ベトナム人の日本語学習者に対する漢語の類推力を高め...

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http://dspace.bunka.ac.jp/dspace Title ベトナム人の日本語学習者に対する漢語の類推力を高め る指導 Author(s) 白石, 麻子 Citation 文化外国語専門学校日本語課程紀要 12 (1998-12) pp.97- 122 Issue Date 1998-12-31 URL http://hdl.handle.net/10457/2091 Rights

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http://dspace.bunka.ac.jp/dspace

Title ベトナム人の日本語学習者に対する漢語の類推力を高める指導

Author(s) 白石, 麻子

Citation 文化外国語専門学校日本語課程紀要 12 (1998-12) pp.97-122

Issue Date 1998-12-31

URL http://hdl.handle.net/10457/2091

Rights

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ベトナム人の日本語学習者に対する

漢語の類推力を高める指導

要旨

専任講師白石麻子

(1998.4.24受)

ベトナム語は現在アルフアベット表記であるが,中国語から来た語葉が豊富

に含まれている。ベトナム人の日本語学習者が漢語の習得をより効果的に行う

ことができるよう,日本語の漢語の発音とペトナム語における中国語から来た

言葉の発音の変化のノレーノレを示し,発音からの類推力を高めるための指導を行

った。

キーワード

漢自主ハン・ヴイエ卜,発音変化のノレーノレ,類推力

1.授業の目的

1-1. この授業を行った経緯

1-2. 日:材喜とベトナム勧酒量の重なり

1-3.指導項目

2.教材化のための準備

2 -1.共通語襲のカード化

2 -2.発音変化のルーJL凄の作成

3.授業開始前のアンケートおよびガイダンス

3 -1.アンケートの内容とその結果

3 -2.ガイダンスの内容

3 -3.類推力の測定

一-97一一

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4.導入の授業

4 -1.発音のよく似た語嚢の提示

4 -2.発音変化のルールの提示と練習

5.授業のカリキユラムと教材

5 -1.宿題のプリント

5 -2.語嚢の類推練習のプリント

5 -3.定着のためのゲーム

6.学習者の類推力の伸び

6 -1.鯛佳力演l淀プリントの第2回期繍果

6-2. ID.見の漢字授業での学習者の様子

7.授業後のアンケートの結果と考察

7 -1.アンケートの内容とその結果

7 -2.考察

8.今後の課題

参考文献

鄭ヰ

1.授業の目的

1ーしこの授業を行った経緯

筆者は, 1994年度に初めて日本政府(文部省)奨学金留学生に対する日本語の

授業を担当したが,彼等のほとんどは非漢字闇の学習者であった。授業を進めて

いくうちに彼等の日本語学習における漢字教育の重要性を改めて認識した。それ

らの学習者の中に日本語の学習経験のないベトナム入学習者が2名いた。ベトナ

ム人は非漢字圏学習者であるが,ベトナム語には中国語から来た語葉が数多くあ

る。筆者は自らのベトナム語学習の経験から,ベトナム入学習者の漢語の習得を

より効果的にするために何か特別な指導芳法が可能なのではないかと考えた。

1994年度はこの 2名の学習者に対し,ベトナム人のための漢字の補習授業を希

望するかEうか聞いたところ,ぜひ受けたいとの返事があった。そこで同じグノレ

-98一一

ープの授業を担当していた教師の了解を得て 1学期を中心に数回漢字の補習授

業を行った。また, 97年度も筆者が担当した学習者の中に日本語の学習魅験のな

いベトナム入学習者が6名おり,そのうち希望した 5名に対して放課後約10回の

補習授業を行った。試行錯誤の中で全くの白紙から作成したために不十分な点の

多かった94年度の耕オに改良を加え, 97年度はより系統的に授業を行った。材高

ではこの97年度の授業内容について述べる。

1-2.日本語とベトナム語の語嚢の重なり

ここで:簡単に日本語とベトナム語の語葉の重なりについて説明したい。ベト

ナム語は現産アルフアベット表記であるが,かつて中国の文化の影響を受けチュ

ー・ノムという独自の漢字を用いていた時代もある。また今でもあちこちの寺の

門には漢字が害かれているのを見ることができる。このことをみてもわかるよう

に,ベトナム語は,日本語や韓国語と同じように,中国語から来た語葉を豊富に

持つ言語なので,当然日本語の語葉とベトナム語の語葉には重なりがある。例え

ば, 日本語の「恋愛」は,ベトナム語で quyぎn五iJ(ノレイェン・アーイ)であり,

「発展」は rphat trignJ (フアツトワ・チェーン)である。全てがこのように発

音カ可以ているわけではないが, これら重なりのある語葉を効率よく覚えることが

できれI;f,漢字の習得のみならず,漢語が増えてくる中級以降の日本語学習にも

大いに役立つので、、はないかと思われる。日本語て漢語に当たるものは,ベトナム

語てやはハン・ヴィエト (Han-Vi乱漢越語)と呼ばれている。日本語の語葉と

ベトナム語の語葉の重なりを簡単に図示すると,次のようになる。

和語 ↑ ↑ 純粋ベトナム語英吾五 l

i 阿ハン・ヴイエ卜

く日本語> <ベトナム語〉

一目 99一一

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ここでは簡略化するために外来語は省いた。斜線てや示した部分がベトナム語の中

のハン・ヴィエトと日本語の中の漢語てや重なりがある部分である。この重なりの

部分についての指導を行うのが今回の試みて、ある。しかし 1つ注意を要するこ

とがある。この部分の語葉についてはその多くが日本語でもベトナム語でも同じ

意味を持っているが,中には意味が異なる語棄もいくつかある。例えは日本語

の「家族」に当たるハン・ヴィエトは rgia tdc (ザー・トック)Jであり,同じ漢

字から来た語棄である。日本語で「家族」と言えば親子兄弟な E一緒に住んでい

る者たちをさすが,ベトナム語ではそうではない。ベトナム語では rgia tQCJは

「一族,親族」に当たる。今回のような授業を行う場合,これらの言葉を意味が同

じものとして提示することのないよう特に注意して,孝財オを作成した。

1-3.指古車頁目

前述のように,日本語とベトナム語には中国語から来た語葉がたくさんあるに

もかかわらず,今までのところベトナム人の日本語学習者がそれらの語葉を効率

よく覚える苅去は考えられてこなかったようである。漢字そのものに限ってみれ

ば, ド・トン・ミン氏のベトナム人のための「常用漢字表」というすばらしい一

覧表がある。この一覧表は一つ一つの漢字がハン・ヴィエトと対照されているだ

けでなしその漢字の意味カ主純粋ベトナム語で書かれている非常に便利なもので

ある。しかし,語葉レベルの学習となるとその一覧表ではできない。では,ベト

ナム人の日本語学習者が日本語とベトナム語の共通部分の語葉を効率よく覚えて

いくにはEのような対去が可能であろうか。そこで発音に注目してみると,日本

語の漢字の音読みの発音とハン・ヴィエトの発音との聞にかなりはっきりした変

化のノレーノレがあることがわかる。筆者自身がハン・ヴイエ卜について学んt:1I寺,

漢字の音読みの発音との変化に注目して覚えるという方法で指導を受けたが,こ

の2者の発音の変イじにノレーノレがあるのは,ハン・ヴィエトについてある程度専門

的に学んだことがある者は知っていることである。ベトナム人の日本語学習者に

対しでも,このことを応用して樹オを作ることが可能であろうと考えた。この際

学習者が,専(セン)=chuyen (チュイェン),家(カ)=gia (ザー)のように一

つ一つの漢字の音読みとハン・ヴイエトを覚えていくことも大切だが,それだけ

では1鋤帥句てや単調である。それに,せっかく覚えても日本語の文章の中では漢字

ー一- 100-一一

1字の場合は訓読みで読まれることが多く,単独で音読みで読まれることはまれ

である。これに対し,熟語になればほとんどの場合音読みである。したがって,

一つ一つの漢字とハン・ヴィエトを樹戒的に覚えるのと平行して,文章の中で熟

語として現れた時にす寸意味がわかるような力をつければいいのではないかと考

えた。そしてこのような力をつけるために,百草案レベソレてやの業買f佳力をつける教オオ

を考えていくことにした。

そのために, まず学習者に発音の変化のノレーノレを示し, その後漢語とハン・ヴ

イエトとの類推力をつけるための練習を?用意することにした。練習を重ねていく

うちに,初めて出会った漢語でもその発音からハン・ヴイエトのどの語葉に当た

るかが類推できるようになっていくだろう,あるいは類推までは十分にできなく

とも 1度学んだ語葉が定着しやすくなるであろうと考え,今回は,①日本語とベ

トナム語の共通語棄についての認識を深めること,②日本語の漢語を見てその発

音からベトナム語の意味が類推できるようになること,の 2つを目標とした樹オ

を作成することにした。

2.事対オ化のための準備

学習者に指導するためには,まず教える側の基礎資料守充実させる必要があっ

たので,次のような作業を行った。

2 -' 1,共通語嚢のカード化

94年度は,指導内容のアイデアを思いついてから実際に授業をするまでの準備

期聞がほとんどなかったため,筆者が覚えている範囲内での共通語葉を学習者に

指導するにと Eまったが,より教材を充実させるため,その後約l年かけて,常

用漢字の範囲で日本語とベトナム語の共通語棄を洗い出すためのカード化の作業

を行った。

具体的には,常用漢字1つにつきカードを 1枚用意し,その漢字を用いた共通

語棄を辞書で拾い出していった。この作業のためには r越日日越冶本辞典](1990)N '" およびベトナム語の国語辞典にあたる rTUDIEN TIENG VIETJ (1994)を

用いた。さらに, 1-2て述ペた rgia tQCJと「家族」のように徴古少に意味の異

なる語棄を確実に把握し,同時にやや古くさくなっているハン・ヴィエトを除く

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ため,オ、イティプによるチェックも受けた。このようにして,資料1のようなカ

ードを作り基礎資料とした。

2 -2.発音変化のルール表の作成

筆者自身がベトナム語を学習した時にも発音の変化のノレーノレについて学んだ

カ1改めて発音の変化のノレーノレについで調ぺていくことにした。具体的には前述

のカードに現れた共通誰震について 1つず、つチェックしていく方法をとった。ノレ

ーノレは非常にたくさんあり ,e'の程度まで学習者に示すべきか迷ったが,例外的

なものは省くこととし,類推力をつけるために必要だL思われる主要なノレーノレの

みを提示することにした(資料2の表1,表2参照)。このノレーノレは主要なものだ

けなので全ての場合に当てはまるとは限らないが,これをひととおり覚えれば漢

語とハン・ヴィエトの 7,8害Jjは委員推できるようになるだろう。

ここで,具体的にどのようにこのノレールを用いるのか,簡単な例をひとつ示し

、たい。まず rIienlachJ というハン・ヴィエトを見てみよう。これは日本語では

「連絡するJという意味である。表1を見るとわかるようにベトナム語の qJは,

日本語でも rlJである。また表2を見ると,qenJは renJか qnJに変化し,

rachJは rakUJ となる。これらを組み合わせると「レンラク」または「リンラ

ク」と読むことができる。この例は非常に単純なものであり, もっと複雑な組み

合わせになってしまう場合もある。また,いくつか考えられる読み方のうち Eれ

が正しいかは辞書などで市街忍する必要がある。一つ一つ順を追って書くと非常に

めんEうくさいもののように思われるかもしれないが,実際には主なノレーノレを一

応頭に置いてたくさんの語に当たっていくうちに,一つ一つ表を見ながら考える

よりもず、っと早くだいたいの見当がつくようになる。ここではハン・ヴィエトか

ら漢語の読み方に変える例を示したが,このことに慣れていくと反対の作業すな

わち漢語からハン・ヴィエトへの変換もできるようになっていく。

勘のいい学習者の場合には,教師がノレーノレを提示しなくても学習を進めていく

うちに, 自分である程度ノレーノレを発見できるかもしれない。 しかし,筆者が直接

指導した学習者ではないが 1年間日本語を学習したにもかかわらず漢語とハ

ン・ヴイエトの共通性に気づかないて終った学習者もいると聞いている。このよ

うな学習者も多いと思われるのて:やはり発音の変イりこついてはある程度ノレーノレ

一一-I02一一ー

として示し,練習を重ねていくといいのではないかと考えた。

具体的な粉オを作る際には先ほど r1ienlachJの例で見たように,言葉問て

発音変化のいろいろな組み合わせを考え Eれがいいか辞書て市産認するというよう

な非能率的な方法はやめ,正い、漢語の読み方とハン・ヴィエト両方を始めから

プリントにバラバラに書いておき,e'れと Eれが結びつくかをクイズ的に類推し

て当てるという形式を取ることにした。

3.授業開始前のアンケー卜およびガイダンス

実際の授業を開始する前の 5月29日に, 5名の学習者全員に対して①アンケー

ト,②ガイダシス,③この段階での類推力の測定,の 3つを約30分間で行った。

3 -1.アンケートの内容とその結果

アンケートでは,学習者カ主ハン・ヴィエトの存在を知っているかEうか, また

矢口っているならはすべてアルフアベット表記のベトナム語の中てYのようにし

てハン・ヴィエ卜であることを判断しているのかを知りたいと思った。 5月末の

段階ではまだ日本語での質問は不可能なため,アンケートはすべてベトナム語てや

行った。質問の内容と結果は以下の通りてqあった。( )内は人数を表す。

質問1.ベトナムで昔,漢字が使われていたことを知っていますか。

a はい (5) b. いいえ (0)

質問 2. ベトナム語の中に,中国語から来た言葉がたくさんあることを知ってい

ますか。例えば?

a はい (5) b. いいえ (0)

*全員が知っていると答えたが,例は 3名だけが次のようなものぞ計

10個挙げた。

thu飴(首都), ch由f

の漢語と同じもの

thih triiu (水潮一日本語では ri輔東J),kinh do (京都 日本語

ーでは「首都J) なE日本語とは違うもの

質問 3. 日本語の中に,中国語から来たことばがたくさんあることを知っていま

すか。例えば?

一一 I03一一

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a はい (4) b. いいえ(1)

* rはい」と答えた学習者が多かったが,例として挙がったのは「食

堂」 と 「イ昨庄品」の 2つだった。

質問 4.ハン・ヴィエトと漢語の言葉の発音の聞に,変化のノレーノレがあることを?

矢口っていますか。例えば?

a はい (3.) b. いいえ (2)

* rはい」と答えた 3名に具体的な変化のノレーノレについて質問したと

ころ, 3名とも実は具体的には何も知っておらず,ただ何となく類

推できるのではないかと考えていることがわかった。

質問 5.あなたの知っている日本語で,ベトナム語と発音が似ていると,思う言葉

はありますか。{列え!.f?

a はい(1) b. いいえ (4)

*この 1名が例として挙げたものは,

木(もく)-mCic (モツク)てやあった。

質問6.ハン・ヴィエトについて今までに勉強したことがありますか。ある人は

Eこてや?

a はい (5) b. いいえ (0)

*全員,小朝交でほんのわずかだけ学んだと答えた。

質問 7.ハン・ヴィエトと純粋ベトナム語を区別できますか。

a はい (2)

b.ほんの少しだけ(1)

c いいえ (2)

質問 8.上の質問で「はい」と答えた人は, どうやって区別するのか教えてくだ

さい。

* rはい」と答えた 2名の答えは以下の通り。

ーハン・ヴィエ卜の方が閉じような意味を表す純粋ベトナム語より意

嚇包囲が広い。ハン・ヴィエトは普通2つの音てや一つの言葉を作っ

ている。(この学習者の答えは,筆者は,必ずしも正しいとは思わな

一一 I04一一

一自分の国の言葉なので,ハン・ヴィエトならばす「わかるが, c:'う

やって区別しているのか自分でも説明できない。

このアンケートから,学習者たちは小学校でハン・ヴィエトについてごく簡単に

説明を受けていることがわかったが,系統的な知識は得ておらず,純粋ベトナム

語とハン・ヴィエトをはっきり区別する手段も特に持っていないことがはっきり

した。また,このアンケートを実施した段階では,すでにメインテキストである

『文化初級日本語1~で「銀行J r,会話J r音楽J r電話'J r病院」などの言葉を学習

しており,これらはハン・ヴィエトにも同じ言葉があるにもかかわらず,学習者

にそのようなものとして意識されていないことも明らかになった。このアンケー

トの結果からも,補習授業を行う意味は大きいのではないかと思われた。

3 -2,ガイダンスの内容

ガイダンスはベトナム語で説明したプリントを渡して行った(資料3)。その主

な内容は次の通りである。

ーベトナム語のハン・ヴイエトと日本語の漢語に共通の語葉がたくさんあること。

一これら 2者の発音の変化のノレーノレを身につけることによって,ハン・ヴィエト

から漢語を,またその反対を類推できるようになること。

一漢字の「音読み」と「訓読み」について。

ーベトナム語と日本語の語葉の重なりについて。

一特に注意すべき場合 (r家族」のような語)があること。

一漢語は話し言葉で使われるものもあるが,書き言葉の中てや使われる場合がとて

も多い。したがって,ベトナム語で表現する時ハン・ヴィエトてや表現するから

といって, 日本語てや話す時むやみに漢語を使って話さないほうがいいこと。例

えば「私もそれがいいと思います」と言いたい時,ベトナム語では「同意する」

というハン・ヴイエ卜を使って, fT創立弘主主anhJ と言うが, 日本語では普

通の会話では「同意する」はかたい言葉なので使わないほうがいい。

3 -3.類推力の測定

まだ何も指導していない段階で,学習者が漢語の発音とハン・ヴィエトの発音

を比べて類推する力を持っているかEうかを調べるために,資料4のようなプリ

ントを作り学習者にやってもらった。学習者には「これはテストではなく,今の

一一 I05-

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段階でみなさんにどれくやらい類推力があるかを知るためのもの」と説明して行っ

た。

問題は全部で30題あり, 1問題ず、つのグノレーフ。に分かれている。仁コの中にはハ

ン・ヴィエトが書いてあり,その外側に漢語が書いてあるが,漢語には全てふり

がながふってあるので,学習者は漢語の意味はわからなくても読み方だけはわか

る。両者の発音の変化のノレーノレをある程度知っていれば解ける問題ばかりである。

しかし,ある学習者は見てすくやにあきらめ,またある学習樹立l扮程真剣に類推

しようと試みていたが,結局全員白紙で提出した。このことから 5月末のこの

段階て守は学習者全員に類推力がゼロてやあることがわかった。

このプリントは, この後補習授業を 5回行った後,再び実施した。その時の結

果は 6-1で詳述する。

4.導入の授業

このアンケートおよびガイダンスの後, 6月5日から約10回にわたる補習授業

を開始した。 1回30分から40分手車支である。

本校てやは,非漢字圏の初級の学習者に対して, If'BASIC KANJI BOOK 1.

II~ を使用して漢字の授業を行っている。このテキストになるべく沿う形で,ま

た,なるべく学習者の負担を軽くするような補習授業を行うにはEのような対去

が望ましいかを考えた結果, If'BASIC KAN JI BOOK~てや提出される漢字の順に

それに相当するハン・ヴィエトを教え,語葉を広げていくという方針を取ること

にした。ただし,第 1回目は導入ということもあり,これからの学習に興味と関

心をもたせるため他のものも取り入れた。詳しい内容は以下の通りである。

4 -1.発音のよく似た語嚢の提示

まず,ハン・ヴィエトと比較的発音カ市lていでわかりやすい漢語だけを集めた

プリントを作り,学習者に両者の発音に類似性があることを知ってもらうことに

した。使用したプリントには次のような語葉をのせた。例えば, chu y (チュー・

イー)=注意する, suyly (スイ・リー)=推理する, chuyen mon (チュイェン・

モン)=専門などであり,これらは初めての人でも問いただけで何となく「似てい

る」と感じられるはずである。これらの語葉をプリントに沿っていっしょに発音

一一I06一一

していった。このプリントをやった後の学習者の反応は,筆者が予想していた以

上に「発音がこんなにも似ている言葉があるのか」という驚きてやいっぱいの様子

てやあった。

4-2.発音変化のルールの提示と練習

このプリントで似た発音の語葉を見た後,一般的な発音の変化のノレーノレについ

て,前述の発音変化表(資料2) を渡しその使い方を説明した。ノレーノレは表て、見

ると非常にたくさんあるように感じられるため,学習者が学習意欲を失うい、け

ないと思ったので 1度に覚える必要はないこと,これから少しずつ練習してい

くので心配する必要はないことな Eを話しリラックスさせた。

発音変イ肢を渡した後,具体的な練習にはいった。この練習のためにはまず,

ベトナム語の子音のカードを用意した。これには緑色のカードを使った。また,

白いカードてや母音のカードを用意した(資料5参照)。この 2つのカードを組み合

わせて,表を見ながら日本語ではEのように発音が変わるカ3の練習を行った。

この練習はゲーム的要素もあり,学習者は一覧表を見ながら,練習に夢中にな

った。初めのうちは筆者がいろいろな組み合わせを作り,学習者が考えて答えて

いたカ1やがて自分たち同士でいろいろな組み合わせを作って問題を出し合い始

めた。このカードは学習者が自主的に家へ持って帰り,自分たちでその後しばら

く練習したそうである。この日の授業はここまでであったが,この日に初めて

If'BASIC KANJI BOOK~ の進度に沿った宿題を少し出した。これについては,

5-1て述べる。

5.授業のカリキュラムと樹オ

6月19日からいよいよ本格的な練習を開始した。この時期の学習者の日本語力

はIf'文化初級日本語 I~ の第15~果程度, またIf'BASICKAN JI BOOK~ の進度

は第12課であった。

授業は毎回,①li"BASICKAN]I BOOKJてや既習の漢字一つ一つがどのハン・

ヴィエトにあたるかを示したプリントA(宿題)の答えあわせ,②宿題にした漢

字を含んfごう莫語とハン・ヴィエ卜の類推(プリント B)③定着のためのゲーム的

な練習,の3つを中心に組み立てた。

I07-

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この形での授業は,夏休み前5回行った。夏休み明けからは学習者に類推力が

かなりついてきたため,ゲームは省略し,①と②のプリントのみ行った。夏休み

の後も 5回授業を行い, IiBASIC KAN]I BOOK~ に出てくる漢字全てを用いた

語葉の類捲練習を終えた。以下,それぞれの樹オについて述べる。

5 -1.宿題のプリント

プリント A(前述の①)は,毎回前の授業の終りに宿題として渡したものであ

る(資料6参照)。このプリントの漢字はIiBASICKAN JI BOOK~ で全て既習

の漢字である。プリントではそれぞれの漢字がハン・ヴィエトのどれに当たるか

を示した。学習者は内に漢字の音読みを書いてくるのが宿題である。毎

回, IiBASIC KANJI BOOfuの3課分から 4課分くやらいの量の漢字をまとめて

宿題とした。回によって異なるが毎回50字前後の漢字とハン・ヴィエトを提示し

たことになる。学習者にはこの宿題をすることによって,発音に注意しながら漢

字とハン・ヴィエトぞ結びつけてなるべく覚えてくるよう指示した。

5 -2.語嚢の類推練習のプリント

授業の中心になったのは,プリント B (前述の②,資料6参照)による類推の

練習である。仁コの中にはハン・ヴイエトが書かれており,外側に漢語の語葉が

書かれている。学習者は発音変化表を見ながら類推し, (の中にハン・ヴイ

エトを書いていく。プリントにのせた漢語の数は固によって異なるが,始めのう

ちは5叫固くやらいからはじめ,最終的には15叫固くやらいまで増やした。これらの語葉

は初級の学習者に教えるには難しすきfると思われるかもしれないが,学習者は意

味は母国語で全てわかっているので,これらの語葉を提示することにはなんら無

理はなかった。始めのうちは,筆者がそばにいて手助けしたり,学習者自身が変

イ院長を耳又り出して見比ぺながら類f佳していたのでE寺聞もかかっていたが,回を重

ねるごとに発音変化表を見ずに類推できるようになり,スピードもっき,類推も

正石笹になっていった。

5 -3.定着のためのゲーム

このプリント Bを用いて類推して理解した語葉を定着させるため,カードを作

りゲームのようにしてお互いに練習をさせることにした。カードは資料7のよう

に 2種類作った。 1つは 1枚につき漢語の語葉を一つず、つ書いた緑のカード,

一一 108一一

もう 1つは 1枚につきハン・ヴィエトの語葉を一つ書いた白のカードである。こ

れを机の上にバラバラにして撒き,正しく組み合わせていくものである。単純な

ゲームて守あったが,楽しみながらやっている様子てやあった。また,回が進むにつ

れ,学習者自身が自由に練習の形式を自由に考えてペア練習するようになった。

このカードは大変好評で,学習者たちは毎回家に持っていき練習した。

6,学習者の類推力の伸び

以上のような対去で補習授業を行った結果,授業開始前ゼ、ロだった類推力がど

れヤらい伸びたかについて述ぺる。類推力測定のためには授業開始前に用いた資

料 4のプリントを再び用いた。測定した時期は夏休み前で第5回の授業が終った

時点,本格的な類推棟習を始めてから 4回目が終った日欄である。このプリント

には30の漢語があり 60の漢字が使われているが,そのうちとの時点までに学習者

がIrBASICKAN JI BOOK~の正規の授業で学んt!~莫字は 17文字含まれている。

あとの43文字は未習の漢字である。また,これら30の熟語のうち, IrBASIC

KANJI BOOfuの中ですて℃学んでいたものは「政治,社会,行動,活動」の

4つのみである。したがってこのプリントを用いて測定することは,この時点で

も妥当であると判断した。

6 -1.類推力測定プリントの第2回実施結果

このプリント制度したところ 5名の学習者は速い者は 5分程度で問題を解き,

1番遅い者でも 10分以内で問題を解いた。各学習者の誤答の数と誤って答えた漢

語は次のようてやあった。

学習者A(0)

学習者B (4/解決,戦争,首相,関心)

学習者C (4/危険,犠牲,経験,関心)

学習者D (4/統一,美術,首相,義務)

学習者E (6/政治,企業,首相,営業,行動,活動)

まだ本格的な類推の練習は 4回しかしておらず,未習の漢字の方が圧倒的に多か

ったにもかかわらず,学習者Aは100%,学習者B,C,Dは87%,学習者Eは80%

の語葉を正しく類推できたことになる。筆者は学習者が50%くやらいは類推できる

一一 109一一

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だろうと思っていたが,この結果は予想、を上回るすばらしい結果だった。

6ー2.ill見の漢明蝶での学習者の様子

筆者はli"BASICKANJI BOOK.Jを用いた正規の漢字授業も受け持つていた

が,その授業の中でのベトナム入学習者の様子を感じたままに少し述べてみたい。

正規の授業では様々な国から来た非漢字国学習者が一緒に授業を受ける。始めの

うちはベトナム入学習者の他の学習者との違いは何も感じられなかったが,やが

て 5名の学習者がハン・ヴイエトと重なる漢語の存在に非常に興味を持ち,漢

字学習に対して前向きに取り組んでいる様子がうかがえるようになった。日本語

学習の経験のない非漢字国学習者にとって次々と出てくる漢字の学習が好きにな

れるかどうか,覚えることを大きい負担と思わずに頑張れるかEうかは,日本語

学習が成功するかどうかの 1つの鍵である。他の様々な国の非漢字圏学習者の中

にも漢字に非常に興味を持ち,おもしろさがわかってどんEん語葉を広げていく

者がたくさんいたが,ベトナムの 5名も漢字のおもしろさがわかっていったよう

である。また,次のようなことも授業中観察された。li"BASICKAN]I BOOK.J

では新い、漢語に英訳がついている。 5名のうち 3名は英語がかなりわかり,英

訳が役に立っているようだったが,あとの 2名は英語はほとんEわからず漢語の

英訳はあまり意味をなさなかった。しかし,補習授業で類推力がつくにつれ,テ

キストに出てくる漢語を見て類推し,ベトナム語てツモをしていることが多くな

っていった。英語がわかる 3名についても同様で,より早〈母国語での理解がで

きるようになった様子が観察された。

7.授業後のアンケートの結果と考察

補習授業は11月て終了したが,その後卒業間近の 2月に 5名の学習者に対して,

今回の授業全般についてのアンケートを行った。

7 -1.アンケートの内容とその結果

アンケートの内容と結果は以下の通りである。

質問1.漢字の勉強はおもしろいですか。

a はい (5) b. いいえ (0)

Eうしててやすか。

ー漢字は意味を持っているので,漢字を覚えると新い、言葉が覚えやす

くなるから。

ーベトナム語にはハン・ヴィエトがあるので:ベトナム人にとって漢字

は覚えやすいから。

ーハン・ヴィエトを勉強すると,漢語の意味がすくやわかるから。

ーベトナム語の言葉と似ている言葉が多いから。

質問 2. この補習授業を受けたことについてEう思いますか。

a とても役に立った (5)

b.少し役に立った (0)

c あまり役に立たなかった(0)

質問 3.漢語とハン・ヴィエトの類推力がついたと,思いますか。

a とてもついた (3)

b. まあまあついた (2)

c あまりつかなかった (0)

質問4.補習授業てや使ったいろいろな樹オについてどう思いますか。自由に書い

てく fごさい。

a 発音変化表・・ H ・H ・H ・H ・....…とても役に立った

b.発音変イ凶廉習用カード……おもしろくて覚えやすい

c クイズ用カード・ H ・H ・"……おもしろかった/とても覚えやすい

d.プリント A,B…".・ H ・"…いろいろな言葉があるので練習するとい

い勉強になる/便利でおもしろい

質問 5.li"BASIC KAN JI BOOKn Iこ沿って補習授業をしたことについてどう思

いますか。

一出てくる漢字の順が同じなので覚えやすい。

ーいいか法だ。

一正規の授業で勉強した漢字の語葉をさらに広められるのでいい。覚え

やすい。

質問6.補習授業のプリントA,Bに出てきた言葉は適当ですか。

a 適当だ (4)

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b.難しすぎる (0)

C 古い言葉がある(1)

質問 7.補習授業の回数はどうですか。

a ちょうどいい (4)

b. もっと多い方がいい(1)

C もっと少ない方がいい (0)

質問8.今回の授業を改善するとしたら Eうすればいいですか。

ーたくさん練習したいので, もっとたくさんプリントを作ってほしい。

7ー 2.考察

このこのアンケートの質問の 1から 3までは,漢字学習やこの補習授業に対す

る学習者の自己評価である。この結果を見てみると,学習者は全員漢字の勉強が

おもしろいと感じており,今回の補習授業の内容もほぼ肯定的にとらえているこ

とがわかる。そして自分たちの類推力についてもかなり自信を持てるようになっ

た様子がわかる。特に質問 1の漢字の勉強が好きな理由として,学習者が母国語

との共通性や,共通性があることのメリットを挙げたことは,今回の授業の目標

の「①日本語とベトナム語の共通語葉についての認識を深めること」が達成でき

たと考えてよいだろう。また目標の「②日本語の漢語を見てその発音からベトナ

ム語の意味が類推できるようになること」についても,類推力が「とてもついた

(3名)Jrまあまあついた (2名)Jという回答や類推力測定の第2回の結果から見

でほぼ達成できたといえる。ただし,今回の授業てやは漢語とハン・ヴィエト両方

を示して類推するという形式をとったので,ある文章を読んでその中の漢語カTハ

ン・ヴィエトの何に当たるのかを自分の力で的確に類推できるようになったかE

うかは,石寵かめることはできなカヨった。 しかし,始めにたてた目標は達成できた

と考えられるので:あとは学習者自身が自分の力で語葉を広げ,定着させていく

しかないてやあろう。

次に質問の 4以降は授業の具体的な進め方についての回答であるが,漢字のメ

インテキストであるIT"BASICKANJI BOOK.II に沿って漢字や熟語を提出して

いったことを全員がいい対去だと評価した。補習授業であるという性質上,学習

者になるべく負担の少ない方法で効率よく進めたいと考え,このようなシラパス

をたてたのは適当だった。また,様々な教材については学習者の学習スタイノレに

も関わるし好みの問題もあるようだが,ゲーム的な要素を持つものは全員から好

評であった。プリント A,Bについても,肯定的な評価が得られた。筆者として

もなるべく単調な練習になりないようにと考えたプリントてやはあったが,いつも

形式が同じなのであるいは学習者が飽きてしまうのではないかと危倶していた。

ところが,アンケートの結果は「いろいろな言葉があるのでいい練習になるJ r便

利でおもしろい」などとなっており,学習者の姿勢が真面目で、前向きてやあったせ

いであろうが,予想以上に楽しんでいたようである。もっとたくさん練習をした

いという声もあり,需¥JL..、さがうかがえた。同じような形式の練習で、あっても,語

葉が広がり類推力がついていくのが自分でも実感できるので楽しカ3ったのだろ

フ。

8.今後の課題

以上, 1997年度の授業内容について述ぺてきた杭 1回30-40分,約10回の補

習授業という形てや行ったものとしては,かなり内容が濃かったと思う。特定の国

の学習を対象とした授業なので指導の時聞が限られるし,そのためにさける教師

側のエォ、ノレギーにも限りがある。したがって, この?らいが限度ではないかとい

う気がするが, もし再びこのような指導をする機会があるなら,いくつかの改善

点が考えられる。

まずはじめに孝財オにゲーム的な要素のものを増やしていくことである。今回は

筆者自身時間的余裕が十分なかったこともあり,カードによる練習は途中で作成

するのをやめたが,学習者たちに手分けしてカードを作ってもらい,互いに交換

しあって練習していくか法も考えられる。

次に,今回は基礎資料が完全に準備できなかったため行わなかったが, r gia

t合CJ と「家族」のように同じ漢字から来ていて意味が異なっている語葉をまとめ

て提示できればもっとよかったと思う。このような似て非なる語葉を知っておく

ことは,学習者にとって大変メリットがあるだろう。さらに,ハン・ヴイエトと

漢語てやは字の順が逆の3E最もいくつかある。例えは rgi<1i thi~u (介紹)Jは「紹

介する」という意味である。その他,ハン・ヴィエトと漢語てやは,品詞が異なる

-II3一

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ものもある。一方では名詞としてのみ使われているものが, もう一方では名詞・

動詞の両方に用いられるなどの場合である。

これらの指導は,類推力をつけるという目標を越えて語葉のt器幕にまで入り込

んでしまうが,いずれにせよ,これらについての指導を行うためには,基礎資料

をさらに充実させていく必要がある。

最後になったカミ共通語葉のカード化の作業に協力してくださった門池恵子氏,

オ、イテイプ・チェックを'1夫〈引き受けてく fごさったレー・ホアン・タイン氏に心

から感謝する。

参考文献

(1) ド・ド・ミン「常用漢字表J 1990年,メコン・センター

(2) 竹内興之助「越日日越合本辞典J 1990年,大学書林

(3) Hoang Phe, TU DIEN TIENG VIJtT, N白AXU丘TBAN GIAO DUC, 1994

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資料1 基礎資料…・・共通語棄のカード側

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資料4 実関佳力測定に用いたプリントf¥(、戸、 r-¥r¥(、(、

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部ヰ7 定着のためのゲームの例

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