「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林...

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サラワクの森林と先住民族 サラワク・キャンペーン委員会 トム・エドワードソン 乱開発と闘うサラワクの民 サラワク・キャンペーン委員会 トム・エドワードソン 2013514さえずり館にて 写真:峠隆一

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Page 1: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

サラワクの森林と先住民族

サラワク・キャンペーン委員会 トム・エドワードソン

「乱開発と闘うサラワクの民 」

サラワク・キャンペーン委員会 トム・エドワードソン

2013年5月14日 さえずり館にて

写真:峠隆一

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マレーシア・サラワク州の熱帯雨林

世界有数の生物多様性

26の先住民族が暮らしてきた。

しかし商業伐採で原生林は

既に8割が二次林と化した。

日本は世界最大の南洋材輸入国として

サラワクの森林破壊に長年加担した。

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サラワクの先住民族

焼畑民

ロングハウスに暮らす

イバン人

人口の3割

オラン・ウル〈奥地の人)

カヤン人、クニャー人、クラビット人など

狩猟採集民(60年代以降は定住)

プナン人

それぞれ独自の言語、習慣、儀礼

どの民族にとっても森は生活の宝庫

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ロングハウスで大家族のように苦楽を分かち合って暮らす

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棒で土に穴を開けていろんな種を一緒に作付けする

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稲も野菜も一緒に育つ

豊かな稔り

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森で取れるイノシシ

川の魚は

大切な蛋白源

どんなに小さな獲物も分かち合う

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取れた物をすべて分かち合う 助け合いの文化

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突然の変化 伐採業者がやってきた

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ブルドーザーの到来で土地権が抹消されたことを知らされる

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樹齢数百年の大木が2~

3回

で使い捨てされる型枠用合板

や引っ越しの度に捨てられる

カラーボックスに姿を変える

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日本の合板輸入量推移1990-2008 Trend of plywood import in Japan (FOE Japan 提供)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

合板

輸入

量(千

m3)

Malaysia

Indonesia

China

Total

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日本での熱帯木材の使途

コンクリート型枠

家具 住宅下地材(床、壁、天井)

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1993年 スバトゥ川で数千人規模の封鎖

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1993年 スバトゥ川封鎖は武装警察が強制解除

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林道やブルドーザーの跡で森は

虫食い状態に

十分回復する前に再び伐採が入る。

年々、丸太が細くなっている。

既にインドネシア国境近くまで商業伐採が

入り、手付かずの原生林は僅かしかない。

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道路封鎖は断続的に今日まで続いている (2001年5月)

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ロング・ルニィムでの道路封鎖(2003年)

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リンバン川上流 移動プナン人による道路封鎖(2003年)

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ロング・ブナリ村の 道路封鎖は1年以上 (06年2月~07年2月)

マレーシア木材認証協議会(MTCC)は、住民

に相談もせず、ここを伐採するサムリン社に持続可能な森林経営のお墨付きを与えた。

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昔はこんな巨大な丸太がよく見られたが。

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このような小径木を合板に加工するようになった

もはや、 熱帯材商業伐採は斜陽産業

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伐採より恐ろしい アブラヤシ・プランテーション

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「緑の砂漠」で無数の村が永遠に消えてしまった

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パーム油の使途 •加工食品

•即席ラーメン •揚げ菓子 •レトルト食品 •チョコなど

•石鹸・洗剤 •化粧品など

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アブラヤシ・プランテーション問題

• 土地面積当たり収量が高く、高収入になるが。。 • すぐ搾油しなければならず、搾油工場の経営が

成り立つ栽培面積(3000 ha以上)が近くに必要。 • すべての植生が切り倒され、焼かれた後に単一

樹種が植えられる。生物多様性が失われる。 • パラコートなど、有害な農薬が大量に使われる。 • インドネシアの移住労働者が低賃金で雇われ、

地元に雇用を生み出さない。 • いくつもの集落が地図から消され、歴史も記憶も

失われる

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アブラヤシ農園面積の推移 Trend of area of Oil palm plantation (FOE Japan 提供)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

1975 1980 1985 1990 1995 2000 2002 2003 2004 2005 2006 2007

Are

a(×

1.0

00ha)

PeninsularMalaysia

Sabah

Sarawak

出所:MPIC(2007), IDS

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そしてアカシア・プランテーション 見渡す限り 単一樹種

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サラワク州のアブラヤシとパルプ用植林の予定地

油椰子(緑) 植林(黄)

二〇二〇までに100万ha

の植林目標

現在40

総面積263万ha

のライセンス

植栽第一期のみ植栽地の25%まで

アブラヤシが認められる

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先住民族の慣習的な土地権

• 1958年1月1日以前に慣習利用した土地には先住民族としての慣習的な土権利が認められている(NCR、Native Customary Rights)。

• 農業のために開墾した土地だけでなく、狩猟採集に使った森も対象(Land & Survey vs. Nor Anak Nyawai 2005)

• 大臣が取り消せるが=>慣習地を測量し適正な補償を支払わなければならない。

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ビンセント村の闘い

• バラム川中流 • 7世代前から住んでいる • 2008 年にSOP社がゴム

の木を倒し、開発開始 • 2800 haの慣習地を失う • 行政事務所は「NCR は

ない」と決めつける • 住民がバリケードを張る • 地図・裁判準備中

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イバン民族の呪いをかけたバリケード

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ほとんどの土地を取られたが、地図を作って裁判準備

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年月が立ち、アブラヤシは伸び続ける いつか、土地を取り返すことができるのか

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先住慣習権の土地(NCR Land) Native Customary Rights Land

住居(Long House)

土地全体(Pemukai Menoa)

狩猟, 漁業, 林産物, 非木材林産物採集地 (Pulau Galau)

耕作地 (Temuda) (a)以下の用途のために原

生林を伐採して取得した土地として、

(b)果樹植栽用地 (c)居住地や耕作地の開墾 (d)墓地や聖堂としての利

用 (e)土地区分に従った固有

の利用 (f)他の合法的な方法によ

る土地の利用

サラワク土地法では

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先住民族の抵抗

• 政府に陳情・国際社会にアピール • 道路封鎖(80年代半ば~数百人逮捕) • 土地を守る裁判闘争(200件以上)

– 住民がGPSで自ら地図を作っている – 住民勝訴が相次いでいる

しかし州政府を後ろ盾に企業は判決を無視して、先住慣習地に無断で侵入し続ける。

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判例:原則1:同意を取る義務

• 先住民族の土地にある森林資源に対する先住民族の権利は、それが国家によって未だに留保もしくは法的に認知されていなくても、有効であり続ける。このため、伐採会社は、その同意なしにその土地で操業することはできない。 – Koperasi Kijang Mas & Ors v. Perak State

Government: High Court, 1991

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原則2:補償を受ける権利

• 先住民族共同体には、その先祖と同じように、その土地で生活し続ける権利がある。つまり、

• 慣習地に対する用益権を有する。そして、それを奪われた場合は、補償を受ける権利を有する。 – 1. Johore State Government & Anor v. Adong

Kuwau & Ors: Court of Appeal, 1998 – 2. Sagong Tasi & Ors v. Selangor, 2002.

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原則3:資源への用益権

• 先住慣習地は法的には国家の所有物である。ただし、人々は、その土地の上にある資源を享受し、そこから便益および利益を得続ける権利を有する。 – 1. Johore State Government & Anor v. Adong

Kuwau & Ors: Court of Appeal, 1998 – 2. Sagong Tasi & Ors v. Selangor, 2002.

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原則4:土地権を保護する義務

• 国家には先住民族の土地の権利を含む生活全体を保護する義務や、それらの権利を阻害することのないようにする義務、そして人権侵害等が起こった場合の救済措置を提供する義務がある – 1. Johore State Government & Anor v. Adong

Kuwau & Ors: Court of Appeal, 1998 – 2. Sagong Tasi & Ors v. Selangor, 2002.

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原則5:慣習法は制定法に非依存 • 先住民族の慣習的な土地に対する権利は

、あるテリトリーに先住してきた住民によって認められてきた伝統法および彼らによって守られてきた伝統的慣習に起因し、内容を決定される。よって、その存在は、いかなる制定法、あるいは行政もしくは裁判所の決定にも依存しない。 – Superintendent of Lands & Surveys Sarawak v.

Madeli Salleh: Federal Court, 2007. – Nor Nyawai & Ors v. Sarawak State

Government: High Court 2001

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原則6:NCRは所有権

• 先住民族の土地権は単なる用益権に留まらない。それは、他の財産所有権と似た、土地自体に対する所有権でもある。このため、その土地は連邦憲法の下での本格的な保護の対象であり、失われた場合は、十分な補償が行われなければならない。 – Sagong Tasi & Ors v. Selangor, 2002.

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LCDA・タブン・ハジ社による環境破壊

先祖の土地に見渡す限り、植えられるアブラヤシ

サマラハン省Simunjan地区

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LCDA・タブンハジ社で16村被害 • 公社Land Consolidation and Development

Agency (LCDA)と、タブン・ハジ社(メッカ巡礼基金)の合弁。2010年12月に操業開始。

• Ruan村 (村落1-9), Spaoh村 (村落1-3)Sengkalan村、Semelatong村、Isu村、Sibau Rumbau村、計16村落に影響。

• Penghulu+Semelatong村長が一方的に合弁契約を結び、住民に内容を説明せず。

• 反対派住民は4回も道路封鎖を行った

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Konsep Baru(新構想) • 公社LCDAが先住慣習権を有する住民から

の信託を受け、その代理人として民間企業と合弁契約を結ぶ。企業は60年間、住民から土地をリースされる。

• 州公社10%、民間企業60%、住民30%の持株で合弁会社が作られる。住民は毎年配当を受ける約束。

• しかし、企業の経営情報は開示されず、配当が正しく支払われないケースが多い。リース完了後に住民は「土地返還を申請できる」というが、果たして。。。

Page 48: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

除草剤、化学肥料、重油で大地は汚染され。。

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汚濁した水が川に流れ込む。。。

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子供たちの眠る墓も破壊を免れなかった。。

Page 51: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

抵抗のしるしとして村人は小屋を建てた

Page 52: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

私たちの訪問中に開発賛成派に暴力を振るわれた男性

Page 53: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

住民は先祖の土地の地図を作り、裁判闘争を始めている

Page 54: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

戦前から土地を使ってきた

動かぬ証拠もある

Page 55: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

農園を封鎖するSambop村のカヤン人

2013年ブラガ省Ekran社操業地

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Grand Perfect社 アカシア植林で生物多様性を救う?!

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グランド・パーフェクト社(LPF1)

• グランド・パーフェクト社は、大手伐採企業サムリン、タアン、KTSの3社コンソーシアム

• 50万ヘクタールをパルプ用アカシア植林のために割り当てられる。植栽可能面積は15万ヘクタール。

• すでに9万ヘクタール植栽済み。 • もともと、BPP社に割り当たられていたが

歴史的なルマ・ノル村に裁判で負けて撤退。 • ルマ・センゴク村など多くの村々が土地を奪われて

いる。

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Page 60: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

Grand Perfect社に皆伐された ルマ・センゴク村の慣習地

Page 61: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

地平線までアカシアで埋め尽くされる

Page 62: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

ルマ・センゴク村は、 植民地政府に 土地権を認められ、 ゴム栽培の許可を 得ていた

Page 63: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

会社が侵入する度、警察に届けたが、なしのつぶて。。

Page 64: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

同社は、村人の作業小屋をチェーンソーでなぎ倒し。。

Page 65: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

村人の使う道路を重機で壊しゴムを出荷できなくした

Page 66: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

土地調査局は、アカシア林 からアブラヤシを撤去しなければ <=強制排除すると通告してきた

ルマ・センゴク村は、自ら

地図を作り、裁判を闘おうと

している ↓

Page 67: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

先住民族NGO

Sahabat Alam Malaysia (FOE) Borneo Resources Institute (BRIMAS)

Sarawak Dayak Iban Association (SADIA

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15年の闘いの末、 勝訴したカンポン・ルボル村

Page 69: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

カンポン・ルボル村の闘い

• 90年代末にNirvana Muhiba 社と州土地管理開発機関(LCDA)が村長と新構想による合弁事業を合意。住民は3割の配当を受けるはずだったが、受けることはなかった。

• 村の学校の先生が反対運動を始めたが、挫折。地元NGO、BRIMASの研修を受けたJenggaさん夫妻が人権弁護士で会社を提訴、地図を作製、道路封鎖で逮捕も。

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19世紀にブルネイのスルタンが ルボル村に寄付したワニの塑像

Page 71: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

慣習地1000 ha残して2000 ha がアブラヤシ農園に

Page 72: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

2012年に一審勝訴 農園の一部を取り返す

森を復元する計画も

Page 73: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

住民が自らアブラヤシの栽培・収穫を始めている。

Page 74: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

伐採・農園から森を守った クルアン村(カヤン民族)

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1万5千本の在来樹種を植える

Page 76: 「乱開発と闘うサラワクの民マレーシア・サラワク州の熱帯雨林 世界有数の生物多様性 26の先住民族が暮らしてきた。 しかし商業伐採で原生林は

薬草・果樹なども大切に

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私たち市民にできること

• 木材製品も、食品や生活用品も、なるべく地産地消を心掛ける。

• どうしても輸入に頼るときは、その生産元について把握するか、FSCなど信頼できる認証商品を利用する。

• 省資源、再利用、リサイクルを心掛ける。 • 私たちの生活が国内外の自然や人々に与

える影響について学び続ける。

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企業にできること

• 環境負荷の高い製品の購入に関して、環境や社会面に配慮した調達方針を定める。

• 木材は、なるべく国産材やFSC認証木材・製品を使う。違法材・紛争地の木材を排除

• 持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)の活動に参加し、認証油を活用。

• 企業活動そのものが環境や社会に与える影響を根本から考える。