科学技術・学術政策研究所の調査研究 からみえるラ...

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2019年10月3日 文部科学省科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術政策研究所の調査研究 からみえるライフサイエンス系分野の状況 資料3-1

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Page 1: 科学技術・学術政策研究所の調査研究 からみえるラ …本日、主に紹介する2つのレポート 2 科学技術指標とは • 日本及び主要国(米英独仏中韓)の科学技術活動を、客観的・定量的データに基づき、体系的に

2019年10月3日文部科学省科学技術・学術政策研究所

科学技術・学術政策研究所の調査研究からみえるライフサイエンス系分野の状況

資料3-1

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本日、主に紹介する2つのレポート

2

科学技術指標とは• 日本及び主要国(米英独仏中韓)の科学技術活動を、客観的・定量的データに基づき、体系的に

把握するための基礎資料(1991年から、2005年から毎年公表)• 科学技術活動を「研究開発費」、「研究開発人材」、「高等教育」、「研究開発のアウトプット」、「科

学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーに分類• 約180の指標で日本及び主要国の科学技術活動状況を把握

科学研究のベンチマーキングとは• 日本及び主要国(米英独仏中韓)の科学研究活動を、論文という指標から把握するための基礎資

料(2008年から、概ね2年毎に公表)• 論文数、注目度の高い論文数※、国際共著論文数などから日本の状況を分野ごとに分析、主要国

との比較を実施• 日本国内で論文がどのような部門等から生み出されているかに注目した分析を実施

※: 被引用数が世界で上位10%(上位1%)の論文

研究のインプット、アウトプットの観点から紹介

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研究のインプットに関係する指標

3

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紹介する指標: 研究のインプットに関係する指標

[科学技術関係予算、研究開発費]科学技術基本計画のもとでの科学技術関係予算の推移日本の大学等における学問分野別研究開発費日本の大学等における専門分野別研究者数

[博士人材の育成・活用]日本の大学院博士課程入学者数の推移産業別の研究人材集約度と高度研究人材活用度の関係

[研究時間]大学等教員の職務活動時間割合の推移大学等教員の職務活動時間割合の推移(学問分野別)

4

科学技術指標

科学技術指標

FTE調査※

※: 平成30年度大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(報道発表資料), 文部科学省 科学技術・学術政策局 企画評価課, 2019年6月

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科学技術基本計画のもとでの科学技術関係予算の推移

5

2019年度の科学技術関係予算は当初予算額で4.2兆円であり、2018年度と比較すると10.4%の増加率。

注: 1) 補正予算は追加額のみである。2) 科学技術基本計画(第1期~第4期)の策定に伴い、1996年度、2001年度、2006年度及び2011年度に対象経費の範囲が見直されている。3) 競争的資金の割合は当初予算での数値である。2019年度の競争的資金は2019年4月時点の値である。4) 科学技術関係予算の2016年度以降の当初予算は、行政事業レビューシートの記載内容に基づき予算事業を詳細に分類し、その分類内容に基づく統一的な基準で科学技術関係予算の判定を行う方法に変更されている。2018年度に変更が行われ2016年度までさかのぼって再集計がなされた。

6.0 7.2 7.7 8.3 8.9 9.4 9.7 9.7 10.0 13.1 13.2

13.6 13.5

13.8

12.9 12.3 11.5

11.3

11.4 12.1

11.6 11.9 11.1 10.3

0

10

20

30

40

50

0

1

2

3

4

5

1996 98 2000 2001 03 2005 2006 08 2010 2011 13 2015 2016 17 18 2019

当初予算での競争的資金の割合

科学技術関係予算

兆円

年度

当初予算 1次補正 2次補正 3次補正

4次補正 経済危機対応・

地域活性化予備費

競争的資金

第1期基本計画 第2期基本計画 第5期基本計画

第3期基本計画 第4期基本計画

科学技術指標

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日本の大学等における学問分野別研究開発費

6

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1981 84 87 90 93 96 99 02 05 08 11 14 2017

学問分野別研究開発費

兆円

年度

理学

工学

農学

保健

人文・社

会科学その他

1990年代後半までは、ほとんどの分野で研究開発費は増加傾向。その後、増加し続けたのは保健分野のみであり、他の分野は、概ね横ばいで推移。

注: 1)学問分野の区分は、学部等の組織の種類による区分である。FTEを考慮していない研究開発費。2)保健分野は、医・歯・薬学・その他保健である。

科学技術指標

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日本の大学等における専門分野別研究者数

7

専門分野別にみると保健分野の研究者数が多い。他の分野と比較すると、保健分野のみ、2005年頃から増加傾向。

注: 1)研究者の専門分野は、研究者の現在の研究(業務)内容により分類されている。2)保健分野は、医・歯・薬学・その他保健である。3)2012年において、新規に「情報科学」が「理学」分野に、「心理学」が「その他」分野に追加された。

科学技術指標

0

2

4

6

8

10

12

1987 90 93 96 99 02 05 08 11 14 17

専門分野別研究者数

万人

2018年

理学

工学

農学

保健

人文・社

会科学その他

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日本の大学院博士課程入学者数の推移

8

大学院博士課程入学者数は、2003年度をピークに長期的には減少傾向。2003年度と比べると、「保健」のみが増加し、それ以外は減少。博士課程入学者のうち、社会人入学者数は増加。

注: 1)保健分野は、医・歯・薬学・その他保健である。2)その他は「商船」、「家政」、「教育」、「芸術」、「その他」3)「社会人」とは、各5月1日において①職に就いている者(給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を得る仕事に現に就いている者)、②給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を得る仕事から既に退職した者、③主婦・主夫を指す。

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

1981 85 89 93 97 01 05 09 13 17

その他

社会科学

人文科学

保健

農学

工学

理学入学者数

万人

2018年度

21.7%

42.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2003 10 2018

社会人

社会人以外

社会人割合

万人

年度

6,271人2018年度

6,001人2003年度

1,800人(1981年度)

科学技術指標

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専門、科学技術サービ

ス業

情報通信業

輸送用機械工業

電子器具・装置・部品工

コンピュータ、電子製品

工業

機械工業

医薬品工業化学工業

(医薬品工業を除く)

0

5

10

15

20

25

30

0 5 10 15 20 25 30

高度研究人材活用度

[

研究者に占める博士号保持者の割合(

%)]

研究人材集約度[従業員に占める研究者の割合(%)]

学術研究、専門・技術

サービス業

金融業、保険業

輸送用機械器具製造業

情報通信機械器具

製造業電気機械器具製造業

電子部品・デバイス・

電子回路製造業

業務用機械器具製造業生産用機械器具製造業はん用機械器具製造業

化学工業

医薬品製造業

情報通信業

0

5

10

15

20

25

30

0 5 10 15 20 25 30

高度研究人材活用度

[

研究者に占める博士号保持者の割合(

%)]

研究人材集約度[従業員に占める研究者の割合(%)]

【日本:2018年】 【米国:2016年】

産業別の研究人材集約度と高度研究人材活用度の関係

日本の企業における高度研究人材活用度(研究者に占める博士号保持者の割合)は、米国と比べて低い。

注: 研究人材集約度とは、従業員に占めるHC研究者数の割合である。高度研究人材活用度とは、HC研究者に占める博士号保持者の割合である。日米共に研究開発を実施している企業を対象としている。

• 米国は、主要な産業において高度研究人材活用度が5%を超えている

• 日本は、高度研究人材活用度が5%以下の産業が多い

円の面積は博士号保持者数に対応

0.4万人

2.2万人

9

科学技術指標

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大学等教員の職務活動時間割合の推移

教員の研究活動時間割合は減少傾向が続き、平成30年度は32.9%。教育活動、社会サービス活動(研究関連、教育関連)時間割合がそれぞれ微増しており、前回特に増加傾向の強かった社会サービス活動(その他:診療活動等)も1.1ポイント微増して10.3%。その他の職務活動(学内事務等)時間割合はこれまで減少傾向にあったが、今回は0.5ポイント微増して18%。

10出典:平成30年度大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(報道発表資料), 2019年6月

FTE調査

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理学 工学

農学 保健

大学等教員の職務活動時間割合の推移(学問分野別)

大学等教員の研究時間割合は全体としては減少しているが、学問分野別に見ると保健分野の教員における職務活動時間割合の増減が大きく影響している。理学、工学及び農学分野における研究活動時間割合は平成20年度以降、大きな変化は見られない。

11注: 保健分野は、医・歯・薬学・その他保健である。出典:平成30年度大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(報道発表資料), 2019年6月

FTE調査

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研究のアウトプットに関係する指標

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紹介する指標: 研究のアウトプット

[論文]日本の分野ごとの論文数、注目度の高い論文数の伸び率基礎生命科学と臨床医学の論文数シェア基礎生命科学と臨床医学の注目度の高い論文数(Top10%補正論文数)シェア基礎生命科学の論文数の変化(サブジェクトカテゴリに注目した分析)臨床医学の論文数の変化(サブジェクトカテゴリに注目した分析)全世界の分野別国際共著率の推移日本の分野別国際共著率の推移特定ジャーナルの分析(Nature, Science等)

[特許]主要国・地域別パテントファミリー数

[特許と論文のつながり]科学と技術のつながり日本の論文と主要国のパテントファミリーのつながり

13

ベンチマーキング

科学技術指標

科学技術指標

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日本の分野ごとの論文数、注目度の高い論文数の伸び率

日本の分野ごとの論文数の伸び率を分数カウント法で見ると、論文数については臨床医学、環境・地球科学で増加。Top10%及びTop1%補正論文数では、臨床医学、環境・地球科学、計算機・数学で増加。工学は、Top1%補正論文数で増加。化学、材料科学、物理学では、いずれの論文種別でも減少。

14

分数カウント 分数カウント 分数カウント

分野PY2005-2007年(平均値)

PY2015-2017年(平均値)

伸び率

分野PY2005-2007年(平均値)

PY2015-2017年(平均値)

伸び率

分野PY2005-2007年(平均値)

PY2015-2017年(平均値)

伸び率

化学 10,533 9,256 -12% 化学 993 646 -35% 化学 72 64 -11%

材料科学 4,671 3,887 -17% 材料科学 364 232 -36% 材料科学 32 28 -12%

物理学 10,266 7,345 -28% 物理学 750 518 -31% 物理学 64 40 -37%

計算機・数学 2,478 2,417 -2% 計算機・数学 107 127 19% 計算機・数学 8 9 17%

工学 4,663 4,143 -11% 工学 267 204 -24% 工学 18 19 8%

環境・地球科学 2,292 2,731 19% 環境・地球科学 120 165 37% 環境・地球科学 12 14 21%

臨床医学 13,141 16,272 24% 臨床医学 746 1,030 38% 臨床医学 44 63 44%

基礎生命科学 18,443 17,179 -7% 基礎生命科学 1,143 971 -15% 基礎生命科学 106 88 -17%

論文数 Top10%補正論文数 Top1%補正論文数

分数カウント法とは、 1件の論文が、日本の機関Aと米国の機関Bの共著の場合、日本を1/2、米国を1/2と数える方法。論文の生産への貢献度を示している。

ベンチマーキング

注1: PYとは出版年(Publication year)の略である。Article, Reviewを分析対象とした。分数カウント法を用いた。注2: 論文の被引用数(2018年末の値)が各年各分野(22分野)の上位10%(1%)に入る論文数がTop10%(Top1%)論文数である。Top10%(Top1%)補正論

文数とは、Top10%(Top1%)論文数の抽出後、実数で論文数の1/10(1/100)となるように補正を加えた論文数を指す。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

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0

5

10

15

20

25

30

35

40

1982 87 92 97 02 07 12

基礎生命科学での論文数シェア

(3年移動平均%)(分数カウント)

米国 英国 日本ドイツ 中国 フランス韓国

2016

(PY)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

1982 87 92 97 02 07 12

臨床医学での論文数シェア

(3年移動平均%)(分数カウント)

米国 英国 日本ドイツ 中国 フランス韓国

2016

(PY)

基礎生命科学と臨床医学の論文数シェア

基礎生命科学における日本の論文数シェアは2000年代初めから低下傾向。臨床医学における日本のシェアも低下傾向にあるが、直近では横ばい傾向。

15

分数カウント法とは、 1件の論文が、日本の機関Aと米国の機関Bの共著の場合、日本を1/2、米国を1/2と数える方法。論文の生産への貢献度を示している。

ベンチマーキング

日本 日本

注: Article, Reviewを分析対象とした。分数カウント法を用いた。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

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0

10

20

30

40

50

60

70

1982 87 92 97 02 07 12

基礎生命科学でのTop10%補正論文数

シェア(3年移動平均%)(分数カウント)

米国 英国 日本ドイツ 中国 フランス韓国

2016

(PY)

0

15

30

45

60

75

1982 87 92 97 02 07 12

臨床医学でのTop10%補正論文数シェア

(3年移動平均%)(分数カウント)

米国 英国 日本ドイツ 中国 フランス韓国

2016

(PY)

基礎生命科学と臨床医学の注目度の高い論文数(Top10%補正論文数)シェア

基礎生命科学における日本のTop10%補正論文数シェアは2000年代初めから低下傾向。臨床医学における日本のシェアも低下傾向にあるが、直近では横ばい傾向。

16

ベンチマーキング

日本 日本

分数カウント法とは、 1件の論文が、日本の機関Aと米国の機関Bの共著の場合、日本を1/2、米国を1/2と数える方法。論文の生産への貢献度を示している。

注1: Article, Reviewを分析対象とした。分数カウント法を用いた。注2: 論文の被引用数(2018年末の値)が各年各分野(22分野)の上位10%(1%)に入る論文数がTop10%(Top1%)論文数である。Top10%(Top1%)補正論

文数とは、Top10%(Top1%)論文数の抽出後、実数で論文数の1/10(1/100)となるように補正を加えた論文数を指す。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

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基礎生命科学の論文数の変化(サブジェクトカテゴリに注目した分析)

全世界の基礎生命科学の論文は、一貫して増加。サブジェクトカテゴリ別で見ると、「複合科学※」、「薬理学・薬学」において増加。日本は、増加から停滞に転じている。「生化学・分子生物学」、「薬理学・薬学」の減少が大きい一方、「複合科学」の増加が大きい。

17

20,059

40,952

72,564

54,771

-10,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

(Ⅰ)

1996年平均

→2001年平均

(Ⅱ)

2001年平均

→2006年平均

(Ⅲ)

2006年平均

→2011年平均

(Ⅳ)

2011年平均

→2016年平均

3,052

218

362

-385

-2,000

-1,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

(Ⅰ)

1996年平均

→2001年平均

(Ⅱ)

2001年平均

→2006年平均

(Ⅲ)

2006年平均

→2011年平均

(Ⅳ)

2011年平均

→2016年平均

サブジェクトカテゴリ別の論文数(3年平均値)の変化(基礎生命科学)

ベンチマーキング

注1: Article, Reviewを分析対象とした。「2016年平均」とは、2015年~2017年の3年平均値を意味する。注2: サブジェクトカテゴリは、1論文に複数付与される(原則最大6分野付与)ため、分数で集計を行った(例:サブジェクトカテゴリが3分野付与された場合はそれぞれ1/3とカウントし

集計)。合計値は、整数カウント法の論文数と一致する。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

その他

微生物学

感染症

遺伝学・遺伝

内分泌学・新陳代謝

バイオテクノロジー・応用微生物学

免疫学

薬理学・薬学

神経科学

生化学・分子生物学

複合科学

合計

(A)全世界の状況 (B)日本の状況

※ サブジェクトカテゴリの「複合科学」が付与されているジャーナルは、「PLOS ONE」、「SCIENTIFIC REPORTS」、「NATURE」、「SCIENCE」等であり、幅広い分野をカバーするジャーナルである。

複合科学

生化学・分子生物学

薬理学・薬学

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20,140

34,400

63,571

53,797

-10,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

(Ⅰ)

1996年平均

→2001年平均

(Ⅱ)

2001年平均

→2006年平均

(Ⅲ)

2006年平均

→2011年平均

(Ⅳ)

2011年平均

→2016年平均

臨床医学の論文数の変化(サブジェクトカテゴリに注目した分析)

18

(A)全世界の状況 (B)日本の状況サブジェクトカテゴリ別の論文数(3年平均値)の変化(臨床医学)

全世界の臨床医学の論文は、一貫して増加。サブジェクトカテゴリ別で見ると、「複合科学」、「腫瘍学」、「医学・一般医療・内科学」において増加。日本は、停滞から増加に転じている。全世界と同様に、 「複合科学※」、「腫瘍学」、「医学・一般医療・内科学」の増加が大きい。

3,352

42

1,797

2,300

-1,000

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

(Ⅰ)

1996年平均

→2001年平均

(Ⅱ)

2001年平均

→2006年平均

(Ⅲ)

2006年平均

→2011年平均

(Ⅳ)

2011年平均

→2016年平均

ベンチマーキング

注1: Article, Reviewを分析対象とした。「2016年平均」とは、2015年~2017年の3年平均値を意味する。注2: サブジェクトカテゴリは、1論文に複数付与される(原則最大6分野付与)ため、分数で集計を行った(例:サブジェクトカテゴリが3分野付与された場合はそれぞれ1/3とカウントし

集計)。合計値は、整数カウント法の論文数と一致する。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

その他

整形外科学

消化器病学・肝臓学

血液学

泌尿器学・腎臓学

放射線学・核医学・医用画像

外科学

医学・一般医療・内科学

心臓・循環器系

腫瘍学

複合科学

合計

※ サブジェクトカテゴリの「複合科学」が付与されているジャーナルは、「PLOS ONE」、「SCIENTIFIC REPORTS」、「NATURE」、「SCIENCE」等であり、幅広い分野をカバーするジャーナルである。

腫瘍学複合科学

医学・一般医療・内科学心臓・循環器系

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全世界の分野別国際共著率の推移

いずれの分野においても、国際共著率は上昇基調であるが、分野ごとに国際共著率に違いがある。臨床医学における国際共著率は22.4%であり、国際共著率が最も低い。

19

23.4

25.1

35.1

31.0

25.0

36.5

22.4

29.327.5

0

5

10

15

20

25

30

35

40

1981 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 2017 年(PY)

化学

材料科学

物理学

計算機・数学

工学

環境・地球科学

臨床医学

基礎生命科学

総計

(%)

臨床医学

基礎生命科学

ベンチマーキング

注: Article, Reviewを分析対象とし、整数カウント法により分析。単年である。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

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日本の分野別国際共著率の推移

環境・地球科学、物理学の国際共著率が高い。臨床医学は、国際共著率及びその10年間の増加が、他の分野に比べて小さい。

20

日本の国際共著率

(A)2005-2007年 (B)2015-2017年(C)2005-2007年から2015-2017年への増加分

全分野 23.5% 32.9% 9.4化学 17.7% 28.1% 10.4

材料科学 22.8% 38.7% 15.9 物理学 30.9% 44.6% 13.7

計算機・数学 23.4% 38.7% 15.3工学 21.3% 35.3% 14.1

環境・地球科学 42.0% 54.2% 12.2 臨床医学 16.3% 20.2% 3.8 基礎生命科学 25.3% 33.7% 8.4

ベンチマーキング

注: Article, Reviewを分析対象とし、整数カウント法により分析。単年である。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

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特定ジャーナルの分析

NATURE, CELLの日本のシェアは減少、SCIENCEは横ばい傾向。臨床医学に関連するジャーナル(N Engl J Med, LANCET)ではシェアが増加傾向。

21

25.8

7.6

21.2

11.8

11.8

2.6

70.8

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

0.0

6.0

12.0

18.0

24.0

30.0

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

米国

米国

以外

NATURE : 3年移動平均-論文数シェア

英国 日本 ドイツ 中国 フランス 韓国 米国

18.7

8.5

19.8

9.5

11.6

2.8

72.8

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

0.0

6.0

12.0

18.0

24.0

30.0

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

米国

米国

以外

SCIENCE : 3年移動平均-論文数シェア

英国 日本 ドイツ 中国 フランス 韓国 米国

25.3

5.7

17.9

5.0

15.4

3.3

82.5

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

0.0

6.0

12.0

18.0

24.0

30.0

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

米国

米国

以外

NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE : 3年移動平均-論文数シェア

英国 日本 ドイツ 中国 フランス 韓国 米国

51.5

7.7

20.3

11.6

18.2

5.1

61.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

米国

米国

以外

LANCET : 3年移動平均-論文数シェア

英国 日本 ドイツ 中国 フランス 韓国 米国

13.4

4.7

13.5

8.4 7.9

1.1

81.4

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

0.0

6.0

12.0

18.0

24.0

30.0

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

米国

米国

以外

CELL : 3年移動平均-論文数シェア

英国 日本 ドイツ 中国 フランス 韓国 米国

NATURE

SCIENCE

N Engl J Med

LANCET

CELL

ベンチマーキング

注: Article, Reviewを分析対象とし、整数カウント法により分析。単年である。クラリベイト・アナリティクス社 Web of Science XML (SCIE, 2018年末バージョン)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

日本 7.6%

日本 8.5%

日本 4.7%

日本 5.7%

日本 7.7%

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主要国・地域別パテントファミリー数

日本は10年前から引き続きパテントファミリー(2か国以上への特許出願)数で世界第1位。韓国や中国のシェア増加に伴い、「情報通信技術」、「電気工学」における日本のシェアは低下。

注: パテントファミリーとは優先権によって直接、間接的に結び付けられた2か国以上への特許出願の束である。通常、同じ内容で複数の国に出願された特許は、同一のパテントファミリーに属する。

欧州特許庁のPATSTAT(2018年秋バージョン)をもとに、科学技術・学術政策研究所が集計。

国・地域名 数 シェア 順位日本 52,514 29.4 1米国 45,793 25.6 2ドイツ 26,629 14.9 3韓国 12,686 7.1 4フランス 9,724 5.4 5イギリス 8,490 4.8 6台湾 5,546 3.1 7オランダ 4,745 2.7 8イタリア 4,694 2.6 9カナダ 4,681 2.6 10

国・地域名 数 シェア 順位日本 62,585 27.1 1米国 52,797 22.9 2ドイツ 26,949 11.7 3韓国 23,023 10.0 4中国 19,574 8.5 5台湾 11,600 5.0 6フランス 11,114 4.8 7イギリス 8,615 3.7 8カナダ 5,403 2.3 9オランダ 4,097 1.8 10

2002年 - 2004年(平均) 整数カウント

2012年 - 2014年(平均) 整数カウント

0

10

20

30

40

50

電気

工学

情報

通信

一般

機器

バイオ・

医療機

化学バイオ・

医薬品

機械

工学

輸送

機器

その他

(B)米国

パテントファミリー数シェア(2002-2004)

パテントファミリー数シェア(2012-2014)

0

5

10

15

20

電気

工学

情報

通信

一般

機器

バイオ・

医療機

化学バイオ・

医薬品

機械

工学

輸送

機器

その他

(C)中国

パテントファミリー数シェア(2002-2004)

パテントファミリー数シェア(2012-2014)

0

5

10

15

20

電気

工学

情報

通信

一般

機器

バイオ・

医療機

化学バイオ・

医薬品

機械

工学

輸送

機器

その他

(D)韓国

パテントファミリー数シェア(2002-2004)

パテントファミリー数シェア(2012-2014)

0

10

20

30

40

50

電気

工学

情報

通信

一般

機器

バイオ・

医療機

化学バイオ・

医薬品

機械

工学

輸送

機器

その他

(A)日本

パテントファミリー数シェア(2002-2004)

パテントファミリー数シェア(2012-2014)

2002-04年

2012-14年

第一位をキープ

【主要国の技術分野毎のパテントファミリー数シェアの比較】【主要国・地域別パテントファミリー数(上位10か国・地域)】

• 日本は「電気工学」、「一般機器」のシェアは相対的に高い

• 中国、韓国で「電気工学」、「情報通信」のシェアが増加

22

科学技術指標

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2007-2014年(合計値) 1981-2014年(合計値)

整数カウント(A)論文を引用している

パテントファミリー(B)パテントファミリー数全体 整数カウント

(A)パテントファミリーに引用されている論文

(B)論文数全体

順位

国・地域名 数(A)における世界シェ

ア数

論文を引用しているパテントファミリー数

の割合(A)/(B)

順位

国・地域名 数(A)における世界シェ

ア数

パテントファミリーに引用されている

論文数の割合(A)/(B)

1 米国 104,121 28.1 385,307 27.0 1 米国 386,655 35.5 7,773,669 5.0

2 日本 44,395 12.0 487,764 9.1 2 日本 80,785 7.4 1,977,900 4.1

3 ドイツ 38,415 10.4 218,430 17.6 3 ドイツ 76,259 7.0 2,021,362 3.8

4 フランス 22,339 6.0 86,402 25.9 4 英国 75,755 7.0 2,014,621 3.8

5 中国 19,235 5.2 118,596 16.2 5 フランス 49,942 4.6 1,473,247 3.4

6 イギリス 18,950 5.1 66,823 28.4 6 中国 42,482 3.9 1,823,178 2.3

7 韓国 14,042 3.8 158,298 8.9 7 カナダ 40,565 3.7 1,123,128 3.6

8 カナダ 11,422 3.1 43,207 26.4 8 イタリア 32,793 3.0 1,021,471 3.2

9 オランダ 10,018 2.7 33,016 30.3 9 オランダ 26,419 2.4 600,059 4.4

10 インド 9,159 2.5 27,139 33.7 10 スイス 22,646 2.1 454,920 5.0

【論文を引用しているパテントファミリー数:上位10か国・地域】

【パテントファミリーに引用されている論文数:上位10か国・地域】

科学と技術のつながり

日本の技術(特許)は他国と比べて科学的成果(論文)を引用している割合が低いが、日本の論文は世界の技術に多く引用されている。

• 日本のパテントファミリーの中で論文を引用しているものの割合は相対的に低い

• パテントファミリーに引用されている論文数→日本は世界第2位

• パテントファミリーに引用されている日本の論文数の割合は相対的に高い

注:論文を引用しているパテントファミリー数についての指標は、日本はパテントファミリーにおける技術分野のバランスにも影響を受ける。欧州特許庁のPATSTAT(2018年秋バージョン)、クラリベイト・アナリティクスWeb of Science XML(SCIE, 2018年末バージョン)クラリベイト・アナリティクスDerwent Innovation Index(2019年2月抽出)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。 23

科学技術指標

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26.2

46.0

53.3

23.8

37.3

14.0

16.4

16.2

37.3

28.7

25.2

39.6

36.7

56.3

50.3

47.3

11.1

6.7

5.5

10.1

6.9

8.9

10.5

11.7

7.0

4.3

3.0

6.1

5.4

4.9

6.7

7.9

7.7

4.0

3.1

6.9

3.8

5.5

7.8

8.5

7.5

5.4

6.3

9.2

5.8

6.3

6.4

6.3

3.3

4.8

3.6

4.3

4.1

4.1

2.0

2.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

化学

材料科学

物理学

計算機・数学

工学

環境・地球科学

臨床医学

基礎生命科学

日本 米国 ドイツ フランス 英国 中国 韓国

日本の論文と主要国のパテントファミリーのつながり

日本の科学的成果(論文)が日本の技術(特許)に、十分に活用されていない可能性がある。

24

• 日本の論文で自国のパテントファミリーに多く引用されている分野は「物理学」と「材料科学」

• 「環境・地球科学」、「臨床医学」、「基礎生命科学」は自国のパテントファミリーから引用されている割合は相対的に低い

論文分野

欧州特許庁のPATSTAT(2018年秋バージョン)、クラリベイト・アナリティクスWeb of Science XML(SCIE, 2018年末バージョン)クラリベイト・アナリティクスDerwent Innovation Index(2019年2月抽出)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。

科学技術指標

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参考: サイエンスマップ

25

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サイエンスマップとは

NISTEPでは、論文データベース分析により国際的に注目を集めている研究領域を抽出・可視化した「サイエンスマップ」を作成し、世界の研究動向とその中での日本の活動状況の分析を実施。最新のサイエンスマップ2016では、2011年から2016年の論文の内、被引用数が世界で上位1%の論文を共引用関係を用いてグループ化することで、世界的に注目を集めている研究領域を抽出。

‘97 ‘98 ‘99 ‘00 ‘01 ‘02サイエンスマップ2002

‘99 ‘00 ‘01 ‘02 ‘03 ‘04サイエンスマップ2004

‘01 ‘02 ‘03 ‘04 ‘05 ‘06サイエンスマップ2006

‘03 ‘04 ‘05 ‘06 ‘07 ‘08サイエンスマップ2008

‘05 ‘06 ‘07 ‘08 ‘09 ‘10サイエンスマップ2010

‘07 ‘08 ‘09 ‘10 ‘11 ‘12サイエンスマップ2012

‘97 ‘98 ‘99 ‘00 ‘01 ‘02 ‘03 ‘04 ‘05 ‘06 ‘07 ‘08 ‘09 ‘10 ‘11 ‘12

‘09 ‘10 ‘11 ‘12 ‘13 ‘14サイエンスマップ2014

‘13 ‘14

‘11 ‘12 ‘13 ‘14 ‘15 ‘16サイエンスマップ2016

‘15 ‘16

サイエンスマップ2016は8時点目

26

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2011-2016年を対象としたサイエンスマップ2016では、世界的に注目を集めている研究領域として895領域が抽出された。

サイエンスマップ2016

注1: 本マップ作成にはForce-directed placementアルゴリズムを用いているため、上下左右に意味は無く、相対的な位置関係が意味を持つ。報告書内では、生命科学系が左上、素粒子・宇宙論研究が右下に配置されるマップを示している。

注2: 白丸が研究領域の位置、白色の破線は研究領域群の大まかな位置を示している。他研究領域との共引用度が低い一部の研究領域は、マップの中心から外れた位置に存在するため、上記マップには描かれていない。研究領域群を示す白色の破線は研究内容を大まかに捉える時の目安である。研究領域群に含まれていない研究領域は、類似のコンセプトを持つ研究領域の数が一定数に達していないだけであり、研究領域の重要性を示すものではない。

データ: 科学技術・学術政策研究所がクラリベイト・アナリティクス社Essential Science Indicators (NISTEP ver.)及びWeb of Science XML (SCIE, 2017年末バージョン)をもとに集計・分析を実施。

番号 研究領域群名 短縮形

1 循環器系疾患研究 循環

2 感染症研究 感染

3 消化器系疾患研究 消化

4 免疫研究 免疫

5 がんゲノム解析・遺伝子治療、幹細胞研究 がん・幹

6 脳・神経疾患研究 脳・神

7 精神疾患研究 精神

8 ウイルス感染症研究 ウ感染

9 遺伝子発現制御研究、ライフナノブリッジ 遺伝・ライフナノ

10 植物科学研究 植物

11 環境・生態系研究 環・生

12 環境・気候変動研究 環・気

13 化学合成研究 化合

14 ナノサイエンス研究(ライフサイエンス) ナノ(ラ)

15 ナノサイエンス研究(化学) ナノ(化)

16 ナノサイエンス研究(物理学) ナノ(物)

17 量子情報処理・物性研究 量子

18 エネルギー創出(リチウムイオン電池) エネ(電)

19 素粒子・宇宙論研究 素・宇

20 ソフトコンピューティング関連研究 ソフト

21 社会情報インフラ関連研究(IoT等) 社情

27

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拡大を続ける科学研究

研究領域数はサイエンスマップ2002から2016にかけて50%増加。世界における論文数の増加、中国などの新たなプレーヤの参画による研究者コミュニティの拡大、新たな研究領域の出現、既存の研究領域の分裂等の複合的な要因。

598領域 647領域 895領域

注: 白丸は研究領域の位置を示している。データ:科学技術・学術政策研究所がクラリベイト・アナリティクス社Essential Science Indicators (NISTEP ver.)及びWeb of Science XML (SCIE, 2017年末バージョン)をもとに

集計・分析、可視化(ScienceMap visualizer)を実施。 28

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日本の参画領域数:サイエンスマップ2014から9.1%(25領域)増加日本の参画領域割合: 32%(サイエンスマップ2014)→33%(サイエンスマップ2016)英国やドイツ: 参画領域数は増加、参画領域割合は英国(63%)、ドイツ(56%)中国: 着実に参画領域数及び参画領域割合が増加(51%)

97%90%

38%33%

56%63%

51%56%

12%

51%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

02 16 02 16 02 16 02 16 02 16 02 16

参画

割合

領域

領域数 参画割合(右軸)

世界 日本 英国 ドイツ 中国

左からサイエンスマップ2002~2016(2年おき)の値

米国

日本の参画領域割合は僅かに増加

(コア

ペー

パの

有無

で判

定)

データ:科学技術・学術政策研究所がクラリベイト・アナリティクス社Essential Science Indicators (NISTEP ver.)及びWeb of Science XML (SCIE, 2017年末バージョン)をもとに集計・分析を実施。 29

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科学研究全体に広がる学際的・分野融合的領域サイエンスマップ2002: 生命科学系のあたりに集中サイエンスマップ2016: マップ全体に点在現在の科学では様々な知識の組み合わせにより、新たな知識が生み出されている。

30

60%以下

60%より大きい

学際的・分野融合的領域

特定分野に軸足を持つ研究領域

注1: 円が研究領域である。ESIの22分野でコアペーパ分布をみたとき特定分野が6割以下の場合は、学際的・分野的融合領域とし、赤丸で表示している。注2: 10単位距離に対応する長さをマップ中にスケールとして示している。データ: 科学技術・学術政策研究所がクラリベイト・アナリティクス社Essential Science Indicators (NISTEP ver.)及びWeb of Science XML (SCIE, 2017年末バージョン)をもとに

集計・分析、可視化(ScienceMap visualizer)を実施。

学際的・分野融合的領域

特定分野に軸足を持つ領域

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日本が参画する研究領域で、関与機関数が100機関より多い研究領域を見ると、生命科学系においても、素粒子等と同規模の関与機関数を持つ研究領域が存在。

100機関より多い国際共著論文が含まれる研究領域リスト(日本が関与している領域)

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LIGO(レーザー干渉計重力波観測所)を用いた重力波検出

LHC(大型ハドロン衝突型加速器)を用いた素粒子研究

糖尿病のゲノムワイド関連解析

領域ID

領域特徴語

436遺伝子座;2型糖尿病;突然変異体;ゲノムワイド関連解析;形質;一塩基多型;メンデルランダム化;対立遺伝子;ボディマス指数;因果;インスリン;遺伝的リスクスコア;操作変数法;リスク対立遺伝子;メンデルランダム化研究;危険因子;共通変異体

689ブラックホール;連星;中性子星;併合;質量;重力波;検出器;相対性理論;ガンマ線バースト;スピン;LIGO(重力波検出器);advanced-LIGO(重力波検出器);波状構造;VIRGO(重力波検出器);重力波検出器;ガンマ線;r過程(超新星爆発);パルサー(PSR);ブラックホール連星;小型連星;状態方程式;中性子星融合;重力波信号

674重イオン衝突;共形場理論;ホログラフィック;エンタングルメントエントロピー;場の理論;グルーオン(素粒子);ハドロン;AdSブラックホール;大型ハドロン衝突型加速器(LHC);横運動量;ゲージ;RHIC加速器;エントロピー;ジェット;高次スピン;衝突エネルギー;クォークグルオンプラズマ(QGP);大規模イオン衝突実験装置(ALICE)

887

超対称性;質量;大型ハドロン衝突型加速器(LHC);ヒッグス粒子;検索・探索;標準モデル;TeV;暗黒物質;最小超対称性標準模型(MSSM);グルイーノ(素粒子);GeV;スクォーク;パラメータ空間;Constrained MinimalSupersymmetric Standard Model(CMSSM);ATLAS実験(LHC);7TeV;CMS実験(LHC);衝突エネルギー;超対称性粒子;超対称性モデル

890

暗黒物質;ヒッグス粒子;一般極値;銀河;TeV;標準モデル;赤方偏移;宇宙;大型ハドロン衝突型加速器(LHC);宇宙マイクロ波背景放射;プランク;スカラー;電弱;クォーク;トップクォーク;冷たい暗黒物質;Higgsボソン;バリオン音響振動;パラメータ空間;Stephenson-Kilmister-Yang theory;8TeV;衝突エネルギー;最小超対称性標準模型(MSSM)

データ:科学技術・学術政策研究所がクラリベイト・アナリティクス社Essential Science Indicators (NISTEP ver.)及びWeb of Science XML (SCIE, 2017年末バージョン)をもとに集計・分析を実施。

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他の論文から頻繁に同時に引用される論文の間には、研究内容に関連性があると考える。

共引用関係

BAAB NNNNnorm規格化された共引用度

参考文献: Small H G. Co-citation in the scientific literature; a new measure of the relationship between two documents. Journal of the American Society for Information Science 24:265-9, 1973.

ABN)(BAN : 論文A(B)の被引用回数 : 論文AとBが同時に引用された回数

サイティングペーパ

研究テーマに関連性BA

1 32点線は引用

コアペーパ(各分野及び各年の被引用度Top1%論文)

引用する論文

引用される論文

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共引用関係にもとづいて、Top1%論文のグループ化を2段階行い研究領域を抽出。共引用関係の分析には、Top1%論文を引用する全ての論文を利用。

論文データベース分析を用いた研究領域の俯瞰

・・・

④研究領域群(21)

特徴語が共通して出現する度合いで研究領域群の範囲を決定※研究領域群は、研究内容を大まかに捉える時の目安

ナノA ナノB ナノC

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(特徴)既存の学問分野にとらわれない研究領域全体の俯瞰的な分析が可能。統計情報に基づく客観的な研究領域の分析が可能。同一の手法を用いた継続的な分析が可能。

(留意点)本調査で観測されているのは、6年間(サイエンスマップ2016では2011年~2016年)で、論文数が一定の規模に達している研究である。したがって、論文数が一定の規模に達していない場合(小さいコミュニティが長い期間をかけて取組んでいる場合、6年間の最後の1, 2年に研究が進展した場合)は、抽出できていない可能性がある。論文ではなく、会議録、特許、プログラムなどで成果が報告される研究についてはサイエンスマップでは把握できない。サイエンスマップで見えているのは、あくまで近過去の状況。科学研究の今の姿ではない。

サイエンスマップの特徴と留意点

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