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平成26年度製造基盤技術実態調査 ヘリウムの世界需給に関する調査 20152

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平成26年度製造基盤技術実態調査ヘリウムの世界需給に関する調査

2015年2月

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本資料の内容

(0)本調査の目的

(1)2020年までのヘリウムの需給見通し

(2)ヘリウムの世界需給の現状

(3)ヘリウムの供給

(4)ヘリウムの需要

(5)将来的な供給逼迫に備えるための対策

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(0)本調査の目的

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本調査の目的

ヘリウムはあらゆる物質のなかで最も沸点が低く、熱伝導性が高いことや他の物質と反応しない不活性物質であることから、多種多様な産業において使用されている。

ヘリウムは天然ガスに含有されているものを分離・精製して生産しているが、採算性の観点からヘリウム単独での採掘は行われておらず、天然ガス採掘時の随伴品として生産されていることから、ヘリウムの生産量は天然ガスの生産状況に大きく左右される。

現在、世界のヘリウムの約8割は米国から供給されており、我が国のヘリウム国内需要の92%(2013年)は米国からの輸入に依存している。

しかしながら、米国においてはヘリウムを含有したガス田の産出量減少、米国土地管理局(BLM)による国家備蓄の民間払出し量の減少、施設トラブルの長期化による供給の不安定化など、諸問題が発生している。

一方で、需要面においては、新興国におけるMRI設置台数の増加、通信インフラ整備によ

る光ファイバー市場の拡大などによって、世界市場におけるヘリウムの需要は増えていくと予想されている。

そこで、ヘリウムの世界需給に関する調査を行い、近い将来に予想される世界的なヘリウムの供給逼迫に備え、我が国産業への影響を最小限とするための対策の検討を行うことを目的とする。

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(1)2020年までのヘリウムの需給見通し

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(1)2020年までのヘリウムの需給見通し

2020年までのヘリウム需給見通し 2012~2013年頃は世界のヘリウム需給が逼迫していたが、2014年は需給の均衡を取り戻している

ヘリウム需要は、2013年以降年率平均2.6%の成長率が見込まれており、この成長率が維持されれば、2016年以降には再び需給が逼迫する可能性がある

図 2020年までのヘリウム需給見通し

0

50

100

150

200

250

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

(MMcm)

オーストラリア

ポーランド

ロシア(Orenburg)

ロシア(東シベリア)

アルジェリア

カタール

米国(BLM以外)

米国(BLM)

需要

(出典)BLM, “Mineral Commodities Summaries 2015: Helium”、ヒアリング結果等を基に作成

※2009~2013年:実績値、2014年~:推計値(ただし、2013年の需要は推計値)

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(1)2020年までのヘリウムの需給見通し

2020年までのヘリウム需給見通しに影響を及ぼす因子の例 ヘリウム需給は、下表のような需給に影響を及ぼす因子により、供給側/需要側共に拡大・縮小す

る可能性がある

供給 需要

拡大

【米国】

・主力のHugoton Fieldにおけるヘリウムを含有するガス田開発が進展

【アルジェリア】

・原料ガスの確保により、プラント稼働率が向上

【ロシア(東シベリア)】

・新規ヘリウムプラントからの生産開始

【MRI】

・新興国におけるMRI導入台数の大幅な増加

【光ファイバー】

・新興国における生産増によるヘリウム消費原単位悪化

【半導体】

・ヘリウム使用量の多い製品の生産比率増加

【リークテスト】

・新規産業(FCV向け水素タンク、蓄電池、CNG車等)におけるヘリウムリークテスト需要の拡大

縮小

【米国】

・新規ヘリウムプロジェクトの拡張中止、遅延

【カタール】

・QatarⅢの立上げが遅延

【アルジェリア】

・原料ガスの不足により、プラント稼働率が悪化

【ロシア(東シベリア)】

・新規ヘリウムプラントの立ち上げが2020年代に遅延

【オーストラリア】

・LNG液化設備の稼働率悪化、ヘリウム生産量縮小

【MRI】

・新興国でクローズドMRIの普及拡大、ヘリウム再液化装置の搭載率向上

【光ファイバー】

・ヘリウム回収装置の導入進展、製造工程の見直し

【半導体】

・製造プロセスの一部でアルゴン代替、製造工程の見直し

【リークテスト】

・回収装置の導入進展、希釈ヘリウム利用の進展

【その他】

・溶接における他ガス利用、浮揚ガスにおけるヘリウム使用量節約、分析分野におけるヘリウム消費量の低減

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(2)ヘリウムの世界需給の現状

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(2)ヘリウムの世界需給の現状

世界におけるヘリウムのマテリアルフロー 2013年までは米国からのヘリウム輸出量が世界的に規模が大きいが、今後は米国からの輸出量が

縮小し、代わってカタールから各地への輸出量が大きくなる

図 世界のヘリウムマテリアルフロー(2013年)(出典)UN Commtrade Trade Statistics、USA Trade Online、ヒアリング結果等を基に作成

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(2)ヘリウムの世界需給の現状

世界におけるヘリウムの生産量 2013年から2014年にかけて米国BLMからのヘリウム払出量が大きく低下しており、BLM以外の生

産量についても、主力のHugoton Fieldが減退していることから生産量が減少傾向にある

代わってカタールではQatarⅡが生産開始したことを受け、2014年の年間生産量は50 MMcmを超える規模まで拡大している

アルジェリアでは、2013年にSkikdaのプラント拡張工事が完了し、生産規模が拡大している

図 世界のヘリウム生産量(2013年、2014年)(出典)BLM, “Mineral Commodities Summaries 2015: Helium”、ヒアリング結果等を基に作成

28%

40%

14%

10%

3% 2%

3%

生産量(2013年):175.0 MMcm

15%

38%27%

12%

3%2% 3%

生産量(2014年):194.0 MMcm

米国(BLM)

米国(BLM以外)

カタール

アルジェリア

ロシア(Orenburg)

ポーランド

オーストラリア

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(2)ヘリウムの世界需給の現状

世界におけるヘリウムの輸出量 米国におけるヘリウム生産量の低下に伴い、2014年における米国の世界全体のヘリウム輸出に占

めるシェアは44%まで低下している

代わって、中東(カタール)からのヘリウム輸出量は全体の35%を占めるまでに拡大しており、今後米国からの生産量がさらに低下するに従って、益々ヘリウム輸出に占めるカタールの存在感が増すものとみられる

図 世界のヘリウム輸出量(2013年、2014年)

(出典)UN Commtrade Trade Statistics、USA Trade Online、ヒアリング結果等を基に作成

66%

15%

11%

3%5%

輸出量(2013年):122.9 MMcm

44%

35%

16%

1%4%

輸出量(2014年):149.2 MMcm

米国

中東(カタール)

アフリカ(アルジェリア)

欧州

オセアニア

(オーストラリア)

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(2)ヘリウムの世界需給の現状

世界におけるヘリウムの消費量 ヘリウムの主要な需要国としては、米国、欧州、日本、中国、韓国、その他アジアなどが挙げられる

米国や欧州、日本などの先進国では、MRI向けヘリウム消費量が順調な伸びを見せている

中国や韓国、その他アジアなどでは、近年光ファイバーや半導体向けのヘリウム消費量が拡大、経済成長の持続に伴い、今後はMRI向けのヘリウム消費量も拡大していくものとみられる

図 世界のヘリウム見掛消費量(2013年)(※見掛消費量=生産量+輸入量-輸出量)

(出典)UN Commtrade Trade Statistics、USA Trade Online、ヒアリング結果等を基に作成

24%

5%

5%

23%9%

9%

7%

1%

9%

2%1% 1%

4%

見掛消費量(2013年):165.1 MMcm

米国

カナダ

メキシコ

欧州

日本

中国

韓国

インド

その他アジア

中東

アフリカ

オセアニア

中南米

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(2)ヘリウムの世界需給の現状

日本のヘリウム輸入量・価格 日本では国内のヘリウム需要を100%輸入に依存し、2013年までは9割超のヘリウム需要量を米国

産で賄ってきたが、2014年にはカタール産ヘリウムの輸入量が大幅に増えている

ヘリウム市場では、米国BLMが発表するヘリウム払出価格が国際価格の指標となっているが、近年民間向けBLMヘリウム払出価格が上昇傾向にあり、日本の輸入価格(CIF)も上昇している

図 日本のヘリウム輸入量と輸入価格の推移

(出典)財務省貿易統計を基に作成

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2010 2011 2012 2013 2014

(円/m3)(Mcm)

その他

カタール

米国

CIF (USA)

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(3)ヘリウムの供給

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(3)ヘリウムの供給

米国:BLMによるヘリウムの払出量見通し これまで主要なヘリウム供給元であった米国BLMは、ヘリウム払出しに係る新たな法律である

Helium Stewardship Actを2013年10月に可決し、その後はBLMからのヘリウム払出量を徐々に低下させ、ヘリウム貯蔵量が83 MMcmに達した時点で民間向け払出しを終了する方針を示している

また2015年度からはヘリウムのオークションを開始しており、民間向けヘリウムは徐々にオークションの枠を拡大していく方針を示している

図 BLMによるヘリウム払出量の見通し(※FY:Fiscal Year)

(出典)US Federal Register Vol.79(141) 2014を基に作成

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(3)ヘリウムの供給

米国:ヘリウム払出価格とオークション 2014年7月に実施された2015年度分のヘリウムオークションでは、12回の入札を経て92.8MMcf

(約2.6MMcm)が完売となり、平均価格約161ドル/Mcf(約5.81ドル/m3)という高値で取引された

オークションのヘリウム価格は、2015年度の民間向けヘリウム価格指標に反映されており、オークションの高値に引きずられ、前年度よりも11ドル/Mcf高い106ドル/Mcf(約3.83ドル/m3)となった

図 ヘリウム価格の推移(※Mcf = 1,000立方フィート)

(出典)BLM Crude Helium Priceを基に作成

0

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40

60

80

100

120

140

160

180

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

20

09

20

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11

20

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20

13

20

14

20

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($/Mcf)

政府機関向け

民間向け

オークション(平均価格)

オークション結果が民間向けヘリウム価格指標に

反映

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(3)ヘリウムの供給

米国:ヘリウム生産設備の分布 2015年1月現在、米国では7基のヘリウム精製プラントが稼働中となっている

BLMが運営するパイプライン設備に接続し、国家備蓄から供給されるヘリウムを精製するプラントは元々6基稼働していたが、現在Air ProductsとPraxairのプラント2基が停止している

図 米国における民間主要ヘリウム生産設備の位置

(出典)BLM, “Pipeline Activity Map”、ヒアリング等を基に作成

稼働中

計画中

停止中

Praxair - Bushton

Air Products-Panhandle

Air Products- Liberal

Linde- Otis

Praxair- Jayhawk

Midstream- Badger

DCP Midstream

ExxonMobil- Shute Creek

Air Products-Doe Canyon

Nacogdoches

APMTG- Big Piney

Cliffside Field

Cliffside

BLMパイプライン

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(3)ヘリウムの供給

米国:シェールガス開発の経済性とヘリウム生産の関係 米国ではシェールガス開発が大きく拡大しているが、シェールガスにはヘリウムがほとんど含まれて

おらず、ヘリウムを含有する在来型ガス田の開発が停滞することが危惧されている

ただし、シェールガス田の開発コストは、必ずしも在来型ガス田の開発コストよりも経済的ではなく、またヘリウムを含有するガス田の開発は、ガス田ごとのヘリウム含有率により経済性が左右する

現在は経済性の高いシェールガス田の開発が進んでいるが、ヘリウム取引価格の動向によっては、ヘリウムを含有する既存ガス田の経済性が相対的に高まり、開発が進展する可能性もある

図 ガス田の種類による開発経済性(単位:USD/MMBtu)

(出典)IEA, “Resources to Reserves” (2013) に加筆

ヘリウムを含有する可能性がある

ヘリウムを含有しない

ガス田の開発経済性はガス田ごとに異なる

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(3)ヘリウムの供給

米国:ヘリウム生産量の見通し 米国(BLM以外)におけるヘリウム生産量は、これまで75 MMcm/年前後で推移してきたが、今後

生産量の縮小が見込まれており、2020年には約66 MMcm/年の生産量まで落ち込むとみられる

新規プラントとしては、Air Products/MathesonによるBig Pineyが2014年に稼働開始し、AirProductsがオペレーターを務めるDoe Canyonも2015年に稼働開始が見込まれている

図 米国におけるヘリウム生産量の見通し(出典)BLM, “Mineral Commodities Summaries 2015: Helium”、ヒアリング結果等を基に作成

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(3)ヘリウムの供給

カタール:天然ガス生産量の推移 米国以外ではLNG液化設備に付帯してヘリウム回収事業を実施するプロジェクトが多く、世界最大

のLNG生産国であるカタールには、QatarⅠとQatarⅡという2基のヘリウムプラントが存在する

ヘリウム生産量は、LNG液化設備における稼働率に大きく左右されるが、カタールでは天然ガス生産量が右肩上がりを続けており、LNG生産量についても順調に推移している

図 カタールにおける天然ガス生産推移

(出典)Cedigaz Statistical Databaseを基に作成

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(3)ヘリウムの供給

カタール:ヘリウム生産量の見通し カタールにおけるLNG生産量は、今後2020年にかけて拡張計画はなく、約7,800万トン/年の水準

で横ばいに推移していくものとみられる

一方ヘリウムプラントについては、2014年以降はQatarⅡからの生産量が大幅に拡大し、2017年頃にはQatarⅢの稼働開始も控えており、最大で65 MMcm程度の水準まで生産量が拡大する

図 カタールにおけるヘリウム・LNG生産量の見通し(出典)BLM, “Mineral Commodities Summaries 2015: Helium”、ヒアリング結果等を基に作成

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(3)ヘリウムの供給

アルジェリア:天然ガス生産量の推移 アルジェリアでは、Arzew LNGとSkikda LNGにそれぞれヘリウムプラントが付帯している

アルジェリアでは新規ガス田の発見が思うように進んでおらず、天然ガス生産量も横ばいで推移しており、今後新規ガス田の発見が滞ると、LNG液化設備でガス不足から稼働率が低下する恐れもある

図 アルジェリアにおける天然ガス生産推移

(出典)Cedigaz Statistical Databaseを基に作成

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(3)ヘリウムの供給

アルジェリア:ヘリウム生産量の見通し アルジェリアにおけるLNG生産量は、近年減少傾向にあり、2013年の生産量は設備容量の5割強に

過ぎない1,081万トン/年であったが、原料ガスの確保による稼働率の向上が期待されている

2013年12月にSkikda LNGに付帯するHelisonヘリウムプラントの拡張工事が完了し、アルジェリアにおけるヘリウム生産量は拡大しており、今後25 MMcm/年超の生産水準が見込まれている

図 アルジェリアにおけるヘリウム・LNG生産量の見通し(出典)BLM, “Mineral Commodities Summaries 2015: Helium”、ヒアリング結果等を基に作成

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(3)ヘリウムの供給

ロシア:中国との天然ガス売買契約の締結 ロシアと中国は、長年にわたりロシアから中国への天然ガス供給に関する協議を進めてきたが、

2014年5月に天然ガス38 Bcm/年を30年間にわたり供給する大型売買契約を締結した

国営ガス会社Gazpromが開発を進めるのは、ヘリウムを含有するChayandinskoyeガス田であり、ヘリウムプラントは中国との国境都市Blagoveshchenskに設置し、2018年からの生産開始を目指す

図 Gazpromによる東シベリア開発計画

(出典)JOGMEC「どこへ向かうのかロシア-東方に敢然と流れ出す石油天然ガス-」(2014年9月)

ヘリウムプラント建設予定地

天然ガス→中国へ

ヘリウムを含有するガス田

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(3)ヘリウムの供給

ロシア:欧米制裁による東シベリア開発への影響 2015年1月現在、ロシアによるウクライナ東部への軍事介入に対抗するため、米国・EUはロシアの

石油開発に対する資金調達の制限や機材・サービス・技術の供与などの提供を禁止する制裁を実施している

これらの経済制裁は主に北極圏における油田探査やシェールオイル開発にかかわる分野に留まり、在来型天然ガス田開発を阻止することを目的としていない

技術供与に関しても、ヘリウム開発の技術についても対象となっていないため、ヘリウム開発への影響は限定的とみられる

(出典)JOGMEC「ロシア: 欧米による追加制裁とロシアの石油ガス開発の将来展望」(2014年10月)

大水深・北極海・シェールオイル開発への掘削・テスト・検層等へのサービス禁止、機材輸出の事前認可

Rosneft、Transnft、Gazpromneftに対する30日超の満期の資金調達禁止

天然ガスに関する機材は非対象

EUによる経済制裁例

Rosneft、Gazprom、GazpromNeft、Lukoil,、Surgutneftegazへの大水深・北極海・シェールオイル開発に係る機器、サービス、技術の提供禁止

Gazprombank、VEB、Rosneft、Novatekに対する90日超の満期の資金調達禁止

米国による経済制裁例

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(3)ヘリウムの供給

ロシア:ヘリウム生産量の見通し(東シベリア) 東シベリアにおけるヘリウム埋蔵量は16Bcm(世界のヘリウム需要約80年分)に上ると見込まれて

おり、Gazpromは年間60MMcmのヘリウムプラント建設を目指している

Gazpromは2018年からの生産開始を目指すとしているが、本調査では開発の遅延等により2020年から生産開始するものと見込んでいる

図 ロシア東シベリアにおけるヘリウム生産量の見通し

(出典)ヒアリング結果等を基に作成

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(3)ヘリウムの供給

世界:ヘリウム生産量の見通し 世界におけるヘリウム生産量は、2020年に205MMcmに達するものとみられる

米国の生産量低下を補う形でカタールの生産量が拡大する見込みとなっている

図 2020年までのヘリウム生産量見通し

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50

100

150

200

250

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

(MMcm)

オーストラリア

ポーランド

ロシア(Orenburg)

ロシア(東シベリア)

アルジェリア

カタール

米国(BLM以外)

米国(BLM)

(出典)BLM, “Mineral Commodities Summaries 2015: Helium”、ヒアリング結果等を基に作成

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(4)ヘリウムの需要

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(4)ヘリウムの需要

日本における分野別ヘリウム需要シェア 日本におけるヘリウム需要は、約10.3MMcm(2014年)であり、主要4産業(MRI、光ファイバー、半

導体、リークテスト)で全体の6割以上を占める

日本では、ヘリウムユーザー企業が2012~2013年にヘリウム需給が逼迫した後、生産プロセスにおけるヘリウム使用量の見直しや代替ガスの利用、ヘリウムの回収・リサイクルなどに取り組み、既存産業においてはヘリウム消費量が減少傾向にある

図 日本の分野別ヘリウム消費量(2014年)

(出典)一般社団法人日本産業・医療ガス協会「ヘリウム生産・販売実績一覧表」を基に作成

2,579

1,553

1,2711,200

706

706

212

560

1,497

消費量(2014年)10,285 Mcm

MRI

光ファイバー

半導体

リークテスト

分析

溶接

バルーン・飛行船

低温工学

その他

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(4)ヘリウムの需要

MRI:市場規模、ヘリウム生産量の見通し MRIの市場規模は、2013年から2019年にかけて、世界全体で年率8.3%拡大すると推計されており、

中国やインドといった新興国で今後の高成長が見込まれる

MRI向けヘリウム需要については、中国で年率10%近い成長が見込まれているが、中国ではヘリウムを使用しない永久磁石式MRIが多く普及しており、MRI市場規模との拡大トレンドとは必ずしも一致しない

米国、欧州及び日本などでは、ヘリウム回収・再液化装置を搭載する超伝導式MRIが普及しており、MRI使用時におけるヘリウムのユニット消費量は漸減していくものとみられる

図 MRI向けヘリウム消費量の見通し

(出典)実績・推計データ(2009~2013年):IHS, “Chemical Economics Handbook:Helium,” March 2014、推計(2014~2020年):ヒアリング結果等を基に作成

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

アジア

中国

日本

西ヨーロッパ

米国

(MMcm)世界のMRI市場規模

世界におけるMRI市場規模は、金額ベースで60億USドル(2013年)程度である。

市場規模としては、米国、欧州、中国、日本の順で大きいが、中国では永久磁石式MRIのシェアが大きい。

世界におけるMRI市場は、2020年代には金額ベースで100億ドルを超える規模まで成長する見込みである。

(出典)各種ヒアリング結果等を基に作成

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(4)ヘリウムの需要

世界におけるMRIの導入台数 世界におけるMRI導入台数は、米国、日本、欧州が多く、下図には記載がないが中国でも既に

2,000台以上導入されているとみられている

今後、上記以外にもMRIの導入が進み、MRI向けヘリウム需要の分散が進むとみられる

図 OECD加盟国におけるMRI導入台数(2012年)

(出典)OECD.Stat Medical Technologyを基に作成

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(4)ヘリウムの需要

光ファイバー:市場規模、ヘリウム生産量の見通し 世界全体では、光ファイバー需要は増加傾向にあり、2013年から2016年にかけて年率約5%で成長

を続けていくと推計されている

光ファイバー向けヘリウムは、製造工程で使用されるため、光ファイバーの主要生産国である米国や中国で需要規模が大きく、今後は中国やアジア(主にインド)でさらなる拡大が見込まれている

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

アジア

中国

日本

西ヨーロッパ

米国

(MMcm)

図 光ファイバー向けヘリウム消費量の見通し

(出典)実績・推計データ(2009~2013年):IHS, “Chemical Economics Handbook:Helium,” March 2014、推計(2014~2020年):ヒアリング結果等を基に作成

世界の光ファイバー市場規模

世界における光ファイバー市場規模は、コア(光ファイバーの芯)の長さにして約2.1億kmあり、2017年には約2.4億kmを超えるとみられている。

中国が世界の生産シェアの3割、需要の6割を占めるとみられている。

その他の主要生産国は米国と日本であり、中国・米国・日本で生産シェアの8割超を占める。

(出典)各種ヒアリング結果等を基に作成

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(4)ヘリウムの需要

半導体:市場規模、ヘリウム生産量の見通し 世界の半導体市場は、2010年から2012年にかけてゆるやかな減少傾向が見られたが、2013年以

降は年率5%程度と堅調に市場が拡大していくことが予測されている

半導体向けヘリウムは、製造工程で使用されるため、半導体の主要生産国である米国やアジア(特に韓国、台湾)において需要が大きく、今後はこれらの地域に加え、中国でも需要が大きく拡大していくとみられる

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

アジア

中国

日本

西ヨーロッパ

米国

(MMcm)

図 半導体向けヘリウム消費量の見通し

(出典)実績・推計データ(2009~2013年):IHS, “Chemical Economics Handbook:Helium,” March 2014、推計(2014~2020年:)ヒアリング結果等を基に作成

世界の半導体市場規模

世界における半導体市場規模は、金額ベースで3,100億USドル程度(2013年)となっている。

主要な生産国は、台湾や韓国などのその他アジアであり、世界の生産シェアの約7割を占めている。

2010年代後半には、世界の半導体市場は4,000億USドル規模まで拡大するとみられる。

(出典)各種ヒアリング結果等を基に作成

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(4)ヘリウムの需要

世界の超電導磁石、光ファイバー、半導体の製造拠点 ヘリウム消費量の大きい超伝導磁石(MRI向け)、光ファイバー、半導体産業の製造拠点は、米国、

欧州、日本、中国、アジアに集中しており、産業向けヘリウム需要が大きい地域となっている

図 世界における超伝導磁石、光ファイバー、半導体の主な製造拠点

(出典)各種資料を基に作成

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(4)ヘリウムの需要

リークテスト:市場規模、ヘリウム生産量の見通し ヘリウムリークテスターの用途は、真空器を始め、自動車や家電、ガス配管、食品など多岐にわたり、

正確な市場規模の把握及び予測は困難であるが、市場としては日本、米国、欧州が大きい

新興国においては、先進国で利用されていたリークテスターが、新興国への工場移転に伴い移動する場合などもあり、販売台数と利用台数が一致しない

今後、新興国において、工業製品に対する品質の要求が高まってくると、ヘリウムリークテストの需要がさらに拡大するものとみられる

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

アジア

中国

日本

西ヨーロッパ

米国

(MMcm)

世界のリークテスト市場規模

世界におけるヘリウムリークテスターの年間販売台数は4,000~5,000台とみられている。

日本、米国、欧州でそれぞれ1,000台前後、その他は中国や新興国向けと考えられている。

図 リークテスト向けヘリウム消費量の見通し

(出典)実績・推計データ(2009~2013年):IHS, “Chemical Economics Handbook:Helium,” March 2014、推計(2014~2020年):ヒアリング結果等を基に作成

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(4)ヘリウムの需要

主要4産業における業界動向 ヘリウムを使用する主要4産業(MRI、光ファイバー、半導体、リークテスト)では、新興国を中心に今

後さらなる需要の拡大が見込まれており、社会のニーズに合わせた各種技術開発も進められている

市場動向 技術開発

MRI 中国やアジアを中心とした新興国が成長市

場とされ、今後売上における新興国の割合は上昇する見込み。

ノイズ低減技術、非造影技術等の開発により、更なる高画質化に取り組まれている。

光ファイバー

欧州の市場規模は横ばいだが安定しており、欧州メーカーのPrysmianやNexansにとっては主要な市場となっている。

欧米系企業は成長市場である中国・アジア等でのシェア拡大を目指している。

米国ではデータセンター向けの需要が拡大。

長距離・大容量・高速のネットワークに対応した光ファイバーの開発が進められている。

高い曲げ特性や小型化・軽量化の技術開発が進み、配線工事の効率化や収納スペース削減が期待される。

半導体

米国、欧州、中国、韓国、台湾等が主要な市場であるが、特にスマートフォン向けプロセッサー等はアジア地域への出荷比率が高い傾向がある。

高速化、省エネルギー化、高画質化(画像処理用)といった方向性での技術開発が進められている。

今後、スマートグリッド、医療、車載用といった新分野へも事業拡大していく見込み。

リークテスト

米国、欧州、アジアの3地域が主な市場で

あり、近年はアジアや南米における売上が拡大。

リークテスターの売上は、半導体製造装置や自動車の市況に影響を受ける。

研究、半導体製造、タンク製造向けなど、用途に応じたリークテスターが開発されている。

ヘリウム回収機器もオプションとして販売されている。

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(4)ヘリウムの需要

世界における分野別ヘリウム需要の見通し 2013年の世界におけるヘリウム消費量は、MRIで25.2 MMcm、半導体で20.4 MMcm、光ファイ

バーで11.6 MMcm、リークテストで8.5 MMcmであり、世界需要の3分の1程度を占める

その他にヘリウム需要の大きい分野としては、溶接や浮揚ガス(風船、飛行船向け等)、分析(ガスクロマトグラフィー)、基礎研究等が挙げられる

図 2020年までの分野別ヘリウム需要見通し

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150

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250

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

その他

リークテスト

光ファイバー

半導体

MRI

(MMcm)

(出典)実績・推計データ(2009~2013年):IHS, “Chemical Economics Handbook: Helium,” March 2014、推計(2014~2020年):ヒアリング結果等を基に作成

Page 38: 報告書(公表用) 150323修正.ppt [互換モード]5 (1)2020年までのヘリウムの需給見通し 2020年までのヘリウム需給見通し 2012~2013年頃は世界のヘリウム需給が逼迫していたが、2014年は需給の均衡を取り戻している

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(4)ヘリウムの需要

地域別ヘリウム需要の見通し 地域別にみると、今後ヘリウム需要は北米や欧州、日本では横ばいで推移し、中国やその他アジア

で大きく拡大するものとみられており、世界全体の需要は221MMcmに達する

需要が拡大する地域では、経済発展に伴う先端医療へのアクセス向上やハイテク産業拠点の立地拡大などにより、ヘリウム消費量が拡大するものとみられる

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

オセアニア

その他アジア

中国

日本

アフリカ

中東

東ヨーロッパ

中央ヨーロッパ

西ヨーロッパ

中南米

北米

(MMcm)

図 2020年までの地域別ヘリウム需要見通し

(出典)実績・推計データ(2009~2013年):IHS, “Chemical Economics Handbook: Helium,” March 2014、推計(2014~2020年):ヒアリング結果等を基に作成

Page 39: 報告書(公表用) 150323修正.ppt [互換モード]5 (1)2020年までのヘリウムの需給見通し 2020年までのヘリウム需給見通し 2012~2013年頃は世界のヘリウム需給が逼迫していたが、2014年は需給の均衡を取り戻している

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(4)ヘリウムの需要

その他のヘリウム用途例:超電導リニア 超電導リニアは、車両に搭載した超電導磁石によって強力な磁場を発生させ、地上に配置された地

上コイルとの磁気相互力により浮上および走行を行う

超電導状態を維持するためには、ニオブチタン合金で作ったコイルを液体ヘリウムで-269℃に冷却する

2027年の中央新幹線開業時におけるヘリウム使用量は0.1 MMcm/年程度であり、走行中にガス

化したヘリウムは車載冷凍機により再液化するため、走行中はヘリウムの補充が不要である1

現在はヘリウム使用量が現行システムの1/100以下となる高温超電導システムの開発も進められているが、導入時期は未定である2

1,2ヒアリング結果に基づく

図 超電導リニア新型車両L0系(左)/超電導リニアが搭載する超電導磁石の模式図(右)

(出典)左:JR東海ホームページ(http://company.jr-central.co.jp/company/others/chuoshinkansen01.html)右:山梨県立リニア見学センターホームページ(http://www.linear-museum.pref.yamanashi.jp/about/structure.html)

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(4)ヘリウムの需要

その他のヘリウムの用途例:宇宙開発 宇宙開発では、ロケット打ち上げ時の燃料タンク加圧用ガスや、水素ガス配管のパージ用ガスとして

ヘリウムが利用されている

ロケット用の液体燃料としては液体水素/液体酸素の組み合わせが多く採用されており、エンジンへ燃料を送り込むためにヘリウムガスを用いて燃料タンクの加圧を行っている

ヘリウムは液体水素の極低温下でも液化せず、燃料中へ溶け込むこともないため利用されており、加圧用途にはヘリウムが必須となっている

図 H-ⅡAロケットの構造と搭載物(左)/液体燃料ロケットのタンク加圧方式(右)(出典)左:文部科学省 宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第10回)資料

右: JAXAホームページ(http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/structure_design_rockets03.html)

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(4)ヘリウムの需要

ヘリウム代替技術の例:高温超電導技術 ヘリウムの使用量を大きく削減することが期待されている新技術のうち、高い転移温度において超

伝導現象を引き起こすことが可能な高温超伝導技術が注目されている

-200℃以上で超伝導現象に至る超伝導体に対しては、高価なヘリウムではなく液体窒素などで冷却を代替することが可能であり、MRIなどの既存分野に加え、超電導リニアや超伝導送電などの新規分野に対しての適用にも期待が集まっている

図 高温超伝導送電ケーブルの構造

(出典)みずほ情報総研「超伝導送電 ―電力ロスを抑える次世代送電技術」(2013年)

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(5)将来的な供給逼迫に備えるための対策

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(5)将来的な供給逼迫に備えるための対策

ヘリウム供給逼迫に備えるための対策例 ヘリウムは日本の先端医療やハイテク産業に欠かせない資源であり、将来的な供給逼迫に備える

ために、下表のような取組みを実施していくことが重要になる

対策案 内容

供給

調達先との関係強化 カタールやロシアなど、新規ヘリウムプロジェクトが見込まれる

地域における外交関係の強化 調達先の多様化

開発権益の確保

ヘリウムの調達権益、またはヘリウムを含有するガス田の開発権益を確保することを推進

国際協力銀行(JBIC)や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が提供する公的融資の枠組みを活用する可能性の検討

需要

生産プロセスの見直しによるヘリウム消費量の低減/ヘリウム代替の推進

製品製造工程でヘリウムを使用するプロセスの見直し・最適化を実施し、ヘリウム消費量の低減やヘリウム代替の可能性を検討

ヘリウム回収・再液化装置導入 ヘリウム回収・再液化装置の導入が進むMRIに加え、その他産業

においても回収装置の設置、リサイクルを推進

ヘリウムを使用しない新技術の開発(例:高温超伝導技術)

高温超伝導技術を始めとするヘリウムを使わない先端技術開発の推進

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参考

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用語集

Mcf:Thousand Cubic Feet(千立方フィート)

Mcm:Thousand Cubic Meter(千立方メートル)

MMcm:Million Cubic Meter(百万立方メートル)

Bcm: Billion Cubic Meter(十億立方メートル)

BLM: Bureau of Land Management(米国土地管理局)

USGS:United States Geological Survey(米国地質調査所)