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適切なバス停車施設のあり方に関する調査 平成 30 年 3 月 国土交通省 中部運輸局

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適切なバス停車施設のあり方に関する調査

報 告 書

平成 30 年 3 月

国土交通省 中部運輸局

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~ 目 次 ~ 1. 調査の概要 ···································································· 1

1-1 調査の背景と目的 ··················································································· 1 1-2 調査のフロー ························································································· 2 1-3 調査の実施内容 ······················································································ 3 1-4 本調査事業の範囲について ······································································· 6 1-5 法令・基準の参照について ······································································· 7 1-6 リーフレットの配布・活用について ···························································· 7

2. 適切なバス停車施設のあり方 ···················································· 8 2-1 適切なバス停車施設のあり方(一覧) ························································· 8 2-2 リーフレットの内容 ··············································································· 14

3. バス停車施設の概要 ··························································· 22 3-1 施設の類型化 ························································································ 22 3-2 施設の構成要素と附帯施設 ······································································ 24 3-3 バス停車施設の関係者と立場・役割 ··························································· 25

4. バス停車施設に関する法令・基準の整理 ········································· 26 4-1 バス停車施設に関する法令・基準の枠組み ·················································· 26 4-2 法令・基準の一覧 ·················································································· 28 4-3 法令・基準の主なポイント ······································································ 30

5. バス停車施設の現状と課題 ····················································· 34 5-1 バス停車施設の配置・設置・名称設定 ························································ 34 5-2 バス停車施設の構造 ··············································································· 38 5-3 バス停車施設の附帯施設 ········································································· 42 5-4 バス停の維持管理と住民参画···································································· 46

6. バス停車施設における情報案内 ················································· 51 6-1 バス停車施設における提供情報 ································································· 51 6-2 管内自治体における情報提供の実施状況 ····················································· 53 6-3 情報提供に関する基本的な留意事項 ··························································· 54 6-4 バスロケーションシステムの動向 ······························································ 56 6-5 乗換案内サイトの動向 ············································································ 59

7. バス停車施設についての議論を深めるために ····································· 60 7-1 バス停車施設の現状と課題に関する総括 ····················································· 60 7-2 議論をさらに深めるために ······································································ 61

■巻末付属資料 ①自治体アンケート調査結果 ②関係機関ヒアリング要旨

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1.調査の概要 1-1 調査の背景と目的

全国的に少子化、人口減少が進むなかで、これまで減少の一途を辿ってきた乗合バスの輸送人員

は、ここ数年、わずかに回復基調にあることが報告されてはいるが、依然として大半の地域が非常に

厳しい状況にあることに変わりはない。今後さらに地域住民の高齢化も進行するなかで、バスは住民

の日常生活を支えるための重要な社会基盤であり、より一層の利便性の向上や意識啓発などに努め、

利用促進を図っていくことが必要となっている。

このような中、利便性向上の方策としては、バス運行の見直しだけでなく、バス停車施設に関する

検討がより重要なものとなってきている。バス停車施設の立地や規模は、都市施策にも密接に連携す

るものであるほか、その形状や構造は安全でスムーズな乗降や道路交通の円滑性にも影響し、附帯施

設や情報案内のバリエーションも幅広いものであることなど、バスの運営全体への影響度が強く、検

討の意義が大きいといえる。加えて、利用者にとって最も身近な施設ともいえ、マイバス意識の高揚

が利用促進につながるという側面も有している。

また、各地域の地域公共交通協議会等においては、バス停車施設に関する協議は成果として見えや

すく、議論への参加障壁が少ないといった特性があることから、地域公共交通施策の住民参画を進め

る上で重要な事項の一つともいえる。

一方で、地域公共交通の運営や利用促進に関しては、これまでに国や地方公共団体等を中心に様々

な手引き書が作成され、全般的な事項に関しては、各運営主体などで情報が共有されるようになって

きているが、バス停車施設に関しては、明瞭な基準に乏しく、あり方論なども十分に整理されていな

い状況にあるため、協議会の場においての議論が進みにくい現状にある。

このような状況に対応するため、本調査は、バス停車施設に関して、運行状況や地域の状況に応じ

た施設の整備・管理状況を把握し、各関係者の関わり方やバス停車施設のあり方について整理したも

のである。得られた調査結果をとりまとめて、リーフレットを作成することにより、コミュニティバ

スの運営主体であり、自らバス事業者となることもある各自治体に対して、バス停車施設の設置、管

理における調整を円滑化させるとともに、協議会等における議論の活性化を図っていくことを目指す

ものである。

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1-2 調査のフロー

本調査は以下の手順で実施した。

[図 – 調査の流れ]

(1)アンケート調査の実施

■調査の企画・準備

・調査手法検討

・調査票作成

・バス停車施設の現状を把握するため、中部運輸局管内全160交通協議会に対して実施

■調査実施

・協力依頼

・調査票配布

■調査結果のとりまとめ

・集計・分析

・事例整理

(2)ヒアリング調査の実施

【乗合バス事業】

・施設の現状

位置選定/仕様/規模/施設

・検討から設置までのプロセス 等

【道路管理者】

・道路整備の際の対応

・設置基準・許可基準

関係機関への調査[5県17機関]

【協議会事務局】

・協議会、市町村の関与

・施設の現状

・検討から設置までのプロセス等

(3)法令等の把握

・バス停車施設に関する法令・基準を体系的に把握

(4)リーフレットの作成

(5)学識者・関係機関への意見照会

・素案を作成したのち、関係機関への意見照会を行い、内容についての調整点を抽出

・手直しを行ったうえで印刷製本

(6)バス停車施設に関するあり方のまとめ

・(1)~(5)の内容をまとめ、報告書を作成

リーフレット素案の作成

修正点の抽出・内容の調整

・バス停車施設の現場での具体的な状況などを把握するため、関係機関へのヒアリング調査を実施

【乗合バス事業】

【道路管理者】【学識者】

【自治体】 【地域公共交通協議会】 【運輸支局】

【公安委員会】

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1-3 調査の実施内容

本調査の内容を以下に記した。

(1)アンケート調査の実施

中部運輸局管内のすべての地域公共交通協議会(ヒアリング調査を実施した高山市・岡崎市・四日

市市を除く 153 自治体)の事務局担当部署及び道路管理担当部署に対し、バス停車施設に関するアン

ケート調査を実施した。主な調査項目は以下の通りである。

[表 – アンケート調査の対象と調査項目] 調査対象 調査項目

協議会事務局担当部署 ・協議会の関与状況

・施設の現状(管理台帳の有無や把握事項)

・設置基準

・情報案内/附帯施設の状況

・維持管理・費用負担の状況

・協議会での議論の状況

・関係機関との協議・指導事例

・参考にしたバス停車施設の事例

・改善事例 等

道路管理担当部署 ・道路整備をする際のバス停車施設への対応

・道路管理者として停車施設に関与する範囲

・設置基準の有無

・設置に際しての許可要件

(2)ヒアリング調査の実施

下表に示す中部運輸局管内の5県の関係機関に対してヒアリング調査を行った。

[表 – ヒアリング先機関]

都道府県 自治体 協議会 事務局 道路管理者 乗合バス 事業者

福井県 福井県 土木部土木管理課

岐阜県 高山市 高山市

公共交通活性化

協議会

高山市

基盤整備部

都市整備課

[岐阜県]

高山土木事務所

道路維持課

[高山市]

基盤整備部維持課

濃飛乗合自動車

株式会社

白川村 ※協議会未設置 白川村

観光振興課

白川村基盤整備課

静岡県 静岡県 交通基盤部 道路局道路保全課

愛知県 岡崎市 岡崎市

交通政策会議

岡崎市

都市整備部

交通政策課

[愛知県]

西三河建設事務所

維持管理課

[岡崎市]

土木建設部道路維持課

名鉄バス株式会社

豊鉄バス株式会社

三重県 四日市市 四日市市

地域公共交通

会議

四日市市

都市整備部

都市計画課

[三重県]

四日市建設事務所管理課

[四日市市]

都市整備部道路管理課

三重交通株式会社

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[表 – ヒアリング対象機関別の調査項目] ヒアリング対象機関 主な調査項目

協議会事務局 ・バス停車施設に対する交通会議・自治体の関与 ・施設の現状(管理状況・附帯施設・情報案内等) ・設置基準の詳細 ・検討から設置までの全体プロセス ・維持管理・運用の状況 ・参考にした他地域等の事例 ・施設の改善事例 等

道路管理者 ・道路整備をする際のバス停車施設への対応 ・設置基準・許可基準の詳細 ・停車施設の設置協議、許可の全体プロセス

乗合バス事業者 ・バス停車施設に対する交通会議・自治体の関与 ・施設の現状(管理状況・附帯施設・情報案内等) ・設置基準の詳細 ・検討から設置までの全体プロセス ・維持管理・運用の状況 ・参考にした他地域、他事業者等の事例 ・施設の改善事例 等

(3)法令等の把握

道路管理者や交通管理者(公安委員会)が許可要件としている基準などの多くは、法令等に基づく

ものが多いため、バス停車施設に関する法令、基準等の体系的な把握を行った。

(4)リーフレットの作成

(1)から(3)の調査結果を整理し、地域公共交通協議会等で活用できるリーフレットを作成し

た。リーフレットは住民代表や商工関連組織の代表など、交通への専門知識を持たない委員や参加者

にもわかりやすいものとなるよう配慮した。

なお、リーフレットは素案を作成した段階で、(5)に掲げる学識者、関係機関への意見照会を行

い、提示された意見・指摘のうち、必要なものについての対応、補完を行ったうえで完成させた。

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(5)学識者・関係機関への意見照会

(4)で作成したリーフレットについては、下表に示した学識者、関係機関に対して、それぞれの

見地からの意見を提示してもらった。

[表 – 意見照会を行った関係者および関係機関]

区分 氏名・組織名

学識者

名城大学 理工学部 松本幸正 教授

和歌山大学 経済学部 辻本勝久 教授

岐阜大学 工学部 倉内文孝 教授

公安委員会

愛知県警察本部

岐阜県警察本部

三重県警察本部

静岡県警察本部

福井県警察本部

地域公共交通協議会

新城市地域公共交通会議

各務原市地域公共交通会議

伊賀市地域公共交通会議

磐田市地域公共交通会議

勝山市地域公共交通会議・生活交通地域協議会

(6)バス停車施設に関するあり方のまとめ

(1)~(5)の一連のプロセスを経て導出されたバス停車施設のあり方について、汎用性をもた

せた内容とした報告書にとりまとめた。

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1-4 本調査事業の範囲について

(1)本調査で扱うバスの検討分野

本調査は、地域公共交通協議会等への情報提供を目的としたものであり、基本的には自治体が主体

的に検討、整備を行うコミュニティバスに関するものを想定している。また、多岐に亘るバスの検討

分野のなかでも「バス停車施設」に的を絞ったものとしており、その他の情報については、限定的な

ものにとどまるかたちになっている。例えば、利用促進や住民参画、事業収支改善などについては、

バス停車施設の附帯施設や情報提供の向上と連動した部分についてのみ扱っている。

(2)本調査で扱うバス停車施設の範囲

(1)に記した通り、コミュニティバスに関するものを想定しているため、広域都市圏の中心に位

置するような大規模ターミナルなどは扱わず、鉄道駅でいえば中間の特急停車駅の駅前広場程度を最

大のものとしている。全般的には、地域内の病院、行政機関、スーパーなどの公共公益施設や、居住

地エリアの地先のバス停などを想定したものである。[3-1 に記載]。

本報告書において、「バス停車施設」と記載したものについては、駅前広場などのある程度規模の

大きいものから小規模な地先のバス停まですべてを含めたものを意味しており、一般的なバス停につ

いては、単に「バス停」と記載している。また、法令の条文や引用した基準書などに「バス停留所」

「バス乗降場」「乗合自動車停留所」などとあるものは、用語をそのまま転記している。

(3)調査結果の活用

本調査事業の結論として、第2章 2-1 に「バス停車施設に関するあり方」としてまとめている。

既存の手引き書などからも一部の情報を引用してはいるが、基本的には本調査のなかで得られた知

見をもとに構成したものであり、限定的な情報にとどまっている部分も多い。また、内容について

は汎用性に配慮した記述としているものの、画一的なあり方を述べたものではないため、留意され

たい。

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1-5 法令・基準の参照について

(1)本報告書で扱う法令の範囲と留意点

本報告書内では、バス停車施設に関する様々な法令や基準を扱っている。国が定める法令や基準は

全国一律のものであるが、解釈や運用は地域によって若干異なる場合があるほか、通達などによって

管理されているものも多いため、詳細な検討を行う際には、各地域の所管官庁への確認が必要であ

る。

また、国が定める法令以外に、各自治体が定める条例や基準などもある。本報告書では、少なくと

も留意しなくてはならない分野や関連法令に関しては記載しているので、これに基づき個別の確認を

行う必要がある。

(2)法令の基準年

本報告書で扱っている法令は基本的に平成 30 年 3月時点のものである。法令は定期的に改正され

るため、最新情報に基づいた対応に留意が必要である。

1-6 リーフレットの配布・活用について

本調査検討調査で得られた知見を簡潔なリーフレットにまとめてリリースしている。各地域公共交

通会議での議論の際に活用いただきたい。なお、リーフレットの解説は 2-2 に掲載している。

リーフレット URL: http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/tsukuro/index.html

[図 – 本調査で作成したリーフレット]

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2.適切なバス停車施設のあり方 2-1 適切なバス停車施設のあり方(一覧)

このパートでは、調査検討全体を通じて得られた知見をまとめ、「適切なバス停車施設のあり方」

として総論を打ち出した。そのうえで、右側の欄に各パートに関して個別に参照すべきページや法令

による制約の有無などを示した。なお、法令等による制限が設けられているものについては「あり

方」というよりは、実質的に「遵守事項」になるので、とくに注意が必要である。

記載した「あり方」はあくまで「総論」であり、沿道の状況や地域性によって求められる条件など

は異なる場合も多い。個別のバス停に応じた留意点については、それぞれの詳細パートに図解や事例

などを掲載しているので参照されたい。

(1)設置場所の選定について 法令等 の規定

本書での 参照先

①利用しやすい場所・適切な場所にある ・地域要望などで新設する場合は、地域のなかで利用しやすい場所、

適切な場所が協議のうえ、選定されている。 ⇒5-1(2)

[36p] ・自治体や協議会でバス停の間隔や地域間バランスに関する明確な

基準があり、それに沿ったものとなっている。

②地権者の同意が得られている ・バス停の正面にあたる住居、店舗などの了承が得られていること。

[例:視線が気になる、ゴミが散乱する、たむろされるなど、反対

意向を示されることが多い]

⇒5-1(2) [36p]

③バスが円滑に運行できる場所である ・使用するバス車両の形状にあわせて右左折やすれ違いなどが難し

くない路線にバス停が設置されている。 ⇒5-1(2)

[36p] ・当該バス停を発車後に右折レーンに入る際などに、支障がない場所

にある。

・道路交通法

④車道上の一般車両の通行を阻害しない場所である ・道路関連法令に基づき「安全かつ円滑な車両の交通を確保できる」

場所に設置されている。

・道路法

・道路法施行令

・道路法施行規則

・道路構造令

・道路交通法

・自治体条例・基準

⇒4-3(4) [32p]

・一般に交差点や横断歩道付近は認めらないほか、道路種別や交通量

の状況によって、路線自体が認められない場合もある。

・許可の得られにくい箇所を予め把握したうえで、そこを避けた設置

検討が行われることが必要。

⑤歩道上の歩行者の通行を阻害しない場所である ・道路関連法令に基づき「安全かつ円滑な歩行者の通行を確保でき

る」場所に設置されている。

・道路法

・道路法施行令

・道路法施行規則

・道路構造令

・自治体条例・基準

⇒43(1) [30p]

・原則として道路敷地外に設置されている。 ・道路敷地内にバス停を設置する場合は、道路占用許可基準をクリア

できる場所である。

・歩道の狭い区間などには認められない場合がある。

法令の規定

法令の規定

法令の規定

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(2)バス停の構造について 法令等 の規定

本書での 参照先

①車道上の一般車両の通行を阻害しない構造である ・道路関連法令に基づき「安全かつ円滑な車両の交通を確保できる」

構造となっている。

・道路法

・道路構造令

・自治体条例・基準

⇒4-3(1) [30p]

・流れの速い路線や交通量の多い路線では「バスベイ」が適切に設置

されている。

②歩道上の歩行者の通行を阻害しない構造である ・道路関連法令に基づき「安全かつ円滑な歩行者の通行を確保でき

る」構造となっている。

・道路法

・道路法施行令

・道路法施行規則

・道路構造令

・自治体条例・基準

⇒4-3(1) [30p]

・道路敷地内に設置される場合は、バス停、上屋、ベンチなどの設置

後の有効幅員が基準値以上確保できており、建築限界を侵してい

ない。

③バス停自体の構造が安全でしっかりしている ・バス停、上屋、ベンチなどがしっかりと固定され、転倒や落下の危

険がない。

・道路法

・道路法施行令

・道路法施行規則

・自治体条例・基準

⇒4-3(2) [31p]

・必要な強度が確保され、衝撃などが加わっても壊れづらい。

④バス利用者が安全に乗降できる構造である ・バスに乗り込みやすい高さまで、歩道がマウントアップされてい

る。

・バリアフリー法

・移動円滑化省令

・自治体条例・基準

・移動円滑化ガイドライン

⇒4-3(5) [33p]

・舗装面が滑りにくい素材でつくられている。 ・ガードレールで保護された箇所と開かれた箇所が適切である。 ⑤バスが停めやすい構造になっている ・バス車両が歩道やバスベイの縁石付近まで寄せやすく、発進もしや

すい。

・移動円滑化ガイドライン ⇒5-2(1)

[38p]

法令の規定

法令の規定

法令の規定

法令の規定

公的な指針

公的な指針

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(3)バス停施設・附帯施設について 法令等 の規定

本書での 参照先

①利用者が安全・快適にバスを待てる ・腰掛けてバスを待つことができる。[=ベンチ] ⇒5-3(3)

[44p] ・雨風、日射を遮ることができる[=待合い小屋、上屋+側壁] ・さらに利便性を高めるための待合い環境が整っている

[=店舗や公共施設内での滞留]

②適切な手続きに則った附帯施設となっている ・無許可、無管理などの施設が設置されていない。[=ベンチ] ⇒5-3(4)

[45p] ・適切な設計、施工が行われたものである。[=待合い、上屋] ③バスの運行を妨げない ・上屋に側壁(風防)を設けたり、待合い小屋をつくる際、バス到着

方向側の壁面が透明になっていないと、運転手から確認できない

ため運行に支障を来す。

⇒5-3(4) [45p]

④利用者に対してわかりやすい情報提供がされている ※次項(4)に一括記載 ⑤景観・デザインに配慮されている ・景観条例やガイドラインなどで定められた色づかいに基づいてい

る。

・景観法

・景観条例・規則

・屋外広告物法

・屋外広告物条例・規則

・景観ガイドライン

⇒4-2 [29p]

・市街地内などでは、都市施設として洗練されたデザイン、形状のバ

ス停・附帯施設が整備されている。 ⇒5-4(4)

[50p] ・山間部などでは、地域風土にあわせたデザインや間伐材を利用した

待合い小屋、バス停などが整備されている。 ⇒5-4(3)

[48p] ・植栽などが植えられ、美観もよく管理が行き届いている。

公的な指針

法令の規定

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(4)情報案内について 法令等 の規定

本書での 参照先

①必要事項が掲載されている ・運輸規則によってバス停に掲示することが定められた事項がもれ

なく掲載されている。 ⇒6-1

[51p] ・定められた事項以外にも路線図や運賃などの基本的な情報が掲載

されている。

②不案内な利用者に対する配慮がある ・自分が乗りたい方向が道路のどちら側なのかがわかる表示がある。

[例:起点行き or 終点行き、隣接するバス停の名称表示] ⇒6-3(1)

[54p] ・バス停にナンバリングがされ、文字が読めなくても、目的のバス停

がわかる ⇒6-3(4)

[55p] ・当該バス停を通る路線が系統別にカラーリングがされ、文字が読め

なくても、乗るべきバスや経由地、方面がわかる。

③すべての人が見やすいように配慮されている ・視力の悪い人にも見やすい文字の大きさ、色づかい(彩度・コント

ラスト)、フォントなどに配慮されている。

・UD 印刷物ガイドライン

⇒6-3(2) [54p]

・車椅子や子どもなど、目線の低い人にも見やすい位置に情報が掲示

されている。

・子どもにも読むことができ、難読地名などにも対応できるようカナ

が振ってある。 ⇒6-3(2)

[54p] ・外国人が利用しやすいよう英語のほか、他言語表記、ピクトグラム

での表示に対応している。

・観光立国ガイドライン ⇒6-3(5)

[55p] ④より利便性を高める付加的な情報がある ・主要バス停までの所要時間、駅など結節点バス停の到着予定時刻、

駅から接続する鉄道の時刻などが掲載されている。 ⇒6-3(3)

[54p] ・バス停周辺の地図や施設案内などが掲載されている。 ⑤バスロケーションシステムが導入されている ・当該バス停の附帯施設として情報提供がされている。 ⇒6-4(1)

[56p] ・バス停に設備がない場合でも、スマートフォン等から情報にアクセ

スできるようになっている。

・これにより、利用者が不安なくバスを待つことができる。 ⑥乗換案内サイトなどと提携している ・民間の乗換案内サイトに情報提供しており、バス停別時刻表やバス

停の位置など検索が可能である。 ⇒6-5(3)

[59p] ・これにより、利用者が効率的なバスの利用ができる。

公的な指針

公的な指針

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(5)維持管理について 法令等 の規定

本書での 参照先

①管理体制が明確に位置づけられている ・バス停の維持管理に関して、行政、バス事業者、地域住民の役割が

明確に位置づけられている。[例:行政=修繕費負担、バス事業者

=点検・運用・ダイヤ改正、住民=清掃]

⇒5-4(1) [46p]

②管理体制がしっかりと機能している ・①で位置づけた体制が機能しており、それぞれの役割が果たされて

いる。[例:施設が破損した場合の復旧が迅速、現場の掃除が行き

届いている]

⇒5-4(1) [46p]

③住民が維持管理に参画しマイバス意識が向上している ・住民が維持管理に参画することでバスへの愛着、マイバス意識の向

上などがみられる。 ⇒5-4(3)

[48p] ④管理手法がシステム化されている ・バス停についての位置、附帯施設、沿道状況がパソコンで管理され、

更新履歴などがわかるようになっている。 ⇒5-4(2)

[47p] ・ダイヤ改正時の新しい時刻表が自動で作成されるシステムがある。 ⑤維持管理を賄うための収入源や制度がある ・バス停を広告媒体として活用することで収入が得られ、維持管理の

省力化につながっている。 ⇒5-4(5)

[50p]

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(6)バス停の検討から設置までの流れ

②設置箇所の候補地を複数選定・地域としての好ましい場所(団地の入口や公民館など)・法令、基準に基づいて一般的に設置が認められる場所・候補地近傍の地権者・住民からの同意が得られる場所・道路敷地外(民地・公有地等)が望ましい

⑮新しいバス停に停車する運行が開始

⑭時刻表を予告掲示 改正日の7日前

2週間程度前

⑬バス停を設置・設置完了を報告・必要に応じて、上屋など附帯施設の設営工事・運用開始日を明示し住民に周知・設置完了について道路管理者に報告・確認

⑫道路占用許可手続き・承認・道路使用許可も一体

⑩バス停新設後の時刻表、路線図等など、利用者への情報提供に必要となる資料、印刷物などを作成・配布

※一般的に道路敷地内への設置する場合も多いため、必ずしも民地等である必要はない

⑤協議用資料の作成(現地住宅地図、写真、路線図、時刻表等)

⑦交通管理者(=所轄の警察署の交通課)との個別協議・内容確認

⑪旅客運送事業としての許認可申請手続き

③候補箇所の絞り込み・関係者による現地立ち会いにより協議・必要に応じてバスの試走など

交通会議

町内会

コミバス

担当部署

運行事

業者

道路管

理者

交通管

理者

運輸局・支局

⑥道路管理者(=国道or県道or市町村道の管理担当課)との個別協議・内容確認

※バス停は道路占用(道路管理者)と道路使用(警察)の両方に該当するが、書類は道路管理者から警察へ回るため、道路管理者への提出だけでよい

⑧各県の運輸支局との個別協議・内容確認

1ヶ月前まで

①バス停新設の要望を提起・設置の必要性を交通会議で議論・設置に向けての検討に入ることを承認

バス停新設に向けた流れ地域公共交通会議が関与するコミバスなどで

地元要望を受けて新設する場合を想定実際に会議での承認を必要とするかどうかは

各会議の規約等に基づく

⑨バス停設置箇所決定・交通会議で報告・承認

※バス停新設の承認のために会議を開く必要があるかは、各会議の規則等に基づく

④バス停の構造・附帯施設・事業費用などを検討・バスベイ工事、支柱埋め込み・ガードレール撤去・上屋、ベンチ、情報施設などの設置

※新旧の時刻表を対比できるようにしておくことなどが有効である

Page 16: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

14

2-2 リーフレットの内容

(1)リーフレットの構成・ねらい

本リーフレットの構成・ねらいは以下のとおりである。

(2)リーフレットの解説と参照事項

本調査の成果として作成したリーフレットについての解説と掲載事項の参照元などを以下に記し

た。

表紙 タイトルと完成にこぎ着けたバス停の様子

ページ画像 解説・補足

・本リーフレットの3ページに掲げたような地道な調整の結果、使い

やすいバス停が出来上がり、関係者がホッとした気持ちでその状

況を見守っている姿。本リーフレットの活用により期待される結

果を表現。

・タイトルについては、何気なく置かれているように見えるバス停に

ついてもそれぞれの背景や経緯があるという意味合いを持たせ

た。

バス停には様々な立場の方が関わっており、思いや利害もそれぞれ。

利害が交差する困難な状況に対し、調整を経てバス停設置に至るまでの過程を紹介

なぜこうした調整が必要なのか、それは色々なルールが存在するから

こうした制約が多い中、工夫や調整により対応している好事例もある

ルールのみならず、バス停の新設・改変には相当なコストが生じることにも留意

最後に関係する主要法令の一覧を提示

1~2p

3p

4p

5p

6p

7p

Page 17: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

15

1~2ページ バス停をとりまく環境(さまざまな立場の人たちの考え)

ページ画像

解説・補足 参照箇所

・道路は様々な立場(バス利用者・歩行者・自転車・自家用車・沿道住民・健常者・障

害者・・・)の者が関わる公共の場であることから、そこに設置されるバス停も様々

な利害が交差し、一筋縄ではいかない難しさがある。

・施設の持つ二面性を提示することで、一部の者の利便だけで整備を進められない状

況、然るべき調整の必要性があることについて理解を持つ必要がある。

⇒詳細は次ページに

⇒3-3 関係者の立場

(25p)

1

4

3

8

9

10

2 6

5

7

11

12 13

14

15

近くにあることで利便性を感じる集合住宅の居住者

ゴミが捨てられる・覗かれている気がして迷惑と感じる戸建て住宅の居住者

例:バス停が家の前にあることに対して 例:待合い小屋があることに対して

雨風がしのげて待ちやすいと感じる利用者

中にバスを待っている旅客がいるのかどうか確認しづらいバス運転手

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16

1~2ページ[続き] バス停をとりまく環境(さまざまな立場の人たちの考え)

解説・補足 参照箇所 解説・補足 参照箇所

①[バスドライバー]:待合いに風除

けの側壁があって不透明な場合は、

走行中のバスの運転手からは、人が

いるのかどうかがわかりづらい。停

車するか通過するかの判断が難し

く徐行せざるを得ないため、後続車

の流れにも影響する。[⇒⑤の女性

利用者]

②[親子連れ]:歩道と車道がガード

レールで区分されていることが子

どもを待たせる際の安心感にもつ

ながる。

③[散乱したゴミ]:バス停は利用者

が一定時間滞留するため、空き容器

や吸い殻などのゴミが捨てられや

すい。

④[沿道住民]:③の歩道上のゴミの

片付けなどは沿道住民がやらざる

を得ない場合が多いほか、バス利用

者に自宅の中を覗かれているよう

な心理状態になることが多いとい

われる。

⑤[女性の利用者]:バス待合いの構

造上の問題もあるが、ドライバーか

ら見づらい状況になっていること

への認識がなく、スマホなどを見入

っているケースも見受けられる。バ

スの到着を意識して、見える場所に

動くことも必要。

⑥[ベンチ]:泥の足跡や飲み物のこ

ぼれじみなど、汚れている状況が散

見される。十分な管理が行き届か

ず、放置されるケースが多い。

⑦[高齢の利用者]:高齢で足腰が弱

くなると、バスのステップを上がる

ことが難しくなる。マウントアップ

されていない歩道も多くなってい

るため、低床バスであっても支障が

ある。

⑧[沿道住民]:④のような批判的な

ケースもみられるものの、一般的に

バス停は居住者の利便性を高める

都市施設である。

⑨[一般ドライバー]:片側1車線の

道路ではバスの乗降時の停車に伴

い後続車両が滞留する。急いでいる

人が多い朝の通勤時などには、焦り

を招き、事故などの遠因にも。

⇒5-3 附帯施設

(42p)

⇒5-2 構造

(38p)

⇒5-1 設置

(34p)

⇒5-4 維持管理

(46p)

⇒5-2 構造

(38p)

⇒5-1 配置

(34p)

⇒5-2 構造

(38p)

⑩[自転車]:平成 23 年に警察

庁は自転車の車道走行を明

確化させているが、バス停

が自転車レーン上にある箇

所も多い。バスの停車時に

は自転車は停車義務がある

が、停止時に接近している

場合など、お互いの挙動が

難しい場合も。

⑪[ベンチ]:道路敷地内に設

置するベンチは道路占用許

可が必要で、その際には堅

固な構造が求められる。地

域住民がベンチを無許可で

置いているケースも多く見

受けられる。

⑫[高齢の利用者]:ベンチが

あることは高齢の利用者に

とってはありがたいものと

なるが、⑪のように管理者

がいない場合などは、ベン

チの転倒などによりケガを

した場合の補償問題も。

⑬[男性の利用者]:道路の混

雑時など、利用者にとって

は、バスがこれから来るの

か、あるいは既に行ったあ

となのかが、気になるとこ

ろ。バスロケーションシス

テムなどを要望する声も多

い。

⑭[高齢の利用者]:高齢者に

とっては⑦のバス乗車時の

支障もあるが、降車時も同

様に大きな負担となる。降

車時に大きなケガをしたと

いう報告もある。

⑮[バスドライバー] :後続車

がつながる状況のなかで、

利用者の運賃支払いや乗降

に時間が掛かる場合など

は、バスドライバーにもプ

レッシャーがかかるという

声が多い。

⇒5-3 附帯施設

(42p)

⇒5-4 維持管理

(46p)

⇒6-4 バスロケ

(56p)

⇒5-2 構造

(38p)

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17

3ページ バス停の検討から調整、設置に至るまでのプロセス

ページ画像 解説・補足 参照事項など

・前ページで提示した困難な状況

に対していかに対処すべきなの

かを漫画で表現。

・町内会が自治体に要望を持ちか

けバス停が完成されるまでの過

程を追い、関係者による調整が必

須であることを描いた。

・論拠として管内自治体の協力に

より得られたアンケートやヒア

リングの回答も利用。

[1コマ目]:単に要望すれば設置

してもらえるというものではな

く、地域も含めて皆で協議、調整

をしていくというプロセスが不

可欠であるということを提起。

[2コマ目] :主たる相談先として

道路管理者・交通管理者を挙げる

自治体が多数であった。また、道

路構造・交通安全上の問題で協議

が難航する事例が多いことから、

その回避のためにも両者への相

談を勧奨。

[3コマ目] :個別バラバラの調整

よりも現場で一堂に会した議論

が非常に有用であったとの意見

が相当数寄せられたため、プロセ

スの 1つとして設定。関係者の立

場によって気になるポイントも

様々であり、それらを全て調整す

る困難さがあることも理解する

ことが重要。

[4コマ目] :バス事業者ヒアリン

グでとくに多く声を寄せられた

沿道地権者との調整の難しさを

示した。

[5コマ目] :コマ下部に記載した

とおり協議会での特権は道路運

送法の中だけであり、道路交通

法・道路法等他法令のハードルが

下がるものではないことから、許

認可権者との事前調整等が欠か

せないことを理解する必要があ

る。

[6コマ目] :設置がゴールではな

く、その後もバス停が存続する限

り維持管理のコストが生じるこ

とも意識する必要がある。

⇒2-1(7)バス停設置

までの流れ

(13p)

⇒5-3 附帯施設

(42p)

⇒4-3 法令・基準

(30p)

⇒5-4 維持管理

(46p)

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18

4ページ バス停に関する法令・基準/コラム(難航する例)

ページ画像 解説・補足 参照事項など

・3ページの漫画にて、事前調整の

必要性を示したが、なぜこのよう

な手順を踏むことが必要なのかと

いうと、バス停に関しての法的な

基準などが多数あるためというこ

とになる。

・これらを知らないまま協議をして

も手戻りなどが生じる可能性が高

いため、関係者として知っておく

べき方向性やルールの一例を示し

ている。

・実際には地域よる個別の基準や運

用ルールの違いなどもあるため、

すべてを網羅することはできない

という実態もあり、具体的な適否

については現場ごとに確認する必

要がある。

・主要関係法令の一覧については7

ページにも記載し、バス停に関係

する多数の決まり事があることを

示している。

[コラム]

・バス事業者へのヒアリングで最も

難航する事項としてあげられた地

権者との調整の実態を記載。

・バス停の設置位置がなかなか思い

通りとはならない背景を紹介する

とともに、ともすれば総論賛成各

論反対となりがちなバス停議論の

あり方について警鐘を鳴らした。

⇒4-3 法令・基準

(30p)

⇒5-1 設置

(34p)

⇒5-2 構造

(38p)

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5ページ バス停設置の好事例

ページ画像 解説・補足 参照事項など

①岐阜市:メディアコスモス前

[高規格バス停] :バス運転手が待合

人(旅客)を視認しやすいよう、

進行方向後方へは側壁を設けず整

備し、バス側・利用者側のニーズ

を両立させた事例。MCドゥコー

社による広告入りのバス停で街路

整備も含めて質の高いものとなっ

ている。

②新潟市:秋葉区役所・総合体育館前

[バリアレス縁石] :今後もさらに増

加が予想されるバリアフリーへの

要望に対し、道路形状の変更を伴

う事例として紹介。平成 29 年 3 月

に全国で初めて導入されたもの

で、現在効果検証中である。関係

者間での連携や新技術の導入可能

性なども考えていく必要がある。

③高山市:万人橋東

[医院による待合] :沿道地権者がバ

ス待合所の利便向上に協力した事

例。よりよいバス停整備のために

は運行者側だけではなく、住民・

沿道企業などの歩み寄りも必要で

あることを例示。

④刈谷市:刈谷駅南口

[2市町バスロケ] :関係者の連携の

もと、合同設置を行い利便性向上

と必要スペース削減が図られる一

石二鳥。先駆的情報掲示のあり方

を提示。

⇒5-4 維持管理

(46p)

⇒5-2 構造

(38p)

⇒5-4 住民参画

(46p)

⇒6-4 バスロケ

(56p)

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20

6ページ バス停の新設・改変に伴う付帯事項、コスト負担

ページ画像 解 説 参照事項など

・バス停の新設、移設、改変等に関

しては、本リーフレットで主に扱

ってきた行政的な手続きや事前調

整などに加えて、ハード面、ソフ

ト面など付帯的な事項が多数あ

る。

・たとえ簡易なバス停であっても道

路形状の変更を伴うケースも多い

ことから相当な費用が掛かること

を認識しておく必要がある。

・さらに一見、さほど困難とは思わ

れない名称変更でさえ、膨大な作

業量を伴うことを認識し、慎重な

検討のうえに判断することが重要

となる。

・このようなことで、バス停の新設、

移設、改変等に際しては、それら

の費用を見込んだ前年度中の予算

計上が必要となるケースも多い。

⇒5-2 構造

(38p)

⇒6-1 情報一覧

(51p)

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7ページ バス停車施設に関する法令・基準

ページ画像 解説・補足 参照事項など

・4ページに図示した事項はこの表

中の法令・基準等に基づくものと

なっている。この他にも、県や市

町村が条例を定めていたり、個別

の基準を持っているものもある。

・また、同じく4ページの解説にも

記載しているとおり、地域よる運

用ルールの違いなどもあるため、

具体的な適否については現場ごと

に確認する必要がある。

・許可を取得するための事務処理期

間なども定められている場合が多

いため、バスの運行開始日などが

予め決まっている場合は、それに

先だった申請手続き、許可取得が

必要になる。

⇒4-2 法令一覧

(28p)

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3.バス停車施設の概要 3-1 施設の類型化

バス停車施設の調査を行うに先立ってバス停車施設の類型化を行った。

(1)自動車ターミナル法に基づくバスターミナル

大規模なバスターミナルの多くは、自動車ターミナル法に基づくバスターミナルとなっている。構

造などに関してターミナル法による規定を受けるものとなる。

[表 – 自動車ターミナル法に基づくバスターミナル] 類 位置づけ 事例・イメージ写真

①一般ターミナル

発着料などを収受し営利事業として

ターミナルを運営するもの。全国から

複数のバス会社が乗り入れを行って

いるパターンが多い。

名鉄バスセンター

②専用ターミナル バス事業者が自社路線の発着のため

に設置しているもの。

高山濃飛バスセンター

(2)規模別にみたバス停車施設

(1)に示したターミナル法に基づくバスターミナルも含めて、バス停車施設を規模やタイプ別に

分類すると、概ね次のような位置づけとなる。なお、この区分は本調査における便宜上のものであ

り、公的な定義などに基づくものではない。

[表 – 規模別にみたバス停車施設の種類(その1)] 種類・規模 位置づけ 事例・イメージ写真

①都市圏中心の ターミナルなど

都市圏中心の駅前のバスターミナルな

ど概ね 6~7 バース以上の乗降場を備

え、情報案内や旅客用施設なども整っ

たもの。

浜松駅

②特急停車駅の 駅前広場など

特急停車駅の駅前広場など概ね 3~5

バース程度の乗降場があり、バス停車

施設としての機能が集約されたもの。

東岡崎駅

Page 25: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

23

[表 – 規模別にみたバス停車施設の種類(その2)] 種類・規模 位置づけ 事例・イメージ写真

③小規模な 駅前広場など

一般的な駅の駅前広場など 1~2 バー

スの乗降場を備えたもの。

東浦町・東浦駅

④結節・連絡機能 があるバス停

病院、市町村役場前、スーパーなど敷

地内にバス路線を引き込み、建物施設

内で待合いや、バス同士の乗継ぎがで

きるようにするなど、結節性、連絡性

などを向上させているもの。

日進市役所

⑤目的施設や団地中心 などのバス停

市街地内の主要施設や公営団地の中心

部などで比較的利用者が多く、⑥の一

般的なバス停よりは機能を向上させて

いるもの。

岐阜市・メディアコスモス前

⑥居住地側の 地先のバス停

居住地エリアなどにある一般的なバス

停。中山間地域などでは道路の片側(市

街地に向かう方向)にしかバス停が設

置されない場合もある。

新城市・岡

※高速バス停については本調査では扱っていない

(3)本調査で主に扱っているバス停車施設

本調査は主として市町村が運営するコミュニティバスを想定したものであるため、大規模な施設は

扱っておらず、以降は主として(2)の②もしくは③以下のものを扱っていく。

Page 26: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

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3-2 施設の構成要素と附帯施設

バス停車施設は、個別の状況により内容は大きく異なるが、3-1(2)⑤⑥に掲げたような一般的なバ

ス停については、概ね以下のような施設によって構成されている。ここではその枠組みを示したうえ

で、詳細については後段のパートで具体的に述べる。

[図 – バス停車施設の構成要素]

主としてバス運行に関するもの

主として道路構造に関するもの 車道部

歩道部

バス停本体

附帯施設

バスベイ

路面標示

マウントアップ

ガードパイプ

待合い環境向上

情報提供

上屋

風除け・囲い

ベンチ

バス停名称表示

支柱・台座

時刻表

路線図・系統表示

運賃表示

その他の付加情報バスロケーションシステムなど

2

3

4

5

6

7

8

5

5

9

9

23

4

5

6

7

89

Page 27: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

25

3-3 バス停車施設の関係者と立場・役割

バス停車施設の関係者とその立場や役割を以下に記した。ここでは市町村が運営に関与するコミュ

ニティバスを想定している。

[表 – バス停車施設の関係者と立場・役割]

関係者 具体的な 部署など

立場・役割

①地域公共交通協議会 (各委員) -

・地域のインフラとしての公共交通のあり方を

協議し、「地域公共交通網形成計画」「地域公共

交通再編実施計画」を作成。具体的な路線の運

行内容などを位置づける。

・以下②~⑦は協議会のメンバーとしても参画。

②地域公共交通協議会 事務局担当者

市町村役場の

企画、総務、都市部門

など

・計画内容に基づき、以下の関係者等と詳細事項

の検討や個別の調整などを行う。

・実務的に中心的な役割を担う。

・バス停の設置や管理、時刻表の管理などを行う

場合もある。

③バス事業者 (管理側) -

・行政の施策にあわせてバスの運行計画を立て、

許認可申請を行い、運行させる。

・バス停の設置や管理、情報案内なども含めて一

元的に行う場合が多い。

④バス事業者 (ドライバー) -

・実際に現場でのバス運行を担う。

・バス停の停めやすさ、乗降の状況、利用者の声、

支障事項などを最もよく把握している。

⑤道路管理者

国道:国道事務所

県道:

県の土木事務所など

市町村道:

市町村の建設課など

・道路構造の保全・管理を行う行政機関で、バス

停の設置に関しての「道路占用許可」を取り扱

う。

・上記の観点からバス停の設置に関しての意見

を提示したり制限をかける。

⑥交通管理者 (公安委員会)

各所轄警察署の交通課

・交通安全、道路交通の円滑性の確保についての

管理を行う行政機関で、バス停の設置に関して

の「道路使用許可」を取り扱う。

・上記の観点からバス停の設置に関しての意見

を提示したり制限をかける。

⑦地域住民 (町内会長・地区総代)

・⑧の地域住民の代表として、意見要望などをと

りまとめて協議会に提示。

・地域住民との調整役などを務める。

⑧地域住民 (一般)

・バス停を日常的に利用しており、利便性の向上

を求めている。バス停の新設・移設や附帯施設

の追加などの要望をあげる。

・逆に迷惑施設としての撤去や移設などを求め

てくる場合もある。

⑨一般のドライバー -

・自家用車やトラックなど、道路を走行している

バス以外の車両のドライバー。

・バスを利用する機会は少なく、バスの停車など

に対して苛立ちを覚える場合も。

Page 28: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

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4.バス停車施設に関する法令・基準の整理 4-1 バス停車施設に関する法令・基準の枠組み

(1)法令の分野と位置づけ

バス停車施設に関する法令は、概ね下表のような体系に分けられる。

[表 – バス停車施設に法令・基準の枠組み(その1)]

分野(その1)

道路の構造基準 道路への施設設置(占用) 交通規制・道路使用

法令等 道路法

道路構造令 等

道路法

道路法施行令 等

道路交通法

道路交通法施行規則 等

所管官庁 国土交通省(道路局) 国土交通省(道路局) 国家公安委員会(警察庁)

法令のねらい 道路網の整備、構造、保全、維持、費用負担などを定め

交通の発達に寄与

道路における危険の防止

交通の安全と円滑、障害の

防止

バス停車施設に

関する規定事項

バス停設置後の歩道幅員

建築限界の基準など

道路敷地内への施設設置

の妥当性、安全性の確認、

占用料金の設定など

バスの発進時の保護

駐停車箇所の規制

道路使用の妥当性など

実務上の

許認可窓口

当該道路の道路管理者

⇒国道事務所、各県の建設事務所、市町村の建設課 所轄の警察署

[表 – バス停車施設に法令・基準の枠組み(その2)]

分野(その2)

旅客運送事業 ターミナル関連 移動の円滑化 景観関連

法令等 道路運送法 等 自動車

ターミナル法 等

バリアフリー法 (高齢者,障害者等の移動等の

円滑化の促進に関する法律)

移動円滑化基準 等

景観法

屋外広告物法 等

所管官庁 国土交通省

(自動車局)

国土交通省 (総合政策局

・自動車局)

国土交通省 (道路局・都市局

・住宅局)

国土交通省

(都市局)

法令のねらい

道路運送事業の適

正・合理的な運営、

利用者の利益保護

運送事業者及び利用

者の利便の増進と運

送事業の発達

高齢者、障害者等が

公共交通機関等を利

便性高く、安全に利

良好な景観の形成、

風致の維持、危険防

バス停車施設に

関する規定事項

路線バス事業の許

認可

変更、休止、廃止の

手続き、バス停への

掲示義務

設置位置、耐荷重、車

路幅、必要となる付

帯設備の種類・構造

通路幅員、車道から

の歩道高さ、舗装素

材、勾配など

バス停標識、上屋等

の色彩・素材基準、広

告掲出基準

実務上の

許認可窓口 国土交通省本省、地方運輸局、運輸支局

各県、市の

福祉担当課

各県、市の

都市・建設担当課

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(2)本調査における法令等の扱いについて

バス停車施設に関する法令は(1)に示したように多岐に亘る上、細則に関して県や市町村ごとに

条例で定めている場合なども多い。また、同一の法令であっても、地域や現場の状況によって一律の

運用が難しく、解釈が分かれるものが多いということも調査のなかで把握されており、法令に関して

すべてを網羅することは非常に難しい。したがって本報告書では次のような扱いとした。

①国の法令・基準

バス停車施設に関連する法令・基準について列挙したうえ、主要なものについてはイラストなどを

用いて 4-3 において解説した。なお、バス停車施設に関する法令のなかでも、自動車ターミナル法に

ついては、3-1(3)に示した通り、本調査の対象外としているため、内容については取り扱っていな

い。道路運送法に基づく「自動車道事業(有料道路)」のバス停車施設についても対象外としてい

る。

バス停車施設に関する規制等は、通達によって運用されているものも多く、すべては把握しきれな

いが、市町村の協議会等での検討において必要度の高いものについてのみ掲載した。

②県の条例

中部運輸局管内5県における分野ごとの条例・規則等の種類のみを記載した。詳細の内容について

は扱っていないが、いずれも当該分野における国の法令に準じたものとなっているため、4-3 に記し

た内容を踏まえれば、大きな逸脱はない。

なお、記載した各分野の条例等については、バス停車施設を具体的に明示した条項がないものもあ

るが、間接的に関連してくる場合などもあるため、当該分野のものは列記している。

③市町村の条例

本調査では取り扱っていない。

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28

4-2 法令・基準の一覧

4-1(2)で位置づけた法令の一覧を下表に示した。

[表 – バス停車施設に関する法令・基準一覧(その1)]

分野(その1)

道路の構造基準 道路への施設設置

(占用許可) 旅客運送事業

国の法令 ・基準

法令 ・道路法 ・道路法 ・道路運送法

政令 ・道路構造令 ・道路法施行令 ・道路運送法施行令

省令

- ・道路法施行規則 ・移動等円滑化のために必要な道路の占用に関する基準を定める省令

・道路運送法施行規則 ・旅客自動車運送事業運輸規則

・道路管理者の意見聴取に関する省令

県の条例 ・基準

福井県 ・福井県道路の構造の技術的基準等に関する条例

・福井県道路占用規則 ・福井県道路占用料徴収条例

岐阜県

・岐阜県県道の構造の技術的基準を定める条例

・岐阜県道路設計要領 ・岐阜県道路法施行細則 -

静岡県

・静岡県が管理する県道の構造の技術的基準等を定める条例

・静岡県が管理する県道の構造の技術的基準を定める規則

・道路法施行細則 -

愛知県 ・道路構造の技術的基準を定める条例

・道路構造の手引き ・愛知県道路管理規則 ・愛知県道路占用料条例 -

三重県 ・三重県が管理する県道の整備に関する条例

・三重県道路占用等に関する規則 -

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29

[表 – バス停車施設に関する法令・基準一覧(その2)]

分野(その2)

交通規制・道路使用 移動の円滑化 景観関連

国の法令 ・基準

法令

・道路交通法 ・高齢者、障害者等の移動

等の円滑化の促進に関

する法律 (バリアフリー法)

・景観法 ・屋外広告物法

政令 ・道路交通法施行令 ・景観法施行令

省令

・道路交通法施行規則 ・移動等円滑化のために

必要な道路の構造に関

する基準を定める省令 ・移動等円滑化のために

必要な旅客施設又は車

両等の構造及び設備に

関する基準を定める省

・景観法施行規則 ・屋外広告物法施行規則

県の条例 ・基準

福井県

・福井県道路交通法施行細則

・福井県福祉のまちづくり条例

・福井県福祉のまちづくり条例施行規則

・福井県屋外広告物条例 ・福井県屋外広告物条例施行規則

岐阜県

・路線バス停留所の設置基準

(岐阜県警本部)

・岐阜県福祉のまちづくり条例

・岐阜県福祉のまちづくり条例施行規則

・移動等円滑化のために必要な県道の構造に関する基準を定める条例

・岐阜県景観基本条例 ・岐阜県屋外広告物条例 ・岐阜県屋外広告物条例施行規則

静岡県 -

・静岡県福祉のまちづくり条例

・静岡県移動等円滑化のために必要な県道の構造に関する基準を定める規則

・新静岡県景観形成ガイドプラン

・景観法に規定する景観整備機構の指定等に関する規則

・静岡県屋外広告物条例 ・静岡県屋外広告物条例施行規則

愛知県 -

・人にやさしい街づくりの推進に関する条例

・移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める条例

・移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める条例施行規則

・美しい愛知づくり条例 ・愛知県屋外広告物条例 ・愛知県屋外広告物条例施行規則

三重県 -

・三重県ユニバーサルデザインのまちづくり推進条例

・三重県景観まちづくり条例

・三重県景観規則 ・三重県屋外広告物条例 ・三重県屋外広告物施行規則

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4-3 法令・基準の主なポイント

(1)道路の構造基準

[表 – 道路の構造基準に関する法令・基準の主なポイント]

法令・基準の 主なポイント

・道路の構造は、交通状況を考慮して安全かつ円滑な交通を確保できるものでな

ければならない。

・安全かつ円滑な通行を妨げないために必要な場合は停車帯を設ける。

・安全かつ円滑な交通を確保し、公衆の利便のために必要な場合は、乗合自動車

停車所を設ける。

・歩道の幅員、建築限界の基準が示されており、道路占用時にもそれを満たした

ものとする必要がある。

・バス停留所等歩行者の滞留がある場合には、滞留用のスペースを確保する。

具体的な基準

[停車帯:構造令第 9条の 2]

・停車帯の幅員は 2.5m。大型車交通量が少ない場合には 1.5m。

[歩道幅員:構造令第 11 条第 3項ほか]

・幅員 2m以上、歩行者の交通量が多い場合は 3.5m以上を確保。

・自転車歩行者道の場合は、上記の基準をそれぞれ 3m、4m 以上と読み替える。

・ベンチを設ける場合は 1mを、上屋を設ける場合は 2mを加算。

[建築限界:構造令第 12 条]

・自転車歩行者道および歩道の建築限界は 2.5m。

実務上の留意点など

・構造基準を満たしていたとしても、交通の流れの速い道路など、安全かつ円滑

な交通を確保することが難しいという判断がなされれば、設置は認められない。

・他に適切な箇所がなく、やむを得ない場合に緩和されるケースもあるが、原則

としては規定に沿った適地の選定が求められる。

・道路管理者には図面、写真等で提示したうえで、必要に応じて現地確認を行い、

うことが望ましい。

[図 - バス停の構造基準と占用]

原則としてバス停は道路の敷地外に設置

幅員2.0m以上歩行者多ければ3.5m以上

高さ2.5m以上

幅員2.5m以上上屋の分は2.0m加算

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(2)道路占用関連

[表 – 道路占用に関する法令・基準の主なポイント]

法令・基準の 主なポイント

・道路敷地内にバス停などの施設を設置する場合は「道路占用」となり、道路管理

者への申請・許可が必要。

・道路占用は道路外の敷地に余地がなくやむを得ない場合で、道路法施行令の基

準に合致している場合に限り認められる。

・道路占用を行う場合には所定の「占用料」が発生する。

・バス停の設置は道路交通法に定める「道路使用」とも重複するため、交通管理者

との協議、許可も必要。

具体的な基準

[場所の基準:施行令第 10 条第 1項]

・上屋がある場合に建築限界を侵さない。

・道路の構造・交通に支障を及ぼすおそれのない場合を除き、交差点、カーブには

設置できない。

[構造の基準:施行令第 12 条第 1項]

・倒壊、落下等によって、道路の構造・交通に支障を及ぼすことがない。

[占用料:法第 39 条および別表]

・土地の価値により占用料は 450 円~1,900 円/年。バス停の占用料については、

旧建設省通達が出されており 50%の減免措置がある。

実務上の留意点など

・構造として堅固なものが必要で、容易に移動などができないよう土地に固着さ

せることを求められる場合もある。

・占用の許可条件を満たさなければ、原則として設置は認められない。

・他に適切な箇所がなく、やむを得ない場合に緩和されるケースもあるが、原則

としては規定に沿った適地の選定が求められる。

・道路管理者には図面、写真等で提示したうえで、必要に応じて現地確認を行い、

うことが望ましい。

・期間満了時の更新時には更新手続きが、占用の廃止時には、原状回復が必要。

(3)道路運送法・旅客運送事業関連

[表 – 道路運送法・旅客運送事業に関する法令・基準の主なポイント]

法令・基準の 主なポイント

・バス停の新設・変更・休止・廃止には所定の手続きが必要

・バス停には記載しなければならない事項が定められている

・バス停の設置に関しては道路管理者への意見聴取が必要

具体的な基準

[新設・廃止:施行規則第 4条]

・名称・位置と路線図を提出して認可を受ける

[名称変更・移設:法第 15 条の 3第 3項]

・許可申請は不要だが遅滞ない届出が必要

[運行情報等の掲示:運輸規則第 5条]

・事業者及び当該停留所の名称

・当該停留所に係る運行系統

・系統ごとの発車時刻

[変更の予告:運輸規則第 6条]

・掲示事項に変更がある場合は7日前までに掲示

実務上の留意点 ・道路管理者への意見聴取は、道路占用等の事前段階で内諾がとれていて、許可

申請時に改めて既知の書類が回るという流れが一般的である。

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(4)道路交通法関連[交通規制・道路使用]

[表 – 道路交通法に関する法令・基準の主なポイント]

法令・基準の 主なポイント

・バス停の設置は、道路交通法に定める「道路使用」に該当し、交通管理者(警

察署)への申請・許可が必要。

・道路占用に該当する場合には、警察署長は予め道路管理者との協議を行う。

・道路交通法には、バス停の設置場所自体を規制する条文は原則としてはない

が、バスの停車によって、一般車両の停止を誘発し、道路交通の安全性の低下

を招くため、駐停車禁止場所などにはバス停を設置することを制限する運用が

行われている場合が多い。

具体的な基準

岐阜県警による運用の例

[交差点関連]

・2車線以上ある交差点については右折前ではなく、右折後にバス停を設ける。

その場合、交差点からは 30m以上離れていること

・横断歩道がある場合は横断歩道の手前から 30m以上離れていること

・横断歩道がない場合は外側支端から 10m以上離れていること

[横断歩道・踏切・橋梁]

・前後 30m以上離れていること

[坂道・カーブ]

・カーブでは視距離 150m以上あること

・坂の頂上付近の場合は、3車線以上あって、停車帯が設けられること

[路面電車関連]

・電停から 30m以上離れていること

・安全地帯の側端から 20m以上離れていること

実務上の留意点 ・実務上の道路使用許可申請は、道路管理者への道路占用許可申請と一体的に行

われ、道路管理者から交通管理者へ書類が渡って完了するという形態が多い。

[図 - バス停の設置が認められない箇所の例(岐阜県警)]

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(5)バリアフリー法関連

[表 – バリアフリー法に関する法令・基準の主なポイント]

法令・基準の 主なポイント

・高齢者や障害者が支障なく公共交通機関等を利用できるよう公共交通事業者、

道路管理者、その他の施設管理者は、政令や条例で定められた施設を「移動等

円滑化基準」に適合させなければならない。

特定道路について

・多数の高齢者や障害者が徒歩で通行するために移動等円滑化が特に必要であると

政令や条例定められた道路(=特定道路)は、基準に適合させる必要がある。

・特定道路の新設・改良時には基準に適合させなければならない。既存道路等に

ついても基準に適合させるよう努めなければならない。

・特定道路内における歩道およびバス停については基準への適合が必要となる。

旅客施設について

・公共交通事業者等は、旅客施設の新設、大規模な改修、車両の新規導入にあた

って、基準に適合させなければならない。

・バスターミナルの新設、改良、バス車両の購入がこれに該当し、基準への適合

が必要となる。

具体的な基準

[バス停留所における歩道の幅員:道路構造に関する省令第 18 条]

・車道に対する歩道部分の高さは 15cm を標準とする。

[歩道の幅員:同省令第 4条]

・道路構造令で規定する「交通量が多い場合」の基準値以上とする。⇒(1)参照

・占用物件を設けるときは、設置後の有効幅員が上記の基準値以上となるようす

る。やむを得ない場合 1.5mまで縮小可能[同省令第一号]

[歩道の舗装:同省令第 5条]

・雨水を地下に浸透させ、平坦で滑りにくくする。

[歩道の勾配:同省令第 6条]

・縦断勾配 5パーセント以下、横断勾配 1パーセント以下とする。

[歩道の縁石の設置:同省令第 7条]

・車道に対する高さ 15cm とする。

実務上の留意点 ・近年の道路整備では、歩道をマウントアップせずに縁石だけ設けるパターンが

多くなってきており、移動円滑化基準へ対応させるためには、バス停の整備に

際してハード的な改修を伴うケースが多くなってくることが見込まれる。

※移動円滑化基準のうち、旅客施設に関する省令は、主としてターミナルが想定されているため、本調査では具体的

基準については扱っていない。なお、バス停に関する移動円滑化基準は「道路構造に関する省令」に区分されてい

る。

[図 - バス停部分の移動円滑化基準]

出典:道路の移動円滑化整備ガイドライン(国土交通省;平成 25 年)

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5.バス停車施設の現状と課題 協議会アンケート、モデル自治体ヒアリング、現地取材の結果を踏まえて、各地の現状と課題など

を項目別に整理した。

5-1 バス停車施設の配置・設置・名称設定

(1)管内自治体における実態

①バス停車施設の施設数と新設状況

コミュニティバス、一般の路線バスへの補助による運行維持を含め、協議会が関与しているバス停

車施設が 100 箇所以上あるという自治体が半数以上、200 箇所以上あるという自治体も 1/4 以上あ

り、協議会が関与するボリュームが非常に大きくなってきていることがわかる。

また、66%の自治体が過去5年以内の協議会のなかで、バス停車施設の設置等に関する協議を行っ

たと回答しており、実際に5年以内にバス停車施設の新設を行ったのは 17%、移設を行ったのは

51%いう自治体も同じく 66%となっている。

[図 -協議会・自治体が関与しているバス停車施設の施設数] [図 -過去5年以内のバス停車施設の改善内容(内訳)]

②バス停車施設設置の際の基準や考慮事項

地区等からの設置要望を受けての設置というものが 84%最も多く、内部基準による設置の判断を行

っているという回答も 32%あった。具体的な内部基準としては、一定の重要、地域全体への公平性、

隣接するバス停との間隔というものが挙げられている。

[図 - バス停設置の際の基準や考慮事項]

50箇所未満

23.3%

50~99箇所

24.7%100~199箇所

26.0%

200~399箇所19.9%

400箇所以上

6.2%

N=146

32.3

84.4

4.2

9.4

8.3

13.5

6.3

3.1

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

設置箇所の選定に係る内部基準

地区・住民・施設からの設置要望等

ユニバーサルデザイン

乗降人数見込み等に応じた

附帯設備の導入

待ち時間を快適に過ごせること

地域づくりとの関連性

地元の人が維持管理すること

その他

配置

ハー

ドソ

フト

維持

管理

(%)

N=96

79.3

75.0

25.0

27.2

21.7

3.3

10.9

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

位置の変更

名称の変更

バス停本体の更新

附帯施設の追加・新設

情報案内の改善

交通流の改善

その他

(%)

N=92

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③バス停車施設の設置における難航・手戻り

26%の自治体において、設置の手続きにあたり、地権者や道路管理者・交通管理者との協議が難航

したり、手戻りが生じた経験があると回答している。具体的な内容で最も多いのが地権者との調整が

つかないというもので、自宅の前などにバス停を設置されるということに難色を示すという例が多く

みられた。

[図 - バス停車施設の設置における難航・手戻りの有無]

④関係者による現地調整

関係者(自治体、バス事業者、道路管理者、交通管理者、地域代表)が現場に一堂に会しての現地

確認を行っていると回答した自治体は 23%で、少数にとどまっていることがわかる。しかし、関係者

による現地確認を行っている自治体は、この手続きにより、設置が円滑に行われているということを

回答しており、非常に重要なプロセスであることがわかる。

[図 - 関係者が一堂に会した現地確認の有無]

ある

25自治体

26.0%

ない

62自治体

64.6%

無回答

9自治体9.4%

N=96

ある

22自治体22.9%

ない

63自治体65.6%

無回答

11自治体11.5%

N=96

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(2)実務上の課題や留意点

調査結果などを踏まえて、バス停の配置・設置・名称設定に関する課題や留意点を以下に整理し

た。

①設置に関する協議と承認

・地区からの要望を受けて検討、設置に至る場合が多いが、明瞭な判断基準を持っているという

自治体は少ない。

・地域への配置のバランスや、バス停間隔として 500m程度とするなど、いずれにしても何らか

の基準に沿った判断はなされているため、その基準が明文化されることが望ましい。

・バス停を一箇所設置するにも、路線図や時刻表、運賃表など、影響は広範囲に及び、労力や費

用も相応に掛かるため、慎重な検討が必要であるという回答もヒアリングでは得られている。

②設置箇所の調整・手続き

1)地権者との対応

・地区からの要望を受けて協議会での承認がとれても、詳細な位置の選定に関して難航する場合

が非常に多く、とくにバス停の正面にあたる地権者が反対するパターンが多くみられる。

・これは民地内にバス停を置くという場合に限らず、自宅の正面の道路にバス停が置かれるとい

うこと自体にも抵抗が大きいケースが多い。

・昨今は、既設のバス停について、自宅前はゴミが散らかったり、たむろされる、家が覗かれて

いるようで嫌なのでどけてほしいというような移設の要望が増えてきているとの回答もヒアリ

ング調査では多くあげられた。

・とくに民地にバス停を設置する場合には、口頭での依頼だけでは難しい場合も多く、書面での

取り交わしや、賃料の支払い、安全面への配慮などを行ったうえで合意に至った事例も多くみ

られた。

・地区の自治会などを通した事前の合意形成や、民地を利用させてもらう際の段階的な条件設定

などが求められるといえる。

2)道路管理者・交通管理者への対応

・地域での合意が整った設置地点であっても、道路管理者、交通管理者からの許可が下りないと

設置ができないため、ここで難航するというケースも多くみられた。

・交通管理者による交通の流れと安全性に対する指導が強い場合が多く、交通管理者への相談に

重きを置くという回答もヒアリングからは得られている。

・やむを得ない場合における緩和措置については、道路管理者側ではある程度対応しているとい

うヒアリングでの回答は得られているが、自治体側はそのような適用をあまり受けていないと

いう感触をもっている。

・関係者が一堂に会して、現地での協議を行うことにより円滑に運んだという事例も多くあり、

このプロセスが非常に重要であるといえる。

③名称設定

・バス停を設置させてもらう賃料の代わりに、企業名や施設名をバス停名称に冠するという事例

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もみられたが、全体的にはネーミングライツ的な仕組みは避けている場合が多い。

・これは施設の移転などにより、名称の再変更を余儀なくされるというもので、施設名などを付

ける場合でも、地名などを正式名称としたうえで、その下にサブ名称のようなかたちで添える

ことのほうが効果的だという手法もヒアリング調査の回答で得られている。

・ただし、名称設定はマイバス意識の向上にも大きく寄与するものでもあり、効果的に用いるこ

とが重要といえる。

④複数路線への対応

・コミュニティバスにおいては、既存の幹線的な路線バスに接続させたり、隣接市町村に乗り入

れたりするため、自ずと1つのバス停に複数のバス停標識(看板)が並ぶというケースが多

い。

・複数の種類のバスが運行していることが明瞭というメリットもある反面、歩道幅員を圧迫した

り、美観を損ねるというデメリットもある。

・1つのバス停を複数の市町村のバスが共用している例などもあり、時刻表データの一元化など

により、効率化が図れるケースも多いものと考えられる。

[写真 - 同一のバス停に複数の路線が乗り入れる例]

[写真 - 同一のバス停を2市町で共有している例(刈谷駅南口/刈谷市・東浦町コミバス)]

一定時間ごとに表示内容を切り替え

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5-2 バス停車施設の構造

(1)道路側の構造

①車道部(バスベイ)の構造

基本形としては 3-2 に示した構造となっており、寸法についても 4-3(1)の道路構造令によるものが

基準となる。

また、4-3(5)では移動円滑化基準の省令を示しているが、バス停の車道部の構造に関して定めてい

るものはない。ただし、省令から派生してリリースされている手引き書「道路の移動円滑化基準ガイ

ドライン(H25 国土交通省)」には、バスベイの形態についての記載があるため、ここではその要点を

掲載する。

・高齢者や障害者のバスの円滑な乗降のためには、歩道に対してバスが正着(平行にぴったりと寄せ

て停車)することが重要であり、そのための配慮や工夫が必要。

・バスベイではなく路側に寄せるかたちの通常のバス停の場合は、路上駐車があると寄せにくくなる

ほか、一般的なバスベイ(3-2 に示した台形のもの)も、形状によっては車両の正着が難しい。

・このため、歩道を車道側にせり出させたテラス型や、中央分離帯のようにバスベイを設ける島式、

一般的な台形のバスベイを三角形にする新型バスベイもメリットがある。

・いずれの形態もメリットデメリットがあるため、沿道や交通状況にあわせて配慮する必要がある。

一般のバスベイ[台形] ストレート型[バスベイなし] テラス式

島式 新型バスベイ[三角形]

[図 - バス停の形状による特性]

資料:道路の移動円滑化基準ガイドライン(H25 国土交通省)

形状によっては正着しづらい 路上駐車があると正着しづらい 正着しやすく歩道も広がるが 車線が狭まり交通容量が減る

正着しやすいが車両後部が車線に はみ出したり出発がしづらい

駐車車両の影響は受けないが横断しないと辿り着けない

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②歩道部の構造

歩道部についても、車道部と同様、基本形としては 3-2 に示した構造となっており、寸法について

も 4-3(1)の道路構造令によるものが基準となる。また、移動円滑化基準に適合させる必要がある場合

には、4-3(5)に示した 15cm のマウントアップが必要となる。

この他に、歩道の形態に関しては、新潟市で試験的に運用が始まっている「バリアレス縁石」が昨

今取り上げられることが多い。移動円滑化基準より 5cm 高い 20cm となっており、ほぼ段差なく乗降

が可能となっている。また、縁石の側面が斜めになっているうえに、路面に凹凸の刻みが入ってお

り、ドライバーの感覚として車両がどこまで寄ったかがわかるようになっており、車両が正着させや

すくなっている。

[図 – バリアレス縁石の事例(新潟市)]

出典:新潟市役所ホームページ

整備前 整備後

歩道部

車道部 (凹凸で寄せる 位置がわかる)

(20cm アップ・ 滑りにくい加工あり)

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(2)バス停本体の構造

支柱にバス停名称の看板や時刻表掲示パネルが付けられたいわゆる「バス停本体」をこの項で扱

い、上屋やベンチなど含めたその他の施設を「バス停車施設の附帯施設」と位置づけて、次節 5-3 で

扱うものとした。

①バス停の種類

今回調査した管内の自治体のなかで設置されていた主なバス停本体の形態を下表に整理した。

[表 – バス停の種類]

名称 通称「だるま型」 通称「鉄製式」 通称「しらゆり型」

写真・

イメージ

特性など

単管支柱1本のバス停/最

も汎用的で費用も安価/時

刻表パネルを別途制作する

必要あり

単管を曲げて楕円状にした

もの(台座から2本の支柱を立て

たものも)/中央に面が作れる

ため時刻表が掲出しやすい

バス停全体を掲示面として

いるもの/掲示面積は大き

いが費用が高い/風の影響

も受けやすい

名称 通称「箱形・あんどん型」 上屋一体型 液晶情報板一体型

写真・

イメージ

特性など

内照式のときに用いられる

/電力供給が必要でバスロ

ケなどがある場合は一石二

鳥/掲示面積は大きいが費

用が高い

5-4(4)で掲げている広告入

りバス停はバス停名称を上

屋と一体的に掲示しており、

いわゆる「バス停本体」は設

けられないものが多い

都市部のバス停ではバスロ

ケなどを含んだ各種情報を

可変の液晶パネルに表示さ

せ、それを一体的にバス停本

体としているものがある

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②管内自治体におけるバス停本体の設置に関する状況

アンケート結果によれば、バス停本体1基あたりの設置費用として「3~9万円台」という回答が

38%と最も多くなっており、次いで「3~4万円台」が 30%となっている。5-1 に示した通り、「100

箇所以上」のバス停に関与している自治体が半数を超えるなかでは、バス停の整備に掛かる費用も相

当なものになっていきていることがうかがえる。

また、道路占用の手続きにおいて、風の強い地域ではコンクリートの台座を通常のものより重くし

たり、歩道への埋め込み施工(下写真)が条件になる場合などもあるという回答が得られており、費

用がさらに嵩むケースなども見受けられた。

[図 - バス停本体の設置費用] [図 -支柱の歩道への埋め込み施工]

(3)バス停車施設の構造に関する実務上の課題や留意点

・自治体が関与するコミュニティバス等の規模が大きくなってきているなかで、バス停の施設数

も増加傾向にあり、そのすべてに関して所定の構造要件を満たした施設を整備することの負担

は大きいといえる。

・高齢化が進行するなかで、乗降のしやすさに関する重要度が増しており、具体的事項として歩

道のマウントアップやバス停への正着などが求められている。

・一方、バスベイを設置することによって、逆に正着が難しくなる例についてもヒアリングのな

かで現場ドライバーからも指摘されている。また、交通量が多くなることで、発車に手間どる

などのデメリットも指摘されている。

・構造要件については、風や積雪の状況などによって異なってくるため留意する必要がある。

・バス停施設のうち、必須施設となるバス停本体については、すべてのバス停について同じ仕様

で整備される場合が多いため、どのタイプのバス停を標準とするかによって全体の費用に大き

く影響するものとなる。

・コミュニティバスでは支柱1本の通称「ダルマ型」と呼ばれるものが採択されるケースが多い

ものの、掲示パネルの面積が小さく、必要最低限の情報を掲載するだけで版面がぎっしり埋ま

ってしまい文字が小さくなるという意見もあり、掲載すべき情報が多い路線などに関しては十

分に検討して標準形を決める必要もある。

1万円

未満10.0%

1万円~

2万円台15.8%

3万円~

4万円台30.0%

5万円~

9万円台37.5%

10万円以上6.7%

N=120

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42

5-3 バス停車施設の附帯施設

バス停車施設の附帯施設の種類、役割等を下表及び下図に整理するとともに、調査結果から得られ

た現状と課題などを整理した。なお、附帯施設のうち、情報系施設については、この項でも一覧のな

かでも扱っているものの、今後のバス運営に際してさらに重要な施設となってくるため、最新の動向

などを踏まえて6章に別途整理した。

(1)附帯施設の種類と概要

[表 – 附帯施設の種類と概要(その1)]

種 別 イメージ・写真 説明・補足

上屋

・雨風や強い日射を避けるための基本的な

附帯施設といえる。 ・市街地内や乗降の多い住宅地のバス停を

中心に整備されており、コミュニティバ

ス路線に関しては設置が少ないのが現状

である。

ベンチ

・ベンチは、バス停の附帯施設としては安

価であり、利用者ニーズも高いため、最

も設置される数が多い附帯施設である。 ・上屋のある箇所には概ね設置されてお

り、上屋がなくてベンチだけというもの

も多い。

待合い(小屋)

・本調査では建物型になっているもの、あ

るいは上屋に側壁がついており囲われて

いるものを「バス待合い」と位置づけ

る。 ・中山間地域には間伐材などで整備された

バス待合いが比較的多くみられる。

照明設備

・照明設備は電力供給が必要となるため、

上屋や待合いの内部に設置される箇所は

多くはない。 ・バス停本体が内照式の場合に付加的に整

備されているものが多い。

時計

・旅客施設には必須的な設備ではあるが、

一般のバス待合いなどに壁掛け時計が設

置されているケースは稀である。 ・設置されているものの多くは都市部のバ

スロケーションシステムに組み込まれた

時刻表示というものが多い。

Page 45: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

43

[表 – 附帯施設の種類と概要(その2)]

種 別 イメージ・写真 説明・補足

灰皿

・都市部では屋外禁煙を条例で定めるとこ

ろも増えてきており、バス停の附帯施設

としての灰皿の設置は非常に少なくなっ

てきている。

自動販売機

・ターミナルでは必須の設備であるが、一

般のバス停に関して附帯施設として設置

されているものは、ほぼない。 ・しかし、実際にバス停の脇の自動販売機

は多くみられ、自動販売機設置事業者が

バス利用者を見込んで地権者と交渉の上

に設置しているものなどが多い。

ゴミ箱

・上記の自動販売機とセットで置かれてい

るものが多く、これもバスの附帯施設と

しての設置されているものはほとんどな

い。

公衆電話

・バス停に隣接して公衆電話が設置されて

いるという例がかつては多くみられたが

昨今はその多くが撤去されている。 ・ただし現在でも、市街地だけでなく、地

先のバス停にも一部残されている。

コインロッカー

・ターミナルや駅前広場に一部整備がある

程度で、一般のバス停への設置はない。 ・昨今は外国人旅行者などにニーズの高い

施設となっている。 ・電気設備は不要だが、一般に上屋は必

要。管理者も必要となる。

トイレ

・ターミナルや駅前広場以外にはほとんど

整備されておらず、乗換拠点となる市役

所支所などの敷地内に一部設置がみられ

る程度。 ・水道、電気設備に加え、多頻度の清掃管

理が必要となるため、一般のバス停の附

帯施設としては導入されづらい。

情報案内・

情報掲示

・利用者への情報提供は基本的な時刻表か

ら高度な情報通信を活用したものまで多

岐に亘る。 ・本調査においては、6章において一括的

に整理を行っている。

Page 46: 適切なバス停車施設のあり方に関する調査 - mlit.go.jp...2 1-2 調査のフロー 本調査は以下の手順で実施した。 [図 – 調査の流れ] (1)アンケート調査の実施

44

(2)管内自治体における附帯施設の整備状況

アンケート調査結果では、主な附帯施設のうち、最も導入が多いのはベンチで 47%、次いで上屋が

45%となっている。いずれも施設のグレードに応じて整備するケースが多いが、上屋に関しては

3%、ベンチに関しては 2%が標準仕様で導入しているという回答となっている。

[図 – 附帯施設の設置状況]

(3)待合い施設の動向など

昨今は、バスの待合い環境を向上させるための取り組みが各地で行われており、スーパー店内のカ

フェスペースや市役所庁舎など、ガラス張りの施設内で腰掛けて待ちながら、バスの到着を確認でき

るような形態の待合いが増えてきている。

[写真 – さいたま「バスまちスポット」の例] [写真 – 市庁舎が待合い的に利用できる岡崎市役所]

出典:埼玉県ホームページ

3.3

0.7

1.3

2.0

0.0

0.0

0.0

2.0

0.0

45.4

22.4

21.7

46.7

51.3

77.0

77.0

49.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

屋根

待合室

照明

ベンチ

標準的な施設で 標準的な施設で(グレードあり) 施設のグレードに応じて 該当なし・無回答

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45

(4)主要な附帯施設に関する実務上の課題や留意点

①道路占用の有無

・附帯施設に関しては、道路敷地の内外によって扱いが大きく分かれる。すなわち、4-3(2)に示

した「道路占用物件」に該当するか否かである。

・道路敷地内であればこれに該当し、所定の基準や構造を満たした上で、申請手続きを経て、設

置が完了する。施設の設置者および管理者はバス運行側であるが、道路管理者も関与している

物件となる。

・道路敷地外の場合には占用には該当しないため、当該箇所の土地所有者や沿道住民との協議の

うえで設置が行われればよい。(※道路敷地内であれば協議不要というわけではなく慎重な合

意形成が必要=5-1(2)参照)

②ベンチ

・自治体アンケートにおいても、附帯施設のなかで最も設置が多いという回答があり、一般的な

施設でもあるベンチであるが、沿道住民が許可なく設置したものである場合などもあり、注意

が必要である。とくに道路敷地内への設置は道路の不法占用に該当する事案となりうる。

・破損時の管理責任が問われる場合もある(5-4(4)参照)

③上屋・待合い

・上屋や待合いが併設されているバス停も散見されるが、ベンチとは異なり、規模の大きい施設

であり、建築物として扱われる場合もあるため、設置には十分に留意することが必要である。

・所定の建築限界を確保する必要があることや積雪地においては積雪荷重などへの対応も必要と

なる。

・また、小屋型の待合いの場合には、側面に窓がないものや窓があっても内部が暗くて見えない

ものが多く、バスの運行上、旅客を乗せずに通過することにもつながり支障が大きいという点

についても、ヒアリング時の現場のドライバーからの指摘として多く挙げられている。

・したがって、上屋に側壁を付ける場合や小屋型の待合いを整備する際の側壁は、できるだけ透

明な素材を用いて、光が入るようにしておくことが望ましい。

・新設だけでなく、老朽化が進んだ際の更新や撤去の作業も重要であることの回答もヒアリング

では得られている。

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46

5-4 バス停の維持管理と住民参画

(1)維持管理業務一覧

本調査のアンケート、ヒアリング等で得られたバス停に関する維持管理業務を下表に整理した。

[表 – 維持管理業務一覧]

区分 実施事項

保全・美化・清掃

待合い内部や周辺の清掃

積雪時の除雪(積雪地域)

花壇整備・水やり

点検・異状把握

運転手による運行時の把握

行政職員の地域内移動時の把握

支所地域など管轄職員による把握

道路管理者の道路パトロール時の把握を受けた連絡

地域からの連絡

利用者からの連絡

主な異状

バス停の転倒(突風など)

バス停名看板・時刻表掲示パネルの破損、落下など

待合い・上屋・その他附帯施設の破損、劣化など

除雪作業による埋没・破損

修繕・交換 上記事項に対応した修繕

修繕での対応が難しい場合、老朽化が激しい場合などは新しいものに交換

ダイヤ更新

バスの運行管理システムなどと連動し、ダイヤ改正にあわせてバス停個別の

時刻表を出力

ダイヤ改正日にあわせて、バス停の時刻表を掲出

記録・管理 バス停管理台帳などを作成

バス停の位置、写真、附帯施設、更新・管理履歴などを記録

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47

(2)管内自治体における維持管理の実態

①バス停の所有状況

アンケート調査結果によれば、協議会が関与する路線、事業者への補助路線に関わらず、「自治体

自らが所有しているバス停がある」のは回答者の 69%にあたる 87 市町村となっている。

②管理台帳などの作成状況と把握内容

自らが運行に関与する路線のバス停については、82%の自治体が管理台帳などの一覧表を保有して

管理を行っており、具体的な把握事項としては、設置数(88%)、地図上の位置(82%)、当該バス停を

通る路線の種別(78%)の順で高くなっている。

[図 – 管理台帳などで把握している事項]

③維持管理の状況

自治体や協議会自らが実際の維持管理まで行っているのは 66%、運行事業者が行っているのが

50%となっており、両者ともに行っているというケースが多くなっている。

現場の点検を自治体自らが定期的に行っているケースは 16%と少なく、破損等の連絡を受けたとき

のみ対応を行っているというものが 69%と多数を占めている。

[図 – バス停の維持管理の実施主体] [図 – 定期的な点検の実施]

87.5

56.9

81.9

31.9

77.8

30.6

22.2

8.3

15.3

27.8

37.5

23.6

0.0

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

設置数

住所

地図上での位置

緯度経度情報(GIS含む)

通っている路線

上屋の状況

附帯設備の状況

道路の状況

掲示物の種類

土地の所有者

管理者

更新履歴

その他

配置

ハー

ドソ

フト

維持

管理

(%)

N=72

65.9

50.0

4.0

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

自治体及び協議会事務局

運行事業者

その他

(%)

N=126

定期的な点検を

実施している16.2%

破損箇所等の連絡が

あったときのみ対応し

ている69.2%

維持管理は実施

していない14.5%

N=117

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48

(3)維持管理への住民参画事例

調査結果からバス停の維持管理等に住民が参画している事例が見受けられたため、以下にそれらを

掲げた。

①診療所敷地に院長がバス待合いを整備・管理[岐阜県高山市]

バス停に面した敷地に診療所を新規開業するのに際して、建築物と一体的になったバス待合いを整

備し、利用者に提供している。バス停も敷地内に設置している。

[写真 – 高山市/万人橋東バス停(濃飛バス)]

②バス停オーナー制度による資金協力[静岡県富士宮市]

市のコミュニティバス「宮バス」に対して、オーナー制度として沿道の事業者などから協力金を募

り、バスの運営に充てるもので、バス停へのオーナー名の記載や、バス車内での広告放送、ホームペ

ージでのオーナー紹介などを行っている。

③地域でのバス停・バス待合いの整備や清掃・美化など

間伐材の有効活用のための補助事業などを受けて、地域でバス停やバス待合いなどを整備し、自ら

管理したり、花を植えたりという事例は比較的多く見られた。

[写真 – 高山市/坊方公民館バス停(濃飛バス)] [写真 – 福井市/朝谷バス停(京福バス)]

[写真 – 岡崎市/中伊バス停(岡崎市コミバス)] [写真 – 新城市/蔵平バス停(新城市コミバス)]

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④その他アンケート結果による住民による維持管理の事例

市町村アンケートでは、全体の 12%で維持管理への住民参画があると回答しており、下表のような

ものが事例としてあげられている。

[図 – 維持管理への住民参画の有無]

[表 – 調査結果による住民参画の事例]

ある

15自治体11.9%

ない

111自治

体…

N=126

県名 市町村名 主体名 活動の概要福井市 路線バス鮎川線沿線住民 鮎川線活性化プロジェクトによるバス停及びその周辺の清掃南越前町 地区老人会等 清掃

区 バス停の清掃及び周辺の景観形成婦人福祉協議会 定期的にバス停の清掃及び日常点検を実施

恵那市 バス停付近の個人及び自治会 自主的な付近の草刈り、待合所の設置、ベンチや座布団の管理など飛騨市 各自治会 バス待合所の清掃海津市 各自治会 清掃等

三島市 見晴台自治会路線バス運行事業者と見晴台自治会が路線運行契約の締結しており、バス停の維持管理や清掃をしている。

伊豆市 自治会 修繕・清掃東山バス運営協議会 バス停の修繕及びその周辺の清掃石巻・下条地域交通推進委員会 バス停の修繕及びその周辺の清掃しおかぜバス運営協議会 バス停の修繕及びその周辺の清掃

瀬戸市 沿線の地域力向上協議会 バス停周辺の草刈りやゴミ拾いなどの清掃活動武豊町 武豊町コミュニティバス利用促進友の会 ベンチの作成及び維持管理桑名市 地域福祉計画市民会議 コミバス部会 バス停看板の取替え

名張市 地域コミュニティバス運行協議会地域が主体となって運行するコミュニティバスにおいて、停車施設を自主管理している。

亀山市 地域まちづくり協議会(地区自治会等) バス停周辺の清掃等鳥羽市 相差町内会 バス停留所用地の確保、屋根・ベンチの設置

豊橋市

福井県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

おおい町

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(4)維持管理における留意点

(3)の事例に示したような住民参画による施設整備なども、適切な維持管理が行われないと老朽化

が進み、利用することが危険な状況に陥る場合もある。なかでもベンチについては、道路占用物件と

しての許可などの知識がないまま、地域住民が善意で設置したものなども多い。ベンチはとくに傷み

やすい施設であるために、事故や怪我につながるケースがあり、その際の管理責任が明確になってい

ないことから訴訟問題に発展したものもある。

適切な維持管理が必要であることを裏付ける実例といえる。

[写真 – 老朽化が進み危険性を感じる待合い施設] [写真 – 壊れたまま放置されたベンチ]

(5)維持管理の動向

調査対象とした市町村や事業者の管内で、昨今多くなっているのが広告付きバス停を用いた整備、

維持管理の移管である。これは道路占用物件への広告物添加に関する規制緩和を受けて 2003 年より

整備が可能となったもので、広告代理店であるエムシーデゥコー社が官民連携のPPP(パブリック・プ

ライベート・パートナーシップ)方式により事業展開を行っているものである。

広告収入を得て、整備から維持管理、更新までを、基本的に広告代理店がすべて行い、運行事業者

は時刻表やバスロケーションシステム等の管理だけで済む形態となっている。都市景観に馴染むスタ

イリッシュなデザインが特徴で、側面に風防ガラスが設置されているほか、時刻表の掲示面なども大

きく利便性の高いものとなっている。

ただし、整備や維持管理費用を広告収入で賄うため、広告価値のある市街地などに限られるという

条件もあり、中山間地域のコミュニティバスでの導入は現段階難しい状況となっている。

[写真 – 広告付きの上屋一体型バス停の例]

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6.バス停車施設における情報案内 バス停車施設の情報案内については、5-3 に示した附帯施設の一環であるが、利便性向上のために

重要な施設であり、昨今は情報通信システムの向上などにより、さまざまなものが登場してきている

ため、この章において改めて整理を行った。

6-1 バス停車施設における提供情報

下表にバス停車施設で提供されている各種の情報を整理した。道路運送法運輸規則に基づきバス停

への掲示が義務づけられている事項もあるため、留意が必要である。

[表 – バス停車施設における提供情報一覧]

区分 種類 留意事項・その他 運輸規則による 必須掲示事項

バス停車施設 全体に関するもの

当該バス停名称 よみがなも重要 ◎

バス事業者名 連絡先電話番号も重要 ◎

乗り場案内・施設配置図 大規模な施設の場合

(次ページ参照)

○ (2つ以上ある場合)

乗り場・系統の対応表 〃

全体路線図・系統図 〃

個別の路線に 関する基本的情報

系統名 ◎

路線図

時刻表 到着時刻や乗継ぎ時刻も

(6-2 に記載)

◎ (系統ごとの発車時刻)

主要目的先までの所要時間

運賃表

次のバス停・終着バス停 方面が把握できる

(6-2 に記載)

わかりやすさ 外国人対応など

多言語表記 6-2 に記載

ピクトグラム 〃

バス停ナンバリング 〃

バス路線カラーリング 〃

付加的情報 (電力供給・通信など

が必要となるもの)

バスの接近・到着情報

(バスロケーションシステム)

6-3 に記載

先発・次発表示(可変表示) 〃

文字放送 バスロケが設置できない場合

でも重要事項の伝達が可能

音声放送 旅客の注意を引きやすい

バス以外の情報 バス停周辺広域図 次ページ参照

周辺の公共施設案内・観光案内 〃

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■福井駅西口駅前広場におけるバス停車施設全体案内の例

[写真 – 駅前広場外観] [写真 – 乗り場全体案内・施設配置図]

[写真 – 路線図・運行系統図] [写真 – 乗り場ごとの方面対応表]

[写真 – 周辺案内図] [写真 –公共施設・観光施設誘導図]

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53

6-2 管内自治体における情報提供の実施状況

バス停における情報提供の状況は下図の通りとなっている。施設のグレードによって情報提供して

いるものとしていないものが分かれるが、基本的な事項である停留所名、系統名・路線名、時刻表、

事業者名、運賃というものについては半数以上の自治体が対応している。

比較的労力や費用の掛かる情報提供として、路線カラーリングが 39%、バス停ナンバリングが

20%、バスロケーションシステムの導入は 15%となっている。外国語表記に関しては 7%と少ない状

況にとどまっている。

[図 – バスに関する提供情報の実施状況]

64.5

14.5

57.9

28.3

47.4

11.2

53.3

2.0

3.3

1.3

38.8

11.8

48.7

34.2

7.2

9.2

3.3

5.3

11.8

2.0

17.12.6

15.1

7.9

12.51.3

16.41.3

0.7

0.0

9.9

4.6

13.2

9.90.7

2.6

0.0

0.0

2.6

0.0

2.6

2.6

2.0

2.6

6.6

9.22.6

1.3

3.91.3

2.6

2.0

2.0

2.6

5.93.3

3.9

2.6

0.7

1.3

15.8

80.3

25.0

61.2

33.6

78.3

27.6

95.4

92.1

97.4

48.7

81.6

36.2

53.3

86.2

84.9

92.8

92.1

84.9

96.7

停留所名

バス停施設のナンバリング

系統名・路線名

路線別のカラーリング

系統図・路線図

路線全体の時刻表

バス停施設個別の時刻表

主要バス停までの所要時間案内

バス停周辺の施設の案内

主要施設までの行き方案内

運賃

乗り方

運行事業者名

バス停車施設の管理者連絡先

バスロケーションシステム

QRコードによるWEBページへの誘導

多言語による表記

ネーミングライツ・広告掲載による収入確保

乗換案内サイトへの情報提示・更新

その他

掲示

物・掲

示内

容関

連施

標準的な施設で 標準的な施設で(グレードあり) 施設のグレードに応じて 該当なし・無回答

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54

6-3 情報提供に関する基本的な留意事項

(1)バス停の設置・掲示

・土地に不案内な利用者にとっては、道路のどちら側のバス停で待てば、自

分の行きたい方向に行けるのかが分からない場合が多いため、方面や終着

地の掲示が重要である。

・5-3 に示したバス停タイプのうち、地先のバス停に多い「だるま型」につ

いては、道路の進行方向に対してバス停名を直角に、時刻表のパネル部分

を水平に掲出することがわかりやすいとされている(右写真)。

[写真 – バス停据え付けの向き] (2)文字のサイズ・配色・位置など

・バス停に掲載すべき事項は多いものの、掲示面積に制約があるため、取捨選択したうえで、文

字が小さくなりすぎないように留意する必要がある。

・高齢者や視覚障害者にとっては、文字サイズや配色なども重要事項となる。

・掲示位置は子どもや高齢者の目線を考え、高くなりすぎないように配慮。フリガナも有用。

・配色や文字サイズなどは「福岡市ユニバーサルデザインに配慮した印刷物作成の手引き

(H21.10 福岡市)※内閣府ホームページでも紹介)」などが参考資料として有用。

[図 – 配色の例]

出典:福岡市ユニバーサルデザインに配慮した印刷物作成の手引き

(3)時刻表への到着時刻や乗継ぎなど

・出発時刻の掲示は義務事項となっているが、実際の利用に際しては、終着地の駅などに何時に

到着して、何時の列車に乗れるかという情報が重要である。コミュニティバスで掲示面にゆと

りがある場合などは、可能な限り掲載することで利便性が高まる。

[写真 – 鉄道との乗換時刻表示の例]

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(4)カラーリング・ナンバリング

・バスは鉄道に比べて、系統などの枝分かれが細かく、路線のカラーリングやバス停のナンバリ

ングなどが難しい状況にあり、全国的にも実施はまだ一部にとどまっている。

・現在は漢字+数字という設定が多く、(5)に示す外国人対応などが難しいという状況もある。

・とくにバス停については複数の系統が乗り入れているため、系統番号と連動させることが難し

いことや新設が生じた場合の枝番の設定なども課題となる。

・2018 年 2 月より国土交通省自動車局による「バス系統ナンバリング検討会」が始まっているた

め、現段階においては、提言やガイドラインのリリースなどを受けて実施することも有効であ

る。

[図 – 京都市営バスにおける取り組み事例]

出典:第 1 回バス系統ナンバリング検討会資料(国交省自動車局)

(5)外国語表記・ピクトグラム

・公共交通における外国語表記は英語が第一で、次に中国語(簡体字)、韓国語の順で4ヶ国語

まで対応させるケースが多いが、バスに関しては英語のみというケースが多いのが実情であ

る。

・地名・施設名などを外国語で表記する際には、一般的なルールに基づく必要がある。

例)熊本城は“Kumamoto Castle” 二条城はあえて“Nijo-jo Castle” ・ピクトグラムも有用であるが、国際的な標準スタイルがあるため留意が必要である。

・「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン(H26.3 観光庁)」など

が参考になるほか、自治体ごとにルールを定めている場合などもあるので確認が必要である。

[図 –ピクトグラムの標準化の例]

出典:観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン(観光庁)

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56

6-4 バスロケーションシステムの動向

(1)バスロケーションシステムの役割と動向

バスは鉄道などと異なり、一般の道路を通行するため、交通渋滞などの影響を受けやすく定時性の

確保が難しい。また、運行本数が少ない場合も多く、バスが既に出発してしまった後なのか、これか

ら到着するのかが分からないと利用する際に不安だという声も多い。このような問題に対応し、バス

の接近・到着情報を知らせるための仕組みがバスロケーションシステムで、バスの車両に搭載したG

PSなどを利用してリアルタイムに情報通信を行うものである。

都市部の路線バスなどで、1980 年代くらいから徐々に導入されはじめたものであるが、昨今は情報

通信技術の発達などにより、簡易に導入できるようなものも増えてきており、地域のコミュニティバ

スなどでも導入するところが増えてきている。

(2)バスロケーションシステムの種類と特性

①バス停設備での情報提供

1)高度なシステム

・大画面の液晶パネルなどを備えて、先発バス、次発バスの運行だけでなく、関連系統の路線や

乗継ぎ案内などの付帯情報も含めて提供するもの。

[写真 – 福井市/駅前大通りバス停(京福バス)]

[写真 – 刈谷市/刈谷駅南口(刈谷市コミバス)]

情報が切り替わる

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57

2)一般的なシステム

・LED情報板や小型の液晶画面などで、先発バスや次発バスの運行を知らせるもの。

[写真 – 浜松市/浜松学院高校バス停(遠州鉄道)] [写真 – 名古屋市/市役所バス停(市営基幹バス)]

[写真 – 東浦町/東浦駅(東浦町コミバス)]

3)簡易なシステム

・バスが出発直後であることを知らせるランプなどが点灯するもの。

・乾電池で1年以上運用できるほか、ソーラーシステムで運用できるものも登場してきている。

[写真 – 豊田市/平沢バス停(豊田市コミバス)]

出典:国土交通省総合交通メールマガジン[2013 年 63 号](ITS アライアンス(株)あしあとランプ)

上部の ソーラーパネルで 電力供給

タブレット画面に 情報を表示

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②携帯端末での情報提供

・昨今は個人が情報端末(スマートフォン等)を携行している場合が多いため、バス停側に情報

を整備することはせず、インターネット上に情報を提供することを主としたものが増えてきて

いる。

・バス停に掲出されたQRコード(二次元コード)にスマートフォン等の画面をかざすだけで運

行情報が画面に表示されるという仕組みが増えている。

[図 – 岐阜バス Navi]

[図 – 三重交通バスビジョン] [図 – 名鉄バスロケーションシステム]

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6-5 乗換案内サイトの動向

昨今はインターネットによる乗換案内サービスの提供が広く普及してきている。スマートフォンの

アプリとして対応しており、外出先で簡単に検索できるようになってきている。乗換案内サイトにつ

いては、バス停個別の事案ではないため、本調査の主対象ではないが、概略の把握を行った。 (1)乗換案内サイトの動向

利用者が多いとみられる5つのサイト(駅すぱあと、駅探、ジョルダン、NAVITIME、Yahoo!乗換案

内)ついて、状況の確認を行った。すべてのサイトでコミュニティバス路線についても情報提供を行

っており、今後も対応路線を増やすように力を入れていることをうかがわせるサイトが多くみられ

た。サイトによっては、バス停個別の時刻表の掲載やバス停の詳細な地図についても表示させるもの

もあるが、現時点においては、各社ともすべてのコミュニティバス路線を網羅しているわけではな

く、会社ごとに掲載量や地域バランスなどに差がある状況となっている。

[図 – バス停時刻表やバス停位置図表示の例(NAVITIME)]

(2)管内自治体での利用状況

現在、乗換案内サイトへ自治体自らが情報提供を行っているのは 15%にとどまるのが現状である。

[図 – 乗換案内サイトへの情報提供の有無]

(3)活用における課題と留意点

・乗換案内サイトの情報源は、一般に公開されているものを用いている場合もあるが、多くは自

治体や運行事業者からの詳細データの提供を受けているため、運行側が情報発信をすることが

条件となる。

・いずれのサイトも十分な利用価値があり、利用者側にも浸透している仕組みとなっているた

め、運行側からの積極的な情報発信が求められる。

・ただし、一旦掲載させた以上は、継続した情報更新が必要であり、ダイヤ改正に先だっての情

報連絡などを欠かさないことも必要となる。

利用あり, 15%

利用なし, 85%

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7.バス停車施設についての議論を深めるために 7-1 バス停車施設の現状と課題に関する総括

本調査では、バス停車施設に関して多数の視点から現状把握と課題の整理を行った。市街地中心か

ら居住地エリアまで至るところに設置されているバス停は、設置数も多く、ともすれば軽視されてし

まう施設ではあるが、バス事業の計画、運営、利用促進等に対して非常に重要な役割を果たしてお

り、十分な議論が必要であることが改めて明らかになった。

まず、バス停の新設や移設については、地域住民などから気軽に要望があがるケースが多いもの

の、1箇所のバス停の新設でさえも、相応の設置費用や所定の手続きが必要になのはもちろんのこ

と、路線図や時刻表の更新などバス事業全体に影響が及ぶものでもある。したがって、十分な検討と

予算の確保が必要な事案であることを踏まえて協議する必要があるものといえる。また、バス停は迷

惑施設という扱いで既設のものの移設を求める声が多いという実態も明らかとなったことから、バス

停は公共施設であることも意識しつつ、慎重に議論する必要があるといえる。

次に、バス停の許可基準については、認識が不十分なまま議論が行われることが多いことも浮き彫

りとなった。バス停に関する法令や基準は多岐に亘り、従来からの構造基準や占用要件などに加え、

昨今はバリアフリー基準などもより重要なものとなってきている。一方、交通安全などに関しては、

地域や現地の状況により、対応が異なる場合があることも明らかとなったため、個別の確認が重要な

ほか、関係者が現場に一堂に会しての調整などが最善策であることも把握できた。

バス停の構造や附帯施設に関しては、交通流の面からはバスベイの有用性があげられる反面、現場

のバス運転手からは歩道への寄せにくさや出発のしづらさも指摘されている。待合い上屋について

も、旅客の利便性を高める反面、運行側では内部の見通しの悪さから、徐行しての確認を余儀なくさ

れるなど、円滑な運行に支障を来たし、立場によって相反する面があることも明らかとなった。

バス停の維持管理については、施設数が多いために管理も難しく、バス運転手の日々の目視などで

対応はしているものの、行き届かないケースがあることなども明らかとなった。地域住民などが設置

した上屋やベンチなどには老朽化したものも多く、安全面からも撤去や更新などが必要となってきて

いるものが多いことも把握することができた。

このように課題も多いバス停車施設ではあるが、利用者にとって最も身近なバスの関連施設であ

り、協議会のなかでは、専門知識がない委員でも比較的参加障壁の低いテーマであるといえる。

本調査のなかで把握した事例のなかにも、地域住民がバス停の整備や管理に参画しているものとい

うものも多くあり、工夫次第で利便性や快適性を高めたり、マイバス意識が高まることで利用促進に

つながっていくという意見も得られた。

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7-2 議論をさらに深めるために

7ー1で整理した事項などを踏まえ、本調査の成果として作成したリーフレットは、素案を作成し

たうえで、学識者や関係機関に対する意見照会を行い、その内容を適宜反映させたものである。した

がって、協議会等における議論の現場における参照資料として、一定の有用性を備えたものとなって

いる。

リーフレットの記載内容としては、バス停には利用者、非利用者を含めて様々な立場の人が関わっ

ており、利害もそれぞれであるため、バス停の設置には相応のプロセスが必要であることを示し、さ

らに設置基準や要件も幅広いため、それらを踏まえた上で検討する必要があることなども示してい

る。具体的な要件の例や留意事項、課題を克服した好事例なども端的に示している。

各自治体では、地域からのバス停の新設・移設の要望がある際には、住民代表や町内会などに、は

じめにこのリーフレットにある情報を提供し、内容についての理解がなさることが望ましい。

また、地域公共交通会議などにおいて、議題を事前に把握している場合や、次回の会議でバス停に

関する議題に展開することが見込まれる場合は、各委員に対して本調査内容等の情報発信を図ること

によって、議論の活発化につながるものと思慮される。

なお、リーフレットは、地域住民など旅客運送事業の専門外の協議会委員や地域住民にも理解しや

すいような最低限の情報を掲載したものであるが、協議会事務局ほか行政関係者については、本報告

書 2-2 に掲げてある解説ページのほか、2-1 に掲げた「適切なバス停車施設のあり方(一覧)」につい

て、必要に応じて参照することが必要である。