退院支援に関する職員の意識向上に取り組んで ~退院後訪問 … ·...

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台 2-1-1 医療の質(1) 退院支援に関する職員の意識向上に取り組んで ~退院後訪問ニュースを通して~ 戸畑けんわ病院 看護科 ひらた ともこ ○平田 智子(看護師),山中 寛乃,伊崎 義浩,阿部 貴文 はじめに A病棟では退院支援の充実に向け、2014年より退院支援グループを立ち上げ学習会や退院支援の進捗状況の把 握や情報共有、退院後訪問を行なっている。2016年より退院後訪問ニュースを職員へフィードバックする目的 で発行した。ニュースを発行する事で職員の退院支援に関して意識がどのようになっているかアンケート調査 を通して、退院支援活動の活性化の手がかりとしたく調査した。 対象者 A病棟看護師、介護福祉士 14名(師長、主任、パートを除く) アンケート調査期間 2017年4月1日~ 2017年5月1日 データ収集方法 アンケートを作成し14名に用紙を配布し回収率100% 倫理的配慮 この研究は看護研究倫理審査会の承認を得ている。質問用紙は個人が特定できないよう配慮し裁断破棄した。 結果 「ニュースを読んでいる」100%「退院に対しての意識が向上した」86%「入院早期からの退院支援の介入が必 要である」96%「退院支援に関する知識が不足している」100%「施設の特殊性への理解ができた」43% 考察 ニュースを発行する事で情報が共有でき意識の向上に繋がっている。退院後訪問する事でその人らしい生活を 見る事は、今後の退院支援に関しての活力となり意識が向上したと思われる。また在宅だけではなく施設の特 徴も知り、患者の退院後の生活を想像する事や退院先を選択できるようになってきた。しかし、アンケート結 果より意識は向上しているが退院支援に関する知識不足から積極的に介入が行えていない現状も浮き彫りと なった。今後は、介護保険、施設の特殊性、福祉用具、居宅サービス、退院支援カンファレンスについて学習 会を行う事が必要である。また、ニュースを用いてカンファレンスを開催し支援内容のフィードバックを図る 必要があると思われる。 結論 ①退院支援に関する学習会の継続②入院早期から関われるように多職種で情報共有③退院後訪問、ニュース発 行の継続

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-1 医療の質(1)退院支援に関する職員の意識向上に取り組んで ~退院後訪問ニュースを通して~

戸畑けんわ病院 看護科

ひらた ともこ

○平田 智子(看護師),山中 寛乃,伊崎 義浩,阿部 貴文

はじめにA病棟では退院支援の充実に向け、2014年より退院支援グループを立ち上げ学習会や退院支援の進捗状況の把握や情報共有、退院後訪問を行なっている。2016年より退院後訪問ニュースを職員へフィードバックする目的で発行した。ニュースを発行する事で職員の退院支援に関して意識がどのようになっているかアンケート調査を通して、退院支援活動の活性化の手がかりとしたく調査した。対象者A病棟看護師、介護福祉士 14名(師長、主任、パートを除く)アンケート調査期間2017年4月1日~ 2017年5月1日データ収集方法アンケートを作成し14名に用紙を配布し回収率100%倫理的配慮この研究は看護研究倫理審査会の承認を得ている。質問用紙は個人が特定できないよう配慮し裁断破棄した。結果

「ニュースを読んでいる」100%「退院に対しての意識が向上した」86%「入院早期からの退院支援の介入が必要である」96%「退院支援に関する知識が不足している」100%「施設の特殊性への理解ができた」43%考察ニュースを発行する事で情報が共有でき意識の向上に繋がっている。退院後訪問する事でその人らしい生活を見る事は、今後の退院支援に関しての活力となり意識が向上したと思われる。また在宅だけではなく施設の特徴も知り、患者の退院後の生活を想像する事や退院先を選択できるようになってきた。しかし、アンケート結果より意識は向上しているが退院支援に関する知識不足から積極的に介入が行えていない現状も浮き彫りとなった。今後は、介護保険、施設の特殊性、福祉用具、居宅サービス、退院支援カンファレンスについて学習会を行う事が必要である。また、ニュースを用いてカンファレンスを開催し支援内容のフィードバックを図る必要があると思われる。結論①退院支援に関する学習会の継続②入院早期から関われるように多職種で情報共有③退院後訪問、ニュース発行の継続

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-2 医療の質(1)退院調整・支援に関する看護部の取り組み

1 聖ヶ塔病院 看護部,2 西日本病院

さかもと ひとみ

○坂本 ひとみ(看護師) 1,佃 江利子 1,上野 須美子 1,後藤 寿美子 1,本田 美樹 2

はじめに社会保障と税の一体改革の一環として、医療の機能分化と連携、地域包括ケアシステムの構築が進められている。患者へ医療やケアを提供する場が、在宅へとより広がっていく方向に進んでいる。慢性期医療の場では、急性期病院からの患者の受け入れ先としての役割とともに、病状や社会的背景の要因から入院が長期化し、退院困難事例を抱えながらも、在宅療養の一番近い医療の場として重要な役割を担っている。A病院においても、病院から在宅療養へ移行していく医療政策の動向、平成30年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、退院調整や退院支援に関する積極的な取り組みが重要となってくると考えた。そこで、A病院の看護部では、平成27年から平成28年にかけて、他職種と患者・家族とのカンファレンスを積極的に開催し、参加メンバーに受け持ち看護師がなるべく加わるようにした。また、看護部の教育プログラムの中に退院支援や調整に関するスキルを学ぶ「退院支援コース」を設けた。これらの取り組みと結果について報告する。

【期間】平成28年4月~平成28年3月【方法】平成27年度と平成28年度の各病棟のカンファレンス開催状況について比較する 退院支援に関するアンケート調査を退院支援コース開始前後で比較 平成27年度と平成28年度の平均在院日数、病床回転率を検証

【結果と考察】 他職種・家族が参加しての退院後の方向性を検討するカンファレンスの開催については、看護部からは病棟師長が参加することがほとんどだったが、スタッフが必ず1名は参加し、計画的に実施したことで開催率が上がった。 退院支援に関する研修コースを設けることで、在宅療養に関する社会資源や介護保険に関する知識が増え、A病院周辺の介護施設などについて具体的に理解することができたため、退院先を検討する際に、患者や家族への情報提供の幅が広がった。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-3 医療の質(1)長期療養施設における事例検討会によるケアの質向上の取り組みの効果参加者へのインタビュー調査をもとに

1 東京大学大学院 医学系研究科 健康科学・看護学専攻 高齢者在宅長期ケア看護学分野,2 台東区立台東病院

さいとう ゆみこ

○齋藤 弓子(看護師) 1,二見 朝子 1,高岡 茉奈美 1,五十嵐 歩 1,中野 博美 2,山本 則子 1

【目的】長期療養施設におけるケアの質を向上させるため、研究者と現場の実務者が協働し、看護・介護職者を対象とした事例検討会を継続的に実施した。事例検討会は、看護師が担当した事例を発表した後、ケア実践内容を参加者で共有し、その振り返りを通してケアの質の向上及び看護師のケア実践上の気づきを促すものである。本研究は、事例検討会の効果を看護師の視点を通して明らかにした。

【方法】対象:事例検討会を実施した東京都内の一般・回復期リハ・療養病床及び老人保健施設を有する1施設に勤務する看護師のうち、事例検討会に3回以上参加したことのある者とした。調査期間:2016年10月~ 11月。調査方法:4 ~ 5名のグループで約60分の半構造化インタビューを行った。分析:面接内容はICレコーダーに録音し逐語録を作成した。逐語録は事例検討会の効果に関する内容ごとに区切り、内容をまとめるコードをつけ、コードをその類似性に従ってグループ化した。

【結果】対象者は9名で、20 ~ 50歳代の女性であった。事例検討会への参加回数は3回が3名、5回以上が6名であった。事例検討会の効果として得られた知見は、ケア実践に対する気づき、チームワークの強化に繋がる変化があったことであった。対象者は、事例検討会に参加することで、質の高いケア実践をしていたこと、新たなケア方法があること、事例検討会が教育手段となりうることの気づきを得ていた。さらに、対象者は、自分の考えを表現することができるようになったこと、病棟内の職員間の相互理解の促進、院内他部署の職員への共感性の高まりといった、チームワークの強化に繋がる変化を認識していた。

【考察】対象者は、ケア実践を肯定的に捉えなおすことやチームワークの強化といった面で事例検討会は効果があると認識していた。事例検討会の実施が長期療養施設におけるケアの質向上に寄与する可能性があることが示唆された。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-4 医療の質(1)患者の呼吸困難感の訴えに対するスタッフの受け止め方

光風園病院

ささき みほ

○佐々木 美保(准看護師),上利 拓也

(はじめに)当病棟は、療養病床入院基本料Ⅰを算定する医療療養病棟である。平成28年の1年間で退院した患者56名のうち30名は呼吸器疾患であり、呼吸器疾患患者が約半数を占めている。呼吸困難感を訴える患者も多く、症状緩和など様々なケアを行っている。しかし、呼吸困難感の評価は難しく、ケアを行う際に患者の訴えに対するスタッフの受け止め方に差があると感じることが多くあった。そこで今回、より正確な呼吸困難感の評価方法を検討するために、患者の呼吸困難感の訴えに対するスタッフの受け止めについて研究することにした。

(研究目的)患者の呼吸困難感の訴えに対するスタッフの受け止め方を明らかにする

(研究方法)この研究への参加に同意が得られた看護職23名と介護職14名の合計39名を対象として、選択式4問、記述式5問のアンケート調査を実施した。分析は、選択式質問には単純集計、記述式質問にはKJ法を用いて行った。また、平成28年1月から平成28年12月の一年間に退院した呼吸器患者30名のうち、特に呼吸困難感の訴えが多かった患者4名のケアプロセスの記録を使って振り返った。

(結果・考察)アンケート結果から、呼吸困難感が患者の主観的症状であるという定義を知っていたのは看護職の7割のみで、残りの看護職3割と介護職の全員は呼吸困難感が患者の主観的症状であるということを理解できていなかった。また、呼吸困難感の評価方法を知っている看護職が4割いたが、実際にケアプロセスを振り返ってみると評価スケールを使った記録はなく、患者の精神状態の記載もほとんどされていなかった。このことから、呼吸困難感の評価スケールを知っていても実際に使っているスタッフはおらず、呼吸困難感が患者の主観的症状だと知っている、知らないに関わらず、スタッフ側からの客観的な観察を通しての受け止めしかできていないことが分かった。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-5 医療の質(1)神経難病患者のQOL向上に必要なケアの分析Key word:神経難病, 主観的QOL尺度

北九州八幡東病院 看護部

いわさき あやか

○岩崎 彩花(看護師),野村 健司

はじめに障害者病棟には、神経難病患者が多数入院している。疾患による障害は多様で、失われていく機能による精神的苦痛も強い。患者のQOLの評価、考察をすることで、質の高い援助を提供できるのではないかと考えた。

Ⅰ.目的神経難病患者の主観的QOL向上に必要な援助について明らかにする。

Ⅱ.研究方法1.データの収集方法:質問紙法1)難病患者に共通の主観的QOL尺度を使用2)「入院生活で困っていること」「スタッフへの要望」についての聴き取り調査2.データの分析:質的研究1)主観的QOL尺度の得点、属性毎に平均値、標準偏差を算出2)聞き取り調査の結果を分類

Ⅲ.考察 主観的QOL尺度の平均得点は「受容」が低い結果となった。急性期病院で診断確定し告知を受けるが、内容や患者の反応について把握していない。今後は受容の支援をする為、急性期病院との情報交換が必要。また、「志気」を高める為に何が必要か、聞き取り調査の結果をSF-36の尺度に照合した所、「日常役割機能」「社会生活機能」を高める実践が欠けていると考えた。患者は余暇活動として趣味、他者との交流、社会参加を望んでいることが分かり、入院による制約に対する不満も読み取れた。よって余暇活動の充足が必要であると考えた。当病棟では、セラピストが集団リハビリと称し、起立訓練の他に体操・歌唱・手芸等をする時間を設けるようになった。それに参加する患者の活き活きとした表情を目にし、余暇活動を充足することが「志気」を高めることに繋がるのではないか、この取り組みに看護師として参加し、協同で確立させられないかと考えている。

Ⅳ.結論①神経難病患者のQOL向上には「受容」と「志気」を高めることが必要②「受容」を高める為に急性期病院との連携による情報交換が必要③「志気」を高める為に余暇活動の充足が必要

おわりに患者のQOLに着目したことで、不足している視点を理解し援助の方向性を見出すことができた

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-6 医療の質(1)院内の内部監査実施による業務改善~ PDCAサイクル効果を考察する~

大久野病院

みやばやし こうし

○宮林 皇史(介護支援専門員),須嵜 由起子,林 文月,内田 順子,鈴木 実枝,森松 靜,進藤 晃

【目的】当院では平成19年度から院内の事故防止を目的にQMS(Quality Management System,以下QMS)活動を取り入れ、内部監査、手順の作成、文書管理、方針管理などを行ってきた。事故防止、業務の仕組み改善、問題解決状況の確認、QMS活動の浸透を目的に内部監査を取り入れ、約9年が経過したのでその活動内容について報告する。

【方法】内部監査実施準備として監査プロセスの手順化、監査員教育、書類の整備を行い、全部門・主要委員会に対し内部監査を実施した。検出課題については、監査・被監査側の双方で合意後、被監査側が検出課題における原因、修正・是正策について検討し内部監査実施報告書として作成、その内容を病院長が承認する仕組みで運用してきた。承認後もフォローアップ監査を実施することで定期的に改善状況を確認し、PDCAサイクルを回してきた。監査側と被監査側はそれぞれ別部門が行い、普段見る機会の少ない他部門の業務プロセスや他職種間でコミュニケーションを図る機会とした。

【結果】検出課題として平成27年度は17件、平成28年度は41件が検出され、全てにフォローアップ監査を行い実行された改善策の確認を行った。具体例として、褥瘡管理委員会主管文書である褥瘡管理マニュアルの業務手順と実際の手順との差異について指摘があり、関連部門・委員会でマニュアルの見直しを検討。その後、最新版褥瘡管理マニュアル運用の周知・実行を確認できた。

【考察】内部監査を活用しPDCAサイクルを継続的に回してきたことで、内部監査は業務改善に繋がる提案の機会であり、職員全体で業務改善を行う手段の1つであることを職員に浸透させることができたと考える。監査員による指摘内容のバラつきもみられるが、今後も検出課題の解決策が組織全体の進むべき道に繋がるよう活動を継続していきたいと考えている。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-1-7 医療の質(1)医療安全カンファレンスの成果について

1 外旭川病院 看護部,2 外旭川病院

さわたいし りょうこ

○沢田石 良子(看護師) 1,須藤 まき子 2

はじめに当病院は療養病棟を中心とした241床の病院である。医療安全については組織として委員会を中心に取り組み、専任の医療安全管理者が活動してきた。インシデント報告の特徴はチューブ類の自己抜去が多く、アクシデントとしては骨折が毎年報告されていた。H28年5月より医療安全管理者が専従となり週1回の医療安全カンファレンス、院内巡回を開始、注意喚起のポスター配布等により医療安全対策を強化したところアクシデント報告が大幅に減少したので報告する。

目的医療安全管理者を中心とし医療安全管理部会の活動を通して医療安全への意識を高める

方法毎週木曜日に、年間計画した部署をチェックリストに沿って巡回し、危険個所等の指摘と改善を行った。インシデント報告から課題を抽出したものを医療安全カンファレンスで原因を分析し、対応策としてマニュアルの変更や安全対策の物品採用などを行った。

結果アクシデント報告は14件から1件へ減少した。インシデント報告は812件から1024件に増加した。報告のなかった部署からもレポートが提出されるようになった。インシデントレベルは3aレベルが2倍に増加した。H27年度には報告していなかった点滴の漏れを報告するようになったため増えている。点滴の漏れの報告が3aレベルの3分の2を占めており、それ以外の3aレベルの報告は28%減少した。

まとめ・考察週1回の院内巡回では、改善事項の指導を行い、療養環境の向上に繋がった。医療安全カンファレンスには各部署の主任が参加し、現場の状況把握などは主任が中心に行い、対応策の最終決定までは事例毎に何回も話し合いを繰り返した。現場の意見も尊重しつつ安全を守るためにできることを決定した。医療安全カンファレンスが定着してくると共に医療安全への意識が向上し、医療事故の減少に繋がったと考えられる。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-2-1 医療の質(2)医療療養病床の看護・介護職者によるケアの質改善のための工夫—質問紙調査における自由記載をもとに—

東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻

たかおか まなみ

○髙岡 茉奈美(看護師),齋藤 弓子,二見 朝子,五十嵐 歩,山本 則子

【目的】医療療養病床のケアの質改善のために看護・介護職者が行っている工夫について、病院への全国調査の中の自由記載をまとめた。

【方法】対象:全国の医療療養病床を有する病院のうち2000施設に参加を募り、協力が得られた施設の医療療養病棟の看護職者全員及び介護職代表者1名に質問紙の回答を依頼した。調査期間:2015年8月~ 11月。調査内容:個人属性及び自由記載で「療養病床でのケアの質改善のために工夫されていることを教えてください。」と尋ねた。分析:自由記載の内容を、ケアの質改善のための工夫に関する内容ごとに区切り内容をまとめるコードをつけ、コードをその類似性に従ってグループ化した。倫理的配慮:本研究は東京大学医学部倫理委員会の承認を受けて実施した。

【結果】2000施設のうち268施設から同意が得られ、265施設の看護職者3279名、介護職者252名から質問紙の回答を得た。分析対象は、自由記載に回答した看護職者490名(14.9%)と介護職者85名(33.7%)である。平均年齢はそれぞれ46.1±11.5歳、44.5±9.0歳であった。ケアの質改善のための工夫として、両職種共に実施していたことは、患者一人一人のケア表の活用、移乗時の介助用ボードの活用、看護・介護・リハビリ職・医師等でのカンファレンス、散歩・体操・音楽を活用したレクレーション、患者体験等であった。さらに、看護職者は、患者・家族と共に考える看護ケア計画、家族とのターミナル面談等の工夫をしていた。介護職者は、他病棟での1日体験、看護職者とペアでのケア等の工夫をしていた。その一方で、日々の業務を行うので精一杯で患者にしたいケアが出来ない、ケアをするための人手が十分ではないという回答があった。

【考察】看護・介護職者は多くの工夫を行っていた。これらを多施設で共有し活用できる体制の構築がケアの質改善につながる可能性が示唆された。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-2-2 医療の質(2)体位変換・ポジショニングにおける効果的なスタッフ指導

セントラル病院 看護科

はせがわ あい

○長谷川 愛(看護師),内山 千春

Ⅰ.はじめに不適切なポジショニングは、拘縮が進行する原因のひとつである。スタッフからは、実践において不安や疑問を抱きながら実施しているという声が聞かれた。そこで、知識や技術を把握し、勉強会やポジショニングの統一を試みた事でスタッフの行動変化がみられたのでここに報告する。Ⅱ.研究対象・方法看護師・介護士を含む病棟スタッフ30名を対象とし、研究内容の説明を行い同意を得た。その後シミュレーション・資料・映像での勉強会・アンケートを実施した。Ⅲ.結果基礎の研修資料では、内容が難しいとの意見がでた。その為、個々にシミュレーションチェックをし現状把握を行った後に、再度資料を作成した。また、理解度を確認するアンケートを追加し指導内容を補足する事で良い反応が得られた。基礎研修の後、応用編として、実際に患者のポジショニング指導に移ったが統一は困難であった。そこで、映像資料に加え説明付きの資料を追加し、実践指導したことでポジショニングの統一を図ることができた。Ⅳ.考察基礎研修では、映像資料は効果的な反応が得られたが、現状把握が十分ではなかった事で紙資料は、一部現状に適さない結果になったと考える。追加したシミュレーションは、技術確認や個別指導の場となり、さらにアンケートを実施することで学習ニードの明確化ができ、それに合わせた指導内容の修正を行うことが出来たと考える。応用編では、資料だけでは、患者状況と実践におけるポジショニング根拠の理解が不十分となり、その為、根拠を踏まえた細かい実践指導を補足したことで統一を図ることが出来たと考える。Ⅴ.まとめ知識・技術力が異なる組織全体への研修は難しく、現状把握に合わせた内容が重要となる。ポジショニング指導においては、実践における根拠の理解が重要となり、その事を踏まえた指導が効果的な結果が得られると考え今後に活かしたい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-2-3 医療の質(2)新人看護師の他病棟ローテーション研修の評価

南昌病院 看護科

ふじむら じゅんこ

○藤村 純子(看護師),藤田 昭子

はじめにA病院では新人看護師教育を、厚労省の「新人看護職員研修ガイドライン」を基に研修ノートを作成しH16年から実施している。H26年のガイドライン改訂版に伴い新人研修ノートも改訂した。プリセプターシップによって指導し看護実践の目標達成値を80%と設定している。今回、看護科年間教育計画の中で「病棟1日ローテーション研修(以下ローテーション研修)」を終了した、過去3年間の研修者の評価を行い、今後のローテーション研修企画の方向性を見出した。Ⅰ研究目的ローテーション研修を効果的に継続するための方向性を見出すⅡ研究方法(調査研究)1)調査期間:H29年5月29日~ 6月5日2)調査対象:H26年~ H28年度ローテーション研修終了看護師10名3)データ収集:6項目のアンケートを実施、評価基準5段階4)データ分析:単純集計、アンケート回収率100%5)倫理的配慮:アンケートの回収をもって本研究への参加同意とした。 本研究に際し院内倫理委員会の承認を得た。Ⅲ結果

【実施時期】10月から12月の希望が7名(70%)であった【研修期間】9名(90%)が現在の1日が妥当と回答【研修先の病棟理解度】理解できたが4名(40%)、やや理解できたが6名(60%)であった【未経験の看護ケア体験】9名(90%)が体験できていたが1名(10%)は未経験であった【指導者対応】9名(90%)が良いと回答【研修経験が活かされているか】8名(80%)が活かされていたと回答。Ⅳ考察ローテーション研修は、他部署の体験において見えなかった視点や気付きの発見が自信となり、経験できない事を体験できる事が不安や焦りの軽減に繋がっていると考える。しかし未経験の看護ケアを体験できずに研修を終えた看護師もあり、今後は全員が未経験の看護ケアが経験できるよう研修実施前に、目標到達度の相互理解を深め、研修目的の共有も含め受け入れ病棟との連携強化が必要であると考える。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-2-4 医療の質(2)実習専従看護師の配置により看護教育の充実化にむけて~レディネスの把握にてモチベーション向上を図る~

富山城南温泉病院 看護科

もりた ひろき

○盛田 大樹(看護師),加藤 恵美子,松林 リカ,中林 麻紀子,八島 貴子

【背景】看護教育の喫緊の課題として「国民の期待に応える事のできる看護専門職として基礎的能力を有する看護職員を育成する事」が挙げられている。しかし、学生層の二極化や教育環境の変化等により当院の看護教育でも様々な課題が見られた。そのような中、2年前に受講した「富山県指導者講習会」で学んできた事を基に看護教育の在り方を見直し、実習専従看護師の配置によりレディネスの把握にてモチベーション向上に結びつける。そこから、看護教育の充実化を図る事を目的に取り組んだので報告する。

【方法】自記式質問調査法にて看護学科学生10名及び看護実習指導者2名に(選択式と自由記述欄記載方法)2年間に亘り調査

【結果】調査に対して学生の実習内容や指導方法を含めて「良かった」「やや良かった」が90%以上を占めていた。自由記入欄に多かったのが「雰囲気が良かった」「実習に対して明日も頑張ろうと思うようになった」と言う意見等がみられた。指導者の調査の中でレディネスの把握に対して28年度は「どちらともいえない」が2名だったが29年度では「ややそう思う」が2名だった。

【考察】実習専従看護師を配置し看護学生と向き合う事でコミュニケーションを取りやすい雰囲気を作る事に専念した。結果、指導者と看護学生は良好な関係を築き信頼関係の構築にも繋がり、学生は指導者をロールモデルとし学ぶ意欲が高まったと考える。指導者に対しても調査当初は「レディネスの把握」に対して「どちらともいえない」という回答だったが2年目では学生を様々な視点で関わる事で「レディネスの把握」に繋がり実習内容の充実化に繋がったと思われる。多忙な病棟の中、「実習専従看護師の配置」には課題もある。しかし、今後も「看護教育」に対して病棟職員の協力と理解を求めながら更なる看護教育の充実化を図る事で未来の担い手となる看護師の質向上により、医療の質向上に繋がるように取り組む事を目指す。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-2-5 医療の質(2)当院の職員のモチベーションの現状と意識改革の方法の検討

1 横浜病院 看護部,2 横浜病院 医局,3 横浜病院

たかはし ともはる

○高橋 智治(介護福祉士) 1,善波 智子 1,中村 大輔 2,川合 義惠 3,箱崎 幸也 3,北島 明佳 3

[目的]患者様、ご家族様の満足が得られる質の高いケアを提供するためには、職員全員が高いモチベーションを維持しケアを行うことが必要である。当院職員のモチベーションを向上させ、維持するため、現状を把握し、更にどのように働きかければ、仕事に対する意識改革ができるか検討したので報告する。[方法]対象:当院の全職員にアンケートを実施。[結果]有効回答数296名中225名(アンケート回収率73.6%)。対象職種:介護士、看護師、医療技術部、事務部、医師。働く目的(複数回答可)は、「生活・家族のため」26.1%、「自由に使えるお金を得るため」12.2%、「医療・介護職に興味」11.4%、「仕事が好き・面白い」8.6%、「やりがいを得る」8.4%。働くモチベーション(複数回答可)は、「収入を得る」24.1%、「人間関係」11.2%、「プライベートの充実」8.0%、「成長の実感」7.6%、「スキルアップ」7.2%。部署別の働くモチベーションが上がる理由は、全ての部署において上位3つは「やりがい」「人間関係」「収入を得る」であった。[考察]職員のモチベーションに関わる要因で最も多いのは、「収入を得る」ことであった。しかし、それに次いで「やりがい」「達成感」「人間関係」も同程度あり、これらへのアプローチを重視することにより、モチベーションの向上が見込めると考えられる。当院の取り組みとして「やりがい」「達成感」に対してはすでに身体拘束廃止活動、介護職には3ヶ月の専門研修制度を導入。新たな取り組みとしてユマニチュードインストラクター資格の取得、役職者育成を目的としたMBA研修や役職者研修なども導入し専門性の向上に取り組んでいる。また、

「人間関係」に対しては職員間で感謝の気持ちを共有する「サンクスカード」の導入、褒め合う飲み会などを行っている。これらの職員一人一人が活躍できる場の設定と活動は、職員に意識改革をもたらすと考えられる。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-2-6 医療の質(2)潜在看護師の技術の質の向上への取り組み~アンケート分析による参加しやすい復職支援研修会の実現~

西仙台病院 総務課

あらかわ だいち

○荒川 大地(事務職)

[はじめに]看護師は離職後に再就職まで至っていないケースが多い。その原因の一つとしてブランクによる技術面及びコミュニケーションに対する不安がある。当院ではその対策として平成19年度から約10年間、復職支援研修会(以下、研修会)を行ってきた。ステップⅠではシミュレーターを用いた手技の練習と茶話会での情報交換を行う。ステップⅡ、Ⅲでは実際に病棟に入っての研修を行う。復職を悩んでいる潜在看護師の技術の質を向上させるため、参加しやすい研修会を目指した取り組みにより、一定の効果が見られたので報告する。

[方 法]過去10年間分の約1,600名のアンケートを分析データとしてまとめ、PDCAサイクルに当てはめて内容の改善をおこなった。アンケート結果から、広告及び茶話会内容の見直しを行うことでその不安を軽減させ、分析データを基に参加者数及び復職者数を増やすことを目的とした。

[結 果]平成26 ~ 27年度にかけて、延べ参加者数は増加し、復職者数は前年と同数となった。平成27 ~ 28年度にかけて、延べ参加者数は減少したが、ステップⅡへ進む割合が2倍に増加し、復職者数も2倍に増加した。

[考 察]平成27年度では広告内容の見直しを行ったことが参加者数の増加に繋がったが、そこからの復職者数増加にはならなかった。そのため平成28年度では広告媒体の数を減らし、ステップⅠの茶話会において不安を解消するような院内のサポート体制を具体的に紹介し、ステップⅡへの参加を促した。その結果、ステップⅡへ進む参加者の割合が大きく増加したことにより、院内への復職者数も2倍になった。

[結 論]アンケートを分析して使用することで、現状の課題点と参加しやすい研修会実現の有効な改善点が明確となった。現状の課題として参加者数減少という問題点が残るが、平成28年度の参加者への後追い調査を行うことで、さらに参加しやすい復職支援研修会を実現させたい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-3-1 認知症看護(1)医療型療養病棟における認知症理解とBPSD緩和の取り組み~スタッフ意識が変われば患者も変わる~

長田病院 看護部

まつもと かよ

○松本 嘉代(介護職),中島 露子

【目的】看護師・ライフケアワーカーの認知症に対する知識の向上と認知症患者の個別性を考慮した対応方法の理解。スタッフの行動変容による患者自身の行動変容の有無【背景】 高齢化に伴い、入院患者の多くは認知症を有し、加療及び療養している現状である。しかし、日々患者と接する中で、スタッフそれぞれが認知症について理解し、根拠を持った上で対応が正しく行えているのか曖昧であり、有効なケアが行えていないのではないかと考えた。【対象】対象期間:平成29年1月~ 3月対象者:6階病棟 看護師 12名・ライフケアワーカー13名認知症患者10名【方法】スタッフに対し認知症についての勉強会・症例カンファレンスの実施実施前後における認知症ケアに対する意識調査の実施認知症患者に対しDBDスコアの実施・評価【結果】スタッフの認知症に対する症状ついて理解が得られた。また、認知症ケアに対しやりがいを感じている割合の上昇が認められた。さらに、実施する中でスタッフが認知症患者に感じた心理的ストレスは減少を認めた。認知症患者のDBDスコアにおいては対象患者10名のうち、5名に問題行動の減少が認められた。【考察】勉強会及び、カンファレンスを実施し、スタッフそれぞれが認知症症状へ根拠のある正しい知識を持つことで、個別性に応じた対応へとつながったのではないかと考える。そのことが患者を第一に考えたケアスキルの発揮と継続につながり、その結果患者の言動に変化が起こり、スタッフは自分たちのケアの効果・やりがいを実感できたと思われる。認知症看護の質の向上には、ケアの成功体験をスタッフ間で共有し、その都度対応していくことが今後も必要であると思われる。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-3-2 認知症看護(1)回復期リハビリテーション病棟における認知症患者の行動・心理症状と看護サービスの量について

原土井病院 リハビリテーション部

ひらしま けいすけ

○平嶋 圭介(理学療法士),竹下 愛美,宮垣 雄太

【目的】当院では認知症を有する患者に対して,他者とのコミュニケーションや楽しみ体験などの社会性に留意したリハビリテーション(以下,認知症対策)を実施している.当院が第57回全日本病院学会で行った報告では認知症対策により認知症行動障害尺度短縮版(DementiaBehaviorDisturbanceScale短縮版:以下,DBD13)において行動・心理症状(以下,BPSD)の改善が示唆されている.今回DBD13の改善の有無が看護サービスの量に寄与しているかDBD13の改善と看護必要度の改善を比較検討したので報告する.

【対象】平成28年4月1日から平成29年3月30日の間,回復期リハビリテーション病棟に入院した525例のうち、認知症薬を使用していた患者103例(平均年齢:88±12歳,男性18例,女性85例).

【方法】対象者のうちDBD13に改善があった群69例と改善がみられなかった群34例の2群に分け,入院時と退院時の看護必要度B項目とFIM運動項目,回復期病棟在院中のリハビリテーションの1日当たりの平均単位数等を検討した.

【倫理的配慮】個人が特定される内容の記載はしない.発表にあたり,当院倫理委員会の許可を得た.【結果】入院時の看護必要度は平均7.7±8.3点,FIM運動項目は41±18点,リハビリテーションの1日当たりの平均単位数は4.32±4.42であった.2群間の入退院時の変化をMann-Whitney検定にて比較検討した結果,入退院時の看護必要度の改善の有無にのみ有意差が認められた(P<0.05).

【考察】今回の結果から認知症を有する患者のBPSDの改善の有無と看護必要度B項目の改善に関係があることが示唆された.看護必要度B項目において認知症を有する患者のBPSDの程度を評価する項目はないが,このBPSDが日常生活上での食事や移動,移乗など様々な動作における看護サービスの量の増減に関わっているものと思われる.このことから,認知症を有する患者においてはBPSDの予防・改善により,その人に関わる介助者の介護負担軽減に影響を及ぼすものと考えられる.

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-3-3 認知症看護(1)認知症患者の家族支援から見えてきたこと ~外来の関わりの中で~

竹川病院 看護部

あべ あゆみ

○阿部 亜由美(看護師),田村 政子

[はじめに]高齢者人口が増加し、地域において医療と介護の必要性は増えている。特に認知症患者と同居している家族支援は重要である。今回、外来において認知症患者と家族の苦悩を察知し、働きかけたことで徐々に行動・心理症状(BPSD)の改善に繋げることができたので報告する。[患者紹介]79歳 女性 既往歴 脳出血 VSRAD 2.86。長谷川式簡易知能評価スケール9/30点。記名力や記憶力の低下がありアリセプト、抑肝散を内服中。息子夫婦と同居。主たる介護者である嫁と毎月1回外来通院している。[経過・結果]外来受診3か月の間に嫁の表情は険しくなり、厳しい口調で患者に対応している場面を見かけた。患者の表情は乏しくなり、感情失禁が多くなっていった。そこで、患者と嫁の普段の状況を把握する目的で、1か月間、日常の様子を簡単にまとめたメモを持参してもらう事にした。メモから患者は認知症中核症状が進行し、妄想、逸脱行為、徘徊行為、暴言などBPSDが増えていることがわかった。嫁は認知症について理解不足があり、患者の認知症諸症状の対応と不安や介護負担が重なり、患者に強い口調で対応していたことがわかった。外来受診時、認知症の理解が得られるように具体的な接し方や環境整備を一緒に考え、助言を繰り返した。その結果、嫁の表情は徐々に穏やかになり、患者の自尊心が回復し、BPSDの改善に繋がった。[考察]外来看護は、短時間の中で信頼関係をつくり介入をすることが求められる。簡単なメモは、患者、家族、看護師にとっても日々の状況を把握できる観察手段として有効だった。部屋の環境調整や感情残存の法則を理解した上で接したこと、デイサービスに通うことを仕事として認識づけたことなどが有効だった。今後の課題は、外来における効果的介入の為に更なる情報収集・情報共有の手段の改善を考えることである。患者のBPSDの改善、家族の介護負担軽減も外来看護の重要な役割と考え今後も継続したい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-3-4 認知症看護(1)認知症の対応力UP~療養病棟での取り組み~

竹川病院 看護部 3階病棟

まつしま ともえ

○松島 友絵(看護師),田村 政子

【はじめに】高齢化に伴い認知症への介入は急務であり、社会的に注目されている。医療従事者として認知症の理解は必須である。今回、病棟全体で認知症の理解を深める事で、BPSDの早期改善に繋がったので報告する。

【方法】①職員対象の認知症に関する意識調査 ②認知症教育の取り組み ③症例の振返り【結果】① 意識調査では、認知症について96%が「知っている」と回答した。しかしバリデーションは4%しか認識されていなかった。また、FASTやパーソンセンタードケアなどの認知症の評価やケアは26%~ 46%しか理解していなかった。認知症患者への対応も、47%が「理解はしているが出来ていない時もある」と自覚していた。 ② ①の結果を踏まえ認知症について、原因疾患別に好発年齢・初期症状・臨床症状・介入のこつなどを表にまとめ、認知症の関連用語についても職員の休憩室に掲示した。また、ミニ勉強会を繰り返し実施し、全看護師が認知症患者との関わりについてのレポートを提出した。 ③ 困難症例を朝・夕礼のミニカンファレンスで共有、対応の仕方や介入方法の妥当性を検討し統一したケアを行った。その結果入院当初、殴り書きのような文章で要望を伝えていた患者が約2カ月後には読みやすい文字と敬語で訴えるようになるなど、BPSDの顕著な改善を認めた。また、類似認知症事例では、1週間以内に症状の安定が図れた。

【考察】正しい知識で観察することにより早期から適切な対応が行える。日々の業務で細やかに認知症の勉強会を行ったことが有効であったと考える。頻回のカンファレンスが、知識の再確認と介入方法の統一に繋がり、個々の職員が抱える不安軽減と自信に繋がった。知識の構築や技術力の向上で、以前より短時間でのBPSD改善となり、他患への積極的な介入が出来るようになった。症例により改善の効果は違うが、統一したケア提供することが、認知症患者の早期安定に繋がると再認識した。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-3-5 認知症看護(1)地域包括ケア病棟におけるDCS(認知症ケアスペース)の取り組み

山元記念病院 看護部

きでら まり

○木寺 真梨(看護師),江利 美和子,小嶋 哲夫,山田 正弘,山元 博

当院は、H26年7月より療養型病棟を地域包括ケア病棟に転換し、一般病棟54床、療養型病棟48床、地域包括ケア病棟48床の計150床の二次救急医療を担うケアミックス病院である。日本の認知症高齢者は2012年の時点で462万人、2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に一人と推計され、誰もが関わる身近な病気になった。認知症についての理解を深め、専門的な治療・ケアの質を高めることが求められる。当病棟ではH28年4月より入院時や一般病棟からの転入時に65歳以上の方に長谷川式簡易知能評価スケールを用いた検査を行った。カットオフ値である20点以下を認知症疑いとすると、47.1%の方に認知症の可能性があることがわかった。また、昼夜逆転で夜間不穏の患者さんが居たり、帰宅願望で離院の可能性があったり、センサーマットの使用患者数が増え、夜勤スタッフの負担にもなっていたため、認知症ケアに対する取り組みが必要であると考えるようになった。まずは基本的なケア(起きる、食べる、排泄する、清潔にする、活動する)を整えること、落ち着いた環境やユマニチュードを用いたコミュニケーションを提供する療養環境が認知症ケアの上で有効であると考え、病棟の一角にDCS(認知症ケアスペース)を設置した。その現在の取り組みの内容やスタッフの認知症ケアや身体拘束に対する意識の変化、活動を始めて見えてきた今後の課題について報告する。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-3-6 認知症看護(1)認知症高齢者と家族介護者の生活上の困難さの認識の違い~4つの心理ステップの検証をして~

安来第一病院

ふじはら めぐみ

○藤原 恵(准看護師),田中 久美子

【はじめに】わが国の高齢社会の特徴の一つとして、団塊世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みである。認知症を介護する家族にとって認知症に対する有用な治療がなく、家族の介護ストレスは想像を絶するものと考える。当病院でも認知症を合併する高齢患者の入院は増加の傾向であり、退院後の支援が重要になると考えられる。そこで、認知症患者本人の思いと家族の思いをカテゴリー別に検索し、4つの心理へのステップに当てはまるのかを検証し、今後の認知症患者・家族のケアを検討することを目的とした。

【対象】当病棟で認知症と診断され入院された患者:男性2人、女性1人と家族とし、研究デザインは質的帰納的研究方法とした

【方法】1)調査期間:2019年5月~ 6月2)場所:対象者の希望により個室など看護管理者の配慮により、プライバシーが保護できる場所で行った3)データ収集方法:半構造化収集方法とした4)分析方法:ボイスレコーダー収録やメモした面接データから遂意録を作成し、意味内容を解釈しコード化を行った。さらにコード内容の類似性・相違性に従い、サブカテゴリー・カテゴリーの形成と命名を繰り返した。5)倫理的配慮:本研究の目的・意義・プライバシーの保護、個人情報の保護、回答したくない質問には答えなくてもよい旨、面接の中断や拒否ができる旨を説明し、研究参加への同意を得た。

【まとめ】診断前より、家族は病状の変化に気付いており、その段階時に相談できるような医療体制が必要と考える。また、診断の段階においては、強い衝撃を受け動揺している家族に対して、側で付き添って見守り、感情が自由に表現できるよう配慮する事が重要である。そして、受容の段階の時期に、家族の思いを尊重し、今後を見据えた社会資源の提供や家族の思いを尊重し傾聴対話により、家族自身の自己決定を助けるケアも重要である。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-4-1 認知症看護(2)希望と可能性から取り組んだ認知症ケア~病棟での取り組みの事例紹介~

原病院 看護部

にしじま さゆり

○西嶋 小百合(看護師),榎木園 裕美,坂井 夕起子

(はじめに)当院では昨年7月より認知症ケア加算2を算定している。当病棟では28人中25人(89%)の患者が対象である。今回認知症患者で、ADLやコミュニケーション等が向上し、介護老人保健施設へ退院となった患者との関わりについて報告する。

(患者背景)M氏 87歳 男性病名:脳梗塞後遺症、認知症当病棟転入への経過:介護老人保健施設入所中、認知症のため食事摂取拒否あり、胃瘻造設目的にて当院入院。胃瘻造設後、施設再入所予定であったが、吸引処置頻回となった為当病棟へ転棟となる。

(実施)・日中離床により生活リズムの確立・拘束の解除・患者の生活背景に合わせたレクレーションや声かけ

(結果・考察)当病棟では、離床することによって拘束解除につながり、ADLがアップするということをスタッフ全員が自覚していた。その為、M氏への関わりが日常ケアとして特別なものではなくM氏に合わせたケアを行うことが出来た。ケアに対し拒否や抵抗がある場合は、なぜ嫌なのかその行動の奥にあるM氏の思いを知ろうとするスタッフの態度や声かけがM氏に良い影響を与えた。さらに離床することで生活リズムが確立し、M氏が自分で出来ることが増え、自己排痰も可能になった為、施設への退院につながったと考える。今回のM氏に対する認知症患者ケアを通して、その患者が今何をしたいのか表情や行動を観察し、予測することが最も重要であると感じた。今後も患者それぞれの個性に合わせたケアを工夫し、患者自身丸ごと受け入れる姿勢を持ち一人でも多くの笑顔を見ることが出来るケアを心がけたい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-4-2 認知症看護(2)認知症ケアにともなうストレス

山口平成病院

かげやま なつむ

○景山 夏夢(准看護師),福山 千代美,木村 梢枝,藤河 真史,青木 祐輔,立石 肇

[はじめに]当病棟では、平成28年6月より認知症ケア加算を算定し、12月までの7か月間の加算対象者は入院患者の74.8%を占めていた。多くの認知症患者のケアに「疲れる」「心が折れる」などの声がきかれた。そこで、認知症ケアに職員がどのようなストレスを感じているのかを調査したので報告する。

[方法]調査期間:平成29年2月1日~ 2月14日対象:当病棟で勤務する職員30名(看護職員17名、介護職員13名)認知症のどのような症状・行動をストレスと感じているか、アンケート調査を実施

[結果]職員は精神的なストレスを多く感じており、看護師、介護士とも、認知症症状のうち、過活動症状に対し強いストレスを感じていることがわかった。その内容としては、暴言・大声、転倒・徘徊や放尿・便いじりなどの排泄トラブル、不眠・昼夜逆転が多かった。また、看護師は医療行為を妨げるルート自己抜去、抜管などが多く、特に夜勤者はストレスを多く抱えていた。低活動症状の意欲低下、摂食低下は、患者にとって深刻な問題であるが、ストレスは少なかった。家族の認知症に関する不理解な言動に苦痛を感じ、意欲減退を感じている者もあった。

[考察]認知症患者の様々な行動面や精神面の混乱は、本人にとって苦痛であるばかりでなく、それにより職員が受けるストレスは、職業意識とのジレンマも相まって高まると思われる。職員同士で共有、シェアしていくことで、精神的負担は軽減できるといわれており、そのきっかけとして「NG集」を作成した。共有することで、対応の失敗や反省も語り易くなり、個々対応のコツも知ることができ、ストレス軽減につながると思われる。また、日中「見守り」を当番で担当、固定の職員にストレスが集中しなくなった。患者の日中の活動維持と昼夜逆転の改善も期待し継続したい。今後も手さぐりしながら職員全体でストレスを分かち合い、対応力を向上させていきたい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-4-3 認知症看護(2)大腿骨頚部骨折高齢患者の安静と安心を繋ぐ認知症ケア

石巻健育会病院 看護部

きくち みさき

○菊池 美咲(看護師)

【はじめに】認知症のある大腿骨頚部骨折高齢患者に対し、その人らしさを尊重したケア介入を行った。認知症症状の悪化なく安静が保たれ、自宅退院できたので報告する。

【症例紹介】Y氏 96歳 女性、長男夫婦と同居、右大腿骨頚部骨折を認め保存的治療目的で入院。既往はアルツハイマー型認知症。要介護5(車椅子で生活)、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ。難聴と視力低下あり。5年前にも同疾患で入院しているが、安静の保持が困難で離床センサーを使用した。

【経過】入院時から、骨折を忘れ動くことで出現する疼痛、不安の訴え、大声で人を呼ぶ様子があった。認知症アセスメントシートで評価し問題点を抽出した。疼痛に対してはポジショニングやケア方法を統一し、認知症症状に対しては馴染みのある環境を整え、スケジュールや病状の説明などを実施した。ベッド上での安静は保たれ、疼痛の増強なく経過した。車椅子移乗が開始されたが、転倒・転落はなく、離床センサーを必要とする状況はみられなかった。患者はスケジュール説明を受ける度に、驚き、喜び、納得するという反応を繰り返した。時折、見当識障害や不安の訴えはあったが、穏やかに過ごすことができた。前回入院時とは異なる患者の様子に、家族から喜びの言葉が聞かれた。

【考察】認知症ケアでは、その人の立場や視点に立ってケアすることが重要である。また苦痛や不安の原因となる要因の最小限化と、患者の理解力に合わせた情報提供の方法を検討することが必要となる。疼痛コントロール・患者の反応を確認しながらの対応・認識への積極的な働きかけ・生活リズムの維持・馴染みのある生活環境調整などのケアが安心感をもたらしたために、認知症症状の悪化なく安静が維持できた。認知症ケアでは看護師の観察力とアセスメント力がより求められる。患者の視点に立って理解し、日々丁寧なケアを繰り返すことが、その人らしさを尊重したケアに繋がる。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-4-4 認知症看護(2)認知症ケア加算2算定に向けて当院での取り組み

栗林病院 看護科

こんどう かずひろ

○近藤 和宏(看護師),山崎 将史

【はじめに】当院は地域包括ケア病床(20床)、医療療養病床(104床)からなり、同一法人に介護老人保健施設、介護老人福祉施設を有する慢性期病院である。平成28年度の診療報酬改定における新オレンジプランをふまえ、当院でも認知症ケアの充実を目的とし、認知症ケア加算2を算定していく運びとなった。今回、当院においてスムースな認知症ケア加算算定開始が出来るように活動してきたことを評価し報告する。

【活動内容】①施設基準である手順書の作成②認知症に対する看護計画の立案、評価(デモンストレーション)③身体拘束廃止評価書類、身体拘束チェックリストの作成、使用(デモンストレーション)④認知症ケア加算、認知症に対する理解度アンケート調査⑤理解度アンケート調査に基づいた院内研修会の実施⑥多職種による認知症ケアチームの設立

【結果】認知症ケア加算、認知症理解度アンケート調査により、職員の理解度の低さが露呈された。施設基準である手順書及び各種書類の作成は済み、人員配置が出来次第認知症ケア加算の算定ができる状況にある。認知症ケアチームを設立して間もないことがあり、十分な活動は出来なかった。

【考察】認知症ケア加算、認知症についての院内研修会を実施することにより、病院全体として認知症に対する知識が向上し、意識改革も図れたが、認知症患者の多様性、適切な対応、ケアを理解し実施するためには、今後も定期的な勉強会を実施する必要がある。看護計画や各種書類のデモンストレーションを実施したことにより、スムースな認知症ケア加算の算定開始が出来ると考えられる。今回、認知症ケアチームを設立し活動していく中で、多職種間によるアプローチ、情報共有の重要性が理解できた。今後も多職種間での密な連携、十分なカンファレンスを実施し認知症ケアの充実を目指したい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-4-5 認知症看護(2)認知症ケアチーム活動開始後7か月目の病棟看護師の意識の変化

1 北条病院 看護部,2 北条病院 薬剤科,3 北条病院 外科

みつた みほ

○ 光 田  美 穂( 看 護 師 ) 1, 二 神  砂 緒 里 1, 都  武 司 1, 米 田  と も 子 1, 渡 部  洋 史 1, 小 原  睦 美 1,戒田 文子 2,髙石 義浩 3

【背景・目的】当院は入院患者の約3割が認知症自立度Ⅲa以上である。認知症に対する適切な評価と質の高い看護実践を行う事を目的に平成28年7月から認知症ケアチームの活動を開始した。今回導入後の実施経過と病棟スタッフの意識変化について調査したので報告する。

【期間対象・方法】平成28年8月から平成29年2月の入院患者を対象に、実践したケア内容および経過についてカルテ記録から調査した。病棟看護師(以下看護師)23名に、認知症およびケアについての意識の変化について調査した。

【倫理的配慮】看護師に、意識調査は無記名で自由意思によるものであること、個人が特定されないように処理することを口頭で説明した。

【結果】入院患者420人うち認知症ケア介入患者(以下介入患者)は134人(31%)であった。そのうち身体拘束実施患者9人であった。時間・空間の認知が少しでも可能となるようケアを開始し、自己抜去などの危険行為が治療の妨げにならないように環境整備に努めた。入院経過の中で認知症状の悪化を呈したのは介入患者のうち16人

(11%)であった。看護師の意識調査の回収率は91%(21人)であった。看護師の認知症に対する知識が深まった16人(76%)、対応の変化を感じた14人(67%)であった。また、身体拘束に対する意識の変化20人(95%)、拘束が減った19人(90%)であった。

【考察】今回の意識調査から看護師の認知症患者に対する知識とケアに対する意識の変化が見られた。課題として、看護計画・看護記録を残すことに赴きが置かれ看護師の業務負担につながったとの意見があり、効果的な看護記録の見直しが必要である。介入患者のうち16人(11%)は認知症状が悪化している。原因として入院時のアセスメントが不十分であったり、症状に対する看護ケア介入量の不足が考えられる。多職種との連携・情報共有を密にして、個別性のある看護計画の立案・修正が必要である。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-4-6 認知症看護(2)認知症ケアチームの取り組みと課題ー認知症ケア評価表シートを活用してー

1 上條記念病院 看護部,2 上條記念病院

こまつ ゆう

○小松 優(看護師) 1,植田 健治 2,辻野 和夫 2,青木 来未 2

【はじめに】平成28年度診療報酬改定において,認知症ケア加算が導入され,当院においても認知症ケア加算を契機として認知症ケアチームが発足した。当院の認知症ケアチームは大きく6職種6名から構成され,その他,各病棟に研修を終了した看護師が9名配置されており,病院全体・職員全員が認知症についての理解を深め,認知症の容態に応じた適時・適切な認知症ケアの提供ができるようにすることを目的として活動している。

【目的】今回,チーム発足から2度にわたる認知症ケアに関する意識調査アンケートの結果や考察を踏まえ,新たに「認知症ケア評価表シート」を作成・導入した。認知症ケア評価表シートの有効性を考察し,今後の認知症ケアチーム活動の課題を明らかにする。

【方法】認知症ケア評価表シート導入後,病棟に関わる看護師等の多職種を対象に,認知症ケア評価表シートや認知症ケアに関する意識調査を含めたアンケートを実施。

【倫理的配慮】発表にあたり所属機関長の承諾を得,個人情報・秘密保持について配慮を行った。【結果】認知症は進行性の病気であり,「できること」「できないこと」も日々変化する。認知症ケア評価表シートを使用し,毎日の状態を多職種が把握することで,多様な個別性ニーズに対応することができ,その都度発現した症状に合わせてケアや処方を見直し,役割分担に基づいたアプローチができるとの評価を得た。また,結果として,患者さんに対し「見守る」だけはでなく,しっかりと「かかわる」ということが増えることにもつながった。

【考察と課題】認知症ケア評価表シート導入は,認知症ケアチーム・リンクナース・病棟ナース・多職種とがいつでも協働できる関係性の構築の一歩となり,認知症患者さんに成果として反映されることにつながる可能性が高い。今後も,病院全体の認知症ケアの質向上とボトムアップに向けた活動を微調整しながら継続することが重要であると考える。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-5-1 認知症看護介護(1)オレンジカフェ「こころの泉」認知症カフェに対する当院の取り組み報告

上條記念病院

つじの かずお

○辻野 和夫(介護支援専門員),上條 裕朗,佐藤 眞弓美,丸山 裕貴,松本 理恵

【はじめに】上條記念病院がある長野県松本市は、日本一の長寿県の中で、高齢化率26.7%(2015年)となっており、認知症へのケアが重要な課題となっている。当院では2015年に職員全員が認知症サポーター研修を受けるなど、認知症への取り組みを行ってきた。その中で認知症を抱える本人、家族が気軽に相談できる場として、2016年2月より認知症カフェ「オレンジカフェ「こころの泉」」を毎月第3木曜日に開催している。

【目的・方法】2016年2月から2017年6月まで、毎月欠かさず行ってきたオレンジカフェの更なる充実を図りたいと考える。そこで、創設期から現在までの活動についての内容報告を行い、考察を行っていく。

【結果】オレンジカフェ開設にあたり、地域住民への周知活動として、地域の役員の方々へ開催を知らせた。また、地域の回覧板に案内用紙を入れてもらえるよう依頼した。カフェ内容は開設当初は談話を中心としたものであったが、参加者からの要望もあり、第4回開催時(2016年5月19日)より、季節をテーマとした回想法の効果を取り入れたものづくりと、病院の各専門職からの認知症をテーマとしたミニ講座を実行委員の話し合いの中から企画し、現在まで行っている。これらの活動を一年通して行った結果、楽しい、ためになるとの声も聴かれ、定着して来場する方の割合は8割程度。来場者も地域役員、地域包括支援センター、社協の職員が8割程を占めている。

【考察】一定の方々の定着はみられているが、開設当初は当事者達の相談所になることを目的としており、今後は地域の中の当事者達がさらに参加できるような働きかけが必要であると考える。

【結論】今後も認知症カフェとして、内容の充実を図ると共に、地域の家族の会など、他の会とも交流を行い、地域のニーズを受け止め、当事者達の来場を図り、地域の認知症よろず相談所としての機能を充実させたい。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-5-2 認知症看護介護(1)認知症初期集中支援チームの活動の現状と課題

1 美原記念病院,2 介護老人保健施設アルボース

かわばた ひろみ

○河端 裕美(看護師) 1,井上 尚子 1,田中 直子 1,美原 盤 1,大塚 彰太 2,大塚 綾 2,木村 聡 2,美原 恵里 2

[はじめに]認知症施策推進総合戦略において、認知症の早期診断・早期対応のための体制整備として認知症初期集中支援チーム(チーム)の設置が求められている。チームには、認知機能低下が認められ、かつ適切な支援に繋がっていない人に対して介入し、集中的に支援していく役割がある。当財団は伊勢崎市よりチームの設置を委託され、平成28年9月より活動を開始した。今回、これまでの介入事例を振り返り、チームの現状と課題について検討したので報告する。[対象および方法]対象は、平成28年9月から平成29年3月までにチームに介入依頼があった14事例とし、基本属性、受付から初回訪問までの所要日数、介入依頼理由、チームによる支援内容とその成果について調査した。[結果]対象の属性は、男性4名、女性10名であり、平均年齢は79.6±7.7歳であった。調査期間中に介入が終了した事例は2例であり、そのうちの1例は死亡によるものであった。受付からチーム初回訪問までの所要日数は13.3±4.6日であり、介入依頼理由(複数選択)は、「臨床診断を受けていない」 29.6%、「適切な介護保険サービスに結びついていない」 29.6%、「継続的な医療を受けていない」 18.5%、「医療・介護を受けていない」 11.1%、「医療・介護を受けているがBPSDの対応に苦慮」 11.1%であった。チームによる支援内容とその成果では、「介護サービスにつなげた」 30.0%、「認知症専門医を紹介」 20.0%、「通院再開・継続につなげた」 20.0%、「診断につなげた」 10.0%、「介護者へ認知症・対応を説明」 10.0%であった。[考察]チームによる支援は、医療機関への受診や介護サービスの利用など、医療と介護の隙間を埋める役割を担っていることが明らかになった。しかし、まだまだチームによる介入例は少なく、今後さらに活用されることが課題である。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-5-3 認知症看護介護(1)認知症を理解し、介護の統一を図る~「ひもときシート」を活用して認知症について考える~

加治木温泉病院

よねみつ やすひろ

○米満 康浩(介護職),小園 友和,長島 康成,塩満 陽子,藤田 千賀子,松元 菜津美,新本 紀子,髙田 昌実

I.【はじめに】認知症ケアは、状況に応じて瞬時の個別性の高い柔軟な判断や関わりが求められる。病棟に入院されている認知症患者様の言動にどのように対応すれば良いのか迷う時があるという意見があった。そこで、認知症ケアの

「ひもときシート」を活用し、定期的に検討会を行った。シートの中で整理した情報や気づきを利用して、情報交換の場を設けることで、スタッフが認知症に対して理解を深め、思考のプロセスの標準化を図ることに繋がったと考えられる。Ⅱ.【研究方法】1.期間 平成28年6月1日~平成28年10月31日2.対象 2階南病棟ケアワーカー 13名3.方法1) 「認知症をどのくらい理解しているか」「対応に困った事例」のアンケートを実施2) 病棟会の中で、勉強会やひもときシートを活用し介護検討会を実施3) 研究時の理解度、対応の際立った事例のアンケートを実施Ⅲ.【結果】アンケート結果より2階南病棟では認知症の周辺症状が強い患者様の対応をしてきたが、経験の浅いスタッフは対処ケアで終始していたことが分かった。ひもときシートの8つの視点で考える事で、経験の浅いスタッフでも、スムーズな対応が出来るようになっていった。そして日頃の業務で患者様とのや病気になる前の生活歴を知ることが、解決の糸口に繋がっていくことを学んだ。Ⅳ.【考察】今回の研究では、ひもときシートを活用して情報を整理し対応方法を検討していく過程を繰り返すことで、思考のプロセスの標準化を図ることに繋がったと考えられる。2階南病棟でのひもときシートの活用は、認知症を理解するうえで有効である。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-5-4 認知症看護介護(1)認知症高齢者の理解と看護~地域セミナーを実施して~

1 介護老人保健施設 みどり苑 看護介護部,2 介護老人保健施設 みどり苑

やまざき ともこ

○山崎 友子(看護師) 1,山崎 敦子 1,関 待子 1,西嶌 美知春 2

【はじめに】高齢者の増加、とりわけ認知症高齢者の増加が社会的に深刻な問題となっている。当苑は認知症専門棟を有する介護老人保健施設であり、地域包括ケアシステムが推奨される中で地域にある社会資源のひとつとして役割を果たしている。施設内にとどまらず、住み慣れた地域や近隣においても、認知症高齢者に関係する事故、また徘徊による行方不明者の増加、近所でのトラブル事例など、身近なところで様々な問題が起こっている。認知症専門棟において認知症高齢者との関わりを通して経験したことを地域住民に伝えることで、認知症高齢者に対する理解を深め、地域において認知症高齢者をサポートして頂けるよう交流する機会を得たので報告する。

【内容】テーマ:認知症高齢者の理解と看護 地域交流セミナー 平成28年7月 健康麻雀大会におけるセミナー 平成29年2月 (五福地区交流セミナー:平成29年7月実施予定)

【セミナー内容】 認知症に関する基礎知識(病棟の実例を交えて) 認知症ケアの9原則 日常生活上のケア こんな時はどのような対応をしたらよいのでしょうか(クイズ形式) コミュニケーションの基本 聞き上手になるコツ

【結果】認知症に関する基本的な内容をわかりやすい言葉で説明することができ、クイズ形式の話では参加者から感嘆の声や、笑いがおこったりと会場の反応がとてもよかった。

「認知症の方は何もわからない人だ」と誤解されている場合が多いと思うが、実際は心と身体が上手くかみ合わなかったり、短い時間でも記憶しておくことが出来ず、自分を失っていくことへの不安や恐怖、悲しみを感じておられることを伝え気持ちに寄り添い共感することの大切さを感じてもらった。

【展望】地域にある介護保険施設として、認知症高齢者に関する理解を深め、適切な対応ができるよう情報提供・介護指導などを行うことで地域に密着しさらに貢献していきたいと考える。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-5-5 認知症看護介護(1)2016年大田区三医師会認知症検診に関する速報―男性は女性よりも早くから認知症を発症する-

1 京浜病院,2 蒲田医師会,3 田園調布医師会,4 大森医師会

くまがい よりよし

○熊谷 賴佳(医師) 1,2,高瀬 義昌 2,南雲 晃彦 2,荻原 牧夫 3,織茂 毅 3,青木 伸夫 3,工藤 千秋 4,水野 幸一 4

「はじめに」大田区三医師会(大森・蒲田・田園調布医師会)は、大田区の補助を受けて大田区在住の65~84歳の区民に対し、平成28年度認知症検診を実施した。これに先行して平成24年から4年間、三医師会は医師会独自の事業として、三医師会認知症検診を実施してきた。今回の調査で明らかになった男女での有意差他を報告する。

「方法」MMSE法で23点以下を認知症疑いと診断し、精密検査が必要と指導した。対 象)65~84歳の大田区住民実施期間)2016年7月~12月(6ヵ月間)受診者総数)563名(男189名、女374名)実施医療機関)検査参加を希望した医療機関

「結果」1. 65歳以上の認知症有病率は、14,7%であり、既に報告さている全国平均15%に近似している。本検診の精度を保証するものと考える。2. 65 ~ 69歳、75 ~ 79歳において、男女差が明らかになった。男性は女性より2倍近く多く発症している。3. 70 ~ 74歳では、男女差がみられなかった。4. 80 ~ 84歳では、男女差が逆転し、女性の方が多くなっている。5. 男性は女性よりも早い年齢から発症している。6. 男性は80歳ぐらいで発症のピークを迎えるが、女性は、80歳を超えると発症率が飛躍的に高まる。7. 男女とも年齢とともに認知症有病率が高まる。

「考察」1、男性については、認知症検診を65歳から始めても遅いのかもしれない。

「結論」1、認知症有病率は、年齢とともに確実に増加する。2、男性は女性よりも早く発症する。3、女性は男性よりも遅れて発症するが、80歳以降で、きわめて急激に増加する。

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第25回日本慢性期医療学会 in 仙台2-5-6 認知症看護介護(1)当院物忘れ外来における取り組み~評価結果の集積から今後の展望を考える~

平成横浜病院

やませ けんたろう

○山勢 健太朗(作業療法士),石井 映幸

[はじめに]近年わが国の認知症を有する高齢者人口は年々増加し、地域のサポートが重要であるといわれている。多くの観察研究において、定期的な運動が高齢者の認知機能低下の進行を抑制するとの結果が出ており、積極的に推奨する必要がある。当院では2016年5月より物忘れ外来が開始され、作業療法士(;OT)も認知症評価に関わってきた。地域密着型の物忘れ外来の現状と、今後OTとしてどのように進行の予防に関わることができるかを考察したため、以下に報告する。

[方法]対象は2016年5月~ 2017年2月までに物忘れ外来を受診した患者44名(女性26名、男性18名)。年齢78.8歳±20。Mini Mental State Examination(;MMSE)を含む3つの検査を OTが実施。脳画像診断、血液検査などの結果から医師が認知症診断を行い、その傾向をみた。また、家族構成、外出を伴う趣味・日課の有無とMMSEとの相関を、それぞれt検定を用いて比較した。

[結果]対象者のうち、正常27%、軽度認知障害(;MCI)36%、アルツハイマー型認知症18%、脳血管性認知症2%、混合型認知症9%、その他が7%。家族構成とMMSEの有意差はみられず、外出を伴う趣味活動の有無とMMSEには有意差が見られた(P=0.001)。

[考察]今回の結果は多くの研究結果を裏付けるものであり、趣味活動や運動習慣が認知機能に影響を与える可能性が示唆された。特にMCIと診断された患者に関しては、介護保険分野においてOTが早期から関わり作業提供を行うことで認知症予防に寄与出来るのではないかと考えられる。家族構成よりも、本人の活動性を保ち快適に過ごせる環境の提供が重要である可能性がある。今後は身体活動指標や主観的健康感などの評価も併せて実施することで、地域における高齢者へのOTの関わり方の一助となると考える。