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関西ろうさい病院 連携通信 K a n s a i  R o s a i  H o s p i t a l かんろう . ねっと 2014-Feb. No. 14 P. 2-3 胃癌治療における 近年の動向と当院の取り組み 上部消化器外科副部長 谷口 博一 P. 4-5 当院における 消化管出血の診断・治療 消化器内科副部長 柄川 悟志 P. 6-7 ナビゲーションによる 正確な股関節手術 リハビリテーション科副部長 小山 毅

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関西ろうさい病院 連携通信

K a n s a i  R o s a i  H o s p i t a l

かんろう.ねっと2014-Feb.

No.14P.2-3

胃癌治療における近年の動向と当院の取り組み

上部消化器外科副部長谷口 博一

P.4-5

当院における消化管出血の診断・治療

消化器内科副部長柄川 悟志

P.6-7

ナビゲーションによる正確な股関節手術

リハビリテーション科副部長小山 毅

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Kanrou.net

はじめに 平素より多くの患者様をご紹介いただき誠にありがとうございます。上部消化管を担当しております谷口です。早期発見率の向上により胃癌の死亡率は低下傾向にあるとはいえ、いまだ悪性腫瘍における死因の多数を占めており、本邦における胃癌の罹患率は悪性腫瘍のうち第一位、その死亡率は第二位となっております。

胃癌治療 2001年に胃癌治療ガイドラインが発行され、全国的に治療の標準化が謳われるようになりました。現行は2010年の第3版となっており、当院もこれに基づいた治療を基本としております(表1)。

●手術 現在のところ、内視鏡治療適応外の胃癌において根治を目指せる治療は胃切除のみです。当院においては併存疾患を有する症例も多いのですが、他診療科のサポートも受けながら積極的な治療を行っており、2013年の胃切除術件数は105件でした。 早期胃癌に対しては定期的なキャンサーボードで消化器内科と協議の上、治療方針を決定し、内視鏡治療適応外であれば腹腔鏡手術としています。2013年では29件が腹腔鏡下胃切除でした。噴門側胃切除・幽門保存胃切除などの縮小手術も積極的に行っております。 進行癌における当院の特色としましては積極的に審査腹腔鏡を行っております。漿膜浸潤を疑う症例には原則的に施行し(2013年は29件)、これによって不要な試験開腹術の回避、迅速な化学療法の導入を心がけています(図1)。

●略歴 平成 9年 大阪大学医学部卒業      大阪大学医学部附属病院      第二外科研修医 平成10年 市立伊丹病院 外科医員 平成14年 大阪大学医学部      病態制御外科研究生 平成17年 大阪大学医学部附属病院      消化器外科非常勤医師 平成18年 神戸掖済会病院 外科医員 平成21年 NTT西日本大阪病院 外科医長 平成24年 関西労災病院 消化器外科副部長●資格 平成16年 日本外科学会認定専門医 平成20年 医学博士(大阪大学) 平成22年 日本がん治療認定機構がん治療認定医 平成24年 日本消化器外科学会認定専門医

胃癌治療における近年の動向と当院の取り組み

� 上部消化器外科副部長 谷口 博一

表1 進行度別治療法(胃癌治療ガイドライン第3版)

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●切除不能例 根治切除不能の場合には化学療法が原則となりますが、これも近年大きく変化してまいりました。現在、TS-1+シスプラチンが標準治療となっておりますが、2011年にHER2陽性例に対するハーセプチンの有用性が示されてからは、HER2陽性例ではゼローダ+シスプラチン+ハーセプチンが第一選択になっています。化学療法奏功例における胃切除(conversion surgery)や通過障害例における内視鏡下胃十二指腸ステント留置(図2)、限局的な再発例における放射線治療など集学的治療にも取り組んでおります。しかし、まだまだ改善が望まれる領域であり、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)、OGSG(大阪がん化学療法研究会)を始めとした多施設共同臨床試験に積極的に参加・登録を行い、新たなエビデンスの確立に努めているところであります。

地域連携 当院におきましては胃切除後には地域連携パスを導入しております。胃癌術後フォローアップ以外の日常診療については、ご紹介いただきました先生に引き続きご加療をお願いしており、患者様に「スマイルライフ -術後地域連携パス-」(図3)と称した冊子をお渡ししています。これは手術結果・治療経過・検査結果などを記入していく連携ノートで、かかりつけ医の先生方と情報を共有することで切れ目のない質の高い医療を心がけております。 患者様には最適な治療を受けていただくべくスタッフ一同、日々邁進しておりますので胃癌に限らず上部消化器疾患の患者さまを是非ともご紹介いただければと存じます。今後とも関西労災病院消化器外科を宜しくお願い申し上げます。

図1

図2

腸間膜結節 Douglas 窩結節漿膜浸潤胃癌

胃癌による幽門狭窄 ステント挿入後

審査腹腔鏡により術前CTでは

分からなかった播種結節を確認し

化学療法開始となりました。

肝転移のため手術適応はありませんでしたが、

幽門狭窄に伴う摂食不良を認めたため、ステントを挿入。

翌日から再び経口摂取が可能となりました。

図3スマイルライフ表紙 術後経過表(p9-10)

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Kanrou.net

はじめに

 いつも大切な患者様をご紹介いただき、誠にありがとうございます。 臨床で問題となる消化管出血は、上部消化管出血、下部消化管出血、さらに原因不明の消化管出血(Occult Gastrointestinal Bleeding:OGIB)に大別されます。OGIBの多くは、小腸内視鏡の進歩により診断が可能となりました。 当院ではダブルバルーン小腸内視鏡を2004年に、カプセル内視鏡を2008年に導入し、多くの小腸検査を経験しています。また、小腸内視鏡のみならず、2012年2月の内視鏡センター (http://www.kanrou.net/whatsnew/6051.html)立ち上げ以降、ますます多くの消化管内視鏡検査を行い、消化器外科との連携を図りながら、様々な消化管疾患の診療に当たっています。 消化管出血の原因となる疾患は、食道では、食道静脈瘤、食道癌などが代表的疾患であり、胃では、胃潰瘍、胃癌、マロリーワイス症候群などに比較的多く遭遇します。大腸では、虚血性大腸炎、大腸憩室出血、直腸潰瘍、大腸癌、放射線性直腸炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)を念頭に置き検査を進めます。原因不明の消化管出血として小腸の精査を行い、診断される疾患としては、小腸潰瘍、小腸血管性病変、小腸癌、小腸腫瘍、放射線性小腸炎などが挙げられます。

上部消化管出血

 食道、胃、十二指腸からの出血を指しますが、上部消化管内視鏡により診断・治療を行います。当院では年間約5000件の上部消化管内視鏡検査を行っており、吐血や血便などで来院された救急患者様の緊急内視鏡も積極的に行っています。食道静脈瘤に対する止血法は、緊急時には内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic Varices Ligation:EVL)を施行し、全身状態が落ち着いた後に内視鏡的静脈瘤硬化療法(Endoscopic Injection Sclelothrapy:EIS)により静脈瘤からの再出血を予防します。胃潰瘍からの出血に対しては、高周波止血鉗子による凝固止血、クリップによる機械的止血、エピネフリン加高張食塩水局注による組織圧迫止血から適切な止血法を選択し治療します。胃癌、GAVE、DAVEなどによる滲み出るような出血に対してはアルゴンプラズマ凝固療法(Argon Plasma Coaglation:APC)により凝固止血を行います。 胃潰瘍の診断に関する注意点としては、内視鏡的に良性の潰瘍と判別困難な進行胃癌も存在しますので、必ず生検による病理組織の確認、内服治療後の治癒確認の内視鏡を行うことが重要です。

●略歴 平成 9年 大阪大学医学部医学科卒業      大阪大学医学部附属病院 第一内科 平成10年 大阪厚生年金病院 内科 平成14年 大阪大学 消化器内科      研究生を経て大学院生 平成20年 大阪大学医学部附属病院      内視鏡センター 医員 平成22年 関西労災病院 消化器内科 平成24年  同 消化器内科副部長●資格 平成20年 医学博士(大阪大学 消化器内科学) 平成15年 日本消化器病学会 専門医 平成23年 日本消化器内視鏡学会 指導医

当院における消化管出血の診断・治療

� 消化器内科副部長 柄川 悟志

内視鏡センター内の様子

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下部消化管出血

 上部消化管出血の場合、血液は消化管を通過する間に変性し黒色便となりますが、大腸からの出血の場合、赤色の血便となることが多く、下部消化管出血が強く疑われる場合、下部消化管内視鏡(大腸内視鏡)により診断・治療を行います。緊急の下部消化管内視鏡検査も、可能であれば下剤を内服してもらい、大腸内の残便を極力減らし、観察しやすい状態で行います。 大腸憩室出血に対しては、出血点を同定できればクリッピングにより止血します。放射線性直腸炎に対してはAPCを用いることが多く、直腸潰瘍に対しては、露出血管を認める場合は胃潰瘍と同様に高周波止血鉗子を使用します。 虚血性大腸炎、炎症性腸疾患、大腸癌と診断した場合は絶食・安静・補液による保存的な治療を行います。

OGIB(Occult�Gastrointestinal�Bleecing)

 上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡で消化管出血の原因が不明である場合、小腸からの出血を念頭に置き、カプセル内視鏡またはダブルバルーン小腸内視鏡を行います。ただし、これらの内視鏡施行前には必ず腹部CTを撮影し、小腸の粗大病変の有無を確認しておくことが必要です。 カプセル内視鏡は、径11㎜、長さ26㎜のカプセルを飲むことで小腸の画像を撮影でき、検査を受ける方の体の負担が少ない利点がありますが、ダブルバルーン小腸内視鏡と異なり、生検や止血処置を行うことができませんし、血液で小腸粘膜が観察できない場合に水で洗うこともできません。 OGIBのマネージメントは、まだ確立された方法が無いのですが、まずカプセル内視鏡により小腸内の血液がどの部分から出現するか、あるいは出血源となる病変を確認した後に、生検や止血などの処置が必要であればダブルバルーン小腸内視鏡を施行するという流れが一般的になりつつあります。当院でも患者様の状態に応じてではありますが、上記の手順でOGIBの診断・治療に当たっています。 当院でのカプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡を行った症例を検討し、症状出現からカプセル内視鏡までの期間と、カプセル内視鏡による出血源の診断能の関連を解析したところ、カプセル内視鏡で出血源の診断が可能であった群は、診断できなかった群と比較して有意に症状出現から検査施行までの期間が短いことが明らかとなりました(消化器病学会近畿支部例会 シンポジウム 原因不明の消化管出血の診断と治療 2012)。 小腸の出血に対しては、内視鏡止血可能なものはAPCあるいはクリッピングによる止血を行います。また腫瘍性の出血の場合、内視鏡的止血は不可能であることが多く、外科切除が選択されます。

おわりに

 当院では消化管の内視鏡診断・治療を充実させるべく、日々の研鑽を積み重ねると共に、紹介いただいた症例を含め、これまで経験した症例に関する検討を行い、これからの診療のさらなる改善を目指しています。今後ともよろしくお願いいたします。

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Kanrou.net

はじめに 平素より数多くの患者様を御紹介いただきまして、ありがとうございます。当院では人工関節の手術を数多く手掛けているのが特色の一つです。近年、人工関節手術を正確かつ安全に行なうためのツールとして、手術ナビゲーションシステムが普及しつつあります。当院では、昨年4月より手術ナビゲーションシステムを導入し、股関節の手術に使用しております。今回は、ナビゲーションシステムを用いた人工股関節手術を御紹介いたします。

人工股関節全置換術 変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなどの股関節の変性疾患において、変性が進行して関節軟骨がほとんどなくなってしまった場合は、人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty、以下、THA)の適応となります。図1は、日本で多い臼蓋形成不全由来の左変形性股関節症の症例のレントゲン写真ですが、これに対してTHAを行なった後のレントゲン写真が図2です。THAを行なえば、股関節痛が消失し、歩きやすくなります。当院でのTHAの手術症例数は年間200件を超えており、兵庫県内でも有数です。 THAにおいては、インプラントを術前計画に沿って、適切な位置に適切な角度で設置することが重要です。インプラントの設置位置・設置角度不良は、手術の成績不良の原因となりまして、術後早期には脱臼の原因となり、長期的には摩耗の増大の原因となります。特に、骨盤側のカップの設置角度が不適切であれば、術後早期に繰り返して脱臼が起こる原因となりますし、そのような場合、再手術が必要となることもあります。 術中に限られた視野で骨盤の正確なオリエンテーションを把握するのが意外に難しいことがあります。特に、股関節の変形が高度な症例や高度に肥満のある症例では骨盤の向きの把握が難しくなります。また、側臥位では術中に体位固定が緩む可能性があり、そういう場合も骨盤の向きの把握が難しくなります。

手術ナビゲーションシステムの仕組み 手術ナビゲーションシステムは、カーナビゲーションと同じようなものでして、術中に骨の三次元的な位置と向きを正確に把握し、術前計画に沿って手術操作を行なうのを手助けするためのツールです。カーナビゲーションではGPS用人工衛星からの電波で車の現在位置を測定しますが、手術ナビゲーションシステムでは、骨に取り付けた赤外線マーカーから出される赤外線を三次元センサーのカメラで捉えることにより骨の位置と向きを測定します。図3が当院で使用している手術ナビゲーションシステム(Stryker社製 CT-based Hip Navigation)の機械本体の概観で、本体上部に三次元センサーの赤外線カメラが取り付けられています。図4がこのシステムの赤外線マーカーで、電池が内蔵されており、複数のLEDから赤外線が発光されるようになっています。この赤外線マーカーを骨や術具に取り付けます。

●略歴 平成 9年 大阪大学医学部卒業 平成14年 大阪大学大学院医学系研究科      博士課程入学 医工学治療学専攻 平成18年  同 修了 平成19年 大阪南医療センター整形外科 平成24年 関西労災病院リハビリテーション科 平成25年  同 副部長●資格 平成18年 医学博士(大阪大学) 平成23年 日本整形外科学会専門医

ナビゲーションによる正確な股関節手術

� リハビリテーション科副部長 小山 毅

図1

図2

図3

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 実際の手順としては、術前に、CT画像上でインプラント設置の術前計画を三次元的に立てておきます(図5)。術中、図4のように、骨盤などの骨に創外固定器のピンを刺して赤外線マーカーを取り付けます。また、術具にも赤外線マーカーを取り付けます。次に、赤外線マーカー付きペンプローベで骨の表面を30点程度取得して、術前CT画像上の骨の画像とマッチングさせます。これにより、肢位を変えて骨を動かしても、リアルタイムに骨の位置と向きを正確に計測することができ、モニタ画面上で術前計画を表示させながら術具の位置と向きを追従させることができます(図6)。そして、術前計画に沿って、実際の手術操作を行います(図7)。これにより、正確なインプラント設置が可能となります。

当院でのナビゲーション使用THAの実績 平成24年4月に導入してから平成24年12月までに当院ナビゲーションを使用したTHAは31例あります。THA全症例に使用しているのではなく、ナビゲーションに対応できる機種のインプラントを使用する症例のみにナビゲーションを使用しています。ナビゲーション使用症例の全31例において、現在のところ脱臼は発生しておらず、その他、骨折などの合併症も発生していません。術後CT画像で計測したカップ設置角度と術中のナビゲーションの表示角度との差は平均2度以下という結果であり、ナビゲーションの精度は2度以内と言えます。

まとめ 手術ナビゲーションシステムの使用により、正確で安全な手術操作が可能となります。THAにおいては、インプラントの設置角度不良を防ぐことができ、脱臼の発生を減らすことができます。

最後に 股関節痛で困っておられる患者様がいらっしゃいましたら、当院地域医療室を通じて御紹介していただければ幸いです。一昔前までは人工関節の耐用年数に問題があり比較的若い患者さんにはTHAが躊躇された時代もありましたが、十数年前に高度クロスリンク ポリエチレンが登場して摺動面に使用されるようになってからは、摺動面でのポリエチレンの摩耗が極めて少なくなり、人工股関節の耐用性が大きく向上しました。当院では、変形性股関節症末期の症例で 40歳以上であれば積極的にTHAを行なっています。

図4

図6

図5

図7

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連携通信第14号

平成26年2月

受診・検査の

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関 西 ろ う さ い 病 院

 地域で活動されている看護師の方々と情報交換や事例検討会を通し、よりよい継続看護を提供することを目的に、平成23年度より年2回看護連携の会を開催しております。 先日、第5回看護連携の会を開催し、「継続看護を行う上での効果的な情報共有」 をテーマに、看護サマリーについてグループワークを行いました。訪問看護師が必要な情報として、病状や治療経過、生活していく上での看護の問題点等が挙がり、病棟看護師が必要な情報として、家族背景や在宅でのADL状況等が挙がりました。また、訪問看護師も病棟看護師も統一した看護サマリーを使用していけると良いのではないかとの

 12月14日(土)に「第1回 阪神南緩和ケア連携推進セミナー (医療従事者対象)」を開催いたしました。 本セミナーは、阪神南圏域における緩和ケアの現状を把握するとともに、実際に緩和ケアを担っておられる先生方、これから緩和ケアを実践していこうとされている先生方がどのような問題を抱えておられるかを明らかにし、互いに共有していくこと、また、“互いにメリットのある、顔の見える関係づくり”を目的とした会を開催し、そこで緩和診療に係る事例検討、臨床上のハウツーの修得や情報交換などを行っていければと考え、今回、第1回目のセミナーを開催、圏域内から開業医の先生方をはじめ、看護師、社会福祉士、薬剤師、連携室スタッフなど総勢32名の方にご参加いただきました。

「看護連携の会」の取り組み

第1回 阪神南緩和ケア連携推進セミナー開催報告

意見もありました。 研修後のアンケートでは、具体的な現状や要望を知ることができて良かった等の意見が寄せられ、参加者の意見をもとに、看護サマリーの見直しを行っていきたいと考えております。 今後も継続して「看護連携の会」を開催しますので、地域の看護職の皆様に積極的にご参加いただければと考えております。 (医療連携総合センター 師長補佐 藤川 雅愛)

 当日は辻本浩緩和ケア科部長(兼 心療内科・精神科第2部長)の進行によりスタートし、谷口博一緩和ケア科副部長(兼 消化器外科副部長)より「セミナー開催の趣旨について~急性期病院の現状と緩和連携の目的~」と題して本セミナーを開催する目的と当院をはじめとする急性期病院の置かれた現状と緩和連携の重要性について説明が行われました。 症例報告・講演では、尼崎市・大石医院 院長 大石健先生より「在宅医療の現場から~在宅で緩和医療を続けるために~」と題して、在宅医療の実状、実際に当院と連携した3つの症例についてご紹介をいただきました。 続いての講演では、宝塚市立病院 副院長・緩和ケア内科部長 松田良信先生から「在宅緩和ケアの現場での問題点」、宝塚市立病院 がん診療支援・緩和ケアセンター主任看護師 岡山幸子先生から「症状緩和のためのリーフレットの紹介~病院・在宅で同じ説明を行う~」と題して、緩和ケアにおける在宅と病院の連携、宝塚市立病院における緩和ケアの現状、今春の保険改定に伴う緩和ケアへの影響について、また、実際に宝塚市立病院で使用されているリーフレットのご説明等、非常に多岐にわたりご講演いただきました。 最後に総合討論として、ご講演いただいた先生方とご参加いただいた皆様を交えた意見交換を行い、「疼痛管理」、「せん妄への対処法」、「呼吸困難時の対応」、「患者様やご家族の気持ちが変化した場合」などが議論の対象となっておりました。また、セミナー終了後のアンケートの結果、前出の「症状緩和のためのリーフレット」に対する関心がとても高かったという結果が出ており、今後は当圏域においても知識共有のためのツールが必要だと感じております。 今後も第2回、第3回と継続して本セミナーを開催していく予定ですので、多くの皆様方のご参加をお待ちいたしております。