社会福祉法人が展開する 住民参加型総合事業の取り組み · ・...
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社会福祉法人が展開する 住民参加型総合事業の取り組み
社会福祉法人 さつき会 理学療法士 大矢敏之
理学療法士 大河原和也
〜地域を巻き込み、住民力を高めるために~
総合事業は市町村の実情に応じて取り組むこと
→ 「自助、互助、共助、公助」の体系化が必要
参考資料: 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方 厚生労働省老健局振興課
• 専門職主導の機能回復訓練中心 • 高齢者個人を対象 これまでの
介護 予防事業
• 住民主体の運動・通いの場が中心 • 高齢者を取り巻く環境 総合
事業
はじめに
鷹栖町の介護予防事業
行政、社協と協同で
フィットネス倶楽部コレカラ を開設
住民が主体的に参加し、 自らが担い手となり、 「互助」を通しての地域づくりが必要
● 新しい介護予防事業 (平成28年度~)
住民
参加 型
「互助の関係」を構築できない
・ 行政主導 ・ エアロビインストラクターが健康教室を開催
住民
受け身 型
○ これまでの介護予防事業 (~平成27年度)
フィットネス倶楽部コレカラのコンセプト
プロの
リハビリ職
住民参加
住民教育
・介護予防の担い手づくり
・生涯活躍の場
・理学療法士が1名常駐
・個々に合わせたプログラム
・ヘルスリテラシー向上
5
フィットネス倶楽部コレカラの概要
・ 平成29年5月開設
・ 60歳以上の町民が50円/回で利用可能
・ 最新の高齢者向けの運動機器を設置
安心住まいの場(サ高住)
生涯活躍の場 (地域食堂)
元気創りの場 (フィットネス)
フィットネス倶楽部コレカラ内部
概要
・ 身体機能をリハビリ医学に基づき評価
・ 適切な運動内容を提供 (直接的治療は無い)
内容
・ 体組成測定 ・ 筋力測定
・ バランス能力測定
・ 歩行能力測定
・ サルコペニア診断
身体機能評価
【体力評価結果の説明場面】
プロの
リハビリ職
概要
・ 高齢者向けの運動機器(9種)にて身体機能の向上を図る
・ コグニサイズにて認知症予防を図る
内容
・ ストレッチ機器
・ 筋力トレーニング機器
・ 有酸素運動機器
・ コグニサイズ
サーキットトレーニング
【有酸素運動 (動画)】
プロの
リハビリ職
概要
・ ノルウェー発祥の治療機器で、赤い紐につかまり、自分の動
かせる範囲以上に身体を動かすことが可能
内容
・ ストレッチ
・ 体幹トレーニング
・ バランストレーニング
実績・効果
・ 7教室56名が参加
・ 腰痛や肩こりの改善等
レッドコード教室 プロの
リハビリ職
【レッドコード教室 (動画)】
概要
・ 理学療法士と地元歌手で制作した町オリジナルの介護予防体操
内容
・ ストレッチ、筋トレ、バランス
運動、嚥下口腔運動等
実績・効果
・町内各地区で教室を展開
・減量、片脚立ち時間延長等
あったかすリハビリ体操教室
【あったかすリハビリ体操教室 (動画)】
プロの
リハビリ職
登録者数の推移
6月 0
100
200
300
H29.5月
フィットネス倶楽部
コレカラ開設
6月
105 名
H30.5月
284 名
9月
308 名
開設 1ヶ月で
100名超える
開設1年で 町高齢者人口の
12%の登録者
現在 町高齢者人口の
13%の登録者
町高齢者人口の 10%以上が登録
【名】
登録者の属性
有疾患者
健常者
%
腰部疾患
28名
変形性関節症
25名
人工関節術後 13名
脳血管疾患 14名
その他
要介護認定 13名
多くの有疾患者が 利用可能
・ コレカラサポーター
・ あったかすリハビリ体操指導士
住民参加
概要
住民がフィットネス運営の担い手となり、「互助の力」で介護予防
に取り組む
内容
・ 養成講座では身体構造、機器
の使用方法、効果等を学ぶ
・ 理学療法士が不在時でも
サーキットトレーニングが可能
コレカラサポーター 住民参加
【機器使用方法説明 (動画)】
概要
住民が体操指導の担い手となり、「互助の力」で介護予防に
取り組む
内容
・ 養成講座では解剖学、運
動学、体操の効果や目的
を30時間かけて学び、町認
定を受ける
・ 町内各地で体操指導士のみ
の教室を運営
あったかすリハビリ体操指導士
【地域での体操教室 (動画)】
住民参加
住民ボランティア養成・活動実績
コレカラサポーター
30名
男性4名、女性26名
平均年齢 65.8±5.9歳
総活動時間 1705時間
体操指導士
20名
男性2名、女性18名
平均年齢 62.8±7.4歳
総活動時間 538時間
あったかすリハビリ体操指導士活動実績
フィットネス倶楽部コレカラ 老人会などの各種団体
サービス付き高齢者向け住宅 デイサービス
63回開催 8 回開催
21 団体で実施 134回開催
延べ 2139名 の住民が参加
概要
健康講座や健康手帳を通して、フレイル予防やヘルスリテラ
シーを高めることを目的とした、ポピュレーションアプローチを
展開
内容
・ 「ヘルスリテラシーとは」
・ 「水分と脱水」
・ 「便秘と下剤の功罪」
・ 「認知症・MCI予防と薬害」
・ 「フレイル、社会参加」 など
ヘルスリテラシー向上 住民教育
【健康手帳】
事例紹介
• 60才代 女性 介護認定なし
• 主訴 : 右足に力が入らない、デイサービスを利用希望
• 診断名 : 腰部脊柱管狭窄症、右変形性股関節症
• 現病歴
平成26年09月 腰部・右下肢痛で歩行障害、腰椎の手術をするが、
右下肢にしびれ、脱力が継続。
平成29年03月 町の1次予防事業の体操教室へ参加するが、
• 現病歴:平成26改善なく、活動範囲狭小に悩み町保健師へ相談。
平成29年05月 当施設利用開始。
右足のしびれ・脱力のため 体が右へ傾き、杖が必要
L3-4前・後方同時固定術施行
X-P画像と歩容
介護予防経過 (約60分間、3~4回/週、6ヶ月)
ストレッチ運動
筋力向上運動
有酸素運動
体の傾きが改善、歩行スピード向上、杖の必要なし!
H29年 5月 TUG 8.76秒
H29年 11月 TUG 6.90秒
日常生活支援への取り組み
身体機能 身体能力 が向上 活動・参加 意欲も向上
利用者へ機器 操作説明のサ ポーター活動 を週3回実施 自信がつき・・・
役場、社協、 法人運営の 「地域食堂」 への出店を 友人達と計画 し実現
利用開始2ヶ月後~
理学療法士よりコレカラサポーターの参加を提案、 友人と活動を開始
~サービスの受け手から「担い手」へ~
結果
地域食堂は大繁盛し現在も継続、介護保険利用の話題は聞かれない
今後の課題と展望
課題
• 各運動プログラム継続による身体機能改善、健康寿命延伸の検証
• 医療費削減、介護認定率減少の動向を「行政」と検証
展望
地域は「もろい」ものであり、互助力は「自生しない」と考える。
理学療法士として「身体機能改善」へアプローチし、社会福祉法人の職員として「地域」へ働きかけ、自助力と互助力の「土壌作り」を継続し、生涯活躍できる「まちづくり」を進めていく。
ご静聴ありがとうございました
http://www.satsuki-kai.jp/
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