報告書 Experiment report

柏市庁舎に於ける中空窓ガードの省エネルギー効果検証試験

<Hollow window guard> Energy saving effect verification test

at Kashiwa city hall

NPO法人 エスコット 柏環境研究所

〒277-0011 千葉県柏市東上町4-17

NPO ESCOT Kashiwa Institute for Environmental Studies

Zip code 277-0011

4-17 Azumakami-cho,Kashiwa-city Chiba-pref. Japan

info@npo-escot.org

http://www.npo-escot.org

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柏市庁舎に於ける中空窓ガード設置による省エネルギー効果検証試験

市庁舎、南西側、4階窓

※赤棒は温度ロガー 屋内側でパネル中央に設置

②ガラス面

③板バネ+簾

①板バネのみ

④外気温 直射日光を避ける為 ダンパーの内側に設置

実験場所：千葉県柏市柏5丁目10番1号 現状課題：庁舎1階ロビーの（主に夏季）空調に対する改善が求められている。 対策：断熱効果の高い中空ポリカーボネート板（以後、中空ポリカと呼ぶ）4mm厚単体と同厚プラス遮光用簾の2種類を窓ガラス外側に設置、断熱、遮光効果を検証。 実験概要： （１）断熱、遮光効果検証試験 １．市庁舎南西側面窓の外側に中空ポリカ板2枚を張るが、うち1枚にはガラス面と中空ポリカとの間に簾を挟む。 ２．①、③には空間約10㎜のバネ付ボルト使用。 ３．①、②、③の温度センサーは室内側ガラス面上に、④は直射日光の当たらないベランダ影に設置する。 ４．センサーの高さは全て揃える。①、③では中空ポリカの中心に来るようにする。 ５．１０分間隔で温度の記録をとり、断熱、遮光効果を検証する。 （２）日射強度減衰試験 １．①～③の室内側の直射強度を日射量計で計測。 （３）窓の位置的特性を調べるため、当初10日間程度はパネルなしでの計測とする。 （４）実施期間：1月25日より

衝撃吸収バネ付ボルト

温度ロガー取り付けイメージ

幅170cmの中央ガラスに設置

取付け状況 直径3mm、皿ネジボルトであれば 長さ可変

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１．風圧計算 中空窓ガードの脱落、落下によるリスク評価を風圧計算により行った。 前提条件： ■風速50ｍ/ｓ ■ガラス面に平行かつ横、縦方向からの風向を想定 ■窓との空間10㎜、パネル厚5㎜、合計15㎜で計算 ■抗力係数には凹面での係数使用 ■気圧1000ｈＰａ、気温20℃での空気密度を使用 ①横方向からの風による力 抗力 L 揚力 D 抗力係数 Cp 2.3 凹形状の係数使用 揚力係数 CL 0 空気密度 ρ（kg/㎥） 1.19 1000hPa,20℃ 流れに対する物体の投影面積 A（㎡） 0.013 流れの速度 ｍ/ｓ 50 抗力計算式 L=1/2CpρAU² 4.54 kg・m/s² 揚力計算式 D=1/2CLρAU² 0.00 kg・m/s² 合計 4.54 kg・m/s² ②上方向からの風による力 抗力 L 揚力 D 抗力係数 Cp 2.3 凹形状の係数使用 揚力係数 CL 0 空気密度 ρ（kg/㎥） 1.19 1000hPa,20℃ 流れに対する物体の投影面積 A（㎡） 0.008 流れの速度 ｍ/ｓ 50 抗力計算式 L=1/2CpρAU² 2.93 kg・m/s² 揚力計算式 D=1/2CLρAU² 0.00 kg・m/s² 合計 2.93 kg・m/s²

※ガラス面

横風

隙間15㎜

吹き降ろし風

隙間15㎜

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２．シリコーン材の接着力と耐久性について 窓ガラスと窓ガード用金具との接着に使用するシリコーン材メーカーに問い合わせを行った。 ①１月25日、11：35 、セメダイン接着技術相談センター、イトウ様 0120-984-053 シリコーン材（オキシムタイプ）の経年変化についての質問 回答⇒有効可能期限約10年、紫外線により黄変（黄色っぽくなる）するが品質に問題なし。 実験試料等については営業窓口にコンタクトしてほしい。 ②１月30日、11：23 、セメダイン㈱、営業部 03-6421-7276 経年変化に関する試験データの提出についての質問 回答⇒試験データは持っていないとの事、ハウスメーカー等との情報交換の中では10年は大丈夫と話しているとの事。

独自の強度試験実施 概要：ガラス面にシリコーン（オキシムタイプ）接着した窓ボルトに10リットルの水を入れたバケツを吊し経過を観る。 写真左、全体状況、中央、吊るした直後、右、24時間後より1日以上の保持力がある事が判明した。

※F=ma(力＝質量ｘ加速度）により、98kg重の力には耐える。

３．安全ワイヤー パネルが剥がれた際、落下するのを防ぐため、以下のワイヤーフックを制作した。 パネル下部の隅に窓ボルトで固定、他方は手すりに固定。

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４．製造物賠償責任保険(P/L保険） 現時点で1月21日から保管期間がスタートしているが保険証書が送られてきていない。 この為、AIU保険の代理店(以下、連絡先)に賠償責任保険（企業用）証券をメールしてもらいました。 矢野氏によると1，2週間のうちには保険証書が届くだろうとの事。 届き次第、コピーを提出いたします。 賠償責任保険（企業用）証券 証券番号：１７７１３９４８２７ 保険代理店： 矢野泰弘 ＡＩＧ損害保険会社代理店 有限会社キープランニング 〒277-0862 柏市篠籠田1372-4プラザ張ヶ谷B-3 電話04-7145-0370 FAX04-7189-8402

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５．中空窓ガード設置前の窓周辺温度特性データ

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※赤棒は温度ロガー 屋内側でパネル中央に設置

②ガラス面

③板バネ+簾

①板バネのみ

④外気温 直射日光を避ける為 ダンパーの内側に設置

①オレンジ ②ブルー ③イエロー ④ピンク

解析 ①窓周辺最高温度42～45℃（外気温21.9℃）と直射の、最低温度6～7℃（外気温2.4℃） ②太陽が最初に当たる右側 → 中 → 左側の順に温度上昇

2月1日、左側の温度ロガーが最初に脱落した事がグラフから推察出来ます。

スプリングワッシャー内臓の特殊ボルトの締め付け作業中

窓ガード＋スダレの取り付け状況

窓ガラス面との間に約１ｃｍの空間 窓ガードのみの状況

取り付け完了状況

窓ガラス面との間に約１ｃｍの空間

2019年2月22日（金曜）15:35～15:49 作業時間14分 作業実施者：鈴木製作所 鈴木氏 NPOエスコット 藤本 柏市民オブザーバー：宮地氏 山下氏 作業内容： ①1月25日に取り付けた窓ボルト（写真左）に中空ポリカ、中空ポリカ＋スダレの固定 ②安全ワイヤーの取付 ③温度ロガーでの温度測定開始設定＝2週間連続測定（10分間隔）

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６．中空窓ガードと温度ロガーの取り付け状況

窓ガードの右下方隅に安全ワイヤーを取り付け ワイヤーには米軍製のセーフティーランヤード使用

窓ガードの固定にはネジ山付きコインナットとワッシャー内蔵の特殊ナットを使用

安全ワイヤーは手すりに連結 すれ防止のため、古ホースでカバー

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外気温計測ロガー

窓ガード設置内面測定ロガー 窓ガード+スダレ内面測定ロガー 窓ガラス内面測定ロガー

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結果解析 期間：2019年3月12日～3月15日 最高温度42～45℃（外気温21.9℃）、最低温度6～7℃（外気温2.4℃） グラフ色別：ブルー＝パネルのみ 赤＝パネルなし 緑＝パネル+スダレ 紫＝外気温 ①日射のない時間帯（青点線内）では窓ガラスの断熱効果は無く外気と同程度であった。 一方、パネル＋スダレの夜間保温効果が最も高かった。 ②日射のある日中の時間帯（赤点線内）ではパネル+スダレの遮熱効果が最も高かった。 ※パネル+スダレの組み合わせを用いる事で屋内側気温を約2℃程度下げられる事が認められた。 ※この時間帯の最高気温が40℃以上に達するのは日射熱と暖房熱がブラインド閉じ込められ蓄熱した為と考えられる。 ③日射のある日中にブラインドを開け、太陽と暖房熱を活用したいがパソコン利用環境の悪化をもたらす為、行えない。 結論 遮光と断熱の効果が求められるオフィス環境では中空ポリカ+スダレの組み合わせが有効と考えられる。

7.温度グラフが示す試験結果

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①パネルなし部が6時～7時かけて上昇するのは市庁舎の暖房開始によるものと思われる。 ②日中の温度差は小さくなるがこの場合でもパネル＋スダレが高い断熱効果を示した。 ③パネルありはパネルなし(ガラスのみ)の約2倍の断熱効果を示した。

8.曇天時の温度推移 3月6日～7日

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9.市庁舎４階における熱環境改善提案 ①中空窓ガードを取り付け、遮光用のブラインドを開ける。

太陽熱

暖房熱

北側に向けての温度勾配 ブラインドからの輻射熱 暖気

②熱移動用の送風手段を導入し、熱落差を平準化する。

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柏市庁舎1階の現状課題 課題：１階南西側の日射により冷房が十分機能しない。 対策：窓内側に段ボール紙を貼り、ブラインドを締めきっている。 問題： ①可視光線が段ボールを暖め屋内で再放射されている。 ②締め切ったブラインドが冷気の循環を妨げている可能性がある。 ③スーパー台風による強風窓割れへのリスク対策は備えていない。

南西向きの柏市庁舎

対策

断熱と遮光の両方の効果がある中空窓ガード＋スダレを外側に取り付ける。 期待効果

①太陽エネルギーを窓の外側で受ける為、屋内での熱の発生を抑制する。 ②パソコン作業に支障をきたす反射光を低減できる。 ③突風、台風による物理的衝撃への備えとなる。 ④段ボール紙による発火リスクを削除できる。 ⑤ブラインドを開けり事による熱環境の回復が見込める。

⑥その他、防音（約１６デシベル）、見た目の涼しさ、窓周辺物へのUV劣化対策等の効果が期待できる。

10.柏市庁舎1階窓に於ける環境と防災対策