2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/jja71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 ·...

26
Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 716 273 15 〈原 著〉 2016 年に全国 65 施設の臨床材料から分離された 11,705 株の 各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス 舘田一博 1・大野 章 1・石井良和 1村上日奈子 2・山口惠三 1,31東邦大学医学部微生物・感染症学講座 2東邦大学医療センター大森病院臨床検査部 3東邦大学医学部感染症高度統合解析講座 2018 8 30 日受付) 我々は,1994 年以降,継年的に抗菌薬感受性サーベイランスを実施している。今 回は 2016 年に日本国内 65 施設から分離された臨床分離株 27 菌種 11,705 株を用いて, フルオロキノロン系薬(FQ 系薬)を中心とした 33 薬剤を対象に抗菌薬感受性試験を 実施した。 呼吸器感染症の主要原因菌種である Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Moraxella catarrhalis, Haemophilus influenzae は,FQ 系薬に対し高い感受 性を保持しており,特に sitafloxacin STFX)は 99.8% 以上の感性率を示した。一方, マクロライド系薬に対する耐性率は,S. pneumoniae 72.9%77.3%, S. pyogenes 30.6%32.5% と進行していた。β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性 H. influenzae の分離頻度は 55.9% と高率であったが,2010 年以降の経年的な上昇は認め られなかった。腸内細菌科細菌は FQ 系薬に対して高い感性率を維持したが, Escherichia coli においては中等度耐性を含めた耐性株の分離頻度は STFX 12.7%, levofloxacinLVFX)で 34.2% であり,LVFX では経年的な上昇が継続していた。一 方,Klebsiella spp. に関しては,E. coli とは異なり FQ 耐性率は低く,94.3% 以上の感 性率を維持していた。メチシリン耐性 Staphylococcus aureus FQ 系薬に対する感性 率は STFX 69.3%,その他の FQ 系薬に対して 14.6%17.7% であったが,メチシリ ン感性 S. aureus FQ 系薬に対する感性率は 83.0%99.1% であった。Enterococcus faecalis FQ 系薬に対する感性率は 82.4%92.4% であり,Enterococcus faecium 対しては 8.0%21.6% であった。Pseudomonas aeruginosa FQ 系薬に対する感性率 は,尿路感染症由来株が 91.2%94.2%,呼吸器感染症由来株が 90.1%94.6% とい ずれも 90% 以上であり,特に尿路感染症由来株では FQ 系薬に対する耐性率の経年的 な減少が認められた。多剤耐性 P. aeruginosa の分離頻度は尿路感染症由来株で 0.8% 4 株),呼吸器感染症由来で 0.5%3 株)であった。Acinetobacter spp. FQ 系抗菌 薬に対し 88.4%93.8% と高い感性率を示し,imipenem 耐性株が 3.3%15 株)存在

Upload: others

Post on 07-Aug-2020

4 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 273 ( 15)

〈原 著〉

2016年に全国65施設の臨床材料から分離された11,705株の 各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス

舘田一博 1)・大野 章 1)・石井良和 1)・ 村上日奈子 2)・山口惠三 1,3)

1)東邦大学医学部微生物・感染症学講座 2)東邦大学医療センター大森病院臨床検査部

3)東邦大学医学部感染症高度統合解析講座

(2018年8月30日受付)

我々は,1994年以降,継年的に抗菌薬感受性サーベイランスを実施している。今回は2016年に日本国内65施設から分離された臨床分離株27菌種11,705株を用いて,フルオロキノロン系薬(FQ系薬)を中心とした33薬剤を対象に抗菌薬感受性試験を実施した。呼吸器感染症の主要原因菌種である Streptococcus pneumoniae, Streptococcus

pyogenes, Moraxella catarrhalis, Haemophilus influenzaeは,FQ系薬に対し高い感受性を保持しており,特に sitafloxacin(STFX)は99.8%以上の感性率を示した。一方,マクロライド系薬に対する耐性率は,S. pneumoniaeで72.9%~77.3%, S. pyogenesで30.6%~32.5%と進行していた。β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性H. influenzaeの分離頻度は55.9%と高率であったが,2010年以降の経年的な上昇は認められなかった。腸内細菌科細菌は FQ系薬に対して高い感性率を維持したが,Escherichia coliにおいては中等度耐性を含めた耐性株の分離頻度はSTFXで12.7%, levofloxacin(LVFX)で34.2%であり,LVFXでは経年的な上昇が継続していた。一方,Klebsiella spp.に関しては,E. coliとは異なりFQ耐性率は低く,94.3%以上の感性率を維持していた。メチシリン耐性Staphylococcus aureusのFQ系薬に対する感性率はSTFXで69.3%,その他のFQ系薬に対して14.6%~17.7%であったが,メチシリン感性S. aureusのFQ系薬に対する感性率は83.0%~99.1%であった。Enterococcus faecalisのFQ系薬に対する感性率は82.4%~92.4%であり,Enterococcus faeciumに対しては8.0%~21.6%であった。Pseudomonas aeruginosaのFQ系薬に対する感性率は,尿路感染症由来株が91.2%~94.2%,呼吸器感染症由来株が90.1%~94.6%といずれも90%以上であり,特に尿路感染症由来株ではFQ系薬に対する耐性率の経年的な減少が認められた。多剤耐性P. aeruginosaの分離頻度は尿路感染症由来株で0.8%(4株),呼吸器感染症由来で0.5%(3株)であった。Acinetobacter spp. はFQ系抗菌薬に対し88.4%~93.8%と高い感性率を示し,imipenem耐性株が3.3%(15株)存在

Page 2: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

274 ( 16) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

したが,多剤耐性 Acinetobacterは認められなかった。Neisseria gonorrhoeaeのceftriaxone(CTRX)に対する感性率は100%であり,2010年および2013年に認められたCTRX耐性株は2016年には認められなかった。今回,初めて感受性調査を実施した嫌気性菌に対しては,STFXのMIC90は0.5~4 μg/mLであったが,その他のFQ系薬の抗菌活性は比較的弱かった。以上の結果より,臨床での使用が15年以上経過したLVFX, ciprofloxacin(CPFX),

tosufloxacin(TFLX),pazufloxacin(PZFX)の4つのFQ系薬に対し,メチシリン耐性 staphylococci, E. faecium, E. coliは耐性率が33.2%~89.3%であったが,過去の成績と大きな相違は認められず,著しい耐性化の進行は見られなかった。一方,N. gonorrhoeaeではLVFX, CPFX, TFLXに対する耐性率が100%と2013年の74.1%より上昇していた。その他の菌種では,S. pyogenesでPZFX, Proteus mirabilisでCPFX, TFLXに対する感性率が80%を下回ったものの,その他では80%以上の感性率が保持されていた。また,2008年に上市されたSTFXは,MRSAおよびE. faeciumを除き,87.3%以上の感性率を示した。

序文

1943年のベンジルペニシリンの臨床応用開始による抗菌化学療法のはじまりは,薬剤耐性菌とのたたかいの幕開けでもあった 1)。近年では,メチシリン耐性S. aureus(MRSA)やペニシリン耐性S. pneumoniae(PRSP)のみならず,バンコマイシン耐性enterococci(VRE)2),基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生E. coliやKlebsiella pneumoniae3),メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生グラム陰性桿菌 4),カルバペネム耐性腸内細菌(CRE),多剤耐性 Acinetobacter(MDRA)や P. aeruginosa(MDRP)5)など種々の薬剤耐性菌が出現している。このように,薬剤耐性菌の増加は世界的な問題となっているが,新規抗菌薬の開発は停滞しており,WHOは 2015年 5月に薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プランを採択し,世界抗菌薬啓発週間を定めた。日本においても,WHOの提言を受けてAMR対策アクションプランを策定している 6)。このような状況下にて,国内の薬剤耐性菌の動

向を把握しておくことは重要である。レボフロキサシンサーベイランスグループは,levofloxacin

(LVFX)上市直後の1994年より,全国多施設の協力を得て多菌種の臨床分離株を収集し経年的にフルオロキノロン系薬(FQ系薬)および他系統抗菌薬の感受性調査を実施してきた 7~11)。その結果,呼吸器感染症の主要な原因菌種や腸内細菌科菌種において,一部を除き,FQ系薬への高い感受性が維持されていることを明らかにしてきた。今回我々は,2016年1月~12月に日本国内65

施設から分離された27菌種,11,705株を対象に各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報告する。

材料および方法

1. 使用菌株全国の医療機関65施設において2016年1月~

12月に患者から分離された27菌種11,705株を対象とした。参加医療機関をTable 1に,対象菌種及び収集された菌株数をTable 2に示す。各施設において分離された菌株は,マイクロバンクを用い

Page 3: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 275 ( 17)

て凍結保存後,株式会社ビー・エム・エルへ搬送し,再同定後,薬剤感受性を測定した。なお,薬剤感受性に及ぼす施設間の偏りをさけるため,原則として1施設の収集菌株数は1菌種10株までとした。

2. 使用抗菌薬薬剤感受性測定薬剤として,sitafloxacin

(STFX), levofloxacin(LVFX), ciprofloxacin

(CPFX), tosufloxacin(TFLX), pazufloxacin

(PZFX), nalidixic acid(NA), benzylpenicillin

(PCG),ampicillin(ABPC),sulbactam/ampicillin

(SBT/ABPC),piperacillin(PIPC), tazobactam/

piperacillin(TAZ/PIPC), oxacillin(MPIPC),cefaclor(CCL),cefotiam(CTM),cefpodoxime

(CPDX),ceftazidime(CAZ),cefotaxime(CTX),ceftriaxone (CTRX),cefpirome (CPR),cefmetazole

(CMZ), meropenem (MEPM), panipenem

(PAPM),imipenem(IPM),aztreonam(AZT),minocycline(MINO), clarithromycin(CAM),azithromycin(AZM), vancomycin(VCM),sulfamethoxazole/trimethoprim(ST), gentamicin

(GM), amikacin(AMK), linezolid(LZD),daptomycin(DAP)を用いた。

3. 薬剤感受性検査日本化学療法学会標準法である微量液体希釈法

に従い,抗菌薬を含有したフローズンプレート(栄研化学社製)を用いて最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。Neisseria gonorrhoeaeおよび嫌気性

Table 1. List of the sitafloxacin surveillance group

Page 4: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

276 ( 18) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

菌については Clinical and Laboratory Standards

Institute(CLSI)標準法 12~13)に準じた寒天平板希釈法によりMICを測定した。各菌種の測定抗菌薬の種類,測定濃度範囲をTable 3に示した。各菌種の抗菌薬感性率は,CLSI M100-S2714)の

定めるブレイクポイントに準拠して判定した。なお,CLSIのドキュメントに記載されていない抗菌薬に関しては,The European Committee on

Antimicrobial Susceptibility Testing(EUCAST)Version 7.115)または類似薬のブレイクポイントに基づき抗菌薬感性率を算出した。

S. aureusについては,MPIPCのMIC値を用い,メチシリン感性S. aureus(MSSA:MIC≦2 μg/mL

以下),MRSA(MIC≧4 μg/mL)の判定を行った。

コアグラーゼ陰性 staphylococciについても,MPIPCのMICにより,メチシリン感性コアグラーゼ陰性staphylococci(MSCNS: MIC≦0.25 μg/mL),メチシリン感性コアグラーゼ陰性 staphylococci

(MSCNS: MIC≧0.5 μg/mL)の判定を行った。S. pneumoniaeについては,経口ペニシリンの基準を用い,ペニシリン感性 S. pneumoniae(PSSP:

PCGのMIC≦0.06 μg/mL),ペニシリン中等度耐性(PISP: PCG の MIC≦0.12~1 μg/mL),PRSP

(PCGのMIC≧2 μg/mL)の判定を行った。

4. H. influenzaeにおけるβ-ラクタマーゼ産生試験H. influenzaeについては,ニトロセフィンス

ポットプレート法 16)によりβ-ラクタマーゼ定性

Table 2. The number of isolates

Page 5: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 277 ( 19)

試験を行い,β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン感受性H. influenzae(BLNAS),β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性H. influenzae(BLNAR,

ABPC: MIC≧2 μg/mL),β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性H. influenzae(BLPAR, ABPC: MIC

≧2 μg/mL)を判定した。

5. P. aeruginosa, Acinetobacter spp.の多剤耐性株の判定

P. aeruginosaおよび Acinetobacter spp.について,MIC値がCPFX: ≧4 μg/mL, IPM: ≧16 μg/mL,

AMK: ≧32 μg/mLをすべて満たす菌株を,それぞれ多剤耐性P. aeruginosa(MDRP)および多剤耐性Acinetobacter spp.(MDRA)と判定した。

Table 3. Test drugs and the range of their concentrations for determination of MIC

Page 6: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

278 ( 20) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

結果

1. グラム陽性球菌に対する抗菌活性グラム陽性菌に対する各種抗菌薬の抗菌活性を

Table 4に示した。

1)メチシリン感性S. aureus(MSSA)MSSA 676株に対するFQ系薬のMIC90は0.25~

8 μg/mL,感性率は83.0%~99.1%であり,FQ系薬の中ではSTFXに対する感性率が最も高かった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,ABPCが49.9%, CPDXが67.8%, CAMとAZMがそれぞれ74.7%と71.4%であったが,その他の抗菌薬へは95.6%以上であった。

2)メチシリン耐性S. aureus(MRSA)MRSA 616株に対するFQ系薬のMIC90はSTFX

が8 μg/mLであったが他の薬剤はすべて>16 μg/mL

であり,STFXに対する感性率は69.3%を示したものの,その他のFQ系薬への感性率は14.6%~17.7%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,VCMおよびLZDが 100%, DAPが 99.8%,

MINOが 67.4%, PAPMおよび IPMが 64.8%および64.0%を示したが,その他の抗菌薬に対しては0%~18.7%であった。また,市中感染型MRSA

(Community-Acquired MRSA: CA-MRSA)と推定される株(LVFX≦1 μg/mLかつMINO≦4 μg/mL

かつCAM≦2 μg/mL) の分離頻度は,7.3% (45/616

株)であった。

3) メチシリン感性コアグラーゼ陰性 staphylococci(MSCNS)MSCNS 452株に対する FQ系薬のMIC90は

0.12~8 μg/mLであり,感性率は80.8%~99.1%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,CAM,

AZMがそれぞれ77.9%,75.7%,その他の抗菌薬

への感性率は94.0%以上であった。

4) メチシリン耐性コアグラーゼ陰性staphylococci (MRCNS)MRCNS 573株に対する各種抗菌薬のMIC90は

MRSAに対するMIC90より全体的に低く,FQ系薬の中では,STFXのMIC90が1 μg/mL,感性率が93.4%であった。他のFQ系薬のMIC90は 8~64

μg/mLで,感性率は26.4%~31.1%であった。VCM,

LZDおよびDAPへの感性率は100%, 100%,および99.8%であった。

5)S. pneumoniaeS. pneumoniae 565株に対するFQ系薬のMIC90

は 0.06~2 μg/mL,感性率はCPFXが 89.4%であり,その他のFQ系薬は96.5%~99.8%であった。その中でもSTFXのMIC90は0.06 μg/mLと最も低く,感性率は99.8%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,CTRX, PAPMおよびVCMがそれぞれ97.9%, 97.7%および100%であり,その他の抗菌薬への感性率は17.0%~84.1%であった。マクロライド系薬(CAM, AZM)に対しては72.9%~77.3%の菌株が耐性を示した。また,S. pneumoniae 565株のうち,PSSP, PISP, PRSPの割合は,それぞれ56.8%(321株),36.8%(208株),6.4%(36株)であった。PSSPおよびPRSPのFQ

系薬への感性率は,STFXで100%および97.2%,

LVFXで97.8%および97.2%, CPFXで87.5%および 91.7%, TFLXで 98.4%および 97.2%, PZFXで97.2%および94.4%であり,大きな差は認められなかった。

6)S. pyogenesS. pyogenes 366株に対するFQ系薬のMIC90は

0.06~4 μg/mLで,感性率はCPFX, PZFXがそれぞれ82.0%, 76.8%であったが,その他は95.9%~100%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率

Page 7: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 279 ( 21)

は,CAMの68.0%, AZMの67.2%, MINOの93.7%

を除き,99.7%以上であった。7)Enterococcus faecalis

E. faecalis 579株のFQ系薬に対する感性率は82.4%~92.4%であった。FQ系薬以外の抗菌薬に

Table 4. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-positive bacteria〉

Page 8: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

280 ( 22) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

対する感性率は,MINO, CAM, AZMが 7.3%~46.1%であったが,その他は 95.2%~100%で,ABPC, SBT/ABPC, VCM, LZDに耐性を示す株は

認められなかった。

Table 4. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-positive bacteria〉(Continued)

Page 9: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 281 ( 23)

8)E. faeciumE. faecium 515株のFQ系薬に対する感性率は

8.0%~21.6%であった。FQ系薬以外の抗菌薬に対する感性率は,VCMおよびLZDが99.8%, DAP

が99.2%であったが,その他は0%~41.9%であり,耐性株の占める割合が高かった。

Table 4. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-positive bacteria〉(Continued)

Page 10: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

282 ( 24) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

2. グラム陰性球菌に対する抗菌活性グラム陰性球菌に対する各種抗菌薬の抗菌活性をTable 5に示した。

1)M. catarrhalisM. catarrhalis 491株に対するFQ系薬のMIC90

は,0.015~0.06 μg/mLであり,感性率は98.8%以

Table 4. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-positive bacteria〉 (Continued)

Page 11: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 283 ( 25)

上であった。FQ系薬以外の抗菌薬に対する感性率は,ABPCが14.5%であったが,その他は90.8%~100%であった。また,SBT/ABPCに対する耐性株は0.2%(1株)のみであったことよりABPC耐性株のほとんどは,β-ラクタマーゼ産生株と推定された。

2)N. gonorrhoeaeN. gonorrhoeae 12株に対するFQ系薬のMIC90

は,LVFX, CPFX, TFLXが 16~>32 μg/mLで あり,すべての株が耐性を示した。一方,STFXの

MIC90は 0.5 μg/mLであり,抗菌活性を示した。ABPCのMIC90は4 μg/mL,感性率は0%であり,SBT/ABPCのMIC90も 4 μg/mLであったことより,すべての株がペニシリナーゼ非産生ペニシリン耐性株と考えられた。CTRXに対する感性率は100%であり,CTRX耐性株は認められなかった。

3. グラム陰性桿菌に対する抗菌活性グラム陰性桿菌に対する各種抗菌薬の抗菌活性をTable 6に示した。

Table 5. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative cocci〉

Page 12: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

284 ( 26) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

1)E. coliE. coli 669株に対するFQ系薬のMIC90は,STFX

を除き≧16 μg/mLであり,感性率は62.3%~63.4%

であった。STFXのMIC90は 2 μg/mL,感性率は87.3%であり,他のFQ系薬に比べ高い抗菌活性を示した。FQ系薬以外の抗菌薬に対する感性率

Table 6. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative bacillus〉

Page 13: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 285 ( 27)

は 48.4%~100% で, TAZ/PIPC, CMZ, MEPM,

PAPM, IPM, MINO, AMKでは94.2%以上の感性率を示した。

2)Klebsiella spp.Klebsiella spp. 654株に対するFQ系薬のMIC90は

0.25~0.5 μg/mLであり,感性率は94.3%~97.1%

Table 6. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative bacillus〉 (Continued)

Page 14: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

286 ( 28) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

であり,E. coliに比べ10%~30%高い感性率を示した。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,ABPCの6.6%, STの25.5%を除き,76.3%~99.8%であった。

3)Citrobacter spp.Citrobacter spp. 525株に対するFQ系薬のMIC90

は0.25~0.5 μg/mLであり,感性率は94.1%~97.0%

Table 6. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative bacillus〉 (Continued)

Page 15: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 287 ( 29)

であった。FQ系薬以外の抗菌薬の感性率は,ABPC

が20.0%であったが,その他は48.8%~100%で,MEPM, PAPM, IPM, GM, AMKでは98.3%以上で

あった。

Table 6. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative bacillus〉 (Continued)

Page 16: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

288 ( 30) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

4)Enterobacter spp.Enterobacter spp. 595株に対するFQ系薬のMIC90

は0.12~0.5 μg/mLであり,感性率は93.4%~97.1%

であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,ABPC, SBT/ABPC, CCL, CTM, CMZ, STが 9.4%~

41.0%であったが,その他は 60.8%~100%で,MEPM, PAPM, MINO, GM, AMKでは93.1%以上であった。

Table 6. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative bacillus〉 (Continued)

Page 17: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 289 ( 31)

5)P. mirabilisP. mirabilis 482株に対するFQ系薬のMIC90は

2~>16 μg/mLであり,感性率は72.0%~89.8%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,MINO

が2.7%, STが62.2%であったが,その他は71.4%~100%であり,TAZ/PIPC, MEPMおよびAZTでは耐性株は認められなかった。

6)インドール陽性Proteus spp.インドール陽性Proteus spp. 361株に対するFQ

系薬のMIC90は0.12~0.25 μg/mLであり,感性率は93.4%~98.3%であった。FQ系薬以外の抗菌薬

で90%以上の感性率を示した抗菌薬は,NA, PIPC,

TAZ/PIPC, CAZ, CTX, CMZ, MEPM, AZT, GM,

AMKであった。

7)Serratia spp.Serratia spp. 536株に対するFQ系薬のMIC90は

0.25~1 μg/mLであり,感性率は92.5%~99.3%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,ABPC,

SBT/ABPC, CCL, CTM, STが0.7%~9.1%であったが,その他は71.8%~100%であり,MEPMおよびGMでは耐性菌は認められなかった。

Table 6. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Gram-negative bacillus〉 (Continued)

Page 18: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

290 ( 32) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

8)Salmonella spp.Salmonella spp. 106株に対するFQ系薬のMIC90

は 0.06~0.25 μg/mLであり,感性率は 86.8%~92.5%であった。FQ系薬以外の抗菌薬においても,STの73.6%を除き,いずれも86.8%以上の感性率であった。

9)H. influenzaeH. influenzae 544株に対する FQ系薬のMIC90

は 0.004~0.03 μg/mLであり,感性率は 99.1%~100%であった。LVFXのMICが8および>16 μg/mL

の耐性株が3株認められたが,これらの菌株のSTFXのMICは 0.12および 0.5 μg/mLであった。また,BLNARは55.9%(304株)であり,2010年の57.9%, 2013年の57.1%からの増加は認められなかった。BLNARの98.0%(298/304株)が第三世代経口セファロスポリンであるCTMに耐性(MIC≧2 μg/mL)を示した。一方,BLPARは11.9%(65

株)存在し,そのうち36.9%(24株)がSBT/ABPC

に耐性(MIC≧4 μg/mL)であった。

10)Acinetobacter spp.Acinetobacter spp. 448株に対する FQ系薬の

MIC90は0.5~4 μg/mLで,感性率は88.4%~93.8%

であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,ABPC, CCL, CTM, CPDX, CTX, AZT, STが 0%~55.4%であったが,SBT/ABPC, TAZ/PIPC, MEPM,

PAPM, IPM, MINO, GM, AMKでは90.8%以上であった。IPM耐性株が448株中15株(3.3%)存在し,そのうち10株はA. baumaniiであったが,MDRAは認められなかった。

11)P. aeruginosaP. aeruginosa 1078株に対するFQ系薬のMIC90

は,尿路感染症由来株(500株)および呼吸器感染症由来株(578株)に対しいずれも0.5~2 μg/mL

であり,差が見られなかった。感性率は,尿路感

染症由来株が91.2%~94.2%,呼吸器感染症由来株が90.1%~94.6%であった。FQ系薬以外の抗菌薬への感性率は,尿路感染症由来株,呼吸器感染症由来株のいずれにおいても,CTXとPAPMが23.8%~32.9%であったが,他の薬剤は78.9%以上であった。また,MDRPの分離頻度は尿路感染症由来株で0.8%(4/500株),呼吸器感染症由来株で0.5%(3/578株)であった。

4. 嫌気性菌に対する抗菌活性嫌気性菌に対する各種抗菌薬の抗菌活性を

Table 7に示した。

1)Peptostreptococcus spp.Peptostreptococcus spp. 139株に対するFQ系薬

のMIC90は,STFXは2 μg/mLであったが,それ以外は>32 μg/mLでであった。FQ系薬以外の抗菌薬のMIC90は,1~>128 μg/mLと広範囲に分布しており,ブレイクポイントが定められているPIPC,

TAZ/PIPC, CTX, CTRX, CMZ, MEPM, IPM へ の感性率は97.1%~99.3%であった。

2)Prevotella spp.Prevotella spp. 232株に対するFQ系薬のMIC90

は,STFXを除き≧64 μg/mLであり,STFXは4 μg/mLであった。FQ系薬以外の抗菌薬のMIC90

は,0.5~>128 μg/mLと広範囲に分布しており,ブレイクポイントが定められているPIPC, TAZ/PIPC,

CTX, CTRX, CMZ, MEPM, IPMへ の 感 性 率 は66.4%~100%で,TAZ/PIPC耐性菌は認められなかった。

3)Porphyromonas spp.Porphyromonas spp. 22株に対する FQ系薬の

MIC90は0.5~8 μg/mLで,STFXが最も高い抗菌活性を示した。FQ系薬以外の抗菌薬のMIC90は,CAMおよびAZMは>128 μg/mLであったが,そ

Page 19: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 291 ( 33)

の他は≦0.06~0.5 μg/mLと高活性であった。 4)Bacteroides spp.Bacteroides spp. 357株に対するFQ系薬のMIC90

は,STFXは4 μg/mLであり,それ以外は≧64 μg/mL

Table 7. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Anaerobe〉

Page 20: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

292 ( 34) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

であった。ブレイクポイントが定められている抗菌薬への感性率は,PIPC, CTX, CTRX, CMZで27.2%~51.0%, TAZ/PIPC, MEPM, IPM は 91.6%

以上であった。

5)Fusobacterium spp.Fusobacterium spp. 112株に対する FQ系薬の

MIC90は,STFXを除き 4~>128 μg/mLであり,STFXは0.5 μg/mLであった。ブレイクポイントが定められている7つの抗菌薬への感性率は,97.3%

以上であった。

考察

全国65施設において2016年に各種感染症患者から分離された臨床分離株11,705株(27菌種)を対象に,FQ系薬を中心とした各種抗菌薬に対する薬剤感受性について検討した。FQ系薬に対する経年的な感受性動向を把握する目的から,1994年から継続して調査しているLVFX, CPFX, TFLXに加え,2013年からはSTFXと注射用FQ系薬PZFX

の計5薬剤をFQ系の調査薬剤とした。MSSAの FQ系薬に対する感性率は 83.0%~

Table 7. In vitro activities of drugs against clinical isolates and percentages of isolates susceptible to test drugs on the basis of Clinical and Laboratory Standards Institute 〈Anaerobe〉 (Continued)

Page 21: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 293 ( 35)

99.1%であり,2013年にはVCMまたはDAP耐性株が3株ずつ分離されたが,今回はVCM, LZDまたはDAP耐性株は認められなかった。一方,MRSA

に対するFQ系薬の感性率はSTFXで69.3%,他のFQ系薬では14.6%~17.7%で,1994年以降実施している本サーベイランス 7~11)と同様の成績であり,耐性化の進行は認められなかった。VCM

またはLZD耐性株は認められなかったが,今回初めてDAP耐性株が1株(DAPのMIC: 4 μg/mL)認められ,今後の動向に注意が必要と考えられた。また,近年,本邦において小児科領域,皮膚科領域等で問題となっているCA-MRSAについて,薬剤感受性パターン(LVFX≦1 μg/mLかつMINO≦4 μg/mLかつCAM≦2 μg/mL)により分離頻度を推定したところ,1994年から2007年までは約2%, 2010年には4.6%, 2013年には9.3%と上昇したが,2016年には7.3%と上昇傾向はみられなかった。VCM低感受性MRSA株(MIC: 2 μg/mL)の分離頻度は2002年から2010年にかけて0.9%

から8.9%に上昇し,2013年では一旦2.0%に低下したが,2016年には3.4%と再度上昇傾向にあった。欧州ではVCMのMICが2 μg/mL以上の株に対しては治療効果が見込まれないとされており,本邦においても今後の動向に注目していく必要がある。

S. pneumoniaeの FQ系薬に対する感性率は,CPFXの89.4%を除き,96.5%~99.8%であり,感性率の低下は認められなかった。LVFX感受性ではあるもののMICが1 μg/mLを示す株の割合が2013年に72.3%と2004年の17.9%より上昇していたが,2016年には62.3%と上昇傾向は見られなかった。S. pyogenesのFQ系薬に対する感性率は,CPFX, PZFXの 82.0%, 76.8%を 除 き,95.9%~100%であった。しかし,LVFX耐性率は2007年の 1.2%, 2010年の 1.4%に対し,2013年に 2.9%,

2016年に2.7%であり,今後の動向に留意する必要がある。

E. coliにおいては,2000年以降,FQ耐性株の分離頻度が経年的に上昇しており,今回のサーベイランスにおいてもFQ系薬の耐性株の分離頻度はSTFXで3.3%, STFX以外で33.2%~37.2%と上昇傾向が継続していたが,耐性株の増加率が鈍化する傾向が認められた。一方,Klebsiella spp. に対するFQ耐性率の経年的上昇はほとんど認められず,E. coliとは異なっていた。この相違の原因は明確ではなく,2013年株を用いた検討では,FQ系薬の標的酵素であるDNA gyraseや topoisomerase

IVのキノロン耐性決定領域(QRDR)のアミノ酸置換変異は,E. coliではLVFX感性株168株中67

株(39.9%)に存在したが,K. pneumoniaeでは180

株中11株(6.1%)と少なかったと報告されており11),今後の検討が待たれるところである。

H. influenzaeのFQ系薬に対する感性率は99.1%~100%と高い値を維持していた。本邦ではBLNAR

の増加が問題となっていることから本サーベイランスにおいてもBLNARの分離率を検討したところ,2002年から2010年にかけて25.8%から57.9%

に増加したが,2013年では57.1%で,2016年では55.9%であり,2010年以降の分離率の上昇は認められなかった。Acinetobacter spp.のカルバペネム系薬に対する感性率は,MEPMで96.4%, PAPM

で96.0%, IPMで96.7%であり,2013年に1株認められた多剤耐性株(MDRA)は,2016年には検出されなかったが,引き続き今後の動向を注視する必要がある。

P. aeruginosaのFQ系薬に対する感性率は,尿路感染症由来株が91.2%~94.2%,呼吸器感染症由来株が90.1%~94.6%と高率であった。経年的変化をみると,特に尿路感染症由来株におけるLVFX

耐性率が,1994年の52.3%から2010年に21.3%,

2013年に12.9%, 2016年に6.4%と顕著に低下していた。また,MDRPの分離頻度は尿路感染症由来で0.8%,呼吸器感染症由来で0.5%と低頻度であった。これらの要因として,FQ系薬の適正使用がす

Page 22: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

294 ( 36) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

すんでいることが示唆された。N. gonorrhoeaeでは世界的に多剤耐性化が進行しており,特にCTRX

に対する耐性株の出現が大きな問題となっている。本サーベイランスにおいてCTRX耐性株は2007年まで認められず,2010年に4株(5.0%),2013年に1株(1.7%)認められ,いずれも多剤耐性株であったが,2016年にはCTRX耐性株は検出されなかった。また,今回初めて調査菌種とした嫌気性菌に対しては,FQ系薬のブレイクポイントが定められていないため感性率の算出はできなかったが,MIC50やMIC90で比較すると,STFXはFQ系薬の中で高い抗菌活性を示していた。現在,国内では3学会合同サーベイランスが実

施されており,2015年に淋菌性尿道炎由来N. gonorrhoeaeの各種抗菌剤に対する感受性 17),耳鼻科領域感染症由来 S. pneumoniae, S. pyogenes,

S. aureus, H. influenzae, M. catarrhalisおよび嫌気性菌などの各種抗菌剤に対する感受性が 18),2017年に手術部位感染症より分離されたE. coli, K. pneumoniae, Enterobacter cloacae お よ び P. aeruginosaの感受性 19),皮膚科領域感染症由来 MSSA, MRSA お よ び coagulase-negative

staphylococciなどの感受性 20),呼吸器感染症由来 S. aureus, S. pneumoniae, S. pyogenes,

H. influenzae, M. catarrhalis, K. pneumoniaeおよび

P. aeruginosaの感受性 21)が報告されている。これらの報告は感染症別であり,報告によってMIC分布,MIC50, MIC90,感性率および耐性率などの結果の記載方法に違いがあるが,MIC50およびMIC90

はほぼ4倍以内,感性率および耐性率はほぼ10%

以内の差異であり,本サーベイランスと感受性に大きな相違は認められなかった。また,厚生労働省を中心としたタスクフォースにて作成されたAMR対策アクションプラン 6)の成果目標では,2020年までに S. pneumoniaeのPCG耐性率を15%以下,S. aureusのMRSA率を

20%以下,E. coliのFQ系薬耐性率を25%以下,P. aeruginosaのカルバペネム耐性率を10%以下,E. coliおよびK. pneumoniaeのカルバペネム耐性率を0.2%以下と定めている。本サーベイランスの結果では,S. pneumoniaeのPCG耐性率は6.4%, E. coliおよびKlebsiella spp.の IPM耐性率はそれぞれ0.1%および0.2%と既に成果目標を達成しているが,E. coliのLVFX耐性率は34.2%, P. aeruginosaの IPM耐性率は11%(UTI由来株)および14.4%

(RTI由来株)であり,それぞれ25%および10%以下という目標には届いていなかった。なお,S. aureusについては,MSSAおよびMRSAとして菌株を収集したため,MRSAの分離率を算出できなかった。以上,今回の感受性調査において,臨床での使用が15年以上経過したFQ系薬に対しても,過去の成績と大きな相違は認められず,著しい耐性化の進行は見られなかった。しかしながら,世界での薬剤耐性菌の蔓延と新規抗菌薬の開発停滞の現状を考慮すると,今後も定期的に抗菌薬感受性の動向調査を実施するとともに,既存の抗菌薬の適正使用を推進していくことが重要である。

謝辞今回の調査にあたって菌株をご提供いただいたレボフロキサシンサーベイランスグループの以下の諸先生,調査にご協力をいただいた先生に厚く御礼申し上げます。(菌株提供時の所属で記載,敬称略)高橋 聡・市原浩司・桧山桂樹

(札幌医科大学附属病院)清水 力・秋沢宏次(北海道大学病院)幸村 近(市立旭川病院)賀来満夫・吉田眞紀子・勝見真琴

(東北大学病院)木村正彦・井上文緒・齊藤紀先

(弘前大学医学部附属病院)

Page 23: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 295 ( 37)

矢嶋信久・堀内弘子(八戸市立市民病院)諏訪部 章・山田友紀・畠山裕司

(岩手医科大学附属病院)佐藤一成・加藤 純

(JA秋田厚生連由利組合総合病院)高橋俊明・武石茂美・後藤孝則

(JA秋田厚生連 平鹿総合病院)中川卓夫(小白川至誠堂病院)森兼啓太(山形大学医学部附属病院)金光敬二・中村 究・大橋一孝

(福島県立医科大学附属病院)三木 誠・堀川 博(仙台赤十字病院)森屋恭爾・瀧野桂太

(東京大学医学部附属病院)中山耕之介・塩谷譲司(がん研究会有明病院)中山智祥(日本大学医学部附属板橋病院)堀内 啓・田澤庸子(NTT東日本関東病院)鈴木 謙・深澤鈴子(東京品川病院)米山彰子・荒岡秀樹・岡田千香子

(虎の門病院)星野 茂・阿保一茂・曽木広信

(さいたま赤十字病院)春木宏介・本田なつ絵・飯草正美

(獨協医科大学埼玉医療センター)高瀬 優・吉原靖之・前田友子(越谷市立病院)前﨑繁文・河村 亨(埼玉医科大学病院)光武耕太郎・橋北義一

(埼玉医科大学国際医療センター)住友みどり(横浜市立大学附属病院)木田沙緒里・杉山嘉史・宮島栄治

(横浜市立大学附属市民総合医療センター)齋藤武文・小池勝人・小林昌弘

(国立病院機構茨城東病院)谷口信行(自治医科大学附属病院)菱沼 昭・淺田道治・鈴木弘倫

(獨協医科大学病院)村上正巳・高橋美紀・岡崎瑠海

(群馬大学医学部附属病院)内田 幹・井上 修・井上克枝

(山梨大学医学部附属病院)本田孝行・名取達矢・春日恵理子

(信州大学医学部附属病院)山﨑善隆・高橋夕子・藤原祝子

(長野県立信州医療センター)八木哲也・長田ゆかり

(名古屋大学医学部附属病院)石川一博・巽 則雄(安城更生病院)浦野文博・山口育男(豊橋市民病院)山下克也(国立病院機構豊橋医療センター)前川真人・石川仁子・難波剛正

(浜松医科大学医学部附属病院)赤堀利行・上村桂一(掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター)中谷 中(三重大学医学部附属病院)藤本佳則・後藤孝司・田中広司(大垣市民病院)木村秀樹・飛田征男・嶋田章弘

(福井大学医学部附属病院)一山 智(京都大学医学部附属病院)中矢秀雄・永田めぐみ・古賀正亨

(関西医科大学総合医療センター)宮良高維・小川将史・阿部瑛紀子

(関西医科大学附属病院)岡田仁克(大阪医科大学附属病院)松尾収二・河野 久・阿部教行

(天理よろづ相談所病院)三枝 淳(神戸大学医学部附属病院)山本 剛(神戸市立西神戸医療センター,現神戸市立医療センター)池町真実(神戸市立西神戸医療センター)石川暢久(県立広島病院)草野展周(岡山大学病院)本倉 徹・原 文子(鳥取大学医学部附属病院)長井 篤・森山英彦・馬庭恭平

(島根大学医学部附属病院)

Page 24: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

296 ( 38) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

宮本仁志(愛媛大学医学部附属病院)松村敬久・森本徳仁・西田愛恵

(高知大学医学部附属病院)堀田多恵子・清祐麻紀子・諸熊由子

(九州大学病院)松永 彰・藤 洋美・德重 智絵美

(福岡大学病院)真柴晃一(北九州市立医療センター)平松和史・三浦慎和(大分大学医学部附属病院)栁原克紀(長崎大学病院)青木洋介・於保 恵・草場耕二

(佐賀大学医学部附属病院)古城 剛(鹿児島大学病院)岡山昭彦(宮崎大学医学部附属病院)前田士郎・上地幸平(琉球大学医学部附属病院)本調査は第一三共株式会社から提供された調査費によって実施された。

利益相反自己申告著者 山口惠三は第一三共株式会社から資金提供を受けている。著者 舘田一博は第一三共株式会社から資金提供を受けている。他の著者は申告すべきものはなし。

文献1) Centers for Disease Control and Prevention:

Antibiotic/Antimicrobial Resistance, Brief History of Antibiotics. https://www.cdc.gov/drugresistance/about.html

2) Patel R, Gallagher JC: Vancomycin-resistant enterococcal bacteremia pharmacotherapy. Ann Pharmacother. 2015; 49: 69–85.

3) Willemsen I, Oome S, Verhulst C, Pettersson A, Verduin K, Kluytmans J: Trends in Extended Spectrum Beta-Lactamase (ESBL) producing enterobacteriaceae and ESBL genes in a Dutch teaching hospital, measured in 5 yearly point prevalence surveys (2010–2014). PLoS ONE. 2015; doi: 10.1371/journal.pone.0141765.

4) Hong DJ, Bae IK, Jang IH, Jeong SH, Kang HK, Lee K: Epidemiology and Characteristics of Metallo-β-Lactamase-Producing Pseudomonas aeruginosa. Infect Chemother. 2015; 47: 81–97.

5) 石井良和:世界的視点で捉える耐性菌感染症の動向。臨床と微生物2013; 40:195–200.

6) 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議:薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016–2020。2016年4月5日。http://www.mhlw. go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html

7) Yamaguchi K, Ohno A; Levofloxacin Surveillance Group: Investigation of the susceptibility trends in Japan to fluoroquinolones and other antimicrobial agents in a nationwide collection of clinical isolates: a longitudinal analysis from 1994 to 2002. Diagn Microbiol Infect Dis. 2005; 52: 135–43.

8) 山口惠三,大野 章,石井良和,舘田一博,岩田守弘,神田 誠,他:2004年に全国77施設から分離された臨床分離株18,639株の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス。Jpn J Antibiot. 2006; 59: 428–51.

9) 山口惠三,大野 章,石井良和,舘田一博,岩田守弘,神田 誠,他:2007年に全国72施設から分離された臨床分離株12,919株の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス。Jpn J Antibiot. 2009; 62: 346–70.

10) 山口惠三,大野 章,石井良和,舘田一博,岩田 守 弘:Levofloxacin-Surveillance Group:2010年に全国72施設の臨床材料から分離された12,866株の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス。Jpn J Antibiot. 2012; 65: 181–206.

11) 山口惠三,舘田一博,大野 章,石井良和,村上日奈子:2013年に全国69施設の臨床材料から分離された11,762株の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス。Jpn J Antibiot. 2016; 69: 1–25.

12) Clinical and Laboratory Standards Institute: M07: Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically, 10th Edition, 2015.

13) Clinical and Laboratory Standards Institute: M11: Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria, 8th Edition, 2012.

14) Clinical and Laboratory Standards Institute: M100: Performance Standards for Antimicrobial

Page 25: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

Dec. 2018 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 297 ( 39)

Susceptibility Testing; 27th Edition, 2017.15) European Committee on Antimicrobial

Susceptibility Testing: Breakpoint tables for interpretation of MICs and zone diameters Version 7.1, 2017.

16) 五島瑳智子,武藤弓子,小川正俊:β-ラクタマーゼ検出法。感染症1983: 13: 73–83.

17) Hamasuna R, Yasuda M, Ichikawa K, et al.: The second nationwide surveillance of the antimicrobial susceptibility of Neisseria gonorrhoeae from male urethritis in Japan, 2012–2013. J Infect Chemother. 2015; 21: 340–5.

18) Suzuki K, Kurono Y, Ikeda K, Watanabe A, Iwamoto A, Totsuka K, et al.: Nationwide surveillance of 6 otorhinolaryngological infectious diseases and antimicrobial susceptibility pattern in the isolated pathogens in Japan. J Infect Chemother. 2015; 21: 483–91.

19) Takesue Y, Kusachi S, Mikamo H, Sato J, Watanabe A, Kiyota H, et al.: Antimicrobial

susceptibility of pathogens isolated from surgical site infections in Japan: comparison of data from nationwide surveillance studies conducted in 2010 and 2014–2015. J Infect Chemother. 2017; 23: 339–48.

20) Watanabe S, Ohnishi T, Yuasa A, Kiyota H, Iwata S, Kaku M, et al.: The first nationwide surveillance of antibacterial susceptibility patterns of pathogens isolated from skin and soft-tissue infections in dermatology departments in Japan. J Infect Chemother. 2017; 23: 503–11.

21) Yanagihara K, Watanabe A, Aoki N, Mtsumoto T, Yosihda M, Sato J, et al.: Nationwide surveillance of bacterial respiratory pathogens conducted by the surveillance committee of Japanese Society of Chemotherapy, the Japanese Association for Infectious Diseases, and the Japanese Society for Clinical Microbiology in 2012: General view of the pathogens’ antibacterial susceptibility. J Infect Chemother. 2017; 23: 587–97.

Surveillance of in vitro susceptibilities to levofloxacin and various antibacterial agents for 11,705 clinical isolates obtained

from 65 centers in 2016

Kazuhiro Tateda1), Akira Ohno1), Yoshikazu Ishii1), Hinako Murakami2)and Keizo Yamaguchi1,3)

1)Department of Microbiology and Infectious Diseases, Toho University School of Medicine

2)Department of Clinical Laboratory, Toho University Omori Medical Center

3)Department of Advanced and Integrated Analysis of Infectious Diseases, Toho University School of Medicine

Antimicrobial susceptibility testing has been conducted continuously as post-marketing surveillance of levofloxacin (LVFX) since 1994. The present survey was undertaken to investigate in vitro susceptibilities of bacteria to 33 selected antibacterial agents, focusing on fluoroquinolones (FQs), using 11,705 clinical isolates for 27 species collected from 65 centers

Page 26: 2016年に全国65 11,705jja-contents.wdc-jp.com/pdf/JJA71/71-6/71-6_273-298.pdf · 2018-12-12 · 施設から分離された27菌種,11,705株を対象に 各種抗菌薬に対する感受性検査を実施したので報

298 ( 40) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 71―6 Dec. 2018

during 2016 in Japan.The common respiratory pathogens of Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes,

Moraxella catarrhalis, and Haemophilus influenzae continue to show a high susceptibility to FQs, especially to sitafloxacin (STFX), with the susceptibility percentage over 99.8%. On the other hand, the percentage of macrolide-resistant S. pneumoniae and S. pyogenes have increased to 72.9–77.3% and 30.6–32.5% respectively. The isolation frequency of β-lactamase-negative ampicillin-resistant H. influenzae was high at 55.9%, but no increase was observed from 2010. Most strains of Enterobacteriaceae showed a high susceptibility to FQs, but the isolation frequency of STFX-resistant and levofloxacin (LVFX)-resistant Escherichia coli including intermediate resistant strains was 12.7% and 34.2% respectively, and LVFX-resistant rate showed a continuous increase. Another Enterobacteriaceae member, Klebsiella spp., showed low resistance to FQs, in contrast with E. coli, with a susceptibility of over 94.3%. Regarding methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), the percentage of FQ-susceptible isolates were low at 14.6–17.7%, with the exception of 69.3% susceptibility to STFX. On the other hand, methicillin-susceptible S. aureus (MSSA) isolates showed high susceptibility to FQs, at 83.0–99.1%. The susceptibility rate of Enterococcus faecalis and Enterococcus faecium to FQs was 82.4–92.4% and 8.0–21.6% respectively. The percentage of FQ-susceptible Pseudomonas aeruginosa was 91.2–94.2% among isolates derived from urinary tract infections (UTIs), while that from respiratory tract infections (RTIs) was 90.1–94.6%. This was summarized as susceptibility to FQs over 90% in both infections and a continuous decrease in FQ-resistant P. aeruginosa was noted, especially among isolates from UTIs. Regarding multidrug-resistant P. aeruginosa, the isolation frequency was 0.8% from UTIs and 0.5% from RTIs in this survey. Acinetobacter spp. showed high susceptibility to FQs with a susceptibility percentage of 88.4–93.8%. The percentage of imipenem-resistant Acinetobacter spp. was 3.3% (15 isolates) and no multidrug-resistant strain was observed. In Neisseria gonorrhoeae, ceftriaxone (CTRX) showed 100% susceptibility, while CTRX-resistant strains have been detected in both 2010 and 2013 in this survey. MIC90 of STFX was 0.5–4 μg/mL against anaerobes, which were tested for the first time in this survey, but the other FQs showed relatively weak antibacterial activity.

In conclusion, the resistant percentage of methicillin-resistant staphylococci, E. faecium and E. coli to four FQs (LVFX, ciprofloxacin (CPFX), tosufloxacin (TFLX), and pazufloxacin (PZFX)), which have been used clinically for over 15 years, was shown to be 33.2–89.3% in this surveillance, but the results were similar to those from previous surveillance and no significant increase in resistance was observed. On the other hand, the resistant percentage of N. gonorrhoeae to LVFX, CPFX and TFLX was 100%, showing an increase from 74.1% in 2013. Regarding the other bacterial species, the susceptibility rate of S. pyogenes to PZFX and of Proteus mirabilis to CPFX and TFLX was less than 80%, while susceptibility rate to other FQs was maintained at a high level of 80% or more. STFX, which has been on the market since 2008, showed a susceptibility rate of 87.3% or more except for MRSA and E. coli.