Point of note

■ 環境コンサルタントとは環境保全に関する企画立案、調査解析などのコンサルティング業務を行う。国土交通省の建設コンサルタント登録規定に基づき登録された建設コンサルタントの業務と似た部分がある。

「人と自然」を結ぶには、ステークホルダー同士、つまり「人と人」を結ぶことが大切だと関岡さんは唱える。

「環境コンサルタントの使命は、自然を対象にしつつも人と人をつなぐコーディネートをすることです」

地域の人たちによる手づくりビオトープを支援。技術者を対象に自然再生の技術指導も行っている。

中だ。自然環境を読み解く基礎的な技

術力を生かした事業をベースに、社会

に必要な問題解決のための事業に取り

組んでいる。

最近では、ある地域を開発する際に

は初期段階から、地元の人たちと企業

がともに計画を考えていく傾向が強く

なってきている。発注側のクライアン

トと、ステークホルダーである地元住

民。彼らの架け橋となるのが、関岡さ

んの役割だ。「地域の皆さんが解決方

法に迷うとき、最適な解決方法を見出

して助言するのが環境コンサルタント

の仕事だと思います」

現時点がどうなっているのかを調べ

る「調査」とは異なり、「コーディネー

ト」はその地域と人々の将来を見据え

ることが職務となるのだ。「人・自然・

つなぐ」というBO-

GAのタグライ

ンは、この役割をよく表している。

今後の目標

STEP3

人と自然をつなぐ仕事は、

今の社会を未来へ渡す仕事

「この事業は、私たちの社会を未来に

つないでいくためにあると考えていま

す」と語る関岡さん。当面は、事業を

軌道に乗せることが肝要だと語る。「必

ずしも会社経営のノウハウに長けてい

るわけではないので（笑）、専門家の

方々のお話や諸先輩方のアドバイスを

伺いながら、事業を安定させていきた

いです」。その一方で、自然環境を専

門とする技術者の集団でもあり、一市

民であることを忘れてはならないとも

語る。「社員一人ひとりがその意識を

しっかりと持ち、未来に責任を果たそ

うとする使命を持った企業であること

を常に念頭に入れておきたいです。そ

のうえで次の世代の技術者を育成して

いかなくてはならないですね」

さらに、独立の際に必要と考えた

「フットワークの軽さ」や「社内での

意識の共有」は常に大切であるとの考

えから、「あまり大きな組織にはしな

いと思います。でも今後、一緒に頑張っ

てくれる仲間がいれば大歓迎です。

BO-

GAの社員がクライアントの事

業を通じて〝人と自然をつなぐコー

ディネーター〞として活動していって

くれれば、私たちの社会が未来へつな

がることになりますから」

自然再生をテーマにクラフトワークショップを運営。野生生物（ニホンザル）の行動調査。

大学で植物生態学を学んだ後、人と自然が対峙する環境における最適なコーディネートを提案し続けている。2014 年に株式会社 BO-GAを18年来の縁がある敦賀市に設立。

株式会社BO-GA代表取締役関岡裕明さん

Profile

47 起こす！ 50ー 地域を起こす創業企業

敦賀市 Tsuruga

所 在 地 ： 福井県敦賀市坂下 30-11-10業　　種 ： 環境コンサルティング業資 本 金 ： 1000万円設　　立 ：2014 年 8月従業者数 ：8 名

会社概要

創業のきっかけ

STEP1

フットワークの軽さと柔軟な対応力、

その重要性から、独立を決意した

前職は自然環境調査を行う企業で調

査に基づく自然環境の保全・活用の計

画や、環境ブランディングの立案、現

地のコーディネート業務を務めていた

関岡裕明さんは、大学の農学部で植物

生態学を学んだ自然環境のプロだ。「人

と自然が、いかに融合して存続できる

か」を見通す目を持っており、前職で

は、担当する地域がどのような方向に

向かっていけば良いのかを、地元住民

の人たちと一緒に導き出すことに使命

を感じていた。「大学時代の経験がずっ

と活きていると自覚しています。人と

自然が対峙している現場を多く研究し

たことが、その後の人生に大きく影響

しています」

しかし勤務していた企業では、必ず

しも自分のやりたいことだけに専念で

きるわけではなかった。関岡さんは単

なる自然環境調査業務ではなく、「環

境コンサルタント」に専念したい気持

ちが膨らんできた。

「私たちが取り組んできた自然環境コ

ンサルティングは、自然を対象としつ

つも、その地域や事業主体に合わせた

〝人と人をつなぐコーディネート〞が

根幹だと思うのです。クライアントの

皆さんや、その事業のステークホル

ダーとなる皆さんと一緒に真剣に考

え、悩み、問題の解決の糸口を見つけ

ること。これが環境コンサルタントの

使命だと思っています」

その業務を遂行するためには、でき

るだけ軽いフットワークと、チーム内

での意識の共有、それに地域ごとの人

たちの想いに対応できる柔軟性が必要

だ。関岡さんはこの想いから独立を決

意する。

そんなとき、会計事務所から日本政

策金融公庫を紹介された。関岡さんの

熱意が込められた事業計画書により、

融資を受けることが決まった。「創業

前の段階だったので、当然実績はまだ

ありません。でも日本公庫さんは、私

たちの夢を信じてくれたのです」

関岡さんは新たな会社を「BO-

GA」と名付けた。草木が芽を出す〝萌

芽〞からとった名だ。「私たちの事業

が、人と自然、人と人をつなぐ芽とな

り、新しいつながりに広がることを目

指してこの名前を付けました」

事業スタート

STEP2

「人・自然・つなぐ」

地域の将来を見据えた役割を表現

２０１４年にスタートしたばかりの

BO-

GAだが、前職からの付き合い

を継続してくれるクライアントにも恵

まれ、現在は全国各地での事業を展開

福井県Fukui

株式会社BO-GAhttp://www.bo-ga.co.jp/株式会社BO-GAは、自然環境を専門とする技術者で構成するコンサルタント会社単に自然環境だけを見るのではなく、ステークホルダーとなるさまざまな人たちと自然との最適な関係性を探る目を持ち、その視線は未来へ向けられている。

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