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取組事項のキャッチフレーズ
「国産超低床車両の導入による路面電車の利便向上」
応募者
広島電鉄株式会社
連絡先 082-242-3551 住所 広島市中区東千田町二丁目9-29 URL http://www.hiroden.co.jp/
写真
図1 5100 形台車外観
取組事項の要約・概要 都市における道路混雑の緩和、中心市街地の再生、バリアフリー化や環境面の効果などで路
面電車が見直されており、従来の路面電車の概念を越える新しい LRT(Light Rail Transit)
として世界各地で導入が進められている。広島電鉄においても平成 11 年 6 月より超低床車両
5000 形「グリーンムーバー」の導入を開始してバリアフリー化、走行環境の改善等を推進して
おり、現在 12 編成運行している。 広島電鉄では超低床 LRV を増備するにあたり、座席数の増加や通路幅の拡大、車内照明の明
るさなど 5000 形に対するお客様からの要望を取り入れた国産初の独立回転車輪方式による超
低床車両を開発し、このたび 5100 形「グリーンムーバーmax」として 1編成導入した。 写真
写真 2 シンボルマークとなる「グリーンムーバーmax」
取組事項の成果 5100 形「グリーンムーバーmax」は、ULTIMATE(アルティメート・究極の)、URBAN(アー
バン・都会的)、USER FRIENDLY(ユーザーフレンドリー・お客様にやさしい)の 3 点を開発コ
ンセプトとし、座席数の増大、通路幅の拡大、室内照度の向上などお客様からの要望を設計目
標として、国産メーカーによる設計の自由度を最大限に利用した。
編成は 5 両固定編成の 5 車体 3 台車で、先頭から A車・C 車・E 車・D 車・B 車とし、編成全
長 30m、自重 33.9t である。A・B車が電動車、中間 E 車が付随車、C・D車は台車のないフロー
ティング構造となっている。定員は編成 149 人で 5000 形とほぼ同等の輸送力であるが、座席
定員を 5000 形より 10 人多い 56 人とした。
外部デザインは、国際平和文化都市広島にふさわしい曲線を生かしたやわらかでやさしいス
タイリングとし、車体カラーは清純・平和を表すピースホワイトと希望・自然を表したジョイ
フルグリーンにより明るくすっきりした配色とした。入口扉と出口扉を分けて運用するために
入口扉部にサニーイエローを配色することで出口扉との区別を明確にし、グリーンムーバーm
axのシンボルマークともみじをアクセントとして各所に配した。
室内は、落ち着いた癒しの空間を表現したデザインとしている。A・B車はクロスシートで
シート幅を広くとり、C・D・E車はロングシートとして座席数を増やした。シートの色はグリ
ーンを基調にもみじをあしらったデザインとし、座席のクッション厚みや座席高さの検討も行
って快適な座り心地を実現した。壁は茶系統でスタンションポールは黄色とし、全体に暖色系
でまとめている。窓は大型固定窓で開放感のある室内とし、ブラインドはフリーストップ式に
して視認性向上を図っている。照明は十分な照度を確保しながらまぶしさのない柔らかなと空
間となるようにしている。
台車は国産初となる車軸のない独立車輪台車により、車内の低床化を実現した。特に中間 E
車は 2001 年度から 3 年間にわたって鉄道車両関連メーカー8社で構成された「超低床エルア
ールブイ台車技術研究組合」による狭軌用低床台車の成果を踏まえ、台車枠を車輪の外側に配
置してロングシート座席とすることで座席定員 14 人に増加させて居住性を向上し、客室通路
幅も従来の 5000 形の 830mm から 1,120mm に拡大することで、車内での移動がこれまで以上に
スムーズになっている。
電動台車 付随台車
図2 中間E車 5000形と5100形の比較
写真 1-1 中間E車室内 写真 1-2 先頭A・B車シート
台車枠
車輪
○ 開始時期
営業運転開始 平成 17 年 3 月 30 日
○ 成果(鉄道の利用促進、利用者利便の向上等への貢献について)
(1) 中間台車の台車枠を車輪の外側に配置してロングシート座席とすることで、中間E
車の座席定員を従来の 5000 形の 8人から 14 人とするなどの改善を行い、座席定員
を編成全体で従来の 5000 形の 46 人から 56 人に増加させた。
(2) 台車枠構造の変更により、通路幅を中間 E 車は 830mm から 1120mm に、先頭 A・B車
で 830mm から 880mm にそれぞれ拡大し、車内の移動性を大きく向上させた。
(3) 座り心地の良いシートや開放感あふれる大型窓、ダウンライトによる柔らかなと照
明などにより、快適な車内空間を実現した。
(4) 国際平和文化都市広島にふさわしい曲線を生かしたスタイリングや明るくすっき
りしたカラーリングにより、街のシンボルマークとして地域の活性化につながっ
た。