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REPA通信 No.0017 2008.11.13 NPO法人 再生可能エネルギー推進協会
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「ポイント CO2地域ネットワーク」第一年度活動
理事 尾園 次郎
当協会が三井物産株式会社地球環境基金の助成を受けている活動である「ポイント
CO2地域ネットワーク」の第一年度(2007年7月1日から 2008年6月 30日)の活動結果をまとめ、10月 11日に日本工業大学宮代キャンパスで関係者への報告と、第二年度の進め方を打合せました(写真1参照)。環境基金事務局には7月 31日に報告書を提出し無事受理され、第二年度の活動の継続が 10月に承認されています。 本活動は REPA通信 11号、 15号にて紹介されていますように、埼玉県宮代町の小中学校の各家庭の CO2 排出量
を、個人・学校ごとに算定し
たり、CO2削減方法の工夫や、
削減の自由研究をしたり、削
減量がわからない場合は日
本工業大学佐藤研究室にて
計算・実験したりして、参加
者が排出量を実感してもら
い、これを行く行くはポイン
ト化し地域内排出量取引に
展開していくものです。
写真1:第一年度報告と今後
の進め方打合せ風景
第一年度の活動では、宮代町小中学校
7校の生徒さん 785名が参加しデータが
入力されました。皆さん熱心に作業をし
ていました(写真2参照)。 各学校の
CO2排出量ならびに自由研究内容は、ホ
ムページ http://repa-npo.com/「ポイント
CO2地域ネットワーク」を開設し(図-
1参照)、情報共有を進めております。H
Pはまだまだ整備中で不便を掛けており
ますが第二年度には充実していきます。
写真2 小学生によるエネルギー使用量等入力風景
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また佐藤研究室には、宮代地区の「生ごみの付着水除去行動による二酸化炭素削減の効
果」をデータ分析と試算により、如何に家庭の台所からの生ごみの水切りが重要であるか
を数値により一目瞭然にすることが出来ました(図-2参照)。生ごみは水分含有率がほと
んどで 80数%です。水1kgを重油(ごみ焼却炉通常使用される燃料)で蒸発させる時に発
生する CO2 は 0.161kg になります。厳密にいうと、生ごみの中には可燃ごみも含まれてい
ますので多少数値は異なると思われますが、ほぼ同程度の CO2が発生することになります。
一人一日1kgという環境省の働き掛けもありますので、無視出来ない数値でしょう。
図―1 ポイント CO2地域ネットワーク HPトップページ
図-2 生ごみをポリ袋に溜めた場合の水分(付着水)の量
0
500
1000
1500
2000
2500
1 2 3 4
330g
940g
180g
1450g
22.8%
(83.9%)
1920g
30.2%
(83.6%)
580g
1120g
1250g
330g
790g
26.4%
(85.9%)
27.7%
(83.5%)
1840g
510g
1110g
220g220g
ポ
リ
袋
中
の
生
ご
み
量(g)
絞り出した水(付着水)
乾燥により蒸発した水
乾燥後の生ごみ
日本工業大学 調査データ
(2001/8/5)
( )内の%は水分を絞り出した後
の生ごみ中の水分率
130g
87.5%
88.5%
89.6%
88.0%水分率
サンプル重量
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第二年度は統計手法を用いたデータの分析手法(対象データの健全性確認、2組のデー
タ分散の違い、仮説検定、改善効果の検証等)も取り入れ、家庭、学校による CO2削減内
容、差異理由を評価し、より効果的な削減活動に結びつけ、優秀な CO2削減アイデアにつ
いては表彰等(ポイントの加算)も考えていきたいと思います。
第二年度は第一年度の活動の継続と、レベルアップ、新たなアイデアの取り込みなどさ
らに頭脳労働、データ入力等の肉体労働等大変になりますが、皆様の活動に対するご理解、
ご支援、ご意見などをよろしくお願い致します。
なお本活動はエコプロダクツ 2008でも REPAブース内で紹介する予定です。
以上
ソーラボート試乗会を11月下旬に開催
日本ユニテック株式会社 今泉亮平
無尽蔵な太陽エネルギーによるソーラ発電は、小は携帯電話の充電用として、また、家庭用発電装
置から最近では数十万キロワットもの大規模な発電所まで普及が始まっていますが、それを本格的に交
通機関の動力源として利用するまでには到っておりません。他の輸送手段に比べ移動するエネルギーが
比較的少ないボートや小型遊覧船の場合は、ソーラ発電でも十分に可能な技術的、経済的条件が整
いつつあり、日本でも冒険家の堀江謙一さんが、ソーラボートで太平洋を横断したことが、すでに知られて
います。
世界的には既に 100%太陽
光をエネルギーとする大型のソ
ーラ遊覧船が何隻か就航して
おり、再生可能エネルギー推進
協会が任意団体であった 2005
年の 8 月にドイツ再生可能エネ
ルギー視察団を企画した折、そ
れ以前から理事のエシャレー氏
の紹介で私の会社と取引のあ
ったドイツの Kopf 社のソーラ船
がハイデルベルグで大型船を就
航していることを知り、ソーラ船
の体験乗船を行程に組み入れハイデルベルグ・ネッカ河の定員 110 人のソーラ船
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ました。
まさに、ソーラ日和とでもいうような夏の気持ちよく晴れた日にドイツの美しい古都で観光地でもあるハイ
デルベルグを流れるネッカー河で、乗客定員が 110 名のソーラ遊覧船に乗ることができました。
船はとても静かで、振動や排気ガスの匂いも無く、双胴船のデッキは広く、斬新なデザインのキャビンは
明るく、両岸の美しい景色を十分に堪能できました。まるで水面を滑るように走るソーラ遊覧船に一行は
すっかり感銘を受け、私は脱化石燃料社会のシンボルともいうべきこのすばらしい船を日本に紹介しようと
いうことを考えました。一行が乗った船には沢山の企業のロゴマークが貼られてあり、船長の話では、このソ
ーラ船はハイデルベルグ市と協賛する企業の出資により管理運営されており、市当局はこのソーラ船を市
のランドマークであるネッカー河で運行することで、再生可能エネルギーと環境保護の必要性を市民や、
観光客にアピールし、会社はその趣旨に賛同することで、社会貢献度と企業イメージを高めている、と言っ
ていました。この話を聞いたとき「この方式は日本でも可能ではないだろうか」と思いました。
航空機や鉄道、自動車と異なり、観光遊覧船にはスピードは要求されません。美しい景色や自然をゆ
っくり楽しむには、静かで乗り心地の良いスローライフ的なソーラ船は最適です。 ソーラ船には、環境やエ
ネルギーに対する強いメッセージ性があり、一般の市民やマスコミにとって、自然エネルギーの応用例として
も分りやすいのではないかと思いました。この船の進水式には全国から関心を持つ多く人々と多数のメディ
アの取材が集まったそうで、この遊覧船は観光コースとしても人気スポットになっています。
私達がソーラ船に乗る前に、
一番気になった点は、果たし
て曇ってきたら船が停まってし
まうのではないか、雨の日や
夜でも船は航行できるのだろ
うか、という疑問でした。 船
長の話によれば、太陽光が
無い時は、船内のバッテリー
に蓄えられた電気で走り、そ
れでも十分では無い時は陸
上のソーラ発電により蓄えら
れた電気を充電するシステム
になっているそうです。ハイデ
ルベルグでは観光客と太陽の
少ない冬は運行を休止していますが、冬季でも運行は可能で、一般電源からの充電でも航行することが
できる様になっています。ソーラ船の速度は自転車でゆっくり走るくらいの時速 12~13kmで、電池を使わ
明るく静かなソーラ船のキャビン 2005 年8月撮影
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ず太陽光だけで運転する場合はジョギング程度の時速8~9km です。これは、河や湖の周りの景色をゆ
っくりと鑑賞できる最適な速度です。ソーラ船のメーカーによれば、船の速度にとって決定的な要因は、太
陽電池の発電能力と船体の水力学的形状の2点です。この点でこのソーラ船は最新のソーラパネルとス
テンレスを使用した効率の良い双胴船の船体形状をしています。波のある外洋には向かないようですが、
波の静かな港や湾内では十分安全な航行ができるように設計されています。
石油の値上がりがもたらした影響でソーラ船は特別な立場を獲得しつつあるようです。地域社会、観
光産業、あるいは環境保護に理解のある企業などによって新しい環境を守る観光のシンボルとして風光
明媚な湖沼に就航するケースが増えています。ドイツ国内で、ハンブルグ、ハノーバー、ボーデン湖など数ヶ
所で観光用や渡し舟として運行されて居り、一方では、飲料水用の貯水池の点検作業用としても使わ
れています。スイス、オーストリア、イギリスのロンドンやスコットランド、アメリカでも、数隻が就航しています。
日本においてソーラ船を普及しよう
とする場合、船の技術面での審査や
船体の検査が厳しい大型のソーラ船
に比べ、小型のソーラボートははるか
に多くの可能性があります。特に公
園などで若い人達に親しまれている
足漕ぎボートは、高齢者や、女性、
子供にはかなりのハードワークで、広
い湖などではとても大変です。その点、
ソーラボートは全自動で、運転はらく
で、しかも大きさや出力を抑えれば無
免許でも乗れるため、公園ボートの
利用者の増加が見込まれます。しかも環境に害を与えない太陽光発電によるソーラボートは、教育的な
面での効果も見落とせないところです。KOPF 社と当協会の会員の小椋氏が経営する株式会社アサヒワ
ークの協力と援助で、私の会社がソーラボートを輸入し、再生可能エネルギー推進協会の協賛を頂き、
日本で始めて販売用のソーラボートの試乗会を開催することになりました。予定しておりますソーラボート
試乗会の次第は次の通りです。試乗ボートは KOPF ELCAP 370 SOL です。
◇横浜会場:横浜みなとみらいボートパーク
日時:11 月 25 日から 29 日までの 11:00-16:00 (予定)
◇ 東京会場:上野恩賜公園ボート場
横浜終了後に開催
試乗会に使用するソーラボート
KOPF ELCAP370
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ソーラボート試乗ご希望の方は、今泉(携帯 080-3488-0301)まで、ご連絡ください。
なお、この試乗会は、ごく少数の貸しボートを運営する団体、会社、およびソーラボートに関心をもつマ
スコミ、業界関係者、NPO 法人再生可能エネルギー推進協会の会員などで、一般の人々を対象にした
ものではありません。
第4回REPA懇親ゴルフ大会を開催
理事 木村 秀文
平成 20年 10月 25日(土)大千葉カントリークラブにて第4回REPA懇親ゴルフ大会が行われました。 平成 18年 11月、第1回の懇親ゴルフ大会以来多くの参加者を得て通算の参加者が 30名を数えるまでになりました。当日は前日までの雨が上がり曇りではあったものの、風もな
く絶好のゴルフ日和となり、15名が参加し楽しく開催されました。 大千葉カントリー倶楽部の東コースから IN コースを廻りグロス 76(39、37)の好スコアで村上義則氏が優勝しました。 優勝者の村上氏はニアピン、ドラコンのアトラクションは獲得できなかったもののアプ
ローチとパットが素晴らしく4オーバーでホールアウトしました。 同じ組で廻った私のその技以上にどんな状況にも落ち着いてプレーする姿勢が印象に残
りました。 次回は練習を重ね密かに優勝を狙いたいと考えています。 恒例のパーティでは全員の自己紹介があり、環境関係者をはじめ公認会計士や司法書士、
金融機関のマネージャーなど多彩な人々が集まり、環境談義に花を咲かせました。 REPA の活動は環境問題の啓蒙を大きな柱としており、懇親ゴルフを通じて多くの人々が集いその輪が次第に広がって、その参加者がまた輪を広げていくような活動にしたいと
思います。 次回の懇親ゴルフ大会は平成 21年 5月頃を予定していますので、今回都合により参加できなかった方も含め多くの方の参加をお願いします。
エコプロダクツ2008に3年連続出展
REPA事務局
来る 12月 11日(木)~13日(土)の3日間、東京ビッグサイト東展示場で1~6ホールで開催される第 10 回エコプロダクツ 2008(主催:社団法人産業環境管理協会、日本経済新聞社)への出展が決まりました。今年で3年連続の出展になります。昨年は3日間合
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計で 16万 4,903人が来場しましたが、今年も 17万人の来場が見込まれています。出展規模も、昨年より 100社・300小間多い、750社・1700小間が予定されています。 今年はお勤めの方々の来場をしやすくするため、平日の会期中の時間が1時間延長され、
11日、12日は 10:00~18:00となりました。13日(土)は 10:00~17:00です。 REPA のテーマは、子供たちに再生可能エネルギーの大切さを伝えることを主眼にしています。現在、三井物産環境基金の補助金によって進めている「ポイント CO2地域ネットワーク」における埼玉県宮代町の小中学校での活動のほか、バイオマスのある生活を擬態
化したパネルやソーラー関連グッズの展示などを予定しています。また、初の試みとして
REPA会員による出版物の販売も計画し、現在、最後の編集作業を進めております。 当会の出展ブースは NPO・NGO・大学教育機関の出展コーナー(小間番号:N-72)です。東1ホールを入った正面です。皆様、お誘い合わせの上、ご来場をお待ちしておりま
す。 〔編集後記〕 ◇ サブプライムローン問題の衝撃が尾を引いている中でのリーマン・ブラザーズの破綻。
「金融工学」なるマジックをひねり出した頭のいい人たちの行過ぎた金融支配が、実体
経済に及ぼす影響は計り知れないものがあります。個人的に金融工学などに無縁であっ
ても、それは年金はじめわれわれの生活に密接にリンクしており、先々のわれわれの生
活基盤を揺るがす事態がひたひたと忍び寄ってきているようにも思います。その一方で、
経済の停滞が環境対策を遅らせてきた過去の失敗がまたぞろ繰り返されることが懸念
されます。省エネ技術や環境機器による国際貢献に経済活力の基盤があるとはいえ、果
たして環境が経済を立て直す起爆剤になりえるのかどうか。やはり、国策としての環境
問題の取り扱い方次第で、その行く末が大きく左右されるのではないかと思います。グ
ローバルな金融経済に無防備な状態だからこそ、国がしっかりと舵取りをしなければな
りません。再生可能エネルギーの可能性を組み入れた環境・エネルギーに関わる技術の
イノベーション。地球の危機が叫ばれる時代だからこそ、それは国の経済を立て直す有
力な武器になるはずです。(篠田)
(今泉代表は海外出張のため、編集後記はお休みです)