっている。 第3は、大地震時の安全性を確保するため、保有耐力(靭性とエネルギー吸収能力)に関する上記(d)を、また、比較的頻繁に来る地震に対するサービスアビリティーとして上記(c)を加えたこと。 なお、新しい評価方法では旧法より多くの正負繰り返し加力を行うが、その目的は、除荷時の荷重─変形関係やエネルギー吸収の性能を見ることではなく、繰り返しによる耐力低下の影響を含んだ包絡線(処女変形の荷重─変形関係)を得ることである。

製材(筋かい,たすき掛け)

製材(筋かい,たすき掛け)

製材(筋かい)

製材(筋かい,たすき掛け)

構造用合板1級,2級(直張り,受材真壁)

パーティクルボード(直張り,受材真壁)

構造用パネル(直張り,受材真壁)

製材(筋かい,たすき掛け)

製材(筋かい)

鉄筋(たすき掛け)

硬質木片セメント板(直張り)

炭酸マグネシウム板(直張り)

ハードボード(直張り)

構造用せっこうボードA種(直張り)

構造用せっこうボードA種(直張り床勝ち)

製材(筋かい)

構造用合板1級,2級(貫真壁)

パルプセメント板(直張り)

パーティクルボード(貫真壁)

構造用パネル(貫真壁)

せっこうラスボード(受材真壁)

構造用せっこうボードA種(受材真壁)

土塗り(両面)

構造用せっこうボードB種(受材真壁)

構造用せっこうボードB種(直張り)

木ずり(両面)

製材(筋かい)

鉄筋

シージングボード(直張り)

ラスシート(角波亜鉛鉄板,直張り)

ラスシート(メタルラス,直張り)

せっこうラスボード(貫真壁)

せっこうボード(受材真壁)

強化せっこうボード(受材真壁)

構造用せっこうボードB種(直張り床勝ち)

土塗り(片面,両面)

製材(格子壁)

せっこうボード(直張り,直張り床勝ち)

強化せっこうボード(直張り,直張り床勝ち)

製材(格子壁)

構造用せっこうボードA種(貫真壁)

構造用せっこうボードB種(貫真壁)

製材(格子壁)

製材(落込み板壁)

木ずり(片面)

土塗り(片面)

せっこうボード(貫真壁)

強化せっこうボード(貫真壁)

上記の材料を併用した場合は倍率を加算することができるが、5.0倍を上限とする。

枠組壁工法の倍率は、たて枠間隔50cm以内の仕様のみ記載。

90×90

45×90

90×90

30×90

7.5

12

15×90

45×90

φ9

12

12

5

12

12

30×90

7.5

8

12

9

12

70

12

12

15×90

φ9

12

0.4

0.6

9

12

12

12

55

105×105

12

12

45×90

12

12

90×90

27×130

12

12

構造用合板1級

構造用合板1級

構造用合板2級

ハードボード

パーティクルボード

構造用パネル

構造用合板2級

ハードボード

硬質木毛セメント板

フレキシブル板

パルプセメント板

構造用せっこうボードA種

構造用せっこうボードB種

製材(斜め打ち)

強化せっこうボード

せっこうボード

シージングボード

ラスシート(角波亜鉛鉄板)

ラスシート(メタルラス)

製材(筋かい)

製材(横打ち)

9

7.5(9.0未満)

9

7

12

7.5(9.0未満)

5.0(7.0未満)

12

6

8

12

12

13×210

12

12

12

0.4

0.6

18×89

13×210

⑫⑫⑫

倍率木造軸組構法の耐力壁

材料厚さまたは断面(㎜以上) 施工例

①,②

施工例厚さまたは断面(㎜以上)種類 種類

枠組壁工法の耐力壁材料

備考

5.0

4.0

3.5

3.0

2.5

2.0

1.7

1.6

1.5

1.3

1.2

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

軸組構法は建築基準法施行令第46号および建設省告示第1100号。枠組壁工法は、国交省告示第1541号による。

表16. 告示における木造軸組構法と枠組壁工法の耐力壁の倍率(日合連、東京・東北工組、(一社)日本ツーバイフォー    建築協会で取得した合板の特認についてはP13表17を参照)

11 12

Page 3: 構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって

4 4

図7. 荷重一変形関係のバイリニア化の方法

Ⅴ Ⅲ Ⅱ

Ⅵ 包絡線

Du

ⅠⅡⅢPyDyⅤⅥ

Pu

:::::::

0.8Pmaxの時の変形(実験で0.8Pmax以下にならない場合は1/15rad)0.1Pmaxと0.4Pmaxを通る直線0.4Pmaxと0.9Pmaxを通る直線直線Ⅱを平行移動して包絡線に接する直線直線Ⅰと直線Ⅲの交点の荷重包絡線のPyに相当する変形原点と(Dy,Py)を通る直線包絡線とX軸及びDuを通りY軸に平行な直線によって囲まれる面積が、ハッチの面積と等しくなるように引いたX軸に平行な直線直線ⅥのY軸の値

Pmax

0.9Pmax

0.4Pmax

0.1Pmax

0.8PmaxPu

Py

Dy Dv Duせん断変形角

Ds2Du/Dv̶1

1=

荷重

表17. 合板張り大臣認定耐力壁の倍率

工法 厚さ(㎜) 等級 倍率 仕様 主な施工場所

モジュール くぎ打ちの方法認定番号 施工例

910 1000 種類※※ くぎの間隔

軸   組

12 2 級以上

4.0

大壁 外壁

○ ○ CN65 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0335 ④

3.8 ○ ○ CN50 外周 75㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0416 ④

3.1 ○ ○ CN50 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0415 ④

3.6

大壁床勝ち 外壁・間仕切り壁

○ ○ CN65 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0334 ⑤

3.6 ○ ○ CN50 外周 75㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0414 ⑤

3.2 ○ ○ CN50 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0336 ⑤

3.4 受材真壁 外壁 ○ × CN50 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0337 ⑥

4.0

受材真壁床勝ち 外壁・間仕切り壁

○ × CN65 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0339 ⑦

3.5 ○ × CN50 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0338 ⑦

3.6 × ○ CN65 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 FRM-0483 ⑦

24※ 2 級以上 5.0

大壁 外壁 ○ ○ CN75 外周 100㎜以下 FRM-0297 ⑧

大壁床勝ち 外壁・間仕切り壁 ○ ○ CN75 外周 100㎜以下 FRM-0296 ⑨

受材真壁 外壁 ○ ○ CN75 外周 100㎜以下FRM-0298

受材真壁床勝ち 外壁・間仕切り壁 ○ ○ CN75 外周 100㎜以下 ⑪

枠   組

12 2 級以上

5.0

枠組壁 外壁・間仕切り壁

○ ○ CN65 外周 50㎜以下中通り 200㎜以下 TBFC-0114 ⑫

4.8 ○ ○ CN50 外周 50㎜以下中通り 200㎜以下 TBFC-0112 ⑫

4.5 ○ ○ CN65 外周 75㎜以下中通り 200㎜以下 TBFC-0111 ⑫

3.6 ○ ○ CN65 外周 100㎜以下中通り 200㎜以下 TBFC-0113 ⑫

9以上10未満 2級 1.5 枠組壁・横張り 外壁・間仕切り壁 ○ ○ CN50 外周 100㎜以下

中通り 200㎜以下 TBFC-9034 ⑬

※ 商品名ネダノンスタッドレス5+※※CNZくぎも使用

●認定書請求先・軸組12㎜枠組12㎜…日合連(ホームページから認定書のコピーの申請用紙が入手可能です。) ・軸組 24㎜(ネダノンスタッドレス5+)…東京・東北工組(ホームページから認定書のコピーの申請用紙が入手可能です。) ・枠組9㎜以上10㎜未満…(一社)日本ツーバイフォー建築協会(但し、認定書の発行には会員登録が必要となります。)

 在来軸組構法や枠組壁工法では許容応力度計算や限界耐力計算による設計ルートを採ることが可能である。この場合、耐力壁は釘接合許容せん断耐力や合板に生じるせん断応力度等から設計することができる(P. 25を参照)。基準法では、このルートで設計した耐力壁に耐

 耐力壁の倍率はせん断実験の結果を基に定められている。図8は実験結果の一例で、合板張り耐力壁の場合、在来軸組構法住宅の許容変形角である1/120rad時の耐力は、基準法・告示の倍率(倍率2 . 5=4 . 9kN/m)に対して余

力の上限はない。ただし(公財)日本住宅・木材技術センター編集「木造軸組工法住宅の許容応力度設計

(2008年版)」は、通常の住宅の設計においては13 .72kN/m(倍率7相当:=7×1.96)を上限とすることを推奨している。

裕があること、スギ合板12㎜の耐力壁は告示仕様に比べて耐力も変形性能(粘り)も向上していること、さらにネダノン スタッドレス5+は、他の耐力壁にはない高い耐力と優れた変形性能を有することが見て取れる。

4.3 構造計算で設計する耐力壁の耐力

4.4 実験に見る合板張り耐力壁の性能

図8. 構造用合板耐力壁のせん断性能

見かけのせん断変形角(10-2rad)

スギ合板24㎜、2級(スタッドレス5+真壁.特認5倍)

ラワン合板7.5㎜、1級(告示2.5倍)

ベイツガ二つ割り筋違い(基準法2倍)

30

25

20

15

10

5

0長さ1m当たりの耐力 (kN/m)

スギ合板24㎜、2級(スタッドレス5+大壁.特認5倍)

スギ合板12㎜、2級 (受材真壁、特認3.4倍)

2 4 6 8 10

スギ合板12㎜、2級 (受材真壁、特認3.4倍)

軸材の樹種 耐力壁 柱・土台 桁

合板24㎜ スギ ベイマツ

合板12㎜ スギ ベイマツ

合板7.5㎜ ベイツガ ベイツガ

二つ割り筋かい ベイツガ ベイツガ

ラワン合板7.5㎜、1級(告示2.5倍)

ベイツガ二つ割り筋かい(基準法2倍)

スギ合板24㎜、2級(スタッドレス5+大壁.特認5倍)

スギ合板24㎜、2級(スタッドレス5+真壁.特認5倍)

スギ合板12㎜、2級(大壁、特認4倍)スギ合板12㎜、2級(大壁、特認4倍)

13 14

Page 4: 構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって

4 4● 合板にはJASマークの付いた構造用合板を使用する

 例えJASマークが付いていても、コンクリート型枠用合板(コンパネ)等の他の合板を使用すると建築基準法違反になるので、絶対に使用しない。

●釘は規定された種類のものを使用する 市販されている釘には、N釘、CN釘、FN釘などいくつかの種類がある。FN釘はこの中で最も多く出回っている釘であるが、胴部径の細い造作用釘であり耐力に乏しい。国土交通省(建設省)告示や国土交通大臣の認定書に規定された釘を使用しないと、所定の耐力が出ず建築基準法違反となるので、設計時だけでなく施工時の現場管理でも細心の注意が必要である。 合板を留め付ける釘はN釘またはCN釘であり、以下のようになっている。

・ 軸組構法の告示の耐力壁(表16):N50・ 枠組壁工法の告示の耐力壁(表16):CN50・ 軸組構法の大臣認定耐力壁(表17):仕様に

よりCN50、CN65又はCN75・ 枠組壁工法の大臣認定耐力壁(表17):仕様

によりCN50又はCN65 なお、CN釘の代わりに、CN釘に亜鉛メッキ処理したCNZ釘を使用してもよい。

●合板を張り継ぐ場合は、目地部分に胴つなぎ材を設けて釘を打つ

 この胴つなぎ材は合板と合板とを継ぐための一種の添板であるから、胴つなぎ材の端部は柱や間柱に強固に接合する必要はない。一般的には釘の斜め打ちで留め付ける程度で良い。

●耐力壁の幅の最小値を守り、合板の大きさはできるだけ大きくする

 建築基準法では耐力壁の幅の最小値や合板の最小の大きさについての規定はないが、在来軸組構法では、(公財)日本住宅・木材技術センター編「木造軸組工法住宅の許容応力度設計

(2008年版)」によれば、筋かい等の耐力壁の

幅の最小値は90cm以上、告示仕様の合板張り耐力壁の幅の最小値は60cm以上かつ階高/幅は5以下とされている。国土交通大臣特認の耐力壁の幅の最小値については、個々に変形性能が異なるため、90cmとも60cmとも言及されていないものもあるが、これらの幅の最小値については最終的には建築主事の判断と考えられるので、問題がありそうな場合は事前に建築主事に確認ください。 枠組壁工法では、(一社)日本ツーバイフォー建築協会発行・国土交通省監修「2007年枠組壁工法建築物構造計算指針」によると、幅の最小値は60cm以上となっている。 合板を張り継ぐ場合は、合板はできるだけ大きくすることが望ましい。

●自動釘打機を使用する場合は、空気圧を適切に調整する

 空気圧が過大で、釘が合板にめり込むと、終局強度が低下し、破壊の性状が脆性的になるなど、耐震性をそこなうことになる。

● 合板の張り方には大壁仕様と真壁仕様とがある

 大壁仕様の場合は、柱と横架材に直接釘打ちし、真壁仕様の場合は、横架材に合板の胴つなぎ材を取り付けてこれに合板を釘打ちするか

(受材タイプ)、貫を入れてこれに合板を釘打ちする(貫タイプ)。 受材タイプの真壁仕様はメカニズム的には大壁仕様と同じであるが、受材と柱・横架材がすべりを生じないように強固に接合する必要がある。貫タイプの真壁仕様は、メカニズムが他の2つと異なる部分があり、実際の剛性と耐力はやや低くなる傾向がある。

●耐力壁の構造用合板に設ける開口はできるだけ小さくし、大きい場合は開口周囲を補強する

 従来から、耐力壁の構造用合板に配管、電気配線、換気扇等の小さい孔を設けることは許

4.6 合板張り耐力壁の施工方法●方向性がない 筋かい耐力壁は、図9のように基本的に筋かいが圧縮になるときに抵抗する。これは、筋かいが圧縮となるときは、端部が土台・柱・胴差しなどに接する(胴付きとなる)ことによって、力が伝達されるが、筋かいが引張りを受けるときには、筋かい端部の接合部は十分に抵抗できないからである。そのため、筋かい端部は金物で補強することになっているが、それでも耐力は圧縮の時の半分程度である。このような理由から、筋かい耐力壁は、同一耐力壁線上で、筋かいの方向が一対となるように配置することになっている。これに対して、合板張り耐力壁には方向性が無く、これが筋かいと比べて最大のメリットである。例えば狭小な敷地で間口部分に半間の壁しか設けられない場合、筋かいを1本入れても一対にならないが、合板を張れば有効な耐力壁とすることができる。

●施工精度に左右されない 一対の筋かいに繰り返し荷重を作用させると、図10のように荷重がゼロの付近で容易に変形するスリップ成分が見られる。これは筋かい端部が土台・柱・胴差しなどに接するまでの隙間によるものである。これに対して合板耐力壁の場合は初期剛性が高く、筋かいのようなスリップ成分はない。 筋かいの耐力壁の初期のスリップ成分は金物補強により減少させることはできるが、端部の隙間は施工精度に依存し、その影響を完全になくすことは困難である。したがって、合板耐力壁は、高い施工精度がなくても、初期剛性の高い安定した性能が容易に得られる耐力壁であるといえる。

●力が分散するので粘りがある 筋かい耐力壁は、筋かい自身とその接合部に大きな力が集中する構造であり、場合によっては土台が引き裂かれたり筋かいが折れたりして脆性的な破壊を生じることがある。

これに対して、合板耐力壁では合板と軸組との力の伝達が多数の釘を介して行われるので力が集中せず、粘り強い構造となる。

4.5 筋かいとの違い

図9. 筋かい耐力壁の方向性

力の方向 力の方向

筋かいは圧縮 筋かいは引張筋かい端部が柱や横架材から離れる

筋かいは柱と横架材の軸組の中で突っ張る

長さ1m当りの荷重 (kN/m)

-5

10-10 20 10-10 20 30

5

10

-10

10

20

図10. 耐力壁の復元力特性

(a)三つ割り筋かい入り (b)合板張り

頂部の水平変位(cm)

15 16

Page 5: 構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって

容されていたが、国住指第1335号「国土交通省住宅局建築指導課長通知(技術的助言)」により、「木造の耐力壁について、周囲の軸組から離して設ける径50cm程度の換気扇用の孔は

「開口部」に該当しない」と明示された。しかし、合板の厚さが12㎜以下で換気扇用等の比較的大きい孔を空ける場合は、孔の周囲を木材で適切に補強することが望ましい。

●雨ぬれを生じた場合の考え方 合板は木材と同様に水分を吸放出する性質があり、それにともなってわずかではあるが寸法変化を生じる。雨ぬれによって水分を多く吸収すると、膨らみ、ねじれ等を生じる。雨ぬれの程度が激しいと膨らみ、ねじれ等が戻らないことがある。雨ぬれの程度が軽微であればほ

ぼ元の状態に戻るので、床仕上げの前には十分に乾燥することが必要である。 強度は水分によって変化するが、乾けば元に戻る。合板の製造には、JAS 規格に規定された特類(屋外又は常時湿潤状態となる場所で使用)または1類(断続的に湿潤状態となる場所で使用)の接着剤が使用されているため、単板がはがれるようなことはない。(雨や湿気で単板がはがれた合板を見ることがあるが、このような合板は、耐水性の低い接着剤を使用した造作用の合板である。) また、雨ぬれによってスギやカラマツなどに含まれる化学成分が反応し、板面が褐色や黒色に変色することがあるが、そのために強度が低下することはない。

4 4

図11. 施工例-① 構造用合板7.5㎜厚以上 外壁部 告示「大壁仕様」(壁勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板7.5㎜以上N50@150以下

構造用合板7.5㎜以上N50@150以下

図12. 施工例-② 構造用合板7.5㎜厚以上 外壁部 告示「受材真壁仕様」(壁勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板7.5㎜以上N50@150以下

構造用合板7.5㎜以上N50@150以下

図13. 施工例-③ 構造用合板7.5㎜厚以上 外壁・間仕切り壁 告示「貫真壁仕様」基本施工例

300㎜以下

貫15×90以上@610㎜以下5本以上

間柱

構造用合板7.5㎜以上N50@150以下

17 18

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4 4

図14. 施工例-④ 構造用合板12㎜厚 外壁部 特認「大壁仕様」(壁勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

胴つなぎ45(見付)×60以上

図15. 施工例-⑤ 構造用合板12㎜厚 外壁・間仕切り壁 特認「大壁仕様」(床勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

受材30(見付)×45以上

受材30(見付)×45以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

胴つなぎ45(見付)×60以上

図16. 施工例-⑥ 構造用合板12㎜厚 外壁部 特認「受材真壁仕様」(壁勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

受材30(見付)×45以上

受材30(見付)×45以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

受材30(見付)×45以上

受材30(見付)×45以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

胴つなぎ45(見付)×60以上

図17. 施工例-⑦ 構造用合板12㎜厚 外壁・間仕切り壁 特認「受材真壁仕様」(床勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

受材30(見付)×45以上

受材30(見付)×45以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

間柱30(見付)×60以上

継手間柱45(見付)×60以上

胴つなぎ45(見付)×60以上受材

30(見付)×45以上

受材30(見付)×45以上

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4 4

図18. 施工例-⑧ 構造用合板24㎜厚(ネダノン スタッドレス5+) 外壁部 特認「大壁仕様」基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

胴つなぎ60(見付)×45以上

構造用合板24㎜CN75@100

構造用合板24㎜CN75@100

図19. 施工例-⑨ 構造用合板24㎜厚(ネダノン スタッドレス5+) 外壁・間仕切り壁 特認「大壁仕様」(床勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板24㎜CN75@100

構造用合板24㎜CN75@100

胴つなぎ60(見付)×45以上

受材45×45以上

受材45×45以上

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

図20. 施工例-⑩ 構造用合板24㎜厚(ネダノン スタッドレス5+) 外壁部 特認「受材真壁仕様」(壁勝ち)基本施工例

受材45×45以上

受材45×45以上

胴つなぎ60(見付)×45以上

構造用合板24㎜CN75@100

構造用合板24㎜CN75@100

受材45×45以上

受材45×45以上

図21. 施工例-⑪ 構造用合板24㎜厚(ネダノン スタッドレス5+) 外壁・間仕切り壁 特認「受材真壁仕様」(床勝ち)基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板24㎜CN75@100

構造用合板24㎜CN75@100

受材45×45以上

受材45×45以上

胴つなぎ60(見付)×45以上

受材45×45以上

受材45×45以上

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4 4

図23. 施工例-⑬ 枠組壁工法 構造用合板9㎜厚以上10㎜厚未満 外壁・間仕切り壁 特認 基本施工例

構造用合板2級9㎜以下10㎜未満CN50 外周@100以下(水平方向の目地を除く)その他の部分@200以下

頭つなぎ(204)

上枠(204)

たて枠(204)

下枠(204)

 合板張り耐力壁のメカニズムは、図24のように垂直に立てた片持のIビームと同じである。すなわち、外側の柱はフランジとして曲げの力に対して抵抗し、合板はウェブとしてせん断力に対して抵抗する。合板耐力壁の剛性・強度が高いのは、柱と横架材に合板を張り付けることによって、せいが大きく長さが短いIビームが構成されるからである。 合板耐力壁の変形は、図25に示すように、①合板自身のせん断変形、②合板を止めている釘

接合部の変形による軸組全体のせん断変形、③柱の浮き沈みによる軸組全体の回転変形、④柱の引張・圧縮による軸組全体の曲げ変形からなる。この中では特に①〜③が支配的で、それぞれ、合板の厚さとせん断弾性係数(G)、合板を留めている釘接合部の剛性(釘の太さと間隔)、柱と土台・胴差し・桁・はりなどの接合部の剛性によって決まる。このうち、③の変形については改正基準法でホールダウン金物等を用いて強度の確保を図ることとなった。

4.7 合板張り耐力壁のメカニズム

図24. 合板耐力壁のメカニズム 図25. 合板耐力壁の変形

柱はフランジに相当

合板はウェブに相当

(曲げの力に抵抗)フランジ

(せん断力に対 して抵抗)ウェブ

合板耐力壁 Iビーム

力の方向

合板がせん断変形を生じる

この柱には引張応力が生じる

柱が土台から引き抜ける

柱が土台にめりこむ

この柱には圧縮応力が生じる

合板を張り付けている釘接合部分が変形する

反力

③ ③

図22. 施工例-⑫ 枠組壁工法 構造用合板12㎜厚 外壁・間仕切り壁 告示・特認 基本施工例

合板を張り継がない場合 合板を張り継ぐ場合

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

構造用合板12㎜釘種類と間隔は認定により異なる

頭つなぎ(204)

上枠(204)

たて枠(204)

下枠(204)

頭つなぎ(204)

上枠(204)

ブロッキング(204)

たて枠(204)

下枠(204)

23 24

Page 9: 構造用合板を張った耐力壁 4jpma.jp/data/kouzou-2/kozou04.pdf図6. 柱脚固定式の面内せん断試験の例 釘を太くしたり、釘間隔を狭くすることによって

4●軸組構法 軸組構法において、3階建て建物や延べ床面積が500平米を超える場合は、許容応力度計算が要求される。一般的に、告示や特認による耐力壁のせん断耐力については、倍率1=1. 96kN/mとして壁倍率から換算する方法で計算することとなっている。また、これら以外の耐力壁については、(公財)日本住宅・木材技術センター「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版):通称 グレー本」に釘接合耐力等から計算で誘導する方法が記載されている。ただし、これによる耐力は、13 .72kN/m

(倍率7相当)までとなっている。 なお、ネダノン スタッドレス5+の倍率は5であるが、実力はそれ以上あり、柱頭・柱脚接合部設計用の耐力としてその倍率(仕様によって5.9〜7.0)が付随している。従ってネダノン スタッドレス5+の耐力は、この柱頭・柱脚接合部設計用の倍率を換算した値を使用する。

●枠組壁工法 枠組壁工法の場合も、軸組構法と同様に、3階建てなどになると許容応力度計算が要求される。告示や特認の耐力壁のせん断耐力については、倍率1=1. 96kN/mとして倍率から換算するのも軸組構法と同様である。これら以外の耐力壁については、(一社)日本ツーバイフォー建築協会発行「2007年枠組壁工法建築物構造計算指針」に釘接合耐力等から計算で誘導する方法が記載されている。この式は、軸組構法を対象としたグレー本の式よりシンプルであるが、耐力を安全側に見積もる傾向がある。

4.8 許容応力度計算における 合板張り耐力壁のせん断耐力

25